(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記最上層及び/又は前記最下層が、機械的接着、超音波接着、圧力接着、又は熱接着のうちの少なくとも1つによって、前記チャネル(26)の中心に更に接着される、請求項1又は2に記載の吸収性コア。
前記ラップ層が、前記最下層又は前記最上層を完全に覆い、かつ前記中心層の前記長手方向に延在する側縁部の周囲にCラップを形成して、反対側の最上層又は最下層を少なくとも部分的に覆う、請求項5に記載の吸収性コア。
前記1つ、2つ、又はそれ以上のチャネルが、前記中心層の、超吸収性ポリマー粒子を含む少なくとも1つの領域(27)によって完全に取り囲まれるか、あるいは前記1つ、2つ、又はそれ以上のチャネルが、前記中心層の前記前縁部から前記後縁部まで長手方向に延在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性コア。
前記最上層と前記最下層との間に第1の中心層(431)と第2の中心層(432)とを含み、前記第1の中心層及び前記第2の中心層のうちの少なくとも一方が、請求項1〜9のいずれか一項に記載の中心層であり、前記第1の中心層及び前記第2の中心層が、同一であっても又は異なっていてもよい、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【発明を実施するための形態】
【0013】
序論
本明細書で使用するところの「含む、備える(comprise(s))」、「comprising」なる用語は、無制限である。それぞれは、その語の後に記載される要素(例えば構成部材)の存在を特定するものであるが、他の要素、例えば、当該技術分野において既知であるか、又は本明細書に開示される要素、工程、構成部材の存在を除外するものではない。動詞「含む(comprise)」に基づくこれらの用語は、特徴がその機能を実施する方法に著しく影響を及ぼす、言及されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外する、より狭義の用語「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び明記されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外する用語「からなる(consisting of)」を包含すると解釈されるべきである。以下に記載する好ましい又は例示的な実施形態はいずれも、特許請求の範囲を限定することが具体的に示されていない限り、特許請求の範囲を限定しない。「典型的には」、「通常は」、「好ましくは」、「有利には」、「詳細には」などの語も、特許請求の範囲を限定することが具体的に示されていない限り、特許請求の範囲を限定することを目的としない特徴を修飾する。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「不織布層」、「不織布ウェブ」は、摩擦、及び/又は粘着、及び/又は接着により結合された、方向性を有した、又はランダムに配向された繊維から作られたシート、ウェブ、又はバットを一般的に意味し、紙、及び更なるニードル加工の有無を問わず、結束糸若しくはフィラメントを組み込んだ織り製品、編み製品、タフト加工品、ステッチ結合製品、又は湿式粉砕によるフェルト製品は含まない。繊維は、天然起源であっても合成起源であってもよく、ステープル若しくは連続フィラメントでもよく、又はその場で形成されたものでもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満から約0.2mm超の範囲の直径を有し、短繊維(ステープル繊維又は細断繊維として知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、連続フィラメントの無撚糸束(トウ)、及び連続フィラメントの撚糸束(ヤーン)などのいくつかの異なる形態によって提供される。不織布ウェブは、メルトブロー法、スパンボンド法、溶媒紡糸法、電界紡糸法、カーディング法、及びエアレイイング法などの多くのプロセスによって形成され得る。不織布ウェブの坪量は、通常は、グラム毎平方メートル(g/m
2又はgsm)で表される。
【0015】
吸収性コアの概説
本明細書で使用するとき、用語「吸収性コア」は、吸収性物品内に配置されるか又は配置されることが意図され、かつ吸収性材料を含む、個々の構成要素を指す。吸収性コアは、典型的には、吸収性物品の全ての構成要素のうちで最も高い吸収能力を有し、かつ超吸収性ポリマー(本明細書では「SAP」と呼ぶ)粒子の全て又は少なくとも大部分を含む、吸収性物品の構成要素である。「吸収性コア」及び「コア」なる用語は、本明細書では互換可能に用いられる。
【0016】
本発明の吸収性コアは、ほぼ平面状である。ほぼ平面状とは、吸収性コアが平面的な表面上に平坦に置かれ得ることを意味する。吸収性コアは更に、典型的には薄くかつ形状適合性を有するので、その製造プロセス中に曲面、例えばドラム上に置かれることもでき、又は吸収性物品に加工される前に、複数のコアを含む貯蔵材料の連続ロールとして保管及び処理されることができる。
【0017】
説明を容易にするために、
図1及び
図6の例示的な吸収性コアは、平坦な状態で表されている。吸収性コアは、横断方向(x)及び長手方向(y)における他の寸法と比べて、比較的薄いものである。特に断らない限り、本明細書に開示される寸法及び面積は、この平らに広げられた形態のコアに適用される。例えば、コアを平らに置き、
図1のように上から見ると、吸収性物品は、コアの前縁部から後縁部まで延びる長手方向軸線(長手方向中心線と呼ぶこともある;図示せず)によって概念的に分割され、この長手方向軸線は、コアを該軸線に対して実質的に対称の2つの半分に分割する。
【0018】
説明を簡単にするために、本発明の吸収性コア、物品、及びプロセスについて、図面及びこれらの図面で参照される参照符合を参照して説明する。しかしながら、これらは、特に断らない限りは、特許請求の範囲を限定しようとするものではない。
【0019】
中心層43
最初に
図1〜
図2に示すように、本発明の吸収性コアは中心層43を備えている。中心層43は高ロフトの不織布繊維層である。用語「高ロフト」は、平坦で紙状の布地に比べて密度の低い嵩高な布地を指す。高ロフトウェブは、比較的低密度であることを特徴とする。これは、繊維間に相対的に大量の空隙が存在することを意味し、この空隙の中に超吸収性粒子を配合することができる。本発明の高ロフト不織布繊維層(超吸収性材料を含まない)は、典型的には、0.200g/cc未満、具体的には0.015g/cc〜0.150g/ccの範囲、とりわけ0.030g/cc〜0.100g/ccの範囲、例えば0.065g/ccの密度を有し得る。密度は、高ロフト層の坪量を、4.14kPaの圧力で測定した厚さで割ることによって計算することができる(以下の「試験手順」の項で更に詳述する方法を参照のこと)。
【0020】
高ロフト不織布層は、有利にはスパンメルト不織布であり得る。スパンメルトは、熱可塑性ポリマーから直接不織布ウェブを製造することを表す一般名称である。これは、スパンレイド(スパンボンドとしても知られている)不織布及びメルトブローン不織布の2つのプロセス、及びこれら両方の組み合わせを包含する。スパンレイドプロセスでは、ポリマー顆粒は溶融され、溶融ポリマーが紡糸金口から押出形成される。連続フィラメントは、冷却され、コンベヤ上に堆積されて、均等なウェブが形成される。いくらか残存している温度は、フィラメントが互いに付着する原因となり得るが、これは結合の主要な方法として見なすことはできない。スパンレイドプロセスは、強度のより高い不織布をもたらすという利点を有するが、原材料の融通性がより制限される。いくつかのスパンレイドプロセスでは、通常は追加の特性又は結合能力を提供するために、第2の構成要素の共押出が用いられる。メルトブローンウェブ形成では、低粘度ポリマーが、紡糸金口を離れる際に、高速気流内に押出形成される。こうすることで溶融物を分散させ、凝固させ、破断させて、繊維ウェブにする。これらのプロセスの説明は、例えば、Edanaのホームページ:http://www.edana.org/discover−nonwovens/how−they’re−made/formationに提供されている。
【0021】
中心層を形成する繊維は、部分的に又は全体的に、比較的弾力性のある合成繊維、特に、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA、ナイロンなど)又はポリエチレンテレフタレート(PET)繊維で製造され得る。繊維の直径は、例えば0.01mm〜0.50mmの範囲であり得る。
【0022】
典型的には、中心層は、特にその厚さ、坪量、及び密度に関して、横断方向及び長手方向の両方に均一である。高ロフト不織布層は、特に、4.14kPaの圧力で(より詳細に後述する試験方法に従って)測定して、0.30mm〜2.00mmの範囲、例えば1.0mmの厚さを有する。高ロフト中心層の坪量は、例えば、15gsm〜500gsm、特に30gsm〜200gsmの範囲、例えば64gsmであり得る。中心層に関して本明細書において示される値は、高ロフト不織布材料単独のもの(即ち、接着剤が適用された繊維の間にSAP粒子が配合される前)と考えられる。吸収性コアが2つ以上の高ロフト中心層を備えている場合には、以下に更に説明するように、厚さ及び坪量に関するこれらの範囲は、各層で同じであってもよく、又は高ロフト中心層の数で割られてもよい。例えば、吸収性コアは、PET繊維で製造され、かつそれぞれが厚さ約0.50mm、坪量約32gsm、及び密度約0.065g/ccを有する、
図10に示すような2つの高ロフト中心層を備えることができる。
【0023】
中心層43は、前縁部280と、後縁部282と、2つの長手方向に延在する側縁部284、286と、を備える。前縁部及び後縁部は、典型的には、側縁部よりも短い。中心層の前縁部は、コアが組み込まれているか又は組み込まれることになる吸収性物品の前縁部に向かって配置されることが意図される縁部に対応する。超吸収性材料は、中心層の後側半分と比較して、中心層の前側半分に向かってより多くの量で分配され得る。これは、コアが組み込まれることになる物品の前側に向かって排出される流体が通常はより多いという理由からである。長手方向(y)により多いSAPの分布に加えて、SAPはまた、横断方向(x)により多くてもよい。無論、SAPは、横断方向(x)及び長手方向(y)に均一に分配されてもよく、そうすることで製造が簡略化されるが、その場合には、2つの短辺のいずれかが前縁部と見なされ、反対側が後縁部となる。吸収性コアは、そのような高ロフト中心層を1つ、2つ、又はそれ以上備えていてもよい。高ロフト中心層を2つ備える吸収性コアについて、更に後述する。
【0024】
中心層(又は複数の中心層)は、少なくとも1つのSAP含有領域内の繊維間に配合されるSAP粒子60の基材としての役割を果たす。中心層は、SAP粒子を実質的に含まない、少なくとも1つの長手方向に延在するチャネルを更に備える。これについては以下でより詳細に説明する。SAP粒子は、高ロフト不織布の厚さにわたって実質的に均一に配合され得るが、例えば用いる製造プロセスによっては、SAP粒子が高ロフト不織布の一方の側よりも他方の側により多く存在し得ることを排除するものではない。
【0025】
超吸収性材料粒子60
中心層は、高ロフト不織布層の繊維内に配合される粒子60の形態の超吸収性ポリマー(本明細書では「SAP」と略される)を含む。任意の従来のSAP材料を使用することができる。典型的なSAPとしては、非水溶性であるが大量の流体を吸収することができる種々の水膨潤性ポリマーが挙げられる。本明細書で使用する「超吸収性ポリマー」という用語は、架橋ポリマー材料であり得、遠心保持容量(CRC)試験(EDANA法WSP 241.2−05E)を用いて測定されたときに、それらの重量の少なくとも10倍の0.9%生理食塩水を吸収し得る、吸収性材料を指す。SAPは、特に、10g/g超、又は20g/g超、又は20g/g〜50g/g、又は25g/g〜45g/gのCRC値を有し得る。
【0026】
超吸収性ポリマーは、乾燥状態で流動可能であり、したがって基材上に容易に堆積されるように、粒子の形態である。典型的な粒子状吸収性ポリマー材料は、ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーから生成される。しかしながら、他のポリマー材料も使用可能であることを排除するものではない。SAP粒子はその乾燥状態では比較的小さくてよく(その最長寸法が1mm未満)、形状は概ね円形であってよいが、顆粒、繊維、薄片、球、粉末、小板、並びにその他の形状及び形態も当業者には周知である。一般的にSAPは球状粒子の形態であってよい。
【0027】
前述したように、本発明の1つの利点は、平衡状態で比較的低い透過率(UPM値)を有するSAP粒子を使用できることである。こうした粒子は、典型的にはエアフェルト含有コアにおいて使用されるが、その理由は、セルロース繊維は一般的に、吸収性材料の透過率を高めるためである。これに対して、エアフェルトを含まない吸収性コアは通常、最適に機能するために高透過率のSAPを必要とする。しかしながら、高透過率のSAPは通常、透過率の低いSAPよりも高価である。よって、本発明で使用される超吸収性ポリマー粒子は、以下の「試験手順」の項に示される尿透過率測定試験によって測定して、30×10
−7cm
3.s/g未満、特に25×10
−7cm
3.s/g未満、特に20×10
−7cm
3.s/g未満、特に15×10
−7cm
3.s/g未満、特に1×10
−7cm
3.s/g〜10×10
−7cm
3.s/gのUMPを有し得る。尿透過率測定試験は、PCT国際特許出願第2012/174026A1号に元々開示されている。
【0028】
吸収性コアがセルロース繊維を含み得ることを排除するものではないが、吸収性コアは、具体的には、セルロース繊維を含まないか、又は吸収性コアの20重量%未満、特に10重量%未満、5重量%、又は更には0重量%のセルロース繊維など、少量のセルロース繊維しか含み得ない。したがって、吸収性材料は、SAPからなり得るか又は本質的になり得る。吸収性コア中のセルロース繊維の量を決定することを目的として、最上層、最下層、又はラップ層としての役割を果たすあらゆる紙又はティッシュペーパーの層は無視する。
【0029】
チャネル26
中心層43は、SAP粒子60を実質的に含まない、少なくとも1つの(具体的には、1つ、2つ、又はそれ以上の)長手方向に延在する領域26を備える。これらの領域は、
図1及び
図6と同様に上から見たときに、横断方向及び長手方向によって形成された面内にあると考えられる。これらの1つ以上の実質的にSAP粒子を含まない領域は、本明細書では「チャネル」と呼ばれる。便宜上、こうした領域が1つだけ存在する場合であっても、複数形を用いる。チャネル26の外側の中心層の残りの部分は、超吸収性ポリマー粒子60を有する少なくとも1つの領域27を画定する。
【0030】
「SAPを実質的に含まない」とは、これらの領域のそれぞれの中のSAP材料の坪量が、中心層全体としてのSAPの平均坪量の少なくとも25%未満、特に20%未満、特に10%未満であることを意味する。チャネルは、特に、中心層の、SAP粒子が存在しない領域であり得る。この点に関しては、作製プロセス中に発生し得るSAP粒子による不随意の汚染などの最小量は、吸収性材料とはみなされない。
【0031】
チャネルは、中心層内で長手方向に延在する。「長手方向に延在する」とは、チャネルが横断方向(x)よりも長手方向(y)により長く延在することを意味する。チャネルは、例えば、中心層の長さの少なくとも5%、特に10%〜70%、又は15%〜60%である(長手方向に平行な軸線に投影したときの)長さを有し得る。チャネル26は、
図1に示されるように、長手方向に平行に配向されてもよい。しかしながら、チャネルが湾曲していてもよいこと、具体的には、長手方向軸線に向かって凹状(即ち、
図9に間接的に示すように反転した括弧:)(のように)であってもよいこと、又は長手方向に対して所定の角度で直線でかつ傾斜していてもよいことを排除するものではない。チャネルは、中心層の長手方向に延在する側縁部284、286から離隔して配置されるのが有利であり得る。このようにして、長手方向側縁部に沿ったSAP粒子は、チャネル内の流体が中心層の側縁部に到達する前に、該流体に対するバリアを提供する。チャネル26は、例えば、中心層の両側縁部から少なくとも5mmの距離に離隔して配置されてもよい。中心層は、
図1及び
図6のチャネル26によって示されるように、長手方向中心線の両側に対称に配置された少なくとも2つのチャネルを備えてもよい。勿論、チャネルは1つだけであってもよく、あるいは2つを超えるチャネル(例えば3つのチャネル)、又は2対のチャネルが存在してもよい。有利には、チャネルは、コアの長手方向軸線に対して対称に配設される。
【0032】
チャネルは、中心層43の全長に沿って(したがって中心層の前縁部280から反対側の後縁部282まで)延在してもよい。これは、例えば
図1に示されている。これに対して、チャネルが中心層の前縁部及び/又は後縁部から(例えば、少なくとも5mmだけ)離隔して配置されてもよいことも考えられる。これは
図6に示されており、この構成では、チャネルは、中心層の残りの部分に存在するSAP粒子によって全体が取り囲まれている。この構成は、中心層の前縁部及び後縁部に追加の漏出バリアを提供する。一方、中心層の前縁部及び後縁部まで延在するチャネルは、製造が容易であり得る。これに対して、コア284及び286の側縁部まで延在するチャネル(図示せず)は、例えば、吸収性物品の着用者の脚の間により良好な快適性を提供するのに有益であり得る。
【0033】
最下層42及び最上層41
中心層は、最上層41と最下層42との間に挟まれている。最上層は、吸収性物品の着用者に面する側に最も近接して配置されることが意図された、コアの面である。よって、最上層は液体透過性であるので、使用中、流体は最上層を介して中心層に容易に到達することができる。最下層は中心層の反対側に位置付けられる。最下層は、液体透過性であっても、又は液体不透過性であってもよい。最上層及び最下層は、中心層の両面上にカバーを提供して、コア及び物品の製造プロセスの間並びに吸収性物品の使用中に、SAP粒子が高ロフトから脱け出るのを防止する。
【0034】
最上層及び最下層は、従来のコアの製造で一般的に使用されるような、比較的薄くかつ安価な材料で作製され得る。最上層及び最下層は、例えば、5〜100gsm、特に10〜40gsmの範囲の坪量を有するティッシュペーパー(エアフェルト又は湿式載置)であり得る。最上層及び最下層はまた、カード不織布、スパンボンド不織布(「S」)、又はメルトブローン不織布(「M」)、及びこれらのいずれかの積層体など、5gsm及び30gsmの坪量を有する坪低量の不織布ウェブから形成されてもよい。例えば、スパンメルトポリプロピレン不織布、特に、SMS、又はSMMS、又はSSMMS積層ウェブ構造を有し、かつ約5gsm〜20gsmの範囲の坪量を有するものが好適である。そのような材料は、例えば、米国特許第7,744,576号、米国特許出願第2011/0268932 A1号、米国特許出願第2011/0319848 A1号、及び米国特許出願第2011/0250413 A1号に開示されている。不織布材は、典型的には、本質的に疎水性であるので、最上層は、例えば、界面活性剤又は当該技術分野において既知の他の方法で処理することによって、親水性を付与するように処理されてもよい。最上層及び最下層は、同じ又は異なる材料で製造されてもよく、任意に、最下層よりも高い親水性を最上層に付与するために、最上層又は最下層に異なった処理が施される。
【0035】
図3に示すように、吸収性コアは、最上層及び最下層に加えて、コアの長手方向に延在する側縁部284、286を包み込むCラップを形成するラップ層3を更に備えることができる。「Cラップ」とは、層がコアの少なくとも上面又は底面を覆い、コアの側縁部に沿って延在してフラップを形成し、次にフラップが折り畳まれて、典型的には接着によってコアの反対側に貼付されていることを意味する。したがって、ラップ層3は、(90°回転させたときに)Cの文字と同様の断面を有し得る。Cラップ構造は、更に、吸収性物品の製造中又は着用中にSAP粒子を封じ込めるのを助けることができる。例えば、ラップ層は、例えば、5〜40gsm、特に8〜25gsmの坪量を有する低坪量の不織布層、特にSMS不織布で製造され得るが、他の材料も勿論考えられる。ラップ層3は、
図3において、コアの底面から延在し、かつコアの上面上に折り畳まれるフラップを有するものとして示されている。Cラップ層3が上面から延在し、フラップが底面上に折り畳まれる、反転構成も可能である。折り畳まれたフラップは、コアの長手方向に延在する側縁部付近で終端してその付近に貼付されてもよく、又は他方に重なり合って貼付されるように、図のものよりも長くてもよい。Cラップ構造が、コアの長手方向に延在する側縁部に沿って横断方向に延在して、ラップ層3に関して説明したようなフラップを形成する、最上層又は最下層のうちの一方によって形成され得ることも考えられる。ラップ層の存在は任意である。
【0036】
最上層41及び/又は最下層42は、中心層43に貼付されてもよい。接着剤の層71が、例えば、最上層と中心層43との間に適用されてもよい。任意の種類の従来の接着剤及び接着剤塗布方法を用いることができる。典型的には、層の表面のほぼ全体にホットメルト接着剤を均一にスプレーした後、2つの層が貼付するようにこれらを密接に接触させることができる。接着剤はまた、典型的には、一連の平行な接着剤の細い線を機械方向(y方向)にスロットコーティングすることによって、接触法によって層の一方(とりわけこの場合には最上層又は最下層)に塗布されてもよい。接着剤の層72もまた、最下層42と中心層43との間に同様に適用され得る。
【0037】
最上層及び/又は最下層はまた、例えば、吸収性物品の製造及び使用中にチャネルがAGMを比較的含まない状態を維持するために、チャネル領域26内の中心層に特異的及び追加的に貼付されてもよい。チャネルの領域内のそのような貼付は、接着剤、圧力接着、超音波接着、熱接着、又はこれらの組み合わせなどの任意の既知の貼付手段によって達成され得る。この更なる貼付は、チャネル内の中心層を圧迫又はクリンプして、コアが流体を受け取る前に既に三次元チャネルをもたらすことができ、この三次元チャネルは、例えばコアの折曲ガイドとしての役割を果たすことができる。
【0038】
作製プロセス
図1に示す吸収性コアを製造するための連続プロセスについて、
図4を参照しながら説明する。
図4中の様々な矢印は、製造流れ工程における様々なロール解放シリンダ及びロール巻き取りシリンダの回転方向、並びに製造材料の走行方向を表す。その他のプロセス及び変更が可能であり、それらについては更に後述する。
【0039】
図4に示すように、吸収性コアを製造するための装置は、最下層ウェブ巻出機6と、最下層接着剤噴霧ヘッド7と、高ロフト中心層ウェブ巻出機8と、第1のSAP粒子篩板9及び真空吸引ボックス10と、第1のホットプレスローラ11及び12の対と、第2のSAP粒子篩板13及び真空吸引ボックス14と、最上層ウェブ巻出機15と、最上層噴霧ヘッド16と、第2のホットプレスローラ17及び18の対と、トリミングナイフ19、20と、製品ロール巻取りローラ21と、を備えている。更に説明するように、中心層の所望のチャネル領域がSAP粒子を実質的に含まない状態を保つように、
図5に示す遮蔽板22が、各篩板9、13と中心層43との間に配置される。また、真空吸引ボックス10及び14は、チャネル領域内でのSAPの堆積を低減するために、ブラインド領域(真空を用いない区域)を備えていてもよい。
【0040】
第1のSAP粒子篩板9及び第2のSAP粒子篩板13は共に、周波数変換及び速度調節装置(
図4には図示せず)を備えていてもよい。第1及び第2のSAP篩板9、13の周波数変換及び速度調節装置は、製品ロール巻取りローラ21の線速度と一致する振動数を維持し、かつ噴霧された高分子吸水性樹脂(SAP)の大部分が嵩高不織布43上に確実に均一に分配されるように調節される。
【0041】
製造中、最下層材料のロール(例えば、紙又は不織布のロール)は、最下層ウェブ巻出機6に取り付けられる。高ロフト不織布のロールは、中心層ウェブ巻出機8に取り付けられる。SAP粒子は、第1及び第2のSAP粒子篩板9及び13内に装填される。紙又は不織布のロールであり得る最上層材料のロールは、最上層ウェブ巻出機15に取り付けられる。吸収性コアの連続製造プロセス中、最下層42は、第1のプレスローラ11と12との間の中心層43に貼付される前に、噴霧ヘッド7を通過し、片面に接着剤72が塗布される。高ロフト不織布中心層43は、第1のSAP粒子篩板9及び真空吸引ボックス10を通過し、そこでSAP粒子が中心層内に堆積され、かつ第1の面から中心層の繊維内に配合される。吸引ボックス10上の遮蔽板22及び、存在する場合はブラインド区域により、SAP粒子を実質的に含まない状態を維持することが意図される中心層のチャネル領域内にSAPが堆積されないか又は限定量のSAPが堆積される。SAP粒子60が中心層の繊維の上に堆積され繊維間に配合される前に、最下層材料6を最初に中心層43の第1の面上に貼付することも可能である。
【0042】
最下層42と中心層43とがローラ11と12との間で貼付された後、これら組み合わされた層は、任意に第2のSAP粒子篩板13と真空吸引ボックス14との間を通過してもよく、これら第2のSAP粒子篩板13及び真空吸引ボックス14は協働して、中心層の第2の表面上にSAP粒子を堆積させ、かつこの第2の表面から中心層の繊維内にSAP粒子を配合する。この場合もやはり、第1の遮蔽板と同様であり得る第2の遮蔽板22を使用して、中心層の所望のチャネル領域26がSAP粒子を実質的に含まない状態を維持するようにすることができる。次に、接着剤噴霧ヘッド16によって粘着剤72が塗布された最上層41が中心層に接合されて、2つのプレスローラ17と18との間で中心層の第2の表面を覆う。前述において、最上層及び最下層は互換的に使用され得ることは言うまでもない。
【0043】
プレスローラ17及び18は、実質的に平らな表面を有してもよく、又は追加の圧力及び熱をコアに加える必要がある場合には、隆起区域を有していてもよい。これらの隆起区域は、チャネル区域と一致しており、チャネル領域26内に機械的接着、超音波接着、及び/又は熱接着を提供することができる。プレスローラ11〜12、17〜18は加熱されてもよい。ローラが、コアの長手方向側縁部並びに/又は後縁部及び前縁部(外周360°)に沿って隆起区域を有することも可能であり得る。良好な接着は、これらの領域がチャネル領域26内のようにSAPを含まない場合に、該領域において達成され得る。トリミングナイフ19及び20は、吸収性コア材料の流れが製品ロール巻取りローラ21によって最終的に丸められて吸収性コア材料のロールになる前に、吸収性コアの連続帯状物の長手方向側縁部をトリミングするために設けられることができる。
【0044】
このようして形成された吸収性コア材料のロールは、保管されてもよいし、又は物品の生産現場に輸送されて、そこで吸収性製品へと更に加工されてもよい。吸収性コア材料の流れは、ロールを形成する代わりに、加工ラインに直接供給されてもよく、その場合、吸収性コアは、それらの前縁部及び後縁部に沿って切断されることによって個別化される。
【0045】
ラップ層3(
図4には図示せず)もまた、コア材料が丸められる前に供給されて、
図3に関連して示しかつ説明したように最上層、中心層、及び最下層を包んで、吸収性コアの側縁部を介したSAPの損失を防ぐことができる。あるいは、そのようなラップ層は、コア材料ウェブを更に加工する際にコアに貼付されてもよい。
【0046】
上述したプロセス及び装置は、片側の篩板9(対応の13)と、反対側の真空吸引ボックス10(対応の14)上に設置された中心層43と、の間に固定式の遮蔽板22が存在することを除いて、中国特許第101797201号に開示されているものと概ね同様である。遮蔽板は、
図5に示すように、SAP粒子を通って流れることができる細長い切欠き領域23と、切欠き領域23の間の埋まった領域24と、を含む金属片であり得る。中心層(破線で示す)が遮蔽板の下を通ると、SAP粒子は切欠き領域23を通って堆積し、遮蔽板の直下に位置付けられた中心層の領域は、吸収性材料を実質的に含まないまま残される。チャネル内のコア層の機械的接着、超音波接着、及び/又は熱接着をもたらすことができる模様付き加圧ロール17及び18の任意の使用も、中国特許第101797201号には開示されていない。
【0047】
図4に開示される篩板/遮蔽板システムの代わりに、機械横方向にずらされ並行して動作する複数のSAPアプリケータ又はSAPシュートを使用することによって、SAPを所望の区域27に堆積させることも可能である。アプリケータ又はシュートは、それらの間に間隙を有し、そのため、それらの間のチャネル領域にはSAP粒子が堆積しないようになっている。例えば、間に2つの間隙を有する3つのアプリケータ又はシュートは、
図1のコアのような堆積パターンをもたらす。中心層の両面又は片面上にSAPを適用するために、SAP印刷システムを使用することも可能であり、そのようなSAP印刷システムについては、
図8を参照して次の項で説明する。
【0048】
SAP含有領域27によって取り囲まれたチャネル
図6は、高ロフト中心層43の前縁部280及び後縁部284まで延在しないチャネル26を有する、本発明による吸収性コア28aを示す。したがって、チャネル26は、SAP粒子を含む中心層の領域27によって完全に取り囲まれている。吸収性コア構成体の残りの部分は、
図1に関連して先に開示したものと同様であってもよく、例えば、最上層と中心層との間に接着剤層71、中心層と最下層との間に接着剤層72が存在してもよい。チャネルは、真っ直ぐで、長手方向軸線に平行であるとして示されているが、代わりに湾曲したチャネルが設けられてもよい。具体的には、チャネルは、長手方向軸線の両側に少なくとも一対のチャネルを含み、長手方向軸線に向かって凹状である(即ち、反転した括弧:)(のような)湾曲を有してもよい。そのような湾曲したチャネルを有することにより、チャネルが着用者の脚の輪郭を概ね追従することになるので、コアが流体で充填された後により良好な快適性を提供することができる。
【0049】
そのような吸収性コアは、
図4に関して既に説明したように製造され得るが、遮蔽板が、遮蔽板の下を通過する中心層のウェブに追従するように可動性である点が異なっている。篩板から出たSAP粒子は、回転ドラム又は回転ベルトに実装された遮蔽板を貫通することができる。回転板は、切欠き部分と、埋まった領域と、を備え、SAP粒子は切欠き部分を通って中心層の上に堆積することができ、埋まった領域は、埋まった領域の直下の中心層の領域の上にSAP粒子が堆積するのを防止する。いくつかの遮蔽板が、各移動する回転ドラム又はベルトに装着され、遮蔽板は、その下にある高ロフト材料のウェブと同じ速度で移動するので、中心層上のSAP分布パターンは、通常は板の切欠き領域及び埋まった領域によって形成されるパターンと一致する。しかしながら、この技術は、正確な堆積を高速で得るように導入するのが困難であり得る。
【0050】
代わりに、SAP粒子はSAP印刷技術によって堆積させてもよく、このSAP印刷技術は、SAP粒子を所望の区域に比較的高速で比較的正確に堆積させることができる。具体的には、例えば米国特許出願第2006/24433号(Blessing)、同第2008/0312617号及び同第2010/0051166A1号(共にHundorfら)、特に国際特許公開第2012170798A1号(Jackels)に開示されているSAP印刷技術を用いることができる。
図8に示すように、この技術は、支持体(真空ボックス10として示されているが、上記参照文献に教示されている円形回転塗布用ドラムロール(lay-on drum roll)であってもよい)のグリッド上に配置された基材(この場合は高ロフト中心層43)上にSAP粒子を堆積させるために、印刷ロール30を使用する。フィーダ25は、印刷ロールの周囲上に配設された少なくとも1つのリザーバ32、典型的には複数のリザーバを含む印刷ロールの外側表面に、SAP粒子を供給する。各リザーバ32は、塗布用ドラムロール上に対応する噛み合いストリップを有し得る少なくとも1つの隆起ストリップ31と、吸収性材料を受容するための、隆起ストリップ間の間隙容積を有する複数の溝及び/又は空洞(図示せず)と、を備える。
【0051】
SAP粒子は、フィーダから、隆起ストリップの区域を除くリザーバの溝又は空洞の中に送給される。次に、粒子は、例えば、合流点における堆積側の真空と、印刷ロール側の超過気圧と、の組み合わせによって、高ロフト不織布層上に移動される。また、溝又は空洞の容積又は数を変化させることによって、吸収性材料を選択された領域内に異なる坪量で堆積させて、例えば、コアの前縁部に向かって、後縁部に向かうよりも大量の吸収性材料が存在するようにしてもよい。これについては、上記の参照文献に詳細に開示されている。SAP印刷システムの利点は、印刷ロール上の隆起表面によってチャネルが明確に画定され得、真っ直ぐではない、例えば
図9の湾曲した隆起ストリップ31によって示されるような湾曲した形状を有するチャネルを提供できることである。
【0052】
本明細書に開示されるプロセスは、2工程(中心層の各面につき1工程)で堆積されるSAP粒子を示す。しかしながら、堆積装置の一方を除去することによって、SAP粒子を中心層の1つの面だけに1回だけ堆積させることも可能である。この場合、SAPの分布は、中心層の厚さ寸法において均一性が低くなるが、コアの製造プロセスが単純化されるという利点を有する。最初に中心層43を最上(又は最下)層42に貼付した後、第1のSAP粒子を堆積させることも可能である。
【0053】
本発明のコアを製造するための別のプロセス(図示せず)は、チャネル26に対応する中心層内の少なくとも1つの材料片に穴を開けるか、ないしはこれを別の方法で切断した後、この材料片を最下層及び最上層に貼付することである。次に、SAPを、穴の開いた又は切断された高ロフト中心層上に、任意の方法によって均一に堆積させることができる。次に、穴を通って落下したSAP粒子は、例えばフィーダに再循環され得る。しかしながら、記載した他のプロセスは、高ロフト材料がチャネル内に存在するので、コアのチャネル領域に安定性がもたらされるという利点を有する。
【0054】
2重の高ロフト不織布層431、432を備えたコア28b
前述した吸収性コアは、単一の高ロフト不織布層を備えるが、吸収性コアは、最上層と最下層との間に2つ(又はそれ以上の)高ロフト不織布層を備えることも可能である。よって、吸収性コアは、第1の中心層と第2の中心層とを備えてもよく、これら層のそれぞれは、層の繊維間に配合された超吸収性ポリマー粒子を含む高ロフト繊維不織布層である。
【0055】
これは例えば
図10に示されており、図中、第1の中心層431及び第2の中心層432は、最上層41と最下層42との間に挟まれて示されている。第1の中心層及び第2の中心層のそれぞれ、特に両方は、1つ、2つ、又はそれ以上の長手方向に延在するチャネル26を備えてよく、このチャネルは、前に示したものと同じである。具体的には、チャネルは、中心層の前縁部及び後縁部まで延在していてもよく、又はSAPを含む領域によって取り囲まれていてもよい。一方の中心層内のチャネルは、他方の中心層内のチャネルに概ね対応し得る。これは、例えば
図10に示されている。コア(図示せず)の計画では、各中心層内のこれらのチャネルは、例えば
図1及び
図6で説明したものと同じ構成を有し得る。先の項において概ねなされた一般的な傾向は、2重の中心層を有する吸収性コアにも当てはまる。そのような吸収性コアは、前述したラップ層も備えることができる。
【0056】
図10に示すように、各中心層内のチャネルは、位置合わせされ、したがって相互に一致していてもよいが、一方の層のチャネルが他方の層のチャネルに対して完全に又は部分的に横断方向にずらされてもよいことを排除するものではない。中心層の一方だけが、本明細書によるチャネルを有し得ることも考えられる。例えば、コアの最上層側に最も近い第1の中心層431だけがチャネルを備えていてもよく、第2の中心層432はチャネルを備えていなくてもよい(換言すると、その全域にわたってSAPを含んでいてもよい)。この構成により、流体はコア内により迅速に吸収されることができる。高ロフト中心層が異なる坪量、密度、及び/又は堆積されたAGMの量を有することも可能である。例えば、上部中心層の透過率は、低坪量高ロフトを用いることに高めることができ、柔軟性は、最下層に密度の高い高ロフト材料を用いることによって高めることができる。他の構成も可能であることは言うまでもない。2つ以上の中心層は、コアの面内では等しい寸法であり得るが、異なる長さ及び/又は幅を有してもよい。長さの異なる2つの中心層は、吸収性コアに沿って異なる量のSAPを提供するために有益であり得、例えば、第2の層のパッチ上に切断及び切込ユニットを加えた後、第1の層と組み合わせることによって作製することができる。
【0057】
2つの高ロフト中心層が、異なる種類のSAPを含み得ること、例えば、最上層側の第1の中心層431内に高速吸収性のSAP(高UPM値)、及び/又は第2の中心層432内に高吸収性のSAP(高CRC)を含み得ることも考えられる。チャネルは、各高ロフト中心層内において異なる形状を有してもよい。これらの理由から、一方の中心層上に堆積されたSAP粒子が、他方の中心層内に落下するのを防止するために、2つの中心層の間に中間不織布又は紙層(図示せず)を配置することができる。そのような中間層は、既知の任意の手段によって(例えば、接着剤によって)中心層の一方又は両方に貼付されてもよい。
【0058】
2重の高ロフト不織布層を備える吸収性コアは、
図4及び
図8を参照して開示された方法のうちの一つを応用した方法によって作製され得る。
図11に示すように、第1及び第2の高ロフト中心層431、432を提供するために、2つの別個の高ロフト層解放シリンダ8が設けてられもよい。代替方法として、ダブル幅の高ロフトウェブを使用してもよい。そのような幅広のロールは、機械方向に出された後、半分に切断されて、2つの流れの高ロフト不織布材料を形成することができ、次にこれら2つの流れにSAP粒子を別々に堆積させる。次に、2つの流れの高ロフト材料431、432は、それぞれ別個に最上層及び最下層と組み合わされ、それぞれは続いて好適なSAP堆積装置を使用してSAP粒子60をそれらの上に堆積させることができる。前述のように、各SAP堆積装置は、例えば、固定式又は可動式の遮蔽フレーム22(
図11に示す)、あるいは
図8〜
図9に示すような印刷ロールシステムを備えていてもよい。第1の中心層及び第2の中心層の一方の繊維にのみ、SAPを堆積させて配合することも可能である。
【0059】
吸収性物品200
吸収性コアは、例えば乳児用おむつ又はトレーニングパンツであり得る任意の種類の個人衛生物品に組み込まれることができる。テープ式おむつ吸収性物品200の主要構成要素のいくつかを示す概略断面図を
図12に示す。この図では、
図10の吸収性コア(ラップ層3を有する)が示されているが、これは限定ではなく、例示のみであることは言うまでもない。吸収性物品は、典型的には、着用者に面する流体透過性トップシート36と、衣類に面する液体不透過性バックシート38と、を備えており、これらは外周に沿って相互に貼付されている。吸収性コアはこれらの層の間に配置され、これらの層に、典型的には接着剤又は熱/圧力接着によって、直接的及び間接的に貼付され得る。
【0060】
トップシート36は、順応性があり、柔らかな感触で、着用者の皮膚を刺激しないものであることが好ましい。更に、トップシートの少なくとも一部は、液体透過性であり、液体がその厚さを容易に貫通できる。好適なトップシートは、例えば、多孔質発泡体、網目状発泡体、有孔プラスチックフィルム、又は天然繊維(例えば、木材繊維又は綿繊維)、合成繊維若しくはフィラメント(例えば、ポリエステル繊維、若しくはポリプロピレン繊維、若しくは二成分PE/PP繊維、又はこれらの混合物)、若しくは天然繊維と合成繊維との組み合わせの、織布又は不織布材料などの幅広い範囲の材料から製造することができる。トップシートが繊維を含む場合、繊維は、スパンボンド繊維、カーディングした繊維、ウエットレイド繊維、メルトブローン繊維、水流交絡繊維、又は特にスパンボンドPP不織布のように当該技術分野で既知の方法で処理されたものであってよい。典型的なおむつのトップシートの坪量は、約10gsm〜約28gsm、特に約12gsm〜約18gsmであるが、他の坪量も可能である。
【0061】
バックシート38は、典型的には、液体(例えば、尿)に対して不透過性である。バックシートは、例えば、約0.10mm未満の厚さを有する熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムであるか、又はそれを含んでもよい。例示的なバックシートフィルムとしては、Richmond,VAを拠点とするTredegar Corporationによって製造され、CPC2フィルムの商標で販売されるものが挙げられる。その他の好適なバックシート材料としては、物品から蒸気を逃し、一方で排出物がバックシートを通過することを防ぐ通気性材料を挙げることができる。覆いである低坪量の不織布は、フィルムの外側表面に貼付されて、より柔らかな感触を提供することができる。
【0062】
吸収性物品はまた、トップシート36の真下に液体管理層54(流体獲得層又は流体分配層とも呼ばれる)を備えていてもよい。そのような層の機能は、トップシートからの流体を、着用者に面する側から離れる方向に素早く獲得し、かつ/又は該流体が吸収性コアによってより効率的に吸収されるように該流体をより大きな区域に分布させることである。そのような液体管理層がバックシートと吸収性コアとの間に配置され得ることも可能である。更なる層4が、液体管理54と吸収性コア28との間に存在してもよい。更なる層4は、別のそのような獲得層若しくは分配層であってもよく、又はSAP粒子がコアの外側に漏れ出るのを防ぐために、吸収性コア28の追加のラッピングを提供するティッシュペーパー若しくは低坪量NW層であってもよい。
【0063】
おむつ又はトレーニングパンツのような吸収性物品は、典型的には、着用者の脚部周囲における物品のフィット性を改善する構成要素、具体的にはバリアレッグカフ32及びガスケットカフ34を更に含み得る。バリアレッグカフは、一片の材料、典型的には不織布から形成され得、該材料は、物品の残りの部分に部分的に結合され、トップシートによって画定される平面から部分的に隆起し、したがって直立し得る。バリアレッグカフは、典型的にはトップシート及び/又はバックシートである物品の残りの部分に接合された近位縁部、及び着用者の皮膚と接触しシールを形成するように意図された自由端縁部によって境界が定められ得る。カフの直立部分は、典型的には、弾性要素、例えば1つ又は複数の弾性ストランド35を含む。バリアレッグカフは、およそ着用者の胴体と脚の接合部において、液体及び他の身体排泄物の改善された閉じ込めを提供する。
【0064】
バリアレッグカフに加えて、物品はガスケットカフ34を含むことができ、これは、吸収性物品のシャーシと同じ平面内で形成され、具体的にはトップシート又はバリアレッグカフとバックシートとの間に少なくとも部分的に封入されてもよく、かつ直立しているバリアレッグカフに対して横方向外側に配置されてもよい。ガスケットカフは、着用者の太腿の周りにより良好なシールをもたらすことができる。通常は、各ガスケットレッグカフは、1つ以上の弾性ストリング又は弾性要素33を含むが、これは、例えば、脚部開口部の領域のトップシートとバックシートとの間でおむつのシャーシに含まれている。
【0065】
吸収性物品はまた、おむつ、トレーニングパンツ、又は成人用失禁製品において見られる(更には説明しない)他の典型的な構成要素を含んでもよい。吸収性物品を着用者上に保持するように吸収性物品の外周の周りに横方向の張力を付与するために、テープ式おむつの用の解除可能な締結装置が設けられてもよい。トレーニングパンツの腰部領域は既に結合されているので、この締結装置はこれらの物品に関しては必要ではない。締結装置は、通常、テープタブ、フック・ループ式締結構成要素、タブ及びスロットのような連結締結具、バックル、ボタン、スナップ、並びに/又は雌雄同体締結構成要素などの締結具を含むが、その他の任意の既知の締結手段も概ね許容可能である。締結具が着脱可能に取り付けられるように、通常は、ランディング領域が物品の前側腰部領域に設けられる。
【0066】
吸収性物品は、当該技術分野において既知であるように、前耳部と後耳部とを含んでもよい。耳部は、例えば、トップシート及び/又はバックシートからサイドパネルとして形成される、シャーシの一体部分であり得る。あるいは、耳部は、接着剤及び/又は熱エンボス加工によって取り付けられる別個の要素であってもよい。後耳部は、有利には、ランディング領域へのタブの取り付けを容易にし、かつテープ式おむつを着用者の腰部の周りの適所に維持するために、伸縮性を有する。前耳部はまた、より快適で身体に沿うフィット感を提供するため、弾性又は延伸性であってもよく、このフィット感は、伸縮性の耳部によって吸収性物品の側部が伸縮することができるため、最初に吸収性物品を着用者に適合するようにフィットさせ、吸収性物品が排出物で充填されてからもかなりの時間、着用している間はずっとこのフィット感を持続させることによるものである。
【0067】
層と構成要素との間の関係
典型的に、隣接する層は、層の表面の全体若しくは一部へのスロットコーティング若しくは吹き付けによる接着剤コーティング、又は熱結合、又は圧力結合、あるいはそれらの組み合わせなど、従来の結合法を用いて互いに接合される。構成要素間の結合は、分かりやすさ及び読みやすさのためにほとんどの図面(特に
図12)に示されていない。物品の隣接する層は、他に特別な記載がない限り、別の層に貼付されていると考えるべきである。例えば、バックシートと、吸収性コアの最下層とは、典型的には一緒に接着剤で貼り合わされている可能性がある。使用される接着剤は、当該技術分野において既知の任意の標準的ホットメルト接着剤であってよい。
【0068】
パッケージ化
吸収性物品は、任意のタイプの従来のパッケージ化され得る。吸収性物品は、特にスペースを節約するようにパッケージ化されるときに圧縮されてよい。具体的には、パッケージは複数の吸収性物品を含むことができ、その場合パッケージは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,585,666 B2号(Weismann)に記載されるバッグ内スタック高さ試験に従って、約80mm未満のバッグ内スタック高さを有する。あるいは、本開示の吸収性物品のパッケージは、バッグ内(In-Back)スタック高さ試験に従って、約72mm〜約80mm、又は約74mm〜約78mm、具体的には、特定の範囲内及びその中又はそれによって形成された全ての範囲内において全ての0.5mmの増分である、バッグ内スタック高さを有し得る。
【0069】
試験手順
別段の指示がない限り、本明細書に示された値は、本明細書で以下に示される方法に従って計測されたものである。別段の指示がない限り、すべての測定は、21℃±2℃及び50%±20% RHで実施される。別段の指定がない限り、この試験を実施する前に、すべての試料は少なくとも24時間、これらの条件に保たれて平衡化されるべきである。別段の指定がない限り、すべての測定は、少なくとも4つの試料で再現され、得られた平均値が示されているはずである。
【0070】
遠心保持容量(CRC)
CRCは、過剰の液体中で自由膨潤する超吸収性ポリマー粒子によって吸収される液体を測定する。CRCは、EDANA法WSP 241.2−05に従って測定される。
【0071】
尿透過率測定(UPM)試験方法
この方法は、膨潤したヒドロゲル層1318の透過率を求める。
【0072】
図13は、一定静水頭部リザーバ1014と、空気取込み用の開口管1010と、補充用のストッパ付き通気孔1012と、実験用ジャッキ1016と、配送管1018と、ストップコック1020と、リングスタンド支持体1022と、受取容器1024と、天秤1026と、ピストン/シリンダアセンブリ1028と、を備えた、透過率測定システム1000の構成を示す。
【0073】
図14は、金属おもり1112と、ピストンシャフト1114と、ピストンヘッド1118と、蓋1116と、シリンダ1120と、を含む、ピストン/シリンダアセンブリ1028を示す。シリンダ1120は、透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))から製造され、滑らかなシリンダ内壁1150を備えた6.00cmの内径p(面積=28.27cm2)を有する。シリンダ1120の底部1148は、米国規格の400メッシュステンレス鋼スクリーンクロス(図示せず)に面しており、これはシリンダ1120の底部1148に取り付ける前に2軸方向に緊張状態に伸張されたものである。ピストンシャフト1114は、透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))から製造され、約127mmの全長qを有する。ピストンシャフト1114の中央部1126は、21.15mmの直径rを有する。ピストンシャフト1114の上部1128は、15.8mmの直径を有し、肩部1124を形成する。ピストンシャフト1114の下部1146は、およそ1.59cm(5/8インチ)の直径tを有し、ピストンヘッド1118の中心孔1218(
図15を参照)内にしっかりとねじ込むためにねじ付きである。ピストンヘッド1118は、穿孔されており、透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))で作られ、かつ広げた米国規格の400メッシュステンレス鋼スクリーンクロス(図示せず)によって覆われている。おもり1112は、ステンレス鋼であり、中心穴1130を有し、ピストンシャフト1114の上部1128上へと滑動し、肩部1124上に載る。ピストンヘッド1118、ピストンシャフト1114、及びおもり1112の合計重量は596g(±6g)であり、これは、シリンダ1120の面積にわたる2.07kPa(0.30psi)に対応する。合計重量は、ピストンシャフト1114の中心軸1132に止まり穴をドリルで穿設して材料を除去する、及び/又は空洞を設けておもりを加えることによって調節することができる。シリンダ蓋1116は、その中心にピストンシャフト1114を垂直に位置合わせするための第1の蓋開口部1134と、縁部1138付近に一定静水頭部リザーバ1014からシリンダ1120内に流体を導入するための第2の蓋開口部1136と、を有する。
【0074】
第1の線状指標マーク(図示せず)は、おもり1112の上部表面1152に沿って半径方向にスクライビングされ、第1の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132に対して横断方向である。対応する第2の線状指標マーク(図示せず)は、ピストンシャフト1114の頂面1160に沿って半径方向にスクライビングされ、第2の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132に対して横断方向である。対応する第3の線状指標マーク(図示せず)は、ピストンシャフト1114の中央部1126に沿ってスクライビングされ、第3の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132と平行である。対応する第4の線状指標マーク(図示せず)は、シリンダ蓋1116の上部表面1140に沿って半径方向にスクライビングされ、第4の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132に対して横断方向である。更に、対応する第5の線状指標マーク(図示せず)は、シリンダ蓋1116のリップ1154に沿ってスクライビングされ、第5の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132と平行である。対応する第6の線状指標マーク(図示せず)は、外側シリンダ壁1142に沿ってスクライビングされ、第6の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132と平行である。第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の線状指標マークの位置合わせにより、おもり1112、ピストンシャフト1114、シリンダ蓋1116、及びシリンダ1120を、各測定において、互いに関して同じ向きで再配置することが可能になる。
【0075】
シリンダ1120の仕様の詳細は次の通りである:
シリンダ1120の外径u:70.35mm
シリンダ1120の内径p:60.0mm
シリンダ1120の高さv:60.5mm
【0076】
シリンダ蓋1116の仕様の詳細は次の通りである:
シリンダ蓋1116の外径w:76.05mm
シリンダ蓋1116の内径x:70.5mm
リップ部1154を含むシリンダ蓋1116の厚さy:12.7mm
リップ部1154を除いたシリンダ蓋1116の厚さz:6.35mm
第1の蓋開口部1134の直径a:22.25mm
第2の蓋開口部1136の直径b:12.7mm
第1の蓋開口部1134と第2の蓋開口部1136の中心間距離:23.5mm
【0077】
おもり1112の仕様の詳細は次の通りである:
外径c:50.0mm
中心穴1130の直径d:16.0mm
高さe:39.0mm
【0078】
ピストンヘッド1118の仕様の詳細は次の通りである:
直径f:59.7mm
高さg:16.5mm
9.65mmの直径hを有する外側孔1214(合計14個)、外側孔1214は等間隔であり、中心は、中心孔1218の中心から47.8mmである。
9.65mmの直径iを有する内側孔1216(合計7個)、内側孔1216は等間隔であり、中心は、中心孔1218の中心から26.7mmである。
中心孔1218は、1.59cm(5/8インチ)の直径jを有し、ピストンシャフト1114の下部1146を受容するためにねじ付きである。
【0079】
使用前に、ピストンヘッド1118及びシリンダ1120のステンレス鋼スクリーン(図示せず)を、目詰まり、孔、又は過伸張に関して検査し、必要な場合には交換すべきである。損傷したスクリーンを有する尿透過性測定装置は、誤ったUPM結果を与える可能性があり、スクリーンを交換するまで使用してはならない。
【0080】
5.00cmのマーク1156が、シリンダ1120上において、シリンダ1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)の上方5.00cm(±0.05cm)の高さkでスクライビングされる。これは、分析中に維持されるべき流体レベルの印を付けている。正確かつ一定した流体の液面(静水圧)の維持は、測定精度のために重要である。
【0081】
一定静水頭部リザーバ1014は、シリンダ1120に食塩水1032を供給し、食塩水1032の液面を、シリンダ1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)の上方5.00cmの高さkに維持するために使用される。吸気管1010の底部1034は、シリンダ1120内の食塩水1032の液面を、測定中に必要とされる5.00cmの高さkに維持するように位置付けられ、即ち、空気管1010の底部1034は、受取容器1024の上方でリングスタンド1040上の支持スクリーン(図示せず)上に設置されたときにシリンダ1120の5.00cmマーク1156とおよそ同じ平面1038にある。吸気管1010とシリンダ1120上の5.00cmマーク1156との正確な高さの位置合わせは、分析にとって重要である。好適なリザーバ1014はジャー1030からなり、これには、流体を配送するための水平配向のL字形配送管1018、一定静水頭リザーバ1014内部の一定の高さにて空気を取り込むための垂直配向の開口管1010、及び一定静水頭リザーバ1014に補充するためのストッパ付き通気孔1012が含まれる。管1010は、12.5mm±0.5mmの内径を有する。一定静水頭部リザーバ1014の底部1042の付近に位置付けられる配送管1018は、食塩水1032の配送を開始/停止するための、ストップコック1020を含む。配送管1018の出口1044は、シリンダ蓋1116の第2の蓋開口部1136を通って挿入されるような寸法であり、その端部は、シリンダ1120内の食塩水1032の表面より下方に位置付けられる(シリンダ1120内で、食塩水1032の5.00cm高さが得られた後)。吸気管1010は、o−リングカラー(図示せず)と共に適所に保持される。一定静水頭部リザーバ1014は、その高さをシリンダ1120の高さに対して調節するために、実験用ジャッキ1016上に位置付けることができる。一定静水頭部リザーバ1014の構成要素は、シリンダ1120を必要な高さ(即ち、静水頭部)まで急速に充填し、この高さを測定の持続時間にわたって維持するような大きさである。一定静水頭部リザーバ1014は、食塩水1032を少なくとも3g/秒の流量にて少なくとも10分間配送することが可能でなければならない。
【0082】
ピストン/シリンダアセンブリ1028は、リングスタンド1040又はこれに代る好適な堅いスタンド上に支持された、16メッシュの堅いステンレス鋼支持スクリーン(図示せず)(又は同等品)上に位置付けられる。この支持スクリーン(図示せず)は、食塩水1032の流れを妨害しないように十分透過性であり、ステンレス鋼メッシュクロス(図示せず)を支持して伸張を防ぐのに十分な剛性がある。支持スクリーン(図示せず)は、試験中にピストン/シリンダアセンブリ1028が傾くのを避けるために、平坦かつ水平であるべきである。支持スクリーン(図示せず)を通過する食塩水1032は、支持スクリーン(図示せず)の下方に位置付けられている(が、支持スクリーンを支持しない)受取容器1024内に収集される。受け取り容器1024は、少なくとも0.01gまでの正確さである天秤1026上に配置される。天秤1026のデジタル出力は、コンピュータ化されたデータ獲得システム(図示されない)に接続される。
【0083】
試薬の調製(例示されない)
ジェイコ合成尿(Jayco Synthetic Urine)(JSU)1312(
図16参照)が膨潤相(以下のUPM手順参照)に使用され、0.118M塩化ナトリウム(Nacl)溶液が流れ相(以下のUP手順参照)に使用される。以下の調製は、標準1リットル体積についてものとする。1リットル以外の体積の調製では、全ての量が適宜に測られる。
【0084】
JSU:蒸留水を1Lのメスフラスコにその容積の80%まで充填し、フラスコ内に電磁攪拌棒を配置する。別個に計量紙又はビーカーを使用して、以下の量の乾燥成分を、化学天秤を使用して±0.01gまで計量し、以下に挙げるものと同じ順序で、メスフラスコに、定量的に加える。溶液を好適な攪拌プレート上で全ての固体が溶解するまで攪拌し、攪拌棒を取り除き、この溶液を蒸留水で希釈して1Lの体積とする。攪拌棒を再度挿入し、溶液を攪拌プレート上で更に数分間攪拌する。
【0085】
1リットルのジェイコ合成尿を調製するための塩の量:
塩化カリウム(KCl)2.00g
硫酸ナトリウム(Na
2SO4)2.00g
無水リン酸アンモニウム(NH
4H
2PO
4)0.85g
リン酸アンモニウム、二塩基性((NH
4)
2HPO
4)0.15g
塩化カルシウム(CaCl
2)0.19g−[又は塩化カルシウム水和物(CaCl
2・2H
2O)0.25g]
塩化マグネシウム(MgC
2)0.23g−[又は塩化マグネシウム水和物(MgCl
2・6H
2O)0.50g]
【0086】
より素早く調製するためには、次の塩を添加する前に各塩を完全に溶解させる。ジェイコ合成尿は、清浄なガラス容器内で2週間貯蔵されてもよい。溶液が濁ってきたら、使用してはならない。清浄なプラスチック容器中での貯蔵寿命は10日間である。
【0087】
0.118M塩化ナトリウム(NaCl)溶液:0.118M塩化ナトリウムが、食塩水1032として使用される。秤量紙又はビーカーを用いて6.90g(±0.01g)の塩化ナトリウムを計量し、1Lメスフラスコ内に定量的に移し、フラスコを蒸留水で体積まで充填する。攪拌棒を加え、溶液を攪拌プレート上で全ての固体が溶解するまで混合する。
【0088】
試験準備
固体参照シリンダウェイト(図示せず)(直径40mm、高さ140mm)を使用して、キャリパーゲージ(図示せず)(例えば、Mitotoyo Digimatic Height Gage)を読み値ゼロに設定する。この作業は、好都合には、平坦かつ水平なベンチトップ1046上で実施される。ピストン/シリンダアセンブリ1028は、超吸収性ポリマー粒子なしでキャリパーゲージ(図示せず)の下方に位置付けられ、測定値L
1は、0.01mm単位で記録される。
【0089】
一定静水頭リザーバ1014に食塩水1032を充填する。吸気管1010の底部1034は、シリンダ1120内の液体メニスカス(図示せず)の最上部(図示せず)が、測定中、5.00cmのマーク1156で維持されるように位置付けられる。吸気管1010をシリンダ1120上の5.00cmのマーク1156にて正確に高さの位置合わせをすることは、分析にとって重要である。
【0090】
受取容器1024を天秤1026上に置き、天秤1026のデジタル出力をコンピュータデータ収集システム(図示せず)に接続する。16メッシュの堅いステンレス鋼支持スクリーン(図示せず)を有するリングスタンド1040を、受取容器1024の上方に位置決めする。16メッシュスクリーン(図示せず)は、測定中にピストン/シリンダアセンブリ1028を支持するために十分に剛性でなければならない。支持スクリーン(図示せず)は、平坦かつ水平でなければならない。
【0091】
UPM手順
測定は、好ましくは、吸収性コアに加工される前に超吸収性ポリマー粒子原材料に対して行われるべきである。これが無理な場合には、中心層からSAP粒子を手で抜き出すことによって、完成した吸収性コアから十分なSAP試料を得る必要がある。
【0092】
超吸収性ポリマー粒子の含水率は、EDANA含水率試験方法WSP 230.2.R3(12)(「超吸収性材料−ポリアクリレート超吸収性粉末−含水率−加熱時の重量喪失」)に従って第1の試料上で測定される。化学天秤を使用して、超吸収性ポリマー粒子の別の試料1.5g(±0.05g)を好適な秤量紙又は秤量補助物上に計量する。超吸収性ポリマー粒子の含水率が5%を超える場合、超吸収性ポリマー粒子の重量を水分に関して補正しなければならない(即ち、その特定の場合において、加えられた超吸収性ポリマー粒子は、乾燥重量基準で1.5gでなければならない)。
【0093】
空のシリンダ1120を水平なベンチトップ1046上に置き、超吸収性ポリマー粒子を定量的にシリンダ1120内に移す。超吸収性ポリマー粒子を、シリンダ1120を緩やかに振盪、回転、及び/又はタッピングすることによって、シリンダ1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)上に均一に分散させる。最も精密な結果を得るために、シリンダ1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)上に、粒子を均等に分散させることが重要である。シリンダ1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)上に、超吸収性ポリマー粒子を均等に分散させた後、粒子は内側シリンダ壁1150に付着してはならない。蓋1116のリップ部1154がピストンヘッド1118に面した状態で、ピストンシャフト1114を第1蓋開口部1134を通して挿入する。ピストンヘッド1118をシリンダ1120内に数センチメートルの深さまで慎重に挿入する。次に、ピストンヘッド1118を超吸収性ポリマー粒子から離して維持するように注意を払いながら、蓋1116をシリンダ1120の上方リム1144上に配置する。次いで、第3、第4、第5、及び第6の線状指標マークを位置合わせするように、蓋1116及びピストンシャフト1126を慎重に回転させる。次に、ピストンヘッド1118を(ピストンシャフト1114によって)静かに下げて、乾燥した超吸収性ポリマー粒子上に載せる。おもり1112をピストンシャフト1114の上部1128上に位置付け、その結果、これが肩部1124上に据えられ、それによって第1及び第2の線状指標マークが位置合わせされる。蓋1116の適切な配置は、おもりの結合を防ぎ、ヒドロゲル層1318上のおもりの均等な分配を確実にする。
【0094】
膨潤段階:フリットディスク1310が飽和するまで過剰量のJSU 712をフリットディスク1310に加えることによって、直径8cmのフリットディスク(厚さ7mm;例えば、Chemglass Inc.製、No.CG 201−51、粗多孔性)1310を飽和させる。飽和したフリットディスク1310を、広く平坦な底部を有するペトリ皿1314内に置き、JSU 1312がフリットディスク1310の頂面1316に達するまでJSU 1312を加える。JSUの高さは、フリットディスク1310の高さを超えてはならない。
【0095】
シリンダ1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)は、容易に伸張する。伸張を防ぐために、ピストン/シリンダアセンブリ1028のシリンダ1120を把持しながら、蓋1116のすぐ上で、ピストンシャフト1114に人差し指で横からの圧力を加える。これは、ピストンシャフト1114を、蓋1116に対して適所に「固定」し、その結果、ピストン/シリンダアセンブリ1028を、過度な力をスクリーン(図示せず)上にかけることなく持ち上げることができる。
【0096】
ピストン/シリンダアセンブリ1028全体をこの方法で持ち上げ、ペトリ皿1314内のフリットディスク1310上に配置する。ペトリ皿1314からのJSU 1312は、フリットディスク1310を通過し、超吸収性ポリマー粒子(図示せず)に吸収されて、ヒドロゲル層1318を形成する。ペトリ皿1314内で利用可能なJSU 1312は、全ての膨潤段階にとって十分でなければならない。必要であれば、JSU 1312の液面をフリットディスク1310の頂面1316に維持するために、水和期間中に一層多くのJSU 1312をペトリ皿1314に加えてもよい。60分後、上記のようにピストンシャフト1114を蓋1116に対して係止するように注意を払いながら、ピストン/シリンダアセンブリ1028をフリットディスク1310から取り外し、この手順の間にヒドロゲル層1318がJSU 1312を失わないか又は空気を取り込まないことを確実にする。ピストン/シリンダアセンブリ1028をキャリパーゲージ(図示せず)下に置き、測定値L
2を0.01mm単位で記録する。測定値が時間の経過とともに変化する場合には、初期値のみを記録する。ヒドロゲル層1318の厚さL
0は、L
2−L
1から0.1mm単位で求められる。
【0097】
ピストンシャフト1114が蓋1116に対して適所に係止するように注意を払いながら、ピストン/シリンダアセンブリ1028をリング支持スタンド1040に取り付けられた支持スクリーン(図示せず)に移動させる。一定静水頭部リザーバ1014は、配送管1018が第2の蓋開口部1136を通って配置されるように位置付けられる。測定を以下の順序で開始する。
a)一定静水頭部リザーバ1014のストップコック1020を開けて、食塩水1032をシリンダ1120上の5.00cmマーク1156まで到達させる。この食塩水1032の液面は、ストップコック1020を開いて10秒以内に得られるべきである。
b)5.00cmの食塩水1032が得られたら、データ収集プログラムを開始する。
【0098】
天秤1026に取り付けられたコンピュータ(図示せず)を用いて、ヒドロゲル層1318を通過する食塩水1032の量を、20秒間隔で10分間にわたって記録する。10分間の終了時に、一定静水頭部リザーバ1014上のストップコック1020を閉じる。
【0099】
60秒から実験の終わりまでのデータをUPM計算に使用する。60秒より前に収集されたデータは、計算に含めない。流速F
s(g/s)は、60秒〜600秒の時間(秒)の関数として収集される食塩水1032の重量(グラム)のグラフに適合する、線形最小二乗法の傾斜である。
【0100】
ヒドロゲル層1318の尿透過性測定値(Q)は、以下の等式を用いて算出される。
Q=[F
g×L
0]/[ρ×A×ΔP]
式中、F
gは、流量結果の回帰分析から決定される流量(単位g/s)であり、L
0は、ヒドロゲル層1318の初期厚さ(単位cm)であり、ρは、食塩水1032の密度(単位g/cm
3)である。(上記の等式の)Aは、ヒドロゲル層1318の面積(単位:cm
2)であり、ΔPは静水圧(単位:ダイン/cm
2)であり、尿透過性測定値Qは、単位cm
3秒/gである。3回の測定の平均値が用いられるべきである。
【0101】
高ロフト不織布層の厚さ及び密度の測定方法
この方法は、高ロフト繊維不織布中心層の厚さを標準化された方法で測定するために用いられる。続いて、厚さから密度を計算することができる。別段の断りがない限り、厚さ及び密度は、SAP粒の不存在下での高ロフト材料に関して示される。測定は、好ましくは、高ロフト材料が吸収性コアに加工される前の(したがってSAPを含まない)高ロフト材料に対して行われるべきである。出発材料が入手不可能な場合には、吸収性コアから高ロフト中心層を注意深く抜き出し、例えば慎重に振盪又は吸引することによってSAP粒子の大部分を除去することによって、高ロフト中心層を得ることができる。凍結スプレーを使用して、中心層を他の層から分離してもよい。試料は、特にそれまでに圧縮された場合には、21℃±2℃及び50%±20% RHで少なくとも24時間維持して平衡化させる必要がある。
【0102】
機器:分解能が0.01mmのMitutoyo製の手動キャリパーゲージ又は同等の計器。
【0103】
コンタクトフット:直径17.0mm(±0.2mm)の平坦な円形フット。円形の重りをフットに適用して(例えば、器具シャフトの周囲への適用を促進するためにスロットを有する重り)、目標重量を得てもよい。フット及び付加重量の総重量(シャフトを含む)は、試料に4.14kPaの圧力を提供するように選択される。
【0104】
キャリパーゲージは、コンタクトフットの下部表面が約20×25cmの基部プレートの平坦で水平な上部表面の中心に接触するように、コンタクトフットの下部表面が水平面にあるように備え付ける。ゲージは、コンタクトフットを基部プレート上に静置してゼロであるように設定する。
【0105】
目盛:mm単位で目盛が付けられた較正済み金属定規
【0107】
試料調製:中心層を上記のように少なくとも24時間調整する。
【0108】
測定手順:層を、底面、即ち、最終物品においてバックシートに向けて配置されるように意図された面を下向きにして、平らに置く。測定点(即ち、試料の中央)を、層を圧迫又は変形させないように注意しながら、層の上面上に注意深く描く。万一高ロフト不織布層が横断方向又は長手方向に均質でない場合であっても、値は、試料から製造されることになる吸収性コアの中心に対応する試料の中心で測定する。しかしながら、高ロフト繊維不織布層は通常は均質である。
【0109】
キャリパーゲージのコンタクトフットを持ち上げ、中心層を、コアの上面を上にしてキャリパーゲージの基部プレート上に平坦に配置して、下げたときにフットの中心が印を付けた測定点上にくるようにする。
【0110】
フットを試料の上に慎重に下ろしてから解放する(測定開始前に較正が「0」であることを確認する)。キャリパー値は、フットを解放した10秒後に0.01mm単位で読み取る。
【0111】
手順を各測定点について繰り返す。試料を所与の材料に関してこのように測定し、平均キャリパーを計算し、10分の1mmの精度で報告する。各試料の重量をそれらの面積で割ることによって各試料の坪量を計算する。
【0112】
材料の坪量(g/cm
2)を厚さ(cm)で割ることによって密度(g/cc)を計算する。
【0113】
その他
本明細書に開示されている寸法及び値は、記載される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解すべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような各寸法は、記載される値とその値の周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示されている寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。