(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ダイアフラム内輪とダイアフラム外輪との間に複数の静翼が配置されており、前記ダイアフラム外輪の内部に外輪中空部が形成されていると共に、前記外輪中空部に連通する外輪スリットが前記ダイアフラム外輪の内周側に設けられたノズルダイアフラムであって、
前記ダイアフラム外輪は、
外輪本体と、
前記外輪本体の内周側に設置された外輪サイドウォールと
を含み、
前記外輪スリットとして、前記外輪本体と前記外輪サイドウォールとの間の境界部分に間隙が設けられており、
前記外輪本体に前記外輪サイドウォールを固定する外輪サイドウォール固定部が、前記静翼によって覆われた状態である、
ノズルダイアフラム。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンは、作動媒体である蒸気のエネルギーを機械的仕事に変換する回転機械である。蒸気タービンは、たとえば、発電プラントにおいて利用されている。
【0003】
蒸気タービンは、低圧部のうち最終段に位置する翼列の近傍では、作動流体である蒸気の温度が低下し、蒸気の一部が凝縮する。そして、その凝縮成分は、静止体であるノズルダイアフラムにおいて、静翼(ノズル板)やダイアフラム外輪の面に付着し、その付着した面に水膜を形成する。その後、その水膜が静翼やダイアフラム外輪の面から水滴になって離れて、ノズルダイアフラムの下流に位置する動翼に水滴が衝突する。このため、動翼の一部にエロージョン(侵食)が発生する場合がある。その結果、タービンの性能が低下すると共に、動翼が損傷する可能性が高まる。エロージョンの発生を抑制するために、さまざまな技術が提案されている。
【0004】
従来において、エロージョンの発生を抑制するために提案された技術の一例に関して、
図12と
図13とを用いて説明する。ここでは、蒸気タービンにおいて最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10Jのうち、外周側の部分を示している。
図12では、鉛直面(yz面)に沿った断面を模式的に示している。
図13では、ノズルダイアフラム10Jを構成するダイアフラム外輪23に関して、径方向を視線として観察したときの様子を模式的に示しており、横軸は、回転軸AXに沿った軸方向であり、縦軸は、周方向Rである(破線は、静翼25の輪郭)。
【0005】
図12および
図13に示すように、ダイアフラム外輪23には、外輪中空部23Tおよび外輪スリット23Sが設けられている。ダイアフラム外輪23において、外輪スリット23Sは、一対の静翼25の間に設けられている。ダイアフラム外輪23では、外輪スリット23Sで水分(湿分)が回収された後に、外輪中空部23Tを介して、その回収した水分が外部(復水器など)へ排出される。
【0006】
この他に、静翼25には、静翼中空部25Tおよび静翼スリット25Sが設けられている。静翼25においては、静翼スリット25Sで回収された水分は、静翼中空部25Tを通過した後に、たとえば、ダイアフラム外輪23に形成された連通孔23Kを介して、外輪中空部23Tに導かれ、外部へ排出される。
【0007】
これにより、ノズルダイアフラム10Jよりも下流側DSに位置する動翼21に水滴が衝突することが抑制されるので、動翼21にエロージョンが発生することを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る蒸気タービンについて、全体構成を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る蒸気タービンにおいて、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10の要部を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る蒸気タービンにおいて、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10の要部を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る蒸気タービンにおいて、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10の要部を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る蒸気タービンにおいて、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10の要部を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る蒸気タービンにおいて、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10の要部を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の変形例に係る蒸気タービンにおいて、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10の要部を示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の変形例に係る蒸気タービンにおいて、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10の要部を示す図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る蒸気タービンにおいて、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10の要部を示す図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る蒸気タービンにおいて、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10の要部を示す図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る蒸気タービンにおいて、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10の要部を示す図である。
【
図12】
図12は、関連技術に係る蒸気タービンにおいて、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラムの一部を示す図である。
【
図13】
図13は、関連技術に係る蒸気タービンにおいて、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラムの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
まず、本実施形態に係る蒸気タービンの全体構成に関して
図1を用いて説明する。
図1では、鉛直面(yz面)に沿った断面を示している。
【0016】
図1に示すように、蒸気タービン1は、回転機械であって、蒸気が作動流体として供給されることによって、タービンロータ22が回転するように構成されている。ここでは、蒸気タービン1は、軸流タービンであって、タービンロータ22の回転軸AXに沿った水平方向yを流れ方向として蒸気が流れる。蒸気タービン1は、多段式であって、動翼21と静翼25とで構成されたタービン段落が回転軸AXに沿った軸方向に複数段並んでおり、蒸気が複数のタービン段落のそれぞれにおいて仕事を行う。これにより、蒸気タービン1においてタービンロータ22が回転する。以下より、蒸気タービン1を構成する各部の詳細について説明する。
【0017】
ケーシング20は、内部にタービンロータ22を収容している。タービンロータ22は、例えば、回転軸AXが水平方向yに沿うように軸受(図示省略)によって回転可能に支持されており、回転軸AXを中心にして回転する。タービンロータ22は、一端が発電機(図示省略)に連結されており、タービンロータ22の回転によって、発電機が駆動して発電が行われる。タービンロータ22においては、ロータディスク221が外周面に複数設けられている。ロータディスク221の外周面には、動翼21が設置されている。動翼21は、タービンロータ22の外周面を囲うように、複数がタービンロータ22の周方向R(回転方向)において間を隔てて配置されており、動翼翼列を構成している。動翼翼列は、複数段であって、複数段の動翼翼列のそれぞれは、タービンロータ22の回転軸AXに沿って並んでいる。複数段の動翼翼列では、蒸気の流れ方向において上流側USから下流側DSに向かうに伴って、動翼21の翼長(径方向の長さ)が長くなるように構成されている。
【0018】
ケーシング20の内部には、ノズルダイアフラム10が設置されている。ノズルダイアフラム10は、ダイアフラム外輪23とダイアフラム内輪24と静翼25とによって構成されている。ノズルダイアフラム10のうち、ダイアフラム外輪23とダイアフラム内輪24との間は、蒸気が作動流体として流れる蒸気流路であって、蒸気の流れ方向において上流側USから下流側DSに向かうに伴って蒸気流路が広くなるように構成されている。
【0019】
ノズルダイアフラム10において、ダイアフラム外輪23は、ケーシング20の内周面に設置されている。ダイアフラム外輪23は、上流側USから下流側DSに向かうに伴って内径が大きくなるように形成されている。本実施形態では、ダイアフラム外輪23は、周方向Rにおいて外輪上半部23aと外輪下半部23bとに分割された2つの外輪部品を組み合わせることで構成されている。ダイアフラム外輪23の詳細な構成については後述する。
【0020】
ダイアフラム内輪24は、ダイアフラム外輪23の内側にダイアフラム外輪23から間を隔てて設置されている。本実施形態において、ダイアフラム内輪24は、周方向Rにおいて内輪上半部24aと内輪下半部24bとに分割された2つの内輪部品を組み合わせることで構成されている。
【0021】
静翼25は、ダイアフラム外輪23とダイアフラム内輪24との間に複数が設置されている。ここでは、複数の静翼25は、タービンロータ22の外周面を囲うように周方向Rに間を隔てて配置されており、静翼翼列を構成している。静翼翼列は、動翼翼列と同様に、複数段であって、複数段の静翼翼列がタービンロータ22の回転軸AXに沿って並ぶように設けられている。複数段の静翼翼列において、静翼25は、蒸気の流れ方向において上流側USから下流側DSに向かうに伴って、翼長が長くなるように構成されている。
【0022】
蒸気タービン1においては、蒸気入口管28がケーシング20の入口を貫通しており、その蒸気入口管28を介して、蒸気がケーシング20の内部に作動流体として導入される。そして、その作動流体として導入された蒸気は、ケーシング20の内部において、複数のタービン段落を順次流れる。つまり、蒸気は、初段のタービン段落から最終段のタービン段落を順次流れ、それぞれのタービン段落において膨張して仕事を行う。これにより、ケーシング20の内部において、タービンロータ22が回転軸AXを中心にして回転する。そして、蒸気は、最終段のタービン段落を流れた後に、ケーシング20の出口から排気流路(図示省略)を介して排気される。排気流路は、例えば、復水器(図示省略)に連通しており、排気流路に排気された蒸気は、復水器において凝縮される。
【0023】
上記のように、蒸気タービン1において、蒸気は、ケーシング20の内部で膨張仕事を行って圧力が低下するため、たとえば、最終のタービン段落では、湿り蒸気として流れる。
【0024】
以下より、本実施形態において、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10の詳細について、
図2から
図6を用いて説明する。各図では、ノズルダイアフラム10を構成するダイアフラム外輪23の外輪上半部23aに関して示している。
【0025】
図2は、
図4に示すR1−R1部分の断面図であって、
図3は、
図4に示すR2−R2部分の断面図である(横方向は、回転軸AXに沿った軸方向であり、縦方向は、径方向である)。
図4は、回転軸AXに沿った軸方向を視線として観察したときの様子を示す正面図である。
図5は、径方向を視線として観察したときの様子を示した図である(横軸が軸方向であり、縦方向が周方向Rである)。
図6は、斜視図である。
【0026】
図2から
図6に示すように、ダイアフラム外輪23を構成する外輪上半部23aは、複数の静翼25が内周側に配置されている。外輪上半部23aは、外輪中空部23Tが内部に形成されていると共に、外輪中空部23Tに連通する外輪スリット23Sが内周側に設けられている。外輪上半部23aは、上流側USから下流側DSに向かうに伴って、内周面の径が大きくなる部分を備える。ここでは、外輪上半部23aにおいて内周面の径が大きくなる部分は、曲面状の部分を含むように構成されている(
図2,
図3参照)。
【0027】
本実施形態では、外輪上半部23aは、外輪本体部231aと外輪サイドウォール部232aとを組み合わせることによって構成されており、外輪本体部231aの内周面に外輪サイドウォール部232aが設置されている(
図2,
図3参照)。外輪本体部231aは、周方向に半リング状に延在したトレンチ(溝)が内周面に形成されている。外輪サイドウォール部232aは、周方向に沿って延在した半リング形状の板状体であって、外輪本体部231aの内周面に形成されたトレンチを覆うように設置される(
図5参照)。
【0028】
外輪上半部23aにおいて、外輪中空部23Tは、外輪本体部231aの内周面に形成されたトレンチを、外輪サイドウォール部232aで覆うことによって区画された内部空間である。外輪中空部23Tは、外輪本体部231aと外輪サイドウォール部232aとの間に介在している(
図2,
図3参照)。
【0029】
そして、外輪上半部23aは、外輪本体部231aと外輪サイドウォール部232aとの間の境界部分に間隙が外輪スリット23Sとして設けられている(
図3参照)。ここでは、外輪本体部231aに形成されたトレンチのうち内径側に位置する半円弧状の面の径よりも、外輪サイドウォール部232aにおいて内径側に位置する半円弧状の面の径の方が大きい部分を含む。このため、外輪本体部231aに形成されたトレンチのうち内径側に位置する半円弧状の面と、外輪サイドウォール部232aにおいて内径側に位置する半円弧状の面との間には、幅が数mmである間隙が介在しており、この間隙が外輪スリット23Sとして機能する。外輪スリット23Sとして機能する間隙は、一対の静翼25の間において、周方向Rに沿って円弧状に延在しており、複数が周方向Rに設けられている。(
図5参照)。外輪上半部23aでは、水分(ドレン)が、外輪スリット23Sで回収された後に、外輪中空部23Tを介して外部(復水器など)へ排出される。
【0030】
このように、本実施形態では、外輪スリット23Sとして、外輪本体部231aと外輪サイドウォール部232aとの間の境界部分に間隙を設けている。このため、本実施形態では、ノズルダイアフラム10を構成する部品に複雑な加工で外輪スリットを作製する必要がないので、製造コストの低減を容易に実現することができる。また、上述したように、ダイアフラム外輪23の内周面を曲面形状に加工する場合には、外輪スリットの加工が容易でないが、外輪スリットの加工が不要であるため、ダイアフラム外輪23の内周面を曲面形状に加工することを妨げない。その結果、タービンの性能を効果的に向上させることができる。
【0031】
外輪上半部23aにおいて、外輪サイドウォール部232aは、外輪本体部231aに固定されている。本実施形態では、外輪サイドウォール部232aの外径側は、周方向Rの全体に渡って外輪本体部231aに溶接されている。これに対して、外輪サイドウォール部232aの内径側は、周方向Rにおいて複数の外輪サイドウォール固定部233aが間を隔てて設けられており、この複数の外輪サイドウォール固定部233aを介して、外輪本体部231aに固定されている。
【0032】
外輪サイドウォール固定部233aは、たとえば、金属材料で形成されたキーブロックを備えており、外輪本体部231aと外輪サイドウォール部232aとの間がキーブロックを介して溶接されている。そして、ノズルダイアフラム10において、外輪サイドウォール固定部233aは、露出された状態でなく、静翼25によって覆われた状態になっている(
図5参照)。
【0033】
このように、本実施形態では、外輪サイドウォール固定部233aは、静翼25で隠された状態になるので、静翼25の間のいずれにおいても、外輪スリット23Sを設けることができる。
【0034】
なお、外輪上半部23aには、上記の他に、連通孔23Kが形成されている。連通孔23Kは、外輪サイドウォール部232aにおいて複数が周方向に間を隔てて形成されている。複数の連通孔23Kは、静翼25が設置される部分に形成されている。連通孔23Kは、外輪上半部23aの外輪中空部23Tと静翼25の静翼中空部25Tとの間を連通させている。連通孔23Kは、静翼25の静翼スリット25Sで回収されて静翼中空部25Tを通過した水分を、外輪上半部23aの外輪中空部23Tへ導き、外部へ排出させる。
【0035】
ダイアフラム外輪23の外輪下半部23bの詳細については図示を省略しているが、外輪上半部23aと同様に構成されている。つまり、外輪上半部23aの外輪本体部231a、および、外輪下半部23bの外輪本体部(図示省略)は、ダイアフラム外輪23を構成する外輪本体を周方向で分割した2つの外輪本体部品であって、両者が組立てられる。また、外輪上半部23aの外輪サイドウォール部232a、および、外輪下半部23bの外輪サイドウォール部(図示省略)は、ダイアフラム外輪23を構成する外輪サイドウォールを周方向で分割した2つの外輪サイドウォール部品であって、両者が組立てられる。外輪上半部23aと外輪下半部23bとのそれぞれは、外輪本体部品と外輪サイドウォール部品との組合体であって、ダイアフラム外輪23では、外輪上半部23aと外輪下半部23bとのそれぞれに対して、静翼25が複数設置されている。
【0036】
このように、本実施形態では、複数の静翼25が設置された複数のセグメントを組み立てる従来の製造方法とは異なる製造方法によってノズルダイアフラム10を製作する。このため、本実施形態では、ダイアフラム外輪23の内周面を、多角形状でなく、設計通りに真円形状に形成することが容易である。
【0037】
以下より、上記のノズルダイアフラム10を製造する方法について説明する。
【0038】
ノズルダイアフラム10を製作する際には、最初に、外輪本体部231aの内周側に外輪サイドウォール部232aを設置することで、外輪上半部23aを形成する。ここでは、上記したように、外輪本体部231aと外輪サイドウォール部232aとの間の境界部分に外輪スリット23Sとして間隙が介在するように設置を行う。
【0039】
具体的には、外輪サイドウォール固定部233aに、たとえば、キーブロックを設置することによって、外輪本体部231aに外輪サイドウォール部232aを位置決めして設置する。その後、外輪本体部231aと外輪サイドウォール部232aとの間を溶接することで、両者を固定する。
【0040】
そして、外輪上半部23aと内輪上半部24aとを位置決めした後に、外輪上半部23aと内輪上半部24aとの間に複数の静翼25を設置することによって、ノズルダイアフラム10の上半部分を形成する。
【0041】
ノズルダイアフラム10の上半部分の場合と同様に、ノズルダイアフラム10の下半部分についても形成する。そして、ノズルダイアフラム10の上半部分とノズルダイアフラム10の下半部分とを組み合わせることによって、ノズルダイアフラム10を完成させる。なお、ノズルダイアフラム10の組立ては、蒸気タービンの組立てを行う際に実行される。
【0042】
上記のように、本実施形態では、外輪サイドウォール部232aが設置された外輪本体部231aに複数の静翼25を配置する。このため、静翼25の取付角度を容易に調整して、静翼25の取付作業を行うことができる。
【0043】
本実施形態において、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10の変形例について、
図7および
図8を用いて説明する。
図7および
図8では、
図4と同様に、回転軸AXに沿った軸方向を視線として観察したときの様子を示している。
【0044】
図7および
図8に示すように、外輪サイドウォール固定部233aは、たとえば、キーブロックを備えていなくてもよい。
図7に示すように、外輪本体部231aは、径方向の外側に突き出た凸部231Cがトレンチの内径側に形成されている。外輪サイドウォール部232aは、径方向の外側に凹んだ凹部232Cが内径側に形成されている。外輪サイドウォール固定部233aでは、外輪本体部231aの凸部231Cが外輪サイドウォール部232aの凹部232Cに嵌め込まれた状態で溶接されている。
【0045】
この他に、
図8に示すように、外輪本体部231aに凹部231Cを形成し、外輪サイドウォール部232aに凸部232Cを形成してもよい。図示を省略しているが、外輪本体部231aに凸部と凹部との両者を形成し、外輪サイドウォール部232aに凸部と凹部との両者を形成してもよい。つまり、外輪本体部231aと外輪サイドウォール部232aとのうち、一方に凹部を形成し、他方に凹部に嵌合する凸部を形成してもよい。
【0046】
また、上記では、静翼中空部25Tおよび静翼スリット25Sが形成された中空ノズル板を静翼25として用いる場合について説明したが、これに限らない。静翼25として、中実ノズル板を用いてもよい。
【0047】
<第2実施形態>
本実施形態において、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10の詳細について、
図9および
図10を用いて説明する。
図9では、
図2と同様な部分の面を示しており、
図10では、
図3と同様な部分の面を示している。
【0048】
図9および
図10に示すように、本実施形態においては、外輪本体部231aに外輪サイドウォール部232aを固定させた状態が、上述した第1実施形態の場合と異なっている。
【0049】
具体的には、本実施形態では、外輪本体部231aは、径方向の内側に突き出た凸部231Xがトレンチの外径側に形成されている。外輪サイドウォール部232aは、径方向の内側に凹んだ凹部232Xが外径側に形成されている。そして、外輪本体部231aの凸部231Xが外輪サイドウォール部232aの凹部232Xに嵌め込まれた状態で、外輪サイドウォール部232aが外輪本体部231aに固定されている。つまり、いわゆるインロー構造で固定されている(
図9,
図10参照)。このため、組立て作業の際に、位置合わせを容易に行うことができる。
【0050】
外輪サイドウォール部232aの内径側は、たとえば、ボルトやピンなどの締結部材を用いて、外輪本体部231aに固定されている(
図9参照)。
【0051】
これにより、本実施形態では、外輪本体部231aと外輪サイドウォール部232aとの間の全てに関して、溶接で接合せずに、固定することができる。
【0052】
本実施形態においても、ボルトやピンなどの締結部材を覆うように、静翼25が設置される。このため、仮に、ボルトやピンなどの締結部材が外れた場合であっても、蒸気通路に落ちることが無い。また、静翼25の設置位置を調整しながら、静翼25の溶接を行うことができる。
【0053】
<第3実施形態>
本実施形態において、最終段のタービン段落を構成するノズルダイアフラム10の詳細について、
図11を用いて説明する。
図11では、
図4と同様な部分の面を示している(連通孔23Kは省略)。
【0054】
図11に示すように、本実施形態のノズルダイアフラム10は、外輪本体部231aと外輪サイドウォール部232aとの間の境界部分に形成された間隙23Gが外輪スリット23Sとして機能する他に、外輪サイドウォール部232aを貫通する貫通口232Kが外輪スリット23Sとして更に設けられている。
【0055】
貫通口232Kは、外輪サイドウォール部232aにおいて周方向Rに複数が間を隔てて配列されている。複数の貫通口232Kのそれぞれは、周方向Rに沿った円弧形状である。複数の貫通口232Kは、静翼25が設置される面以外の面に形成されている。
【0056】
外輪スリット23Sとして機能する貫通口232Kは、上記した形状以外の形状で形成してもよく、上記の位置以外の位置に形成してもよい。たとえば、蒸気流路を流れる蒸気の挙動を考慮して、貫通口232Kの形成を行うことができる。その結果、本実施形態では、貫通口232Kが外輪スリット23Sとして効果的に機能するため、水分(湿分)を高い効率で回収することができる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。