特許第6833807号(P6833807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6833807カートマイザー内のベイパー前駆体レベルの測定方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833807
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】カートマイザー内のベイパー前駆体レベルの測定方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20200101AFI20210215BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20210215BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20210215BHJP
【FI】
   A24F47/00
   A61M15/06 A
   A61M15/06 C
   A24F40/50
【請求項の数】17
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-505456(P2018-505456)
(86)(22)【出願日】2016年8月5日
(65)【公表番号】特表2018-529319(P2018-529319A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】EP2016068814
(87)【国際公開番号】WO2017021550
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2019年8月2日
(31)【優先権主張番号】14/819,946
(32)【優先日】2015年8月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】キーン ジャレット
【審査官】 中野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/015431(WO,A1)
【文献】 特表2014−501105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A24F 40/50
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジング内の液体供給貯蔵部と、前記液体供給貯蔵部と接続する気化器と、前記液体供給貯蔵部に隣接するチャネルとを含むカートマイザーであって、前記液体供給貯蔵部が、ベイパー前駆体を貯蔵するように構成され、前記気化器が、前記チャネルから前記液体供給貯蔵部に延びる芯であって、前記液体供給貯蔵部から前記チャネルに前記ベイパー前駆体を輸送するように構成される前記芯を含むものである、前記カートマイザーと、
前記気化器に電力を提供するように構成されるバッテリー部であって、制御回路によって測定される前記芯の電気抵抗に基づいて、前記芯における前記ベイパー前駆体の飽和レベルを判断するように構成される前記制御回路を含む、前記バッテリー部とを備えるものであって、前記制御回路は、異なる時点で前記芯の抵抗を測定するように構成されて、また前記制御回路によって測定され、かつ、異なる時点で測定した前記芯の前記電気抵抗に相当する複数の電気抵抗値を記憶するように構成されたメモリユニットを含み、前記制御回路は、異なる時点で前記芯から測定した少なくとも2つの前記電気抵抗値の比較結果に基づいて、通知を発するように構成される、電子ベイピング装置。
【請求項2】
前記カートマイザー及び前記バッテリー部が、互いに取り外し可能に結合するように構成され、前記気化器が、前記チャネルに輸送した前記ベイパー前駆体からベイパーを生成するように構成される発熱体を含む、請求項1記載の電子ベイピング装置。
【請求項3】
前記バッテリー部が、バッテリーを含み、
前記発熱体が、前記芯の一部の周囲に巻回する加熱コイルを含み、
前記加熱コイルが、前記バッテリーから電力を受けて前記芯を加熱するように構成される、請求項2記載の電子ベイピング装置。
【請求項4】
前記カートマイザーが、前記加熱コイルのそれぞれの端と接続する第一の電気リード線及び第二の電気リード線を含み、
前記カートマイザーが、前記芯の第一の端と接続する第一のプローブを含み、
前記第一のプローブ及び前記第一の電気リード線は、互いに分離し、
前記制御回路が、前記第一のプローブと、前記第一の電気リード線及び前記第二の電気リード線のうちの一方とを用いて、前記芯の一部分にわたる前記電気抵抗を測定するように構成され、
前記制御回路が、該芯の部分の測定した電気抵抗に基づいて、前記芯における前記ベイパー前駆体の前記飽和レベルを判断するように構成される、請求項3記載の電子ベイピング装置。
【請求項5】
前記カートマイザーが、前記芯の第一の端及び第二の端とそれぞれ電気的に接続する第一のプローブ及び第二のプローブを含み、
前記バッテリー部が、前記第一のプローブ及び前記第二のプローブを前記制御回路に接続するように構成され、
前記制御回路が、前記第一のプローブ及び前記第二のプローブを用いて、前記芯にわたる前記電気抵抗を測定するように構成される、請求項3記載の電子ベイピング装置。
【請求項6】
前記カートマイザーが、前記芯の第一の端及び第二の端とそれぞれ電気的に接続する第一のプローブ及び第二のプローブを含み、
前記カートマイザーが、前記加熱コイルのそれぞれの端と接続する第一の電気リード線及び第二の電気リード線を含み、
前記第一のプローブ及び前記第一の電気リード線は、互いに分離し、
前記第二のプローブ及び前記第二の電気リード線は、互いに分離し、
前記制御回路が、前記第一のプローブと、前記第一の電気リード及び前記第二の電気リード線の少なくとも一方とを用いて、前記芯の第一の部分にわたる前記電気抵抗を測定するように構成され、
前記制御回路が、前記第一のプローブ及び前記第二のプローブを用いて、前記芯の第二の部分にわたる前記電気抵抗を測定するように構成され、
前記制御回路が、前記芯の前記第一の部分にわたる測定電気抵抗と、前記芯の前記第二の部分にわたる測定電気抵抗とのうちの少なくとも一方に基づいて、前記芯における前記ベイパー前駆体の前記飽和レベルを判断するように構成され、
前記芯の前記第一の部分及び前記芯の前記第二の部分は、異なる大きさである、請求項3記載の電子ベイピング装置。
【請求項7】
前記制御回路が、前記第二のプローブと、前記第一の電気リード線及び前記第二の電気リード線のうちの少なくとも一方とを用いて、前記芯の第三の部分にわたる前記電気抵抗を測定するように構成され、
前記芯の前記第二の部分及び前記第三の部分は、異なる大きさである、請求項6記載の電子ベイピング装置。
【請求項8】
LEDをさらに備えるものであって、
前記制御回路が、前記LEDと接続し、
前記制御回路が、前記芯の前記電気抵抗が第一の閾値と第二の閾値との間にあれば、前記LEDを制御して第一の色を表示するように構成され、
前記制御回路が、前記芯の前記電気抵抗が前記第一の閾値より大きければ、前記LEDを制御して第二の色を表示するように構成された回路であり、
前記第一の閾値は、前記第二の閾値より大きく、
前記第一の色は、前記第二の色と異なる、請求項1から7のいずれか一項に記載の電子ベイピング装置。
【請求項9】
前記制御回路が、前記芯の前記電気抵抗が前記第一の閾値より大きければ、前記気化器への電力の供給を制限するように構成される、請求項8記載の電子ベイピング装置。
【請求項10】
電子ベイピング装置のバッテリー部であって、前記バッテリー部が、
バッテリーと、
前記バッテリーと接続する制御回路とを備えるものであって、
前記制御回路が、カートマイザー内の芯におけるベイパー前駆体の飽和レベルを、前記制御回路によって測定される前記芯の少なくとも一部分の電気抵抗に基づいて判断するように構成されるものであって、前記制御回路は、異なる時点で前記芯の該抵抗を測定するように構成されて、また前記制御回路によって測定され、かつ、異なる時点で測定した前記芯の前記電気抵抗に相当する複数の電気抵抗値を記憶するように構成されたメモリユニットを含み、前記制御回路は、異なる時点で同じ芯から測定した少なくとも2つの前記電気抵抗値の比較結果に基づいて、通知を発するように構成される、電子ベイピング装置のバッテリー部。
【請求項11】
電子ベイピング装置の動作方法であって、該方法は、
前記電子ベイピング装置のバッテリー部内の制御回路を用いて、前記電子ベイピング装置のカートマイザー内の芯の電気抵抗を測定することであって、
前記制御回路が、メモリユニットと、
ハウジング、前記ハウジング内の液体供給貯蔵部、前記液体供給貯蔵部と接続する気化器、及び前記液体供給貯蔵部と隣接するチャネルを含む前記カートマイザーと、
前記チャネルから前記液体供給貯蔵部に延びる芯であって、前記液体供給貯蔵部から前記チャネルにベイパー前駆体を輸送するように構成される前記芯を含む前記気化器とを含むことと、
前記芯の電気抵抗測定値に基づいて、前記芯における前記ベイパー前駆体の飽和レベルを判断することであって、
前記制御回路によって測定されて、かつ、異なる時点で測定した前記芯の前記抵抗に相当するものである複数の電気抵抗値を、前記メモリユニット内に記憶することと、
異なる時点で同じ芯から測定した少なくとも2つの前記電気抵抗値の比較結果に基づいて、通知を発することとを含むものである、飽和レベルを判断することとを含む、方法。
【請求項12】
使用者が前記電子ベイピング装置に陰圧を少なくとも1回加えた後に、前記電気抵抗測定値に基づいて、通知を発することをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
使用者が前記電子ベイピング装置に陰圧を少なくとも1回加えた後に、前記電気抵抗測定値に基づいて、前記電気抵抗を再度測定することをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記飽和レベルを判断することが、前記電気抵抗測定値が閾値より小さいかどうかを判断することを含み、
前記電気抵抗測定値が前記閾値より大きければ、前記通知を発することを実行する、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記飽和レベルを判断することが、前記電気抵抗測定値が閾値より小さいかどうかを判断することを含み、
前記電気抵抗測定値が前記閾値以下であれば、前記使用者が前記電子ベイピング装置に陰圧を少なくとも1回加えた後に、前記電気抵抗を再度測定することを実行する、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記飽和レベルを判断することが、前記電気抵抗測定値が第一の閾値と第二の閾値との間にあるかどうかを判断することを含み、
前記第一の閾値は、前記第二の閾値より大きく、
前記電気抵抗測定値が前記第一の閾値と前記第二の閾値との間にあれば、前記使用者が前記電子ベイピング装置に陰圧を少なくとも1回加えた後に、前記電気抵抗を再度測定することを実行する、請求項13記載の方法。
【請求項17】
電子ベイピング装置を形成する方法であって、該方法は、
カートマイザーをバッテリー部に接続することを含むものであって、
前記カートマイザーが、ハウジングと、前記ハウジング内の液体供給貯蔵部と、前記液体供給貯蔵部と接続する気化器と、前記液体供給貯蔵部と隣接するチャネルとを含み、 前記液体供給貯蔵部が、ベイパー前駆体を貯蔵するように構成され、
前記気化器が、前記チャネルから前記液体供給貯蔵部に延びる芯であって、前記液体供給貯蔵部から前記チャネルに前記ベイパー前駆体を輸送するように構成される前記芯を含み、
前記バッテリー部が、前記気化器に電力を提供するように構成され、
前記バッテリー部が、制御回路によって測定される前記芯の電気抵抗に基づいて、前記芯における前記ベイパー前駆体の飽和レベルを判断するように構成される前記制御回路を含むものであって、前記制御回路は、異なる時点で前記芯の抵抗を測定するように構成されて、また前記制御回路によって測定され、かつ、異なる時点で測定した前記芯の電気抵抗に相当する複数の電気抵抗値を記憶するように構成されたメモリユニットを含み、前記制御回路は、異なる時点で同じカートマイザーの前記芯から測定した少なくとも2つの前記電気抵抗値の比較結果に基づいて、通知を発するように構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カートマイザー内のベイパー前駆体レベルを測定するように構成された電子ベイピング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ベイピング装置(electronic vaping device)(イーベイピング(e-vaping)装置とも称する)は、使用者による蒸気の吸引を許容するために、液体物質を「ベイパー(蒸気)」に気化するために用いられ得る。液体物質は、ベイパー前駆体とも称し得る。電子ベイピング装置は、例えば電源及びカートマイザー(カートリッジとも称する)などの複数の要素を含み得る。電源は、バッテリー部であり得る。カートマイザーは、ベイパー前駆体を保持する貯蔵部と、ベイパー前駆体を気化してベイパーを生成する加熱部とを含み得る。使用者が電子ベイピング装置のマウスピースに陰圧を加えることに応じて(例えば、吸煙)、電子ベイピング装置がベイパーを生成するとき、カートマイザー内のベイパー前駆体を消費し得る。
【0003】
ベイパー前駆体を消費するにつれて、カートマイザー内のベイパー前駆体レベルが減少する。カートマイザー内のベイパー前駆体を閾値レベル未満に消費すると、カートマイザーは、ベイパー前駆体を保持する貯蔵部を含む新しいカートマイザーと置き換えられ得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第一の態様によれば、カートマイザー及びバッテリー部を含む電子ベイピング装置を提供する。カートマイザーが、ハウジングと、ハウジング内の液体供給貯蔵部と、液体供給貯蔵部と接続する気化器と、液体供給貯蔵部に隣接するチャネルとを含む。液体供給貯蔵部が、ベイパー前駆体を貯蔵するように構成されている。気化器が、液体供給貯蔵部からチャネルにベイパー前駆体を輸送するように構成される流体輸送構造を含む。バッテリー部が、気化器に電力を提供するように構成されている。バッテリー部は、流体輸送構造の電気抵抗に基づいて、流体輸送構造におけるベイパー前駆体の飽和レベルを判断するように構成される制御回路を含む。
【0005】
カートマイザー及びバッテリー部が、互いに取り外し可能に結合するように構成され得る。気化器が、チャネルに輸送したベイパー前駆体からベイパーを生成するように構成される発熱体を含み得る。
【0006】
バッテリー部が、バッテリーを含み得る。流体輸送構造が、チャネルから液体供給貯蔵部に延びる芯を含み得る。発熱体が、芯の一部の周囲に巻回する加熱コイルを含み得る。加熱コイルが、バッテリーからの電力を受けて芯を加熱するように構成され得る。
【0007】
カートマイザーが、加熱コイルのそれぞれの端と接続する第一の電気リード線及び第二の電気リード線を含み得る。カートマイザーが、芯の一方の端と接続する第一のプローブを含み得る。第一のプローブ及び第一の電気リード線は、互いに分離し得る。制御回路が、第一のプローブと、第一及び第二の電気リード線のうちの一方とを用いて、芯の一部分にわたる電気抵抗を測定するように構成され得る。制御回路が、該芯の一部分の測定した電気抵抗に基づいて、流体輸送構造におけるベイパー前駆体の飽和レベルを判断するように構成され得る。
【0008】
カートマイザーが、芯の第一の端及び第二の端とそれぞれ電気的に接続する第一のプローブ及び第二のプローブを含み得る。バッテリー部が、第一及び第二のプローブを制御回路に接続するように構成され得る。制御回路が、第一のプローブ及び第二のプローブを用いて、芯にわたって電気抵抗を測定するように構成され得る。
【0009】
カートマイザーが、芯の第一の端及び第二の端とそれぞれ電気的に接続する第一のプローブ及び第二のプローブを含み得る。カートマイザーが、加熱コイルのそれぞれの端と接続する第一の電気リード線及び第二の電気リード線を含み得る。第一のプローブ及び第一の電気リード線は、互いに分離し得る。第二のプローブ及び第二の電気リード線は、互いに分離し得る。制御回路が、第一のプローブと、第一及び第二の電気リード線のうちの少なくとも一方とを用いて、芯の第一の部分にわたる電気抵抗を測定するように構成され得る。制御回路が、第一のプローブ及び第二のプローブを用いて、芯の第二の部分にわたる電気抵抗を測定するように構成され得る。制御回路が、芯の第一の部分にわたる測定電気抵抗と、芯の第二の部分にわたる測定電気抵抗とのうちの少なくとも一方に基づいて、流体輸送構造におけるベイパー前駆体の飽和レベルを判断するように構成され得る。芯の第一の部分及び芯の第二の部分は、異なる大きさであり得る。
【0010】
制御回路が、第二のプローブと、第一及び第二の電気リード線のうちの少なくとも一方とを用いて、芯の第三の部分にわたる電気抵抗を測定するように構成され得る。芯の第二の部分及び芯の第三の部分は、異なる大きさであり得る。
【0011】
電子ベイピング装置が、LEDをさらに含み得る。制御回路が、LEDと接続し得る。制御回路が、流体輸送構造の電気抵抗が第一の閾値と第二の閾値との間にあれば、LEDを制御して第一の色を表示するように構成され得る。制御回路が、流体輸送構造の電気抵抗が第一の閾値より大きければ、LEDを制御して第二の色を表示するように構成され得る。第一の閾値は、第二の閾値より大きいものであり得る。第一の色は、第二の色と異なり得る
【0012】
制御回路が、流体輸送構造の電気抵抗が第一の閾値より大きければ、気化器への電力の供給を制限するように構成され得る。
【0013】
制御回路が、抵抗感知部及び気化器駆動部を含み得る。
【0014】
制御回路が、メモリユニットを含み得る。メモリユニットが、異なる時点で測定した流体輸送構造の電気抵抗に相当するものである複数の電気抵抗値を記憶するように構成され得る。制御回路が、同一のカートマイザーの流体輸送構造から測定した少なくとも2つの電気抵抗値の比較結果に基づいて、通知を発するように構成され得る。
【0015】
電気抵抗値のうちの少なくとも2つには、第一の値及び第二の値を含み得る。制御回路は、第一の値及び第二の値に基づく比が閾値とする比より大きいか、又は、第一の値及び第二の値に基づく差異が閾値とする差異よりも大きいか、又は、その両方であれば、通知を発するように構成され得る。
【0016】
本発明の第二の態様によれば、電子ベイピング装置のバッテリー部が、バッテリーと、バッテリーと接続する制御回路とを含み得る。制御回路が、流体輸送構造の少なくとも一部分の電気抵抗に基づいて、流体輸送構造におけるベイパー前駆体の飽和レベルを判断するように構成され得る。
【0017】
バッテリー部が、本発明の第一の態様による電子ベイピング装置のバッテリー部に関して本明細書に記載した特徴のいずれかをさらに含み得る。
【0018】
バッテリー部が、電子ベイピング装置のカートマイザーと取り外し可能に結合するように構成され得る。
【0019】
制御回路が、電気抵抗が閾値より大きいと判断する場合に、バッテリーが外側の装置に供給している電力の供給を制限するように、制御回路は構成され得る。
【0020】
バッテリー部が、バッテリーと接続するLEDをさらに含み得る。制御回路は、電気抵抗が第一の閾値と第二の閾値との間にあれば、LEDを制御して第一の色を表示するように構成され得る。制御回路が、流体輸送構造の電気抵抗が第一の閾値より大きければ、LEDを制御して第二の色を表示するように構成され得る。第一の閾値は、第二の閾値より大きいものであり得る。第一の色は、第二の色と異なり得る。
【0021】
制御回路が、抵抗感知制御部及び気化器駆動部を含み得る。気化器駆動部が気化器と電気的に接続している場合、気化器駆動部は、気化器への供給及び電力を制御するように構成され得る。抵抗感知制御部が、流体輸送構造の異なる部分において測定した感知抵抗値に基づいて、電気抵抗を判断するように構成され得る。
【0022】
本発明の第三の態様によれば、ハウジングと、ハウジング内の液体供給貯蔵部と、液体供給貯蔵部と接続する気化器と、液体供給貯蔵部に隣接するチャネルとを含むカートマイザーを提供する。カートマイザーが、気化器の第一の位置及び第二の位置とそれぞれ接続する第一の電気リード線及び第二の電気リード線と、気化器の第三の位置と接続するプローブとを含み得る。液体供給貯蔵部が、ベイパー前駆体を貯蔵するように構成される。気化器が、液体供給貯蔵部からチャネルに延びて、液体供給貯蔵部からチャネルにベイパー前駆体を輸送するように構成される流体輸送構造を含む。気化器の第一、第二及び第三の位置は、互いに離間している。第一の電気リード線、第二の電気リード線及びプローブは、互いに離間している。
【0023】
カートマイザーが、本発明の第一の態様による電子ベイピング装置のカートマイザーに関して、本明細書に記載した特徴のいずれかをさらに含み得る。
【0024】
気化器が、チャネルに輸送したベイパー前駆体からベイパーを生成するように構成される発熱体を含み得る。気化器の第一の位置及び第二の位置は、発熱体のそれぞれの端であり得る。
【0025】
流体輸送構造が、チャネルから液体供給貯蔵部に延びる芯を含み得る。発熱体が、チャネル内で芯の一部分を囲繞し得る。気化器の第三の位置は、芯の一端に相当し得る。
【0026】
カートマイザーが、ハウジングの両端において、ハウジング内に吸い口端挿入部とシールとを含み得る。第一の電気リード線及び第二の電気リード線が、第一及び第二の位置からシールを通ってハウジングの一端に延び得る。
【0027】
プローブが、気化器の第三の位置からハウジングの一端に延び得る。
【0028】
本発明の第四の態様によれば、電子ベイピング装置の動作方法であって、電子ベイピング装置のバッテリー部内の制御回路を用いて、電子ベイピング装置のカートマイザー内の流体輸送構造の電気抵抗を測定することを含む方法を提供する。上記方法はまた、流体輸送構造の電気抵抗測定値に基づいて、流体輸送構造におけるベイパー前駆体の飽和レベルを判断することを含む。カートマイザーが、ハウジングと、ハウジング内の液体供給貯蔵部と、液体供給貯蔵部と接続する気化器と、液体供給貯蔵部に隣接するチャネルとを含む。気化器が、流体輸送構造を含む。流体輸送構造が、液体供給貯蔵部からチャネルにベイパー前駆体を輸送するように構成される。
【0029】
電子ベイピング装置が、本明細書に記載した実施形態のいずれかに係る、本発明の第一の態様による電子ベイピング装置であり得る。
【0030】
上記方法は、使用者が電子ベイピング装置に陰圧を少なくとも1回加えた後に、電気抵抗測定値に基づいて、通知を発すること又は電気抵抗を再度測定することをさらに含み得る。
【0031】
飽和レベルを判断するステップが、電気抵抗測定値が閾値より小さいかどうかを判断することを含み得る。電気抵抗測定値が閾値より大きければ、通知を発することを実行し得る。電気抵抗測定値が閾値以下であれば、使用者が電子ベイピング装置に陰圧を少なくとも1回加えた後に、電気抵抗の再度の測定を実行し得る。
【0032】
飽和レベルを判断するステップが、電気抵抗測定値が第一の閾値と第二の閾値との間にあるかどうかを判断することを含み得る。第一の閾値は、第二の閾値より大きいものであり得る。電気抵抗測定値が第一と第二の閾値との間にあれば、使用者が電子ベイピング装置に陰圧を少なくとも1回加えた後に、電気抵抗の再度の測定を実行し得る。
【0033】
カートマイザー及びバッテリー部は、互いに取り外し可能に結合するように構成され得る。気化器は、チャネルに輸送したベイパー前駆体からベイパーを生成するように構成される発熱体を含み得る。
【0034】
本発明の第五の態様によれば、電子ベイピング装置を形成する方法であって、カートマイザーをバッテリー部に接続することを含む方法を提供する。カートマイザーが、ハウジングと、ハウジング内の液体供給貯蔵部と、液体供給貯蔵部と接続する気化器と、液体供給貯蔵部に隣接するチャネルとを含む。液体供給貯蔵部が、ベイパー前駆体を貯蔵するように構成される。気化器が、液体供給貯蔵部からチャネルにベイパー前駆体を輸送するように構成される流体輸送構造を含む。バッテリー部が、気化器に電力を提供するように構成される。バッテリー部が、流体輸送構造の電気抵抗に基づいて、流体輸送構造におけるベイパー前駆体の飽和レベルを判断するように構成される制御回路を含む。
【0035】
電子ベイピング装置が、本明細書に記載した実施形態のいずれかに係る、本発明の第一の態様による電子ベイピング装置であり得る。
【0036】
カートマイザー及びバッテリー部が、互いに取り外し可能に結合するように構成され得、気化器が、チャネルに輸送したベイパー前駆体からベイパーを生成するように構成される発熱体を含み得る。
【0037】
バッテリー部が、バッテリーを含み得、流体輸送構造は、チャネルから液体供給貯蔵部に延びる芯を含み得、発熱体が、芯の一部の周囲に巻回する加熱コイルを含み得、加熱コイルが、バッテリーから電力を受けて芯を加熱するように構成され得る。
【0038】
カートマイザーが、加熱コイルのそれぞれの端と接続する第一の電気リード線及び第二の電気リード線を含み得る。カートマイザーが、芯の第一の端と接続する第一のプローブを含み得る。第一のプローブ及び第一の電気リード線は、互いに分離し得る。制御回路が、第一のプローブと第一及び第二の電気リード線のうちの一方とを用いて芯の一部分にわたる電気抵抗を測定するように構成され得る。制御回路が、該芯の一部分の測定した電気抵抗に基づいて、流体輸送構造におけるベイパー前駆体の飽和レベルを判断するように構成され得る。
【0039】
カートマイザーが、それぞれ芯の第一の端及び第二の端と電気的に接続する第一のプローブ及び第二のプローブを含み得る。バッテリー部が、第一及び第二のプローブを制御回路に接続するように構成され得る。制御回路が、第一のプローブ及び第二のプローブを用いて芯にわたる電気抵抗を測定するように構成され得る。
【0040】
カートマイザーが、それぞれ芯の第一の端及び第二の端と電気的に接続する第一のプローブ及び第二のプローブを含み得る。カートマイザーが、加熱コイルのそれぞれの端と接続する第一の電気リード線及び第二の電気リード線を含み得る。第一のプローブ及び第一の電気リード線は、互いに分離し得る。第二のプローブ及び第二の電気リード線は、互いに分離し得る。制御回路が、第一のプローブと、第一及び第二の電気リード線のうちの一方とを用いて、芯の第一の部分にわたる電気抵抗を測定するように構成され得る。制御回路が、第一のプローブと、第二のプローブとを用いて、芯の第二の部分にわたる電気抵抗を測定するように構成され得る。制御回路が、芯の第一の部分にわたる測定電気抵抗及び芯の第二の部分にわたる測定電気抵抗のうちの少なくとも一方に基づいて、流体輸送構造におけるベイパー前駆体の飽和レベルを判断するように構成され得る。芯の第一の部分及び芯の第二の部分は、異なる大きさであり得る。
【0041】
制御回路が、第二のプローブと、第一及び第二の電気リード線のうちの少なくとも一方とを用いて、芯の第三の部分にわたる電気抵抗を測定するように構成され得る。芯の第二の部分及び芯の第三の部分は、異なる大きさであり得る。
【0042】
例示的な実施形態の上記した特徴及び利点ならびに他の特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら詳細に例示的な実施形態を説明することによって、より明らかになることとなる。添付の図面は、例示的な実施形態を示すことを意図しており、請求項の意図する範囲を限定するものとして解釈するべきではない。添付の図面は、明確に記載する場合を除き、縮尺通りに記載しているものとして考えるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1A図1Aは、例示的な実施形態による電子ベイピング装置の断面図である。
図1B図1Bは、例示的な実施形態による電子ベイピング装置の断面図である。
図1C図1Cは、図1A及び1Bの電子ベイピング装置のカートマイザーの一部分の拡大図である。
図2A図2Aは、例示的な実施形態による電子ベイピング装置の断面図である。
図2B図2Bは、図2Aのカートマイザーの一部分の拡大図である。
図2C図2Cは、図1Aから1C及び2Aの変形であるカートマイザーの一部分の拡大図である。
図3A図3Aは、例示的な実施形態による電子ベイピング装置の変形したカートマイザーの一部分の拡大図である。
図3B図3Bは、例示的な実施形態による電子ベイピング装置の変形したカートマイザーの一部分の拡大図である。
図4A図4Aは、例示的な実施形態による電子ベイピング装置における制御回路と芯との間の電気的な接続を示す図である。
図4B図4Bは、例示的な実施形態による電子ベイピング装置における制御回路と芯との間の電気的な接続を示す図である。
図5図5は、芯にわたって電気抵抗を測定する試験セットアップの例を示す
図6図6は、図5における例の、乾燥芯の電気抵抗対時間のグラフである。
図7図7は、例示的な実施形態による電子ベイピング装置の動作方法を示すフローチャートである。
図8図8は、例示的な実施形態による電子ベイピング装置の動作方法を示すフローチャートである。
図9図9は、例示的な実施形態による電子ベイピング装置の動作方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
いくつかの詳細な例示的な実施形態を、本明細書で開示する。しかしながら、本明細書に開示した特定の構造的で機能的な詳細は、例示的な実施形態を説明するための単なる代表的なものである。しかしながら、例示的な実施形態は、多くの代替的な形態で具現化されてよく、本明細書で述べた実施形態のみに限定するものと解釈すべきではない。
【0045】
したがって、例示的な実施形態は、様々な変形及び代替的な形態が可能である一方で、それらの実施形態は、図面に例として示しており、本明細書で詳細に説明するものである。しかしながら、例示的な実施形態は、開示した特定の形態に限定することを意図していないが、それとは逆に、例示的な実施形態は、例示的な実施形態の範囲内にある全ての変形、均等物及び代替物を包含するということを理解されたい。図面の説明の全体にわたって、同じ符号は、同じ要素を指す。
【0046】
要素又は層が、別の要素又は層の「上」にある、別の要素又は層と「接続する」、「結合する」又は「覆う」という場合、それが直接、この別の要素又は層の上にあるか、この別の要素又は層と接続するか、結合するかもしくは覆ってもよく、又は介在する要素又は層が存在していてもよいということを理解されたい。対照的に、要素が別の要素又は層の「直接上」にある、別の要素又は層と「直接接続する」又は「直接結合する」という場合、介在する要素又は層は存在しない。明細書の全体にわたって、同じ符号は、同じ要素を指す。
【0047】
第一、第二、第三等の用語は、様々な要素、構成要素、範囲、層、部分及びそれらの組み合わせを説明するために本明細書で用い得るが、これら要素、構成要素、範囲、層、部分及びそれらの組み合わせは、これら用語によって限定されるべきではないということを理解されたい。これら用語は、1つの要素、構成要素、範囲、層又は部分を別の構成要素、範囲、層又は部分と区別するためのみに用いる。そのため、以下で論じる第一の要素、構成要素、範囲、層又は部分は、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第二の要素、構成要素、範囲、層又は部分と呼ぶことができる。
【0048】
空間的に相対的な用語(例えば、「の下」、「よりも下」、「下方」、「より上」「上方」等)は、図面に示すような、1つの要素又は特徴がもつ、他の1つ又は複数の要素又は特徴に対する関係性を説明するための説明を簡単化するために明細書において用い得る。空間的に相対的な用語は、図面に示した配置に加えて、使用中又は動作の際の装置の異なる配置を含むことを意図しているということを理解されたい。例えば、図面において装置が反転すれば、他の要素又は特徴「より下」又は「の下」と記載した要素は、そのとき他の要素又は特徴「より上に」配置することとなる。そのため、用語「よりも下」は、上と下の両方の配置を含み得る。装置は別の方法で配置してもよく(90度回転させる、又は他の配置で配置させる)、本明細書で用いる空間的に相対的な記載はそのとおりに解釈される。
【0049】
本明細書で用いる専門用語は、様々な実施形態を説明することのみを目的とし、例示的な実施形態を限定することは意図していない。本明細書で用いる場合、単数形“a”、“an”及び“the”は、その文脈が別の場合を明示していない限り、複数形も同様に含むことを意図している。この明細書で用いる場合、用語「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「備える(comprise)」及び「備えている(comprising)」は、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素及びそれらの組み合わせの存在を明記するものであるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素及びそれらの組み合わせの存在又は付加を除外するものではないということを理解されたい。
【0050】
例示的な実施形態は、例示的な実施形態の好ましい実施形態(及び中間構造)の図示である、断面図を参照しながら、本明細書で説明している。このように、例えば製造技術及び許容度の結果として図示した形状からの変化形を想定しているものである。そのため、例示的な実施形態は、本明細書で説明する範囲の形状に限定されるものとして解釈されるべきではなく、例えば、製造の結果生じる形状における逸脱を含む。そのため、図面に示した範囲は、事実上の概要であって、それらの形状は、装置の範囲の実際の形状を図示することを意図しておらず、例示的な実施形態の範囲を限定することを意図していない。
【0051】
他に断りがない限り、本明細書で用いる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、例示的な実施形態が属する分野の当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。通常用いられる辞書で定義されているものを含む用語は、関連分野の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、それを本明細書において明文で定義する場合を除き、理想的な意味又は過度に正式な意味での解釈とならない。
【0052】
説明的な記載、例及び添付の請求項の全体を通して、パラメータ、特徴、オブジェクト又は寸法の数値は、数値範囲の形式の観点から、明示するか又は記載し得る。明示した数値範囲の形式は、本明細書で開示した形態の実施を説明するために提供するということを十分に理解するべきであり、また本明細書に開示した形態の範囲を固定的に限定するものとして理解又は解釈するべきではない。
【0053】
さらに、数値範囲の明示又は記載に関して、「約第一の数値と約第二の数値との間の範囲において」という用語は、「約第一の数値から約第二の数値までの範囲において」という句と均等であると考えられるか又は同じことを意味し、そのためこうした均等な意味をもつ2つの句は区別なく用いることができる。
【0054】
ベイパー前駆体は、ベイパーに変化し得る、ある材料又は材料の組み合わせである。例えば、ベイパー前駆体は、液体、固体及びゲルのうちの少なくとも1つを含む製剤であり得、限定するものではないが、水、ビーズ、溶媒、活性成分、エタノール、植物抽出物、天然又は人工の香料、例えばグリセリン及びプロピレングリコールなどの蒸気形成物(vapor former)、ならびにそれらの組み合わせを含む。例えば、ベイパー前駆体は、予気化製剤であってもよく、該気化製剤を閾値温度(例えば、予気化製剤の沸点)よりも高く加熱することによって、予気化製剤からベイパーを生成し得る。
【0055】
この明細書において数値と組み合わせて用語「約」又は「実質的に」を用いる場合、別の文脈を示さない限り、それに伴う数値が、明示した数値の前後±10パーセントの許容度を含むということを意図する。さらに、別の文脈を示さない限り、この明細書において、百分率に言及する場合、それら百分率は、重さに基づき、すなわち重量百分率に基づくことを意図している。「最大〜まで」という表現は、ゼロから、その表現した上限までの量及びその間にある全ての値を含む。範囲を明記する場合には、この範囲は、例えば0.1パーセント単位でその間の全ての値を含む。
【0056】
電子ベイピング装置の例が、米国特許出願公開第2013/0192623号明細書及び米国特許出願公開第2014/0238424号明細書に記載されている。
【0057】
図1A及び1Bは、例示的な実施形態による電子ベイピング装置の断面図である。図1Cは、図1A及び1Bの電子ベイピング装置のカートマイザーの一部分の拡大図である。
【0058】
例示的な実施形態によれば、電子ベイピング装置60は、カートマイザー70(タンク又はカートリッジとも称する)及びバッテリー部72を含み得る。カートマイザー70は、外側ハウジング6を含み得る。バッテリー部72は、外側ケーシング6’を含み得る。ハウジング6及び外側ケーシング6’のうちの少なくとも一方は、管状形状であり得るが、それに限定するものではなく、他の形状であってもよい。カートマイザー70及びバッテリー部72は、ネジ結合205を用いて共に取り外し可能に結合し得るか、又は例えば滑り嵌め、止め金、クランプ、クラスプ及びそれらの組み合わせなどである別の設備を用いて共に取り外し可能に結合し得る。カートマイザー70は、交換可能であり得る。バッテリー部72は、再利用可能であり得る。あるいは、カートマイザー70及びバッテリー部72用にそれぞれ、ハウジング6及びケーシング6’を分離する代わりに、1つのケーシング内にカートマイザー70及びバッテリー部72の両方を包含してもよい。その場合、電子ベイピング装置60全体を、使い捨てとしてよい。
【0059】
カートマイザー70及びバッテリー部72は、互いに取り外し可能に結合し得るため、例示的な実施形態による電子ベイパー装置を形成する方法には、カートマイザー70及びバッテリー部72を互いに接続することを含み得る。
【0060】
カートマイザー70の一端に、電源コネクタ4を含み得る。電源コネクタ4は、バッテリーコネクタであり得る。カートマイザー70の他端に、吸い口端挿入部8を含み得る。電子ベイピング装置60の吸い口端は、吸い口端挿入部8が配設されるものである、電子ベイピング装置60の末端と考えることができる。吸い口端挿入部8は、少なくとも2つの分岐出口24(例えば、2から10の排出口24又はそれ以上)を含み得る。吸い口端挿入部8の内面81は、湾曲し得るが、それに限定するものでない。吸い口端挿入部8の分岐出口24は、中央通路63と流体連通し得る。中央通路63は、ハウジング6内部のストッパー10の内面によって画成され得る。
【0061】
カートマイザーは、ハウジング内の液体供給貯蔵部22と、液体供給貯蔵部22と接続する気化器と、液体供給貯蔵部22に隣接するチャネル9とを含み得る。液体供給貯蔵部22は、ハウジング6とハウジング6内部の内側ケーシング62との間の範囲に含まれ得る。液体供給貯蔵部22は、ベイパー前駆体21を貯蔵するように構成され得る。
【0062】
例えば、液体供給貯蔵部22は、ベイパー前駆体21を貯蔵する液体貯蔵材料を含み得る。液体貯蔵材料は、例えば綿などの繊維状の材料であり得るが、例示的な実施形態はこれに限定されない。任意に、液体貯蔵材料を、液体供給貯蔵部22から省略してもよい。液体供給貯蔵部22は、液体供給貯蔵部22からのベイパー前駆体の漏洩を制限及び/又は防止するように、ストッパー10及びシール15によってその両端を封止し得る。チャネル9は、内側ケーシング62の内面によって画成され得る。チャネル9の両端は、中央通路63及び中央空気通路20と流体連通し得る。また、図1Cに示すように、カートマイザー70は、中央空気通路20の下流端82において、不透過性栓30などである気流分流部をさらに含み得る。気流分流部30は、少なくとも1つの径方向空気チャネル32を含み得、中央通路20から外側へ、内側ケーシング62の方に向けて、シール15の下流端部分の外周と内側ケーシング62の内壁との間で画成される外側空気通路84内へ、空気を方向付ける。
【0063】
気化器は、液体供給貯蔵部22からチャネル9にベイパー前駆体21を輸送するように構成される流体輸送構造を含み得る。気化器はまた、液体供給貯蔵部22内のベイパー前駆体21を加熱することからベイパーを生成するように構成され得る。例えば、気化器は、発熱体14及び少なくとも1つの芯28を含み得る。芯28は、液体供給貯蔵部22の一部分からチャネル9を通って液体供給貯蔵部22の別の部分に延び得る。発熱体14は、ワイヤコイル、平面体、セラミック体、単線、抵抗線のカゴ、又はその他の好適な形態の形であり得る。発熱体14は、例えばチャネル9内での芯28の一部である、芯28の一部の周囲に巻回し得る。芯28がベイパー前駆体を発熱体14に近接させてもたらし得るように、芯28(又は複数の芯28)は、液体供給貯蔵部22内のベイパー前駆体21と通じ、かつ、発熱体14と通じ得る。
【0064】
芯28は、繊維状の柔軟な材料により構成され得る。使用者が電子ベイピング装置60の吸い口端に陰圧を加えるときに、液体供給貯蔵部22から発熱体14にベイパー前駆体を輸送するように構成される少なくとも1つのフィラメントを、芯28が含み得る。芯28は、例えばグラス(又はセラミック)フィラメントの束である、一束のフィラメントであり得る。芯28は、一群のガラスフィラメントの巻回(例えば、3つの巻回)を含み得、その全ての設備が、フィラメント間に介在する間隙を介して、毛管現象により、ベイパー前駆体を引き込むことができる。
【0065】
使用者が電子ベイピング装置60に陰圧を加えるとき、芯28が、チャネル9に対して、かつ、発熱体14上に、ベイパー前駆体21を輸送し得る。発熱体14は、ベイパー前駆体21を加熱することによって、チャネル9に輸送したベイパー前駆体21からベイパーを生成するように構成され得る。例えば、発熱体14は、バッテリー部72内の電源1から電力を受けて、発熱体14に対して近接した及び/又は発熱体14上のベイパー前駆体21を抵抗加熱により加熱し得る。また、発熱体14(例えば、加熱コイル)は、電源1から電力を受けて、芯28を加熱するように構成され得る。
【0066】
バッテリー部72は、気化器に電力を提供するように構成され得る。例えば、バッテリー部72は、電源1、制御回路35及び吸煙センサ16を含み得る。カートマイザー72の電源コネクタ4は、電源1と直接(又は制御回路35及びリード線のうちの少なくとも一方を介して間接的に)接続し得る。電源1は、リチウム−イオン電池またはその別形のうちの1つ、例えばリチウム−イオンポリマーバッテリーでもよい。あるいは、バッテリーは、ニッケル・水素電池、ニッケル・カドミウム電池、リチウムマンガン電池、リチウム・コバルト電池、又は燃料電池であり得る。電源1は、充電可能であり、バッテリーを外部充電装置によって充電可能にさせる回路網を含み得る。
【0067】
カートマイザー70のハウジング6内部において、第一及び第二のリード線26a及び26b(例えば、ワイヤ)が、電源コネクタ4を発熱体14に電気的に接続し得る。第一及び第二のリード線26a及び26bは、液体供給貯蔵部22において、電源コネクタ4からシール15を通って発熱体14のそれぞれの端に延び得る。第一及び第二のリード線26a及び26bは、発熱体14のそれぞれの端と接続し得る。
【0068】
ケーシング6’は、吸煙センサ16に隣接するバッテリー部72の上流端に位置する少なくとも1つの吸気口44aを画成し得る。吸煙センサ16は、使用者が電子ベイピング装置60に陰圧を加えたときを感知し得る。使用者が電子ベイピング装置60の吸い口端に陰圧を加えると、そうした動きが、吸気口44aを介して電子ベイピング装置60内に空気を引き込み、吸煙センサ16を起動し得、またカートマイザー60のハウジング6によって画成される吸気口44から電子ベイピング装置60内に空気を引き込み得る。吸気口44aは、吸い口端挿入部での引き込みが吸煙センサ16を有効にするように、吸い口端挿入部8と通じ得る。吸気口44aからの空気はその後、電源1に沿って、シール15内の中央空気通路20を通り、内側ケーシング62及びハウジング6の少なくとも一方又は両方の他の部分を、流れることができる。
【0069】
吸煙センサ16が使用者による吸煙を感知した場合に、バッテリー部72内の制御回路35が、電源1に対して発熱体14に電力を供給させ得る。制御回路35はまた、作動灯48と接続し得る。発熱体14が電源1から電力を受けたとき、制御回路35が、作動灯48を光らせ得る(例えば、点灯させ得る)。作動灯48は、例えばダイオードである発光素子(LED)を含み得、かつ、電子ベイピング装置60の上流端にあり得る。使用者が電子ベイピング装置60の吸い口端挿入部に陰圧を加えたとき、作動灯48が、燃焼する石炭の外観を提供し得る。さらに、作動灯48は、使用者から見えるように配置することができる。加えて、作動灯48は、システムの診断に利用することができる。該灯48はまた、プライバシーのために、使用者が該灯48を有効化する、無効化する、又は有効化及び無効化の両方を行うことができるように構成することができるため、該灯48は、所望であれば、ベイピング中でも有効化しないものとなる。
【0070】
制御回路35はまた、芯28の電気抵抗に基づいて、芯28におけるベイパー前駆体21の飽和レベルを判断するように構成し得る。ベイパー前駆体21は、芯28の材料よりも導電性があり得る。結果的に、芯28がベイパー前駆体21で飽和した場合、芯28の1つ又は複数の部分(例えば、セグメント)にわたって測定した電気抵抗は、芯28がベイパー前駆体21で飽和していない状態よりも小さいものであり得る。ベイパー前駆体21が消費されるにつれて、芯28は、ベイパー前駆体21で飽和しなくなり得る。芯28の1つ又は複数の部分にわたって電気抵抗を測定することによって、カートマイザー70内のベイパー前駆体21のレベルが低いか又は空であるとき、及び/又はカートマイザー70を、ベイパー前駆体21で満たされた新しいカートマイザー70と交換すべきときを判断することができる。
【0071】
制御回路35はプログラム可能であり得る。制御回路35は、特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。他の例示的な実施形態では、制御回路網は、制御回路35の機能を実行するためにプログラムされたマイクロプロセッサを含み得る。
【0072】
図1Aから1Cに示すように、カートマイザー70は、芯28の第一の端と接続する第一のプローブ27aと、芯28の第二の端と接続する第二のプローブ27bとを含み得、チャネル9が、芯28の第一及び第二の端間にあり得る。第一のプローブ27a及び第二のプローブ27bは、導電材料(例えば、金属)より形成され得、絶縁材料により囲繞され得る。第一のプローブ27a及び第一の電気リード線26aは、互いに分離し得る。第二のプローブ27b及び第二の電気リード線26bは、互いに分離し得る。
【0073】
バッテリー部72は、第一及び第二のプローブ27a及び27bを制御回路35に接続するように構成され得る。例えば、カートマイザー70及びバッテリー部72が互いに接続している場合、電気コネクタ37は、第一及び第二のプローブ27a及び27bを制御回路35に接続できる。
【0074】
図2Aは、例示的な実施形態による電子ベイピング装置の断面図である。図2Bは、図2Aのカートマイザーの一部分の拡大図である。
【0075】
例示的な実施形態による図2A及び2Bを参照すると、電子ベイピング装置は、図1Aから1Cを参照しながら前述した電子ベイピング装置と同様であり得るが、カートマイザー70において複数のプローブ27a及び27bが芯28と接続している点で異なる。
【0076】
図2A及び2Bに示すように、カートマイザー70は、第一のリード線26aに隣接する芯の端と接続する第一のプローブ27aを含み得る。しかしながら、図1Aから1Cで説明したカートマイザー70とは異なり、図2A及び2Bのカートマイザー70は、第二のリード線26bに隣接する芯の端と接続する第二のプローブ27bを伴わずに構成され得る。
【0077】
図2Cは、図1Aから1C及び2Aの変形であるカートマイザーの一部分の拡大図である。
【0078】
図2Cに示すように、カートマイザー70は、第二のリード線26bに隣接する芯の端と接続する第二のプローブ27bを含み得る。しかしながら、図1Aから1Cで説明したカートマイザー70とは異なり、図2A及び2Bのカートマイザー70は、第一のリード線26aに隣接する芯の端と接続する第一のプローブ27aを伴わずに構成され得る。
【0079】
図1Aから1C、2B及び2Cは、第一のプローブ27a及び第二のプローブ27bのうちの少なくとも一方が芯28のそれぞれの端と接続するものである非限定的な例を示しているが、当業者であれば、追加のプローブを芯28の他の部分と接続することができるということがわかるであろう。
【0080】
図3Aは、例示的な実施形態による、電子ベイピング装置の変形したカートマイザーの一部分の拡大図である。
【0081】
例示的な実施形態による図3Aを参照すると、電子ベイピング装置は、図1Aから1Cを参照しながら前述 した電子ベイピング装置と同様であり得るが、カートマイザー70における気化器の構造の点で異なる。図3Aに示すように、図1Aに示したカートマイザー70では発熱体14及び芯28であった代わりに、気化器はヒーター−芯構造140であり得る。ヒーター−芯構造140は、互いに融合させた複数の小さい金属ビーズ又は粒子であり得るが、それに限定されるものではなく、他の材料で形成してもよい。ヒーター−芯構造140の両端は、液体供給貯蔵部内に延び得る。ヒーター−芯構造140の中央部分は、チャネル9内に配設され得る。
【0082】
図3Aに示すように、第一のプローブ27a及び第二のプローブ27bが、液体供給貯蔵部22内でヒーター−芯構造140のそれぞれの端と接続し得る。第一のプローブ27a及び第二のプローブ27bがヒーター−芯構造140と接続する場所に隣接する領域において、第一のリード線26a及び第二のリード線26bが、ヒーター−芯構造140と接続し得る。接続構造99(例えば、金属環)を用いて、第一及び第二のリード線26a及び26bをヒーター−芯構造140に固定することができる。例えば、接続構造99は、ヒーター−芯構造140と第一及び第二のリード線26a及び26bとの間の蝋接続を提供し得る。図3Aに示していないが、接続構造99と同様又は類似の接続構造を同様に用いて、第一のプローブ27a及び第二のプローブ27bをヒーター−芯構造140と接続することができる。
【0083】
第一のリード線26a及び第一のプローブ27aは、液体供給貯蔵部22内で互いに離間し得る。第二のリード線26b及び第二のプローブ27bは、液体供給貯蔵部22内で互いに離間し得る。第一のリード線26aがヒーター−芯構造140と接続している位置は、第一のプローブ27aがヒーター−芯構造140と接続している位置と離間し得る。第二のリード線26bがヒーター−芯構造140と接続している位置は、第二のプローブ27bがヒーター−芯構造140と接続している位置と離間し得る。
【0084】
図3Bは、例示的な実施形態による電子ベイピング装置の変形したカートマイザーの一部分の拡大図である。
【0085】
図3Bによれば、カートマイザー70は、第一のリード線26aに隣接するヒーター−芯構造140の端と接続する第一のプローブ27aを含み得る。しかしながら、図3Aで説明したカートマイザー70とは異なり、図3Bのカートマイザー70は、第二のリード線26bに隣接するヒーター−芯構造140の端と接続する第二のプローブ27bを伴わずに構成され得る。あるいは、カートマイザー70は、第二のリード線26bに隣接するヒーター−芯構造140の端と接続する第二のプローブ27bを伴うが、ヒーター−芯構造140と接続する第一のプローブ27aを伴わずに構成され得る。
【0086】
図3A及び3Bは、第一のプローブ27a及び/又は第二のプローブ27bがヒーター−芯構造140のそれぞれの端と接続するものである非限定的な例を図示しているが、当業者であれば、ヒーター−芯構造140の他の位置に追加のプローブを接続できること及び/又はリード線26a及び26bならびにプローブ27a及び27bがヒーター−芯構造140と接続している位置を多様に変更できることがわかるであろう。
【0087】
図4Aは、例示的な実施形態による電子ベイピング装置における制御回路と芯との間の電気的な接続を示す図である。
【0088】
図4Aを参照すると、芯28が、芯28のそれぞれの端と接続する第一及び第二のプローブ27a及び27bと、芯28の中央部分の周囲に巻回する加熱素子(例えば、コイル)14と、発熱体14のそれぞれの端と接続する第一及び第二のリード線26a及び26bを含み得る。第一及び第二のリード線26aは、プローブ27a及び27bが芯28と接続する位置の間で、芯28の一部と接触し得るか又は隣接し得る。
【0089】
プローブ27a及び27bは、抵抗感知制御部35aと接続し得る。例えば、図1Aに示す電気コネクタ37が、プローブ27a及び27bを抵抗感知制御部35aに接続し得る。抵抗感知制御部35aは、制御回路35の一部であり得る。第一及び第二のリード線26a及び26bが、制御回路35の一部である気化器駆動部35bと接続し得る。気化器駆動部35bは、第一及び第二のリード線26a及び26bを介して、バッテリー部1から発熱体14への電力の供給を制御するように構成され得る。
【0090】
発熱体14の抵抗R1は、芯28の抵抗よりも実質的に小さいものであり得る。例えば、発熱体14の抵抗は、0オームより大きく、約10オーム未満であり得るが、それに限定されない。発熱体の抵抗は、約3.5オーム(例えば、約2オームから約6オーム)であり得る。芯28の抵抗は、約10,000オームから約50,000,000オーム又はそれ以上であり得るが、設計事項に応じて変更してよく、芯28の抵抗R2は、芯28上で飽和するベイパー前駆体21の量に応じて変更してよい。
【0091】
制御回路35は、芯28の様々な部分(例えば、セグメント)に対応する抵抗を決定するために、オームの法則などである電流、電圧及び抵抗間における公知の関係を利用することができる。使用者が電子ベイピング装置60に陰圧を加えた後、制御回路35が、芯28の一部分又は複数の様々な部分にわたる抵抗を測定し得る。制御回路35は、芯の部分(又は例えば図3A及び3Bにおける加熱部−芯要素140などである他の流体輸送構造)の測定電気抵抗に基づいて、芯(又は例えば図3A及び3Bにおける加熱部−芯要素140などである他の流体輸送構造)上のベイパー前駆体の飽和レベルを判断するように構成され得る。
【0092】
例えば、制御回路35は、例えばフラッシュメモリ素子又は他の不揮発性メモリなどであるメモリ35cをさらに含み得る。芯28の抵抗測定値に相当する値を記憶するために、メモリ35cを用いることができる。メモリ35cはまた、芯28の抵抗測定値の範囲を、芯28上のベイパー前駆体の対応する概算飽和レベルと関連付けるものである、参照情報を記憶するために用いることができる。制御回路35は、芯28の測定電気抵抗をメモリ35c内の参照情報と比較して、メモリ35c内に記憶した参照情報に基づいて、ベイパー前駆体の概算飽和レベルを選択するように構成され得る。
【0093】
プローブ27a及び27bがどのような方法で芯28と接続し、第一及び第二のリード線26a及び26bがどのような方法で発熱体14と接続するかということに基づけば、芯28は様々な部分を有するものと考えることができる。制御回路35は、リード線26a及び26bならびにプローブ27a及び27bの様々な組み合わせを用いて、芯28の様々な部分の電気抵抗を測定するように構成され得る。
【0094】
使用者が電子ベイピング装置60に陰圧を加えた後、芯28上のベイパー前駆体の飽和レベルは、時間と共に変化しうる。したがって、使用者が電子ベイピング装置60に陰圧を加えた直後に、制御回路35が、芯28の一部分又は複数の部分の抵抗を測定し得る。あるいは、使用者が電子ベイピング装置60に陰圧を加えた後、閾値時間(例えば、10分以下)以内に、制御回路35が、芯28の一部分又は複数の部分の抵抗を測定し得る。
【0095】
例えば、芯28の第一のセグメントとして、第一のプローブ27a及び第二のプローブ27bが芯28と接続する位置の間にある芯28の部分を考えることができる。芯28の第一のセグメントは、図4Aに示すように抵抗R2’を有し得る。制御回路35は、第一のプローブ27a及び第二のプローブ27bを用いて、芯28の抵抗R2’を測定することができる。
【0096】
芯28の第二のセグメントとして、第一のプローブ27aと接続する芯28の位置と、第一のリード線26aが発熱体14の端と接続する場所に隣接する芯28の位置との間の芯28の部分を考えることができる。制御回路35は、第一のプローブ27a及び第一のリード線26aを用いて、芯28の第二のセグメントの抵抗を測定することができる。芯28の第二のセグメントの大きさは、芯28の第一のセグメントの大きさ未満であり得る。
【0097】
芯28の第三のセグメントとして、第一のプローブ27aと接続する芯28の位置と、第二のリード線26bが発熱体14と接続する場所に隣接する芯28の位置との間の芯28の部分を考えることができる。制御回路35は、第一のプローブ27a及び第二のリード線26bを用いて、芯28の第三のセグメントの抵抗を測定することができる。芯28の第三のセグメントの大きさは、芯28の第一のセグメントの大きさ未満であり、芯28の第二のセグメントの大きさより大きいものであり得る。
【0098】
芯28の第四のセグメントとして、第二のプローブ27bと接続する芯28の位置と、第一のリード線26aが発熱体14の端と接続する場所に隣接する芯28の位置との間の芯28の部分を考えることができる。制御回路35は、第一のリード線26a及び第二のプローブ27bを用いて、芯28の第四のセグメントの抵抗を測定するように構成され得る。芯28の第四のセグメントの大きさは、芯28の第一のセグメントの大きさ未満であり、芯28の第二のセグメントの大きさより大きいものであり得る。芯28の第三及び第四のセグメントの大きさは、同一であってもよく又は異なってもよい。
【0099】
芯28の第五のセグメントとして、第二のプローブ27bと接続する芯28の位置と、第二のリード線26bが発熱体14の端と接続する場所に隣接する芯28の位置との間の芯28の部分を考えることができる。制御回路35は、第二のリード線26b及び第二のプローブ27bを用いて、芯28の第五のセグメントの抵抗を測定するように構成され得る。芯28の第五のセグメントの大きさは、芯28の第一のセグメントの大きさ未満であり、芯28の第四のセグメントの大きさ未満であり得る。芯28の第二及び第五のセグメントの大きさは、同一であってもよく又は異なってもよい。
【0100】
ヒーター−芯構造140は、上記で説明した芯28の第一から第五のセグメントに類似したセグメントを有し得る。例えば、ちょうど芯28の第一のセグメントが、第一のプローブ27a及び27bが芯28と接続する位置の間の芯28の位置に相当し得るように、ヒーター−芯構造140の第一のセグメントは、第一のプローブ27a及び27bがヒーター−芯構造140と接続する位置の間のヒーター−芯構造140の位置に相当し得る。ヒーター−芯構造140の第二のセグメントは、第一のプローブ27a及び第一のリード線26aがヒーター−芯構造140と接続する位置の間のヒーター−芯構造140の部分に相当し得る。ヒーター−芯構造140の第三のセグメントは、第一のプローブ27a及び第二のリード線26bがヒーター−芯構造140と接続する位置の間のヒーター−芯構造140の部分に相当し得る。ヒーター−芯構造140の第四のセグメントは、第二のプローブ27b及び第一のリード線26aがヒーター−芯構造140と接続する位置の間のヒーター−芯構造140の部分に相当し得る。ヒーター−芯構造140の第五のセグメントは、第二のプローブ27b及び第二のリード線26bがヒーター−芯構造140と接続する位置の間のヒーター−芯構造140の部分に相当し得る。
【0101】
図4Bは、例示的な実施形態による電子ベイピング装置における、制御回路と芯との間の電気接続を示す図である。
【0102】
図4Bを参照すると、芯28は、芯28の一端と接続する第一のプローブ27aと、芯28の中央部分の周囲に巻回する加熱素子(例えば、コイル)14と、発熱体14のそれぞれの端と接続する第一及び第二のリード線26a及び26bとを含み得る。第一のプローブ27aは、抵抗感知制御部35aと接続し得る。例えば、図1Aに示す電気コネクタ37が、第一のプローブ27aを抵抗感知制御部35aに接続し得る。抵抗感知制御部35aは、制御回路35の一部であり得る。第一及び第二のリード線26a及び26bは、制御回路35の一部である気化器駆動部35bと接続し得る。気化器駆動部35bは、第一及び第二のリード線26a及び26bを介して、バッテリー部1から発熱体14への電力の供給を制御するように構成され得る。第二のリード線26bはまた、抵抗感知制御部35aと接続し得る。
【0103】
図4Bを参照すると、第二のプローブ27bが芯28に接続されていないために、制御回路35は、芯28の抵抗を測定するために第二のプローブ27bを用いるように構成されていない。しかしながら、図4Aを参照しながら上記で説明した方法により、図4Bの制御回路35は、それでもなお、芯28の第二のセグメント(第一のプローブ27aと接続する芯28の位置と、第一のリード線26aが発熱体14の端と接続している場所に隣接する芯28の位置との間)にわたる電気抵抗と、芯28の第三のセグメント(第一のプローブ27aと接続する芯28の位置と、第二のリード線26bが発熱体14と接続している場所に隣接する芯28の位置との間)にわたる電気抵抗とを測定することができる。
【0104】
図4A及び4Bに、気化器が芯及び発熱体を含むものである非限定的な例を示したが、当業者であれば、図4A及び4Bの例を図3A及び3Bの加熱部−芯要素140などである他の気化器構造に適用することができるということがわかるであろう。
【0105】
以下に、乾燥芯の抵抗を測定する実験について、図5及び6を参照しながら説明する。図5は、芯にわたって電気抵抗を測定する試験セットアップの例を示す。図6は、図5の例に関して、乾燥芯の電気抵抗対時間を示すグラフである。
【0106】
図5から6を参照すると、試験装置は、異なる条件で、時間と共に芯の電気抵抗を測定するように調整した。試験装置は、バッテリーを囲繞する管状体を含む。図5の左方側のプローブが、オシロスコープを芯の両端に接続する。オシロスコープは、プローブを介して、芯の電気抵抗を測定するために用いた。互いに離間し、かつ、プローブが芯と接続する場所である芯の端の間における位置で、2本のワイヤが芯と接続する。該ワイヤは、芯から管状体に延びる。
【0107】
0秒から約10秒の時間Aの間、芯はベイパー前駆体で飽和していない。プローブを介して、芯と接続するオシロスコープを用いた芯の測定に基づくと、時間Aの間、芯の電気抵抗は約50,000,000オームと比較的高かった。その後、図6において参照符号Bで示すように、電気抵抗がベイパー前駆体で飽和し、プローブを介して芯と接続するオシロスコープを用いた芯の測定に基づくと、芯の測定電気抵抗が、1,000,000オームより下に減少した。Cの時間の間、芯上のベイパー前駆体を、ヒートガンを用いて加熱した。60秒辺りで、芯の抵抗が増加し始めた。図6において参照符号Dで示すように、芯の抵抗は最終的に、時間Aの間の抵抗と同じ抵抗(又はほぼ同じ抵抗)に戻った。言い換えると、ベイパー前駆体の蒸発により芯が乾燥し始め、芯の電気抵抗が60秒辺りで増加し始めた。ベイパー前駆体の大半が蒸発して、芯が乾燥し切ったとき、芯の測定抵抗は、約50,000,000オームに達した(参照符号D)。
【0108】
例示的な実施形態によれば、電子装置の動作方法には、電子ベイパー装置のバッテリー部内の制御回路を用いて電子ベイパー装置のカートマイザー内の流体輸送構造の電気抵抗を測定することと、流体輸送構造の電気抵抗測定値に基づいて流体輸送構造におけるベイパー前駆体の飽和レベルを判断することとを含み得る。カートマイザーは、ハウジングと、ハウジング内の液体供給貯蔵部と、液体供給貯蔵部と接続する気化器と、液体供給貯蔵部に隣接するチャネルとを含み得る。気化器は、液体供給貯蔵部からチャネルにベイパー前駆体を輸送するように構成されている流体輸送構造を含み得る。
【0109】
以下に、例示的な実施形態による、電子ベイパー装置の動作方法の非限定的な例を、図7から9を参照しながら説明する。図7から9で論じる方法は、図1Aから1C、2Aから2C、3Aから3B及び4Aから4Bを参照して前述した実施形態などである、例示的な実施形態による電子ベイパー装置を用いて実施することができる。
【0110】
図7は、例示的な実施形態による電子ベイピング装置の動作方法を示すフローチャートである。
【0111】
図7を参照すると、動作S710において、電子ベイピング装置は、カートマイザー70及びバッテリー部72が互いに接続しているかどうかを判断することができる。例えば、制御回路35は、バッテリー部72内にある、カートマイザー70及びバッテリー部72が互いに接続しているかどうかを判断することができるセンサと接続し得る。制御回路35はその後、カートマイザー70及びバッテリー部72が互いに接続していれば、流体輸送構造(例えば、芯28又はヒーター−芯構造140)の一部分の電気抵抗を測定し得る。
【0112】
動作S710で測定する流体輸送構造の該部分は、図4Aおよび4Bを参照しながら上記で説明した芯28の第一から第五のセグメントのいずれか1つ(流体輸送構造が芯28である場合)か、又は類似するヒーター−芯構造の第一から第五のセグメントのいずれか1つ(流体輸送構造がヒーター−芯構造である場合)か、に相当し得る。
【0113】
動作S720において、制御回路35は、流体輸送構造の部分の測定電気抵抗を閾値と比較し得る。流体輸送構造の部分の測定電気抵抗が、閾値以上であれば、そのとき、制御回路35は、動作S730に進み、流体輸送構造の部分の電気抵抗が高すぎるという通知を発し得る。
【0114】
制御回路35は、通知を発するか、流体輸送構造の電気抵抗のレベルを示唆するか、又はその両方であるような、様々な方法を用いることができる。例えば、制御回路35は、流体輸送構造の電気抵抗が第一の閾値と第二の閾値との間にあれば、作動灯48を制御して第一の色を表示するように構成し得る。制御回路35は、流体輸送構造の電気抵抗が第一の閾値よりも大きければ、作動灯48を制御して第二の色を表示するように構成し得る。第一の閾値は、第二の閾値より大きいものであり得る。第一の色は、第二の色と異なり得る。
【0115】
一方、流体輸送構造の部分の測定電気抵抗が、閾値以下である場合、そのとき、電子ベイピング装置は、動作S740に進み得る。動作S740において、使用者が電子ベイパー装置の吸い口端に陰圧を加えた後、電子ベイピング装置が、流体輸送構造の部分の電気抵抗を測定し得る。動作S740で測定した流体輸送構造の部分は、動作S710において測定した流体輸送構造と同一の部分であってよい。動作S740において、使用者が電子ベイピング装置に陰圧を加えた直後、電子ベイパー装置が、制御回路35を用いて、流体輸送構造の部分の電気抵抗を測定し得る。あるいは、使用者が電子ベイピング装置60に陰圧を加えた後、閾値時間(例えば、1又は5又は10分以下)以内に、制御回路35が、流体輸送構造の部分の抵抗を測定し得る。動作S740後、電子ベイパー装置は、動作S720に戻る。
【0116】
図7の方法は、電気抵抗測定値に基づいて、使用者が電子ベイパー装置の吸い口端に陰圧を少なくとも1回加えた後(例えば、吸煙)、通知を発すること又は電気抵抗を再度測定することを含み得る。例えば、制御回路35が、動作S740から進んで動作S720に戻る場合、制御回路35は、動作S720における比較結果に基づいて、動作S730か又は動作S740かのいずれかに進み得る。制御回路35が、動作S720からS740へ進む場合、制御回路35は、使用者が電子ベイパー装置の吸い口端に陰圧を加えた後に、流体輸送構造の部分の電気抵抗を再度測定することとなる(S740)。一方、制御回路35が、動作S720からS730へ進む場合、制御回路は、通知を発し得る(S730)。
【0117】
図7において、流体輸送構造の部分の電気抵抗が閾値以下であるかどうかを判断することによって、動作S720で、流体輸送構造におけるベイパー前駆体の飽和レベルを判断し得る。あるいは、動作S720において、制御回路35が、流体輸送構造の部分の電気抵抗が閾値より小さいかどうかを判断し得る。閾値は、流体輸送構造におけるベイパー前駆体の特定の飽和レベルに相当する実験データ及び/又は実証研究に基づいて、選択することができる。例えば、動作S720における閾値は、本願の図6に類似する曲線に基づいて決定し、また図6の参照符号B及びDで印した電気抵抗の間にある電気抵抗を選択することができる。
【0118】
当業者であれば、図7を参照しながら説明した方法は、様々な方法で変形できるということがわかるであろう。例えば、説明を容易にするために、制御回路35は、動作S710及びS740において、流体輸送構造の一部分の電気抵抗を測定し、その後該部分の電気抵抗を閾値と比較し得る。しかしながら、例示的な実施形態は、それに限定されない。例えば、動作S710及びS740において、制御回路が、流体輸送構造の少なくとも2つの異なる部分の電気抵抗を測定して、その後動作S720において、該少なくとも2つの部分の測定電気抵抗を対応する閾値と比較してもよい。その後、制御回路35は、比較結果に基づいて、動作S740又は動作S730に進み得る。
【0119】
図8は、例示的な実施形態による電子ベイピング装置の動作方法を示すフローチャートである。
【0120】
図8を参照すると、動作S810において、電子ベイピング装置が、カートマイザー70及びバッテリー部72が互いに接続しているかどうかを判断し得る。例えば、制御回路35は、バッテリー部72内にある、カートマイザー70及びバッテリー部72が互いに接続しているかどうかを判断することができるセンサと接続し得る。カートマイザー70及びバッテリー部72が互いに接続していれば、制御回路35がその後、流体輸送構造(例えば、芯28又はヒーター−芯構造140)の一部分の電気抵抗を測定し得る。
【0121】
動作S810で測定した流体輸送構造の部分は、図4Aを参照しながら上記で説明した芯28の第一から第5のセグメントのいずれか、又は図4Bを参照しながら上記で説明した芯28の第一から第四のセグメントのいずれかに相当し得る。あるいは、流体輸送構造が、ヒーター−芯構造140であれば、動作S810で測定した流体輸送構造の部分は、図4A及び/又は4Bを参照しながら上記で説明した芯28の第一から第五のセグメントに類似したヒーター−芯構造140に沿ったセグメントに相当し得る。
【0122】
動作S820において、制御回路35は、流体輸送構造の部分の測定電気抵抗を、互いに異なるものである第一及び第二の閾値(例えば、制御限界の下限及び上限)と比較し得る。動作S820における比較結果に基づいて、制御回路35は、動作S830又は動作S8350に進み得る。例えば、流体輸送構造の測定電気抵抗が、第一及び第二の閾値間にあれば、そのとき制御回路35は、動作S835に進み、流体輸送構造の部分の測定電気抵抗を記憶し得る。動作S835において、測定電気抵抗を、図4A及び4Bで説明したメモリ35c内に記憶し得る。あるいは、流体輸送構造の測定電気抵抗が、第一及び第二の閾値間になければ、そのとき制御回路35は、動作S830に進み得るが、これは以下においてより詳細で説明する。
【0123】
動作S835後、動作S840において、使用者が電子ベイピング装置の吸い口端挿入部8に陰圧を少なくとも1回加えた後、制御回路35が、流体輸送構造の部分の電気抵抗を測定し得る。言い換えると、使用者が電子ベイピング装置に陰圧を加えた後、流体輸送構造の部分の電気抵抗を測定し得る。例えば、使用者が電子ベイピング装置の吸い口端挿入部に陰圧を加えた直後か、又は、使用者が電子ベイピング装置の吸い口端挿入部に陰圧を加えた後、閾値時間以内かに、制御回路35が、流体輸送構造の部分の電気抵抗を測定し得る。あるいは、使用者が電子ベイピング装置の吸い口端挿入部に陰圧を加えた直後(又は閾値時間以内)、その後N回ごとに(Nは1より大きい整数)、例えば流体輸送構造の部分の電気抵抗を測定することなどのルーチンに基づいて、制御回路が、流体輸送構造の部分の電気抵抗を測定し得る。動作S810及びS840において測定した流体輸送構造の部分は、流体輸送構造の同一の部分であり得る。
【0124】
動作S840後、制御回路35は、動作S850に進み得る。動作S850において、制御回路は、流体輸送構造の部分の最後の電気抵抗測定値と参照値とに基づいて、比を決定し得る。参照値は、流体輸送構造の部分の以前の電気抵抗測定値であり得、例えば、最後から2番目の最も近い流体輸送構造の電気抵抗測定値としてよい。一部の場合では、参照値は、動作S810における測定値に相当し得る。
【0125】
動作S850において、制御回路35が、流体輸送構造の部分の最後の電気抵抗測定値と参照値とに基づく比と、閾値とを比較し得る。例えば、制御回路35は、この比が参照値以下かどうかを判断し得る。動作S850における閾値は、動作S820における第一及び第二の閾値と異なる閾値であり得る。動作S850における比較結果に基づいて、制御回路は、動作S820又はS830に進み得る。例えば、動作S850において、比が閾値以下であれば、制御回路は、動作S820に戻り得る。動作S850において、比が閾値より大きければ、そのとき制御回路は、動作S830に進み得る。閾値は、実験データ及び/又は実証研究に基づいて設定することができる。
【0126】
動作S850の変形では、制御回路35が、流体輸送構造の部分の最後の電気抵抗測定値及び参照値に基づく差異と閾値とを比較し得る。動作S850における比較結果に基づいて、制御回路は、動作S820又は動作S830に進み得る。例えば、S850において、上記差異が、閾値以下であれば、制御回路は、動作S820に戻り得る。S850において、上記差異が、閾値より大きければ、そのとき制御回路は、動作S830に進み得る。制御回路35は、流体輸送構造の部分の最後の電気抵抗測定値及び参照値に基づく比に用いる閾値と比較されるものである、流体輸送構造の部分の最後の電気抵抗測定値及び参照値に基づく差異を比較するために、異なる閾値を用い得る。
【0127】
動作S830において、制御回路35は、動作S820及び/又はS850における比較結果に基づいて、通知を発し得る。通知は、加熱部の作動灯48に対して色を変化させるか又は異なる形で点滅させるかなどの様々な方法によって表示され得る。通知は、流体輸送構造の部分の電気抵抗が、流体輸送構造の乾燥に相当することを示唆し得る。これは、カートリッジ部70の交換が必要であり得るか、又は、液体供給貯蔵部22内のベイパー前駆体21量が再充填を必要とし得ることを使用者に知らせている。
【0128】
動作S830後、制御回路35は、動作S860に進み、電源1からカートリッジ部70内の気化器への電力供給を制限し得るか又は終了し得る。
【0129】
制御回路35は光(例えば、加熱部の作動灯48又は電子ベイピング装置で示したものではない別の少なくとも1つのLED)と接続し得、流体輸送構造の部分の電気抵抗測定値に基づいて光を表示するように、色を制御するように構成され得る。例えば、動作S820において、流体輸送構造の部分の電気抵抗が、第一の閾値と第二の閾値との間にあれば、制御回路35が、光を制御して第一の色を表示するように構成され得る。動作S820において、流体輸送構造の部分の電気抵抗が、第一の閾値と第二の閾値との間になく、かつ、動作S820において、流体輸送構造の部分の電気抵抗が、第一の閾値と第二の閾値との間のうちでより大きな値よりも大きければ、制御回路35が、光を制御して第二の色を表示するように構成され得る。動作S820において、流体輸送構造の部分の電気抵抗が、第一の閾値と第二の閾値との間になく、かつ、動作S820において、流体輸送構造の部分の電気抵抗が、第一及び第二の閾値の間のうちでより小さな値よりも小さければ、制御回路35が、光を制御して第三の色を表示するように構成され得る。第一から第三の色は、互いに異なり得る。
【0130】
同様に、制御回路35は、動作S850における比較結果に基づいて、光を制御して異なる色を表示するように構成され得る。制御回路35は、メモリ35cなどであるメモリユニットを含み得、メモリ35cは、異なる時点で測定した流体輸送構造の電気抵抗に相当する複数の電気抵抗値を記憶するように構成される。制御回路35cは、同一のカートマイザーの流体輸送構造から測定した少なくとも2つの電気抵抗の比較結果に基づいて、通知を発するように構成され得る。この少なくとも2つの電気抵抗値は、例えば動作S850を参照しながら上記で論じた、流体輸送構造の部分の最後の電気抵抗測定値及び参照値である、第一の値及び第二の値を含み得る。制御回路は、第一の値及び第二の値に基づく比が、閾値の比よりも大きいか、又は、第一の値及び第二の値に基づく差異が、差異の閾値よりも大きいかの少なくとも一方であれば、通知を発するように構成される。
【0131】
図8において、流体輸送構造におけるベイパー前駆体の飽和レベルは、動作S820において、流体輸送構造の部分の電気抵抗が第一及び第二の閾値の間にあるかどうかを判断することによって、判断され得る。第一及び第二の閾値は、流体輸送構造におけるベイパー前駆体の特定の飽和レベルに相当する実験データ及び実証研究の少なくとも一方に基づいて、選択することができる。例えば、動作S820において、第一及び第二の閾値は、本願の図6に類似する曲線に基づいて決定し、ベイパー前駆体で飽和している流体輸送構造(例えば、図6の領域C)に相当する制御限界の上限及び下限である第一の閾値及び閾値を選択することができる。
【0132】
図8の方法は、使用者が電子ベイパー装置の吸い口端に陰圧を少なくとも1回加えた後(例えば、吸煙)、電気抵抗測定値に基づいて、通知を発し得るか又は電気抵抗を再度測定し得る。例えば、制御回路35が動作S850から進んで動作S820に戻る場合、制御回路35は、動作S820の比較結果に基づいて、動作S835及びS840か又は動作S830かのいずれかに進み得る。
【0133】
当業者であれば、図8を、様々な方法で変形できるということがわかるであろう。例えば、例示的な実施形態では、制御回路35は、流体輸送構造の複数の部分において、図8の方法を同時に実行することができる。言い換えると、動作S810及びS820では、制御回路35は、流体輸送構造の第一の部分の電気抵抗を測定し、測定電気抵抗を、流体輸送構造の第一の部分に相当する第一及び第二の閾値と比較し得る。そして制御回路35は、その後、流体輸送構造の第二の部分の電気抵抗を測定することと、流体輸送構造の第二の部分の測定電気抵抗を、流体輸送構造の第二の部分に相当する第一及び第二の閾値と比較することとによって、動作S810及びS820を実行し得る。制御回路35は、同様に、まず流体輸送構造の第一の部分において動作S840及びS850を実行し、次に流体輸送構造の第二の部分において動作S840及びS850を実行することによって、動作S840及びS850を実行し得る。
【0134】
図9は、例示的な実施形態による電子ベイピング装置の動作方法を示すフローチャートである。
【0135】
図9を参照すると、動作S910において、電子ベイピング装置が、カートマイザー70及びバッテリー部72が互いに接続しているかどうかを判断し得る。例えば、制御回路35は、バッテリー部72内にある、カートマイザー70及びバッテリー部72が互いに接続しているかどうかを判断することができるセンサと接続し得る。カートマイザー70及びバッテリー部72が互いに接続していれば、制御回路35はその後、流体輸送構造(例えば、芯28又はヒーター−芯構造140)の一部分の電気抵抗を測定し得る。
【0136】
動作S910及びS920において、制御回路35は、第一のモードを用いて、流体輸送構造の電気抵抗を測定し得(S910)、第一のモードからの流体輸送構造の測定電気抵抗を第一の閾値と比較し得る(S920)。例えば、制御回路35は、流体輸送構造(例えば、芯28又はヒーター−芯構造140)の第一のモードからの測定電気抵抗が第一の閾値以下であるかどうかを判断し得る。第一の閾値は、実験データ及び実証研究のうちの少なくとも一方により決定し得る。
【0137】
動作S910に関して、第一のモードを用いて流体輸送構造の電気抵抗を測定することは、流体輸送構造の第一の部分を測定することを含み得るものであり、また流体輸送構造の第一の部分は、図4A及び4Bを参照しながら上記で説明した芯28の第一から第五のセグメントか、又は、ヒーター−芯構造140の類似した第一から第五のセグメントのいずれかに相当し得る。
【0138】
動作S920における比較結果に基づいて、制御回路35は、動作S930又は動作S940に進み得る。例えば動作S920において、流体輸送構造の測定電気抵抗が、第一の閾値以下であれば、そのとき制御回路35は動作S940に進み得る。動作S940において、使用者が電子ベイパー装置の吸い口端挿入部に陰圧を少なくとも1回(例えば、N回)加えた後、制御回路は、動作S910において測定した流体輸送構造の同一の部分の電気抵抗を再度測定し得る。Nは、1以上の整数であり得る。例えば、Nは、1から5又は1から10の範囲内の整数であり得る。動作S940後、制御回路35は、動作S920を繰り返し得る。
【0139】
一方、動作S920において、流体輸送構造の測定電気抵抗が第一の閾値より大きければ、制御回路35は、動作S930に進み得る。動作S930及びS950において、制御回路35は、第二のモードを用いて流体輸送構造の電気抵抗を測定し得(S930)、第二のモードからの流体輸送構造の測定電気抵抗を第二の閾値と比較し得る(S950)。例えば、制御回路35は、流体輸送構造(例えば、芯28又はヒーター−芯構造140)の第二のモードからの測定電気抵抗が第二の閾値以下であるかどうかを判断し得る。第二の閾値は、実験データ及び実証研究のうちの少なくとも一方により決定し得る。動作S920及びS930における第一及び第二の閾値は、同一であってもよく又は異なってもよい。
【0140】
動作S930に関して、第二のモードを用いて流体輸送構造の電気抵抗を測定することは、流体輸送構造の第二の部分を測定することを含み得、また流体輸送構造の第二の部分は、図4A及び4Bを参照しながら上記で説明した芯28の第一から第五のセグメントのうちの1つ、又は図4A及び4Bを参照しながら上記で説明した芯28の第一から第五のセグメントに類似したヒーター−芯構造140に沿ったセグメントのうちの1つに相当し得る。動作S910及びS940で測定した流体輸送構造の第一の部分は、動作S930で測定した流体輸送構造の第二の部分と異なり得る。
【0141】
動作S950における比較結果に基づいて、制御回路35は、動作S960又は動作S970に進み得る。例えば、動作S950において、流体輸送構造の部分の測定電気抵抗が、第二の閾値以下であれば、そのとき制御回路35は、動作S970に進み得る。動作S970において、使用者が電子ベイパー装置の吸い口端挿入部に陰圧を少なくとも1回(例えば、I回)加えた後、制御回路が、動作S930において測定した流体輸送構造の同一の部分の電気抵抗を再度測定し得る。Iは、1以上の整数であり得る。例えば、Iは、1から5又は1から10の範囲内の整数であり得る。動作S950における整数Iは、動作S940における整数Nと異なり得る(例えば、それより大きい又はそれより小さい)。動作S970後、制御回路35は、動作S950を繰り返し得る。
【0142】
一方、動作S950において、流体輸送構造の測定電気抵抗が、第二の閾値より大きければ、制御回路35は、動作S960に進み、流体輸送構造の電気抵抗が大きすぎるという通知を発し得る。任意に、制御回路35はまた、動作S960後に、気化器への電力供給を制限又は阻止し得る。
【0143】
当業者であれば、図9における方法は、様々な方法で変形することができるということがわかるであろう。例えば、動作S920において、制御回路は、測定電気抵抗が、第一の閾値以下であるかどうかではなく、第一の閾値より小さいかどうかを判断することによって、測定電気抵抗を第一の閾値と比較し得る。同様に、動作S950を変形することができる。
【0144】
例示的な実施形態をこのように説明したことで、当業者であれば、例示的な実施形態を多数の方法で変形できるということがわかるであろう。こうした変形は、例示的な実施形態の意図する範囲から逸脱するものとして扱われるべきではなく、当業者であれば明らかであるようなこうした変形の全ては、続く請求項の範囲内に含めるべきであることを意図している。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9