特許第6833562号(P6833562)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833562
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/572 20210101AFI20210215BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20210215BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20210215BHJP
   H01M 50/172 20210101ALI20210215BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   H01M2/34 A
   H01M2/26 A
   H01M2/30 D
   H01M2/06 A
   H01M10/04 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-35063(P2017-35063)
(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-142427(P2018-142427A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前園 寛志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真一朗
【審査官】 上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−125798(JP,A)
【文献】 特開2014−220052(JP,A)
【文献】 特開2014−086176(JP,A)
【文献】 特開2015−065020(JP,A)
【文献】 特開2016−110701(JP,A)
【文献】 特開2009−123529(JP,A)
【文献】 特開2016−110859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/34
H01M 2/06
H01M 2/26
H01M 2/30
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端子と、電池ケース内に収容された極板との間の電流経路に電流遮断機構が配置された二次電池であって、
前記電流遮断機構は、前記外部端子に電気的に接続された変形板と、前記極板に電気的に接続され、前記変形板との間で溶接された接合部を有する集電体とを備え、
前記変形板の周縁部は、前記電池ケース内に配置され、前記外部端子に電気的に接続された導電体の周縁部に溶接されており、
前記導電体は、その周縁部において、前記変形板の周縁部を載置する平面部と、前記変形板の周縁部端面と当接する側壁部とを有する段差部が形成されており、
前記変形板の周縁部端面と、前記段差部の側壁部とが当接した状態で、前記変形板と前記導電体との境界に溶接痕が形成されており、
前記側壁部から前記平面部の径方向内側端部までの距離をD1、前記側壁部から前記溶接痕の径方向内側端部までの距離をD2としたとき、D1≦2D2であり、D1≧0.5D2である、
二次電池
【請求項2】
前記溶接痕の径方向内側端部は、前記平面部の径方向内側端部と面一に、または、前記平面部の径方向内側端部よりも径方向内側に位置している、
請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記変形板と前記集電体との前記接合部は、前記集電体の中央部に形成されており、
前記集電体は、前記接合部よりも径方向外側に破断予定部を有している、
請求項1〜のいずれかに記載の二次電池。
【請求項4】
前記導電体と前記外部端子とは一つの部品である、
請求項1〜のいずれかに記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池ケース内に電流遮断機構を備えた二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の二次電池において、過充電等によって、電池ケース内の圧力が上昇した際、電流を遮断する電流遮断機構を備えた二次電池が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
かかる電流遮断機構は、外部端子と電極体を構成する極板とを電気的に接続する電流経路の途中に設けられ、具体的には、外部端子に電気的に接続された変形板と、極板に電気的に接続された集電体とで構成されている。変形板と集電体とは、互いに接合されており、集電体には、一定の応力が作用したときに破断する薄肉部ないしノッチ部等の破断予定部が設けられている。そして、電池ケース内の圧力が所定値以上に上昇すると、その圧力によって変形板が変位することによって、集電体の破断予定部が破断する。これにより、変形板が集電体から剥離することによって、変形板と集電体との間の電流経路が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−212034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような構成の電流遮断機構において、変形板の周縁部は、電池ケース内に配置され、外部端子に電気的に接続された導電体の周縁部に、溶接によって固定されている。
【0006】
しかしながら、変形板の周縁部を、導電体の周縁部に当接させて溶接する際、当接の状態によって、圧力の上昇に伴う変形板の変位が変動する。その結果、集電体の破断予定部が破断する圧力が変動するため、電流遮断機構の作動圧がばらつくという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、その主な目的は、電流遮断機構の作動圧のばらつきを低減した二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る二次電池は、外部端子と、電池ケース内に収容された極板との間の電流経路に電流遮断機構が配置された二次電池であって、電流遮断機構は、外部端子に電気的に接続された変形板と、極板に電気的に接続され、変形板との間で溶接された接合部を有する集電体とを備え、変形板の周縁部は、電池ケース内に配置され、外部端子に電気的に接続された導電体の周縁部に溶接されている。導電体は、その周縁部において、変形板の周縁部を載置する平面部と、変形板の周縁部端面と当接する側壁部とを有する段差部が形成されており、変形板の周縁部端面と、段差部の側壁部とが当接した状態で、変形板と導電部材との境界に溶接痕が形成されており、側壁部から平面部の径方向内側端部までの距離をD、側壁部から溶接痕の径方向内側端部までの距離をDとしたとき、D≦2Dであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、変形板の周縁部と導電体の周縁部との当接状態が安定することによって、電流遮断機構の作動圧のばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態における二次電池の外観を模式的に示した斜視図である。
図2図1のII−II断面における電流遮断機構の構成を模式的に示した断面図である。
図3】(a)は、導電体と変形板との接合状態を示した断面図で、(b)は、導電体の周縁部を拡大した図である。
図4】(a)〜(c)は、変形板の周縁部を導電体の平面部に載置した状態を示した図である。
図5】変形板と導電体の平面部との間の隙間を変えたときの変形板の突出部中央の変位と、電池の圧力との関係を、シミュレーションにより求めた結果を示したグラフである。
図6】(a)〜(c)は、導電体の平面部の幅を小さくしたときの変形板と平面部との接触状態を示した図である。
図7】(a)、(b)は、導電体の平面部の幅の最適な範囲を説明した図である。
図8】(a)、(b)は、導電体の周縁部における段差部の形状の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態における二次電池の外観を模式的に示した斜視図で、図2は、図1のII−II断面における電流遮断機構の構成を模式的に示した断面図である。ここで、本実施形態における二次電池は、その種類は特に限定されず、例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池等を含む。
【0013】
図1に示すように、本実施形態における二次電池10は、正極板と負極板とがセパレータを介して積層または巻回された電極体(不図示)が、電解液とともに、開口部を有する電池ケース11に収容され、開口部は、封口体12で封口されている。また、封口体12には、正極外部端子13、負極外部端子14、安全弁15、及び電解液を注入する注入部16が設けられている。なお、注入部16においては、電解液が注入される注液孔(不図示)が封止栓(不図示)により封止されている。
【0014】
図2に示すように、電池ケース11の内部には、電池ケース11内の圧力が上昇した際、電流を遮断する電流遮断機構40が設けられている。ここで、電流遮断機構40は、(正極)外部端子13に電気的に接続された変形板50と、電極体を構成する正極(不図示)に電気的に接続された集電体60とで構成されている。また、変形板50の中央部に形成された突出部51は、集電体60に溶接により接合されている。また、集電体60は、変形板50との接合部61よりも、径方向外側に破断予定部(例えば、薄肉部、ノッチ部等)62を有している。なお、接合部61以外は、集電体60と変形板50とは、絶縁板22によって電気的に絶縁されている。
【0015】
外部端子13の筒部13aは、ガスケット20、封口体12、絶縁板21、及び導電体30にそれぞれ形成された開口部に挿入され、その先端部がかしめられて、封口体12に固定されている。また、変形板50の周縁部は、導電体30の周縁部に溶接されている。これにより、外部端子13は、導電体30、変形板50、集電体60を介して、正極と電気的に接続されていることになる。すなわち、本実施形態における電流遮断機構40は、外部端子13と正極との間の電流経路に配置されていることになる。
【0016】
電池ケース11内の圧力が上昇すると、変形板50の突出部51が、電池ケース11の外側(図中の上側)に向かって変位するが、突出部51は、集電体60に溶接されているため、電池ケース11内の圧力が所定値を超えると、集電体60の破断予定部62が破断する。これにより、変形板50が集電体60から剥離することによって、変形板50と集電体60との間の電流経路が遮断される。
【0017】
ところで、導電体30は、その周縁部において、図3(a)、(b)に示すように、変形板50の周縁部を載置する段差部31が形成されている。すなわち、変形板50の周縁部と、導電体30の周縁部との溶接は、変形板50の周縁部を、導電体30の段差部31に載置した状態で行われる。ここで、図3(a)は、導電体30と変形板50との接合状態を示した断面図(図2に示したものと、軸方向に反転させた状態)で、図3(b)は、導電体30の周縁部を拡大した図である。
【0018】
図3(b)に示すように、導電体30の周縁部に形成された段差部31は、変形板50の周縁部を載置する平面部32と、変形板50の周縁部端部と当接する側壁部33とを有している。そして、変形板50の周縁部端面52と、段差部31の側壁部33とが当接した状態で、変形板50と導電体30との境界が溶接される。なお、当該溶接は、レーザ溶接等のエネルギー線の照射により行われることが好ましい。
【0019】
ところで、変形板50の周縁部を、導電体30の平面部32に載置する際、図4(a)〜(c)に例示するように、変形板50と導電体30の平面部32との間に、隙間が生じる場合がある。ここで、図4(a)は、隙間がない状態を示し、図4(b)、(c)は、隙間がある状態を示す。図4(b)は、変形板50に突起53があることにより隙間Lが生じている例、図4(c)は、変形板50に撓み54があることにより隙間Lが生じている例をそれぞれ示す。
【0020】
このように、変形板50と導電体30の平面部32との間に、変形板50と導電体30が異なる接触状態で変形板50の周縁部と、導電体30の周縁部とを溶接すると、電流遮断機構40の作動圧が変動するという問題が生じる。
【0021】
なお、図4(b)に例示した突起53、及び図4(c)に例示した撓み54は、それぞれ、理解し易くするため誇張(デフォルメ)したもので、実際の寸法を表したものではない。
【0022】
また、図4(b)に例示した突起53、及び図4(c)に例示した撓み54は、変形板50の周縁部の一部に生じる場合もあれば、周縁部全体に生じる場合もある。なお、かかる突起53及び撓み54は、意図して形成したものではなく、意図せず生じたものである。
【0023】
図5は、変形板50と導電体30の平面部32との間の隙間Lを、0μm(隙間なし)、15μm、30μmと変えたときの変形板50の突出部51中央の変位(μm)と、電池ケース11内の圧力(MPa)との関係を、シミュレーションにより求めた結果を示したグラフである。ここで、曲線Aは、隙間Lが0μmの場合、曲線Bは、隙間Lが15μmの場合、曲線Cは、隙間Lが30μmの場合をそれぞれ示す。なお、変形板50の周縁部を載置する導電体30の平面部32の幅を0.5mmとした。
【0024】
図5に示すように、電池ケース11内の圧力が同じときの突出部51中央の変位は、変形板50と導電体30の平面部32との間の隙間Lが大きくなるに従い、小さくなっている。換言すれば、隙間Lが0μm(隙間なし)のときの集電体60の破断予定部62が破断する変位(0.27mm)を示す直線Pと、各曲線A、B、Cとの交点における圧力、すなわち、電流遮断機構40の作動圧は、変形板50と導電体30の平面部32との間の隙間Lが大きくなるに従い、大きくなっている。
【0025】
このような変形板50と導電体30の平面部32との接触状態に起因した電流遮断機構40の作動圧のばらつきを低減するために、本発明は、変形板50の周縁部を載置する導電体30の平面部32を、従来よりも幅の狭いものを採用したものである。
【0026】
図6(a)〜(c)は、平面部32の幅を、図4(a)〜(c)に例示した従来の平面部32の幅よりも小さくしたときの変形板50と導電体30の平面部32との接触状態を示した図である。図6(b)、(c)に示すように、変形板50に、図4(b)、(c)に例示したような意図しない部分的な突起53や撓み54があっても、変形板50と導電体30の平面部32との間に隙間は生じていない。
【0027】
このように、変形板50に、突起53や撓み54等が存在していると、平面部32の幅が大きいほど、突起53や撓み54等が平面部32に接触しやすくなる。すなわち、平面部32の幅を小さくすることによって、突起53や撓み54等が平面部32に接触する可能性を低減することができる。これにより、変形板50と導電体30の平面部32との接触状態が安定し、その結果、電流遮断機構40の作動圧のばらつきを低減することができる。
【0028】
図7(a)、(b)を参照しながら、本実施形態において採用する導電体30の平面部32の幅の最適な範囲について説明する。
【0029】
図7(a)は、導電体30の周縁部の拡大図で、導電体30の周縁部には、変形板50の周縁部を載置する平面部32と、変形板50の周縁部端面52と当接する側壁部33とを有する段差部31が形成されている。
【0030】
図7(b)は、変形板50の周縁部端面52と、段差部31の側壁部33とが当接した状態で、変形板50と導電体30と溶接した状態を示した拡大図で、変形板50と導電体30との境界に溶接痕70が形成されている。
【0031】
図7(a)、(b)に示すように、側壁部33から平面部32の径方向内側端部までの距離(平面部32の幅)をD、側壁部33から溶接痕70の径方向内側端部までの距離をDとしたとき、平面部32の幅Dは、D≦2Dを満たすことが好ましい。平面部32の幅Dが、このような範囲にあることにより、変形板50と導電体30の平面部32との接触状態が安定し、その結果、電流遮断機構40の作動圧のばらつきを低減することができる。なお、平面部32の幅Dが小さすぎると、変形板50を導電体30の段差部31に組み付ける際、変形板50が導電体30の内部側の入り込んでしまうおそれがある。従って、このおそれを低減するために、平面部32の幅Dは、D≧0.5Dであることがより好ましい。
【0032】
また、溶接痕70の径方向内側端部は、平面部32の径方向内側端部と面一に、または、平面部32の径方向内側端部よりも径方向内側に位置していることがより好ましい。
【0033】
なお、側壁部33から溶接痕70の径方向内側端部までの距離Dは、2mm以下であることが好ましく、0.1mm〜1mmであることがより好ましく、0.1mm〜0.5mmであることが更に好ましい。
【0034】
なお、変形板50と導電体30の平面部32との間に隙間が存在してもよい。当該隙間の大きさが安定していれば、即ち、変形板50と導電体30の接触状態が安定していれば、電流遮断機構40の作動圧も安定する。
【0035】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態では、導電体30は、外部端子13と別部材としたが、導電体30と外部端子13とは一つの部品で構成されていてもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、電流遮断機構を、正極外部端子13と正極とを電気的に接続する電流経路の途中に設けたが、負極外部端子14と負極とを電気的に接続する電流経路の途中に設けても勿論構わない。
【0037】
また、導電体30の周縁部における段差部31は、本発明で規定する平面部32及び側壁部33を有するものであれば、その形状は特に限定されない。例えば、図7(b)に示したような形状の他、図8(a)、(b)に示したような形状であってもよい。
また、本実施形態において、導電体30、変形板50及び集電体60の材料は特に限定されないが、それぞれアルミニウム又はアルミニウム合金からなることが好ましい。
【符号の説明】
【0038】
10 二次電池
11 電池ケース
12 封口体
13 (正極)外部端子
13a 筒部
14 負極外部端子
15 安全弁
16 注入部
20 ガスケット
21、22 絶縁板
30 導電体
31 段差部
32 平面部
33 側壁部
40 電流遮断機構
50 変形板
51 突出部
52 周縁部端面
53 突起
54 撓み
60 集電体
61 接合部
62 破断予定部
70 溶接痕
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8