(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ピン部材と該ピン部材が固定される前記第1壁体及び/又は前記第2壁体との間には、該ピン部材を軸線回りに回転可能に支持する転がり軸受が設けられている請求項1から3のいずれかに記載のスクロール型圧縮機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同期駆動機構として、ピン部材とリング部材とを有するピンリング機構を採用し、リング部材を転がり軸受とした場合、以下の問題がある。
図10A及び
図10Bには、ピンリング機構26が6つ配置された場合が示されている。ピン部材30とリング部材34との動力の伝達は、角度範囲ごとに各ピンリング機構26が分担している。ピンリング機構26が6つの場合には、60°(=360°÷6)ずつ各ピンリング機構26が動力伝達を分担している。例えば、
図10Aの場合には、同図において左下のピンリング機構26−1が動力伝達を分担しており、所定角度だけ各スクロール部材が回転すると
図10Bの位置となりピンリング機構26−1の隣のピンリング機構26−2に動力伝達が受け渡されるようになる。このとき、リング部材34が転がり軸受とされていると、ピン部材30とリング部材34の内輪とが接触した際にその位置に対応する転動体のみが転動するように促され、他の転動体は静止状態を保とうとする。これにより、ピン部材30と接触した位置に対応する転動体の転動が妨げられることになり、各転動体を保持するリテーナに負荷が加わり、リテーナが破損するおそれがある。
【0005】
また、同期駆動機構として、ピン部材とリング部材とを有するピンリング機構を採用した場合、ピン部材はスクロール部材に対して圧入されることで不動状態で固定されている。このため、ピン部材が動力を伝達する際に、接触する相手部材との間に摩耗が生じ、同期駆動機構の寿命が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、リテーナに加わる負荷を低減することができる転がり軸受とされた同期駆動機構を備えたスクロール型圧縮機を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、ピン部材との接触による寿命低下を低減することができる同期駆動機構を備えたスクロール型圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のスクロール型圧縮機は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の一態様に係るスクロール型圧縮機は、第1端板に配置された渦巻状の第1壁体を有する第1スクロール部材と、第2端板に配置され、前記第1壁体に対応する第2壁体を有し、該第2壁体が前記第1壁体に対して噛み合わされることによって圧縮空間を形成する第2スクロール部材と、前記第1スクロール部材と前記第2スクロール部材とが相対的に公転旋回運動するように支持する同期駆動機構とを備え、前記同期駆動機構は、前記第1壁体及び/又は前記第2壁体に固定され、対向する前記第2端板及び/又は前記第1端板に向けて突出するピン部材と、前記第1端板及び/又は前記第2端板に固定され、前記ピン部材に接触する内輪、該内輪に対して転動する複数の転動体、及び各前記転動体の相対位置を保持するリテーナを有するリング部材と、
前記ピン部材の外周面と直接的に接触して、前記内輪に対して円周方向の力を前記ピン部材から伝達する中間部材とを備えている。
【0009】
第1スクロール部材の第1端板に配置された第1壁体と、第2スクロール部材の対応する第2壁体とが噛み合わされる。第1スクロール部材と第2スクロール部材との間には、各スクロール部材が相対的に公転旋回運動するように同期駆動機構が設けられている。これにより、第1スクロール部材と第2スクロール部材との間に形成された圧縮空間が公転旋回運動に伴い縮小されることによって圧縮が行われる。
同期駆動機構をピン部材及びリング部材で構成する。そして、リング部材は、内輪と、内輪に対して転動する複数の転動体と、各転動体の相対位置を保持するリテーナとを有する転がり軸受とする。さらに、リング部材は、内輪に対して円周方向の力をピン部材から伝達する中間部材を備えている。この中間部材が内輪を回転させることにより転動体のそれぞれを転動させることができる。これにより、ピン部材と内輪とが接触した際にその位置に対応する転動体のみが転動し、他の転動体が静止状態を保とうとする状態を回避することができ、転動体を保持するリテーナの破損を回避することができる。
なお、スクロール型圧縮機としては、例えば、一方のスクロール部材が固定スクロールとされ、他方のスクロール部材が旋回スクロールとされた固定旋回式のスクロール型圧縮機や、両方のスクロール部材がそれぞれ同じ方向に同一角速度で自転運動する両回転式のスクロール型圧縮機が挙げられる。
【0010】
さらに、本発明の一態様に係るスクロール型圧縮機では、前記中間部材は、前記内輪の内周に配置され、該内輪とともに回転する。
【0011】
前記内輪の内周に配置され内輪とともに回転する中間部材を設けることで、内輪はピン部材から力を受けて常に回転させられることになる。
【0012】
さらに、本発明の一態様に係るスクロール型圧縮機では、前記中間部材は、前記内輪の内周に接触するように形成された略円板形状とされ、前記ピン部材に対応する位置に該ピン部材との間に隙間を有する切欠が設けられ
、前記ピン部材は、外周面の一部のみが前記内輪の内周面又は前記切欠きに接触している。
【0013】
中間部材を、内輪の内周に接触するように形成した略円板形状とすることで、ピン部材との間で伝達される荷重を内輪に対して円滑に伝えることができる。そして、中間部材には、ピン部材に対応する位置にピン部材との間に隙間を有する切欠が設けられているので、ピン部材の移動を中間部材が必要以上に拘束することがなく、同期駆動機構としての機能を有効に発揮させることができる。
【0014】
さらに、本発明の一態様に係るスクロール型圧縮機では、前記中間部材は、前記ピン部材の外周に設けられた弾性部材とされ
、前記弾性部材は、外周面の一部のみが前記内輪に接触している。
【0015】
ピン部材の外周に中間部材として弾性部材を設けることで、内輪はピン部材から力を受けて回転させられることになる。好ましくは、弾性部材は内輪に対して常に接触しており、内輪が常に回転させられるようになっている。
また、弾性部材により、ピン部材と内輪とが接触したときの衝撃を和らげることができ、騒音を低減することができる。
弾性部材としては、例えば、Oリングを用いることができる。
【0016】
さらに、本発明の一態様に係るスクロール型圧縮機では、前記弾性部材は、前記内輪の軸線方向の中央位置に配置されている。
【0017】
弾性部材を内輪の軸線方向の中間位置に配置することで、内輪に対して力を伝達した際に内輪の姿勢が軸線方向に対して傾斜することを防止できる。
【0018】
さらに、本発明の一態様に係るスクロール型圧縮機では、前記ピン部材と該ピン部材が固定される前記第1壁体及び/又は前記第2壁体との間には、該ピン部材を軸線回りに回転可能に支持する転がり軸受が設けられている。
【0019】
ピン部材とピン部材が固定される壁体との間には、ピン部材を軸線回りに回転可能に支持する転がり軸受を設けることとした。これにより、ピン部材が中間部材に接触した際にピン部材が軸線回りに回転することになるので、ピン部材と中間部材との間の摩擦による摩耗が低減され、同期駆動機構の長寿命化を図ることができる。
【0020】
さらに、本発明の一態様に係るスクロール型圧縮機では、前記中間部材は、樹脂とされ、前記ピン部材は、金属とされている。
【0021】
中間部材が樹脂とされているので、金属とされたピン部材と接触すると中間部材に大きな摩耗が生じるおそれがある。これに対して、上述のように転がり軸受でピン部材を支持して回転自由としたので、中間部材の摩耗を低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
中間部材が内輪を回転させることにより転動体のそれぞれを転動させることとしたので、リテーナに加わる負荷を低減することができる。
【0023】
ピン部材を軸線回りに回転可能に支持する転がり軸受を設けることとしたので、ピン部材と中間部材との間の摩擦による摩耗が低減され、同期駆動機構の長寿命化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下に、本発明にかかる第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、スクロール型圧縮機1の縦断面が示されている。同図に示されているように、スクロール型圧縮機1は、ハウジング9内に、駆動部3と、圧縮機構部5とを備えている。
【0026】
駆動部3は、ハウジング9の小径部9a内に収容された電動モータ7を備えている。ハウジング9の小径部9aの外周には放熱フィンが設けられている。電動モータ7は、ハウジング9側に固定されたステータ11と、ステータ11の内側で駆動側中心軸線L1回りに回転するロータ13とを備えている。ロータ13は、回転軸15の外周に固定されている。
回転軸15は、両端が軸受17,19によって支持されている。回転軸15の一端(
図1において左端)には、駆動スクロール部材20の軸部20aが接続されている。したがって、回転軸15と駆動スクロール部材20とが回転する駆動側中心軸線L1は一致している。
【0027】
圧縮機構部5は、ハウジング9の大径部9b内に収容され、金属製とされた駆動スクロール部材(第1スクロール部材)20と、金属製とされた従動スクロール部材(第2スクロール部材)22とを備えている。
【0028】
駆動スクロール部材20は、回転軸15からの回転駆動力が軸部20aを介して伝達されることによって、駆動側中心軸線L1回りに回転する。駆動スクロール部材20は、円板形状とされた端板(第1端板)20bと、端板20bに対して略垂直方向に立設された渦巻状壁体(第1壁体)20cとを備えている。渦巻状壁体20cは、
図2に示されているように、中央側に巻き始め部20c1を有し、外周側に巻き終わり部20c2を有する渦巻き形状とされている。渦巻状壁体20cの内周面および外周面の形状は、例えばインボリュート曲線によって形成されている。ただし、巻き始め部20c1は、種々の曲線を用いて形成されている。
【0029】
従動スクロール部材22は、円板形状とされた端板(第2端板)22bと、端板22bに対して略垂直方向に立設された渦巻状壁体(第2壁体)22cと、端板22bの中心に設けられた軸部22aとを備えている。
軸部22aの外周には、ハウジング9との間に軸受24が取り付けられている。これにより、従動スクロール部材22は、従動側中心軸線L2回りに回転する。駆動側中心軸線L1と従動側中心軸線L2とは所定距離ρだけオフセットされており、この所定距離ρが、駆動スクロール部材20と従動スクロール部材22とが相対的に公転旋回運動する際の旋回半径となる。
【0030】
軸部22aは円筒形状とされており、軸部22aの中心側に形成された貫通孔22a1を介して圧縮後の流体(例えば空気や冷媒)が吐出される。
【0031】
渦巻状壁体22cは、
図2に示されているように、中央側に巻き始め部22c1を有し、外周側に巻き終わり部22c2を有する渦巻き形状とされている。渦巻状壁体22cの内周面および外周面の形状は、駆動スクロール部材20の渦巻状壁体20cに噛み合うように、例えばインボリュート曲線によって形成されている。ただし、巻き始め部22c1の部分は、種々の曲線を用いて形成されている。
【0032】
駆動スクロール部材20と従動スクロール部材22との間には、両スクロール部材20,22を同期して回転させるとともに相対的に公転旋回運動を行うように動力を伝達するピンリング機構(同期駆動機構)26が設けられている。ここで、同期して回転するとは、同方向、同角速度、同位相で回転することを意味する。
【0033】
ピンリング機構26は、
図1に示されているように、従動スクロール部材22に固定されたピン部材30と、駆動スクロール部材20の端板20bに形成された円形溝32内に嵌合されるリング部材34とを備えている。
ピン部材30は、金属製とされており、駆動スクロール部材20の端板20bに対向する従動スクロール部材22の外周壁部22dに固定されている。ピン部材30は、一端が外周壁部22dに埋め込まれ、他端がリング部材34の内周側に突出するように設けられている。
【0034】
円形溝32は、リング部材34の外径に対応する内径とされた円形の溝とされてり、本実施形態では端板20bを貫通する穴となっている。
【0035】
図3及び
図4に示されているように、リング部材34は、玉軸受(転がり軸受)とされており、円形溝32に対して外周が接触するように配置された外輪34aと、内周側がピン部材30に接触するように配置された内輪34bを、外輪34aと内輪34bとの間に配置された複数のボール(転動体)34cと、各ボール34cの相対位置を保持するリテーナ34dとを備えている。
【0036】
内輪34bの内周側には、樹脂製とされたブッシュ(中間部材)36が嵌め込まれている。ブッシュ36は、
図5に示されているように、略円板形状をなしている。ブッシュ36の一部には外周側から中心側に向けて切り欠かれた切欠36aが形成されている。切欠36aは、外周側に向けて開口幅が大きくなる形状とされている。
【0037】
図2に示されているように、ピン部材30、円形溝32及びリング部材34の対は、駆動スクロール部材20の中心C1回りに6つ設けられている。なお、ピン部材30、円形溝32及びリング部材34の対は、本実施形態では6つとされているが、3つ以上であれば良く、例えば4つとされていても良い。
【0038】
図6には、6つのピンリング機構26によって動力伝達が行われている状態が示されている。同図では、左端に位置するピンリング機構26−1によって、ピン部材30を介して動力伝達が行われている。すなわち、ピンリング機構26−1のピン部材30の外周面が内輪34bの内周面に接触し、ボール34c及び外輪34aを介して、端板20bとの動力伝達が行われている。
【0039】
その一方で、ピンリング機構26−1以外の5つのピンリング機構26では、動力伝達が行われていない。ただし、ピン部材30とブッシュ36とは、ピン部材30と内輪34bとが直接的に接触していない状態であっても常に接触している。すなわち、ピン部材30の外周面に対して、ブッシュ36の切欠36aを形成する側面が接触している。これにより、ピン部材30から内輪34bの円周方向の分力が加わり、ブッシュ36が内輪34bとともに回転する。内輪34bが回転することにより、全てのボール34cが転動する。つまり、ピンリング機構26がピン部材30との間で動力伝達を行わない場合であっても、全てのボール34cが転動する。
【0040】
上記構成のスクロール型圧縮機1は、以下のように動作する。
図示しない電力源からの供給電力によって電動モータ7が駆動され、ロータ13が回転することによって、回転軸15が駆動側中心軸線L1回りに回転する。回転軸15の回転駆動力は、軸部20aを介して駆動スクロール部材20に伝達され、駆動スクロール部材20が駆動側中心軸線L1回りに回転する。駆動スクロール部材20の回転力は、ピンリング機構26によって従動スクロール部材22に伝達される。このとき、ピンリング機構26のピン部材30がリング部材34の内周に沿って接触しながら回転することで、駆動スクロール部材20と従動スクロール部材22とが相対的に公転旋回運動する。
駆動スクロール部材20と従動スクロール部材22とが相対的に公転旋回運動することによって、駆動スクロール部材20の渦巻状壁体20cと従動スクロール部材22の渦巻状壁体22cとの間に形成された圧縮空間が外周側から中心側に移動するにしたがって縮小されて、スクロール部材20,22の外周側から吸い込んだ流体の圧縮が行われる。圧縮された流体は、従動スクロール部材22の軸部22aに形成された貫通孔22a1から外部へと吐出される。
【0041】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
ピンリング機構26の内輪34bの内周に配置されたブッシュ36を設けることとした。ブッシュ36は、ピン部材30から内輪34bの円周方向の分力を受けて内輪34bとともに回転する。ブッシュ36が内輪34bを回転させることによりボール34cのそれぞれを転動させることができる。これにより、ピン部材30と内輪34bとが接触した際に、その位置に対応するボール34cのみが転動し、他のボール34cが静止状態を保とうとする状態を回避することができる。したがって、ボール34cを保持するリテーナ34dに加わる負荷を低減することができ、リテーナ34dの破損を回避することができる。
【0042】
また、ブッシュ36を、内輪34bの内周に接触するように形成した略円板形状とすることで、ピン部材30との間で伝達される荷重を内輪34bに対して円滑に伝えることができる。そして、ブッシュ36には、ピン部材30に対応する位置にピン部材30との間に隙間を有する切欠36aが設けられているので、ピン部材30の移動をブッシュ36が必要以上に拘束することがなく、同期駆動機構としての機能を有効に発揮させることができる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る両回転スクロール型圧縮機について説明する。本実施形態は、ピンリング機構が第1実施形態と相違し、その他については同様であるので、以下ではピンリング機構について説明する。
図7及び
図8に示すように、ピンリング機構26’は、ピン部材30の外周に設けられたOリング(中間部材,弾性部材)38を備えている。なお、本実施形態では、第1実施形態で説明したブッシュ36は設けられていない。
【0044】
Oリング38は、無負荷状態においてピン部材30の外周面よりも外方に突出するように設けられている。これにより、無負荷状態であっても常に内輪34bの内周と接触して内輪34bを回転させるようになっている。
【0045】
図8に示すように、ピン部材30と内輪34bとの間で動力を伝達する際には、Oリング38が潰れることによって動力が伝達される。この際に、内輪34bとピン部材30とが直接的に接触しないようにOリング38の外径を定めておくことが好ましい。金属同士の接触を回避することで騒音を低減するためである。
【0046】
また、
図7に示したように、Oリング38は、内輪34bの軸線方向(同図において上下方向)における高さHの中間位置に配置されている。これにより、内輪34bに対して力を伝達した際に内輪34bの姿勢が軸線方向に対して傾斜することを防止できる。
【0047】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る両回転スクロール型圧縮機について説明する。本実施形態は、各上記実施形態に対してピンリング機構のピンの固定構造が相違する。その他については同様であるので、以下ではピンリング機構について説明する。
【0048】
図9に示すように、ピン部材30は、金属製とされており、駆動スクロール部材20の端板20bに対向する従動スクロール部材22の外周壁部22dに固定されている。ピン部材30の一端は、従動スクロール部材22の外周壁部22dに対して、玉軸受(転がり軸受)37を介して軸線回りに回転自由に固定されている。このようにピン部材30が玉軸受37によって回転自由に支持されているので、ブッシュ36の切欠36aを形成する側壁と接触しても、大きな摩擦を生じさせることなく転動するようになっている。
【0049】
なお、本実施形態では玉軸受37は2つとされているが、その個数は1つでも、3つ以上でも良い。ピン部材30の他端は、リング部材34の内周側に突出するように設けられている。
また、ピン部材30を回転自由に支持する軸受として玉軸受37を用いることとしたが、他の転がり軸受でも良く、例えばニードルベアリング(針状ころ軸受)としても良い。
【0050】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
ピン部材30を軸線回りに回転可能に支持する玉軸受37を設けることとした。これにより、ピン部材30がブッシュ36に接触した際にピン部材30が軸線回りに回転することになるので、ピン部材30とブッシュ36との間の摩擦による摩耗が低減され、ピンリング機構26の長寿命化を図ることができる。
【0051】
また、ブッシュ36が樹脂とされているので、金属とされたピン部材30と接触するとブッシュ36に大きな摩耗が生じるおそれがある。これに対して、玉軸受37でピン部材30を支持して回転自由としたので、ブッシュ36の摩耗を低減することができる。
【0052】
なお、上述した各実施形態では、ピンリング機構26,26’のピン部材30を従動スクロール部材22に設け、リング部材34を駆動スクロール部材20に設けた構成としたが、ピン部材30を駆動スクロール部材20に設け、リング部材34を従動スクロール部材22に設けても良いし、各スクロール部材20,22に振り分けることとしても良い。
【0053】
また、第1実施形態及び第3実施形態のブッシュ36に形成した切欠36aの形状は、これらの実施形態に限定されるものではなく、荷重を負担していない場合であってもピン部材30の外周面に当接する形状であれば良い。
【0054】
また、各実施形態のような両回転式のスクロール型圧縮機1だけでなく、一方のスクロール部材が固定スクロールとされ、他方のスクロール部材が旋回スクロールとされた固定旋回式のスクロール型圧縮機にも適用することができる。