(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記構造化ルール定義データベースは、ベクタ形式図面上における回路要素の特徴である形状、並びに前記回路要素の属性情報及び接続情報を関連づけて登録した回路要素・属性データベースを備え、
前記構造化機能部は、前記ベクタ形式図面から特定の回路要素を表す形状を抽出し、この抽出した回路要素の形状が前記回路要素・属性データベースに登録された回路要素の形状と一致したときに、抽出した形状の前記回路要素を前記回路要素・属性データベースに登録された回路要素に置き換えて構造化するよう構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のラスタ形式図面の構造化システム。
前記ベクタ変換機能部にてベクタ変換されたベクタ形式図面に誤変換があるか否かを確認し、誤変換があった場合には修正する誤変換チェック・修正機能部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のラスタ形式図面の構造化システム。
前記誤変換チェック・修正機能部が修正した誤変換に関し、当該誤変換と、ベクタ変換機能部での当該誤変換の際の変換設定値と、修正された変換結果と、を蓄積する誤変換データ蓄積部を有し、
前記誤変換データ蓄積部に蓄積された情報をもとに、前記変換設定値を調整する最適変換学習部を有することを特徴とする請求項4に記載のラスタ形式図面の構造化システム。
前記ベクタ変換機能部にてベクタ変換されたベクタ形式図面と、前記文字・英数字認識機能部にて認識された文字及び英数字とのそれぞれに誤変換、誤認識があるか否かを確認し、誤変換、誤認識があった場合には修正する誤変換・誤認識チェック・修正機能部を有することを特徴とする請求項6に記載のラスタ形式図面の構造化システム。
前記誤変換・誤認識チェック・修正機能部が修正した前記誤変換または前記誤認識に関し、当該誤変換または誤認識と、ベクタ変換機能部での当該誤変換の際の変換設定値または文字・英数字認識機能部での当該誤認識の際の認識設定値と、修正された変換結果または認識結果と、を蓄積する誤変換・誤認識データ蓄積部を有し、
前記誤変換・誤認識データ蓄積部に蓄積された情報をもとに、前記変換設定値または前記認識設定値を調整する最適変換・認識学習部を有することを特徴とする請求項7に記載のラスタ形式図面の構造化システム。
前記ラスタ形式図面中のノイズを除去し修正するノイズ除去・修正機能部を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のラスタ形式図面の構造化システム。
前記構造化機能部が構造化した構造化結果に対し、構造化ルール定義データベースに基づいた構造化が行なわれていない箇所を不適切構造化として認識し、認識した不適切構造化にかかる前記箇所を修正する構造化チェック・修正機能部を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のラスタ形式図面の構造化システム。
前記構造化チェック・修正機能部が修正した前記箇所にかかる前記不適切構造化に関し、修正が必要となった前記不適切構造化と、当該不適切構造化を出力した構造化機能部での構造化設定値と、を蓄積する構造化データ蓄積部を有し、
更に、前記構造化データ蓄積部に蓄積された情報をもとに、前記構造化設定値を再設定する最適構造化学習部を有することを特徴とする請求項10に記載のラスタ形式図面の構造化システム。
【背景技術】
【0002】
工場や発電所等のプラントには、配電システムや運転機器、監視機器などのプラントの系統、システムまたは回路等に関する膨大な数の図面がある。これらの図面の多くは、紙、あるいは紙をスキャナで読み取って電子ファイルとして管理されている。これらの紙またはスキャナで読み取られた電子ファイルは、本明細書では構造化されていないデータと呼ぶ。構造化されていないデータは、図面中に描かれた記号や配線、部品等のつながりや関係性が、最終的に生成されるデータに比べて不明瞭なデータを指す。
【0003】
元々これらのプラントに関する図面は、コンピュータ上でCADソフト等を用いて作図されている場合が多いが、紙図面のみで納品されている場合や、CADの作図データが消失している場合がある。このようにCADの作図データが存在しない場合、配電システムや機器の更新に伴い図面を改訂するためには、紙図面等を見ながらCADソフトで再度作図したり、あるいはスキャナで読み取って作成された電子ファイル(例えばTIFやPDF)がラスタ形式(すなわち各ピクセルを構成するドットの集合体)の図面であるため、専用のラスタ画像編集ソフトを用いて図面の一部を編集したりする手法がある。
【0004】
前者の、人手で一からCADデータを作り直す手法の場合、膨大な量のプラント図面に対応するためには多大なコストと時間を要する。なお、CADソフトを用いる際には、機器や配線の接続情報及び属性情報を付与しながら作図することが多いため、CADソフトの作図データは構造化されたデータであることが多い。
【0005】
後者の、専用のラスタ画像編集ソフトを用いて画像を編集する手法では、図面上で変更したいところのみを編集すればよい。ただし、この手法の場合、編集前後のファイルは、図面中に描写されている機器や配線等に属性情報及び接続情報を有しているわけではない。手動もしくは半自動で1つ1つ属性情報等を付与していくことは可能であるが、この場合にはCADを作成するのと同様に時間とコストを要する。更に、この手法の場合、図面上に描かれた回路や系統が属性情報及び接続情報を有しているわけではないため、この手法を用いて生成した電子ファイルを、回路や系統を探索するようなシミュレーションに適用することはできない。
【0006】
電子ファイルが機器や配線の属性情報及び接続情報を有していると、例えばプラントでのアイソレーション作業を計画するシステムの構築が可能になる。アイソレーション作業は、工事や保守、点検、修理を行なう場合、作業員の安全を確保し且つ他の機器や他系統への影響を最小限に抑えるために、対象となる配電システムや機器を、プラントの系統やシステムから電気的に隔離し停止(停電)させる作業のことをいう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るラスタ形式図面の構造化システムを示すブロック図である。また、
図2は、
図1の構造化機能部が実行する各種機能をデータベースと共に示すブロック図である。
図1に示すラスタ形式図面の構造化システム10は、例えばプラントに関するラスタ形式図面1を入力し、このラスタ形式図面1をベクタ形式図面に変換してから構造化して構造化図面2を出力するものである。
【0015】
ここで、プラントに関する図面としては、プラントの建屋、配置図、P&ID(配管計装図)、ECWD(展開接続図)、IBD(インターロックブロック図)、単結線図、ソフトロジック図などがある。また、ラスタ形式図面とは、図面に描かれた配線や回路要素、表、文字等が全てドット(ピクセル)の集合体である図面であり、紙図面、またはこの紙図面をスキャナで読み取ったTIFやPDFなどの電子ファイル図面である。従って、このラスタ形式図面は、図面上の配線や回路要素等に属性情報及び接続情報が付与されていないので、構造化されていない図面である。
【0016】
構造化図面(つまり構造化された図面)2とは、図面上の少なくとも、文字及び英数字以外の配線や回路要素、表などの構造要素がベクタ形式の画像であり、この構造要素に文字及び英数字が文字情報として関連づけて定義され、更に構造要素に属性情報及び接続情報が付与された図面である。ここで、接続情報は、配線情報や配管情報などである。なお、ベクタ形式図面または画像とは、線分の始点及び終点の座標と、線分を表す関数などによって構成された図面または画像である。
【0017】
例えば、
図3に示すベクタ形式図面において、回路要素の属性情報としては、符号3がa接点のリレーであり、このリレーが端子4及び5を有する等である。この回路要素(リレー)の接続情報としては、端子4が配線6に、端子5が配線7にそれぞれ接続されている等である。また、
図3で符号8も配線を示し、符号9が盤枠を示す。
【0018】
ところで、
図1に示す構造化システム10は、ノイズ除去・修正機能部11、ベクタ変換機能部12、文字・英数字認識機能部13、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14、構造化ルール定義DB(DBはデータベースの略称である。以下同様)15、回路要素・属性DB16、データ構造定義DB17、構造化機能部18及び構造化チェック・修正機能部19を有して構成される。更に、構造化システム10は、誤変換・誤認識データ蓄積部20、最適変換・認識学習部21、構造化データ蓄積部22及び最適構造化学習部23を有する。この構造化システム10は、パーソナルコンピュータやサーバなどに実装されてもよく、あるいはクラウドサーバに保存されてもよい。
【0019】
ノイズ除去・修正機能部11は、ラスタ形式図面1中の斑点や汚れ、歪み、欠けなどのノイズを除去し修正する。このノイズ除去・修正機能部11によるノイズの除去及び修正は、予め設定された設定値に基づいて例えば画像処理により実施される。
【0020】
ベクタ変換機能部12は、ラスタ形式図面1をベクタ形式図面にベクタ変換する。このベクタ変換機能部12は、ラスタ形式図面1中の文字及び英数字も含めて、ラスタ形式図面1をベクタ形式図面にベクタ変換し、このベクタ形式図面中の文字及び英数字を文字・英数字認識機能部13が認識してもよい。あるいは、ベクタ変換機能部12は、ラスタ形式図面1をベクタ変換する前に、文字及び英数字について事前に設定された条件に適合するラスタ形式図面1中の画像を予め抽出し、またはベクタ変換対象外に指定し、ラスタ形式図面1中の文字及び英数字以外をベクタ変換してもよい。上記設定条件としては、例えばラスタ形式図面1中の10ピクセル以内の画像は文字及び英数字とみなす等である。また、ラスタ形式図面1中の文字及び英数字以外をベクタ変換したものをベクタ形式画像と称する。
【0021】
文字・英数字認識機能部13は、ラスタ形式図面1またはベクタ形式図面から文字及び英数字を認識するものである。即ち、文字・英数字認識機能部13は、ラスタ形式図面1中の文字及び英数字を認識するほか、ベクタ変換機能部12によりベクタ変換されたベクタ形式図面中の文字及び英数字を認識する。なお、各実施形態において、文字・英数字認識機能部13を設けない形態とすることも可能である。
【0022】
誤変換・誤認識チェック・修正機能部14は、ベクタ変換機能部12にてベクタ変換されたベクタ形式図面に誤変換があるか否かを確認し、誤変換があった場合にその誤変換箇所を修正する。誤変換としては、例えばベクタ形式図面中の配線が未接続であったり、ベクタ形式図面中の回路要素の円形状が多角形状になっているなどの事象である。更に、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14は、文字・英数字認識機能部13にて認識された文字及び英数字に誤認識があるか否かを確認し、誤認識があった場合には修正する。なお、各実施形態において、文字・英数字認識機能部13が設けられない場合、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14は、文字・英数字認識機能部13にて認識された文字及び英数字の誤認識があるか否かを確認する機能は有さず、ベクタ形式図面に誤変換があるか否かを確認する機能のみを有する誤変換チェック・修正機能部として構成される。
【0023】
構造化ルール定義DB15は、ベクタ形式図面中の構造要素(例えば配線、図枠、盤枠、回路要素、表構造、操作スイッチ展開図、渡り線など)を構造化する際のルールを規定したデータベースであり、その構造要素の特徴が規定され登録されている。例えば、ベクタ形式図面において、配線の特徴は所定長さ以上の実線であり(
図3の符号6、7、8参照)、盤枠の特徴は2点鎖線であり(
図3の符号9参照)、回路要素の例えばリレーの特徴は、リレーを表す特定の文字(
図3の「49X」、「30X」、「52X」参照)と、その文字近傍の形状(
図3の円及び所定長さ未満の実線参照)である。
【0024】
回路要素・属性DB16は、構造化ルール定義DB15の一部であり、特に回路要素について規定したデータベースである。つまり、この回路要素・属性DB16には、ベクタ形式図面上における回路要素の特徴(文字及び形状)と、その回路要素の属性情報及び接続情報とが関連づけて登録されている。なお、回路要素・属性DB16を構造化ルール定義DB15とは別に設ける構成としても構わない。
【0025】
データ構造定義DB17は、構造化された構造要素のデータを分類して記録する際に基準となるデータ構造の階層(レイヤー)を規定したデータベースである。例えば構造化された配線のデータ、回路要素のデータ(その回路要素の属性情報及び接続情報を含む)は、データ構造定義DB17のデータ構造の階層に基づいて、図示しない記録媒体に階層構造で分類して記録される。
【0026】
構造化機能部18は、構造化ルール定義DB15(回路要素・属性DB16を含む)を参照して、ベクタ変換機能部12にてベクタ変換されたベクタ形式図面中の配線、回路要素などの構造要素に、文字・英数字認識機能部13にて認識された文字及び英数字を関連づけ、更に属性情報及び接続情報を付与して構造要素を構造化する。更に、この構造化機能部18は、構造化された構造要素のデータをデータ構造定義DB17のデータ構造の階層に基づいて、図示しない記録媒体に分類して記録する。この構造化機能部18は、
図2に示すように、配線抽出機能、図枠・盤枠抽出機能、回路要素抽出機能、表構造抽出機能、操作スイッチ展開図抽出機能、渡り線抽出機能、及び図面名称・系統番号・分冊番号抽出機能を有する。
【0027】
構造化機能部18の配線抽出機能は次の通りである。まず、構造化機能部18は、ベクタ形式図面において、所定長さ以上の実線を探索して抽出する。次に、構造化機能部18は、この抽出した実線が構造化ルール定義DB15に登録された配線の特徴(実線)と一致したときに、この抽出した実線を構造化ルール定義DB15に登録した配線であると定義して構造化する。その後、構造化機能部18は、その構造化した配線のデータを、データ構造定義DB17で定義されたデータ構造の階層に基づいて、記録媒体に分類して記録し、その配線に識別番号(線番号)を付する。
【0028】
構造化機能部18の図枠・盤枠抽出機能は次の通りである。まず、構造化機能部18は、ベクタ形式図面において2点鎖線を探索して抽出する。次に、構造化機能部18は、この抽出した2点鎖線が構造化ルール定義DB15に登録された盤枠の特徴(2点鎖線)と一致したときに、この抽出した2点鎖線を構造化ルール定義DB15に登録した盤枠であると定義して構造化する。その後、構造化機能部18は、その構造化した盤枠のデータを、データ構造定義DB17で定義されたデータ構造の階層に基づいて、記録媒体に分類して記録し、必要な場合にその盤枠に識別番号(線番号)を付する。構造化機能部18は、図枠についても盤枠と同様に構造化して、そのデータを記録し、必要な場合に識別番号を付する。
【0029】
構造化機能部18の回路要素抽出機能は次の通りである。まず、構造化機能部18は、ベクタ形式図面において特定の回路要素を表す文字及び英数字の近傍の形状を探索し抽出する。次に、構造化機能部18は、抽出した回路要素の形状が、回路要素・属性DB16に登録された回路要素の形状と一致したときに、この抽出した形状の回路要素を、回路要素・属性DB16に登録された回路要素と置き換えて構造化する。その後、構造化機能部18は、この構造化した回路要素の属性情報及び接続情報を、データ構造定義DB17で定義されたデータ構造の階層に基づいて記録媒体に分類して記録し、その回路要素に識別番号を付する。
【0030】
構造化機能部18の表構造抽出機能、操作スイッチ展開図抽出機能、渡り線抽出機能、及び図面名称・系統番号・分冊番号抽出機能についても、前述の配線抽出機能と同様に実施される。つまり、構造化機能部18は、ベクタ形式図面上において抽出した表構造、渡り線等の特徴が構造化ルール定義DB15に登録された表構造、渡り線等の特徴と一致したときに、ベクタ形式図面上の表構造、渡り線等を、構造化ルール定義DB15に登録された表構造、渡り線等であると定義して構造化する。そして、構造化機能部18は、この構造化した表構造、渡り線等のデータをデータ構造定義DB17のデータ構造の階層を基準に分類して記録し、必要な場合に表構造、渡り線に識別番号を付する。
【0031】
図1に示す構造化チェック・修正機能部19は、構造化機能部18が構造化した構造化結果(即ち構造化図面2)に対して、構造化ルール定義DB15に基づいた構造化が行われていない箇所を不適切構造化(即ち不適切な構造化結果)と認識し、この認識した不適切構造化に係る箇所(即ち不適切な構造化結果)を修正する。ここで、不適切構造化に係る箇所(即ち不適切な構造化結果)は、例えば配線が未結線である、属性情報が必要な構造要素に属性情報が付与されていない、配線や回路要素等のように識別番号が必要な構造要素に識別番号が付与されていない等である。この構造化チェック・修正機能部19において修正が不要であると判定されたものは、構造化システム10から構造化図面2として出力される。
【0032】
誤変換・誤認識データ蓄積部20には、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14がベクタ変換機能部12によるベクタ変換について誤変換と判定して修正した誤変換に関して、ベクタ変換前のラスタ形式図面と、ベクタ変換機能部12により誤変換された結果(即ち誤変換)と、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14により修正された変換結果と、ベクタ変換機能部12が誤変換した際の変換設定値とが入力されて蓄積される。
【0033】
更に、この誤変換・誤認識データ蓄積部20には、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14が文字・英数字認識機能部13による文字及び英数字の認識について誤認識と判定して修正した誤認識に関して、認識前のラスタ形式図面と、文字・英数字認識機能部13により誤認識された結果(即ち誤認識)と、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14により修正された認識結果と、文字・英数字認識機能部13が誤認識した際の認識設定値とが入力されて蓄積される。
【0034】
最適変換・認識学習部21は、誤変換・誤認識データ蓄積部20に蓄積されたベクタ変換機能部12の誤変換に関する情報(ベクタ変換前のラスタ形式図面と、ベクタ変換機能部12により誤変換された結果と、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14により修正された変換結果と、ベクタ変換機能部12が誤変換した際の変換設定値)を入力する。そして、最適変換・認識学習部21は、誤変換・誤認識データ蓄積部20から入力されたベクタ変換機能部12の誤変換に関する情報をもとに、ベクタ変換機能部12での誤変換の発生率を低減させる最適な変換設定値を演算して学習し、誤変換設定値を調整する。誤変換のデータが多数ある場合には、最適変換・認識学習部21は、多層のニューラルネットワークを用いた深層学習を使用してもよい。最適変換・認識学習部21は、更に、演算した最適な変換設定値をベクタ変換機能部12にフィードバックして、このベクタ変換機能部12におけるベクタ変換の変換設定値を更新させる。
【0035】
また、最適変換・認識学習部21は、誤変換・誤認識データ蓄積部20に蓄積された文字・英数字認識機能部13の誤認識に関する情報(誤認識前のラスタ形式図面と、文字・英数字認識機能部13により誤認識された結果と、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14により修正された認識結果と、文字・英数字認識機能部13が誤認識した際の認識設定値)を入力する。そして、最適変換・認識学習部21は、誤変換・誤認識データ蓄積部20から入力された文字・英数字認識機能部13の誤認識に関する情報をもとに、文字・英数字認識機能部13での誤認識の発生率を低減させる最適な認識設定値を演算して学習し、誤認識設定値を調整する。誤認識のデータが多数ある場合には、最適変換・認識学習部21は、多層のニューラルネットワークを用いた深層学習を使用してもよい。最適変換・認識学習部21は、更に、演算した最適な認識設定値を文字・英数字認識機能部13にフィードバックして、この文字・英数字認識機能部13における文字及び英数字の認識設定値を更新させる。
【0036】
構造化データ蓄積部22には、構造化チェック・修正機能部19が修正した箇所に係る不適切構造化(即ち、構造化チェック・修正機能部19が修正した構造化機能部18による構造化結果)に関して、構造化前のベクタ形式画像並びに文字及び英数字と、構造化機能部18により出力された修正が必要になった不適切構造化(即ち、修正が必要な構造化結果)と、構造化チェック・修正機能部19により修正された結果と、不適切構造化(即ち修正が必要な構造化結果)を出力した際の構造化機能部18の構造化設定値(構造化のルール)と、が入力されて蓄積される。
【0037】
最適構造化学習部23は、構造化データ蓄積部22に蓄積された情報(構造化前のベクタ形式画像並びに文字及び英数字と、構造化機能部18により出力された修正が必要な構造化結果と、構造化チェック・修正機能部19により修正された結果と、修正が必要な構造化結果を出力した際の構造化機能部18の構造化設定値)を入力する。そして、最適構造化学習部23は、構造化データ蓄積部22から入力された情報をもとに、構造化機能部18による修正が必要な構造化結果の発生数を低減させる最適な構造化設定値を演算して学習して、構造化設定値を再設定する。更に、最適構造化学習部23は、演算した最適な構造化設定値を構造化ルール定義DB15(回路要素・属性DB16を含む)にフィードバックして、この構造化ルール定義DB15(回路要素・属性DB16を含む)の構造化設定値(構造化のルール)を更新させる。
【0038】
次に、上述のように構成された構造化システム10の作用を、
図4〜
図7に基づいて説明する。
構造化システム10は、ラスタ形式図面1を入力する(S1)。この入力されたがラスタ形式図面1に斑点や汚れ等のノイズがあるときには、ノイズ除去・修正機能部11がこのノイズを修正する。
【0039】
次に、ベクタ変換機能部12がラスタ形式図面1をベクタ形式図面にベクタ変換し(S2)、文字・英数字認識機能部13がラスタ形式図面1、またはベクタ変換機能部12により変換されたベクタ形式図面中の文字及び英数字を認識する(S3)。
【0040】
次に、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14が、ベクタ変換機能部12によりベクタ変換されたベクタ形式図面に誤変換があるか否かを判定する(S4)。更に、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14が、文字・英数字認識機能部13により認識された文字及び英数字に誤認識があるか否かを判定する(S5)。
【0041】
ベクタ変換に誤変換がなく、文字及び英数字の認識に誤認識がないと誤変換・誤認識チェック・修正機能部14が判定した場合には(S6)、構造化機能部18は、ベクタ変換機能部12により変換されたベクタ形式図面と、文字・英数字認識機能部13により認識された文字及び英数字とを入力する(S7)。
【0042】
構造化機能部18は、次に、構造化対象のベクタ形式図面のデータ構造に関する情報を、データ構造定義DB17から呼び出して入力する(S8)。また、構造化機能部18は、構造化する際のルールに関する情報を、構造化ルール定義DB15から呼び出して入力する(S9)。更に、構造化機能部18は、ベクタ形式図面中の回路要素に関する情報を、回路要素・属性DB16から呼び出して入力する(S10)。
【0043】
構造化機能部18は、ベクタ変換機能部12による変換結果(ベクタ形式図面)と、文字・英数字認識機能部13による文字及び英数字の認識結果とから、構造化ルール定義DB15及び回路要素・属性DB16を参照して、ベクタ形式図面中の構造要素を構造化する(S11)。更に、構造化機能部18は、この構造化された構造要素のデータを、データ構造定義DB17のデータ構造の階層に基づいて分類して記録する。
【0044】
この構造化機能部18が構造化した構造化結果(構造化図面2)について修正が必要か否かを、構造化チェック・修正機能部19が確認する(S12)。この構造化チェック・修正機能部19は、構造化結果に修正が必要ないと判定したときに(S13)、構造化図面2を構造化システム10から出力させる(S14)。
【0045】
ステップS6において、ベクタ変換機能部12によるベクタ変換に誤変換が存在すると誤変換・誤認識チェック・修正機能部14が判定したときには、
図5に示すように、この誤変換・誤認識チェック・修正機能部14は、上記誤変換を修正し(S21)、その修正したベクタ形式図面を構造化機能部18に出力する(S22)。
【0046】
更に、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14は、ベクタ変換前のラスタ形式図面と、ベクタ変換機能部12により誤変換された結果と、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14により修正された変換結果と、ベクタ変換機能部12が誤変換した際の変換設定値とを、誤変換・誤認識データ蓄積部20に出力して蓄積させる(S23)。
【0047】
ステップS23にて誤変換・誤認識データ蓄積部20に蓄積された情報をもとに、最適変換・認識学習部21は、ベクタ変換機能部12での誤変換の発生数を低減させる最適な変換設定値を演算する(S24)。そして、この最適変換・認識学習部21は、上記最適な変換設定値をベクタ変換機能部12にフィードバックして、このベクタ変換機能部12の変換設定値を更新させる(S25)。
【0048】
また、
図1のステップS6において、文字・英数字認識機能部13による文字及び英数字の認識に誤認識があると誤変換・誤認識チェック・修正機能部14が判定したときには、
図6に示すように、この誤変換・誤認識チェック・修正機能部14は、上記誤認識を修正し(S31)、その修正した文字及び英数字を構造化機能部18に出力する(S32)。
【0049】
更に、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14は、認識前のラスタ形式図面と、文字・英数字認識機能部13により誤認識された結果と、誤変換・誤認識チェック・修正機能部14により修正された認識結果と、文字・英数字認識機能部13が誤認識した際の認識設定値とを、誤変換・誤認識データ蓄積部20に出力して蓄積させる(S33)。
【0050】
ステップS33にて誤変換・誤認識データ蓄積部20に蓄積された情報をもとに、最適変換・認識学習部21は、文字・英数字認識機能部13での誤認識の発生率を低減させる最適な認識設定値を演算する(S34)。そして、この最適変換・認識学習部21は、上記最適な認識設定値を文字・英数字認識機能部13にフィードバックして、この文字・英数字認識機能部13の認識設定値を更新させる(S35)。
【0051】
図1のステップS13において、構造化機能部18による構造化結果(構造化図面2)に修正が必要であると構造化チェック・修正機能部19が判定したときには、
図7に示すように、この構造化チェック・修正機能部19は、上述の修正が必要な構造化結果を修正し(S41)、その修正した構造化結果、即ち構造化図面2を構造化システム10から出力させる(S42)。
【0052】
更に、構造化チェック・修正機能部19は、構造化前のベクタ形式画像並びに文字及び英数字と、修正が必要な構造化結果と、構造化チェック・修正機能部19により修正された結果と、修正が必要な構造化結果を出力した際の構造化機能部18の構造化設定値(構造化ルール)とを、構造化データ蓄積部22に出力して蓄積させる(S43)。
【0053】
ステップS43にて構造化データ蓄積部22に蓄積された情報をもとに、最適構造化学習部23は、構造化機能部18による修正が必要な構造化の発生数を低減させる最適な構造化設定値を演算する(S44)。そして、最適構造化学習部23は、上記最適な構造化設定値を構造化ルール定義DB15(回路要素・属性DB16を含む)にフィードバックして、この構造化ルール定義DB15(回路要素・属性DB16を含む)の構造化設定値(構造化のルール)を更新させる(S45)。
【0054】
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば次の効果を奏する。
構造化システム10にラスタ形式図面1が入力されると、ベクタ変換機能部12が、ラスタ形式図面1をベクタ形式図面にベクタ変換し、文字・英数字機能部13が、ラスタ形式図面1またはベクタ形式図面から文字及び英数字を認識する。そして、構造化機能部18は、構造化ルール定義DB15(回路要素・属性DB16を含む)を参照して、ベクタ変換機能部12にてベクタ変換されたベクタ形式図面中の構造化要素に、文字・英数字認識機能部13にて認識された文字及び英数字を関連づけ、更に属性情報及び接続情報を付与して構造要素を構造化する。更に、構造化機能部18は、この構造化された構造要素のデータを、データ構造定義DB17のデータ構造の階層に基づいて分類して記録させる。従って、ベクタ変換機能部12、文字・英数字認識機能部13、構造化ルール定義DB15(回路要素・属性DB16を含む)、データ構造定義DB17及び構造化機能部18によって、ラスタ形式図面1をベクタ形式図面に変換して自動で構造化できる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0056】
例えば、本実施形態では、ラスタ形式図面1がプラントに関連したラスタ形式図面の場合を述べたが、このラスタ形式図面1は、車両や船舶、航空機などの装置等に関するラスタ形式図面であってもよい。