(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833846
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】波長走査装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20210215BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20210215BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20210215BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
C12M1/34 Z
G01N21/64 F
C12Q1/6844 Z
C12M1/00 A
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-523359(P2018-523359)
(86)(22)【出願日】2016年7月20日
(65)【公表番号】特表2018-522591(P2018-522591A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】US2016043052
(87)【国際公開番号】WO2017019394
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2019年7月19日
(31)【優先権主張番号】14/809,175
(32)【優先日】2015年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518025434
【氏名又は名称】ステム アーツ プロジェクツ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】オーメン, エイブラハム
(72)【発明者】
【氏名】グリーンリーフ, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】コック, アダム
(72)【発明者】
【氏名】サルカール, アミタバ
【審査官】
松浦 安紀子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−522996(JP,A)
【文献】
特表2013−520204(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/087446(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0312102(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/34
C12M 1/00
C12Q 1/6844
G01N 21/64
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNA増幅を監視してDNA配列の存在又は量を評価するために複数のDNA試料の複数の蛍光出力を同時に測定するための波長走査装置であって、
構造支持体と、
前記構造支持体に取り付けられた加熱ブロックであり、
複数の試料ウェルのそれぞれが前記加熱ブロックの頂面に開口部を形成する、複数の試料ウェル、
複数の励起活性化開口、ならびに、
前記複数の試料ウェルのそれぞれが前記複数の励起活性化開口の対応する励起活性化開口、および前記複数の励起活性化開口の対応する蛍光放出開口へ移行する、複数の蛍光放出開口
を備え、
前記複数の励起活性化開口のそれぞれが前記加熱ブロックの底面に開口部を形成し、前記複数の蛍光放出開口のそれぞれが前記加熱ブロックの正面に開口部を形成する、
加熱ブロックと、
前記構造支持体に取り付けられたステッパモータと、
前記ステッパモータに取り付けられた分析スキャナであり、前記ステッパモータが前記分析スキャナを横方向に移動させる、分析スキャナであって、
複数の励起開口を備える平坦面であって、前記複数の励起開口のそれぞれが頂部および底部を備え、前記複数の励起開口のそれぞれが励起光フィルタを備える、平坦面、
複数の放射開口を有する前面壁であって、前記複数の放射開口のそれぞれが背面および前面を備え、前記複数の放射開口のそれぞれが蛍光放射光フィルタを備える、前面壁、
複数の光源であって、前記複数の光源のそれぞれが前記複数の励起開口の対応する励起開口に配置されている、複数の光源、
複数の光検出器であって、前記複数の光検出器のそれぞれが前記複数の放射開口の対応する放射開口に配置されている、複数の光検出器、
を備え、
前記平坦面が前記加熱ブロックの前記底面と実質的に整列し、前記前面壁が前記加熱ブロックの前記正面と実質的に整列する、
分析スキャナと、
を備え、
前記複数の試料ウェルが少なくとも4つであり、
前記複数の励起活性化開口が少なくとも4つであり、
前記複数の蛍光放出開口が少なくとも4つであり、
前記複数の励起開口が少なくとも4つであり、
前記複数の放射開口が少なくとも4つであり、
前記複数の光源が少なくとも4つであり、
前記複数の光検出器が少なくとも4つであり、
前記複数のDNA試料が少なくとも4つである、波長走査装置。
【請求項2】
前記分析スキャナがステッパネジによって前記ステッパモータに取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記加熱ブロックの裏面に取り付けられた加熱素子をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記分析スキャナが
励起プリント回路板を受け取るように構成された励起陥凹部であって、前記励起プリント回路板が前記複数の光源を備える、励起陥凹部と、
放射プリント回路板を受け取るように構成された放射陥凹部であって、前記放射プリント回路板が前記複数の光検出器を備える、放射陥凹部と、
をさらに備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記構造支持体に取り付けられ、前記分析スキャナに取り付けられた案内レールをさらに備える請求項4に記載の装置。
【請求項6】
構造支持体と、
前記構造支持体に取り付けられた加熱ブロックであって、
− 第1の試料ウェル、
− 第1の励起活性化開口、ならびに
− 第1の蛍光放出開口
を備え、
前記第1の試料ウェルが前記加熱ブロックの頂面に第1の開口部を形成し、前記第1の試料ウェルが前記第1の励起活性化開口および前記第1の蛍光放出開口へ移行し、ここで
前記第1の励起活性化開口が前記加熱ブロックの底面に第1の底部開口部を形成し、
前記第1の蛍光放出開口が前記加熱ブロックの正面に第1の前面開口部を形成し、
− 第2の試料ウェル、
− 第2の励起活性化開口、ならびに
− 第2の蛍光放出開口
を備え、
前記第2の試料ウェルが前記加熱ブロックの前記頂面に第2の開口部を形成し、
前記第2の試料ウェルが前記第2の励起活性化開口および前記第2の蛍光放出開口へ移行し、ここで
前記第2の励起活性化開口が前記加熱ブロックの前記底面に第2の底部開口部を形成し、
前記第2の蛍光放出開口が前記加熱ブロックの前記正面に第2の前面開口部を形成し、− 第3の試料ウェルと
− 第3の励起活性化開口と、
− 第3の蛍光放出開口と、
をさらに備え、
前記第3の試料ウェルが前記加熱ブロックの前記頂面に第3の開口部を形成し、
前記第3の試料ウェルが前記第3の励起活性化開口および前記第3の蛍光放出開口に移行し、ここで
前記第3の励起活性化開口が前記加熱ブロックの前記底面に第3の底部開口部を形成し、
前記第3の蛍光放出開口が前記加熱ブロックの前記正面に第3の前面開口部を形成し、
− 第4の試料ウェルと、
− 第4の励起活性化開口と、
− 第4の蛍光放出開口と、
をさらに備え、
前記第4の試料ウェルが前記加熱ブロックの前記頂面に第4の開口部を形成し、
前記第4の試料ウェルが前記第4の励起活性化開口および前記第4の蛍光放出開口に移行し、ここで、
前記第4の励起活性化開口が前記加熱ブロックの前記底面に第4の底部開口部を形成し、
前記第4の蛍光放出開口が前記加熱ブロックの前記正面に第4の前面開口部を形成する、加熱ブロックと、
前記構造支持体に取り付けられたステッパモータと、
前記ステッパモータに取り付けられた分析スキャナであって、前記ステッパモータが前記分析スキャナを横方向に移動させる、分析スキャナであり、
第1の励起開口頂部、第1の励起開口底部、および第1の励起光フィルタを備える第1の励起開口、
第2の励起開口頂部、第2の励起開口底部、および第2の励起光フィルタを有する第2の励起開口、
第3の励起開口頂部、第3の励起開口底部、および第3の励起光フィルタを備える第3の励起開口、
第4の励起開口頂部、第4の励起開口底部、および第4の励起光フィルタを備える第4の励起開口、
を備える前記分析スキャナの平坦面、
第1の放射開口背面、第1の放射開口前面、および第1の蛍光放射光フィルタを備える第1の放射開口、
第2の放射開口背面、第2の放射開口前面、および第2の蛍光放射光フィルタを備える第2の放射開口、
第3の放射開口背面、第3の放射開口前面、および第3の蛍光放射光フィルタを備える第3の放射開口、
第4の放射開口背面、第4の放射開口前面、および第4の蛍光放射光フィルタを備える第4の放射開口
を備える前記分析スキャナの前面壁、
前記第1の励起開口の底部に向かって配置された第1の光源、
前記第2の励起開口の底部に向かって配置された第2の光源、
前記第3の励起開口の底部に向かって配置された第3の光源、
前記第4の励起開口の底部に向かって配置された第4の光源、
前記第1の放射開口の背面に向かって配置された第1の光検出器、
前記第2の放射開口の背面に向かって配置された第2の光検出器、
前記第3の放射開口の背面に向かって配置された第3の光検出器、
前記第4の放射開口の背面に向かって配置された第4の光検出器、
を備え、
前記平坦面が前記加熱ブロックの前記底面と実質的に整列し、前記前面壁が前記加熱ブロックの前記正面と実質的に整列する、
分析スキャナと、
を備える、
DNA増幅を監視してDNA配列の存在又は量を評価するために複数のDNA試料の複数の蛍光出力を同時に測定するための波長走査装置。
【請求項7】
前記分析スキャナがステッパネジによって前記ステッパモータに取り付けられている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記加熱ブロックの裏面に取り付けられた加熱素子をさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記構造支持体に取り付けられ、前記分析スキャナに取り付けられた案内レールをさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1および前記第2の光源を備える励起プリント回路板を受け取るように構成された励起陥凹部であって、前記第1の光源が前記第1の励起開口に存在し、前記第2の光源が前記第2の励起開口に存在する、励起陥凹部と、
前記第1および前記第2の光検出器を備える放射プリント回路板を受け取るように構成された放射陥凹部であって、前記第1の光検出器が前記第1の放射開口に存在し、前記第2の光検出器が前記第2の放射開口に存在する、放射陥凹部と、
をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1、前記第2、前記第3、および前記第4の光源を備える励起プリント回路板を受け取るように構成された励起陥凹部であって、前記第1の光源が前記第1の励起開口に存在し、前記第2の光源が前記第2の励起開口に存在し、前記第3の光源が前記第3の励起開口に存在し、前記第4の光源が前記第4の励起開口に存在する、励起陥凹部と、
前記第1、前記第2、前記第3、および前記第4の光検出器を備える放射プリント回路板を受け取るように構成された放射陥凹部であって、前記第1の光検出器が前記第1の放射開口に存在し、前記第2の光検出器が前記第2の放射開口に存在し、前記第3の光検出器が前記第3の放射開口に存在し、前記第4の光検出器が前記第4の放射開口に存在する、放射陥凹部と、
をさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項12】
複数のDNA試料の複数の蛍光放射波長の蛍光検出を同時にまたはほぼ同時に行いDNA配列の存在又は量を評価するためのDNA分析方法であって、
複数のクエンチされたフルオロフォアによって複数の光検出器を初期化することと、
複数のDNA試料中の複数のDNA塩基配列を反応させ、前記複数のクエンチされたフルオロフォアをクエンチ解除して、複数のクエンチ解除されたフルオロフォアを提供することと、
複数の励起活性化開口を複数の励起開口と実質的に整列させ、且つ複数の蛍光放出開口を複数の放射開口と実質的に整列させる位置に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置中の分析スキャナを移動させることであって、ここで複数の光源が前記複数のDNA試料中の前記複数のクエンチ解除されたフルオロフォアを励起することができる、ことと、
複数の蛍光発光波長について前記複数のDNA試料を分析することと、
前記複数の光検出器からの読取り値を報告することと、
を含む、DNA分析方法。
【請求項13】
前記複数のDNA試料が分析されていないフルオロフォアを含む場合に、前記移動させること、前記分析すること、および前記報告することを繰り返すことをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のDNA試料が少なくとも4つである、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
核酸およびタンパク質の蛍光検出は、キャピラリー電気泳動、蛍光染料によるデオキシリボ核酸(DNA)配列決定、およびマイクロ流体蛍光検出を含む様々な装置および方法によって行われる。核酸およびタンパク質の蛍光検出のための方法および装置は、一般に4つの共通要素、すなわち、フルオロフォアを励起するための光源、励起および放射を行うことができるフルオロフォア、励起されたフルオロフォアから放射された波長を分離するフィルタ、および励起されたフルオロフォアからの放射波長を検出し、電気的に記録可能な出力を生成する検出器を含む。
【0002】
蛍光検出の方法および装置が核酸検出に使用される場合、そのような方法は、所望の出力信号を得るために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または等温増幅を必要とすることがある。蛍光検出装置は、一般に、PCRまたは等温増幅を行うことができる容器を受け取るように構成された1つまたは複数の試料ウェルを有する加熱ブロックを含む。加熱ブロックが少なくとも2つのウェルを有する場合、異なる試料ウェルのそれぞれにおける試料の蛍光を測定するために、加熱ブロックまたは検出器のいずれかを移動させる可動走査構成要素が必要な場合がある。典型的には、可動走査構成要素は、ダイクロイックミラー、フィルタホイール、および光電子増倍管を含み、試料からの蛍光放射を電気出力に向け、分離し、変換する。これらの構成要素は、高価であり、複数の波長の同時検出を制限する。単一の蛍光発光波長の検出は、複数の試料ウェルからの蛍光発光波長の測定に必要な時間を増加させ、それによって、効率を低下させ、複数の試料ウェルの分析を完了するのに必要な時間を増加させる。
【0003】
蛍光検出で使用される可動走査構成要素から高価な部品をなくすことが望ましい。また、少なくとも4つの蛍光発光波長放射を同時にまたはほぼ同時に検出することができる蛍光検出システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
波長走査装置による蛍光検出のための装置が記載される。少なくとも4つの核酸配列またはタンパク質の存在について同時にまたはほぼ同時に試験するために、蛍光放射を使用する波長走査装置も記載される。
【0005】
以下の詳細な説明は、例示的かつ説明的に過ぎず、特許請求されるような本発明を必ずしも限定するものではない。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示し、詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する働きをする。
【0006】
本発明の多数の利点は、添付図を参照することにより、当業者によって一層よく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2A】波長走査装置の加熱ブロックの垂直断面図である。
【
図2B】波長走査装置のウェルの垂直断面図である。
【
図3A】波長走査装置の分析スキャナの前面斜視図である。
【
図3B】波長走査の分析スキャナの背面斜視図である。
【
図5】波長走査装置を使用して、核酸試料の存在について試験をする方法である。
【
図6】分析スキャナと複数の試料ウェルとのアライメントである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
少なくとも4つの蛍光発光波長を同時にまたはほぼ同時に検出する波長走査装置が記載される。波長走査装置は、それぞれの試料ウェルが試料を受け取るよう構成された少なくとも4つの試料ウェルと、少なくとも4つの励起活性化開口と、少なくとも4つの蛍光放射放出開口と、を有する加熱ブロックを含む。励起活性化開口および蛍光放射放出開口は、蛍光検出のために互いに直角またはほぼ直角に配置される。また、波長走査装置は、少なくとも4つの光源のそれぞれが異なるフルオロフォアを励起する少なくとも4つの光源を有する分析スキャナと、所望の励起波長の光以外の光をフィルタ除去する少なくとも4つの励起光フィルタと、所望の蛍光発光波長の光以外の光をフィルタ除去する少なくとも4つの蛍光放射光フィルタと、所望の蛍光発光波長の光を検出するための少なくとも4つの光検出器と、を含む。少なくとも4つの光源のそれぞれは、異なる励起光フィルタおよび異なる蛍光発光光フィルタと対にされてもよい。スキャナは、少なくとも4つの蛍光発光波長を同時にまたはほぼ同時に検出するために、加熱ブロックの1つの面に沿って静止したままであってもよい。分析スキャナは、各試料から少なくとも4つの異なる蛍光発光波長を検出するために、加熱ブロックの1つの面に沿って複数の所定の位置に横方向に移動することができる。したがって、分析スキャナは、少なくとも4つの異なる蛍光発光波長を同時にまたはほぼ同時に分析している間に、分析スキャナは、一度に単一の試料ウェルからの1つの蛍光発光波長を分析している。加熱ブロックの1つの面に沿った分析スキャナの横方向の移動は、ネジ式移動によって制約されてもよい。
【0009】
図1は、波長走査装置400を表す。波長走査装置400は、加熱ブロック100と、分析スキャナ300と、ステッパモータ401と、ステッパネジ402と、ステッパネジ孔111と、案内レール405を有する構造支持体403と、を備える。加熱ブロック100は、加熱ブロック100が構造支持体403によって水平に懸架されるように、加熱ブロックネジ孔202を介して構造支持体403に取り付けられる。分析スキャナ300は、案内レール孔111を貫いて案内レール405を挿入することによって構造支持体403に取り付けられてもよく、それによって、分析スキャナ300の平坦面104が加熱ブロック100の底部と整列し、分析スキャナ300の前面壁107が加熱ブロック100の前面と整列するように分析スキャナが水平に懸架される。加熱ブロック100の底部は、分析スキャナ300の平坦面104とほぼ接触してもよく、加熱ブロック100の前面は、分析スキャナ300の前面壁107とほぼ接触してもよい。ステッパモータ401は、加熱ブロック100の下に水平に懸架されるように構造支持体403に取り付けられてもよい。ステッパネジ402は、ステッパモータ401に接続される。構造支持体403は、ベースプラットホームとして働く矩形の材料(例えば、プラスチックまたは金属)(図示せず)を含むことができ、加熱ブロックのネジ孔、ステッパモータ401、および案内レール405を介して加熱ブロック100に取り付けるように構成された1つまたは複数の垂直支持体を有する。構造支持体は、波長走査装置400を囲むように構成されたケーシング(図示せず)を含んでもよい。実施形態では、ケーシングは、DNA試料を加熱ブロック100内に導入するように構成された加熱ブロック100上方に開口するリッドまたはフラップを有する。ケーシングは、プラスチックまたはアルミニウムなどの、装置の所望の動作と両立する任意の材料で作られてもよい。
【0010】
ステッパモータ401は、ステッパネジ402を所定の距離だけ回転させるように構成され、分析スキャナ300の複数の励起開口105が、加熱ブロック100の複数の励起活性化開口102と整列し、加熱ブロック100の複数の蛍光放射放出開口103が、分析スキャナ300の複数の放射開口108と整列する(例えば、これらの対応する開口の幾何学的中心が実質的に整列し、したがって、所望の励起波長および発光波長を透過させるために十分に整列する)。例えば、励起開口105は、励起活性化開口102と実質的に整列し、放射開口108は、蛍光放射放出開口103と実質的に整列する。分析スキャナ300は、ステッパネジ402を時計回りまたは反時計回りに回転させるステッパモータ401を介して、ステッパネジ402に沿って水平にどちらの方向にも横方向に移動することができる。ステッパネジ402およびステッパネジ孔111は、ネジ切りされていてもよく、ステッパモータ401による分析スキャナ300の移動が、ネジ式移動によって制約される。
【0011】
分析スキャナ300のステッパモータ401、光源、および光検出器は、コントローラによって調整(例えば、オンおよびオフ)されてもよい。コントローラは、ステッパネジ402を介して分析スキャナ300を加熱ブロック100に沿って所定の量だけ前後に移動させて、光源をオンおよびオフし、光検出器をオンおよびオフし、加熱ブロック100の加熱素子404をオンおよびオフするように構成されてもよい。例えば、コントローラは、ステッパモータ、光源、および光検出器を順番にまたは組み合わせて調整することができる。コンピュータプログラムを使用してコントローラを構成してもよい。
【0012】
図2Aは、加熱ブロック100の垂直断面図である。試料ウェル101は、試料、例えば、2mlのPCR管を保持するように構成された形状を有する。励起活性化開口102は、例えば、直径が2mm、および形状が円筒形であってもよい。蛍光放射放出開口103は、例えば、背面が2mm、前面が1mmの直径を有する円錐形であってもよい。
【0013】
図2Bは、試料ウェル101の垂直断面図を示す。試料ウェル101は、試料、例えば、2mlのPCR管を保持するように構成された形状を有する。励起活性化開口102は、例えば、直径が2mm、および形状が円筒形であってもよい。蛍光放射放出開口103は、例えば、背面が2mm、前面が1mmの直径を有する円錐形であってもよい。
【0014】
図3Aおよび
図3Bは、波長走査装置の分析スキャナ300の正面斜視図および裏面斜視図をそれぞれ表わす。分析スキャナ300は、平坦面104、前面壁107、側面110、少なくとも4つの励起開口105、少なくとも4つの放射開口108、少なくとも4つの励起光フィルタ130、少なくとも4つの蛍光放射光フィルタ120、励起陥凹部113、放射陥凹部114、少なくとも4つの光源150、および少なくとも4つの光検出器140を含む。少なくとも4つの光源は、少なくとも4つの光源を提供するために、光チャネル、光導波路などを経由して分割される単一の光源、または複数の光源から生じてもよい。
【0015】
分析スキャナ300は、加熱ブロック100の開口の寸法に対応し、かつそのような開口と実質に整列する寸法を有する。そのような寸法の対応は、波長走査装置400の動作に関連して、以降の段落でさらに説明される。
【0016】
分析スキャナ300は、階段状ブロック形状を有し、分析スキャナ300の前面は、分析スキャナ300の頂面に沿って前面壁107と実質的に垂直の平坦面104によって形成された段差窪みを有する。例えば、平坦面104は、段差窪みがほぼ直角を形成するように、平坦面104が前面壁107と直交して出会うまで、分析スキャナ300の背面に向かって延在する。平坦面104は、10.5mmの奥行きを有することができ、前面壁107は、9.5mmの高さを有することができる。
【0017】
分析スキャナ300は、頂部および底部を有する励起開口105を有することができる。励起開口105は、分析スキャナ300の平坦面104から底部の励起陥凹部113へ下方に延在する。励起開口105は、底部が6.45mm、および頂部が4mmの直径を有する円筒形であってもよい。分析スキャナ300は、前面および背面を有する放射開口108を有することができる。放射開口108は、前面壁107から分析スキャナ300の背面の放射陥凹部114へ後方に延在する。放射開口108は、前面が4mm、および背面が6.45mmの直径を有する円錐形であってもよい。分析スキャナ300は、励起光フィルタ130を有することができる。励起光フィルタ130は、平坦面104に向かって励起開口105の内側に据え付けられ、励起波長の光以外の光の波長をフィルタ除去するように構成されてもよい。例えば、第1の励起光フィルタは、第1のフルオロフォアの吸収波長(例えば、494nm)の光以外の光をフィルタするように構成され、第2の励起光フィルタは、第2のフルオロフォアの吸収波長(例えば、515nm)の光以外の光をフィルタするように構成され、第3の励起光フィルタは、第3のフルオロフォアの吸収波長(例えば、559nm)の光以外の光をフィルタするように構成され、第4の励起光フィルタは、第4のフルオロフォアの吸収波長(例えば、647nm)の光以外の光をフィルタするように構成される。
【0018】
分析スキャナ300は、蛍光放射光フィルタ120を有することができる。蛍光放射光フィルタ120は、前面壁107に向かって放射開口108の内側に据え付けられ、蛍光発光波長の光以外の光の波長をフィルタ除去するように構成されてもよい。例えば、第1の蛍光光フィルタは、第1のフルオロフォアの蛍光発光波長(例えば、521nm)の光以外の光をフィルタするように構成され、第2の蛍光光フィルタは、第2のフルオロフォアの蛍光発光波長(例えば、650nm)の光以外の光をフィルタするように構成され、第3の蛍光光フィルタは、第3のフルオロフォアの蛍光発光波長(例えば、578nm)の光以外の光をフィルタするように構成され、第4の蛍光光フィルタは、第4のフルオロフォアの蛍光発光波長(例えば、670nm)の光以外の光をフィルタするように構成される。
【0019】
スキャナ300は、複数の光源150を有し、第1の光源が第1のDNAプライマーに対応する第1のフルオロフォアを励起する第1の波長の光を放射するように構成され、第2の光源が第2のDNAプライマーに対応する第2のフルオロフォアを励起する第2の波長の光を放射するように構成され、第3の光源が第3のDNAプライマーに対応する第3のフルオロフォアを励起する第3の波長の光を放射するように構成され、第4の光源が第4のDNAプライマーに対応する第4のフルオロフォアを励起する第4の波長の光を放射するように構成される。スキャナ300は、複数のフルオロフォアからの蛍光発光波長を検出するように構成された複数の光検出器140を含む。例えば、第1の光検出器は、第1のフルオロフォアからの蛍光発光波長を検出するように構成され、第2の光検出器は、第2のフルオロフォアからの蛍光発光波長を検出するように構成され、第3の光検出器は、第3のフルオロフォアからの蛍光発光波長を検出するように構成され、第4の光検出器は、第4のフルオロフォアからの蛍光発光波長を検出するように構成される。
【0020】
図3Bを参照すると、励起陥凹部113は、分析スキャナ300の底部の陥凹部である。励起陥凹部113は、形状が矩形であってもよく、分析スキャナ300の寸法に対応する寸法を有してもよい。例えば、励起陥凹部113は、長さ45.5mm、高さ21.14mm、および奥行き6mmであってもよい。励起陥凹部113は、励起プリント回路板を受け取るようにサイズが調整されてもよい。励起プリント回路板は、複数の光源を含む。光源は、好ましくは、複数の異なる励起波長の光を放射することができる発光ダイオード(LED)である。各光源は、回路板が励起陥凹部113によって受け取られるときに、各光源が対応する励起開口105内部に収まるように、励起開口105の直径よりもわずかに小さな直径のものである。励起プリント回路板は、複数の励起回路孔302で回路板を分析スキャナ300にネジ留めすることによって、励起陥凹部113に固定されてもよい。
【0021】
図3Bを参照すると、放射陥凹部114は、分析スキャナ300の背面の陥凹部である。放射陥凹部114は、形状が矩形であってもよく、分析スキャナ300の寸法に対応する寸法を有することができる。例えば、放射陥凹部114は、18mmの高さ、45.5mmの長さ、および6mmの奥行きであってもよい。放射陥凹部114は、放射プリント回路板を受け取るように構成されてもよい。放射プリント回路板は、少なくとも4つの光検出器を含む。各光検出器は、好ましくは、少なくとも1つの蛍光発光波長を検出するように構成されたフォトダイオードである。光検出器は、回路板が放射陥凹部114によって受け取られるときに、各光検出器が対応する放射開口108内部に収まるように、放射開口108の直径よりもわずかに小さな直径のものである。回路板は、複数の発光回路孔303で回路板を分析スキャナ300にネジ留めすることによって、放射陥凹部114に固定されてもよい。
【0022】
図3Aおよび
図3Bを参照すると、分析スキャナ300は、ステッパネジ孔111および案内レール孔112を有することができる。ステッパネジ孔111は、分析スキャナ300を貫いて水平に延在する開口であってもよく、ステッパネジ402を受け取るように構成される。ステッパネジ孔111は、分析スキャナ300の長さに相当する様々な長さであってもよく、例えば、ネジ孔111は、長さが46.5mmであってもよい。ステッパネジ孔111は、ネジ切りされていてもよく、ステッパネジ402に沿った分析スキャナ300の移動が、ステッパネジ孔111およびステッパネジ402のネジ山によって制約される。案内レール孔112は、分析スキャナ300を貫いて水平に延在する開口であり、案内レールを受け取るように構成される。案内レール孔112は、分析スキャナ300の長さに相当する様々な長さであってもよく、例えば、ネジ孔111は、長さが46.5mmであってもよい。実施形態において、案内レールは、構造支持体403に接続されてもよく、分析スキャナ300を波長走査装置400内部の適所に保持するように構成されてもよい。
【0023】
図4は、波長走査装置400の加熱ブロック100を表す。加熱ブロック100は、頂面210、底面240、正面220、および裏面230を含む。加熱ブロック100は、少なくとも4つの試料ウェル101、少なくとも4つの励起活性化開口102、および少なくとも4つの蛍光放射放出開口103を含む。加熱ブロック100は、アルミニウムなどの任意の金属、セラミック、または他の耐熱性材料であってもよい。加熱ブロック100は、長さが166ミリメートル(mm)の第1の長さ、100mmの第2の長さ、12mmの幅、20mmの第1の高さ、および8.41〜9.63mmの第2の高さを有するt−ブロック形状などの任意の寸法のものであってもよい。試料ウェル101は、加熱ブロック100の一部として形成されてもよく、試料ウェル101は、加熱ブロック100のくり抜かれた部分であり、底部および頂部を有する。試料ウェル101は、加熱ブロック100の頂面210から加熱ブロック100の底面240に向かって延在することができ、試料ウェル101は、励起活性化開口102で終端する。試料ウェル101は、試料保持、励起波長の入口、および蛍光発光波長の出口に適合する任意の形状および直径(例えば、円筒形、直角プリズムなど)のものであってもよい。試料ウェル101は、2ミリリットル(ml)のPCR管を収めるように構成された、テーパ付けされた円筒形状のものであってもよい。励起活性化開口102は、加熱ブロック100の底面から加熱ブロック100の頂面に向かって延在することができ、励起活性化開口102は、試料ウェル101の底部に移行し、したがって、励起活性化開口102の直径の出口を形成する。励起活性化開口102は、励起活性化開口102のおおよその幾何学的中心が試料ウェル101の幾何学的中心と実質的に整列するように、試料ウェル101の底部と実質的に整列してもよい。励起活性化開口102は、円筒形状を有してもよい。励起活性化開口102は、2ミリメートル(mm)の直径を有してもよい。
【0024】
前面および背面を有する蛍光放射放出開口103は、加熱ブロック100の正面220に形成され、加熱ブロック100の裏面230に向かって延在することができ、蛍光放射放出開口103は、試料ウェル101の側面に移行して、蛍光放射放出開口103の背面と実質的に等しい直径を有する出口を形成し、それによって、励起活性化開口102および蛍光放射放出開口103が試料ウェル101を介して光通信する。蛍光放射放出開口103は、励起活性化開口102と蛍光放射放出開口103との間でほぼ直角が形成されるように、試料ウェル101に垂直であってもよい。蛍光放射放出開口103は、蛍光放射放出開口103の前面の直径が蛍光放射放出開口103の背面の直径よりも小さい円錐形を有してもよい。蛍光放射放出開口103の前面は、直径が1mmであってもよく、蛍光放射放出開口103の背面は、直径が2mmであってもよい。複数の試料ウェル、励起活性化開口、および放出開口は、試料ウェル101、励起活性化開口102、および蛍光放射放出開口103と実質的に同じであってもよい。波長走査装置400の動作原理に適合する加熱ブロック100の他の試料ウェル設計が使用されてもよい。
【0025】
図4を参照すると、加熱ブロック100は、1つまたは複数のヒートシンクネジ孔201および1つまたは複数の加熱ブロックネジ孔202を有することができる。ヒートシンクネジ孔201は、正面および裏面を有する加熱素子404ならびに正面および裏面を有するヒートシンクを加熱ブロック100に取り付けるように構成されてもよく、加熱素子404の正面が加熱ブロック100の背面と接触し、ヒートシンクの正面が加熱素子404の裏面と接触する。加熱素子404は、ペルチェヒータであってもよく、ヒートシンクは、ピン付きヒートシンクであってもよい。加熱ブロックネジ孔202は、加熱ブロック100を構造支持体403に取り付けるように構成されてもよい。構造支持体403は、波長走査装置400がその頂面をまっすぐ上に(または上方に)向けるように、加熱ブロック100を支持するように構成されてもよい。
【0026】
波長走査装置400が加熱ブロック100内に試料ウェル101のうちの8つがあるとして表わされた
図1、
図2A、および
図4と異なり、加熱ブロック100が試料ウェル101のうちの4つを含み、分析スキャナ300が4組の開口を含む場合、分析スキャナ300は、
図6に表わすように、一連の位置に移動することができる。
図6を参照すると、第1の位置610では、第1の励起活性化開口は、第4の励起開口と実質的に整列し、第1の蛍光放射放出開口は、第4の放射開口と実質的に整列する。分析スキャナ300の移動がステッパモータ401を介して行われ、ステッパモータ401は、ステッパネジ402を所定の距離だけ回転させて第1の位置の実質的な整列を実現するように構成されている。
【0027】
次いで、分析スキャナ300は、第1の励起活性化開口が第3の励起開口と実質的に整列し、第1の蛍光放射放出開口が第3の放射開口と実質的に整列し、第2の励起活性化開口が第4の励起開口と実質的に整列し、第2の蛍光放射放出開口が第4の放射開口と実質的に整列する第2の位置620に移動することができる。分析スキャナ300の移動がステッパモータ401を介して行われ、ステッパモータ401は、ステッパネジ402を所定の距離だけ回転させて第2の位置の実質的な整列を実現するように構成されている。
【0028】
次いで、分析スキャナ300は、第1の励起活性化開口が第2の励起開口と実質的に整列し、第1の蛍光放射放出開口が第2の放射開口と実質的に整列し、第2の励起活性化開口が第3の励起開口と実質的に整列し、第2の蛍光放射放出開口が第3の励起開口と実質的に整列し、第3の励起活性化開口が第4の励起開口と実質的に整列し、第3の蛍光放射放出開口が第4の放射開口と実質的に整列する第3の位置630に移動することができる。分析スキャナ300の移動がステッパモータ401を介して行われ、ステッパモータ401は、ステッパネジ402を所定の距離だけ回転させて第3の位置の実質的な整列を実現するように構成されている。
【0029】
次いで、分析スキャナ300は、第1の励起活性化開口が第1の励起開口と実質的に整列し、第1の蛍光放射放出開口が第1の放射開口と実質的に整列し、第2の励起活性化開口が第2の励起開口と実質的に整列し、第2の蛍光放射放出開口が第2の放射開口と実質的に整列し、第3の励起活性化開口が第3の励起開口と実質的に整列し、第3の蛍光放射放出開口が第3の放射開口と実質的に整列し、第4の励起活性化開口が第4の励起開口と実質的に整列すし、第4の蛍光放射放出開口が第4の放射開口と実質的に整列する第4の位置640へ移動することができる。分析スキャナ300の移動がステッパモータ401を介して行われ、ステッパモータ401は、ステッパネジ402を所定の距離だけ回転させて第4の位置の実質的な整列を実現するように構成されている。第4の位置では、分析スキャナ300は、4つの蛍光発光波長を同時にまたはほぼ同時に検出する。
【0030】
次いで、分析スキャナ300は、第2の励起活性化開口が第1の励起開口と実質的に整列し、第2の蛍光放射放出開口が第1の放射開口と実質的に整列し、第3の励起活性化開口が第2の励起開口と実質的に整列し、第3の蛍光放射放出開口が第2の放射開口と実質的に整列し、第4の励起活性化開口が第3の励起開口と実質的に整列し、第4の蛍光放射放出開口が第3の放射開口と実質的に整列する第5の位置650に移動することができる。分析スキャナ300の移動がステッパモータ401を介して行われ、ステッパモータ401は、ステッパネジ402を所定の距離だけ回転させて第5の位置の実質的な整列を実現するように構成されている。
【0031】
次いで、分析スキャナ300は、第3の励起活性化開口が第1の励起開口と実質的に整列し、第3の蛍光放射放出開口が第1の放射開口と実質的に整列し、第4の励起活性化開口が第2の励起活性化開口と実質的に整列し、第2の蛍光放射放出開口が第4の放射開口と実質的に整列する第6の位置660に移動することができる。分析スキャナ300の移動がステッパモータ401を介して行われ、ステッパモータ401は、ステッパネジ402を所定の距離だけ回転させて第6の位置の実質的な整列を実現するように構成されている。
【0032】
次いで、分析スキャナ300は、第4の励起活性化開口が第1の励起開口と実質的に整列し、第4の蛍光放射放出開口が第1の放射開口と実質的に整列する第7の位置670に移動することができる。分析スキャナ300の移動がステッパモータ401を介して行われ、ステッパモータ401は、ステッパネジ402を所定の距離だけ回転させて第7の位置の実質的な整列を実現するように構成されている。位置1〜7における検出が完了すると、異なる蛍光発光波長を有する4つの異なる試料ウェル101のそれぞれから4つの異なる蛍光発光波長の検出が行われた。
【0033】
方法500は、少なくとも4つの異なるDNA塩基配列(例えば、ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド)について少なくとも4つのデオキシリボ核酸(DNA)試料を分析するために使用される。DNA試料は、DNA塩基配列のすべて、一部を含んでもよく、または全く含まなくてもよい。各DNA試料は、各試料中に存在するDNA塩基配列を検出するための複数のDNAプライマーを含む。各DNAプライマーは、フルオロフォアで標識化されてもよく、各フルオロフォアは、固有の吸収および発光特性を有する。フルオロフォアを介した蛍光放射によるDNA塩基配列の検出は、標識化されたヌクレオチドの使用の結果としてのプローブのプライマー伸張によって、分子ビーコンまたは同様のフルオロフォアによって、およびクエンチャーベースのプライマーまたは蛍光を検出するための他の手段によって行われてもよい。例えば、第1のDNAプライマーは、494ナノメートル(nm)の波長の光を吸収し、521nmの波長で蛍光を発するフルオロフォア(例えば、DY495)で標識化されてもよく、第2のDNAプライマーは、515nmの波長の光を吸収し、650nmの波長で蛍光を発するフルオロフォア(例えば、DY481−XL)で標識化されてもよく、第3のDNAプライマーは、559nmの波長の光を吸収し、578nmの波長で蛍光を発するフルオロフォア(例えば、DY560)で標識化されてもよく、第4のDNAプライマーは、647nmの波長の光を吸収し、670nmの波長で蛍光を発するフルオロフォア(例えば、DY636)で標識化されてもよい。第1、第2、第3、および第4のDNAプライマーのそれぞれは、複数のDNA試料を有する、2mlの容積の少なくとも4つのPCR管のそれぞれに存在する。例えば、第1のPCR管は、第1のDNA試料ならびに第1、第2、第3、および第4のDNAプライマーを含み、第2のPCR管は、第2のDNA試料ならびに第1、第2、第3、および第4のDNAプライマーを含み、第3のPCR管は、第3のDNA試料ならびに第1、第2、第3、および第4のDNAプライマーを含み、第4のPCR管は、第4のDNA試料ならびに第1、第2、第3、および第4のDNAプライマーを含む。
【0034】
501では、波長走査装置400は、少なくとも4つの異なるDNA試料のそれぞれについてバックグラウンド蛍光を決定するために初期化され、少なくとも4つの異なるDNA試料のそれぞれが少なくとも1つのフルオロフォアを含む。異なるDNA試料のそれぞれは、検出のための1〜4つのフルオロフォアを含むことができる。また、異なるDNA試料のそれぞれは、少なくとも4つのフルオロフォアを含むことができる。したがって、501の間に、波長走査装置400は、所望の検体に応答しない各DNA試料から生成される蛍光放射の量および/または波長を決定する。例えば、分子ビーコン蛍光では、対象とするDNA塩基配列にプライマーを結合するPCR反応の開始の前に、フルオロフォアは、クエンチャによって結合され、したがって、対象とするDNA塩基配列の存在を示す記録可能な蛍光発光波長を生成しない。初期化は、各DNA試料について行われてもよく、光源は、ある期間(例えば、5秒)オンにされ、第1の波長に対応する第2の波長の光を検出するように構成された光検出器に達するまで、励起活性化開口、励起開口、励起光フィルタ、DNA試料、蛍光放射放出開口、放射開口、および蛍光放射光フィルタを通過する第1の波長の光を放射する。各DNA試料の初期化は、励起活性化開口102が励起開口105と実質的に整列し、蛍光放射放出開口103が分析スキャナ300の放射開口108と実質的に整列する試料ウェル101にDNA試料がある場合に、行われる。例えば、第4の位置では、第1、第2、第3、および第4のDNA試料が同時にまたはほぼ同時に初期化される。DNA試料中のDNAプライマーに対する光検出器による波長の最初の読取り値は、コンピュータプログラムによって読み取られ、コンピュータプログラムに記憶され、DNA試料中の波長のバックグラウンド蛍光の量を決定する。
【0035】
502では、生体反応が開始される。生体反応は、試料および分析に適合するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または任意の他の等温増幅方法を用いるDNAの増幅であってもよい。開始502は、加熱ブロック100の温度を所定の温度にまで上下させることを含むことができ、DNAプライマーは、対応するDNA塩基配列にアニールされて、PCRまたは他の増幅方法によって増幅する。対応するDNA塩基配列へのDNAプライマーのアニーリングは、フルオロフォアが記録可能な蛍光発光波長を生成することができるように、フルオロフォアとクエンチャを分離することによってフルオロフォアをクエンチ解除する。
【0036】
503では、分析スキャナ300は、ある位置に移動する。試料ウェル101のうちの4つを有する波長走査装置400に対するそれぞれの位置1〜7で、励起活性化開口102は、励起開口105と実質的に整列し、蛍光放射放出開口103は、分析スキャナ300の放射開口108と実質的に整列する。例えば、第4の位置では、4つの励起活性化開口のそれぞれは、4つの励起開口のそれぞれと実質的に整列し、4つの蛍光放射放出開口のそれぞれは、4つの放射開口のそれぞれと実質的に整列する。
【0037】
504では、各DNA試料は、所望の蛍光発光波長を検出することによって、複数のDNA塩基配列の存在および任意選択で量について分析される。分析は、位置1〜7で行われてもよく、複数の光源がある期間(例えば、5秒)オンにされ、励起活性化開口、励起開口、励起光フィルタ、およびDNA試料を通過する第1の励起波長の光を放射して、フルオロフォアを励起する。次いで、結果として生じる蛍光発光波長は、第2の発光波長の光を検出するように構成された光検出器に達するまで、蛍光放射放出開口、放射開口、および蛍光放射光フィルタに進む。例えば、第4の位置では、第1、第2、第3、および第4のDNA試料の検出が、異なる励起波長でそれぞれ同時にまたはほぼ同時に試験される。光検出器による波長の検出読取り値は、DNA試料中のDNA塩基配列の存在、欠如、および/または量を決定するために、コンピュータプログラムによって読み取られ、記憶される。
【0038】
505では、波長走査装置400は、各DNA試料中の選択されたDNA塩基配列の存在、欠如、および/または量を報告する。この情報は、表示され、記憶され、送信され、または他の方法で処理されてもよい。ステップ503、504、および505は、それぞれの位置1〜7で繰り返されてもよい。
【0039】
前述の実施形態は、コンピュータ技術の当業者には明らかであるように、本明細書の教示に従ってプログラムされた従来の汎用デジタルコンピュータを使用して都合よく実施され得ることに留意されたい。適切なソフトウェアコーディングは、ソフトウェア技術の当業者には明らかであるように、本開示の教示に基づいて熟練したプログラマによって容易に準備され得る。
【0040】
本明細書に記載された実施形態は、ソフトウェアパッケージの形態で都合よく実施され得ることを理解されたい。そのようなソフトウェアパッケージは、開示された機能および本明細書に開示されたプロセスを行うようにコンピュータをプログラムするために使用される、記憶されたコンピュータコードを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を用いるコンピュータプログラム製品であってもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、限定されないが、任意のタイプの従来のフロッピーディスク、光ディスク、CD−ROM、磁気ディスク、ハードディスクドライブ、光磁気ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、磁気もしくは光カード、または電子命令を記憶するための任意の他の適切な非一時的な媒体を含むことができる。
【0041】
主題は、構造的特徴および/または方法論的行為に特有の言語で記載されているが、添付された特許請求の範囲に規定された主題は、上述の特定の特徴または行為に必ずしも限定されないことを理解されたい。むしろ、上述の特定の特徴および行為は、請求項を実施する例示的な形態として開示されている。
【0042】
本発明およびその付随する利点の多くは、前述の記載から理解されると考えられる。また、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、またはその材料的利点をすべて犠牲にすることなく、その構成要素の形態、構造、および配置において様々な変更が行われてもよいことは明らかであると考えられる。本明細書で前述された形態は、説明のための実施形態に過ぎず、以下の特許請求の範囲は、そのような変更を包含し含むことが意図されている。