(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
これより、本明細書の例示的な実施形態について詳細に説明する。
【0035】
本明細書は、低い減衰、低い曲げ損失、及び高い有効面積を示す光ファイバを提供する。光ファイバは、コア及び、該コアを取り囲むクラッドを備えている。クラッドは、内側クラッド領域及び外側クラッド領域を含む。
【0036】
これより、本明細書で用いられる、選択された用語について説明する:
「半径位置」又は半径座標「r」とは、ファイバの中心線(r=0)に対する半径位置を指す。長さ寸法「μm」は、本明細書では、ミクロン又はμmと表されうる。μmに基づく面積寸法は、本明細書ではミクロン
2又はμm
2と表されうる。
【0037】
「屈折率プロファイル」とは、屈折率又は相対屈折率とファイバの半径との関係である。隣接するコア及び/又はクラッド領域の間に段差境界を有するような本明細書に示される相対屈折率プロファイルでは、処理条件の通常の変動により、隣接する領域の界面における、はっきりとした段差境界の獲得が妨げられる場合がある。屈折率プロファイルの境界は本明細書では屈折率における段差変化として示されうるが、実際の境界は、曲線的であるか、あるいは、そうでなくても完全なステップ関数の特性からは逸脱する可能性があることが理解されるべきである。相対屈折率の値は、コア領域内及び/又はいずれかのクラッド領域内の半径位置によって変動しうることがさらに理解される。相対屈折率がファイバの特定の領域(コア領域及び/又はいずれかのクラッド領域)における半径位置によって変動する場合、それは、その実際の又は近似的な関数依存性に関して、若しくは、その領域に適用可能な平均値に関して、表されうる。特に指定しない限り、領域(コア領域及び/又はいずれかのクラッド領域)の相対屈折率が単一の値として表される場合、その領域における屈折率が一定であるか、ほぼ一定であり、かつ、単一の値に対応しているか、あるいは、その単一の値がその領域の半径位置に対する一定ではない相対屈折率依存性の平均値を表していることが理解される。設計によるものであっても、通常の製造ばらつきの結果であっても、半径位置における相対屈折率の依存性は、傾斜、曲線、又はそうでなくとも一定ではない可能性がある。
【0038】
光ファイバの「相対屈折率」又は「相対屈折率パーセント」は、以下のように定められる:
【0040】
式中、n(r)は、特に指定しない限り、ファイバの中心線からの半径方向距離rにおけるファイバの屈折率であり、n
cは1.444であり、これは、1550nmの波長におけるドープされていないシリカガラスの屈折率である。本明細書で用いられる場合、相対屈折率は、Δ(又は「デルタ」)若しくはΔ%(又は「デルタ%」)で表され、その値は、特に指定しない限り、「%」単位で与えられる。相対屈折率はまた、Δ(r)又はΔ(r)%と表される場合がある。
【0041】
ファイバの1つの領域の平均相対屈折率は、以下から決定される:
【0043】
式中、r
内側は領域の内半径であり、r
外側は領域の外半径であり、Δ(r)は領域の相対屈折率である。
【0044】
用語「α−プロファイル」(「アルファプロファイル」とも称される)とは、以下の関数形式を有する相対屈折率プロファイルΔ(r)を指す:
【0046】
式中、r
oは、Δ(r)が最大になる点であり、r
1は、Δ(r)が0になる点であり、rは、r
i≦r≦r
fの範囲内にあり、ここで、r
iはα−プロファイルの初期点であり、r
fはα−プロファイルの終点であり、αは実数である。幾つかの実施形態では、本明細書に示される例は、1≦α≦100のコアアルファを有しうる。幾つかの実施形態では、本明細書に示される例は、1≦α≦10のコアアルファを有しうる。幾つかの実施形態では、本明細書に示される例は、10≦α≦100のコアアルファを有しうる。幾つかの実施形態では、本明細書に示される例は、10≦α≦30のコアアルファを有しうる。
【0047】
光ファイバの「有効面積」は、以下のように定められる:
【0049】
式中、f(r)は、誘導される光信号の電界の横成分であり、rは、ファイバにおける半径位置である。「有効面積」又は「A
eff」は、光信号の波長に応じて決まり、本明細書では、1550nmの波長のことを指すと理解される。は、本明細書では「有効面積」又は「A
eff」のことを指すときに、特定の波長が表示される。
【0050】
光ファイバの「モードフィールド径」又は「MFD」は、以下のように定められる:
【0052】
式中、f(r)は、誘導される光信号の電界分布の横成分であり、rは、ファイバにおける半径位置である。「モードフィールド径」又は「MFD」は、光信号の波長に応じて決まり、本明細書では、1550nmの波長のことを指すと理解される。
【0053】
「トレンチ体積」は、以下のように定められる:
【0055】
ここで、r
トレンチ,内側は、屈折率プロファイルのトレンチ領域の内半径であり、r
トレンチ,外側は、屈折率プロファイルのトレンチ領域の外半径であり、Δ
トレンチ(r)は、屈折率プロファイルのトレンチ領域の相対屈折率であり、rは、ファイバにおける半径位置である。トレンチ体積は絶対値かつ正の量であり、本明細書では%Δミクロン
2、%Δ−ミクロン
2、%Δ−μm
2、又は%Δμm
2を単位として表され、したがって、これらの単位は、本明細書では同じ意味で用いられうる。
【0056】
光ファイバの、特記しない限り本明細書において「分散」と称される、「波長分散」とは、材料分散、導波路分散、及び多モード分散の合計である。単一モード導波路ファイバの事例では、多モード分散は0である。2モード領域(two-mode regime)の分散値は、多モード分散を0であると仮定する。ゼロ分散波長(λ
0)は、分散値が0の波長である。分散スロープは、波長に対する分散の変化率である。分散及び分散スロープは、本明細書では1550nmの波長において報告され、nm/ps/kmを単位として表される。
【0057】
光ファイバのカットオフ波長は、光ファイバが1つの伝搬モードのみを支持する最小波長である。カットオフ波長未満の波長では、マルチモード伝送が生じる場合があり、分散のさらなる発生源が発生して、ファイバの情報伝達能力を制限することがある。カットオフ波長は、本明細書では、ファイバカットオフ波長又はケーブルカットオフ波長として報告される。ファイバカットオフ波長は、2メートルのファイバ長に基づいており、ケーブルカットオフ波長は、22メートルのケーブルファイバ長に基づいている。22メートルのケーブルカットオフ波長は、ケーブル環境における、より高レベルの曲げ及び機械的圧力に起因して、典型的には、2メートル未満のカットオフ波長である。
【0058】
光ファイバの曲げ耐性は、所定の試験条件下で、曲げにより誘起される減衰によって測定することができる。本明細書では、マンドレルラップ試験によって曲げ損失を決定した。マンドレルラップ試験では、ファイバは、特定の直径を有するマンドレルに巻き付けられ、1550nmにおける巻き付けられた構成のファイバの減衰が決定される。曲げ損失は、巻き付けられていない(真っすぐな)構成のファイバの減衰に対する、巻き付けられた構成のファイバの減衰における増加として報告される。曲げ損失は、本明細書では、dB/ターンを単位として報告され、1ターンは、マンドレルの外周の周りのファイバの1回の巻き付けに対応する。20mm、30mm、40mm、50mm、及び60mmのマンドレル直径についての曲げ損失を決定した。
【0059】
マイクロ曲げを測定するためのワイヤメッシュで覆われたドラム試験では、直径400mmのアルミニウムドラムにワイヤメッシュを巻き付ける。メッシュは、引き伸ばされることなく、しっかりと巻き付けられる。ワイヤメッシュは、 穴、窪み、又は損傷のない、無傷のものでなければならない。本明細書の測定に用いられるワイヤメッシュ材料は、耐腐食タイプ304ステンレス鋼の織金網でできており、次の特性を有していた:1リニアインチ(約2.54cm)あたりのメッシュ:165×165、ワイヤ直径:0.0019インチ(約48.26μm)、開口幅:0.0041インチ(約104.14μm)、及び開口面積%:44.0。導波路ファイバの所定の長さ(750m)を、80(±1)グラムの張力を印加しつつ、0.050cmの巻き取りピッチでワイヤメッシュドラム上に1m/秒で巻き付ける。ファイバの所定の長さの末端は、張力を維持するようにテープで留められ、ファイバの交差は存在しない。光ファイバの減衰は、選択された波長(典型的には1200〜1700nmの範囲内、例えば、1310nm又は1550nm又は1625nm)で測定される。基準減衰が、滑らかなドラム(すなわち、ワイヤメッシュを有しないドラム)上に巻き付けられた光ファイバについて測定される。滑らかなドラム上で行われた測定に対する、ワイヤメッシュを有するドラム上で行われた測定におけるファイバ減衰の増加(dB/km単位)が、選択された波長におけるファイバのワイヤメッシュで覆われたドラムの減衰として報告される。
【0060】
本ファイバは、コアと、該コアを取り囲むクラッドとを備えている。ファイバはまた、クラッド領域を取り囲む一次コーティング、及び、該一次コーティングを取り囲む二次コーティングも備えていてもよい。クラッドは、コアに直接、隣接しうる。一次コーティングは、クラッドに直接、隣接しうる。二次コーティングは、一次コーティングに直接、隣接しうる。クラッド領域は、内側クラッド領域及び外側クラッド領域を含みうる。外側クラッド領域は、内側クラッド領域に直接、隣接しうる。内側クラッド領域は、コアに直接、隣接しうる。一次コーティングは、外側クラッド領域に直接、隣接しうる。本明細書で用いられる場合、「〜に直接、隣接」とは、直接的に物理的に接触していることを意味し、直接的物理的接触とは、触れ合っている関係のことを指す。代替的な実施形態では、介在する層又は領域は、コアとクラッドとの間、又はクラッドと一次コーティングとの間、又は一次コーティングと二次コーティングとの間、又は内側クラッド領域とコアとの間、又は外側クラッド領域と内側クラッド領域との間、又は一次コーティングと外側クラッド領域との間に存在しうる。1つ以上の介在する領域又は層によって分離されているファイバ内の要素は、本明細書では「隣接」と表され、互いに直接、物理的に接触していない。
【0061】
コア領域の屈折率プロファイルは、ファイバの大きい有効面積を維持しつつ、減衰損失を最小限に抑えるように設計されうる。一次及び二次コーティングは、コア及びクラッドの機械的完全性を保護し、かつ、ファイバ内に誘導される光信号の特性における外的機械的擾乱の影響を最小限に抑えるように選択されうる。一次及び二次コーティングは、曲げ及び他の摂動力に起因する損失が最小限に抑えられることを確実にしうる。クラッド領域の屈折率プロファイルもまた、曲げ損失の低減に寄与するように設計されうる。
【0062】
本明細書で使用される場合には常に、半径r
1及び相対屈折率Δ
1(r)はコアのことを称し、半径r
2及び相対屈折率Δ
2(r)は内側クラッド領域のことを称し、半径r
3及び相対屈折率Δ
3(r)は外側クラッド領域のことを称している。コアはファイバの中心部分を形成し、実質的に円筒形の形状をしていることが理解されている。その周囲の内側クラッド領域及びそれを取り囲む外側クラッド領域は、実質的に環状の形状であることもさらに理解されている。環状の領域は、内半径及び外半径に関して特徴付けることができる。半径位置r
1、r
2、及びr
3は、本明細書では、それぞれ、コア、内側クラッド領域、及び外側クラッド領域の最も外側の半径を指す。2つの領域が互いに直接、隣接している場合、2つの領域の内側の外半径は、2つの領域の外側の内半径と一致する。一実施形態において、例えば、ファイバは、外側クラッド領域に取り囲まれ、それに直接、隣接している内側クラッド領域を含む。このような実施形態では、半径r
2は、内側クラッド領域の外半径及び外側クラッド領域の内半径に対応する。
【0063】
ある特定の実施形態では、相対屈折率プロファイルは、コアと内側クラッド領域との間のオフセット領域を含みうる。半径r
4及び相対屈折率Δ
4(r)は、オフセット領域を指す。半径r
4は、オフセット領域の最も外側の半径を指す。オフセット領域が相対屈折率プロファイル内に存在する場合、r
1は、コアの外半径及びオフセット領域の内半径に対応する一方、r
4は、オフセット領域の外半径及び内側クラッド領域の内半径に対応する。
【0064】
以下にさらに記載されるように、コア、内側クラッド領域、及び外側クラッド領域の相対屈折率は異なっていてもよい。領域の各々は、シリカガラス又はシリカ系ガラスから形成されうる。シリカ系ガラスは、1つ以上の元素をドープした、又は、1つ以上の元素で改質されたシリカガラスである。屈折率の変動は、当業者に知られている手法を使用して、目標とする屈折率又は屈折率プロファイルをもたらすことが知られているレベルでのアップドーパント又はダウンドーパントの取り込みによって達成されうる。アップドーパントは、ドープされていないガラス組成物と比較して、ガラスの屈折率を増加させるドーパントである。ダウンドーパントは、ドープされていないガラス組成物と比較して、ガラスの屈折率を低下させるドーパントである。一実施形態において、ドープされていないガラスは、純粋なシリカガラスである。ドープされていないガラスが純粋なシリカガラスである場合、アップドーパントとして、Cl、Br、Ge、Al、P、Ti、Zr、Nb、及びTaが挙げられ、ダウンドーパントとしては、F及びBが挙げられる。一定の屈折率の領域は、ドーピングされていないか、又は均一な濃度でドーピングされることによって形成されうる。可変屈折率の領域は、ドーパントの均一でない空間分布によって形成されうる。
【0065】
本開示に従った多くのコーティングされたファイバの最初の概略的な断面図が、
図1に示されている。ファイバ11は、コア12、クラッド13、一次コーティング16、及び二次コーティング17を備えている。クラッド13は、内側クラッド領域14及び外側クラッド領域15を備えている。
【0066】
光ファイバのガラス部分(コア及びクラッド領域)についての代表的な屈折率プロファイルが、
図2に提示されている。
図2は、外半径r
1及び相対屈折率Δ
1を有するコア(1)と、半径位置r
1から半径位置r
2まで延在し、かつ、相対屈折率Δ
2を有する内側クラッド領域(2)と、半径位置r
2から半径位置r
3まで延在し、かつ、相対屈折率Δ
3を有する外側クラッド領域(3)とを有するファイバについての相対屈折率プロファイルを示している。コア領域(1)は、プロファイルにおいて最も高い相対屈折率を有する。コア領域(1)は、中心線(「中心線ディップ(centerline dip)」として当技術分野で知られている)又はその近くに低屈折率領域を含みうる(図示せず)。
図2に示される実施形態では、外側クラッド領域3は、コア1に直接隣接した内側クラッド領域2に直接、隣接している。
【0067】
相対屈折率Δ
1、Δ
2、及びΔ
3の相対的順序付けは、以下の条件を満たし、
Δ
1>Δ
3>Δ
2
ここで、Δ
1は0より大きく、Δ
2及びΔ
3の各々は、0に等しくても、0未満でも、0より大きくてもよい。オフセット領域が相対屈折率プロファイルに存在する場合、相対屈折率Δ
1、Δ
4、及びΔ
2は、以下の条件を満たし、
Δ
1>Δ
4>Δ
2
ここで、Δ
1は0より大きく、Δ
4及びΔ
2は各々、0であっても、0未満でも、0より大きくてもよい。
【0068】
一態様において、本ファイバは、低い減衰及び高い有効面積(A
eff)を提供する。低減衰は、一部にはドーパントの空間均一性を通じて達成され、レイリー散乱を最小限に抑える。高A
effファイバは、一部には、コアの相対屈折率Δ
1を以下に記載される範囲に制御することによって達成される。しかしながら、当技術分野で知られているように、高いA
effを有するファイバは、曲げの影響を受けやすく、曲げ損失を原因として、低いA
effを有するファイバよりも高い減衰を示す。この高A
effファイバについて予想される曲げ損失の増加を打ち消すために、本ファイバの相対屈折率プロファイルは、モート(moat)体積が大きい内側クラッド領域を含むように設計される。
【0069】
高いA
eff、低い減衰、低い曲げ損失及び低い応力光学効果を有するファイバを達成することがさらに好ましい。応力光学効果とは、ファイバ延伸プロセスの間にコアに生じる応力を指す。応力は、コアの相対屈折率を低減するように作用し、したがってコアとクラッドとの間の相対屈折率の差分を低減するように作用する。効率的な閉じ込め及び導波のために、コアとクラッドとの間の相対屈折率の適当な差分が必要とされることから、応力光学効果を最小限に抑えることが望ましい。
【0070】
コアにおける応力光学効果は、2つの主な要因:(1)コアとクラッドの粘度における差異から生じるコア応力、及び、(2)コアとクラッドの熱膨張係数における差異から生じるコア応力によって決定される。複数の領域を有するクラッドを備えたファイバについては、コアに直接隣接するクラッドが、最も関連性が高い。本明細書の目的のため、コアと、内側クラッド領域及び外側クラッド領域を有するクラッドとを有するファイバについての応力光学効果について説明する。したがって、論述は、直接隣接した内側クラッド領域を有するコアに関する応力光学効果に焦点が当てられている。
【0071】
ファイバ延伸プロセスは、コア及びクラッド(内側クラッド領域及び外側クラッド領域を含む)を有するファイバプリフォームを軟化点又はその近くの温度まで加熱する工程、及びファイバを延伸する工程を必然的に伴う。延伸温度において、コアと内側クラッド領域の粘度は、組成の差異に起因して異なっている。粘度の差異により、コア及び内側クラッド領域の界面に応力が生じる。応力は、ファイバが冷却され、延伸の間に凝固するにつれて、コアに伝達され、保持される。コアと内側クラッド領域との間の粘度不整合から生じるコア応力は、応力光学効果に対する1つの寄与である。
【0072】
応力光学効果に対する第2の寄与は、コア及び内側クラッド領域の熱膨張係数の差異に由来する。ファイバが軟化点から冷却され、延伸の間に凝固するにつれて、熱膨張係数の差異によって、内側クラッド領域に対するコアの体積変化に差異が生じる。高い熱膨張係数を有する材料は、低い熱膨張係数を有する材料よりも、冷却される際に、より大きい体積の収縮を被る。軟化点では、コア及び内側クラッド領域は、構造緩和及び応力の消散を可能にするのに十分に粘性であり、熱膨張係数の差異は重要ではない。しかしながら、ファイバが冷却されて、延伸の間に凝固したファイバを形成するにつれて、コア及び内側クラッド領域の熱膨張係数の差異によって生じる差分収縮により、コア内に応力を発達させる界面応力が生成する。
【0073】
組成に応じて、応力光学に対する2つの主な応力寄与は、コア内の応力の状態に、多少なりとも効果を有しうる。幾つかの事例では、2つの効果は、コア内の応力レベルを増加させるように累積的に作用可能であるが、他の事例では、2つの効果は、互いに部分的にオフセットするか又は反対に作用して、各効果の応力よりも小さい正味のコア応力を独立してもたらすことができる。
【0074】
本ファイバのコア及び内側クラッド領域の組成は、コア内の応力レベルを最小限に抑えるように選択されている。特に、コア及び内側クラッド領域のためのドーパント、ドーピング濃度、及び相対屈折率プロファイルは、高い有効面積及び/又は低い曲げ損失を同時にもたらしつつ、応力光学効果を最小限に抑えるように選択されている。
【0075】
一実施形態において、コアは、Cl(塩素)をドープされたシリカガラスである。別の実施形態では、内側クラッド領域は、ドープされていないシリカガラスであるか、又はF(フッ素)をドープされたシリカガラスである。さらに別の実施形態では、外側クラッド領域は、ドープされていないシリカガラスであるか、又はF又はClをドープされたシリカガラスである。さらなる実施形態では、コアは、Clをドープされたシリカガラスであり、Ge及びKを含まない。
【0076】
一実施形態において、コアは、Clをドープされたシリカガラスであり、内側クラッド領域は、Fをドープされたシリカガラスであり、外側クラッド領域は、ドープされていないシリカガラスである。別の実施形態では、コアは、Clをドープされたシリカガラスであり、内側クラッド領域は、Fをドープされたシリカガラスであり、外側クラッド領域は、Clをドープされたシリカガラスである。さらに別の実施形態では、コアは、Clをドープされたシリカガラスであり、内側クラッド領域は、Fをドープされたシリカガラスであり、外側クラッド領域は、内側クラッド領域よりも低い濃度のFをドープされたシリカガラスである。また別の実施形態では、コアは、Clをドープされたシリカガラスであり、内側クラッド領域は、ドープされていないシリカガラスであり、外側クラッド領域は、コアよりも低い濃度のClをドープされたシリカガラスである。前述の実施形態の各々において、コアは、Ge及びKを含まなくてもよい。
【0077】
コア用のシリカガラスにおけるアップドーパントとしてのClの使用は、Geの使用にとって好ましい。Geは、シリカガラス中に均一に取り込むことが困難であり、濃度変動の影響を受けやすく、レイリー散乱を通じて減衰を増加させる働きをする。Clは、シリカガラス中のドーパントとして均一な濃度で取り込むことができ、レイリー散乱の低減及び減衰の低下につながる。
【0078】
Clをドープされたシリカガラスは、ドープされていないシリカガラスよりも低い粘度を有し、かつ、ドープされたシリカガラスクラッド材料の粘度に、より密接に一致して、コアと内側クラッド領域との間の粘度における差分から生じるコア応力に対する寄与を低下させることから、Clをドープされたシリカガラスは、ドープされていないシリカガラスよりもファイバコア材料として好ましい。ファイバによる有効な導波には、コア及び内側クラッド領域の相対屈折率における適当な差分が必要とされる。シリカガラスがファイバのベースガラスである場合、コア及び内側クラッド領域の相対屈折率における差分は、コアにアップドーピングし、クラッドにダウンドーピングすることによって達成することができる。シリカガラスにとって可能なダウンドーパントの中では、その濃度分布を制御することができ、比較的均一なFドーピングを達成することができることから、Fが好ましい。Clドーピングの場合のように、シリカガラスにFをドーピングすることにより、軟化点における粘度の低下が生じる。
【0079】
コア応力における熱膨張の影響に関して、Clをドープされたシリカガラスは、ドープされていないシリカガラスよりも高い熱膨張係数を有し、Fをドープされたシリカガラスは、ドープされていないシリカガラスと同様の、Clをドープされたシリカガラスのものよりも低い熱膨張係数を有する。
【0080】
Cl及びFのドーピング濃度は、それぞれ、コア及び内側クラッド領域の粘度及び熱膨張係数を制御するように変動させることができる。本ドーピングスキームの一実施形態では、熱膨張及び粘度の効果を、この2つの効果によって生成した応力が、互いに少なくとも部分的にオフセットされて、コアにおける正味の応力を低下させるような方法で制御することによって、応力光学効果を最小限に抑えつつ、コアとクラッドとの間の適当な屈折率の差分を確実にするように、コア及び内側クラッド領域に、それぞれ、十分な濃度のCl及びFがドープされる。一方では、コアのClドーピング濃度が高くなると、コアの熱膨張係数が増加する。結果的に、内側クラッド領域内の所与のFドーピング濃度については、コア応力に対する熱膨張の寄与が増加する。他方では、コア内の所与のClドーピング濃度について、内側クラッド領域のFドーピング濃度が増加するにつれて、内側クラッド領域の粘度はコアと比較して低下し、コア応力に対する粘度不整合の寄与が増加する。しかしながら、コアの粘度に対する内側クラッド領域の粘度は、Fドーピングが増加するにつれて、低下することから、粘度不整合から生じる応力効果により、内側クラッド領域と比較してコアにおける大きい熱膨張係数に関連する応力効果が弱まる。コア応力に対して2つの寄与のバランスをとることによって、低いコア応力を達成することができ、応力光学効果を最小限に抑えることができる。本明細書に開示される、コアにおけるCl及び内側クラッド領域におけるFのドーピング濃度は、2つの寄与がバランスをとることを促すように選択されている。コアにおけるClのドーピング濃度及びコア半径r
1もまた、大きい有効面積(A
eff)を確実にするように制御されている。
【0081】
コアにおけるClのドーピング濃度は、少なくとも0.5質量%、又は少なくとも0.8質量%、又は少なくとも1.0質量%、又は少なくとも1.25質量%、又は少なくとも1.5質量%、又は少なくとも1.75質量%、又は少なくとも2.0質量%、又は少なくとも2.25質量%、又は0.5質量%〜3.0質量%の範囲、又は1.0質量%〜2.75質量%の範囲、又は1.5質量%〜2.5質量%の範囲でありうる。内側クラッド領域におけるFのドーピング濃度は、0.10質量%〜0.50質量%の範囲、又は0.15質量%〜0.45質量%の範囲、又は0.20質量%〜0.40質量%の範囲でありうる。コアにおけるClのドーピング濃度は0.5質量%〜3.0質量%の範囲とすることができ、内側クラッド領域におけるFのドーピング濃度は0.10質量%〜0.50質量%の範囲とすることができる。コアにおけるClのドーピング濃度は1.0質量%〜2.75質量%の範囲とすることができ、内側クラッド領域におけるFのドーピング濃度は0.15質量%〜0.45質量%の範囲とすることができる。コアにおけるClのドーピング濃度は1.5質量%〜2.5質量%の範囲とすることができ、内側クラッド領域におけるFのドーピング濃度は0.20質量%〜0.40質量%の範囲とすることができる。前述の実施形態の各々において、コアは、Ge及びKを含まなくてもよい。
【0082】
他の実施形態では、コアは、Clをドープされたシリカガラスであり、内側クラッド領域は、ドープされていないシリカガラスである。これらの実施形態では、応力光学効果は、コア応力に対する熱膨張及び粘度における不整合の寄与を弱めることを通じて最小限に抑えられる。Clをドープされたコアは、ドープされていないシリカの内側クラッド領域よりも高い熱膨張係数及び低い粘度を有する。結果的に、熱膨張から生じるコア応力は、粘度の差分から生じるコア応力をオフセット又は部分的にオフセットして、正味のコア応力を低減し、応力光学効果の低下をもたらす。
【0083】
シリカガラスコアにおけるClのドーピング濃度は2.0質量%〜3.0質量%の範囲とすることができ、かつ、内側クラッド領域はドープされていないシリカガラスとすることができ、あるいは、シリカガラスコアにおけるClのドーピング濃度は2.2質量%〜2.8質量%の範囲とすることができ、かつ、内側クラッド領域はドープされていないシリカガラスとすることができ、あるいは、シリカガラスコアにおけるClのドーピング濃度は2.3質量%〜2.7質量%の範囲とすることができ、かつ、内側クラッド領域は、ドープされていないシリカガラスとすることができる。前述の実施形態の各々において、コアは、Ge及びKを含まなくてもよい。
【0084】
外側クラッド領域は、ドープされていないシリカガラス、アップドープされたシリカガラス、又はダウンドープされたシリカガラスでありうる。一実施形態において、外側クラッド領域は、Clをドープされたシリカガラスであり、Cl濃度は0.10質量%〜0.60質量%の範囲、又は0.20質量%〜0.50質量%の範囲内にある。別の実施形態では、外側クラッド領域は、Fをドープされたシリカガラスであり、F濃度は、0.05質量%〜0.30質量%の範囲、又は0.10質量%〜0.25質量%の範囲内にある。
【0085】
コア、内側クラッド領域、及び外側クラッド領域の組成は、高い有効面積(A
eff)及び低い曲げ損失を有するファイバと合致する相対屈折率プロファイルをもたらすように制御されうる。
【0086】
有効面積は、一部には、コアの相対屈折率Δ
1、コアの半径r
1、及び/又は、コアと内側クラッド領域との間の相対屈折率の差Δ
1−Δ
2によって制御される。曲げ損失は、一部には、内側クラッド領域の相対屈折率Δ
2、内側クラッド領域の半径r
2、半径の差r
2−r
1、内側クラッド領域のトレンチ体積、コアと内側クラッド領域との間の相対屈折率の差Δ
1−Δ
2、及び/又は、内側クラッド領域と外側クラッド領域との間の相対屈折率の差Δ
3−Δ
2によって制御される。
【0087】
コアの相対屈折率Δ
1は、0.08%〜0.30%の範囲、又は0.10%〜0.25%の範囲、又は0.12%〜0.20%の範囲、又は0.14%〜0.18%の範囲でありうる。コアの半径r
1は、5.0μm〜9.0μmの範囲、又は6.0μm〜10.0μmの範囲、又は6.0μm〜9.0μmの範囲、又は6.0μm〜8.0μmの範囲、又は6.5μm〜7.5μmの範囲、又は7.0μm〜10.0μmの範囲でありうる。
【0088】
内側クラッド領域の相対屈折率Δ
2は、0%〜−0.25%の範囲、又は−0.05%〜−0.20%の範囲、又は−0.10%〜−0.20%の範囲でありうる。内側クラッド領域の半径r
2は、15μm〜40μmの範囲、又は15μm〜38μmの範囲、又は20μm〜38μmの範囲、又は20μm〜35μmの範囲、又は20μm〜30μmの範囲、又は22μm〜38μmの範囲、又は22μm〜35μmの範囲、又は24μm〜38μmの範囲、又は24μm〜35μmの範囲でありうる。
【0089】
内側クラッド領域のトレンチ体積は、20%Δμm
2超、又は30%Δμm
2超、又は40%Δμm
2超、又は60%Δμm
2超、又は80%Δμm
2超、又は100%Δμm
2超、又は20%Δμm
2〜200%Δμm
2の範囲、又は30%Δμm
2〜170%Δμm
2の範囲、又は40%Δμm
2〜140%Δμm
2の範囲でありうる。
【0090】
外側クラッド領域の相対屈折率Δ
3は、−0.20%〜0.10%の範囲、又は−0.15%〜0.10%の範囲、又は−0.10%〜0.05%の範囲、又は−0.05%〜0.05%の範囲でありうる。外側クラッド領域の半径r
3は、少なくとも55μm、又は少なくとも60μm、又は55μm〜70μmの範囲、又は60μm〜65μmの範囲、又は約62.5μmでありうる。
【0091】
相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.15%、又は少なくとも0.20%、又は少なくとも0.25%、又は少なくとも0.30%でありうる。相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.05%、又は少なくとも0.06%、又は少なくとも0.08%、又は少なくとも0.10%、又は少なくとも0.12%、又は少なくとも0.15%、又は少なくとも0.20%でありうる。
【0092】
相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.15%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.05%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.15%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.06%とすることができ。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.15%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.08%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.15%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.10%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.15%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.12%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.15%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.15%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.15%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.20%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.15%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.25%とすることができる。
【0093】
相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.20%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.05%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.20%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.06%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.20%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.08%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.20%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.10%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.20%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.12%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.15%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.20%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.20%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.20%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.20%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.25%とすることができる。
【0094】
相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.25%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.05%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.25%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.06%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.25%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.08%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.25%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.10%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.25%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.12%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.25%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.15%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.25%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.20%とすることができる。相対屈折率の差Δ
1−Δ
2は、少なくとも0.25%とすることができ、かつ、相対屈折率の差Δ
3−Δ
2は、少なくとも0.25%とすることができる。
【0095】
本明細書に記載されるドーピングスキーム及び相対屈折率プロファイルを有する光ファイバは、高いモードフィールド径、大きい有効面積、低い減衰、及び低い曲げ損失を特徴とする。
【0096】
1550nmの波長におけるファイバのモードフィールド径は、少なくとも10.0μm、又は少なくとも11.0μm、又は少なくとも11.5μm、又は少なくとも12.0μm、少なくとも12.5μm、又は少なくとも13.0μm、又は少なくとも13.5μm、又は少なくとも14.0μm、又は10.0μm〜15.0μmの範囲、又は11.0μm〜14.0μmの範囲でありうる。
【0097】
1550nmの波長における本ファイバの有効面積は、少なくとも100μm
2、又は少なくとも110μm
2、又は少なくとも120μm
2、又は少なくとも130μm
2、又は少なくとも140μm
2、又は少なくとも150μm
2、又は100μm
2〜180μm
2の範囲、又は110μm
2〜165μm
2の範囲、又は120μm
2〜155μm
2の範囲でありうる。
【0098】
20mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレルラップ試験によって決定される1550nmにおける本ファイバの曲げ損失は、4.0dB/ターン未満、又は3.5dB/ターン未満、又は3.0dB/ターン未満、又は2.5dB/ターン未満、又は2.0dB/ターン未満、又は1.5dB/ターン未満、又は1.0dB/ターン未満、又は0.2dB/ターン〜4.0dB/ターン、又は0.3dB/ターン〜3.5dB/ターン、又は0.4dB/ターン〜3.0dB/ターン、又は0.5dB/ターン〜2.5dB/ターンでありうる。
【0099】
30mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレルラップ試験によって決定される1550nmにおける本ファイバの曲げ損失は、1.5dB/ターン未満、又は1.0dB/ターン未満、又は0.8dB/ターン未満、又は0.6dB/ターン未満、又は0.4dB/ターン未満、又は0.3dB/ターン未満、又は0.2dB/ターン未満、又は0.05dB/ターン〜1.5dB/ターン、又は0.1dB/ターン〜1.5dB/ターン、又は0.15dB/ターン〜1.0dB/ターン、又は0.2dB/ターン及び0.8dB/ターンでありうる。
【0100】
40mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレルラップ試験によって決定される1550nmにおける本ファイバの曲げ損失は、0.6dB/ターン未満、又は0.4dB/ターン未満、又は0.2dB/ターン未満、又は0.1dB/ターン未満、又は0.05dB/ターン未満、又は0.025dB/ターン未満、又は0.01dB/ターン未満、又は0.005dB/ターン〜0.6dB/ターン、又は0.005dB/ターン〜0.5dB/ターン、又は0.01dB/ターン〜0.5dB/ターン、又は0.01dB/ターン〜0.4dB/ターンでありうる。
【0101】
50mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレルラップ試験によって決定される1550nmにおける本ファイバの曲げ損失は、0.25dB/ターン(100ターンあたり25dB)未満、又は0.10dB/ターン(10dB/100ターン)未満、又は0.05dB/ターン(5.0dB/100ターン)未満、又は0.020dB/ターン(100ターンあたり2.0dB)未満、又は0.010dB/ターン(100ターンあたり1.0dB)未満、又は0.005dB/ターン(100ターンあたり0.5dB)未満、又は0.002dB/ターン(100ターンあたり0.2dB)未満、又は0.001dB/ターン(100ターンあたり0.1dB)未満、又は0.0005dB/ターン〜0.25dB/ターン、又は0.001dB/ターン〜0.20dB/ターン、又は0.001dB/ターン〜0.15dB/ターン、又は0.002dB/ターン〜0.15dB/ターンでありうる。
【0102】
60mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレルラップ試験によって決定される1550nmにおける本ファイバの曲げ損失は、0.15dB/ターン未満、又は0.10dB/ターン未満、又は0.05dB/ターン未満、又は0.02dB/ターン未満、又は0.01dB/ターン未満、又は0.005dB/ターン未満、又は0.002dB/ターン未満、又は0.001dB/ターン〜0.15dB/ターン、又は0.001dB/ターン〜0.10dB/ターン、又は0.002dB/ターン〜0.15dB/ターン、又は0.002dB/ターン〜0.10dB/ターンでありうる。
【0103】
ワイヤメッシュで覆ったドラムのマイクロ曲げ試験によって決定される1550nmにおける本ファイバの曲げ損失は、2.0dB/km未満、又は1.0dB/km未満、又は0.5dB/km未満、又は0.25dB/ターン〜2.0dB/ターン、又は0.25dB/ターン〜1.0dB/ターン、又は0.5dB/ターン〜2.0dB/ターン、又は0.5dB/ターン〜1.5dB/ターンである。
【0104】
1550nmにおける本ファイバの減衰は、0.20dB/km未満、又は0.19dB/km未満、又は0.18dB/km未満、又は0.17dB/km未満、又は0.16dB/km未満でありうる。
【0105】
本ファイバのケーブルカットオフ波長は、1600nm未満、又は1550nm未満、又は1500nm未満、又は1450nm未満、又は1400nm未満でありうる。
【0106】
1550nmにおける本ファイバの分散は、26ps/nm/km以下、又は24ps/nm/km以下、又は22ps/nm/km以下でありうる。
【0107】
本ファイバのコア及びクラッドは、当技術分野でよく知られている方法によって、一段階の操作又は多段階の操作で生産されうる。適切な方法としては、火炎燃焼法、火炎酸化法、火炎加水分解法、OVD(外部蒸着)、IVD(内部蒸着)、VAD(軸蒸着)、二重るつぼ法、ロッドインチューブ法、ケーンインスート(cane-in-soot)法、及びドープ堆積シリカ法(doped deposited silica processes)が挙げられる。さまざまなCVD法が知られており、本発明の光ファイバに用いられるコア、内側クラッド領域、及び外側クラッド領域の生産に適している。それらには、外部CVD法、軸蒸着法、改良CVD(MCVD)、内部蒸着、及びプラズマCVD(PECVD)が含まれる。
【0108】
シリカに適した前駆体としては、SiCl
4及び有機ケイ素化合物が挙げられる。有機ケイ素化合物は、炭素を含むケイ素化合物である。有機ケイ素化合物は、酸素及び/又は水素も含みうる。有機ケイ素化合物の例としては、OMCTS(オクタメチルシクロテトラシロキサン)、ケイ素アルコキシド(Si(OR)
4)、オルガノシラン(SiR
4)、及びSi(OR)
xR
4−xが挙げられ、式中、Rは炭素含有有機基又は水素であり、ここで、Rは、少なくとも1つのRが炭素含有有機基であるという条件に従って、出現ごとに同一であっても異なっていてもよい。塩素のドーピングに適した前駆体としては、Cl
2、SiCl
4、Si
2Cl
6、Si
2OCl
6、SiCl
3H、及びCCl
4が挙げられる。フッ素のドーピングに適した前駆体としては、F
2、CF
4、及びSiF
4が挙げられる。
【0109】
本明細書に開示される光ファイバは、プリフォームを形成する工程、プリフォームを圧密化する工程、及びファイバを延伸する工程によって製造することができる。例として及び限定することを意図せずに、OVD法に従ったシリカ(又はドープされたシリカ)のスートプリフォームの形成が、
図3及び4に示されている。
図3では、回転かつ平行移動するベイトロッド24の外表面上にシリカ含有スート22を堆積させることによって、スートプリフォーム20が形成される。ベイトロッド24は、好ましくはテーパ状になっている。ガラス/スート前駆体28をガス状の形態でバーナ26の火炎30に供給し、それを酸化することによって、スート22が形成される。メタン(CH
4)などの燃料32及び酸素などの支燃性ガス34がバーナ26に供給され、着火されて火炎30を形成する。Vで標識されたマスフローコントローラは、適量のガラス/スート前駆体28、燃料32及び支燃性ガス34を、好ましくはすべてガス状の形態で計量してバーナ26に供給する。ガラス/スート前駆体28は、ガラス形成化合物であり、火炎30内で酸化されて、光ファイバプリフォームのコアに対応しうる、概ね円筒形状をしたスート領域23を形成する。
【0110】
スートコアプリフォームの形成後、
図4に示されるように、円筒形のスート領域23を含むスートコアプリフォーム20は、加熱炉29内でドープされ(例えば塩素を)、焼結又は圧密化されて、焼結又は圧密化されたスートコアプリフォームを形成しうる。焼結又は圧密化の前に、
図3に示されるベイトロッド24が除去されて、中空の円筒形のスートコアプリフォームを形成する。塩素ドーピング及び焼結又は圧密化プロセスの間に、スートコアプリフォーム20は、例えば、加熱炉29の純粋な石英マッフル管27の内部に保持機構21によって懸架される。焼結又は圧密化工程の前に、プリフォーム20は塩素含有雰囲気に晒される。例えば、適切な塩素ドーピング雰囲気は、約950℃〜1500℃の温度及び約0.5〜10時間の適切なドーピング時間範囲で、約0パーセント〜70パーセントのヘリウム及び30パーセント〜100パーセントの塩素ガス、幾つかの実施形態では、50パーセント〜100パーセントの塩素ガスを含みうる。
【0111】
本明細書に開示されるファイバは、高い塩素ドーピング濃度を利用する。高い塩素ドーピングレベルは、多くの変数を制御することによって達成されうる。例えば、より高い温度を用いて、液体のSiCl
4(塩素ドーピング前駆体)を気化させて、結果的に、気相におけるSiCl
4濃度を増加させてもよい。気化器温度は、幾つかの実施形態では40℃より高く、幾つかの他の実施形態では45℃より高く、幾つかの他の実施形態では50℃より高く、さらに他の実施形態では57℃より高い。結果として、増加したSiCl
4濃度を、圧密化加熱炉内で用いることができる。幾つかの実施形態では、加熱炉への全流量に対する気化器/バブラーを通過するガスの割合は30%超であり、他の実施形態では、加熱炉への全流量に対する気化器/バブラーを通過するガスの割合は50%超であり、さらに他の実施形態では、加熱炉への全流量に対する気化器/バブラーを通過するガスの割合は80%超である。残余のガスはヘリウムでありうる。ある特定の他の実施形態では、加熱炉への全流量に対する気化器/バブラーを通過するガスの割合は100%である。
【0112】
幾つかの実施形態では、SiCl
4又は他のClドープ用前駆体のドーピングは、焼結プロセスの間に生じる、すなわち、スートプリフォームは、SiCl
4又は他のClドープ用前駆体の存在下、1300℃より高い温度、他の実施形態では1375℃より高い温度で、スートプリフォームが閉じた細孔状態になり、完全に焼結したプリフォームになる前、及び/又はその時点まで、ドープされる。幾つかの実施形態では、塩素ドーピングは、1400℃より高い温度で、焼結プロセスの間に生じる。
【0113】
SiCl
4又は他のClドープ用前駆体をドーピングするために、より高いスート表面積プリフォームを使用することは、スートプリフォームにおけるClドーピング濃度を高めるための別の戦略である。幾つかの実施形態では、スートプリフォームの表面積は、10m
2/gを超える;他の実施形態では、スートプリフォームの表面積は、20m
2/gを超える;さらに他の実施形態では、スートプリフォームの表面積は、25m
2/gを超える;及び、さらなる他の実施形態では、スートプリフォームの表面積は、50m
2/gを超える。ある特定の他の実施形態では、スートプリフォームの表面積は、90m
2/gを超える。プリフォームの表面積は、BET表面積特徴化技術を使用して測定することができる。
【0114】
SiCl
4又は他のClドープ用前駆体を使用する塩素ドーピングの量は、プリフォームの完全な圧密化の前に、SiCl
4(又は他のClドープ用前駆体)及びH
2O/O
2に順次曝露する複数のサイクルを用いて、シリカスートプリフォームを処理することによっても増加させることができる。理論に縛られることは望まないが、SiCl
4を用いてシリカスート表面を処理することにより、結果的に、SiCl
4とOHとの反応を通じてシリカスート表面のSi−OH部位に塩素のドーピングをもたらし、HClを放出して、Si−O−SiCl
3基を形成すると考えられる。加えて、SiCl
4は、シリカスートプリフォームの表面でSi−O−Si結合と反応して、Si−Cl基及びSi−O−SiCl
3基を生成することができる。結合した−SiCl
3基における各Cl原子を水(及び/又は酸素)で処理することによってOH基に変換することができ、これが次に、SiCl
4を用いたその後の処理の際に、さらなる−SiCl
3基を結合するための反応部位となる。プリフォームが逐次的なSiCl
4及びH
2O(及び/又はO
2)処理の繰り返しサイクルに晒されるこの手順を利用することにより、大量の塩素を取り込む、カスケード型(分岐状又はフラクタル状)の表面構造を作り出すことができる。これは、先行技術で報告された被ドープ塩素レベルと比較して、結果的に、圧密化されたガラス内に著しく高い塩素ドーピングレベルをもたらす。同様の考察が他のClドープ用前駆体にも適用される。
【0115】
プリフォームのスート表面積を増加させるために用いることができる他の方法としては、次のものが挙げられる:1)低密度レイダウン、2)被加圧高表面積スート、及び3)スートへのゾルゲルシリカ(例えば、TEOS、加水分解前又は後)又はLudox(登録商標)コロイド状シリカなどのナノ粒子シリカの含浸。
【0116】
塩素ドーピング工程の後、コアスートプリフォームは焼結されうる。本発明に用いられる焼結温度は、好ましくは、1100℃〜1600℃、さらに好ましくは約1400℃〜1550℃、最も好ましくは約1480℃〜1550℃の範囲でありうる。1つの特に好ましい焼結温度は、およそ1490℃である。焼結後、コアプリフォームは、より小さい直径へと延伸され、ある長さに切断されて、圧密化された塩素被ドープガラスコアケーンを形成しうる。
【0117】
焼結は、SiCl
4又は他のClドープ用前駆体の存在下で生じうる。Clのドーピング及び/又は焼結の間のSiCl
4又は他のClドープ用前駆体の分圧は、0.5atm超、又は1.0atm超、又は2.0atm超、又は5.0atm超でありうる。
【0118】
焼結されたCl被ドープスートは、光ファイバの製造におけるガラスコア又はガラスコアケーンとして用いられうる。次に、内側クラッド領域を形成するためのさらなるスートを、コアスートの堆積プロセスに関して上述したものと同じ方法を使用して、ガラスコア又はガラスコアケーン上に堆積さることができる。次に、フッ素又は他の光ファイバドーパントを含むドーパントガスを使用して、内側クラッドスートにフッ素をドープすることができる。例えば、SiF
4及び/又はCF
4ガスが用いられうる。このようなドーパントガスは、例えば約950℃〜1250℃の従来のドーピング温度を使用して、0.25〜4時間、用いられうる。本発明に用いられる焼結温度は、好ましくは、1100℃〜1600℃、さらに好ましくは約1400℃〜1550℃、最も好ましくは約1480℃〜1550℃の範囲でありうる。1つの特に好ましい焼結温度は、およそ1490℃である。
【0119】
本明細書に開示されるファイバは、従来の製造技術を使用し、かつ、例えば、その内容がここに参照することによって本明細書に取り込まれる、米国特許第7,565,820号、同第5,410,567号、同第7,832,675号、同第6,027,062号の各明細書に開示されるような、既知のファイバ延伸方法及び装置を使用して作られた光ファイバプリフォームから延伸されうる。特に、光ファイバは、トラクタによって光ファイバプリフォームのルート部分から引っ張られる。延伸加熱炉を離れた後、ベア光ファイバは、直径モニタ(D)にたどり着き、該モニタによって、フィードバック制御ループに用いられてトラクタの速度を調整し、一定のファイバ直径を維持する信号がもたらされる。ベア光ファイバは、次に、プリフォームからファイバを引っ張ることによって生じる光ファイバの張力を測定する、ファイバ張力測定装置(T)を通過する。この張力は、ファイバの延伸速度、プリフォームのルートの温度及び粘度等に応じて、増加しうる。ファイバ張力測定装置の一例は、ここに参照することによって本明細書に取り込まれる、欧州特許出願公開第0479120号明細書に開示されている。
【実施例】
【0120】
これより、本明細書に開示される1つ以上の有利な特徴を例証するために、本明細書に従った例となるファイバについて説明し、モデル化する。
【0121】
例となるファイバは、
図5〜18に示す相対屈折率プロファイルを有する。例となるファイバには、コア領域、内側クラッド領域、及び外側クラッド領域が備わっていた。例となるファイバの異なる領域の半径及び相対屈折率が表1a、1b、及び1cに示されている。外側クラッド領域の半径は62.5μmの半径r
3まで延在していたが、
図5〜18に示される描写では、外側クラッド領域を省略した。表1a、1b、及び1cには、各例となるファイバの内側クラッド領域のトレンチ体積も含まれている。各パラメータの単位及び対応する図面が掲載されている。シリカガラス中にアップドーパントとしてClを、シリカガラス中にダウンドーパントとしてFを、それぞれ含めることによって、Δ>0及びΔ<0を有する領域を得た。相対屈折率の値は、ドーピング濃度に実質的に比例しており、次の関係から推定することができる:1質量%のF〜−0.32Δ%及び1質量%のCl〜0.10Δ%。Δ=0の領域は、ドープされていないシリカガラスに対応する。表1a、1b、及び1cに示される実施例は、20のコアアルファを有していた。表記「Ex.」は「実施例」を表し、例となるファイバ1〜14の各々に対する識別参照を提供している。例となるファイバ1〜12は、コアと内側クラッド領域との間のオフセット領域を欠いていた。例となるファイバ13及び14は、コアと内側クラッド領域との間のオフセット領域を含んでいた。
【0122】
【表1a】
【0123】
【表1b】
【0124】
【表1c】
【0125】
例となるファイバ1〜14の光学特性をモデル化し、結果を表2a、2b、及び2cに提示した。
【0126】
【表2a】
【0127】
【表2b】
【0128】
【表2c】
【0129】
表2a、2b及び2cにおいて、MFDはモードフィールド径を指し、A
effは有効面積を指し、ケーブルカットオフ波長はLP11モードを指し、曲げ損失は、規定された直径を有するマンドレルを使用するマンドレルラップ試験についてモデル化されている。表1a、1b、1c、2a、2b、及び2cに示される光ファイバ設計は、100μm
2超の1550nmにおける有効面積、1550nm未満のケーブルカットオフ波長、22ps/nm/km未満の1550nmにおける分散、3.5dB/ターン未満の1550nmにおける20mmのマンドレル直径についての曲げ損失、100ターンあたり2dB未満の1550nmにおける60mmのマンドレル直径についての曲げ損失、及び0.17dB/km未満の減衰を有していた。これらのファイバは、2dB/km未満の1550nmの波長におけるワイヤメッシュで覆ったドラムのマイクロ曲げ損失を有していた。これらのファイバは、1dB/km未満の1550nmの波長におけるワイヤメッシュで覆ったドラムのマイクロ曲げ損失を有していた。表1a、1b、1c、2a、2b、及び2cの本発明の例において(Δ
2−Δ
3)*(R
22−R
12)と定義されるトレンチ体積V
トレンチは、50%Δμm
2を超えていた。幾つかの実施形態では、トレンチ体積V
トレンチは、100%Δμm
2を超える。さらに他の実施形態では、トレンチ体積V
トレンチは、150%Δμm
2を超える。ある特定の実施形態では、光ファイバは、1MPa未満のヤング率を有する一次コーティングと、1200MPa超のヤング率を有する二次コーティングとを含む。幾つかの実施形態では、光ファイバは、0.5MPa未満のヤング率を有する一次コーティングと、1500MPa超のヤング率を有する二次コーティングとを備えている。
【0130】
特に明記しない限り、本明細書に記載される方法はいずれも、その工程が特定の順序で行われることを必要とするように解釈されることは、決して意図されていない。したがって、方法の請求項がその工程が従うべき順序を実際に記載していない場合、あるいは、その工程が特定の順序に限られるべきであることが特許請求の範囲又は明細書に明確に記載されていない場合、特定の順序が推定されることは決して意図されていない。
【0131】
例示された実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、さまざまな修正及び変形がなされうることは、当業者にとって明白であろう。例示された実施形態の精神及び内容を取り込んだ本開示の実施形態の修正、組合せ、部分組合せ及び変形が当業者に想起されうることから、本明細書は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内のすべてを包含すると解釈されるべきである。
【0132】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0133】
実施形態1
1.5質量%を超える塩素濃度を有する、Clをドープされたシリカガラスを含むコア領域であって、6.0μm〜10.0μmの範囲の外半径r
1及び相対屈折率Δ
1を有する、コア領域;
前記コア領域を取り囲む内側クラッド領域であって、22μm〜38μmの範囲の外半径r
2及び相対屈折率Δ
2を有する、内側クラッド領域;及び
前記内側クラッド領域を取り囲む外側クラッド領域であって、前記相対屈折率Δ
2を少なくとも0.06%超過する相対屈折率Δ
3を有する、外側クラッド領域
を備えた、光ファイバであって、
1550nm未満のケーブルカットオフ、少なくとも100μm
2の1550nmにおける有効面積、及び20mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレルラップ試験によって決定して、3.5dB/ターン未満の1550nmにおける曲げ損失を有する、
光ファイバ。
【0134】
実施形態2
前記ケーブルカットオフが1500nm未満であることを特徴とする、実施形態1に記載の光ファイバ。
【0135】
実施形態3
前記ケーブルカットオフが1450nm未満であることを特徴とする、実施形態1に記載の光ファイバ。
【0136】
実施形態4
前記コアがGeを含まないことを特徴とする、実施形態1〜3のいずれかに記載の光ファイバ。
【0137】
実施形態5
前記外半径r
1が7.0μm〜10.0μmの範囲内にあることを特徴とする、実施形態1〜4のいずれかに記載の光ファイバ。
【0138】
実施形態6
前記相対屈折率Δ
1が0.08%〜0.30%の範囲内にあることを特徴とする、実施形態1〜5のいずれかに記載の光ファイバ。
【0139】
実施形態7
前記相対屈折率Δ
1が、前記相対屈折率Δ
2を少なくとも0.20%超過することを特徴とする、実施形態1〜6のいずれかに記載の光ファイバ。
【0140】
実施形態8
前記外半径r
2が24μm〜35μmの範囲内にあることを特徴とする、実施形態1〜7のいずれかに記載の光ファイバ。
【0141】
実施形態9
前記相対屈折率Δ
2が、−0.25%〜0%の範囲内にあることを特徴とする、実施形態1〜8のいずれかに記載の光ファイバ。
【0142】
実施形態10
前記相対屈折率Δ
3が、−0.20%〜0.10%の範囲内にあることを特徴とする、実施形態1〜9のいずれかに記載の光ファイバ。
【0143】
実施形態11
前記相対屈折率Δ
3が、前記相対屈折率Δ
2を少なくとも0.08%超過することを特徴とする、実施形態1〜10のいずれかに記載の光ファイバ。
【0144】
実施形態12
前記相対屈折率Δ
3が、前記相対屈折率Δ
2を少なくとも0.10%超過することを特徴とする、実施形態1〜10のいずれかに記載の光ファイバ。
【0145】
実施形態13
前記相対屈折率Δ
3が、前記相対屈折率Δ
2を少なくとも0.12%超過することを特徴とする、実施形態1〜10のいずれかに記載の光ファイバ。
【0146】
実施形態14
前記相対屈折率Δ
3が、前記相対屈折率Δ
2を少なくとも0.15%超過することを特徴とする、実施形態1〜10のいずれかに記載の光ファイバ。
【0147】
実施形態15
前記内側クラッド領域が、前記コアに直接隣接していることを特徴とする、実施形態1〜14のいずれかに記載の光ファイバ。
【0148】
実施形態16
前記外側クラッド領域が、前記内側クラッド領域に直接隣接していることを特徴とする、実施形態1〜15のいずれかに記載の光ファイバ。
【0149】
実施形態17
1550nmにおける前記有効面積が、少なくとも130μm
2であることを特徴とする、実施形態1〜16のいずれかに記載の光ファイバ。
【0150】
実施形態18
1550nmにおける前記有効面積が、少なくとも150μm
2であることを特徴とする、実施形態1〜16のいずれかに記載の光ファイバ。
【0151】
実施形態19
20mmのマンドレル直径についての1550nmにおける前記曲げ損失が2.0dB/ターン未満であることを特徴とする、実施形態1〜18のいずれかに記載の光ファイバ。
【0152】
実施形態20
20mmのマンドレル直径についての1550nmにおける前記曲げ損失が1.0dB/ターン未満であることを特徴とする、実施形態1〜18のいずれかに記載の光ファイバ。
【0153】
実施形態21
前記Clをドープされたコアが、1.75質量%〜2.75質量%のClを含むことを特徴とする、実施形態1〜20のいずれかに記載の光ファイバ。
【0154】
実施形態22
前記内側クラッド領域が、フッ素をドープされたシリカガラスを含むことを特徴とする、実施形態1〜21のいずれかに記載の光ファイバ。
【0155】
実施形態23
前記フッ素をドープされたシリカガラスにおけるフッ素の濃度が、0.10質量%〜0.50質量%の範囲内にあることを特徴とする、実施形態22に記載の光ファイバ。
【0156】
実施形態24
前記ファイバが、0.17dB/km未満の1550nmにおける減衰を有することを特徴とする、実施形態1〜23のいずれかに記載の光ファイバ。
【0157】
実施形態25
前記ファイバが、50%Δμm
2を超えるトレンチ体積V
トレンチを有するトレンチを含むことを特徴とする、実施形態1〜24のいずれかに記載の光ファイバ。
【0158】
実施形態26
前記ファイバが、100%Δμm
2を超えるトレンチ体積V
トレンチを有するトレンチを含むことを特徴とする、実施形態1〜25のいずれかに記載の光ファイバ。
【0159】
実施形態27
前記ファイバが、150%Δμm
2を超えるトレンチ体積V
トレンチを有するトレンチを含むことを特徴とする、実施形態1〜25のいずれかに記載の光ファイバ。
【0160】
実施形態28
前記ファイバが、60mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレルラップ試験によって決定して、100ターンあたり2.0dB未満の1550nmにおける曲げ損失を有することを特徴とする、実施形態1〜27のいずれかに記載の光ファイバ。
【0161】
実施形態29
前記ファイバが、60mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレルラップ試験によって決定して、100ターンあたり1.0dB未満の1550nmにおける曲げ損失を有することを特徴とする、実施形態1〜27のいずれかに記載の光ファイバ。
【0162】
実施形態30
前記ファイバが、60mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレルラップ試験によって決定して、100ターンあたり0.5dB未満の1550nmにおける曲げ損失を有することを特徴とする、実施形態1〜27のいずれかに記載の光ファイバ。
【0163】
実施形態31
前記ファイバが、60mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレルラップ試験によって決定して、100ターンあたり0.1dB未満の1550nmにおける曲げ損失を有することを特徴とする、実施形態1〜27のいずれかに記載の光ファイバ。
【0164】
実施形態32
前記ファイバが、(i)1MPa未満のヤング率を有する一次コーティング;(ii)1200MPaを超えるヤング率を有する二次コーティングをさらに含むことを特徴とする、実施形態1〜31のいずれかに記載の光ファイバ。
【0165】
実施形態33
前記ファイバが、(i)0.5MPa未満のヤング率を有する一次コーティング;(ii)1500MPaを超えるヤング率を有する二次コーティングをさらに含むことを特徴とする、実施形態1〜31のいずれかに記載の光ファイバ。
【0166】
実施形態34
前記ファイバが、1550nmの波長において22ps/nm/km以下の分散を有することを特徴とする、実施形態1〜31のいずれかに記載の光ファイバ。
【0167】
実施形態35
前記ファイバが、1550nmの波長において2dB/km未満のワイヤメッシュで覆ったドラムのマイクロ曲げ損失を有することを特徴とする、実施形態1〜31のいずれかに記載の光ファイバ。
【0168】
実施形態36
前記ファイバが、1550nmの波長において1dB/km未満のワイヤメッシュで覆ったドラムのマイクロ曲げ損失を有することを特徴とする、実施形態1〜31のいずれかに記載の光ファイバ。
【0169】
実施形態37
有機ケイ素化合物からスートを形成する工程、
前記スートにClをドープする工程、及び
前記ドープされたスートを焼結する工程であって、この焼結された被ドープスートが、少なくとも0.8質量%のCl濃度を有している、工程
を含む、光ファイバの製造方法。
【0170】
実施形態38
前記ドープする工程が、前記スートを1300℃より高温に加熱する工程を含むことを特徴とする、実施形態37に記載の方法。
【0171】
実施形態39
前記スートが、50m
2/gより大きい表面積を有することを特徴とする、実施形態37又は38に記載の方法。
【0172】
実施形態40
前記ドープする工程が、前記スートを、Clドープ用前駆体に曝露する工程を含み、前記Clドープ用前駆体が、SiCl
4、Si
2Cl
6、Si
2OCl
6、SiCl
3H、Cl
2、及びCCl
4からなる群より選択される化合物を含むことを特徴とする、実施形態37〜39のいずれかに記載の方法。
【0173】
実施形態41
前記Clドープ用前駆体がSiCl
4であることを特徴とする、実施形態40に記載の方法。
【0174】
実施形態42
前記ドープする工程が、0.5atmを超える、前記Clドープ用前駆体の分圧を維持する工程を含むことを特徴とする、実施形態40又は41に記載の方法。
【0175】
実施形態43
前記ドープする工程が、1.0atmを超える、前記Clドープ用前駆体の分圧を維持する工程を含むことを特徴とする、実施形態40又は41に記載の方法。
【0176】
実施形態44
前記ドープする工程が、2.0atmを超える、前記Clドープ用前駆体の分圧を維持する工程を含むことを特徴とする、実施形態40又は41に記載の方法。
【0177】
実施形態45
前記ドープする工程が、5.0atmを超える、前記Clドープ用前駆体の分圧を維持する工程を含むことを特徴とする、実施形態40又は41に記載の方法。
【0178】
実施形態46
前記Clドープ用前駆体が、該Clドープ用前駆体を含む液体を加熱することによって形成される蒸気であることを特徴とする、実施形態40〜45のいずれかに記載の方法。
【0179】
実施形態47
前記液体が40℃より高い温度で加熱されることを特徴とする、実施形態46に記載の方法。
【0180】
実施形態48
前記スートが、コアスートプリフォームとして形成されることを特徴とする、実施形態37〜47のいずれかに記載の方法。
【0181】
実施形態49
前記焼結された被ドープスートが、少なくとも1.5質量%のCl濃度を有することを特徴とする、実施形態37〜48のいずれかに記載の方法。
【0182】
実施形態50
前記焼結された被ドープスートが、少なくとも2.0質量%のCl濃度を有することを特徴とする、実施形態37〜48のいずれかに記載の方法。
【0183】
実施形態51
前記焼結された被ドープスートが、少なくとも2.25質量%のCl濃度を有することを特徴とする、実施形態37〜48のいずれかに記載の方法。
【0184】
実施形態52
前記焼結された被ドープスートが、Ge及びKを欠いていることを特徴とする、実施形態37〜51のいずれかに記載の方法。
【0185】
実施形態53
前記焼結された被ドープスートの上に第2のスートを堆積させる工程をさらに含むことを特徴とする、実施形態37〜51のいずれかに記載の方法。
【0186】
実施形態54
前記第2のスートにFをドーピングする工程をさらに含むことを特徴とする、実施形態53に記載の方法。
【0187】
実施形態55
前記第2のスートを圧密化する工程をさらに含むことを特徴とする、実施形態53又は54に記載の方法。
【0188】
実施形態56
前記焼結された被ドープスートを延伸する工程をさらに含むことを特徴とする、実施形態37〜55のいずれかに記載の方法。
【0189】
実施形態57
前記有機ケイ素化合物がオクタメチルテトラシロキサンであることを特徴とする、実施形態37〜55のいずれかに記載の方法。