特許第6833663号(P6833663)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833663
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】アシスト器具又は荷物保持用のハンド部
(51)【国際特許分類】
   B66F 19/00 20060101AFI20210215BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20210215BHJP
   B66C 1/34 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   B66F19/00 Z
   B25J11/00 Z
   B66C1/34 A
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-223008(P2017-223008)
(22)【出願日】2017年11月20日
(65)【公開番号】特開2019-94143(P2019-94143A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】塩田 達也
(72)【発明者】
【氏名】奥野 真由子
(72)【発明者】
【氏名】中塚 晶基
(72)【発明者】
【氏名】森本 浩次
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−182833(JP,A)
【文献】 米国特許第06412838(US,B1)
【文献】 米国特許第09205983(US,B1)
【文献】 国際公開第2014/006850(WO,A1)
【文献】 特開昭52−091259(JP,A)
【文献】 実開昭51−029566(JP,U)
【文献】 特開2013−138848(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02978690(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 19/00
B25J 11/00
B66C 1/00 − 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者に取り付けられる本体部と、前記本体部から前側に延出されたアーム部と、前記アーム部から下側に延出された索状体と、前記索状体の延出端に接続されて荷物を保持するハンド部とが備えられ、
前記ハンド部に、
前記索状体に接続された基部と、
前記基部の横側部分に設けられて、作業者が持つ持ち手部と、
前記持ち手部と同じ側に向くように前記基部における前記持ち手部よりも下側部分に設けられて、荷物を保持する外保持部と
前記持ち手部の反対側に向くように前記基部における前記持ち手部よりも下側部分に設けられて、荷物を保持する内保持部とが備えられ
前記基部の下部が折り曲げられて前記内保持部が形成され、
前記内保持部の、前記持ち手部の反対側の端部が下側に折り曲げられて接続部が形成され、
前記接続部の下部が、前記持ち手部と同じ側に向くように折り曲げられて前記外保持部が形成されているアシスト器具。
【請求項2】
前記基部から、前記持ち手部の反対側に向く前記内保持部の端部までの長さと、前記接続部から、前記持ち手部と同じ側に向く前記外保持部の端部までの長さとが同じである請求項1に記載のアシスト器具。
【請求項3】
前記基部から、前記持ち手部の反対側に向く前記内保持部の端部までの長さが、前記接続部から、前記持ち手部と同じ側に向く前記外保持部の端部までの長さよりも長い請求項1に記載のアシスト器具。
【請求項4】
吊り下げ機構に接続される基部と、
前記基部の横側部分に設けられて、作業者が持つ持ち手部が取り付けられる持ち手取付部と、
前記持ち手取付部と同じ側に向くように前記基部における前記持ち手取付部よりも下側部分に設けられて、荷物を保持する外保持部と、
前記持ち手取付部の反対側に向くように前記基部における前記持ち手取付部よりも下側部分に設けられて、荷物を保持する内保持部とが備えられ、
前記基部の下部が折り曲げられて前記内保持部が形成され、
前記内保持部の、前記持ち手取付部の反対側の端部が下側に折り曲げられて接続部が形成され、
前記接続部の下部が、前記持ち手取付部と同じ側に向くように折り曲げられて前記外保持部が形成されている荷物保持用のハンド部。
【請求項5】
前記基部から、前記持ち手取付部の反対側に向く前記内保持部の端部までの長さと、前記接続部から、前記持ち手取付部と同じ側に向く前記外保持部の端部までの長さとが同じである請求項4に記載の荷物保持用のハンド部。
【請求項6】
前記基部から、前記持ち手取付部の反対側に向く前記内保持部の端部までの長さが、前記接続部から、前記持ち手取付部と同じ側に向く前記外保持部の端部までの長さよりも長い請求項4に記載の荷物保持用のハンド部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者に装着されて荷物の持ち運びを補助するアシスト器具や、建物の天井部に支持されたウインチ及びアシスト器具等において吊り下げるように使用される荷物保持用のハンド部に関する。
【背景技術】
【0002】
作業者に装着されて使用されるアシスト器具、及びアシスト器具に使用される荷物保持用のハンド部として、特許文献1に開示されているものがある。
特許文献1では、作業者に取り付けられる本体部から前側にアーム部が延出されて、アーム部から下側に延出されたワイヤ(索状体及び吊り下げ機構に相当)に、ハンド部が接続されており、作業者はハンド部を手で持ちながら、ハンド部により荷物を保持する。
【0003】
特許文献1のハンド部は、断面がチャンネル状に形成されており、右及び左のハンド部の開放側部分が、互いに向かい合う状態となっている。アシスト器具を装着した作業者は手を前に出して、ハンド部の開放側部分の反対側部分を持つ状態となる。
【0004】
特許文献1では、荷物として、ビールケース等のような荷物が想定される。荷物の右の横側部の外側部に、右のハンド部を外側から取り付け、荷物の左の横側部の外側部に、左のハンド部を外側から取り付けることによって、ハンド部により荷物を保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−94424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ビールケース等のように、作業者の肩幅程度の横幅の荷物に対して、例えば乗用車用のタイヤ等のように、大きな荷物がある。
このような大きな荷物では、荷物の右の横側部の外側部に右のハンド部を外側から取り付け、荷物の左の横側部の外側部に左のハンド部を外側から取り付けて、ハンド部により荷物を保持することが困難である。
【0007】
本発明は、アシスト器具又は荷物保持用のハンド部において、荷物の横側部の外側部にハンド部を外側から取り付けることが困難な大きな荷物に対応できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のアシスト器具は、
作業者に取り付けられる本体部と、前記本体部から前側に延出されたアーム部と、前記アーム部から下側に延出された索状体と、前記索状体の延出端に接続されて荷物を保持するハンド部とが備えられ、
前記ハンド部に、
前記索状体に接続された基部と、
前記基部の横側部分に設けられて、作業者が持つ持ち手部と、
前記持ち手部と同じ側に向くように前記基部における前記持ち手部よりも下側部分に設けられて、荷物を保持する外保持部と
前記持ち手部の反対側に向くように前記基部における前記持ち手部よりも下側部分に設けられて、荷物を保持する内保持部とが備えられ
前記基部の下部が折り曲げられて前記内保持部が形成され、
前記内保持部の、前記持ち手部の反対側の端部が下側に折り曲げられて接続部が形成され、
前記接続部の下部が、前記持ち手部と同じ側に向くように折り曲げられて前記外保持部が形成されている
【0009】
本発明の荷物保持用のハンド部は、
吊り下げ機構に接続される基部と、
前記基部の横側部分に設けられて、作業者が持つ持ち手部が取り付けられる持ち手取付部と、
前記持ち手取付部と同じ側に向くように前記基部における前記持ち手取付部よりも下側部分に設けられて、荷物を保持する外保持部と
前記持ち手取付部の反対側に向くように前記基部における前記持ち手取付部よりも下側部分に設けられて、荷物を保持する内保持部とが備えられ、
前記基部の下部が折り曲げられて前記内保持部が形成され、
前記内保持部の、前記持ち手取付部の反対側の端部が下側に折り曲げられて接続部が形成され、
前記接続部の下部が、前記持ち手取付部と同じ側に向くように折り曲げられて前記外保持部が形成されている
【0010】
荷物として、例えば乗用車用のタイヤにおいて、ホイールが取り付けられていない状態を想定すると、タイヤの外径は大きなものであっても、タイヤの中央の開口部(ホイールが取り付けられる開口部)の内径は、比較的小さなものとなる。
【0011】
本発明によると、作業者が手を前に出して、ハンド部の持ち手部(ハンド部の持ち手取付部に取り付けられた持ち手部)を持つと、ハンド部の外保持部は手の甲側(外側)に向く状態となる。
これにより、横向きに置かれたタイヤに対して、作業者が手をタイヤの中央の開口部に向けることにより、タイヤのビード部(ホイールの外周部に取り付けられる部分)に、ハンド部の外保持部を取り付けることができる。
【0012】
このことについて言い換えると、横向きに置かれたタイヤに対して、タイヤのトレッド部にハンド部を外側から取り付けるようなことを行わなくても、タイヤの中央の開口部(ビード部)という比較的狭い領域で、ハンド部をタイヤのビード部に取り付けて、ハンド部によりタイヤを無理なく保持することができる。
【0013】
以上のように、本発明によると、乗用車用のタイヤ等のような大きな荷物であっても、荷物の中央部に開口部等のような部分があれば、ハンド部を開口部等に無理なく取り付けることができるのであり、ハンド部により荷物を適切に保持することができるようになって、アシスト器具及び荷物保持用のハンド部の作業性を向上させることができる。
【0016】
本発明によると、作業者がハンド部の持ち手部(ハンド部の持ち手取付部に取り付けられた持ち手部)を持った場合、作業者の手の下側に、ハンド部の外保持部が位置する状態となる。
【0017】
これにより、例えば床に置かれた荷物に、ハンド部の外保持部を取り付けるような操作が無理なく行えるようになって、アシスト器具及び荷物保持用のハンド部の作業性を向上させることができる。
【0020】
本発明によると、作業者が手を前に出して、ハンド部の持ち手部(ハンド部の持ち手取付部に取り付けられた持ち手部)を持つと、ハンド部の内保持部は手の平側(内側)に向く状態となるので、荷物の横側部に、ハンド部の内保持部を外側から取り付けることが無理なく行える。
【0021】
これにより、荷物の大きさや形状等に対応して、ハンド部の外保持部を荷物に取り付けたり、ハンド部の内保持部を荷物に取り付けたりして、ハンド部により荷物を保持することができるのであり、アシスト器具及び荷物保持用のハンド部の作業性を向上させることができる。
【0024】
本発明によると、作業者がハンド部の持ち手部(ハンド部の持ち手取付部に取り付けられた持ち手部)を持った場合、作業者の手の下側に、ハンド部の内保持部が位置する状態となる。
【0025】
これにより、例えば床に置かれた荷物に、ハンド部の内保持部を取り付けるような操作が無理なく行えるようになって、アシスト器具及び荷物保持用のハンド部の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】作業者がアシスト器具を装着した状態での右側面図である。
図2】作業者がアシスト器具を装着した状態での背面図である。
図3】アシスト器具の斜視図である。
図4】取付部の側面図である。
図5】取付部の正面図である。
図6】取付部にハンド部の接続部を接続した状態を示す側面図である。
図7】ハンド部、持ち手部及び取付部の分解正面図である。
図8】ハンド部、持ち手部及び取付部の正面図である。
図9】ハンド部の斜視図である。
図10】ハンド部及び持ち手部の斜視図である。
図11】受け止め部の斜視図である。
図12】横向きに置かれたタイヤをハンド部により保持した状態を示す縦断背面図である。
図13】横向きに置かれたタイヤをハンド部により保持した状態を示す右側面図である。
図14】縦向きに置かれたタイヤをハンド部により保持した状態を示す縦断背面図である。
図15】縦向きに置かれたタイヤをハンド部により保持した状態を示す右側面図である。
図16】発明の実施の第1別形態において、ハンド部の正面図である。
図17】発明の実施の第2別形態において、ハンド部の正面図である。
図18】発明の実施の第3別形態において、ハンド部の正面図である。
図19】発明の実施の第4別形態において、ハンド部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1図19には、作業者が装着して使用するアシスト器具が示されている。
本発明の実施形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者から視て前側が「前」であり、後側が「後」であり、右側が「右」であり、左側が「左」である。
【0028】
(アシスト器具の全体構成及び本体部)
図1,2,3に示すように、アシスト器具には、作業者の背中部に取り付けられる本体部1、本体部1の上部から上側に延出され前側に延出された右及び左のアーム部2、本体部1の下部に設けられた右及び左の脚作用部3が備えられており、作業者への装着用の取付ベルト4、右及び左の肩ベルト5が備えられている。
【0029】
本体部1は、右及び左の縦フレーム6、右及び左の縦フレーム6に亘って連結された支持板7等を備えて、枠状となっている。本体部1の下部に取付ベルト4が設けられ、支持板7の前面の上部及び下部に肩ベルト5が取り付けられている。支持板7の後面の上下中間部に制御装置8が取り付けられており、支持板7の後面の下部にバッテリー9が取り付けられている。
【0030】
(脚作用部)
図1,2,3に示すように、脚作用部3は、基部10、伝動ケース11、操作アーム12及び脚ベルト13等を備えている。基部10が、支持板7の下部の前部に、左右方向に取付位置を変更自在に支持されており、基部10の外端部に伝動ケース11が前向きに連結されている。
【0031】
伝動ケース11の前部の左右方向の横軸芯P1周りに、操作アーム12が揺動自在に支持されており、幅広のベルト状の脚ベルト13が操作アーム12に取り付けられている。複数の平ギヤにより構成された伝動機構(図示せず)が伝動ケース11の内部に備えられて、電動モータ(図示せず)が基部10の内部に備えられており、電動モータにより伝動機構を介して操作アーム12が横軸芯P1周りに揺動駆動される。
【0032】
図1及び図2に示すように、作業者は脚ベルト13を太腿部に巻き付けて、面ファスナ(図示せず)(マジックテープ(登録商標))により、脚ベルト13を太腿部に取り付ける。作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者の腰部の右側に右の脚作用部3(伝動ケース11)が位置し、作業者の腰部の左側に左の脚作用部3(伝動ケース11)が位置する。
【0033】
(アーム部及びワイヤ)
図1,2,3に示すように、右及び左の縦フレーム6の上部が、作業者の右及び左の肩部を越えて斜め上側に延出され斜め前側に延出されて、右及び左のアーム部2となっている。アーム部2の上端部に支持部材16が取り付けられており、プーリー(図示せず)が支持部材16に回転自在に支持されている。
【0034】
支持板7の後面の上部に昇降装置17が取り付けられており、昇降装置17から、右の2本のワイヤ18,19(索状体に相当)(吊り下げ機構に相当)、及び左の2本のワイヤ18,19(索状体に相当)(吊り下げ機構に相当)が延出されている。
【0035】
支持板7の上部にアウター支持部15が連結され、支持部材16にアウター支持部16aが備えられている。ワイヤ18,19のアウター18b,19bの端部が、アウター支持部15及び支持部材16のアウター支持部16aに接続されて、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが昇降装置17に接続されている。
【0036】
右の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aが、右の支持部材16のプーリーに掛けられて下側に延出されている。右の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aの延出端に取付部21が接続されて、取付部21に右のハンド部20が接続されている。
【0037】
左の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aが、左の支持部材16のプーリーに掛けられて下側に延出されている。左の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aの延出端に取付部21が接続されて、取付部21に左のハンド部20が接続されている。
【0038】
(昇降装置)
図1及び図2に示すように、昇降装置17は支持板7に連結されている。伝動機構(図示せず)を内装する上下向きの伝動ケース25、伝動ケース25の上部に横向きに連結された支持ケース26、伝動ケース25の下部に横向きに連結された電動モータ27、支持ケース26の内部で横向きの軸芯周りに回転自在に支持された4個の回転体(図示せず)が、昇降装置17に備えられている。
【0039】
ワイヤ18,19のアウター18b,19bの端部がアウター支持部15に接続され、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが、支持ケース26の内部の4個の回転体の各々に接続されている。
【0040】
制御装置8により電動モータ27が作動する。電動モータ27の動力が伝動ケース25の内部の伝動機構を介して、支持ケース26の内部の回転体に伝達されるのであり、回転体が巻き取り側及び繰り出し側に回転駆動される。
【0041】
(取付部)
図4及び図5に示すように、取付部21は平板状であり、ワイヤ18,19のインナー18a,19aの延出端が、取付部21に揺動自在に接続されている。取付部21に、2本の頭付きのピン22が横向きに連結されており、ピン22は丸棒状の軸部22aと、軸部22aよりも大径の頭部22bとを備えている。
【0042】
取付部21におけるピン22の間の部分に、開口部21aが開口されており、外れ止め部材28が、取付部21におけるピン22の間の部分に、連結ピン29により連結されている。
【0043】
外れ止め部材28は、板バネを折り曲げて形成されており、取付部21に連結ピン29によって連結される基部28a、基部28aから延出された凸部28bを備えている。外れ止め部材28の凸部28bが、取付部21の開口部21aに入り込んで、ピン22の頭部22b側に突出している。
【0044】
(ハンド部)
図1及び図2に示すように、アシスト器具において、右及び左のハンド部20が備えられており、右及び左のハンド部20は同じものである。
図7,8,9,10に示すように、ハンド部20は板材を折り曲げて形成されており、基部30、外保持部31、内保持部32、上側部33及び接続部34を備えている。
【0045】
基部30は平板状に形成されて、中央部に開口部30aが開口されている。基部30における上側部33の反対側の面である横側部分30bに、面ファスナ36(持ち手取付部に相当)(マジックテープ(登録商標))が取り付けられている。
【0046】
基部30の上部が折り曲げられて、上側部33が形成されており、上側部33の上面に面ファスナ36が取り付けられている。上側部33の端部が上側に折り曲げられて、接続部34が形成されている。
【0047】
図6,9,10に示すように、接続部34に2個の第1開口部38が開口されている。第1開口部38の下側に位置して第1開口部38に接続されるように、第1開口部38よりも大径の第2開口部39が開口されている。第1開口部38及び第2開口部39の間に開口部34aが開口されている。
【0048】
図7,8,9,10に示すように、基部30の下部が、上側部33の反対側に向くように折り曲げられて、外保持部31が形成されており、外保持部31が面ファスナ36と同じ側に位置するように形成されて、外保持部31の端部31aが上側に折り曲げられている。
【0049】
平板状の内保持部32が、外保持部31の下面に当て付けられてボルト35により固定されている。内保持部32が、外保持部31の反対側に向くように、上側部33と同じ側に延出されており、内保持部32の端部32aが上向きに折り曲げられている。
【0050】
以上の構成により、ハンド部20において、
複数の異なる向きで荷物を保持する保持部(外保持部31及び内保持部32)が備えられた状態となっている。
複数の異なる向きの各々に保持部(外保持部31及び内保持部32)が向くように、複数の保持部(外保持部31及び内保持部32)が、基部30に固定された状態となっている。
第1の保持部(外保持部31)の反対側に向くように、第2の保持部(内保持部32)が、基部30に固定された状態となっている。
第1及び第2の保持部(外保持部31及び内保持部32)が、基部30の同じ高さの位置に固定された状態となっている。
基部30から外保持部31の端部31aまでの長さL1に比べて、基部30から内保持部32の端部32aまでの長さL2が、長いものに設定された状態となっている。
【0051】
(持ち手部)
図7,8,10に示すように、ハンド部20の面ファスナ36に取り付け及び取り外し自在な持ち手部40が備えられている。持ち手部40は、合成樹脂により一体的に形成された外側部41と、金属製の内側部42とを備えており、外側部41の内面に内側部42がビスにより連結されている。
【0052】
内側部42は、金属製の板材を折り曲げて形成されており、上下方向に配置される横側部43、横側部43の上部から横向きに延出される上側部44、上側部44の端部から上側に延出される横側部45を備えている。
【0053】
内側部42において、横側部43における上側部44側の面に、面ファスナ37(マジックテープ(登録商標))が取り付けられている。上側部44の下面に、面ファスナ37が取り付けられている。
【0054】
右のハンド部20に取り付けられる右の持ち手部40、及び、左のハンド部20に取り付けられる持ち手部40は、左右対称の形状となっている。右の持ち手部40(外側部41)に、上昇操作スイッチ23が取り付けられ、左の持ち手部40(外側部41)に、下降操作スイッチ24が取り付けられている。
【0055】
図1,2,3に示すように、制御装置8に接続された右及び左のハーネス14が、右及び左のアーム部2の内部に入っており、アーム部2の内部を通ってアーム部2の上端部に延出されている。アーム部2の上端部の開口部から、ハーネス14が出て下側に延出されており、右のハーネス14が上昇操作スイッチ23に接続され、左のハーネス14が下降操作スイッチ24に接続されている。
【0056】
(ハンド部の取付部への取り付け及び取り外し)
図9及び図10に示す基部30の第1開口部38及び第2開口部39と、図4及び図5に示す取付部21のピン22の軸部22a及び頭部22bとにおいて、第1開口部38はピン22の軸部22aよりも少し大径であり、ピン22の頭部22bよりも小径である。第2開口部39はピン22の頭部22bよりも大径である。
【0057】
図7に示す状態は、ハンド部20が取付部21から取り外された状態である。
図6及び図8に示すように、第2開口部39をピン22(頭部22b)に対向させた状態で、外れ止め部材28の凸部28bを、手で押して取付部21の開口部21aに入り込ませながら、ピン22(軸部22a及び頭部22b)を第2開口部39に入り込ませる。
【0058】
次に、取付部21を少し上側に移動させて、ピン22の軸部22aを、第2開口部39から第1開口部38に入り込ませる。ピン22の軸部22aを第1開口部38に入り込ませると、外れ止め部材28の凸部28bが、ハンド部20の開口部34aに入り込んでピン22の頭部22b側に突出して、外れ止め部材28の凸部28bが、ハンド部20の開口部34aの下辺部に当たる状態となる。
【0059】
以上の状態が、ハンド部20を取付部21に取り付けた状態である。
ピン22の軸部22aが第1開口部38から第2開口部39に移動しようとしても、ハンド部20の開口部34aの下辺部が外れ止め部材28の凸部28bに当たることによって、ピン22の軸部22aの第2開口部39への移動が止められて、ハンド部20は取付部21から外れ難いものとなる。
【0060】
ハンド部20により荷物を保持した場合、荷物の重量がハンド部20に下向きに掛かることにより、ピン22の軸部22aが、第1開口部38に保持されて、第1開口部38から第2開口部39に移動し難くなるのであり、ハンド部20は取付部21から外れ難いものとなる。
【0061】
ピン22の軸部22aが第1開口部38から抜け出そうとしても、ピン22の頭部22bによって、ピン22の軸部22aは、第1開口部38から抜け出すことはできないのであり、ハンド部20は取付部21から外れ難いものとなる。
【0062】
ハンド部20を取付部21から取り外す場合、図6及び図8に示す状態において、外れ止め部材28の凸部28bを取付部21の開口部21aに押し込むことにより、外れ止め部材28の凸部28bをハンド部20の開口部34aの下辺部から外した状態とする。
【0063】
この状態において、ピン22の軸部22aを第1開口部38から第2開口部39に移動させ、ピン22の頭部22bを第2開口部39から抜き出すことにより、ハンド部20を取付部21から取り外すことができる。
【0064】
図7及び図8では、取付部21をハンド部20の接続部34に対して上側部33とは反対側に位置させた状態で、ハンド部20を取付部21に取り付けた状態となっている。
この場合、取付部21をハンド部20の接続部34に対して上側部33側に位置させた状態で、前述と同じ操作を行うことにより、ハンド部20を取付部21に取り付けることができる。
【0065】
(持ち手部のハンド部への取り付け及び取り外し)
図7,8,10に示すように、持ち手部40の面ファスナ37を、ハンド部20の面ファスナ36に当て付けて接続することにより、持ち手部40をハンド部20に取り付けることができるのであり、持ち手部40を介して上昇操作スイッチ23(下降操作スイッチ24)がハンド部20に取り付けられる。
【0066】
面ファスナ36,37の接続範囲は比較的広いものであるので、ハンド部20における持ち手部40の取付位置を、面ファスナ36,37の接続範囲において任意に変更することができる。
【0067】
この場合、持ち手部40の上側部44をハンド部20の上側部33に乗せるので、持ち手部40をハンド部20に取り付けた場合、持ち手部40の下端部が、ハンド部20(基部30)の開口部30aの上辺部よりも少し上側に位置する状態となる。
【0068】
持ち手部40の面ファスナ37をハンド部20の面ファスナ36から離すことにより、持ち手部40がハンド部20から取り外されるのであり、上昇操作スイッチ23(下降操作スイッチ24)がハンド部20から取り外される。
【0069】
前項の(ハンド部)(ハンド部の取付部への取り付け及び取り外し)に記載のように、図6,9,10に示す第1開口部38及び第2開口部39、面ファスナ36等の構成を備えたハンド部20であれば、図7,8,9,10に示すハンド部20に代えて、別のハンド部20を取付部21に取り付けることができる(交換することができる)。
【0070】
前述のように、取付部21に各種のハンド部20を取り付けた場合(交換した場合)、持ち手部40の面ファスナ37を、交換されたハンド部20の面ファスナ36に接続することにより、持ち手部40(上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24)を、各種のハンド部20に共用することができる。
【0071】
以上の構成により、ハンド部20において、
持ち手部40が、基部30の横側部分30bに設けられて、外保持部31が、持ち手部40及び持ち手取付部(面ファスナ36)と同じ側に向くように、基部30に設けられた状態となっている。
内保持部32が、持ち手部40及び持ち手取付部(面ファスナ36)の反対側に向くように、基部30に設けられた状態となっている。
外保持部31及び内保持部32が、基部30における持ち手部40及び持ち手取付部(面ファスナ36)よりも下側部分に設けられた状態となっている。
【0072】
(受け止め部)
図3及び図11に示すように、アシスト器具に、作業者の胸部又は腹部の前側に配置される受け止め部46が備えられている。受け止め部46は、前当て部47と4本の取付部48とを備えている。
【0073】
前当て部47は、可撓性を有する軟らかい合成樹脂製や布製のシート状の部材により形成されており、上部の2箇所及び下部の2箇所の4箇所に、バックル部材等の着脱部49が取り付けられている。
【0074】
取付部48は、可撓性を有する紐状(細長いベルト状)の部材により形成されており、取付部48の端部にバックル部材等の着脱部50が取り付けられている。取付部48の着脱部50は、前当て部47の着脱部49に取り付け及び取り外し自在である。取付部48の途中部分に固定具51が取り付けられており、取付部48において、着脱部50の反対側の部分をループ状に巻いて、固定具51により止めておくことができる。
【0075】
図1,3,13,15に示すように、取付部48を肩ベルト5及び取付ベルト4に巻き付け、固定具51により取付部48を止めることにより、取付部48を肩ベルト5及び取付ベルト4に取り付けておく。
【0076】
(作業者によるアシスト器具の装着)
図3に示すように、右及び左の肩ベルト5の上部に亘って、固定ベルト62が取り付けられている。固定ベルト62は、中間部分のバックル部材により左右に分離可能で、長さ調節自在である。
【0077】
図1,2,3に示すように、固定ベルト62を分離状態とし、前当て部47(着脱部49)を取付部48(着脱部50)から取り外した状態において、作業者は、作業者の腕部及び肩部を肩ベルト5に入れ、取付ベルト4を作業者の腰部に巻き付けて固定することにより、作業者の背中部に本体部1を取り付ける。
この後、固定ベルト62を連結状態としておくことにより、右及び左の肩ベルト5が、作業者の腕部側に移動して肩部から外れるような状態が防止される。
【0078】
固定ベルト62を連結状態とした後、前当て部47(着脱部49)を取付部48(着脱部50)に取り付ける。これにより、受け止め部46(前当て部47)が、肩ベルト5及び取付ベルト4に支持された状態となり、作業者の胸部又は腹部の前側に位置する状態となる。
【0079】
受け止め部46において、固定具51により止められる取付部48の位置を調節することにより、取付部48の長さを調節することができる。
これにより、受け止め部46(前当て部47)の位置を作業者の体格に合わせることができる。受け止め部46(前当て部47)の位置を、作業者に対して胸部側(上側)に位置させたり、腹部側(下側)に位置させたりすることができ、作業者に対して右側及び左側に位置させることができる。
【0080】
作業者がアシスト器具を装着した状態において、アシスト器具及び荷物の重量が取付ベルト4を介して主に作業者の腰部に掛かるのであり、アシスト器具及び荷物の重量が作業者の腰部により安定して支持される。右及び左の肩ベルト5は、主に本体部1が作業者の背中部から後方に離れようとする状態を止める機能を発揮する。
【0081】
(横向きに置かれたタイヤに対するハンド部の保持操作)
図12に示すように、例えば乗用車用のタイヤB(荷物に相当)において、ホイールが取り付けられていないタイヤBが、床等に横向きに置かれていたとする。
【0082】
アシスト器具を装着した作業者が、作業者が右手(左手)を前に出して、右(左)のハンド部20の持ち手部40を持つと、右(左)のハンド部20の外保持部31は手の甲側(外側)に向く状態となる。
【0083】
右手(左手)で握手をするように、右(左)のハンド部20の持ち手部40を持った場合、右手(左手)の人差し指〜小指を、右の(左)のハンド部20(基部30)の開口部30a(図9及び図10参照)に入れ、開口部30aの上辺部に下側から掛けるようにすると、右手(左手)で右(左)のハンド部20をしっかりと持つことができる。
【0084】
図12に示すように、横向きに置かれたタイヤBに対して、作業者が右手(左手)をタイヤBの中央の開口部B2(ホイールが取り付けられる開口部)に向けて、右(左)のハンド部20をタイヤBの開口部B2に上側から入れながら、右(左)のハンド部20の外保持部31を、タイヤBのビード部B1(ホイールの外周部に取り付けられる部分)に、タイヤBの内側から取り付ける(掛ける)。
【0085】
ハンド部20において、外保持部31の上側に持ち手部40及び基部30の開口部30aが位置しているので、ハンド部20の外保持部31をタイヤBのビード部B1に取り付けても(掛けても)、作業者の右手(左手)がタイヤBのサイドウォール部B4に当たることはない。
【0086】
この後、後述する(制御装置による脚作用部及び昇降装置の作動)に記載のように、作業者が上昇操作スイッチ23を押し操作することにより、ハンド部20を上昇させて、タイヤBを持ち上げる。
図13に示すように、タイヤBを持ち上げると、タイヤBが作業者側に接近してくるので、タイヤBのトレッド部B3を受け止め部46(前当て部47)に当てればよい。
【0087】
これにより、タイヤBが作業者の胸部や腹部に直接に当たる状態とはならないので、タイヤBによって作業者の衣服が汚れる状態を防止するができる。
ワイヤ18,19によりタイヤBが吊り下げられた状態において、タイヤBのトレッド部B3が、受け止め部46(前当て部47)を介して、作業者の胸部や腹部に当たる状態となるので、受け止め部46(前当て部47)によりタイヤBの振れが抑えられる。
【0088】
(縦向きに置かれたタイヤに対するハンド部の保持操作)
図14に示すように、ホイールが取り付けられていないタイヤBが、床等に縦向きに置かれていたとする。
【0089】
アシスト器具を装着した作業者が、作業者が右手(左手)を前に出して、右(左)のハンド部20の持ち手部40を持つと、右(左)のハンド部20の内保持部32は手の平側(内側)に向く状態となる。
【0090】
図14に示すように、縦向きに置かれたタイヤBに対して、右(左)のハンド部20の内保持部32を、タイヤBの開口部B2に外側から入れながら、右(左)のハンド部20の内保持部32を、タイヤBのビード部B1に、タイヤBの外側から取り付ける(掛ける)。
【0091】
ハンド部20において、内保持部32の反対側(外側)に持ち手部40及び基部30の開口部30a(図9及び図10参照)が位置しているので、ハンド部20の内保持部32をタイヤBのビード部B1に取り付けても(掛けても)、作業者の右手(左手)がタイヤBのサイドウォール部B4に当たることはない。
【0092】
タイヤBでは、断面視でタイヤBのサイドウォール部B4が内側に回り込んでおり、タイヤBのビード部B1が内側に入り込んだ状態となっている。
図8及び図14に示すように、ハンド部20において、基部30から外保持部31の端部31aまでの長さL1に比べて、基部30から内保持部32の端部32aまでの長さL2が長いものに設定されているので、タイヤBのビード部B1が内側に入り込んでいても、ハンド部20の内保持部32をタイヤBのビード部B1に無理なく取り付けることができる(掛けることができる)。
【0093】
この後、後述する(制御装置による脚作用部及び昇降装置の作動)に記載のように、作業者が上昇操作スイッチ23を押し操作することにより、ハンド部20を上昇させて、タイヤBを持ち上げる。
図15に示すように、タイヤBを持ち上げると、タイヤBが作業者側に接近してくるので、タイヤBのトレッド部B3を受け止め部46(前当て部47)に当てればよい。
【0094】
横向きに置かれたタイヤBに対するハンド部20の保持操作を行い、縦向きに置かれたタイヤBに対するハンド部20の保持操作を行わない場合は、図7,8,9,10に示すように、ハンド部20において、ボルト35を外して、内保持部32を取り外せばよい。
【0095】
これにより、図12に示すように、横向きに置かれたタイヤBに対して、右(左)のハンド部20をタイヤBの開口部B2に上側から入れる際、右(左)のハンド部20に内保持部32が無いので、右(左)のハンド部20の外保持部31を、タイヤBのビード部B1に無理なく取り付けることができる(掛けることができる)。
【0096】
(制御装置による脚作用部及び昇降装置の作動)
図1及び図2に示すように、上昇操作スイッチ23を押し操作した場合、上昇操作スイッチ23を押し操作している間、後述する(アシスト器具の作業形態)に記載のように、脚作用部3において、電動モータにより操作アーム12が下側に駆動されて、作業者の太腿部が下側に操作される。
【0097】
上昇操作スイッチ23を押し操作した場合、上昇操作スイッチ23を押し操作している間、昇降装置17において、電動モータ27により回転体が巻き取り側に回転駆動され、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体に巻き取られて、ハンド部20が上昇する。
【0098】
下降操作スイッチ24を押し操作した場合、下降操作スイッチ24を押し操作している間、昇降装置17において、電動モータ27により回転体が繰り出し側に回転駆動され、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体から繰り出されて、ハンド部20が下降する。
【0099】
上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の押し操作を止めると、昇降装置17において、電動モータ27が停止する。
電動モータ27に電磁ブレーキ(図示せず)が備えられており、電動モータ27の作動時に電磁ブレーキは自動的に解除状態となり、電動モータ27の停止時及び非通電時に電磁ブレーキは自動的に制動状態となる。
【0100】
これにより、電動モータ27が停止した状態において、昇降装置17からワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されることはなく、ハンド部20に荷物の重量が掛かっても、ハンド部20が下降することはない。
【0101】
脚作用部3において、電動モータが停止状態になると、電動モータは自由回転状態となる。これにより、作業者が歩行する場合や、作業者が腰部を下に曲げたり、膝部を曲げて腰部を落としたりする場合、作業者の太腿部に追従するように操作アーム12が揺動するのであり、作業者の動作が妨げられることはない。
【0102】
(アシスト器具の作業形態)
例えばパレットや床に置かれた荷物を高い棚やトラックの荷台に置くような場合、作業者が腰部を下に曲げたり、膝部を曲げて腰部を落としたりして、パレットや床の荷物を手で持ち、手を下に延ばした状態で荷物を持ちながら、腰部を上側に延ばしたり、立ち上がったりして、手で荷物を持ち上げて、荷物を高い棚やトラックの荷台に置くような状態が想定される。
【0103】
アシスト器具を装着した作業者が前述のような作業を行う状態において、上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の押し操作に基づいて、制御装置8により脚作用部3及び昇降装置17が作動する状態について説明する。
【0104】
図1及び図2に示すように、作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者が上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の両方を押し操作していないと、昇降装置17の電動モータ27は停止して、脚作用部3の電動モータは停止状態(自由回転状態)となる。
【0105】
作業者が腰部を下に曲げて(膝部を曲げて腰部を落として)、パレットや床の荷物を持つ場合、作業者が下降操作スイッチ24を押し操作すると、昇降装置17において電動モータ27が繰り出し側に作動し、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されて、ハンド部20が下降する。
【0106】
下降操作スイッチ24の押し操作を止めると、電動モータ27が停止して、ハンド部20が停止するので、作業者は、前項の(横向きに置かれたタイヤに対するハンド部の保持操作)(縦向きに置かれたタイヤに対するハンド部の保持操作)に記載のようにして、ハンド部20により荷物を保持する。
【0107】
作業者は、ハンド部20により荷物を保持した状態で、腰部を上に延ばすことにより(立ち上がることにより)、荷物を持ち上げる。作業者が上昇操作スイッチ23を押し操作すると、脚作用部3において操作アーム12が下側に駆動され、作業者の太腿部が下側に操作されて、腰部を上に延ばすこと(立ち上がること)が補助される。
【0108】
作業者が上昇操作スイッチ23を押し操作した状態で立ち上がった後に、脚作用部3において、操作アーム12が略真下に向く位置に達したことが検出されると、作業者が起立した(立ち上がった)と判断されて、脚作用部3の電動モータは停止状態(自由回転状態)となる。
【0109】
次に昇降装置17において、電動モータ27が巻き取り側に作動し、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが巻き取られて、ハンド部20が上昇する。所望の位置までハンド部20が上昇すると、上昇操作スイッチ23の押し操作を止めることにより、電動モータ27が停止してハンド部20が停止する。
【0110】
作業者は、荷物を置くべき高い棚やトラックの荷台等へ歩いて移動する。作業者が高い棚やトラックの荷台等に到着して、作業者が下降操作スイッチ24を押し操作すると、昇降装置17において、電動モータ27が繰り出し側に作動し、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されて、ハンド部20が下降する。
【0111】
作業者は、荷物を高い棚やトラックの荷台等に置いて、ハンド部20を荷物から取り外す。荷物を高い棚やトラックの荷台等に置くと、最初の状態に戻るので、次の荷物に対して同様な操作を行う。
【0112】
(発明の実施の第1別形態)
ハンド部20を、以下の説明のように構成してもよい。
図16に示すように、ハンド部20は、板材を折り曲げて形成されており、基部30、外保持部31、内保持部32、上側部33及び接続部34,53を備えている。
【0113】
基部30は平板状に形成されており、基部30における上側部33の反対側の面である横側部分30bに、面ファスナ36が取り付けられている。基部30の上部が折り曲げられて、上側部33が形成されており、上側部33の上面に面ファスナ36が取り付けられている。
【0114】
上側部33の端部が上側に折り曲げられて、接続部34が形成されている。図6,9,10と同様な2個の第1開口部38、2個の第2開口部39及び開口部34aが、接続部34に開口されている。
【0115】
基部30の下部が上側部33と同じ側に向くように折り曲げられて、内保持部32が形成されており、内保持部32が面ファスナ36の反対側に位置するように形成されて、内保持部32の端部32aが上側に折り曲げられている。
【0116】
内保持部32の端部32aか下側に折り曲げられて、接続部53が、内保持部32の端部32aから下側に延出されている。
接続部53の下部が内保持部32の反対側に向くように折り曲げられて、外保持部31が形成されており、外保持部31が面ファスナ36と同じ側に位置するように形成され、外保持部31の端部31aが上側に折り曲げられている。
【0117】
ハンド部20において、基部30から内保持部32の端部32aまでの長さL3と、接続部53から外保持部31の端部31aまでの長さL4とが、略同じ長さに設定されている。
これにより、平面視で上側部33、内保持部32及び外保持部31とが重複して、上下に重なるように配置される状態となっており、ハンド部20の全体の横幅が小さなものとなっている。
【0118】
(発明の実施の第2別形態)
前述の(発明の実施の第1別形態)のハンド部20において、図17に示すように、基部30から内保持部32の端部32aまでの長さL3を、接続部53から外保持部31の端部31aまでの長さL4よりも長いものに設定してもよい。
これに加えて、上側部33から内保持部32までの長さL5を、内保持部32から外保持部31までの長さL6よりも長いものに設定してもよい。
【0119】
これにより、図14に示すように、縦向きに置かれたタイヤBをハンド部20により保持する場合、タイヤBのサイドウォール部B4が、ハンド部20の上側部33と内保持部32との間に入り込み易くなり、ハンド部20の内保持部32を、タイヤBのビード部B1に取り付け易くなる(掛け易くなる)。
【0120】
(発明の実施の第3別形態)
ハンド部20を、以下の説明のように構成してもよい。
図18に示すように、ハンド部20において、板材の基部30が折り曲げられて、上側部33及び接続部34が備えられている。
【0121】
基部30の下部30cが折り曲げられて、ボス部54が基部30の下部30cに連結されている。板材の支持部55が基部30の上部に連結されて、ボス部54が支持部55に連結されている。
【0122】
基部30の下部30cの開口部、支持部55の開口部及びボス部54に、支持軸56が軸芯P2周りに回転自在に支持されており、抜け止め用のストッパーリング57が支持軸56の上端部に取り付けられ、支持軸56の下部に外保持部31が連結されている。
【0123】
コイルバネ58が支持軸56に外嵌されており、コイルバネ58の上端部が支持軸56に接続され、コイルバネ58の下端部が基部30の下部30cのボス部54に接続されている。
【0124】
これにより、外保持部31及び支持軸56が正逆に回転するのに伴って、コイルバネ58が締められ、緩められるのであり、コイルバネ58の締め方向での限度及び緩め方向での限度の範囲で、外保持部31及び支持軸56が正逆に回転可能である。
外保持部31に荷物等を保持していない自由状態において、コイルバネ58の付勢により、外保持部31及び支持軸56が持ち手部40と同じ側(外側)に向く(戻る)。
【0125】
支持軸56の上端部が上側部33に当たる位置と、ストッパーリング57が支持部55に当たる位置との範囲で、外保持部31及び支持軸56は、軸芯P2に沿って移動自在である。外保持部31に荷物等を保持していない自由状態において、コイルバネ58の付勢により、ストッパーリング57が支持部55に当たる位置に、外保持部31及び支持軸56が位置する。
【0126】
これにより、荷物の大きさや形状に応じて、ハンド部20に対する外保持部31の向きを軸芯P2周りに適切な向きに変更して、荷物を外保持部31に取り付ければよい(掛ければよい)。
【0127】
又は、ハンド部20を持つ手をひねるようにして、外保持部31の向きを適切な向きとし、外保持部31を荷物に取り付けて(掛けて)、ハンド部20を持つ手を、作業者にとって無理のない姿勢に戻せばよい。この場合、荷物に取り付けられた外保持部31に対して、ハンド部20(基部30)が軸芯2周りに回転する状態となる。
荷物を外保持部31から取り外すと、コイルバネ58により、外保持部31及び支持軸56は持ち手部40と同じ側(外側)に向く姿勢に自動的に戻る。
【0128】
以上の構成により、ハンド部20において、
持ち手部40が、基部30の横側部分30bに設けられて、外保持部31が、持ち手部40及び持ち手取付部(面ファスナ36)と同じ側に向くように、基部30に設けられた状態となっている。
複数の異なる向きで荷物を保持する保持部(外保持部31)が備えられた状態となっている。
複数の異なる向きの各々に向くように、保持部(外保持部31)が基部30に姿勢変更自在に支持された状態となっている。
保持部(外保持部31)が、基部30の軸芯P2周りに回転自在に支持された状態となっている。
基部30に対して事前に設定された特定の向きに、保持部(外保持部31)が戻るように付勢する付勢部(コイルバネ58)が備えられた状態となっている。
【0129】
(発明の実施の第4別形態)
前述の(発明の実施の第3別形態)のハンド部20において、図19に示すように、支持軸56の下部に外保持部31を連結することに加えて、内保持部32を、支持軸56の下部に外保持部31の反対側に向くように連結してもよい。
【0130】
(発明の実施の第5別形態)
前述の(発明の実施の第3別形態)(発明の実施の第4別形態)のハンド部20において、右向き、左向き、前向き、後向き、斜め上向き及び斜め下向き等の向きの異なる複数の連結部(図示せず)を、基部30に設けて、外保持部31(内保持部32)を、複数の連結部のうちの所望の連結部に取り付け及び取り外しできるように構成してもよい。
【0131】
以上の構成により、ハンド部20において、複数の異なる向きで荷物を保持する保持部(外保持部31、内保持部32)が備えられた状態となっている。
【0132】
(発明の実施の第6別形態)
ハンド部20において、外保持部31及び内保持部32に加えて、前向きの前保持部(図示せず)や後向きの後保持部(図示せず)を備えてもよい。
この場合、外保持部31及び内保持部32、前保持部及び後保持部を同じ形状に形成するのではなく、各種の荷物に対応できるように、各々を異なる形状に形成すればよい。
【0133】
ハンド部20において、面ファスナ36に代えて、嵌めこみ部(図示せず)やバックル部(図示せず)を、持ち手取付部として設けてもよい。
【0134】
(発明の実施の第7別形態)
受け止め部46において、下側の2本の取付部48を廃止して、上側の2本の取付部48を肩ベルト5に取り付けるように構成してもよい。
【0135】
(発明の実施の第8別形態)
受け止め部46(前当て部47及び取付部48)を、可撓性の部材により形成するのではなく、硬質の合成樹脂等により形成してもよい。
【0136】
この構造によると、受け止め部46を肩ベルト5及び取付ベルト4に取り付けた状態において、受け止め部46(前当て部47)を作業者の胸部及び腹部から少し前側に離れて位置させることができる。
【0137】
前項の(横向きに置かれたタイヤに対するハンド部の保持操作)(縦向きに置かれたタイヤに対するハンド部の保持操作)に記載のように、ハンド部20により保持したタイヤBのトレッド部B3を、受け止め部46(前当て部47)に当てた場合、タイヤBの重量が、受け止め部46を介して肩ベルト5及び取付ベルト4に掛かるのであり、作業者の胸部や腹部に直接に掛からない。
【0138】
(発明の実施の第9別形態)
上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24を、取付部21に設けてもよい。
この構造によると、持ち手部40をハンド部20に連結して、ハンド部20及び持ち手部40を、取付部21に取り付けるように構成してもよい(交換するように構成してもよい)。
【0139】
上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24を、ハンド部20に設けてもよい。
この構造によると、持ち手部40をハンド部20に連結して、ハンド部20及び持ち手部40を取付部21に連結してもよい。
【0140】
(発明の実施の第10別形態)
上昇操作スイッチ23を左の持ち手部40(ハンド部20、取付部21)に設け、下降操作スイッチ24を右のハンド部20(ハンド部20、取付部21)に設けてもよい。
上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の両方を、右又は左の一方の持ち手部40(ハンド部20、取付部21)に設けてもよい。
【0141】
(発明の実施の第11別形態)
アシスト器具において、右及び左のアーム部2を廃止して、1本のアーム部2を備えてもよい。
この構造によると、1本のアーム部2から2本のワイヤ18を延出して、2本のワイヤ18の一方に右の取付部21(ハンド部20)を接続し、2本のワイヤ18の他方に左の取付部21(ハンド部20)を接続する。又は、1本のアーム部2から1本のワイヤ18を延出し、1本のワイヤ18の端部を二股状に分岐させて、分岐部分の一方に右の取付部21(ハンド部20)を接続し、分岐部分の他方に左の取付部21(ハンド部20)を接続する。
【0142】
(発明の実施の第12別形態)
アシスト器具において、脚作用部3を備えないように構成してもよい。本体部1を、作業者の背中部ではなく、作業者の肩部に取り付けるように構成してもよい。
【0143】
昇降装置17、上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24を廃止して、ワイヤ18,19を本体部1やアーム部2に連結し、ハンド部20の位置を固定して、ハンド部20の昇降を行わないように構成してもよい。
この場合、ワイヤ18,19に代えて、合成繊維製の細長いベルト(図示せず)(索状体に相当)(吊り下げ機構に相当)や、金属製のチェーン(図示せず)(索状体に相当)(吊り下げ機構に相当)を使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明のアシスト器具は、作業者に装着されて作業者による荷物の保持を補助するアシスト器具に適用できる。
本発明の荷物保持用のハンド部は、作業者に装着されて作業者による荷物の保持を補助するアシスト器具に使用されるハンド部ばかりではなく、建物の天井部に支持されたウインチ等に使用されるハンド部にも適用できる。
本発明は、タイヤBばかりではなく、タイヤB以外の荷物を保持するアシスト器具及び荷物保持用のハンド部にも適用できる。
【符号の説明】
【0145】
1 本体部
2 アーム部
18 ワイヤ(索状体、吊り下げ機構)
19 ワイヤ(索状体、吊り下げ機構)
20 ハンド部
30 基部
31 外保持部
32 内保持部
36 面ファスナ(持ち手取付部)
40 持ち手部
B タイヤ(荷物)
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