(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
随意に置換された1,8-ジハロジベンゾフランもしくは1,8-ジハロジベンゾチオフェンのカルバゾール誘導体との反応と、引き続くその他のカルバゾール誘導体との反応による請求項1〜10何れか1項記載の化合物の製造方法であって、ここで、カルバゾール誘導体との反応は、夫々、C−Cカップリングである、製造方法。
有機エレクトロルミッセンス素子であって、請求項1〜10何れか1項記載の化合物は、発光層中での蛍光もしくは燐光エミッターのためのマトリックス材料として、および/または電子輸送層中でおよび/または正孔ブロック層中で電子輸送もしくは正孔ブロック材料として用いられることを特徴とする、請求項14記載の電子素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特別に、有機エレクトロルミッセンス素子での三重項マトリックス材料としての使用のための電子不足ヘテロアリール基で置換されたカルバゾール化合物を記載する。本発明は、さらに、本発明による化合物の製造方法とこれらを含む電子素子に関する。
【0002】
有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)で使用される発光材料は、燐光発光を示す有機金属錯体であることが多い。量子力学的理由により、4倍までのエネルギ効率とパワー効率が、燐光発光エミッターとして有機金属化合物を使用して可能である。一般的に、OLEDにおいて、特別に、燐光発光を示すOLEDの場合において、たとえば、効率、駆動電圧および寿命に関して、改善に対する必要性が未だ存在する。
【0003】
燐光発光OLEDの特性は、使用される三重項エミッターによって決定されるだけではない。より特別には、使用される他の材料、たとえば、マトリックス材料が、ここで、特に重要である。そこで、これら材料における改善は、また、OLED特性に顕著な改善をもたらし得る。
【0004】
先行技術によれば、有機エレクトロルミッセンス素子における燐光エミッターのために使用されるマトリックス材料は、カルバゾール誘導体およびジベンゾフラン誘導体を含む。JP 2012-049518、US 7,935,434およびUS 8,221,908は、2個のN-フェニルカルバゾリル基で置換されたジベンゾフラン誘導体を開示している。WO 2014/081206は、1個が窒素上で電子不足ヘテロアリール基により置換された2個のカルバゾリル基が、アリーレン基を介して互いに結合する化合物を開示している。
【0005】
マトリックス材料としての使用のためのこれらの材料において、外部量子効率(EQE)を含む面で、改善に対するニーズが一般的になお存在する。したがって、本発明の目的は、燐光もしくは蛍光OLEDで、特別にマトリックス材料としての使用のために適する化合物を提供することである。より特別には、赤色-、黄色-および緑色-燐光OLEDのために、可能であれば青色-燐光OLEDのために適し、長い寿命、良好な効率および低い駆動電圧をもたらすマトリックス材料を提供することである。より特に、改善された外部量子効率をもたらす材料を提供することが、本発明の目的である。
【0006】
驚くべきことに、以下の式(I)の化合物を含むエレクトロルミッセンス素子が、燐光ドーパントのためのマトリックス材料として使用されると、先行技術を超える改善を有することが見出された。
【0007】
したがって、本発明は、以下の式(1)の化合を提供する:
【0008】
【化1】
【0009】
式中:使用される記号は以下のとおりである;
Aは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり;ここで、環毎の2個を超えない、好ましくは、環毎の1個を超えないA基は、Nであり、より好ましくは、全てのA基はCRであり;
Yは、OまたはSであり;
Wは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり;ここで、環毎の2個を超えないW基は、Nであり;L
1もしくはL
2基がこの位置に結合する場合は、WはCであるか、または2個の隣接するW基は、一緒になって以下の式(2)または(3)の基であり、式(1)の化合物において2個のカルバゾールの夫々は、2個を超えない式(2)または式(3)の基を有さず;
【0010】
【化2】
【0011】
式中、破線の結合は、この基の結合を示し、Aは、上記所与の定義を有し、Zは、NR、CR
2、OまたはSであり;
Ar
1、Ar
2は、5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族環構造もしくはジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン基であり、ここで、芳香族環構造もしくはジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン基は、各場合に、1以上の非芳香族R基で置換されてよいか、または以下の式(4)もしくは(5)の基であり、
【0012】
【化3】
【0013】
式中、破線の結合は、窒素原子への結合を表し;
ただし、Ar
1およびAr
2基の正確に1個は、式(4)および(5)の一つの基であり;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり;ここで、式(5)の基がこの位置でL
3に結合する場合は、式(5)におけるXは、Cであり;ただし、式(4)において、2または3個のX基はNであり、かつ、式(5)において、1、2または3個のX基はNであり;
L
1、L
2、L
3は、出現毎に同一であるか異なり、単結合または1以上のR基により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、N(R
1)
2、C(=O)R
1、P(=O)(R
1)
2、P(R
1)
2、B(R
1)
2、Si(R
1)
3、1〜20個の炭素原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜20個の炭素原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基または2〜20個の炭素原子を有するアルケニルル基(夫々、1以上のR
1基により置換されてもよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
1C=CR
1、Si(R
1)
2、C=O、C=S、C=NR
1、P(=O)(R
1)、SO、SO
2、NR
1、O、SもしくはCONR
1で置き代えられてよく、ここで、1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上のR
1基により置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または、1以上のR
1基により置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基より成る基から選ばれ;同時に、同じ炭素原子もしくは隣接する炭素原子に結合する2個のR置換基は、1以上のR
1基により置換されてよいモノ環状あるいはポリ環状の脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を随意に形成することができ;
R
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、N(R
2)
2、C(=O)R
2、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個の炭素原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜10個の炭素原子を有するアルケニル基(夫々、1以上のR
2基により置換されてもよく、1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上のR
2基により置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;同時に、同じ炭素原子もしくは隣接する炭素原子に結合する2個のR置換基は、1以上のR
2基により置換されてよいモノ環状あるいはポリ環状の脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を随意に形成することができ;
R
2は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基または5〜30個の炭素原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造(ここで、1以上の水素原子は、D、F、CNで置き代えられてよく、夫々、1以上の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基により置換されてよい。)より成る基から選ばれ;同時に、2個以上の隣接するR
2置換基は、一緒にモノあるいはポリ環状の脂肪族環構造を随意に形成することができる。
【0014】
本発明の文脈において、隣接する炭素原子は、直接互いに結合する炭素原子である。
【0015】
2個以上の基が、一緒に環を形成してもよいという表現は、本説明の文脈では、特に、2個の基が、化学結合により互いに結合する意味であると理解されるべきである。これは、以下のスキームにより示される。
【0016】
【化4】
【0017】
しかしながら、さらに、上記言及した表現は、2個の基の1つが水素である場合には、第2の基は、水素原子が結合した位置で結合して環を形成する意味であると理解されるべきである。これは、以下のスキームにより示される。
【0018】
【化5】
【0019】
アリール基は、本発明の文脈では、6〜40個の炭素原子を含有し、ヘテロアリール基は、本発明の文脈では、2〜40個の炭素原子と少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、ただし炭素原子とヘテロ原子の合計は、少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくはN、Oおよび/またはSから選択され、ここで、ヘテロアリール基は、好ましくは、3個を超えないヘテロ原子を含有する。ここで、アリール基またはヘテロアリール基は、単純な芳香族環、すなわち、ベンゼン、または単純な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または縮合アリールもしくはヘテロアリール基、たとえば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン等の何れかを意味すると理解される。
【0020】
縮合アリール基は、本発明の文脈では、2個以上の芳香族基が、共通の端部に沿って互いに縮合、すなわち環縮合した基であり、たとえば、ナフタレンである。逆に、たとえば、フルオレンは、フルオレン中の2個の芳香族基が共通の端部を有さないことから、本発明の文脈では縮合アリール基ではない。
【0021】
芳香族環構造は、本発明の文脈では、環構造中に6〜40個の炭素原子を含有する。複素環式芳香族環構造は、本発明の文脈では、環構造中に1〜40個の炭素原子と少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、ただし炭素原子とヘテロ原子の合計は、少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選択され、ここで、複素環式芳香族環構造は、好ましくは、4個を超えないヘテロ原子、より好ましくは、3個を超えないヘテロ原子を含む。芳香族または複素環式芳香族環構造は、本発明の文脈では、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基だけを含有するとは限らず、2個以上のアリールまたはヘテロアリール基が、非芳香族単位(好ましくは、10%未満のH原子)、たとえば、炭素、窒素しくは酸素原子またはカルボニル基によって中断され得る構造と理解されるべきである。たとえば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等の構造、また、2個以上のアリール基が、たとえば、線状もしくは環状アルキル基により中断される構造は、本発明の文脈での芳香族環構造とみなされるべきである。さらに、2個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、直接互いに結合した構造、たとえば、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニルもしくはビピリジンも、同様に、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造とみなされるべきである。
【0022】
環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基は、本発明の文脈での、単環状、2環状もしくは多環状基を意味すると理解される。
【0023】
本発明の文脈で、C
1〜C
40アルキル基は、ここで、個々の水素原子もしくはCH
2基は、上記言及した基により置換されていてよく、たとえば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、シクロプロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、シクロブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、t-ペンチル、2-ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、s-ヘキシル、t-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、ネオヘキシル、シクロヘキシル、1-メチルシクロペンチル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、4-ヘプチル、シクロヘプチル、1-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、シクロオクチル、1-ビシクロ[2.2.2]オクチル、2-ビシクロ[2.2.2]オクチル、2-(2,6-ジメチル)オクチル、3-(3,7-ジメチル)オクチル、アダマンチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1-ジメチル-n-ヘキサ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘプタ-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクタ-1-イル、1,1-ジメチル-n-デカ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ドデカ-1-イル、1,1-ジメチル-n-テトラデカ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘキサデカ-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクタデカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキサ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘプタ-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクタ-1-イル、1,1-ジエチル-n-デカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ドデカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-テトラデカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキサデカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクタデカ-1-イル、1-(n-プロピル)シクロヘキサ-1-イル、1-(n-ブチル)シクロヘキサ-1-イル、1-(n-ヘキシル)シクロヘキサ-1-イル、1-(n-オクチル)シクロヘキサ-1-イルおよび1-(n-デシル)シクロヘキサ-1-イルを意味すると理解される。アルケニル基は、たとえば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルを意味すると
理解される。アルキニル基は、たとえば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルを意味すると理解される。C
1〜C
40アルコキシ基は、たとえば、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシもしくは2-メチルブトキシを意味すると理解される。
【0024】
上記残基により各場合に置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造に連結していてもよい、5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、たとえば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンゾフルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、cis-もしくはtrans-インデノフルオレン、cis-もしくはtrans-モノベンゾインデノフルオレン、cis-もしくはtrans-ジベンゾインデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールに由来するものを意味すると理解される。
【0025】
好ましいのは、以下の(1a)の化合物であり:
【0026】
【化6】
【0027】
式中、使用される記号は、上記所与の定義を有し、L
1もしくはL
2基がこの位置に結合する場合は、Aは、Cである。
【0028】
本発明の好ましい1態様では、L
2基は、単結合である。
【0029】
したがって、式(1)の化合物の好ましい1態様は、式(6)の化合物であり、式(1a)の化合物の好ましい1態様は、式(6a)の化合物である。
【0030】
【化7】
【0031】
式中、使用される記号は、上記所与の定義を有する。
【0032】
本発明の好ましい1態様では、Wは、出現毎に同一であるか異なり、CRであるか、または、2個のW基は、式(2a)または(3a)の基であり、残りのWは、CRであり、Aは、出現毎に同一であるか異なり、CRである。したがって、好ましいのは以下の式(7a)、(7b)、(7c)、(7d)および(7e)の化合物である:
【0033】
【化8】
【0034】
式中、
Wは、2個の隣接するW基は、一緒に、以下の式(2a)または(3a)の基であり、2個の他のW基は、CRであり、L
1基がこの位置に結合する場合は、式(7d)におけるWはCであり、およびジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェンがこの位置に結合する場合は、式(7e)におけるWはCであり;
【0035】
【化9】
【0036】
式中、破線の結合は、この基の結合を示し、
nは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2、3または4であり;
mは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2または3であり;
使用されるさらなる記号は上記所与の定義を有する。
【0037】
本発明のさらに好ましい1態様では、L
1とL
2は、夫々、単結合である。したがって好ましいのは、以下の式(8a)、(8b)、(8c)、(8d)および(8e)の化合物である:
【0038】
【化10】
【0039】
式中、使用される記号と添え字は、上記所与の定義を有する。
【0040】
本発明の特に好ましい1態様では、2個のカルバゾール基もしくはカルバゾール誘導体は、3位、すなわち窒素原子のパラ位を介して結合する。したがって、特に好ましいのは、以下の式(9a)、(9b)、(9c)、(9d)および(9e)の化合物である:
【0041】
【化11】
【0042】
式中、使用される記号と添え字は、上記所与の定義を有する。
【0043】
非常に特に好ましいのは、全てのW基がCRまたはCである化合物であり、すなわち、式(7a)、(8a)および(9a)の化合物である。
【0044】
さらに好ましいのは、上記式で、YがOである化合物である。
【0045】
本発明のさらに好ましい1態様では、Zは、化合物が式(2)の基を含む場合は、O、NRであり、ここで窒素に結合するR基はHではないか、またはC(R)
2であり、より好ましくは、NRであり、ここで窒素に結合するR基はHではないか、またはC(R)
2であり、最も好ましくは、C(R)
2である。
【0046】
本発明の好ましい1態様では、カルバゾリル誘導体基の夫々は、1個を超えない式(2)もしくは式(3)の基を含む。
【0047】
本発明の化合物が、式(2)の基を含む場合には、これは、種々の位置で結合してよい。これは、A基とその他のW基がCRである好ましい態様を参照する図式で、式(A)〜(F)により、今後示される:
【0048】
【化12】
【0049】
式中、使用される記号と添え字は、上記所与の定義を有し、破線は本発明の化合物における結合を表す。同じことが、Ar
1基ではなく、窒素に結合するAr
2基を含むその他のカルバゾール誘導体に適用される。
【0050】
本発明の化合物が式(3)の基を含む場合には、これは、種々の位置で結合してよい。これは、A基とその他のW基がCRである好ましい態様を参照する図式で、式(G)〜(K)により、今後示される:
【0051】
【化13】
【0052】
式中、使用される記号と添え字は、上記所与の定義を有し、破線は本発明の化合物における結合を表す。同じことが、Ar
2基を含むその他のカルバゾール誘導体に適用される。
【0053】
以下が、Ar
1およびAr
2基の好ましい態様の説明である。上記記載のとおり、Ar
1およびAr
2基の一つは、5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族環構造もしくはジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン基であり、夫々は、1以上の非芳香族R基で置換されてよくまたAr
1およびAr
2基は、式(4)および(5)の一つのヘテロアリール基である。
【0054】
式(1)もしくは(1a)の化合物または(6)、(7a)〜(7e)、(8a)〜(8e)および(9a)〜(9e)の1態様では、Ar
1は、5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族環構造もしくはジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン基であり、芳香族環構造もしくはジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン基は、各場合に、1以上の非芳香族R基で置換されてよくまた、Ar
2は、式(4)および(5)の一つのヘテロアリール基である。
【0055】
式(1)もしくは(1a)の化合物または(6)、(7a)〜(7e)、(8a)〜(8e)および(9a)〜(9e)のさらなる1態様では、Ar
2は、5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族環構造もしくはジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン基であり、芳香族環構造もしくはジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン基は、各場合に、1以上の非芳香族R基で置換されてよく、またAr
1は、式(4)および(5)の一つのヘテロアリール基である。
【0056】
本発明の好ましい1態様では、式(4)の基は、以下の式(4−1)〜(4−3)の構造から選ばれ、
【0057】
【化14】
【0058】
式中、破線の結合は、窒素原子への結合を表し、さらに
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、1以上のR
1基により置換されてもよいが、好ましくは、非置換であり、または、各場合に、1以上のR
1基により置換されてよいが、好ましくは、非置換である5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、好ましくは、RはHではない。
【0059】
本発明の特に好ましい1態様では、式(4)の基は、以下の式(4−1a)〜(4−3a)の構造から選ばれ、
【0060】
【化15】
【0061】
式中、破線の結合は、窒素原子への結合を表し、さらに
Arは、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上のR
1基により置換されてよいが、好ましくは、非置換である5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。
【0062】
式(5)の基の好ましい1態様では、1もしくは2個の記号X、より好ましくは、2個の記号Xは、Nである。好ましくは、式(5)の基は、以下の式(5−1)〜(5−18)の構造から選ばれる:
【0063】
【化16】
【0064】
式中、破線の結合は、窒素原子への結合を表し、およびさらに
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、1以上のR
1基により置換されてもよいが、好ましくは、非置換であり、または、各場合に、1以上のR
1基により置換されてよいが、好ましくは、非置換である5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、好ましくは、RはHではない。
【0065】
より好ましくは、式(5)の基は、以下の式(5−1a)〜(5−18a)の構造から選ばれる:
【0066】
【化17】
【0067】
式中、破線の結合は、窒素原子への結合を表し、Arは上記所与の定義を有する。
【0068】
本発明の好ましい1態様では、L
3は、出現毎に同一であるか異なり、単結合または6〜12個の芳香族環原子を有する芳香族環構造であり、より好ましくは、単結合またはパラ-もしくはメタフェニレンであり、最も好ましくは、単結合である。
【0069】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(4−1a)〜(4−3a)および式(5−1a)〜(5−18a)の基におけるArは、出現毎に同一であるか異なり、6〜24個の芳香族環原子を有する、好ましくは、6〜18個の芳香族環原子を有する、より好ましくは、6〜12個の芳香族環原子を有する芳香族環構造、または6〜13個の芳香族環原子を有する複素環式芳香族芳香族環構造であり、夫々、1以上のR
1基により置換されてよいが、好ましくは、非置換である。適切なAr基の例は、1以上のR
1基により置換されてよいが、好ましくは、非置換であるフェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、テルフェニル、特別にはテルフェニル、分岐クアテルフェニル、特別にはクアテルフェニル、1-、2-、3-もしくは4-フルオレニル、1-、2-、3-もしくは4-スピロビフルオレニル、ピリジル、ピリミジル、1-、2-、3-もしくは4-ジベンゾフラニル、および1-、2-、3-もしくは4ジベンゾチエニルおよび1-、2-、3-、もしくは4カルボニルより成る基から選ばれる
適切なAr基の例は、以下の構造Ar−1〜Ar−1基である:
【0070】
【化18-1】
【0071】
【化18-2】
【0072】
式中、R
1は、上記所与の定義を有し、好ましくは、Hであり、破線の結合は、この基の結合であり、Vは、NR
1、O、SもしくはC(R
1)
2である。
【0073】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(4)または式(5)の基ではないAr
1もしくはAr
2基は、6〜24個の芳香族環原子を有する、好ましくは、6〜18個の芳香族環原子を有する、より好ましくは、6〜12個の芳香族環原子を有する芳香族環構造であり、またはジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン基であり、ここで、これらの基は、夫々、1以上のR
1基により置換されてもよいが、好ましくは、非置換である。式(4)または式(5)の基ではない適当なAr
1もしくはAr
2基の例は、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、テルフェニル、特別には、分岐テルフェニル、クアテルフェニル、特別には、分岐クアテルフェニル、1-、2-、3-もしくは4-フルオレニル、1-、2-、3-もしくは4-スピロビフルオレニル、1-、2-、3-もしくは4-ジベンゾフラニルおよび1-、2-、3-もしくは4ジベンゾチエニルより成る基から選ばれる。
適切なAr
1もしくはAr
2基の例は、以下に挙げられた構造Ar
1−1〜Ar
1−19またはAr
2−1〜Ar
2−19である:
【0074】
【化19-1】
【0075】
【化19-2】
【0076】
式中、Rは、上記所与の定義を有し、好ましくは、Hであり、破線の結合は、窒素原子への結合であり、Y
3は、出現毎に同一であるか異なり、CR
2、OもしくはSである。
【0077】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(7−a)〜(7−e)、(8−a)〜(8−e)および式(9−a)〜(9−e)の化合物において、添え字xは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2または3、より好ましくは、0、1または2、さらにより好ましくは、0または1、特別には、0である。
【0078】
本発明のなおさらに好ましい1態様では、式(7−a)〜(7−e)、(8−a)〜(8−e)および式(9−a)〜(9−e)の化合物において、添え字mは、出現毎に同一であるか異なり、0、1または2、より好ましくは、0または1、さらにより好ましくは、0である。
【0079】
以下が、好ましい置換基Rの説明である。Rは、好ましくは、H、D、F、CN、N(R
1)
2、C(=O)R
1、P(=O)(R
1)
2、1〜10個の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個の炭素原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基または2〜10個の炭素原子を有するアルケニル基(ここで、アルキル、アルコキシもしくはアルケニル基は、各場合に1以上のR
1基により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上の水素原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上のR
1基により置換されてよいが、好ましくは、非置換である5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;同時に、同じ炭素原子もしくは隣接する炭素原子に結合する2個のR置換基は、1以上のR
1基により置換されてよいモノ環状あるいはポリ環状の脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を随意に形成することができる。
【0080】
より好ましくは、これらのR置換基は、H、D、F、CN、1〜8個の炭素原子を有する、好ましくは、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、3〜8個の炭素原子を有する、好ましくは、3もしくは4個の炭素原子を有する分岐あるいは環状アルキ基または2〜8個を有する、好ましくは、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルケニル基(ここで、アルキル、アルコキシもしくはアルケニル基は、各場合に1以上のR
1基により置換されてもよいが、好ましくは、非置換である。)または、各場合に、1以上のR
1基により置換されてよいが、好ましくは非置換である、6〜24個の芳香族環原子を有する、好ましくは、6〜18個の芳香族環原子を有する、より好ましくは、6〜13個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;同時に、同じ炭素原子もしくは隣接する炭素原子に結合する2個のR置換基は、1以上のR
1基により置換されてよいが、好ましくは、非置換であるモノ環状あるいはポリ環状の脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を随意に形成することができる。
【0081】
最も好ましくは、R置換基は、H、または、各場合に、1以上のR
1基により置換されてよいが、好ましくは、非置換である6〜18個の芳香族環原子を有する、好ましくは、6〜13個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれる。適切なR置換基の例は、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、テルフェニル、特別に分岐テルフェニル、クアテルフェニル、特別に分岐クアルフェニル、1-、2-、3-もしくは4-フルオレニル、1-、2-、3-もしくは4-スピロビフルオレニル、ピリジル、ピリミジニル、1-、2-、3-もしくは4-ジベンゾフラニル、1-、2-、3-もしくは4ジベンゾチエニルおよび1-、2-、3-もしくは4-カルバゾリルより成る基から選ばれ、夫々、1以上のR
1基により置換されてよいが、好ましくは、非置換である。適切な構造Rは、Ar
2−1〜Ar
2−19に対して上記示されるのと同じ構造である。
【0082】
式(2)の構造におけるZがNRである場合には、この窒素原子に結合するR基は、出現毎に同一であるか異なり、各場合に1以上のR
1基により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、より好ましくは、1以上のR
1基により置換されてよい6〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。適切なR置換基の例は、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、テルフェニル、特別に分岐テルフェニル、クアテルフェニル、特別に分岐クアルフェニル、1-、2-、3-もしくは4-フルオレニル、1-、2-、3-もしくは4-スピロビフルオレニル、ピリジル、ピリミジニル、1,3,5-トリアジニル、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル、1-、2-、3-もしくは4-ジベンゾフラニル、1-、2-、3-もしくは4ジベンゾチエニルおよび1-、2-、3-もしくは4-カルバゾリルより成る基から選ばれ、ここで、カルバゾリル基は、窒素原子上で、HもしくはD以外のR
1基により置換されてよいが、好ましくは、非置換である。適切な構造Rは、Ar−1〜Ar−19に対して上記示されるのと同じ構造である。
【0083】
本発明のさらに好ましい1態様では、R
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜6個の炭素原子を有する、好ましくは、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基または5〜30個の芳香族環原子を有する、好ましくは、5〜24個の芳香族環原子を有する、より好ましくは、5〜13個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、夫々1〜4個の炭素原子を有する1以上のアルキル基により置換されてよいが、好ましくは、非置換である。
【0084】
本発明の化合物において、芳香族もしくは複素環式芳香族RもしくはR
1もしくはR
2もしくはAr
1もしくはAr
2基が、互いに直接縮合する2個を超える芳香族6員環を有するアリールもしくはヘテロアリール基を有さない場合がさらに好ましい。2個を超える芳香族6員環が互いに直接縮合する縮合アリール基であるが、フェナントレンとトリフェニレンは、これらが高い三重項準位をも有することから、本発明にしたがい適切である。
【0085】
上記選好は、個々にまたは一緒に生じることができる。上記選好が一緒に生じることが好ましい。
【0086】
非常に特に好ましいのは、以下の式(10)および(11)の化合物である:
【0087】
【化20】
【0088】
式中、使用される記号は上記所与の定義と上記所与の好ましい定義を有する。
【0089】
本発明の適切な化合物の例は、以下に示される構造である。
【0090】
【化21-1】
【0091】
【化21-2】
【0092】
【化21-3】
【0093】
【化21-4】
【0094】
【化21-5】
【0095】
【化21-6】
【0096】
【化21-7】
【0097】
【化21-8】
【0098】
本発明の化合物は、当業者に知られた合成工程、たとえば、臭素化、スズキカップリング、ウルマンカップリング、ハートウイッグ-ブッフバルトカップリング等により調製することができる。適切な合成方法は、以下のスキーム2に一般的な用語で示される。スキーム1は、反応物として使用される1-臭素置換ジベンゾフランの合成を示す。スキーム2は、ジベンゾフランの8位での官能化と本発明の化合物への変換を示す。
【0099】
【化22】
【0100】
【化23】
【0101】
したがって、本発明は、随意に置換された1,8-ジハロジベンゾフランもしくは1,8-ジハロジベンゾチオフェンもしくは基本骨格に1以上の窒素原子を有する対応する誘導体のカルバゾール誘導体との反応と引き続くその他のカルバゾール誘導体との反応による本発明化合物の製造方法をさらに提供し、ここで、カルバゾール誘導体との反応は、夫々、C−Cカップリング、特別には、スズキカップリングである。
【0102】
たとえば、スピンコーティングまたは印刷プロセスによる液相からの本発明による化合物の加工のためには、本発明の化合物の調合物を必要とする。これらの調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはエマルジョンであり得る。この目的のために2以上の溶媒の混合物を使用することが、好ましい可能性がある。適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特別に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコンヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、メチルベンゾエート、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリプロピレングリコールジメチルエ−テル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0103】
したがって、本発明は、さらに、本発明の化合物と少なくとも一つのさらなる化合物とを含む調合物に関する。さらなる化合物は、たとえば、溶媒、特別に、上記溶媒の一つ、またはこれら溶媒の混合物であってよい。さらなる化合物は、代替として、電子素子で同様に用いられる少なくとも一つのさらなる有機もしくは無機化合物、たとえば、発光化合物、特別に燐光ドーパントおよび/またはさらなるマトリックス材料であってもよい。適切な発光化合物とさらなるマトリックス材料は、有機エレクトロルミッセンス素子に関連して、以下に示される。このさらなる化合物は、ポリマー状であってよい。
【0104】
本発明の化合物および混合物は、電子素子での使用のために適している。電子素子は、少なくとも一つの有機化合物を含む少なくとも一つの層を含む素子を意味すると理解される。この素子はまた、無機材料または完全に無機材料から構成される層を含んでもよい。
【0105】
したがって、本発明は、さらに、本発明の化合物もしくは混合物の、電子素子での、特別に、有機エレクトロルミッセンス素子での使用を提供する。
【0106】
本発明は、なおさらに、少なくとも一つの本発明の上記詳細な化合物もしくは混合物を含む電子素子を提供する。この場合に、化合物に対する上記詳細な選好は、電子素子にもあてはまる。
【0107】
電子素子は、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機ソーラーセル(O-SC)、有機染料増感性ソーラーセル、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学セル(LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機プラズモン発光素子(D. M. Koller et al., Nature Photonics 2008, 1-4)より成る群から選ばれるが、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、特別に、燐光OLEDである。
【0108】
有機エレクトロルミッセンス素子は、カソード、アノードと少なくとも一つの発光層を含む。これらの層に加えて、さらなる層、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電子ブロック層および/または電荷生成層を含んでもよい。たとえば、励起子ブロック機能を有する中間層を、2個の発光層の間に導入することも同様に可能である。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はないことが指摘されねばならない。この場合に、有機エレクトロルミネセンス素子は、一つの発光層を含んでもよく、または複数の発光層を含んでもよい。複数の発光層が存在する場合には、これらは、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、その結果全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発し得る種々の発光化合物が、発光層で使用される。特別に好ましいものは、3個の発光層を有する構造であり、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。これらは、蛍光もしくは燐光発光層、または蛍光および燐光発光層が互いに結合したハイブリッドシステムであってよい。白色発光エレクトロルミネッセンス素子は、たとえば、照明用途のみならず、全色表示装置のための色フィルターと組み合わせて使用することができる。
【0109】
上記詳細な態様による本発明の化合物は、その厳密な構造に応じて、種々の層に用いられてよい。好ましいものは、式(1)の化合物またはその好ましい態様による化合物を、その厳密な置換により、蛍光もしくは燐光エミッターのための、特別に、燐光エミッターのためのマトリックス材料として、および/または電子輸送層中におよび/または正孔ブロック層中に、電子輸送もしくは正孔ブロック材料として含む有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0110】
本発明の好ましい1態様では、式(1)の化合物またはその好ましい態様は、発光層中で、燐光化合物のためのマトリックス材料として用いられる。この場合に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、一つの発光層を含んでもよくまたは複数の発光層を含んでもよく、ここで、少なくとも一つの発光層は、少なくとも一つの本発明の化合物をマトリックス材料として含む。
【0111】
式(1)の化合物またはその好ましい態様が、発光層中で、発光化合物のためのマトリックス材料として使用されるならば、好ましくは、一以上の燐光材料(三重項エミッター)と組み合わせて用いられる。本発明の文脈での燐光発光は、スピン多重度>1を有する励起状態、特別に、励起三重項状態からのルミネッセンスを意味すると理解される。本願の文脈では、全てのルミネッセンス遷移金属およびルミネッセンスランタニド錯体、特別に、すべてのイリジウム、白金および銅錯体が、燐光化合物とみなされるべきである。
【0112】
式(1)の化合物またはその好ましい態様と発光化合物の混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全混合物を基礎として、式(1)の化合物またはその好ましい態様を、99〜1体積%、好ましくは、98〜10体積%、より好ましくは、97〜60体積%、特別には、95〜80体積%含む。対応して、混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全混合物を基礎として、エミッターを、1〜99体積%、好ましくは、2〜90体積%、より好ましくは、3〜40体積%、特別には、5〜20体積%含む。化合物が溶液から加工される場合には、上記特定される体積%による量よりむしろ対応する重量%による量を使用することが好ましい。
【0113】
適切な燐光化合物(=三重項エミッター)は、特に、好ましくは、可視域で適切な励起により発光する化合物であり、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、より好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子、特別に、この原子番号を有する金属を含む。使用される好ましい燐光エミッターは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特別に、イリジウムもしくは白金を含む化合物である。本発明の文脈では、上記言及した金属を含む全てのルミネッセント化合物が、燐光化合物とみなされる。
【0114】
上記記載されたエミッターの例は、WO 00/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 05/033244、WO 05/019373、US 2005/0258742、WO 2009/146770、WO 2010/015307、WO 2010/031485、WO 2010/054731、WO 2010/054728、WO 2010/086089、WO 2010/099852、WO 2010/102709、WO 2011/032626、WO 2011/066898、WO 2011/157339、WO 2012/007086、WO 2014/008982、WO 2014/023377、WO 2014/094961、WO 2014/094960、WO 2015/036074、WO 2015/104045、WO 2015/117718、WO 2016/015815および未公開出願EP 15000307.7、EP 15182264.0およびEP 16179378.1により見出され得る。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術により使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切であり、当業者は発明力を行使することなく、さらなる燐光錯体を使用することができるであろう。
【0115】
本発明のさらに好ましい1態様は、さらなるマトリックス材料と組み合わせた燐光エミッターのためのマトリックス材料としての式(1)の化合物またはその好ましい態様の使用である。本発明の好ましい1態様では、さらなるマトリックス材料は正孔輸送化合物である。本発明のなおさらに好ましい1態様では、さらなるマトリックス材料は、正孔および電子輸送層において、あるとしても顕著な程度には関与しない広いバンドギャップを有する化合物である。
【0116】
本発明の化合物のための適切なマトリックス材料は、たとえば、WO 2004/013080、WO 2004/093207、WO 2006/005627もしくはWO 2010/006680によるケトン、ホスフィンオキシドまたはスルホキシドおよびスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)、m-CBP、または、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527、WO 2008/086851もしくはUS2990/0134784に開示されたカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2011/057706もしくはWO 2014/015931によるトリアジンとカルバゾールの組合わせ、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746によるインドロカルバゾール誘導体、たとえば、WO2010/136109、WO2011/000455、WO2013/41176もしくはWO2013/056776によるインデノカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2014/094963もしくはWO 2015/124255によるスピロインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160によるアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/137725によるバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2011/116865、WO 2011/137951、WO 2013/064206もしくはWO 2014/056567によるラクタム、たとえば、WO 2005/111172によるシラン、たとえば、WO 2006/117052もしくはWO 2013/091762によるアザカルバゾールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO 2010/054729によるジアザシロール誘導体、たとえば、WO 2010/054730によるジアザホスホール誘導体、たとえば、WO 2010/015306、WO 2007/063754、WO 2008/056746もしくはWO 2014/023388によるトリアジン誘導体、たとえば、EP 652273もしくはWO 2009/062578による亜鉛錯体、たとえば、WO 2009/148015、WO 2015/169412、WO 2016/015810もしくはWO 2016/023608によるジベンゾフラン誘導体、たとえば、US 2009/0136779、WO 2010/050778、WO 2011/042107もしくはWO 2011/088877による架橋カルバゾール誘導体、または、たとえば、WO 2012/048781によるトリフェニレン誘導体である。通常のエミッターよりも、より短い波長で発光するさらなる燐光エミッターが、同様に、コホストとして混合物中に存在することも可能である。
【0117】
好ましいコホスト材料は、トリアリールアミン誘導体、特別に、モノアミン、インデノカルバゾール誘導体、4-スピロカルバゾール誘導体、ラクタム、トリアジン誘導体およびカルバゾール誘導体である。
【0118】
本発明の化合物と共に、コホスト材料として使用される好ましいトリアリールアミン誘導体は、以下の式(12)の化合物から選ばれる:
【0119】
【化24】
【0120】
式中、Arは、出現毎に同一であるか異なり、上記所与の定義を有する。好ましくは、Ar基は、出現毎に同一であるか異なり、上記Ar−1〜Ar−19基から選ばれる。
【0121】
式(12)の化合物の好ましい1態様では、少なくとも一つのAr基は、ビフェニル基から選ばれ、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル基であってよい。式(12)の化合物のさらに好ましい1態様では、少なくとも一つのAr基は、フルオレン基もしくはスピロビフルオレン基から選ばれ、これらの基は、1-、2-、3-もしくは4位で窒素原子に夫々結合してよい。式(12)の化合物のなおさらに好ましい1態様では、少なくとも一つのAr基は、フェニレン基もしくはビフェニル基から選ばれ、基は、オルト-、メタ-もしくはパラ-結合基であり、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、もしくはカルバゾール基、特別にはジベンゾフラン基により置換され、ここで、ジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン基は、1-2、-もしくは4位を介してフェニレン基もしくはビフェニル基に結合し、カルバゾール基は、1、2、3もしくは4位を介してまたは窒素原子を介してフェニレン基もしくはビフェニル基に結合する。
【0122】
式(12)の化合物の特に好ましい1態様では、一つのAr基は、フルオレンもしくはスピロビフルオレン、特別には、4-フルオレンもしくは4-スピロビフルオレン基から選ばれ、一つのAr基は、ビフェニル基、特別には、パラ-ビフェニル基またはフルオレン基、特別には、2-フルオレン基から選ばれ、第3のAr基は、パラ-フェニレンもしくはパラ-ビフェニル基から選ばれ、ジベンゾフラン基、特別には、4-ジベンゾフラン基もしくはカルバゾール基、特別には、N-カルバゾール基もしくは3-カルバゾール基で置換される。
【0123】
本発明の化合物と共に、コホスト材料として使用される好ましいインデノカルバゾール誘導体は、以下の式(13)の化合物から選ばれる:
【0124】
【化25】
【0125】
式中、ArとRは、上記挙げられた定義を有する。Ar基の好ましい態様は、以下に挙げられる構造Ar−1〜Ar−19基である。
【0126】
式(13)の化合物の好ましい1態様は、以下の式(13a)の化合物である:
【0127】
【化26】
【0128】
式中、ArとRは、上記所与の定義を有する。ここで、インデノ炭素原子に結合する2個のR基は、出現毎に同一であるか異なり、夫々、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくは、メチル基、または6〜12個の炭素原子を有する芳香族環構造、特別には、フェニル基である。より好ましくは、インデノ炭素原子に結合する2個のR基は、メチル基である。さらにより好ましくは、式(13a)においてインデノカルバゾール基本骨格に結合するR置換基は、Hまたは、1-2-、3-もしくは4位または窒素原子を介して、特別には3位を介してインデノカルバゾール基本骨格に結合してよいカルバゾール基である。
【0129】
本発明の化合物と共に、コホスト材料として使用される好ましい4-スピロカルバゾール誘導体は、以下の式(14)の化合物から選ばれる:
【0130】
【化27】
【0131】
式中、ArとRは、上記挙げられた定義を有する。Ar基の好ましい態様は、以下に挙げられる構造Ar−1〜Ar−19である。
【0132】
式(14)の化合物の好ましい1態様は、以下の式(14a)の化合物である:
【0133】
【化28】
【0134】
式中、ArとRは、上記所与の定義を有する。
【0135】
本発明の化合物と共に、コホスト材料として使用される好ましいラクタムは、以下の式(15)の化合物から選ばれる:
【0136】
【化29】
【0137】
式中、Arは、上記挙げられた定義を有する。
【0138】
式(15)の化合物の好ましい1態様は、以下の式(15a)の化合物である:
【0139】
【化30】
【0140】
式中、Rは、上記所与の定義を有する。ここで、好ましくは、Rは、出現毎に同一であるか異なり、Hまたは5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、1以上のR
1基により置換されてよい。最も好ましくは、R置換基は、Hおよび6〜18個の芳香族環原子を有する、好ましくは、6〜13個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれ、夫々、1以上の非芳香R
1基により置換されてよいが、好ましくは、非置換である。適切なR置換基の例は、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、テルフェニル、特別に分岐テルフェニル、クアテルフェニル、特別に分岐クアルフェニル、1-、2-、3-もしくは4-フルオレニル、1-、2-、3-もしくは4-スピロビフルオレニル、ピリジル、ピリミジニル、1-、2-、3-もしくは4-ジベンゾフラニル、1-、2-、3-もしくは4ジベンゾチエニルおよび1-、2-、3-もしくは4カルバゾリルより成る基から選ばれ、夫々、1以上のR
1基により置換されてよいが、好ましくは、非置換である。適切な構造Rは、出現毎に同一であるか異なり、Ar−1〜Ar−19に対して上記示されるのと同じ構造であり、ここで、これらの構造は、RではなくむしろR
1により置換される。
【0141】
本発明のさらなる1態様では、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、別々の正孔注入層および/または正孔輸送層および/または正孔ブロック層および/または電子輸送層を含まず、換言すれば、たとえば、WO 2005/053501に記載されるとおり、発光層は、正孔注入層もしくはアノードに直接隣接し、および/または発光層は、電子輸送層もしくは電子注入層もしくはカソードに直接隣接する。さらに、たとえば、WO 2009/030981に記載されるとおり、発光層中の金属錯体と同一または類似する金属錯体を、発光層に直接隣接して、正孔輸送もしくは正孔注入材料として使用することも可能である。
【0142】
さらに、本発明の化合物を、正孔ブロックもしくは電子輸送層中で使用することもできる。
【0143】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子のさらなる層では、先行技術にしたがって通常用いられるとおりの全ての材料を使用することができる。したがって、当業者は、発明力を行使することなく、本発明による式(1)の化合物または好ましい態様によるものと組み合わせて、有機エレクトロルミネッセンス素子のために知られた全ての材料を使用することができる。
【0144】
さらに好ましいのは、1以上の層が、昇華プロセスにより被覆されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子である。この場合に、材料は、10
−5mbar未満、好ましくは、10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で気相堆積により適用される。初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0145】
同様に好ましいのは、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)法もしくはキャリアガス昇華により被覆されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子である。この場合に、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そのように構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0146】
さらに、好ましいのは、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえば、インクジェット印刷、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷もしくはノズル印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子である。この目的のために、たとえば、適切な置換により得られた可溶性の化合物が必要である。
【0147】
さらに、たとえば、1以上の層が溶液から適用され、1以上のさらなる層が気相堆積により適用されるハイブリッドプロセスも可能である。たとえば、発光層を溶液から適用し、電子輸送層を気相堆積により適用することができる。
【0148】
これらの方法は、当業者に一般的に知られており、当業者は、発明力を行使することなく、本発明の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子に適用することができる。
【0149】
本発明の化合物は、一般的に有機エレクトロルミッセンス素子において良好な特性を有する。特別には、本発明の化合物を有機エレクトロルミッセンス素子に使用する場合には、先行技術による類似の化合物と比較して、寿命は、顕著により良好である。同時に、有機エレクトロルミッセンス素子のさらなる特性、特別には効率と電圧は同様により良好であるか、または少なくとも同等である。
【0150】
本発明は、次の例によって、より詳細に説明されるが、それにより限定することを望むものではない。
【0151】
例
以下の合成を、別段の指定がない限り、無水溶媒中で保護ガス雰囲気下で実施する。溶媒および試薬を、たとえばSigma-ALDRICHまたはABCRから購入することができる。文献から知られている化合物については、対応するCAS番号も、各場合に報告されている。
【0152】
a)6-ブロモ-2-フルオロ-2'-メトキシビフェニル
【0153】
【化31】
【0154】
200g(664ミリモル)の1-ブロモ-3-フルオロ-2-ヨードベンゼンと、101g(664ミリモル)の2-メトキシフェニルボロン酸と、137.5g(997ミリモル)の四ホウ酸ナトリウムとを、1000mlのTHFおよび600mlの水に溶解し、脱気する。9.3g(13.3ミリモル)のビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)と、1g(20ミリモル)の水酸化ヒドラジニウムとを添加する。反応混合物を保護ガス雰囲気下で70℃で48時間撹拌する。冷ました溶液にトルエンを補充し、水で繰り返し洗浄し、乾燥させ、濃縮する。生成物を、トルエン/ヘプタン(1:2)とともに、シリカゲルでカラムクロマトグラフィを介して精製する。収率:155g(553ミリモル)、理論値の83%。
【0155】
同じような方法で、以下の化合物を調製する。
【0156】
【化32】
【0157】
b)6'-ブロモ-2'-フルオロビフェニル-2-オル
【0158】
【化33】
【0159】
112g(418ミリモル)の6-ブロモ-2-フルオロ-2'-メトキシビフェニルを、2lのジクロロメタンに溶解し、5℃に冷却する。41.01ml(431ミリモル)の三臭化ホウ素を90分以内にこの溶液に滴下し、混合物を終夜、撹拌し続ける。その後、混合物を徐々に水と混合し、有機相を水で三回洗浄し、Na
2SO
4で脱水させ、ロータリー蒸発により濃縮させ、クロマトグラフィにより精製する。収率:104g(397ミリモル)、理論値の98%。
【0160】
同じような方法で、以下の化合物を調製する。
【0161】
【化34】
【0162】
c)1-ブロモジベンゾフラン
【0163】
【化35】
【0164】
111g(416ミリモル)の6'-ブロモ-2'-フルオロビフェニル-2-オルを、2lのDMF(最大0.003%のH
2O)SeccoSolv(登録商標)に溶解し、5℃に冷却する。20g(449ミリモル)の水素化ナトリウム(パラフィン油中60%の懸濁液)を、この溶液に小分けして添加し、添加が完了したとき、混合物を20分間撹拌し、次いで混合物を45分間、100℃に加熱する。冷ました後、500mlのエタノールを徐々に混合物に添加し、ロータリー蒸発により濃縮させ、次いでクロマトグラフィにより精製する。収率:90g(367ミリモル)、理論値の88.5%。
【0165】
同じような方法で、以下の化合物を調製する。
【0166】
【化36】
【0167】
d)1-ブロモ-8-ヨードジベンゾフラン
【0168】
【化37】
【0169】
20g(80ミリモル)の1-ブロモジベンゾフランと、2.06g(40.1ミリモル)のヨウ素と、3.13g(17.8ミリモル)のヨウ素酸と、80mlの酢酸と、5mlの硫酸と、5mlの水と、2mlのクロロホルムとを、65℃で3時間、撹拌する。冷ました後、混合物を水と混合し、沈殿した固形物を吸引濾過し、残留物を水で三回洗浄する。残留物をトルエンとジクロロメタン/ヘプタンから再結晶させる。収率は25.6g(68ミリモル)であり、理論値の85%に対応する。
【0170】
同じような方法で、以下の化合物を調製する。
【0171】
【化38】
【0172】
e)3-(9-ブロモジベンゾフラン-2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール
【0173】
【化39】
【0174】
58g(156ミリモル)の1-ブロモ-8-ヨードジベンゾフランと、50g(172ミリモル)のN-フェニル/カルバゾール-3-ボロン酸と、36g(340ミリモル)の炭酸ナトリウムとを、1000mlのエチレングリコールジメチルエーテルと、280mlの水とに懸濁させる。1.8g(1.5ミリモル)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)をこの懸濁液に添加し、反応混合物を還流下で、16時間加熱する。冷ました後、有機相を除去し、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で三回洗浄し、次いで濃縮乾固させる。収率は48g(89ミリモル)であり、理論値の64%に対応する。
【0175】
同じような方法で、以下の化合物を調製する。
【0176】
【化40-1】
【0177】
【化40-2】
【0178】
【化40-3】
【0179】
【化40-4】
【0180】
【化40-5】
【0181】
【化40-6】
【0182】
【化40-7】
【0183】
f)3-[1-[9-[(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-9H-カルバゾール-3-イル]-8-ジベンゾフラニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール
【0184】
【化41】
【0185】
76g(156ミリモル)の3-(9-ブロモジベンゾフラン-2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾールと、90g(172ミリモル)の9-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-3-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-9H-カルバゾールと、36g(340ミリモル)の炭酸ナトリウムとを、1000mlのエチレングリコールジメチルエーテルと280mlの水とに懸濁させる。1.8g(1.5ミリモル)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)をこの懸濁液に添加し、反応混合物を還流下で、16時間加熱する。冷ました後、有機相を除去し、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で三回洗浄し、次いで濃縮乾固する。残留物をDMFから五回再結晶化させ、最後に、二回分別昇華させる(p約10
−6mbar、T=350〜370℃)。収率:81g(110ミリモル)、理論値の65%:HPLCによると99.9%。
【0186】
同じような方法で、以下の化合物を調製する。
【0187】
【化42-1】
【0188】
【化42-2】
【0189】
【化42-3】
【0190】
【化42-4】
【0191】
【化42-5】
【0192】
【化42-6】
【0193】
【化42-7】
【0194】
【化42-8】
【0195】
OLEDの製造
以下の例C1〜I26(表1、2を参照)では、種々のOLEDのデータを提示している。
【0196】
例C1〜I26の前処理:50nm厚の構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆されているガラス板が、酸素プラズマ、次いでアルゴンプラズマで被覆される前に処理される。これらのプラズマ処理されたガラス板は、OLEDが適用される基板を形成する。
【0197】
OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/正孔注入層(HIL)/正孔輸送層(HTL)/電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/随意に、正孔ブロック層(HBL)/電子輸送層(ETL)/随意に、電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの正確な構造を、表1に見ることができる。OLEDの製造に使用する材料を、表3に示す。
【0198】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。この場合、発光層は、常に、少なくとも一種のマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により特定の体積割合で一種または複数種のマトリックス材料に添加される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここでは、IC5:PA1:TEG2(30%:55%:15%)のような形で与えられている詳細は、材料IC5が30体積%の割合で層中に存在し、PA1が55体積%の割合で層中に存在し、TEG2が15体積%の割合で層中に存在することを意味する。同じように、電子輸送層も、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0199】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流効率(cd/Aで測定)、外部量子効率(EQE、%で測定)が、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/m
2で測定され、CIE 1931 xおよびy色座標がそこから計算される。表2のパラメータU1000は、輝度1000cd/m
2に対して必要とされる電圧を示す。CE1000は、輝度1000cd/m
2で実現される電流効率を示す。最後に、EQE1000は、動作輝度1000cd/m
2での外部量子効率を示す。
【0200】
種々のOLEDのデータが表2に要約されている。例C1〜C6は、先行技術による比較例であり;例I1〜I26は、本発明のOLEDのデータを示している。
【0201】
いくつかの例を、本発明のOLEDの優位性を証明するために、以下により詳細に説明する。
【0202】
燐光OLEDでのマトリックス材料としての、本発明の化合物の使用
本発明の材料は、マトリックス材料として、電子伝導化合物(たとえば以下に提示する化合物IC5)と組み合わせて、燐光OLEDの発光層(EML)で使用するとき、とくに、OLEDの外部量子効率に関して、先行技術よりも著しい改善を生じる。本発明の化合物f40、f、f30、f16およびf21(先に述べた例によるもの)を使用することにより、先行技術PA1、PA2、PA3、PA4、PA5およびPA6からの化合物と比較して、約10%〜50%のEQEの改善を実現することができる(例C1、C2、C3、C4、C5、C6と、例I1、I2、I3、I15、I16の比較)。
【0203】
【表1】
【0204】
【表2】
【0205】
【表3-1】
【0206】
【表3-2】
【0207】
【表3-3】
【0208】
【表3-4】
【0209】
【表3-5】