(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記放熱部材は、前記第1のバッテリモジュールおよび前記第2のバッテリモジュールの各々と前記放熱部材とが並ぶ方向から見て前記第1のバッテリモジュールおよび前記第2のバッテリモジュールよりも外側に位置する外縁を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のバッテリユニット。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態のバッテリユニットおよび車両用蓄電池装置を、図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における電車の側面の模式図である。
図1に示すように、電車1は、レールR上を走行する台車2と、台車2に支持された車体3と、車体3の上部に設けられたパンタグラフ4と、車体3の床下に配置された車両用蓄電池装置5と、を備えている。台車2は、図示しない主電動機を備えている。主電動機は、パンタグラフ4を通じて架線から供給された電力、または車両用蓄電池装置5から供給された電力により、車輪を駆動する。なお、以下の説明では、車両走行方向に符号Xを付し、車両走行方向Xに直交する車幅方向に符号Yを付し、車両走行方向Xおよび車幅方向Yに直交する車両高さ方向に符号Zを付す。また、以下の説明において、車両高さ方向ZにおけるレールR側とは、車両高さ方向Zにおける車体3からレールRに向かう方向を意味する。また、車両高さ方向Zにおける車体3側とは、車両高さ方向ZにおけるレールRから車体3に向かう方向を意味する。
【0011】
図2は、第1の実施形態における車両用蓄電池装置を車両高さ方向Zの車体側から見た斜視図である。
図2に示すように、車両用蓄電池装置5は、図示しないセルを含む複数のバッテリユニット6と、バッテリユニット6を制御する制御機器7と、バッテリユニット6および制御機器7を保持するハウジング8と、を備えている。制御機器7は、高圧機器7aと、低圧機器7bと、を含む。
【0012】
ハウジング8は、車両走行方向X、車幅方向Yおよび車両高さ方向Zに延びる直方体に形成されている。ハウジング8の長手方向は、車両走行方向Xに一致するように車体3に据え付けられる。ハウジング8は、ハウジング8の中央部に設けられて直方体の箱状に形成された本体部20と、本体部20の車幅方向Yの一方側に設けられた高圧機器収容部21と、本体部20の車幅方向Yの他方側に設けられた低圧機器収容部22と、本体部20の車両走行方向Xにおける一方側に設けられた艤装コネクタ収容部23と、を備えている。
【0013】
ハウジング8には、複数の吊耳27が車幅方向Yの両側に向けて突設されている。吊耳27は、ハウジング8の天板の車幅方向Yにおける両側縁に沿って並んで配置されている。吊耳27は、例えば複数のフレーム25(
図4参照)と車両走行方向Xにおける同じ位置に配置されている。ハウジング8は、吊耳27が車体3(
図1参照)の床下に締結されることで、車体3に吊り下げられている。
【0014】
本体部20は、バッテリユニット6を収容する。本体部20の天板20dは、着脱可能に設けられている。天板20dは、車幅方向Yに沿う複数の分割線において、車両走行方向Xに複数(本実施形態では7個)に分割されている。
【0015】
艤装コネクタ収容部23は、車幅方向Yに長辺を有する直方体状に形成されている。艤装コネクタ収容部23は、本体部20の車両走行方向Xにおける一側部に沿って配置されている。艤装コネクタ収容部23の内部は、車両用蓄電池装置5を他の機器に接続させるためのコネクタが配置された艤装コネクタ空間となっている。
【0016】
図3は、
図2のIV−IV線における断面を示す模式図である。
図3に示すように、本体部20の内部には、本体部20の内部空間を車両高さ方向Zの車体3側とレールR側とに仕切って互いに独立させる仕切部材26と、バッテリユニット6と、複数のファン19と、が設けられている。そして、本体部20の車幅方向Yにおける一側部に沿って高圧機器収容部21が配置されているとともに、本体部20の車幅方向Yにおける他側部に沿って低圧機器収容部22が配置されている。
また、仕切部材26によって、本体部20内は、車両高さ方向Zに位置する冷却空間S2と、車両高さ方向ZにおけるレールR側に位置する収容空間S1とに仕切られている。
【0017】
冷却空間S2は、バッテリユニット6を冷却するためのものであり、本体部20の車幅方向Yの両側部にそれぞれ形成された通気用開口部20b,20cを通じて、外部空間と連通している。それぞれの通気用開口部20b,20cは、本体部20の車幅方向Yの両側部における車両走行方向Xの略全体に亘って延びている。車幅方向Yの他方側の通気用開口部20cには、外部空間から冷却空間S2に向けて外気を送り込む複数のファン19が、車両走行方向Xに並んで設置されている。
【0018】
収容空間S1は、複数のバッテリユニット6を配置するためのものであり、収容空間S1を挟んで冷却空間S2とは反対側に設けられたカバー部材24、および本体部20の車幅方向Yの両側の側壁によって外部空間から独立している。また、収容空間S1は、バッテリユニット6を挟んで仕切部材26とは反対側に開放可能に形成されている。
【0019】
収容空間S1に設置されたバッテリユニット6は、放熱部材60の放熱面60aが仕切部材26のベース部26aにおけるレールR側の主面に接触した状態で、仕切部材26に固定されている。バッテリユニット6は、仕切部材26から垂れ下げられた長尺ボルト77に締結部材挿通部85を挿通して、長尺ボルト77のレールR側の端部をナット78で締結することによって、仕切部材26に固定されている。このため、バッテリユニット6の伝熱部材50は、放熱部材60に垂設された形になる。支持部材80に設けられたボルトガイド部82(締結部材挿通部85)も、z方向に沿って延びているので、伝熱部材50の垂設方向と同一方向に沿って延びた形になる。
【0020】
長尺ボルト77は、放熱部材60の角部に形成された貫通孔60dに挿通されている。締結部材挿通部85は、放熱部材60にレールR側から接触している。締結部材挿通部85および放熱部材60は、長尺ボルト77およびナット78により共締めされている。
【0021】
ここで、放熱部材60に、伝熱部材50がボルト74により締結固定されている。また、伝熱部材50に、第1ブラケット71がボルト72により締結固定されている。さらに、伝熱部材50に、各支持部材80がボルト75aにより締結固定されている。そして、これら第1ブラケット71および支持部材80、およびボルト72,75bを介し、伝熱部材50に各バッテリモジュール30が支持されている。また、バッテリモジュール30に取付けられている第2ブラケット91が、ボルト75bを介してバッテリモジュール30を支持する支持部材80に取付けられている。さらに、支持部材80に設けられたボルトガイド部82(締結部材挿通部85)が、放熱部材60とともに、長尺ボルト77およびナット78によって仕切部材26に支持されている。
【0022】
このように、2つの第1のバッテリモジュール30、および2つの第2のバッテリモジュール30は、それぞれ第1ブラケット71および第2ブラケット91によって確実に一体化される。このうえで、バッテリモジュール30の荷重は、第1ブラケット71、第2ブラケット91、支持部材80が受け、さらに、その荷重が伝熱部材50に分散されるとともに、その荷重を後述の第2ブラケット28および後述のボルト29bが受け、さらに後述のボルト29a(
図5参照)を通じて後述のフレーム25(
図4参照)が受ける。このため、長尺ボルト77およびナット78により、支持部材80と共締めされる放熱部材60に荷重を集中させることなく、締結剛性を確保することができる。
【0023】
図4は、本体部をレール側からみた斜視図である。
図4に示すように、本体部20は、車両高さ方向ZにおけるレールR側に開口する作業用開口20aを有する。作業用開口20aは、着脱可能に設けられたカバー部材24により覆われている。このカバー部材24を取り外した状態で、作業用開口20aを通じて外部空間から収容空間S1にアクセス可能となる。
【0024】
また、本体部20の収容空間S1には、梯子状のフレーム25が複数(本実施形態では8個)配置されている。より詳しくは、フレーム25は、車幅方向Yに延び、収容空間S1内において車両高さ方向Zの両端に配置された一対の横フレーム25aと、一対の横フレーム25a間に跨るように車両高さ方向Zに延びる複数の縦フレーム25bと、を有する。複数の縦フレーム25bは、車幅方向Yに沿って等間隔に配置されている。このように構成されたフレーム25は、車両走行方向Xに沿って等間隔に配置されている。そして、本体部20の車幅方向Yの両側壁に接合されている連結フレーム125に、各横フレーム25aの車幅方向Yの両端が、ボルト126によって締結固定されている。
【0025】
図5は、第1の実施形態における車両用蓄電池装置の底面図である。
図5に示すように、収容空間S1の隣り合うフレーム25の間には、それぞれ複数(本実施形態では5個)のバッテリユニット6が車幅方向Yに並んで配置されている。そして、バッテリユニット6は、フレーム25に対して第2ブラケット28を介して連結されている。
【0026】
第2ブラケット28は、車両走行方向Xに沿って延びる金具であって、フレーム25のレールR側の端部を跨ぐように配置されている。第2ブラケット28は、その中央部においてレールR側から挿通されたボルト29aによりフレーム25の横フレーム25aに対して締結されている。さらに、第2ブラケット28は、その両端部においてそれぞれレールR側から挿通されたボルト29bにより、バッテリユニット6のx方向の端部に締結されている。
【0027】
図6は、第1の実施形態における仕切部材の斜視図である。
図6に示すように、仕切部材26は、車両走行方向Xおよび車幅方向Yに沿って延びるベース部26aと、ベース部26aから車体3に向かって車両高さ方向Zに沿って突出するとともに車幅方向Yに沿って延びる複数のフィン26bと、を有する。各フィン26bの先端部は、本体部20の天板20dに近接するように対向している。これにより、冷却空間S2に、仕切部材26の複数のフィン26bが配置された形になる。
また、仕切部材26は、本体部20の天板20dと同様に(
図2参照)、車幅方向Yに沿う複数の分割線において、車両走行方向Xに複数(本実施形態では7個)に分割されている。
【0028】
図7は、
図2のVI矢視において、一部を破断した側面図である。
図7に示すように、高圧機器収容部21は、例えばヒューズやコンタクタ等を含む高圧機器7aを収容する。高圧機器収容部21は、車両走行方向Xに長辺を有する直方体状に形成されている。高圧機器収容部21は、本体部20の車幅方向Yにおける一側部に沿って配置されている。高圧機器収容部21は、車幅方向Yの外側に開口する開口部21aを複数有する。複数の開口部21aは、車両走行方向Xに並んで形成されている。各開口部21aは、着脱可能に設けられたカバー21bによりそれぞれ覆われている。高圧機器収容部21の内部は、高圧機器7aが配置された高圧機器空間S3(制御機器空間)となっている。この高圧機器空間S3は、本体部20の車幅方向Yの一方側の側壁によって収容空間S1から独立している。
【0029】
図8は、
図2のVII矢視において、一部を破断した側面図である。
図8に示すように、低圧機器収容部22は、例えばバッテリーマネジメントユニット等を含む低圧機器7bを収容する。低圧機器収容部22は、車両走行方向Xに長辺を有する直方体状に形成されている。低圧機器収容部22は、本体部20の車幅方向Yにおける他側部に沿って配置されている。低圧機器収容部22は、車幅方向Yの外側に開口する開口部22aを複数有する。複数の開口部22aは、車両走行方向Xに並んで形成されている。各開口部22aは、着脱可能に設けられたカバー22bによりそれぞれ覆われている。低圧機器収容部22の内部は、低圧機器7bが配置された低圧機器空間S4(制御機器空間)となっている。低圧機器空間S4は、高圧機器空間S3(
図7参照)から分離された空間であって、車両走行方向Xを挟んで高圧機器空間S3とは反対側に位置している。また、低圧機器空間S4は、本体部20の車幅方向Yの他方側の側壁によって、収容空間S1から独立している。
【0030】
図9は、第1の実施形態におけるバッテリユニットの斜視図である。
図9に示すように、バッテリユニット6は、複数(本実施形態では4個)のバッテリモジュール30と、伝熱部材50と、放熱部材60と、第1ブラケット71(ブラケット)と、複数(本実施形態では4個)の支持部材80と、を主構成としている。
【0031】
バッテリモジュール30は、図示しない複数のセルと、複数のセルを内部に収容する収容体(ケース)32と、を有する。
セルは、直方体状に形成された二次電池である。各セルは、そのプラス端子およびマイナス端子が設けられた頂面を同一方向に向けた状態で並んで配置されている。各セルは、例えば互いに直列接続されて組電池を構成している。
【0032】
図10は、第1の実施形態におけるバッテリユニットの分解斜視図である。
図10に示すように、収容体32は、例えば樹脂材料等により形成されている。収容体32は、所定方向に長い直方体状に形成されている。収容体32は、収容体32の内部に収容された複数のセルの全てが熱的に接触する底壁32aと、底壁32aに接続された4つの側壁と、を有する。底壁32aは、収容体32の長手方向に沿って延びている。底壁32aの内面には、各セルのプラス端子およびマイナス端子が設けられた頂面とは反対側を向く底面が熱的に接触している。底壁32aの内面と各セルの底面との間には、例えば接着剤やグリース等が介在している。以下の説明では、セルの底面から頂面に向かう方向(すなわち底壁32aの法線方向)をy方向とし、y方向から見た底壁32aの長手方向をz方向とし、z方向およびy方向に直交する方向をx方向とする。
【0033】
収容体32の4つの側壁のうち、z方向の一方側の端部に位置する第1側壁32bには、主回路(外部機器)に電気的に接続される主回路用コネクタ32c(接続部)と、制御回路(外部機器)に電気的に接続される制御回路用コネクタ32d(接続部)と、が設けられている。各コネクタ32c,32dは、z方向における放熱部材60とは反対側から見えるように形成されている。各コネクタ32c,32dは、第1側壁32bにおける底壁32aとの接続箇所とは反対側の端部に設けられている。このような各コネクタ32c,32dに、主回路や制御回路から延びるケーブルの不図示のコネクタが、例えばスナップフィット固定される。また、所定のバッテリモジュール30同士が、不図示のジャンパケーブルを介して電気的に接続される。この際も所定のコネクタ32c,32dに、ジャンパケーブルの不図示のコネクタが、例えばスナップフィット固定される。
【0034】
4個のバッテリモジュール30は、x方向およびy方向の双方向に格子状に並んでいる。各バッテリモジュール30は、y方向に隣り合うバッテリモジュール30に対して、収容体32の底壁32aの外面を向け、かつ後述する伝熱部材50を挟んだ状態で配置されている。また、各バッテリモジュール30は、x方向に隣り合うバッテリモジュール30に対して、僅かに隙間をあけた状態で配置されている。以下の説明では、4個のバッテリモジュール30のうち、y方向の一方側に配置された一対のバッテリモジュール30をそれぞれ第1のバッテリモジュール30という。また、4個のバッテリモジュール30のうち、y方向の他方側に配置された一対のバッテリモジュール30をそれぞれ第2のバッテリモジュール30という。
【0035】
伝熱部材50は、熱伝導率の高い材料により形成されている。熱伝導率の高い材料としては、例えばアルミニウム等の金属材料が好適である。伝熱部材50は、x方向およびz方向の双方向に延びる矩形板状に形成されている。伝熱部材50は、y方向に並ぶ一対のバッテリモジュール30の間に配置されている。伝熱部材50は、各バッテリモジュール30における収容体32の底壁32aの外面に沿って配置されている。伝熱部材50は、第1のバッテリモジュール30の底壁32aの外面に沿って配置されy方向の一方側に向いている第1対向面50aと、第2のバッテリモジュール30の底壁32aの外面に沿って配置されy方向の他方側に向いている第2対向面50bと、を有する。伝熱部材50は、第1対向面50aを第1のバッテリモジュール30の底壁32aの外面に接触させ、第2対向面50bを第2のバッテリモジュール30の底壁32aの外面に接触させた状態で配置されている。伝熱部材50のx方向における両端部は、4個のバッテリモジュール30よりもx方向の外側に突出している。
【0036】
放熱部材60は、熱伝導率の高い材料により形成されている。熱伝導率の高い材料としては、例えばアルミニウム等の金属材料が好適である。放熱部材60は、x方向およびy方向の双方向に延びる矩形板状に形成されている。放熱部材60は、4個のバッテリモジュール30の収容体32の第1側壁32bとは反対側の端部に位置する第2側壁32eの外面に対向する位置に配置されている。放熱部材60は、4個のバッテリモジュール30の収容体32の第2側壁32eに対して隙間を開けて配置されている。放熱部材60は、z方向の外側に向いている放熱面60aと、z方向から見て4個のバッテリモジュール30よりも外側に位置する外縁60bと、を有している。放熱部材60の各角部には、放熱部材60の厚さ方向(z方向)に貫通する貫通孔60dがそれぞれ形成されている。
【0037】
放熱部材60は、放熱面60aとは反対側の裏面60cにおいて、伝熱部材50に接続されている。伝熱部材50と放熱部材60とは、複数(本実施形態では4個)のボルト74により締結固定されている。複数のボルト74は、x方向に等間隔で配置されている。各ボルト74は、第1ブラケット71の後述する肉抜部71aの内側から、伝熱部材50をz方向に貫通する貫通孔に挿通されて、放熱部材60に形成された雌ねじに捩じ込まれている。
【0038】
第1ブラケット71は、伝熱部材50を挟んで放熱部材60とは反対側に配置されている。第1ブラケット71は、x方向およびy方向の双方向に延びる矩形板状に形成されている。第1ブラケット71は、各バッテリモジュール30の収容体32における第1側壁32bの外面に対向する位置に配置されている。第1ブラケット71は、各バッテリモジュール30および伝熱部材50のそれぞれに固定されている。第1ブラケット71は、y方向の中間位置において、複数(本実施形態では3個)のボルト72により、伝熱部材50の端面に対して締結されている。また、第1ブラケット71は、各バッテリモジュール30の収容体32の第1側壁32bに対して、複数(本実施形態では4個)のボルト73により締結されている。第1ブラケット71には、ボルト72およびボルト73が挿通される部分を避けて肉抜部71aが形成されている。肉抜部71aは、伝熱部材50の端面の一部を露出している。
【0039】
4個の支持部材80は、それぞれ各バッテリモジュール30の側部に配置されている。各支持部材80は、z方向における伝熱部材50と放熱部材60との接続箇所、および伝熱部材50と第1ブラケット71との固定部の間において、伝熱部材50に固定されている。各支持部材80は、伝熱部材50のx方向における端面に固定されている。支持部材80は、SUS等の金属材料により形成されている。支持部材80は、板状のプレート部81と、円筒状のボルトガイド部82と、を備えている。
【0040】
プレート部81は、x方向に直交する平面に沿う平板状に形成されている。プレート部81は、z方向に沿って延びる基部81aと、基部81aにおけるz方向の放熱部材60側の部分から伝熱部材50に向かって延びる第1延出部81bと、基部81aにおけるz方向の第1延出部81bとは反対側の部分から伝熱部材50に向かって延びる第2延出部81cと、を備える。第1延出部81bは、伝熱部材50のx方向を向く端面に対してボルト75aにより締結されている。また、第1延出部81bは、第1のバッテリモジュール30の収容体32の第2側壁32eとプレート部81とを連結するブラケット(不図示)に対して1個のボルト75bにより締結されている。なお、第1延出部81bは、第1のバッテリモジュール30の収容体32に対してボルト75bにより直接締結されていてもよい。第2延出部81cは、伝熱部材50のx方向を向く端面に対して2個のボルト75cにより締結されている。
【0041】
プレート部81の基部81aには、第1屈曲部83と、第2屈曲部84と、が形成されている。第1屈曲部83は、基部81aにおけるz方向の放熱部材60側の端部に形成されている。第1屈曲部83は、バッテリモジュール30に向かって略直角に屈曲している。第1屈曲部83は、放熱部材60の裏面60cに沿って配置され、裏面60cに接触している。第2屈曲部84は、基部81aにおけるz方向の第1屈曲部83とは反対側の端部に形成されている。第2屈曲部84は、バッテリモジュール30側に向かって略直角に屈曲している。第2屈曲部84は、バッテリモジュール30、伝熱部材50および第1ブラケット71よりもz方向に突出した位置に配置されている。第1屈曲部83および第2屈曲部84には、放熱部材60の角部に形成された貫通孔60dと同軸の貫通孔83a,84a(
図9も併せて参照)が形成されている。
【0042】
ボルトガイド部82は、円筒状に形成され、z方向に沿って延びている。ボルトガイド部82は、第1屈曲部83と第2屈曲部84との間に渡って設けられている。ボルトガイド部82の両端部は、第1屈曲部83および第2屈曲部84に溶接されている。ボルトガイド部82は、軸方向に貫通する貫通孔82aを有する。この貫通孔82aが、第1屈曲部83および第2屈曲部84に形成された貫通孔83a,84aと同軸上に配置されている。
【0043】
また、支持部材80は、長尺ボルト77(ボルト、
図3参照)を挿通可能に形成された締結部材挿通部85を有する。締結部材挿通部85は、支持部材80と伝熱部材50との固定部からy方向に離間した位置に設けられている。締結部材挿通部85は、ボルトガイド部82、第1屈曲部83および第2屈曲部84により形成され、z方向に連続して延びている。締結部材挿通部85は、放熱部材60がある方向から第1ブラケット71がある方向に挿通可能に形成されている。本実施形態では、締結部材挿通部85は、締結部材をz方向に挿通可能に形成されている。締結部材挿通部85は、z方向における放熱部材60から第1ブラケット71に向かう方向に、バッテリモジュール30、伝熱部材50および第1ブラケット71よりも突出している。
【0044】
第1のバッテリモジュール30の収容体32の第2側壁32eと放熱部材60との間、および第2のバッテリモジュール30の収容体32の第2側壁32eと放熱部材60との間には、それぞれ第2ブラケット91が1つずつ配置されている。第2ブラケット91は、x方向に長い矩形板状に形成されたプレート体92を有している。プレート体92は、x方向の長さが、第1のバッテリモジュール30のx方向の幅、および第2のバッテリモジュール30のx方向の幅とほぼ一致するように形成されている。
【0045】
そして、プレート体92は、各バッテリモジュール30の第2側壁32eのうち、伝熱部材50寄りに配置されている。プレート体92は、各バッテリモジュール30の収容体32の第2側壁32eに対して、複数(本実施形態では8個)のボルト93により締結されている。
また、プレート体92の短手方向両側には、放熱部材60側に向かって屈曲延出する縦壁94が一体形成されている。縦壁94は、プレート体92の機械的強度を高めるとともに、プレート体92と放熱部材60との間に、ボルト93の頭部を配置するスペースを確保する役割を有している。
【0046】
さらに、プレート体92の長手方向両側には、第1ブラケット71側(放熱部材60とは反対側)に向かって屈曲延出する舌片部95が一体成形されている。この舌片部95は、各バッテリモジュール30の側部と各支持部材80のプレート部81との間に介在される。また、舌片部95は、各バッテリモジュール30にプレート部81を締結するためのボルト75bに対応する位置に配置されている。この結果、舌片部95は、各バッテリモジュール30および支持部材80のプレート部81と、ボルト75bによって共締めされている。
【0047】
図11は、第1の実施形態における車両用蓄電池装置の組み立て方法を説明する図である。
図11に示すように、バッテリユニット6を収容空間S1に設置する際には、ハウジング8を組み立て用の吊枠92により吊り下げた状態で、バッテリユニット6をジャッキ91等で持ち上げて作業用開口20aを通じて収容空間S1に入れる。この際、ジャッキ91は、バッテリユニット6における各締結部材挿通部85のレールR側の端部、すなわち第2屈曲部84を支持する。各締結部材挿通部85のレールR側の端部は、バッテリユニット6を仕切部材26に固定した際にバッテリユニット6の荷重を受けることができるように形成されているので、ジャッキ91により支持されることが可能となっている。
【0048】
以上詳述したように、本実施形態のバッテリユニット6は、バッテリモジュール30と、伝熱部材50と、放熱部材60と、第1ブラケット71と、支持部材80と、第2ブラケット91と、を備える。バッテリモジュール30は、セルが熱的に接触する底壁32aを有する収容体32を備える。伝熱部材50は、第1のバッテリモジュール30の底壁32aの外面に沿って配置された第1対向面50a、および第2のバッテリモジュール30の底壁32aの外面に沿って配置された第2対向面50bを有する。伝熱部材50は、第1対向面50aを第1のバッテリモジュール30の底壁32aの外面に接触させ、第2対向面50bを第2のバッテリモジュール30の底壁32aの外面に接触させた状態で配置されている。放熱部材60は、外側に面する放熱面を有し、放熱面60aとは反対側の裏面60cにおいて伝熱部材50に接続されている。
【0049】
また、伝熱部材50にバッテリモジュール30を支持させるための支持部材80は、伝熱部材50とバッテリモジュール30とに跨る板状のプレート部81と、を備えている。そして、このような支持部材80に、仕切部材26にバッテリユニット6を締結するための長尺ボルト77が挿通される円筒状のボルトガイド部82(締結部材挿通部85)が設けられている。
換言すれば、バッテリユニット6は、伝熱部材50を挟んで放熱部材60の反対側に配置されバッテリモジュール30および伝熱部材50のそれぞれに固定された第1ブラケット71と、バッテリモジュール30および支持部材80のそれぞれに固定された第2ブラケット91と、長尺ボルト77を挿通可能に形成された締結部材挿通部85を有し伝熱部材50に固定された支持部材80と、を備える。
【0050】
このような構成のもと、バッテリモジュール30の荷重は、第1ブラケット71、第2ブラケット91、支持部材80が受け、さらに、その荷重が伝熱部材50に分散されるとともに、その荷重を長尺ボルト77およびナット78が受ける。このため、長尺ボルト77およびナット78により、支持部材80と共締めされる放熱部材60には、この放熱部材60の長尺ボルト77が挿通される角部(四隅)に荷重が集中することがない。この結果、放熱部材60の変形を抑制でき、仕切部材26のベース部26aにおけるレールR側の主面に対し、放熱部材60の放熱面60aの密接性を維持できる。
【0051】
また、第1のバッテリモジュール30の底壁32aは、第1ブラケット71および支持部材80を介して伝熱部材50の第1対向面50aに密着される。さらに、第2のバッテリモジュール30の底壁32aは、第1ブラケット71および支持部材80を介して伝熱部材50の第2対向面50bに密着される。
このように、放熱部材60の変形を抑制できるうえに、伝熱部材50に各バッテリモジュール30が密着される。このため、バッテリモジュール30の熱が、伝熱部材50および放熱部材60を介して効率よく仕切部材26に伝達される。よって、バッテリユニット6の冷却効率を確実に高めることができる。
【0052】
さらに、伝熱部材50と放熱部材60との接続箇所に各バッテリモジュール30の荷重がかかって放熱部材60が歪むことにより伝熱部材50と放熱部材60との接触面積が減少することが抑制され、伝熱部材50から放熱部材60への熱伝導の阻害が防止される。
【0053】
また、放熱部材60は、収容体32の底壁32aの外面に沿う各対向面50a,50bを有する伝熱部材50に接続しているので、伝熱部材50を挟むようにして複数のバッテリモジュール30を密に並べても、外側に露出する位置に放熱部材60が配置される。
【0054】
以上により、冷却能力を確保しつつ、放熱部材60の放熱面60aの側面が互いに対向するように複数のバッテリユニット6を2次元的に並べて配置でき、複数のバッテリユニット6が搭載される車両用蓄電池装置5において大容量化でき、冷却効率を高めることができる。また、複数のバッテリユニット6を高密度に並べることができるので、車両の床下に配置される場合に、配置スペースに制約が生じる車両の低床化に対応できる。
【0055】
また、締結部材挿通部85は、支持部材80と伝熱部材50との固定部から、y方向の両側に離間した位置に複数設けられている。これにより、複数のバッテリモジュール30が放熱部材60の鉛直下方に位置するようにバッテリユニット6を配置する場合に、伝熱部材50にかかる各バッテリモジュール30の荷重は、伝熱部材50を挟んだ両側から支持部材80を介して長尺ボルト77に支持される。したがって、バッテリユニット6をバランスよく支持して安定させることが可能となる。
【0056】
また、放熱部材60は、z方向から見て複数のバッテリモジュール30よりも外側に位置する外縁60bを有する。これにより、放熱部材60の放熱面60aの側面が互いに対向するように複数のバッテリユニット6を2次元的に並べて配置する際に、放熱部材の外縁がz方向から見て複数のバッテリモジュール30よりも内側に位置する構成と比較して、放熱部材60の放熱面60aをより広く設けることができる。したがって、冷却能力を確保しつつ大容量化でき、冷却効率を高めることができるバッテリユニット6とすることができる。
【0057】
また、締結部材挿通部85は、放熱部材60から第1ブラケット71に向かう方向に、複数のバッテリモジュール30、伝熱部材50、および第1ブラケット71よりも突出している。これにより、複数のバッテリモジュール30が放熱部材60の鉛直下方に位置するようにバッテリユニット6を配置する場合において、ジャッキ91によりバッテリユニット6を持ち上げて設置する際に、締結部材挿通部85をジャッキ91に支持させることができる。したがって、バッテリユニット6の設置時に、バッテリユニット6の全荷重がバッテリモジュール30、伝熱部材50および第1ブラケット71にかかることを防止できる。
【0058】
また、支持部材80は、任意のバッテリモジュール30と伝熱部材50とに跨るように設けられ、各々支持部材80がそれぞれ対応するバッテリモジュール30を支持した形になっている。このため、各支持部材80によって、各バッテリモジュール30を確実に支持できる。
さらに、各バッテリモジュール30を別々の支持部材80によって支持することにより、伝熱部材50の各対向面50a,50bに対する各バッテリモジュール30の底壁32aの密着性を高めることができる。このため、バッテリモジュール30の熱を、伝熱部材50に効率よく伝達することができる。
【0059】
なお、支持部材80は、2つの伝熱部材50を挟んで第1のバッテリモジュール30と第2のバッテリモジュール30とに跨るように形成されていてもよい。そして、1つの支持部材80により、各バッテリモジュール30のx方向の一側を支持するようにしてもよい。
【0060】
また、主回路用コネクタ32cおよび制御回路用コネクタ32dがz方向における放熱部材60とは反対側から見える構成とした。これにより、放熱部材60の放熱面60aの側面が互いに対向するように複数のバッテリユニット6を2次元的に並べて配置しても、各コネクタ32c,32dが放熱部材60に覆われないように配置することができる。したがって、接続作業時における優れた作業性を有するバッテリユニット6とすることができる。
【0061】
ところで、例えばバッテリユニットに直接冷却風を当ててバッテリユニットを冷却する構成とした場合には、バッテリユニットの周囲に塵埃や湿気等が侵入し、バッテリユニットの劣化や故障が発生する可能性がある。
本実施形態の車両用蓄電池装置5では、バッテリユニット6が、外部空間と冷却空間S2とから独立した収容空間S1に配置されている構成とした。この構成によれば、収容空間S1が外部空間と冷却空間S2とから独立しているので、収容空間S1への塵埃や湿気等の侵入が抑制されるので、バッテリユニット6の劣化や故障が防止される。したがって、車両用蓄電池装置5の信頼性を向上させることができる。
【0062】
また、収容空間S1や高圧機器空間S3が他の空間と連通していると、収容空間S1や高圧機器空間S3において予期せぬ事態が生じた場合に、他の空間に配置された機器に影響が及ぶ可能性がある。
本実施形態では、収容空間S1が外部空間と高圧機器空間S3と低圧機器空間S4とから独立しているので、バッテリユニット6における漏液等の予期せぬ事態の影響が高圧機器空間S3および低圧機器空間S4に配置された制御機器7や外部に及ぶことが防止される。また、高圧機器空間S3において生じた予期せぬ事態の影響が収容空間S1に配置されたバッテリユニット6に及ぶことが防止される。したがって、車両用蓄電池装置5の信頼性および安全性を向上させることができる。
【0063】
また、バッテリユニット6の放熱部材60の放熱面60aが収容空間S1と冷却空間S2とを仕切って互いに独立させる仕切部材26に接触しているので、冷却空間S2を流れる冷却風により仕切部材26を冷却することで、放熱部材60が仕切部材26を介して冷却される。したがって、冷却空間S2から独立した収容空間S1に配置されたバッテリユニット6を冷却することができる。
【0064】
しかも、バッテリユニット6は、締結部材挿通部85に挿通された長尺ボルト77により固定されているので、複数のバッテリモジュール30が放熱部材60の鉛直下方に位置するようにバッテリユニット6を設置する場合に、上述したように、バッテリモジュール30の荷重が伝熱部材50を通じて放熱部材60にかかることが抑制される。よって、伝熱部材50から放熱部材60への熱伝導の阻害が防止される。したがって、バッテリユニット6に対する冷却能力を確保できる。
そして、バッテリユニット6は上述した状態で仕切部材26に固定されて並んでいるので、バッテリユニット6の冷却を可能としつつ、バッテリユニット6を高密度に並べることが可能となり、大容量化でき、かつ冷却効率を高めることができる車両用蓄電池装置5を提供できる。
【0065】
また、締結部材挿通部85および放熱部材60は、長尺ボルト77により仕切部材26に対して共締めされている。これにより、放熱部材60が仕切部材26に対して強固に固定される。したがって、放熱部材60が仕切部材26に対して接触した状態が維持されるので、仕切部材26を介して放熱部材60を確実に冷却できる。
【0066】
また、締結部材挿通部85は、z方向に連続して延びている。このため、長尺ボルト77およびナット78を締め込んだ際に生じるz方向に沿う締結力により、締結部材挿通部85が撓むことが抑制される。よって、長尺ボルト77およびナット78を締め込んだ際の締結力が締結部材挿通部85において吸収されることを抑制できる。したがって、バッテリユニット6と仕切部材26とを強固に固定することが出来る。
【0067】
また、収容空間S1は、バッテリユニット6を挟んで仕切部材26とは反対側に開放可能に形成されている。これにより、カバー部材24を取り外した状態で外部空間から見て、バッテリユニット6が仕切部材26により覆われない状態で収容空間S1に配置される。したがって、バッテリユニット6に対する作業を外部空間から容易に行うことが可能となり、バッテリユニット6に対する優れた作業性を有する車両用蓄電池装置5とすることができる。
【0068】
また、収容空間S1は、バッテリユニット6を挟んで仕切部材26とは反対側に開放可能に形成されている。これにより、バッテリユニット6を収容空間S1に設置する際に、カバー部材24を取り外した状態で外部空間から収容空間S1へ直接バッテリユニット6を入れることができる。その際に、バッテリユニット6をバッテリユニット6における放熱部材60が位置する端部から収容空間S1へ入れる動作と、放熱部材60を仕切部材26に接触させる動作と、を同時に行うことができる。バッテリユニット6の取り外しの際も同様である。したがって、作業性を向上させることができる。
【0069】
しかも、本実施形態では、車両高さ方向Zにおいて、仕切部材26が収容空間S1の車体3に近い位置に配置され、カバー部材24がレールRに近い位置に配置されている。このため、バッテリユニット6を収容空間S1に設置する際には、高重量であるバッテリユニット6をジャッキ91等で持ち上げて入れることができる。このため、バッテリユニット6を水平方向から収容空間に入れる場合と比較して、作業性を向上させることができる。
【0070】
また、低圧機器7bは、高圧機器7aが配置された高圧機器空間S3から分離され、ハウジング8の長手方向を挟んで高圧機器空間S3とは反対側に位置する低圧機器空間S4に配置されているので、低圧機器7bのメンテナンス時に作業者が高圧機器7aに触れることを防止できる。したがって、作業性を向上させることができる。
しかも、本実施形態では、高圧機器空間S3および低圧機器空間S4が収容空間S1に対して車幅方向Yの両側に配置されているので、高圧機器7aおよび低圧機器7bのメンテナンス時には、作業者が電車1の側方から作業することが可能となる。したがって、作業性を向上させることができる。
【0071】
(第2の実施形態)
図12は、第2の実施形態における電車の側面の模式図である。
ここで、
図1に示す第1の実施形態の電車1では、車両用蓄電池装置5が車体3の床下に配置されている。これに対して、
図12に示す第2の実施形態の電車101では、車両用蓄電池装置5が車体3の天板上に配置されている点で、第1の実施形態と異なっている。この場合、車両用蓄電池装置5を第1実施形態とは上下反転させて、上述した吊耳27を車体3の天板に締結する。これにより、バッテリユニット6を収容空間S1に設置する際に、高重量であるバッテリユニット6をクレーン等で吊り下げて入れることができる。このため、バッテリユニット6を水平方向から収容空間に入れる場合と比較して、作業性を向上させることができる。
【0072】
なお、上記各実施形態においては、冷却空間S2は、車幅方向Yの両側にそれぞれ形成された通気用開口部20b,20cを通じて、外部空間と連通しているが、これに限定されない。冷却空間は、ハウジングの本体部における車両走行方向Xの両側部にそれぞれ形成された通気用開口部を通じて外部空間と連通していてもよい。このように構成することで、走行風を冷却空間に取り込むことができ、ファンを省略できる。この場合、仕切部材のフィンは、車両走行方向Xに沿って延びる構成とすることが望ましい。これにより、冷却空間において冷却風が車両走行方向Xに沿って流れ、仕切部材を効率よく冷却することができる。
【0073】
また、上記各実施形態においては、仕切部材26と放熱部材60とが別部材で構成されているが、一体形成されていてもよい。すなわち、放熱部材が仕切部材を兼ねてもよい。この場合には、放熱部材にフィンを形成することが望ましい。また、仕切部材はフィンを備えていなくてもよい。
【0074】
また、上記各実施形態においては、バッテリユニット6が、x方向を車両走行方向X、y方向を車幅方向Y、z方向を車両高さ方向Zに一致させた状態で設置されているが、これに限定されない。例えば、x方向を車幅方向Y、y方向を車両走行方向X、z方向を車両高さ方向Zに一致させて、バッテリユニット6を搭載してもよい。
【0075】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、バッテリユニットは、バッテリモジュールと、伝熱部材と、放熱部材と、第1ブラケットと、支持部材と、第2ブラケットと、を備える。バッテリモジュールは、セルが熱的に接触する底壁を有する収容体を備える。伝熱部材は、第1のバッテリモジュールの底壁の外面に沿って配置された第1対向面、および第2のバッテリモジュールの底壁の外面に沿って配置された第2対向面を有する。伝熱部材は、第1対向面を第1のバッテリモジュールの底壁の外面に接触させ、第2対向面を第2のバッテリモジュールの底壁の外面に接触させた状態で配置されている。放熱部材は、外側に向いている放熱面を有し、放熱面とは反対側の裏面において伝熱部材に接続されている。
【0076】
また、伝熱部材にバッテリモジュールを支持させるための支持部材は、伝熱部材とバッテリモジュールとに跨る板状のプレート部と、を備えている。そして、このような支持部材に、仕切部材にバッテリユニットを締結するための長尺ボルトが挿通される円筒状のボルトガイド部(締結部材挿通部)が設けられている。
換言すれば、バッテリユニットは、伝熱部材を挟んで放熱部材の反対側に配置されバッテリモジュールおよび伝熱部材のそれぞれに固定された第1ブラケットと、バッテリモジュールおよび支持部材のそれぞれに固定された第2ブラケットと、長尺ボルトを挿通可能に形成された締結部材挿通部を有し伝熱部材に固定された支持部材と、を備える。
【0077】
このような構成のもと、バッテリモジュールの荷重は、第1ブラケット、第2ブラケット、支持部材が受け、さらに、その荷重が伝熱部材に分散されるとともに、その荷重を長尺ボルトおよびナットが受ける。このため、長尺ボルトおよびナットにより、支持部材と共締めされる放熱部材には、この放熱部材の長尺ボルトが挿通される角部(四隅)に荷重が集中することがない。この結果、放熱部材の変形を抑制でき、仕切部材のベース部におけるレールR側の主面に対し、放熱部材の放熱面の密接性を維持できる。
【0078】
また、第1のバッテリモジュールの底壁は、第1ブラケットおよび支持部材を介して伝熱部材の第1対向面に密着される。さらに、第2のバッテリモジュールの底壁は、第1ブラケットおよび支持部材を介して伝熱部材の第2対向面に密着される。
このように、放熱部材の変形を抑制できるうえに、伝熱部材に各バッテリモジュールが密着される。このため、バッテリモジュールの熱が、伝熱部材および放熱部材を介して効率よく仕切部材に伝達される。よって、バッテリユニットの冷却効率を確実に高めることができる。
【0079】
さらに、伝熱部材と放熱部材との接続箇所に各バッテリモジュールの荷重がかかって放熱部材が歪むことにより伝熱部材と放熱部材との接触面積が減少することが抑制され、伝熱部材から放熱部材への熱伝導の阻害が防止される。
【0080】
また、放熱部材は、収容体の底壁の外面に沿う各対向面を有する伝熱部材に接続しているので、伝熱部材を挟むようにして複数のバッテリモジュールを密に並べても、外側に露出する位置に放熱部材が配置される。
【0081】
以上により、冷却能力を確保しつつ、放熱部材の放熱面の側面が互いに対向するように複数のバッテリユニットを2次元的に並べて配置でき、複数のバッテリユニットが搭載される車両用蓄電池装置において大容量化でき、冷却効率を高めることができる。また、複数のバッテリユニットを高密度に並べることができるので、車両の床下に配置される場合に、配置スペースに制約が生じる車両の低床化に対応できる。
【0082】
また、支持部材は、任意のバッテリモジュールと伝熱部材とに跨るように設けられ、各々支持部材がそれぞれ対応するバッテリモジュールを支持した形になっている。このため、各支持部材によって、各バッテリモジュールを確実に支持できる。
さらに、各バッテリモジュールを別々の支持部材によって支持することにより、伝熱部材の各対向面に対する各バッテリモジュールの底壁の密着性を高めることができる。このため、バッテリモジュールの熱を、伝熱部材に効率よく伝達することができる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。