【実施例】
【0162】
実験方法
In vitro電気生理学
ホールセル記録を、ヒトNav1.7チャネルを安定発現するHEK293細胞中の電位活性化チャネルによって運ばれる電流で作製した。記録は、パッチピペット(patch pipettes)を使用して行い、CsOHでpHを7.2に調節した、61mM CsF、61mM CsCl、9mM NaCl、1.8mM MgCl
2、9mM EGTA、14mMクレアチンリン酸(トリス塩)、4mM MgATP、及び0.3mM GTP(トリス塩)、9mM HEPESからなる内液で充填したとき、抵抗は2〜3.5MΩだった。電極のシャンクをパラフィルムで覆い、キャパシタンスを低減し、振動なしで最適直列抵抗補償を可能にした。シールを得て、タイロード液(155mM NaOH、3.5mM KCl、1.5mM CaCl
2、1mM MgCl
2、10mM HEPES、10mMグルコース、pHをNaOHで7.4に調節した)中の細胞と10mM TEAClでホールセル構成を確立した。ピペット液による完全な透析を確保するために、ホールセル構成が確立してから5〜10分後に記録を開始した。
【0163】
Axopatch 200増幅器を用いて室温(21〜23℃)で電流を記録し、低域Besselフィルターを用いて5kHzで濾過した。増幅器を、直列抵抗の部分的補償のために整調した(典型的には全直列抵抗4〜10MΩの70〜80%)。pClamp9.2ソフトウェアによって制御されたDigidata 1322Aデータ収集インターフェース(Axon Instruments)を使用して電流をデジタル化し、Igor Pro 4.0(Wavemetrics, Lake Oswego, OR)で記述されたプログラムを使用して分析した。電流を直線容量性電流及び漏洩電流に対して補正し、これらは、静止電位(通常-80又は-100mV)から送達され、次いで適切にスケール調整し、引き算した5mVの過分極を使用して決定された。
【0164】
ナトリウム電流は、-100mVから-20mVまでの30msecの脱分極によって誘発した。使用-頻度依存性遮断を分析するために、一連の増加速度:1分間に0.05Hz、1分間に0.33Hz、1分間に1Hz、1分間に3Hz、30秒間に5Hz、30秒間に10Hzでパルスを送達し、各一連パルス間で1分停止した。一連のパルスで使用-頻度依存性遮断を誘発した後、0.1Hz(2分)及び0.05Hz(1分)で送達されたパルスを使用して回復の経時変化を追跡した。
【0165】
動物
全ての手順は、動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committees)によって承認されたものである。マウス及びラットは、実験動物ケア評価認証協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care)によって認可された設備の標準的環境条件(12時間の明暗サイクル、23℃、餌及び水による不断給餌)に収容した。8週齢の雄のBALB/c(ストックナンバー:001026)及びC57BL/6J(ストックナンバー000664)のマウスをJackson Laboratoryから購入し、それぞれアレルギー性気道炎症(
図5)及び痛覚過敏モデル(
図2A〜2D)に使用した。6週齢の雄のSprague-Dawley(ストックナンバー:400)ラット(150±25グラム)をCharles River研究室から購入し、痛覚過敏の評価に使用した(
図3)。
【0166】
免疫蛍光法
採取時、後根神経節を、4%パラ-ホルムアルデヒド中に終夜固定し、PBS中で洗浄し、連続スクロース浸漬によって凍結保護した(PBS 10〜30%スクロース、終夜)。神経節をO.C.T.(Tissue-tek)中にマウントし、クライオスタットを用いて連続的に20μm冠状切片にカットした。切片を、Fisherbrand superfrost顕微鏡のスライド上に解凍マウント(thaw-mount)し、-80℃で維持した。実験日に、切片を室温で10分間解凍した。切片をPBS中で5分間洗浄し、室温で1時間遮断し(PBS、0.1% Triton X-100、5% BSA)、一次抗体、すなわちウサギ抗マウスATF3(Sigma、#HPA001562)に曝露した(終夜、4℃)。次いで切片をPBS中で3回洗浄し(5分)、二次抗体及びDAPI(1:2000、Sigma、#D9542)に曝露し(2時間、暗所)、洗浄し、Vectashield(Vector Labs)でカバースリップし、共焦点顕微鏡(Leica、LSM-710)下で観察した。
【0167】
オボアルブミン感作及び気道負荷
アレルギー性気道炎症を、オボアルブミン(OVA)系モデルで研究した。0日目及び7日目に、マウスを、1mg/mlのオボアルブミン(Sigma-Aldrich)及び5mg/mlの水酸化アルミニウム(Sigma-Aldrich, Boston, MA)を含有する溶液200μlを腹腔内注射することによって感作した。14〜17日目(10:00am)に、マウスを6% OVAエアロゾルに25分間曝露して、気道アレルギー性炎症を誘発させた。18日目(10:00am)に薬物を噴霧化し、炎症(BALF細胞含有物)/気道過敏応答性を21日目(10:00am)に評価した。
【0168】
気管支肺胞洗浄(BAL)
21日目に、ウレタン(用量)を腹腔内注射した後、マウスを麻酔し、20G滅菌カテーテルを気管中へ縦方向に挿入した。2mlのよく冷えたPBS含有プロテアーゼ阻害剤(Roche)を肺に注射し、採取し、氷上で貯蔵した。BAL液を400g遠心分離(15分、4℃)にかけ、上澄みを捨て、細胞を200μl中で再懸濁した。
【0169】
気道炎症性及び差次的細胞計数
気管支肺胞洗浄液(BALF)細胞をFACS緩衝液(PBS、2% FCS、EDTA)中で再懸濁し、Fcブロックでインキュベートした(0.5mg/ml、10分、BD Biosciences)。次いで細胞をモノクローナル抗体(FITC抗マウスCD45、BD Biosciences、カタログ番号553079、PE抗マウスSyglec-F、BD Biosciences、カタログ番号552126、APC抗マウスGR-1、e Biosciences、カタログ番号17-593-81、PE-Cy7抗マウスCD3e、カタログ番号25-0031-81、PerCP抗マウスF4/80、BioLegend、カタログ番号123125、PE抗マウス、BD Bioscience、カタログ番号552126、45分、氷上4℃)で染色した後、FACS Canto II(BD Biosciences)でデータを取得した。白血球分画計数は、通常の白血球抗原CD45(BD Pharmigen、カタログ番号553079)を発現する細胞のフローサイトメトリー分析中に決定した。特定の細胞集団を以下:F4/80Hi-Ly6gNegとしてのマクロファージ、F4/80Int-Ly6gLo-SiglecFHiとしての好酸球、F4/80Lo-Ly6gHi-SiglecFNegとしての好中球、及びF4/80Neg-Ly6gNeg-CD3Posとしてのリンパ球のように同定した。総BAL細胞計数は、標準の血球計を使用して実施し、絶対細胞数を、総BAL細胞数とFACSで決定した細胞亜種のパーセンテージを乗じて計算した。
【0170】
温度過敏症
各動物の右後足の底面に10μl(マウス)又は50μl(ラット)容積の完全フロインドアジュバント(CFA)1:1エマルション中の化合物を注射した。Ugo Basile Plantar Test(Hargreaves)装置を使用して足底面に適用された放射熱の集束ビームから後足を引っ込めるまでの待ち時間を測定することによって温熱性痛覚過敏を調べた。3日間連続、8週齢のSprague Dawley雄ラットをHargreaves装置に60分間慣らす。4日目、それらの温熱性侵害受容閾値を評価した。1時間後、ラットをイソフルラン(3%誘導、2%維持)下で軽度麻酔し、試験化合物の存在下又は不在下でCFAの足底内注射を受けさせた。処置の衝撃を、処置の1時間前並びに1、3、6及び24時間後に分析した。開始した足を5分間隔で交代して各足に対して実証試験を3回実施した。陽性疼痛反応は、突然に足を引っ込めること、たじろぐこと、及び/又は足をなめることで定義した。各読み取りで、中断時間が32秒になるように装置を設定した。
【0171】
[実施例1]
塩化1-(1-(2,6-ジメチルフェニルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-1-メチルピロリジニウム(化合物1)の合成
【0172】
【化14】
工程1: 2の調製
【0173】
【化15】
30mL SOCl
2中1(5.0g、32.86mmol、1.0当量)の溶液を8℃で2時間還流した。競合後、反応混合物を直接、真空中で濃縮し、さらなる精製をせずに残留物を得た(7.8g、y=120%)。
工程2: 3の調製
【0174】
【化16】
DCM(10mL)及びTEA(4.6g、45.8mmol、1.2当量)中2,6-ジメチルアニリン(4.6g、38.2mmol、1.0当量)の溶液に、氷浴中で、DCM(20mL)中2(7.8g、45.8mmol、1.2当量)の溶液をゆっくり添加した。次いで反応混合物を2時間かけて室温まで温めた。競合後、2N HClで反応混合物をpH=5〜6に調節し、EAで抽出(150mL×2)した。合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、真空中で濃縮して残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、灰色の固体の所望の生成物(4.8g、収率50%)を得た。
工程3: 4の調製
【0175】
【化17】
トルエン(15mL、c=0.5)中3(2g、7.68mmol、1.0当量)の溶液に、ピロリジン(1.17g、16.5mmol、2.0当量)を添加した。反応混合物を110℃で30分間還流した。競合後、反応混合物を真空中で直接濃縮して残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、黄色の油状物の所望の生成物(1.8g、95%収率)を得た。
工程4: 5の調製
【0176】
【化18】
DCM(20mL、c=0.1)中4(500mg、2.03mmol、1.0当量)の溶液に、Mel(721mg、5.08mmol、2.5当量)を室温で終夜かけて添加した。反応混合物を真空中で直接濃縮して残留物を得た。残留物をEAで洗浄して、所望の生成物(233mg、30%収率)を得た。
工程5: 化合物1の調製
【0177】
【化19】
H
2O(1.6mL、c=0.37)中5(233mg、0.602mmole、1.0当量)の溶液に、AgCl(172mg、2.0当量)を添加した。反応混合物を60℃で終夜加熱した。競合後、反応混合物を濾過した。濾液を凍結乾燥して、白色の固体の所望の生成物(62mg、35%収率)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO): δ7.18〜7.09 (m, 3H), 4.31 (q, J=7.2 Hz, 1H), 3.65〜3.57 (m, 4H), 3.16 (s, 3H), 2.15〜2.25 (m, 4H), 2.08 (s, 6H), 1.74 (d, J=6.9 Hz,3H) ppm. HPLC純度: 220nmで100%; 質量: m/z = 261.5 (M+1, ESI+).
【0178】
[実施例2]
塩化1-(1-(2,6-ジメチルフェニルアミノ)-2-メチル-1-オキソプロパン-2-イル)-1-メチルピロリジニウム(化合物2)の合成
【0179】
【化20】
工程1: 2の調製
【0180】
【化21】
60mlのSOCl
2中1(10.0g、59.88mmol、1.0当量)の溶液を80℃で2時間還流した。競合後、反応混合物を真空中で直接濃縮し、さらなる精製をせずに残留物(15.0g、y=132%)を得た。
工程2: 3の調製
【0181】
【化22】
DCM(50ml)及びTEA(8.18g、80.86mmol、1.2eq)中2,6-ジメチルアニリン(8.16g、67.38mmol、1.0当量)の溶液に、DCM(50mL)中2(15.0g、80.86mmol、1.2eq)を氷浴でゆっくり添加した。次いで、反応混合物を2時間、室温まで温めた。競合後、反応混合物を2N HClでpH=5〜6に調節して、EA(200mL×2)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、固体の所望の生成物(14.8g、82%収率)を得た。
【0182】
工程3: 4の調製
【化23】
THF(32mL、c=0.2)中3(1.7g、6.32mmol、1.0当量)の溶液に、THF(32mL、c=0.2)中ピロリジン(539mg、7.58mmol、1.2当量)及びNaH(303mg、12.64mmol、2.0当量)を添加した。反応混合物を室温で30分間攪拌した。競合後、30mLのH
2Oをゆっくり添加し、EA(50mL×2)で抽出した。合わせた有機相をブライン(30mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、真空中で濃縮して残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体の所望の生成物(680g、68%収率)を得た。
工程4: 5の調製
【0183】
【化24】
MeCN(5.7mL、c=0.1)中4(150mg、0.577mmol、1.0当量)の溶液に、Mel(245mg、1.73mmol、3.0当量)を添加した。反応混合物を終夜還流した。競合後、反応混合物を真空中で直接濃縮して残留物を得た。残留物をEAで洗浄し、白色の固体の所望の生成物(170mg、73%収率)を得た。
工程5: 6の調製
【0184】
【化25】
H
2O(1.4mL、c=0.3)中5(170mg、0.423mmol、1.0当量)の溶液に、AgCl(121mg、2.0当量)を添加した。反応混合物を60℃で終夜加熱した。競合後、反応混合物を濾過した。濾液を凍結乾燥して、白色の固体の所望の生成物(82mg、63%収率)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO): δ7.15〜7.09 (m, 3H), 3.95〜3.85 (m, 2H), 3.53〜3.49 (m, 2H), 3.11 (s, 3H), 2.11〜2.10 (m, 4H), 2.08 (s, 6H), 1.85 (s, 6H) ppm. HPLC純度: 220nmで95.6%; 質量: m/z = 261.5 (M+1, ESI+).
【0185】
[実施例3]
塩化1-(1-(2,6-ジメチルフェニルアミノ)-1-オキソブタン-2-イル)-1-エチルピロリジニウム(化合物3)の合成
【0186】
【化26】
工程1: 2の調製
【0187】
【化27】
60mLのSOCl
2中1(10.0g、60.2mmol、1.0当量)の溶液を80℃で2時間還流した。競合後、反応混合物を真空中で直接濃縮して、さらなる精製をせずに、残留物(15.0g、y=132%)を得た。
工程2: 3の調製
【0188】
【化28】
DCM(200mL)及びTEA(8.25g、81.56mmol、1.2当量)中2,6-ジメチルアニリン(8.2g、67.97mmol、1.0当量)の溶液に、DCM(50mL)中2(15.0g、80.86mmol、1.2当量)を氷浴でゆっくり添加した。次いで、反応混合物を2時間、室温まで温めた。競合後、反応混合物を2N HClでpH=5〜6に調節して、EA(200mL×2)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、真空中で濃縮して残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、固体の所望の生成物(3.0g、17%収率)を得た。
工程3: 4の調製
【0189】
【化29】
トルエン(22mL、c=0.5)中3(3.0g、11.15mmol、1.0当量)の溶液に、ピロリジン(1.66g、23.42mmol、1.2当量)を添加した。反応混合物を110℃で3時間還流した。競合後、反応混合物を真空中で直接濃縮して残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体の所望の生成物(1.2g、41%収率)を得た。
工程4: 5の調製
【0190】
【化30】
4(500mg、1.921mmol、1.0当量)のMeCN(20mL、c=0.1)溶液に、Etl(749mg、4.802mmol、2.5当量)を添加した。反応混合物を終夜還流した。競合後、反応混合物を真空中で直接濃縮して残留物を得た。残留物をEAで洗浄して、白色の固体の所望の生成物(423mg、50%収率)を得た。
工程5: 6の調製
【0191】
【化31】
5(423mg、1.016mmol、1.0当量)のH
2O(4mL、c=0.3)溶液に、AgCl(291mg、2.033mmol、2.0当量)を添加した。反応混合物を60℃で終夜加熱した。競合後、反応混合物を濾過した。濾液を凍結乾燥して、白色の固体の所望の生成物(83mg、63%収率)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO): δ10.30(br,1H), 7.26〜7.19 (m, 3H), 4.23(q,J=6.15,1H), 3.95〜3.80 (d, J=3.12, 2H), 3.70〜3.55 (m, 4H), 3.22 (s, 6H), 2.15〜2.11 (m, 6H), 1.47〜1.44(d,J=4.23, 3H), 1.22〜1.19 (d, J=4.40, 3H) ppm. HPLC純度: 220nmで98%; 質量: m/z = 289.5 (M+1, ESI+).
【0192】
[実施例4]
塩化1-(1-(2,6-ジメチルフェニルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-1-メチルピペリジニウム(化合物4)の合成
【0193】
【化32】
工程1: 3の調製
【0194】
【化33】
1(0.5g、1.95mmol、1.0当量)のトルエン(10ml、c=0.2)溶液に、2(0.35g、4.1mmol、2.1)を添加した。添加後、混合物を加熱還流した。完了後、懸濁液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、固体の所望の生成物(0.4g、収率=78.9%)を得た。
工程2: 4の調製
【0195】
【化34】
3(162mg、0.62mmol、1.0当量)のMeCN(6mL、c=0.1)溶液に、Mel(220mg、2.5当量)を添加した。添加後、反応混合物を5時間加熱還流した。完了後、反応溶液を減圧下で濃縮して、固体の生成物(184mg、収率=73.8%、HPLC:93%)を得た。
工程3: 5の調製
【0196】
【化35】
4(122.7mg、0.3mmole、1.0当量)の脱イオン水(2ml、c=0.15)溶液に、AgCl(86mg、2.0eq)を添加した。添加後、反応混合物を60℃で終夜攪拌した。完了後、懸濁液を濾過し、濾液を使用して凍結乾燥し、固体の生成物(89.6mg、収率=96.1%)を得た。HPLC純度: 220nmで95%; 質量: M+: M-35.5=275.5; 2M-35.5=585.8; M-: M=310.5; M+35.5=345.5.
1H NMR (500 MHz, D
2O): δ 7.1400〜7.1981 (m; 3H), 4.4345 (s; 1H), 3.6625 (s; 1H), 3.5410 (s; 1H), 3.4610 (s; 2H), 3.2348 (s; 3H), 2.1289 (s; 6H), 1.9253 (d, J=28.3 Hz, 4H), 1.7403 (t, 4H), 1.6225 (s; 1H). ppm.
【0197】
[実施例5]
塩化1-(1-(2,6-ジメチルフェニルアミノ)-2-メチル-1-オキソプロパン-2-イル)-1-メチルピペリジニウム(化合物5)の合成
【0198】
【化36】
工程1: 2の調製
【0199】
【化37】
1(10.0g、59.88mmol)の混合物に、SOCl
2(60ml、c=1.0)を添加した。混合物を加熱還流した。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮して、黄色の油状物の所望の生成物(14.8g、収率=128.8%)を得た。
工程2: 4の調製
【0200】
【化38】
DCM(100ml、c=0.5)中3(6.0g、50mmol、1.0eq)の混合物に、TEA(10.1g、100mmol、2当量)を添加した。次いで、2(14.3g、77.1mmol、1.5当量)のDCM(50ml、c=1)溶液を添加した。反応混合物を室温で終夜攪拌した。次いで水(60ml)混合物を添加して層状にした。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、混成試料をn-ヘキサンで洗浄した。固体を合わせ、生成物(5.7g、収率=42.2%、HPLC:99.5%)を得た。
工程3: 6の調製
【0201】
【化39】
MeCN(98ml、c=0.2)中4(5.3g、19.6mmol、1.0当量)及びK
2CO
3(2.7g、19.6mmol、1.0当量)の溶液に、5(2.5g、29.4mmol、1.5当量)を添加した。添加後、混合物を加熱還流した。完了後、懸濁液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、固体の所望の生成物(1.7g、収率=31.6%、HPLC:96.4%)を得た。
工程4: 7の調製
【0202】
【化40】
6(1.6g、5.8mmol、1.0当量)及びMeCN(30mL、c=0.2)を密封管に添加した。この溶液に、Mel(5mL、14.0当量)を添加した。添加後、反応混合物を90℃で32時間攪拌した。完了後、反応溶液を減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、EA(5ml×2)で洗浄し、固体の生成物(557mg、収率=23%、HPLC:99.6%)を得た。
工程4: 8の調製
【0203】
【化41】
脱イオン水(4ml、c=0.12)中7(200mg、0.48mmol、1.0当量)の溶液に、AgCl(137.8mg、2.0当量)を添加した。添加後、反応混合物を室温で6時間攪拌した。完了後、懸濁液を濾過し、濾液を使用して凍結乾燥し、固体の生成物(152mg、収率=97%)を得た。HPLC純度: 220nmで100%; 質量: M+:M-35.5=289.5;2M-35.5=613.8;
1H NMR (500 MHz, D
2O): δ 7.0842〜7.1578 (m, 3H), 3.5323 (d, J=7.85 Hz, 4H), 3.1250 (s, 3H), 2.0620 (s, 6H), 1.9314 (m, 2H), 1.7323〜1.8119 (m, 9H), 1.3277〜1.3543 (m, 2H)ppm.
【0204】
[実施例6]
1-(1-(2,6-ジメチルフェニルアミノ)-1-オキソブタン-2-イル)-1-エチルピペリジニウム(化合物6)の合成
【0205】
【化42】
工程1: 2の調製
【0206】
【化43】
1(10.0g、59.88mmol)の混合物に、SOCl
2(60ml、c=1.0)を添加した。混合物を加熱還流した。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮して、黄色の油状物の所望の生成物(9.2g、収率=82.8%)を得た。
工程2: 4の調製
【0207】
【化44】
DCM(100ml、c=0.5)中3(5.0g、41.3mmole、1.0当量)の混合物に、ピリジン(4.9g、61.95mmole、1.5当量)を添加した。次いで2(9.2g、49.59mmol、1.2当量)のDCM(40ml、c=1.2)溶液を添加した。反応混合物を室温で終夜攪拌した。次いで水(50ml)溶液を添加して層状にした。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をn-ヘキサンで洗浄した。固体を合わせて、生成物(7.8g、収率=70%、HPLC:98.6%)を得た。
工程3: 6の調製
【0208】
【化45】
THF(37mL、c=0.4)中NaH(0.35g、14.8mmol、2.0当量)の溶液に、5(0.75g、8.8mmol、1.2当量)を添加した。次いで4(2.0g、7.4mmol、1.0当量)のTHF(20mL、c=0.37)溶液を添加した。添加後、混合物を室温で終夜攪拌した。完了後、水(20mL)及びEA(50mL)の懸濁液を添加して層状にした。有機相を水(50mL×2)で洗浄した。次いで有機相のpHを2に調節し、EA(40mL×2)で抽出した。水相のpHを9に調節し、次いでEA(40×2)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をn-ヘキサンで洗浄して、固体の所望の生成物(0.48g、収率=24%、HPLC:99.3%)を得た。
工程4: 7の調製
【0209】
【化46】
6(0.48g、1.75mmol、1.0当量)及びMeCN(9mL、c=0.2)を密封管に添加した。この溶液に、Etl(2mL、14.0当量)を添加した。添加後、反応混合物を90℃で10時間攪拌した。完了後、反応溶液を減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、固体の生成物(470mg、収率=62.6%、HPLC:99%)を得た。
工程4: 8の調製
【0210】
【化47】
脱イオン水(3ml、c=0.15)7(200mg、0.465mmol、1.0当量)の溶液に、AgCl(133mg、0.93mmol、2.0当量)を添加した。添加後、反応混合物を室温で終夜攪拌した。完了後、懸濁液を濾過し、濾液を使用して凍結乾燥し、固体の生成物(141mg、収率=89.8%)を得た。HPLC純度: 220nmで; 質量: M+1=339.4.
1H NMR (300 MHz, D
2O): δ 7.117 (m, 3H), 4.056 (dd, J=8.1 Hz, 1H), 3.712〜3.808 (m, 1H), 3.656 (m, J=13.2 Hz, 2H), 3.510〜3.582 (m, 1H), 3.344 (m, 2H), 2.117 (s, 6H), 1.984〜2.070 (m, 2H), 1.818 (m, 4H), 1.660 (m, 1H), 1.455 (m, 1H), 1.278 (t, J=7.2 Hz, 3H), 1.107 (t, 3H) ppm.
【0211】
[実施例7]
塩化2-(2,6-ジメチルフェニルカルバモイル)-1,1-ジメチルピロリジニウム(化合物13)の合成
【0212】
【化48】
工程1: 2の調製
【0213】
【化49】
DCM(189mL、c=0.46)中1(10g、86.9mmol、1当量)の混合物に、TEA(35.2g、347.6mmol、4eq)を添加し、次いで(Boc)
2O(12.57g、99.03mmol、1.2当量)を0℃で滴下した。添加後、反応混合物を室温までゆっくり温かめ、3時間攪拌した。反応混合物を真空中で直接濃縮し、さらなる精製をせずに白色の油状物の残留物(18g、98.36%収率)を得た。
工程2: 3の調製
【0214】
【化50】
THF(106.5ml、c=0.4)中2(9g、42.6mmol、1当量)の混合物に、ClCO
2Et(5g、46.86mmol、1.1当量)を添加し、次いで0℃で2,6-ジメチルアニリン(5.16g、42.6mmol、1当量)を滴下した。反応混合物を60℃で攪拌し、終夜還流した。完了後、反応混合物を室温に戻した。次いで混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、純粋な生成物(10.4g、74%収率)を得た。
工程3: 4の調製
【0215】
【化51】
MeOH(53mL)中3(3.4g、10.68mmol、1当量)の溶液に、4N HCl/MeOH(5.34mL、21.36mmol、2当量)を0℃で添加した。添加後、反応混合物を室温で3時間攪拌した。完了後、反応混合物を真空中で濃縮した。油をEAで洗浄し、次いで濾過して、白色の固体(2.02g、74.6%収率)を得た。
工程4: 5の調製
【0216】
【化52】
MeCN(6.35mL、c=0.37)中4(600mg、2.35mmol、1当量)の溶液に、K
2CO
3(0.83g、5.99mmol、2.55当量)及びMel(333mg、235mol、1当量)を添加し、次いで室温で終夜攪拌した。混合物を真空中で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって予め精製して、純粋な生成物(262mg、43.16%収率)を得た。
工程5: 6の調製
【0217】
【化53】
MeCN(4.3mL、c=0.1)中5(91mg、0.43mmol、1当量)の溶液に、Mel(152mg、1.075mmol、2.5当量)を添加した。添加後、反応混合物を室温で2時間攪拌した。完了後、反応混合物を真空中で濃縮して、白色の固体(140mg、87.5%収率)を得た。
工程6: 7の調製
【0218】
【化54】
水(0.78mL、c=0.37)中6(140mg、0.288mmol、1当量)の溶液に、AgCl(81mg、0.576mmol、2当量)を添加した。添加後、反応混合物を60℃で終夜攪拌した。完了後、反応混合物を濾過し、0℃で凍結乾燥して、白色の固体の所望の生成物(92mg、80%収率)を得た。
1H NMR (300 MHz, D
2O): δ 7.155〜7.098 (m, 3H), 4.500〜4.446 (t, J=8.1 Hz, 1H), 3.807〜3.768 (m, 1H), 3.621〜3.582 (m, 1H), 3.265(s, 3H), 3.182(s,3H), 2.799〜5.512(m, 3H), 2.465〜2.437(m, 1H), 2.294〜2.242(m, 1H), 2.094 (s, 6H)ppm. HPLC純度: 220nmで99.07%; 質量: m/z = 247.5(M, ESI+).
【0219】
[実施例8]
塩化2-(2,6-ジメチルフェニルカルバモイル)-1,1-ジエチルピロリジニウム(化合物14)の合成
【0220】
【化55】
工程1: 2の調製
【0221】
【化56】
DCM(189mL、c=0.46)中1(10g、86.9mmol、1当量)の混合物に、TEA(35.2g、347.6mmol、4当量)を添加し、次いで(Boc)
2O(12.57g、99.03mmol、1.2当量)を0℃で滴下した。添加後、反応混合物を室温までゆっくり温め、3時間攪拌した。反応混合物を真空中で直接濃縮して、さらなる精製をせずに白色の油状物の残留物(18g、98.36%収率)を得た。
工程2: 3の調製
【0222】
【化57】
THF(106.5ml、c=0.4)中2(9g、42.6mmol、1当量)の混合物に、ClCO
2Et(5g、46.86mmol、1.1当量)を添加し、次いで2,6-ジメチルアニリン(5.16g、42.6mmol、1当量)を0℃で滴下した。反応混合物を60℃で攪拌し、終夜還流した。完了後、反応混合物を室温に戻した。次いで、混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋な生成物(10.4g、74%収率)を得た。
工程3: 4の調製
【0223】
【化58】
MeOH(53mL)中3(3.4g、10.68mmol、1当量)の溶液に、4N HCl/MeOH(5.34mL、21.36mmol、2当量)を0℃で添加した。添加後、反応混合物を室温で3時間攪拌した。完了後、反応混合物を真空中で濃縮した。油をEAで洗浄し、次いで濾過して、白色の固体2.02g(74.6%収率)を得た。
工程4: 5の調製
【0224】
【化59】
MeCN(16mL、c=0.37)中4(1.5g、5.9mmol、1当量)の溶液に、K
2CO
3(2g、5.99mmol、2.55eq)及びEtl(1.84g、11.8mmol、2eq)を添加し、次いで60℃で終夜攪拌した。2日目に、混合物を真空中で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋な生成物(262mg、43.16%収率)を得た。
工程5: 6の調製
【0225】
【化60】
水(0.78mL、c=0.37)中6(230mg、0.57mmol、1eq)の溶液に、AgCl(163mg、1.14mmol、2eq)を添加した。添加後、反応混合物を60℃で終夜攪拌した。完了後、反応混合物を濾過し、0℃で凍結乾燥して、白色の固体の所望の生成物(190mg、80%収率)を得た。
1H NMR (300 MHz, D
2O): δ 7.162〜7.090 (m, 3H), 4.529〜4.511 (m, 1H), 3.710〜3.358 (m, 6H), 2.682〜2.534 (m, 1H), 2.382〜2.183(m, 3H), 2.089 (s, 6H), 1.361〜1.273(m, 6H)ppm. HPLC純度: 220nmで96.5%; 質量: m/z = 275.5(M, ESI+).
【0226】
[実施例9]
塩化2-(2,6-ジメチルフェニルカルバモイル)-1,1-ジエチルピぺリジニウム(化合物15)の合成
【0227】
【化61】
工程1: 2の調製
【0228】
【化62】
THF(109ml、c=0.4)中1(10g、43.6mmol、1当量)の溶液に、ClCO
2Et(5.2g、47.9mmol、1.1当量)を添加し、次いで0℃で2,6-ジメチルアニリン(5.8g、47.9mmol、1当量)を滴下した。反応混合物を60℃で攪拌し、終夜還流した。完了後、反応混合物を室温に戻した。次いで混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、純粋な生成物(7.71g、53%収率)を得た。
工程2 3の調製
【0229】
【化63】
MeOH(116mL、c=0.2)中2(7.71g、23.2mmol、1当量)の溶液に、4N HCl/MeOH(11.6mL、46.4mmol、2当量)を0℃で添加した。添加後、反応混合物を室温で3時間攪拌した。完了後、反応混合物を真空中で濃縮した。油をEAで洗浄し、次いで濾過して、5.1gの白色の固体(81.86%収率)を得た。
工程3: 4の調製
【0230】
【化64】
MeCN(25mL、c=0.37)中3(2.5g、9.3mmol、1当量)の溶液に、K
2CO
3(3.3g、23.7mmol、2.55当量)及びEtI(1.45g、9.3mmol、1当量)を添加し、次いで室温で終夜攪拌した。混合物を真空中で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって予め精製し、純粋な生成物(2g、80%収率)を得た。
工程4: 5の調製
【0231】
【化65】
MeCN(25mL、c=0.37)中4(0.5g、1.92mmol、1当量)の溶液に、EtI(749mg、4.8mmol、2.5当量)を添加し、次いで60℃で終夜攪拌した。混合物を真空中で濃縮した。粗生成物をPEで洗浄して、純粋な生成物(200mg、38.75%収率)を得た。
工程5: 6の調製
【0232】
【化66】
水(1.4mL、c=0.37)中6(217mg、0.52mmol、1当量)の溶液に、AgCl(149mg、1.04mmol、2当量)を添加した。添加後、反応混合物を60℃で終夜攪拌した。完了後、反応混合物を濾過し、0℃で凍結乾燥して、白色の固体の所望の生成物(110mg、65%収率)を得た。
1H NMR (300 MHz, D
2O): δ 7.127〜7.107 (m, 3H), 4.292 (t, 1H), 3.896〜3.765 (m, 1H),3.733〜3.412 (m, 4H), 3.365〜3.254(d, 1H), 2.457〜2.310 (m, 1H), 2.283〜2.231(m, 1H), 2.083(s, 6H), 1.875〜1.526(m, 4H), 1.290(t, J=4.5, J=3, 6H) ppm. HPLC純度: 220nmで96.4%; 質量: m/z = 289.5(M, ESI+).
【0233】
[実施例10]
塩化2-(4-フルオロ-2,6-ジメチルフェニルカルバモイル)-1,1-ジメチルピぺリジニウム(化合物16)の合成
【0234】
【化67】
工程1: 5-フルオロ-1,3-ジメチル-2-ニトロベンゼンの調製
【0235】
【化68】
1(6g、48.3mmol、1eq)を-10℃まで冷却し、それに硝酸(9g、143.78mmol、3eq)を滴下で20分間添加した。混合物を-15℃で1時間攪拌し、次いで注意深く室温にさせ、攪拌しながら3時間維持した。混合物を氷に注ぎ入れ、黄色の沈殿物を得、濾過し、フィルターケーキをDCMで溶解した。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、濃縮して白色粉末の所望の生成物2(6.8g、83%収率)を得た。
工程2: 4-フルオロ-2,6-ジメチルアニリンの調製
【0236】
【化69】
MeOH(236mL)中2(16g、94.65mmol、1eq)の溶液に、Pd/C(1.6g、10%w/w)及び数滴の濃HClをH
2下で添加した。混合物を室温で5時間攪拌し、次いで濾過し、濾液を濃縮した。残留物を氷に注ぎ入れ、2N NaOHでpHを10に調節し、EAで抽出した。有機相をブライン(150mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過した。ロータリーエバポレーションした後の残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物3(5g、38.4%収率)を得た。
工程3: N-(4-フルオロ-2,6-ジメチルフェニル)-1-メチルピペリジン-2-カルボキサミドの調製
【0237】
【化70】
DCM(46mL、c=0.25)中1-メチルピペリジン-2-カルボン酸塩酸塩(2.27g、12.65mmol、1.1eq)の溶液に、窒素下でTEA(5.12g、50.6mmol、4.4eq)を添加し、室温で30分間攪拌した。混合物を氷浴で0℃まで冷却し、次いでClCO
2Etを20分の間、でゆっくり滴下添加した。上記の混合物に、DCM(2mL)中3(1.6g、11.5mmol、1.0eq)を滴下で添加し、終夜攪拌した。ロータリーエバポレーションした後の混合物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物4(0.5g、16%収率)を得た。
工程4:ヨウ化2-(4-フルオロ-2,6-ジメチルフェニルカルバモイル)-1,1-ジメチルピペリジニウムの調製
【0238】
【化71】
MeCN(35.8mL)中4(0.5g、1.89mmol、1.0eq)の溶液に、Mel(1.025g、7.225mmol、2.5eq)を添加し、90℃で75mLの密封管中で2時間攪拌した。完了後、溶媒を除去し、所望の生成物5(760g、99%収率)を得た。
工程5:塩化2-(4-フルオロ-2,6-ジメチルフェニルカルバモイル)-1,1-ジメチルピペリジニウムの調製
【0239】
【化72】
脱イオン水(2.5mL)中5(0.3g、0.739mmol、1.0eq)の溶液に、AgCl(212mg、1.48mmol、2.0eq)を添加し、60℃で30分間攪拌した。完了後、反応物を濾過し、濾液を凍結乾燥して6(160g、73%収率)を得た。
1H NMR (300 MHz, D2O-d
6):δ6.90 (d, J = 9.6Hz, 2H), 4.21〜4.11 (m, 1H), 3.69〜3.60 (m, 1H), 3.48〜3.35 (m, 1H), 3.27 (d, J = 11.1Hz, 6H), 2.30〜2.18 (m, 2H), 2.17〜2.00 (m, 6H), 1.95〜1.55 (m, 5H) ppm.
【0240】
[実施例11]
2-(4-アミノフェニルアミノ)-N,N,N-トリエチル-2-オキソエタンアミニウム(化合物22)の合成
【0241】
【化73】
工程1: 3の調製
【0242】
【化74】
2(240mL、7.2eq)の混合物に、1(30g、1.0eq)をバッチで添加した。混合物を30℃で終夜攪拌した。完了後、懸濁液を濾過し、フィルターケーキをEA(30mL×2)で洗浄し、150mLのEAをフィルターケーキに添加して30℃で30分間攪拌した。次いで、懸濁液を濾過し、フィルターケーキをEA(30mL×2)で洗浄し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物を90mLのアセトニトリル/アセトン(1:2)に添加し、室温で終夜攪拌した。懸濁液を濾過し、フィルターケーキを減圧下で乾燥して生成物(9.7g、収率=23.3%)を得た。
工程2: 5の調製
【0243】
【化75】
THF(19ml、c=0.4)中3(1.0g、7.6mmol、1.0eq)及びTEA(1.5g、15.2mmol、2.0eq)の混合物に、ClCO
2Et(0.9g、8.36mmol、1.1eq)を添加した。次いで4(1.15g、8.36mmol、1.1eq)溶液を添加した。反応混合物を終夜還流させ、攪拌した。次いで懸濁液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をEAで溶解し、酸塩基で洗浄して生成物(0.35g、収率=20%)を得た。
1HNMR (300MHz DMSO): δ 10.2268 (s, 1H), 8.2159 (d, J=9.18 Hz, 2H), 7.9377 (d, J=9.15 Hz, 2H), 3.2379 (s, 2H), 2.5458〜2.6470 (dd, 4H), 1.0139 (t, 6H).
工程3: 6の調製
【0244】
【化76】
MeCN(12ml、c=0.1)中5(300mg、1.19mmol、1.0eq)の混合物に、Etl(651.5mg、4.18mmol、3.5eq)を添加した。反応混合物を終夜加熱還流した。完了後、反応溶液を減圧下で濃縮して生成物(200mg、収率=41%、HPLC:98%)を得た。
工程4: 7の調製
【0245】
【化77】
脱イオン水(4mL、c=0.12)中5(200mg、0.49mmol、1.0eq)の溶液に、AgCl(140.8mg、0.98mmol、2.0eq)を添加した。次いで溶液を60℃まで加熱して終夜攪拌した。完了後、懸濁液を濾過し、濾液を次の工程のために使用した。
工程5: 8の調製
【0246】
【化78】
工程3の濾液に、Pd/C(30mg、m/m=0.2)及び2滴の2N HClを添加した。溶液をH
2で置き換えた。次いで溶液を35℃で終夜攪拌した。完了後、懸濁液を濾過し、凍結乾燥し、残留物をEAで洗浄して生成物(92.4mg、収率=66%)を得た。HPLC純度: 220nmで98.8%,254nmで99%; 質量:M+: M-35.5=250.5;M-:M=285.5;M+35.5=321.4.
1H NMR (300MHz, D
2O): δ 7.4742 (d, J=8.7 Hz, 2H), 7.2281 (d, J=8.79 Hz, 2H), 4.1406 (s, 2H), 3.5985 (dd, J=7.2 Hz, 6H), 1.3526 (t, J=7.2 Hz, 9H). ppm.
【0247】
[実施例12]
塩化2-(4-アミノ-2,6-ジメチルフェニルアミノ)-N,N,N-トリエチル-2-オキソエタンアミニウム(化合物23)の合成
【0248】
【化79】
工程1: N-(2,6-ジメチルフェニル)-4-メチルベンゼンスルホンアミドの調製
【0249】
【化80】
ピリジン(334mL、c=0.37)中1(15g、123.8mmol、1eq)の溶液に、TsCl(28g、148.54mmol、1.2eq)を添加し、115℃で4時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を除去し、2N HClでpHを6に調節し、水で洗浄し、EAで抽出し、ブラインで洗浄し、濃縮し、残留物を高温エタノールから再結晶して、白色粉末の所望の生成物2(19.8g、56%収率)を得た。
工程2: N-(2,6-ジメチル-4-ニトロフェニル)-4-メチルベンゼンスルホンアミドの調製
【0250】
【化81】
AcOH:H
2O(150ml:100ml)中2(19.8g、71.9mmol、1eq)の懸濁液に、攪拌しながら窒素下でNaNO
2を添加した。濃HNO
3(9g、194mmol、2eq)を10分間滴下添加し、110℃で5時間還流した。完了後、反応物をH
2O(150mL)で希釈し、EA(200mL)で抽出し、1N NaOHでpHを8に調節した。有機相をブライン(150mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水した。濾液を真空中で蒸発させ、粉末の3(16g、70%収率)を得た。
工程3: 2,6-ジメチル-4-ニトロアニリンの調製
【0251】
【化82】
濃H
2SO
4(232mL、c=0.3)中3(23g、72mmol、1.0eq)の溶液を60℃で1時間攪拌しながら加熱した。完了後、反応物を氷(1000mL)に注ぎ入れ、20% NaOHでpH=8に調節し、EA(200mL)で抽出した。有機相をブライン(15mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過した。ロータリーエバポレーションした後の残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物4(8g、66%収率)を得た。
工程4: 2-クロロ-N-(2,6-ジメチル-4-ニトロフェニル)アセトアミドの調製
【0252】
【化83】
DCM(30mL、c=0.8)中4(4g、24mmol、1.0eq)の混合物に、ピリジン(2.28g、28.8mmol、1.2eq)、塩化2-クロロアセチル(3.25g、28.8mmol、1.2eq)を0℃で滴下添加し、室温で終夜攪拌した。完了後、反応物を濾過し、ケーキを水に入れ、2N HClでpHを4に調節し、濾過し、ケーキを乾燥して所望の生成物5(4.4g、76%収率)を得た。
工程5: 2-(ジエチルアミノ)-N-(2,6-ジメチル-4-ニトロフェニル)アセトアミドの調製
【0253】
【化84】
ジエチルアミン(46.7mL、639mmol、38.8eq)中5(4g、16.48mmol、1.0eq)の混合物を55℃で5時間加熱還流し、溶媒を除去し、水に注ぎ入れ、EA(100mL×3)で抽出した。有機相をブライン(15mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で脱水し、濾過した。ロータリーエバポレーションした後の残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物6(2.17g、47%収率)を得た。
工程6:ヨウ化2-(2,6-ジメチル-4-ニトロフェニルアミノ)-N,N,N-トリエチル-2-オキソエタンアミニウムの調製
【0254】
【化85】
MeCN(35.8mL)中6(1g、3.58mmol、1.0eq)の溶液に、Etl(1.4g、8.95mmol、2.5eq)を添加し、90℃で75mLの密封管中で3日間攪拌した。完了後、溶媒を除去して、所望の生成物7(1.48g、95%収率)を得た。
工程7:塩化2-(2,6-ジメチル-4-ニトロフェニルアミノ)-N,N,N-トリエチル-2-オキソエタンアミニウムの調製
【0255】
【化86】
脱イオン水(2mL)中7(0.5g、1.15mmol、1.0eq)の溶液に、AgCl(329mg、2.3mmol、2.0eq)を添加し、60℃で終夜攪拌した。完了後、反応物を濾過し、濾液8を得た。
工程8: N-(4-アミノ-2,6-ジメチルフェニル)-2-(ジエチルアミノ)アセトアミドの調製
【0256】
【化87】
上記の8の混合物に、Pd/C(39.5mg、10%w/w)を添加し、懸濁液を真空下で脱気し、H
2で数回パージし、室温で6時間攪拌した。完了後、反応物を濾過し、ケーキをEA(1.5mL)で洗浄し、濾過し、所望の生成物9(250mg、74%収率)を得た。
1H NMR (300 MHz, D
2O-d
6): δ7.05 (s, 2H), 4.22 (s, 2H), 3.53〜3.50 (m, 6H), 2.11 (s, 6H), 1.30〜1.25 (m, 9H) ppm.
【0257】
[実施例13]
塩化3-(2,6-ジメチルフェニルアミノ)-N,N,N-トリエチル-3-オキソプロパン-1-アミニウム(化合物24)の合成
【0258】
【化88】
工程1: 2の調製
【0259】
【化89】
DCM(50mL、c=1.6)中1(10g、82.52mmol、1eq)の混合物に、TEA(10.02g、99.03mmol、1.2eq)を添加し、0℃でDCM(50mL、c=1.6)中塩化3-クロロプロパノイル(12.57g、99.03mmol、1.2eq)を滴下した。添加後、反応混合物を室温までゆっくり温め、2時間攪拌した。完了後、反応溶液を1N HClでpH=3〜4に調節し、DCM(2×50mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和NaHCO
3でpH=7〜8に調節した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、25℃で真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、白色の固体の所望の生成物(12.46g、71.3%収率、46%のN-(2,6-ジメチルフェニル)アクリルアミドを含む)を得た。
工程2: 3の調製
【0260】
【化90】
2(8g、37.79mmol、1eq)に、ジエチルアミン(107.24g、1466.29mmol、38.8eq)を添加した。反応混合物を55℃で終夜攪拌した。完了後、反応混合物を真空中で濃縮した。次いで残留物を水(150mL)で希釈し、EA(3×100mL)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、黄色の油状物の所望の生成物(5.75g、61%収率)を得た。
工程3: 4の調製
【0261】
【化91】
ACN(121Ml、c=0.1)中3(3g、12.08mmol、1eq)の溶液に、Etl(5.65g、36.24mmol、3eq)を添加した。添加後、反応混合物を85℃で終夜攪拌した。完了後、反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、白色の固体の所望の生成物(3.6g、74%収率)を得た。
工程4: 5の調製
【0262】
【化92】
水(1.2mL、c=0.6)中4(300mg、0.74mmol、1eq)の溶液に、新鮮なAgCl(212mg、1.48mmol、2eq)を6〜7℃で添加した。添加後、反応混合物を6〜7℃で4分間攪拌した。完了後、反応混合物を濾過し、0℃で凍結乾燥して、白色の固体の所望の生成物(133mg、57%収率)を得た。
1H NMR (300 MHz, D
2O): δ 7.063〜7.128 (m, 3H), 3.495 (t, J=7.8 Hz, J=8.1 Hz, 2H), 3.220〜3.293 (m, 4H), 2.909 (t, J=7.8 Hz, J=8.1 Hz, 2H), 2.100(d, J=22.5 Hz, 6H), 1.212 (t, J=7.2 Hz,, 6H)ppm. HPLC純度: 220nmで99.7%.
【0263】
[実施例14]
塩酸塩化2-(4-アミノベンズアミド)-N,N,N-トリエチルエタンアミニウム(化合物26)の合成
【0264】
【化93】
工程1: 3の調製
【0265】
【化94】
THF(25mL、c=0.37)中1(1.6g、9.46mmol、1.1eq)及びTEA(1.7g、17.2mmol、2eq)の混合物に、ClCO
2Et(1.0g、9.46mmol、1.1eq)をゆっくり添加した。次いで2(1.0g、8.6mmol、1eq)を混合物に添加した。混合物を室温で5時間攪拌した。完了後、懸濁液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、NaOHで洗浄し、生成物(1.0g、収率=43.8%、HPLC:99.8%)を得た。
工程2: 4の調製
【0266】
【化95】
MeCN(7.5ml、c=0.1)中3(200mg、0.75mmol、1.0eq)の混合物に、Etl(293mg、1.88mmol、2.5eq)を添加した。反応混合物を終夜加熱還流した。完了後、反応溶液を減圧下で濃縮して、生成物(313.8mg、収率=99.3%、LCMS:100%)を得た。
工程3: 5の調製
【0267】
【化96】
脱イオン水(4mL、c=0.1)中4(195.7mg、0.46mmol、1.0eq)の溶液に、AgCl(133mg、0.93mmol、2.0eq)を添加した。次いで溶液を60℃まで加熱し、終夜攪拌した。完了後、懸濁液を濾過し、濾液を次の工程のために使用した。
工程4: 6の調製
【0268】
【化97】
工程3の濾液に、MeOH(4mL)、Pd/C(15mg、m/m=0.1)、2滴の2N HClを添加した。溶液をH
2で置き換えた。次いで溶液を35℃で終夜攪拌した。完了後、懸濁液を濾過し、4N HCl/MeOH(0.5mL)を溶液に添加して30分間攪拌した。次いで溶液を凍結乾燥し、残留物をEAで洗浄し、生成物(55mg、収率=36%)を得た。HPLC純度: 220nmで95.9%; 254nmで96.7%; 質量: M+:M-35.5=264.5,M-:M+35.5=334.5;
1H NMR (300 MHz, D
2O): δ 7.8252 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.4115 (d, J=8.4 Hz, 2H), 3.7562 (t, J=6.6 Hz, 2H), 3.3613 (m, 9H), 1.2785 (t, J=7.5 Hz, 10H) ppm.
【0269】
[実施例15]
細胞内に適用されたとき、ナトリウムチャネルを阻害する上で、化合物6は、QX-314より高い有効性を有する
図1Aは、100マイクロモルのQX-314又は100マイクロモルのBW8186(化合物6)のいずれかで透析し、-100mVから-20mVの保持電位での連続30ミリ秒の脱分極で刺激した細胞の時間の関数としてのピークナトリウム電流の経時変化を示す。使用-頻度依存性遮断を誘発するために、増加速度:1分間に0.05Hz、1分間に0.33Hz、1分間に1Hz、1分間に3Hz、30秒間に5Hz、30秒間に10Hz(各連続パルスの間に1分の休止がある)によって脱分極をもたらした。連続パルスが、使用-頻度依存性遮断を誘発した後、0.1Hz(2分)及び0.05Hz(1分)で送達されたパルスを使用して回復の経時変化を追跡した。ピークナトリウム電流を、実験時間(時間軸上で目盛りごとに1分)の関数としてプロットした。
【0270】
図1Aで見ることができるように、QX-314及び化合物6は両方とも、1〜10Hzの刺激頻度で強力な使用頻度依存性遮断蓄積を示し、1分の休止間隔の間に軽度の回復があるのみである。QX-314は、3分かけてゆっくり刺激を与えた後、初期値の約20%までのナトリウム電流の使用-頻度依存性阻害をもたらし、後続して初期値の約40%まで部分的回復をした。化合物6は、初期ナトリウム電流の約3%までの、さらに完全な使用-頻度依存性遮断をもたらし、3分かけてゆっくり刺激を与える間に、初期値の約5%までごく僅か回復した。したがって、QX-314と比べて、化合物6は、さらに多い使用-頻度依存性遮断の蓄積を示し、また、刺激無しの期間又は遮断が確立してからゆっくり刺激(0.05Hz)が与えられた長時間の間の回復は驚くほど少なかった。これは、化合物6が細胞内に閉じ込められ、in vivoでより長時間の鎮痛効果をもたらすことができることを示す。
【0271】
図1Bは、化合物6が、細胞内に適用されたとき(ホールセル記録中、記録ピペット内に存在し、細胞が透析された)、細胞外に適用されたときよりさらにより効果的であることを示す。これは、QX-314と同様に、化合物6が、痛み及び痒みを媒介するニューロン中に選択的に存在する活性化TRPV1、TRPA1、又は他の大孔チャネルを通ってニューロンに入ることがない限り、ニューロン活動に与える効果は弱いものでしかないという考えを支持する。
【0272】
[実施例16]
足の切り傷から誘発された温熱性痛覚過敏を遮断する上で、化合物21は、QX-314と同等に有効だった
QX-314と比較したN-エチルエチドカイン(「NEE」、化合物21)の効果を、温熱性痛覚過敏のマウス及びラットモデルで試験した。マウスにおけるCFAの足底内注射によって誘発される炎症関連痛覚過敏は、化合物21(NEE)又はQX-314(
図2A〜2D)により好転する。ラット(
図3A)では、反対側(未処置)の足と、生理食塩水、QX-314(0.5%)又はN-エチルエチドカイン(化合物21)(0.5%)の急性足底内注射(50μl)を受けた後足との間で観察された温熱性侵害受容閾値に差はなかった。一週間後、ラットの左側後足に外科的切開を施した。1時間後、ラットは、化合物21又はQX-314の急性足底内注射を、外科創傷に直接受けた。ラットの未処置の反対側の足と比べたとき、生理食塩水を受けた動物は、処置後1及び3時間で有意な温熱性痛覚過敏を示した(
図3B)。この効果は、QX-314又は化合物21で処置した動物にはなく、温熱性痛覚過敏の状態における痛覚感受性を減少する上で化合物21はQX-314と同等に効果的であることを示唆する。
【0273】
[実施例17]
化合物3、6、及び21は、単独で注射されたとき、温痛覚応答待ち時間に影響を与える。
いくつかの文献中のデータは、QX-314が、神経周囲に注射されると、処置後8週で神経毒性を誘発することができることを示唆している。このような毒性がNEE(化合物21)で生じるかを評価するために、DRG抽出の8週前に、マウスにCFA+NEE(1%)の組み合わせを注射した。これらのマウスから抽出されたDRGを、損傷したニューロンで特異的に増加する転写因子ATF3用に染色した。CFA+NEE(1%)で処置したマウスにおいて、ATF3発現は観察されなかった(
図4B及び
図4C)。染色の信憑性を確実にするために、坐骨神経損傷を経たATF3-GFPレポーターマウス由来のDRGスライスを並行して標識化し、ATF3抗体の共局在化(ダークシェーディング)が、ATF3レポーター染色(ライトシェーディング)と共に観察された(
図4A)。
【0274】
QX-314は、痛覚ニューロンと免疫系との間の相互作用を中断させることによって、アレルギー性気道炎症を好転することが知られている。NEE(化合物21)が同じ機構によって働くかを決定するために、NEE(化合物21)が気道炎症に与える効果を評価した。噴霧状のNEE(化合物21)(100uM、6%、20分、18日目)は、オボアルブミンによって誘発されたアレルギー性気道炎症のマウスモデルにおける、特にCD45+細胞(好酸球、マクロファージ、及びT細胞を含む)の、気管支肺胞洗浄液の免疫細胞内流入(21日目)を遮断した(
図5A〜5E)。
【0275】
QX-314を上回って改善されたin vitroでのNaV1.7使用-頻度依存性遮断を示す5種の新規化合物のうち、ACS-3B(化合物3)及びN-エチルエチドカイン(化合物21)は、ナイーブ動物において、長時間持続する無痛覚なしに、CFA誘発温熱性痛覚過敏の強力な遮断を示した。さらに、N-エチルエチドカイン(化合物21)は、肺のアレルギー性気道炎症を強力に好転した。
【0276】
他の実施形態
本発明の記載した方法及びシステムの様々な修正及びバリエーションが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本発明は、特定の所望の実施形態に関連して記載したものであるが、特許請求の範囲にある本発明が、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、本発明を実施するために記載された様式の様々な修正が、医学、免疫学、薬理学、内分泌学の分野、又は関連分野における当業者には明白であり、これらは、本発明の範囲内に属することが意図される。
【0277】
本明細書の中で挙げられた全ての刊行物は、それぞれの独立した刊行物が参照により特別にかつ個別に組み込まれるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、以下の実施形態を包含する。
(実施形態1)
式(I)
【化98】
[式中、
R1F及びR1Gは一緒に、少なくとも1個の窒素原子を有する複素環を完成し、R1A、R1B、及びR1Cのそれぞれは、独立に、H、ハロゲン、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、OR1I、NR1JR1K、NR1LC(O)R1M、S(O)R1N、SO2R1OR1P、SO2R1QR1R、SO3R1S、CO2R1T、C(O)R1U、及びC(O)NR1VR1Wから選択され、R1I、R1J、R1K、R1L、R1M、R1N、R1O、R1P、R1Q、R1R、R1S、R1T、R1U、R1V、及びR1Wのそれぞれは、独立に、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、及びC2〜4ヘテロアルキルから選択され、
X1は、-CR1XR1Y-、-NR1ZC(O)-、-OC(O)-、-SC(O)-、-C(O)NR1AA-、-CO2-、及び-OC(S)-から選択され、R1X、R1Y、R1Z、及びR1AAのそれぞれは、独立に、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、及びC2〜4ヘテロアルキルから選択され、
R1D及びR1Eのそれぞれは、独立に、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、場合によりハロゲンで置換されたC2〜4ヘテロアルキル、C3〜8環状アルキル、アリール、又はヘテロアリール、及びC3〜6シクロアルキルから選択され、又はR1D及びR1Eは一緒に、3〜6員の複素環又はヘテロアルキル環を形成し、
R1Hは、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、場合によりハロゲンで置換されたC2〜4ヘテロアルキル、C3〜8環状アルキル、アリール、又はヘテロアリール、及びC3〜6シクロアルキルから選択される]
を有する第4級アミン化合物。
(実施形態2)
X1が-NHC(O)-である、実施形態1に記載の化合物。
(実施形態3)
R1A及びR1Bのそれぞれが、独立に、H、ハロゲン、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、及びNR1JR1Kから選択され、R1J及びR1Kのそれぞれが、独立に、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、及びC2〜4ヘテロアルキルから選択されるか、又は少なくとも1つのR1Cが存在する、実施形態1又は2に記載の化合物。
(実施形態4)
R1Dが、場合によりハロゲンで置換されたC1〜4アルキル、C3〜8環状アルキル、アリール、又はヘテロアリールである、実施形態1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
(実施形態5)
R1Eが、H又は場合によりハロゲンで置換されたC1〜4アルキル、C3〜8環状アルキル、アリール、又はヘテロアリールである、実施形態1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
(実施形態6)
R1Hが、場合によりハロゲンで置換されたC1〜4アルキル、C3〜8環状アルキル、アリール、又はヘテロアリールである、実施形態1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
(実施形態7)
表1中の化合物である、実施形態1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
(実施形態8)
【化99】
である、実施形態7に記載の化合物。
(実施形態9)
【化100】
である、実施形態7に記載の化合物。
(実施形態10)
式(II)
【化101】
[式中、
mは0又は1であり、
R2A、R2B、及びR2Cのそれぞれは、独立に、H、ハロゲン、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、CF3、OR2H、NR2IR2J、NR2KC(O)R2L、S(O)R2M、SO2R2NR2O、SO2NR2PR2Q、SO3R2R、CO2R2S、C(O)R2T、及びC(O)NR2UR2Vから選択され、R2H、R2I、R2J、R2K、R2L、R2M、R2N、R2O、R2P、R2Q、R2R、R2S、R2T、R2U、及びR2Vのそれぞれは、独立に、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、及びC2〜4ヘテロアルキルから選択され、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9であり、各R2Fは、独立に、ハロゲン、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、CF3、OR2H、NR2IR2J、NR2KC(O)R2L、S(O)R2M、SO2R2NR2O、SO2NR2PR2Q、SO3R2R、CO2R2S、C(O)R2T、及びC(O)NR2UR2Vから選択され、R2H、R2I、R2J、R2K、R2L、R2M、R2N、R2O、R2P、R2Q、R2R、R2S、R2T、R2U、及びR2Vのそれぞれは、独立に、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、及びC2〜4ヘテロアルキルから選択され、
R2D及びR2Eのそれぞれは、独立に、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、場合によりハロゲンで置換されたC2〜4ヘテロアルキル、環状アルキル、アリール、又はヘテロアリール、及びC3〜6シクロアルキルから選択される]
を有する第4級アミン化合物。
(実施形態11)
R2D及びR2Eのそれぞれが、場合によりハロゲンで置換されたC1〜4アルキル、環状アルキル、アリール、又はヘテロアリールである、実施形態10に記載の化合物。
(実施形態12)
R2A、R2B、及びR2Cのそれぞれが、独立に、H、ハロゲン、C1〜4アルキル、及びCF3から選択されるか、又は少なくとも1つのR2Cが存在するか、又は少なくとも1つのR2Fが存在する、実施形態10又は11に記載の化合物。
(実施形態13)
表2中の化合物である、実施形態10〜12のいずれか一項に記載の化合物。
(実施形態14)
【化102】
である、実施形態13に記載の化合物。
(実施形態15)
一般式(III)
【化103】
[式中、
nは、0、1、2、又は3であり、
R3A、R3B、及びR3Cのそれぞれは、独立に、H、ハロゲン、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、OR3I、NR3JR3K、NR3LC(O)R3M、S(O)R3N、SO2R3OR3P、SO2NR3QR3R、SO3R3S、CO2R3T、C(O)R3U、及びC(O)NR3VR3Wから選択され、R3I、R3J、R3K、R3L、R3M、R3N、R3O、R3P、R3Q、R3R、R3S、R3T、R3U、R3V、及びR3Wのそれぞれは、独立に、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、及びC2〜4ヘテロアルキルから選択され、
X3は、-NHC(O)-及び-C(O)NHから選択され、
R3D及びR3Eのそれぞれは、独立に、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、場合によりハロゲンで置換されたC2〜4ヘテロアルキル、環状アルキル、アリール、もしくはヘテロアリール、及びC3〜6シクロアルキルから選択することができるか、又はR1D及びR1Eは一緒に、3〜6員の複素環又はヘテロアルキル環を形成することができ、
R3F、R3G、及びR3Hのそれぞれは、独立に、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、場合によりハロゲンで置換されたC2〜4ヘテロアルキル、環状アルキル、アリール、又はヘテロアリール、及びC3〜6シクロアルキルから選択される]
を有する第4級アミン化合物。
(実施形態16)
X3が-NHC(O)-である、実施形態15に記載の化合物。
(実施形態17)
Nが0又は1である、実施形態15又は16に記載の化合物。
(実施形態18)
R3A、R3B、及びR3Cのそれぞれが、独立に、H、C1〜4アルキル、及びNR3JR3Kから選択され、R3J及びR3Kのそれぞれが、独立に、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、及びC2〜4ヘテロアルキルから選択される、実施形態15〜17のいずれか一項に記載の化合物。
(実施形態19)
R3E、R3F、及びR3Gのそれぞれが、独立に、場合によりハロゲンで置換されたC1〜4アルキル、環状アルキル、アリール、又はヘテロアリール、及びC3〜6シクロアルキルから選択される、実施形態15〜18のいずれか一項に記載の化合物。
(実施形態20)
表3中の化合物番号21〜24のいずれか1つである、実施形態15〜19のいずれか一項に記載の化合物。
(実施形態21)
【化104】
である、実施形態15〜20のいずれか一項に記載の化合物。
(実施形態22)
実施形態1〜21のいずれか一項に記載の第4級アミン化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む、組成物。
(実施形態23)
経口、静脈内、筋内、直腸、皮膚、皮下、局所、経皮、舌下、経鼻、吸入、膣内、鞘内、硬膜外、又は眼内投与用に製剤化される、実施形態21に記載の組成物。
(実施形態24)
患者における痛み、痒み、又は神経性炎症性障害の治療方法であって、前記患者に、実施形態1〜21のいずれか一項に記載の第4級アミン化合物を含む組成物を投与することを含み、前記化合物が、侵害受容器及び/又は掻痒受容器に存在する1つ以上の電位依存性イオンチャネルの内面に適用されたとき、前記チャネルを阻害するが、前記チャネルの外面に適用されたとき、前記チャネルを実質的に阻害せず、チャネル形成受容体が活性化されると前記受容体を通って侵害受容器又は掻痒受容器に入り、前記侵害受容器中に存在する前記1つ以上の電位依存性イオンチャネルを阻害することができる、方法。
(実施形態25)
前記チャネル形成受容体が、一時的受容体電位イオンチャネル(TRPチャネル形成受容体)である、実施形態24に記載の方法。
(実施形態26)
前記TRPチャネル形成受容体が、外因性又は内因性アゴニストによって活性化される、実施形態24又は25に記載の方法。
(実施形態27)
前記TRPチャネル形成受容体がTRPA1又はTRPV1である、実施形態25又は26に記載の方法。
(実施形態28)
前記化合物が、前記TRPA1又はTRPV1受容体が活性化されると、前記受容体を通って侵害受容器又は掻痒受容器に入ることができる、実施形態27に記載の方法。
(実施形態29)
前記化合物が、電位依存性ナトリウムチャネルを阻害する、実施形態24に記載の方法。
(実施形態30)
前記痛みが、神経因性疼痛、炎症性疼痛、侵害受容性疼痛、感染症による痛み、及び処置痛からなる群から選択される、実施形態24に記載の方法。
(実施形態31)
前記神経性炎症性障害が、アレルギー性炎症、ぜんそく、慢性咳、結膜炎、鼻炎、乾癬、炎症性腸疾患、及び間質性膀胱炎、アトピー性皮膚炎からなる群から選択される、実施形態24に記載の方法。
(実施形態32)
前記組成物が、
【化105】
からなる群から選択される第4級アミン化合物を含む、実施形態24に記載の方法。