(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る光装置30を説明するための図である。
【0013】
光装置30は、発光装置10及びセンサ装置20(受光素子220)を備えている。
【0014】
発光装置10は、基板100、複数の発光素子140及び複数の透光部154を備えている。基板100は、第1面102及び第2面104を有している。第2面104は、第1面102の反対側にある。複数の発光素子140は、基板100の第1面102側に位置している。複数の透光部154のそれぞれは、隣り合う発光素子140の間に位置している。発光装置10は、複数の透光部154によって透光性を有している。
【0015】
図1に示す発光装置10は、
図3以降の図を用いて詳細を後述する発光装置10と同様の構成を有している。
図3以降の図を用いて詳細を後述するように、複数の発光素子140からの光は、基板100の第2面104から主に出力される。特に本実施形態では、各発光素子140から発せられて基板100の第1面102側から漏れる光の量が抑えられている。
【0016】
センサ装置20は、発光装置10の周囲に設けられている。
図1に示す例では、センサ装置20は、基板100の第1面102の斜め前にあり、具体的には、基板100に平行な方向から見たときの第1面102側かつ、基板100に垂直な方向から見たときの第1面102又は第2面104と重ならない位置に位置している。他の例において、センサ装置20は、基板100の第1面102の正面にあってもよいし、又は基板100の第1面102と第2面104の間の側方にあってもよい。さらに他の例において、センサ装置20は、基板100の第2面104の斜め前にあってもよく、具体的には、基板100に平行な方向から見たときの基板100の第2面104側かつ、基板100に垂直な方向から見たときの第1面102又は第2面104と重ならない位置に位置していてもよい。
【0017】
センサ装置20は、光装置30の周囲の情報を取得するための光センシングを行う。
図1に示す例において、センサ装置20は、発光素子210及び受光素子220を含んでいる。一例において、センサ装置20は、測距センサ、特にLiDAR(Light Detection And Ranging)にすることができる。この例において、発光素子210は、センサ装置20の外部に向けて光を発し、受光素子220は、発光素子210から発せられて対象物によって反射された光を受ける。一例において、発光素子210は、電気的エネルギーを光エネルギーに変換可能な素子、例えばレーザダイオード(LD)にすることができ、受光素子220は、光エネルギーを電気的エネルギーに変換可能な素子、例えばフォトダイオード(PD)にすることができる。センサ装置20は、光が発光素子210から発せられてから受光素子220によって受けられるまでの時間に基づいて、センサ装置20から対象物までの距離を検出することができる。
【0018】
センサ装置20の受光素子220は、センサ装置20の外部からの光を検出する。したがって、受光素子220の誤検出を防ぐため、発光装置10から発せられた光が受光素子220に入射されることを可能な限り抑えることが望ましい。
【0019】
光装置30は、発光及び光センシングを行うための用途、例えば、自動車の、測距センサ付きテールランプに用いることができる。この例においては、発光装置10が発光の機能を実現し、センサ装置20が光センシングの機能を実現する。
【0020】
上述した構成によれば、発光装置10から発せられる光による受光素子220の誤検出を抑えることができる。具体的には、上述したように、本実施形態では、各発光素子140から発せられて基板100の第1面102側から漏れる光の量が抑えられている。したがって、発光装置10から発せられる光の装置20(受光素子220)へ入射されることを抑えることができる。したがって、発光装置10から発せられる光による受光素子220の誤検出を抑えることができる。
【0021】
特に本実施形態においては、装置20(受光素子220)が基板100の第1面102の正面又は斜め前にあっても、発光装置10から発せられる光による受光素子220の誤検出を抑えることができる。上述したように、本実施形態では、各発光素子140から発せられて基板100の第1面102側から漏れる光の量が抑えられている。したがって、発光装置10から発せられた光の基板100の第1面102の正面又は斜め前への漏れを抑えることができる。したがって、装置20(受光素子220)が基板100の第1面102の正面又は斜め前にあっても、発光装置10から発せられる光による受光素子220の誤検出を抑えることができる。
【0022】
(実施形態2)
図2は、実施形態2に係る光装置30を説明するための図であり、実施形態1の
図1に対応する。本実施形態に係る光装置30は、以下の点を除いて、実施形態1に係る光装置30と同様である。
【0023】
センサ装置20は、光装置30の周囲の情報を取得するための光センシングを行う。
図2に示す例において、センサ装置20は、複数の受光素子220を含んでいる。一例において、センサ装置20は、撮像センサにすることができる。この例において、複数の受光素子220は、画像を電気信号に変換可能な素子、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal−Oxide−Semiconductor)イメージセンサにすることができる。一例において、各受光素子220は、光エネルギーを電気的エネルギーに変換可能な素子、例えばフォトダイオード(PD)にすることができる。センサ装置20は、複数の受光素子220によって、センサ装置20の外部の対象物の像を検出することができる。
【0024】
センサ装置20の受光素子220は、センサ装置20の外部からの光を検出する。したがって、受光素子220の誤検出を防ぐため、発光装置10から発せられて受光素子220に入射される光の量を可能な限り抑えることが望ましい。
【0025】
光装置30は、発光及び光センシングを行うための用途、例えば、自動車の、撮像センサ付きテールランプに用いることができる。この例においては、発光装置10が発光の機能を実現し、センサ装置20が光センシングの機能を実現する。
【0026】
本実施形態においても、実施形態1と同様にして、発光装置10から発せられる光による受光素子220の誤検出を抑えることができる。
【0027】
(実施形態3)
図3は、実施形態3に係る発光装置10を示す平面図である。
図4は、
図3のA−A断面図である。
図3では、Y方向は、発光部142の長手方向として規定されており、X方向は、Y方向に交わる方向として、より具体的にはY方向に直交する方向として規定されており、特に
図3に示す例では、発光部142の短手方向に沿っている。
【0028】
図4を用いて、発光装置10の概要について説明する。発光装置10は、基板100、複数の発光部142及び絶縁層160を備えている。複数の発光部142は、基板100に位置しており、各発光部142は、第1電極110、有機層120及び第2電極130を含んでいる。絶縁層160は、複数の発光部142のうちの隣り合う発光部142の間で各第1電極110の端部を覆っている。絶縁層160は、透光性を有しており、隣り合う発光部142のうちの一方の第1電極110の端部から他方の第1電極110の端部まで連続して位置している。隣り合う発光部142の間の各第2電極130の端部は、絶縁層160上に位置している。絶縁層160と重なる領域は、透光領域152として機能する領域を含んでいる。
【0029】
上述した構成によれば、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)の反対側へ漏れる光の量を抑えることができる。具体的には、上述した構成においては、絶縁層160は、隣り合う発光部142のうちの一方の第1電極110の端部から他方の第1電極110の端部まで連続して位置している。絶縁層160は、隣り合う発光部142の間で各第2電極130から露出した面Sを有している。上述した構成においては、面Sは、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)に沿うようにすることができる。この場合、
図5及び
図6を用いて後述するように、発光部142から出射されて発光装置10の発光面(基板100の第2面104)で全反射によって反射した光が絶縁層160の面S側の媒質に達したとき、この光の入射角が大きいものとなる。したがって、この光は、全反射によって発光装置10の発光面(基板100の第2面104)に向けて反射する。また、発光部142から出射されて発光装置10の発光面(基板100の第2面104)でフレネル反射によって反射した光が絶縁層160の面S側の媒質に達したとき、このフレネル反射光のうちの入射角が大きいものは、全反射によって発光装置10の発光面(基板100の第2面104)に向けて反射する。このようにして、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)の反対側へ漏れる光の量を抑えることができる。
【0030】
次に、
図3を用いて、発光装置10の平面レイアウトの詳細について説明する。発光装置10は、基板100、複数の発光部142(複数の発光素子140)及び複数の透光領域152を備えている。
【0031】
複数の発光部142は、X方向に沿って並び、Y方向に延伸している。このようにして、複数の発光部142は、ストライプ状に並んでいる。特に
図3に示す例では、複数の発光部142は、等間隔で配置されている。
【0032】
複数の透光領域152のそれぞれは、隣り合う発光部142の間に位置している。このようにして、複数の透光領域152及び複数の発光部142は、X方向に沿って交互に並んでいる。
【0033】
次に、
図4を用いて、発光装置10の断面構造の詳細について説明する。発光装置10は、基板100、複数の発光素子140及び絶縁層160を備えている。各発光素子140は、第1電極110、有機層120及び第2電極130を基板100から順に有している。
【0034】
基板100は、第1面102及び第2面104を有している。複数の発光素子140及び絶縁層160は、基板100の第1面102側に位置している。第2面104は、第1面102の反対側にある。第2面104は、発光装置10の発光面として機能しており、複数の発光素子140からの光は、主に第2面104から出力される。つまり、発光装置10から発せられる光の第2面104側における光束は、発光装置10から発せられる光の第1面102側における光束よりも大きくなっている。
【0035】
基板100は、透光性を有している。したがって、各発光素子140から発せられた光は、基板100を透過することができる。さらに、発光装置10の外部から届いた光は、基板100を透過することができ、より具体的には、基板100の第1面102側から基板100の第2面104側に向かって透過することができるとともに、基板100の第2面104側から基板100の第1面102側に向かって透過することができる。
【0036】
基板100は、透光性を有する材料を含んでおり、一例において、ガラス又は樹脂を含んでいる。
【0037】
第1電極110は、透光性を有している。このため、有機層120から発せられた光は、第1電極110を透過することができ、これにより、基板100に入射することができる。
【0038】
第1電極110は、透光性及び導電性を有する材料を含んでおり、一例において、金属酸化物、具体的には例えば、ITO(Indium Tin Oxide)及びIZO(Indium Zinc Oxide)の少なくとも1つを含んでいる。
【0039】
有機層120は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)によって光を発することができる。一例において、有機層120は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)を含んでいる。EMLは、第1電極110からHIL及びHTLを経由して注入された正孔及び第2電極130からEIL及びETLを経由して注入された電子の再結合によって光を発する。
【0040】
図4に示す例では、有機層120は、複数の発光素子140に亘って広がっており、隣り合う発光部142の間で、絶縁層160の面Sを覆っている。言い換えると、複数の発光素子140は、共通の有機層120を有している。
【0041】
第2電極130は、第1電極110と向かい合って位置している。例えば、第2電極130は、遮光性を有しており、具体的には、光反射性及び光吸収性を有している。このため、有機層120から発せられた光は、第2電極130を透過することなく、第2電極130によって反射され、又は吸収される。一方で、第2電極130が透過性を有していてもよい。このようにすることで、発光装置10の全体の透過率が上がる。また、第2電極130の透過率が発光装置10の場所ごとに変わっていてもよい。
【0042】
第2電極130は、導電性を有する材料を含んでおり、第2電極130が遮光性を有する場合は例えば金属、具体的には例えば、Al、Ag及びMgAgの少なくとも1つを含んでいる。また、第2電極130が透光性を有する場合は上記材料を薄く製膜する(例えば100nm以下)ことや、上述した第1電極110の材料を用いることで第2電極130を形成できる。
【0043】
絶縁層160は、発光素子140の発光部142を画定している。具体的には、絶縁層160は、各第1電極110の一部を露出するように各第1電極110の端部を覆っている。絶縁層160は、第1電極110の表面に交わる側面SS1を有しており、有機層120及び第2電極130は、側面SS1よりも内側で第1電極110に積層されている。このようにして、発光素子140は、発光部142として機能する領域、すなわち、第1電極110、有機層120及び第2電極130の積層体を有している。
【0044】
絶縁層160は、透光性を有する絶縁材料を含んでおり、例えば、有機絶縁材料(例えば、ポリイミド)又は無機絶縁材料(例えば、シリコン酸化物(SiO
2)、シリコン窒化物(SiN)又はシリコン酸窒化物(SiON))を含んでいる。特に、光透過性の観点から絶縁層160が無機絶縁材料を含むことが好ましい。
【0045】
発光装置10は、複数の透光領域152及び複数の遮光領域154を有している。各透光領域152は、遮光部材、具体的には、第2電極130から露出している。各遮光領域154は、遮光部材、具体的には、第2電極130と重なっている。発光装置10の外部からの光は、透光領域152を透過することができ、具体的には、基板100の第1面102側から基板100の第2面104側に向かって透過することができるとともに、基板100の第2面104側から基板100の第1面102側に向かって透過することができる。特に、絶縁層160は、透光領域152において各第2電極130から露出した面Sを有している。面Sは、基板100の第2面104に沿っており、具体的には、基板100の第2面104と平行になっている。外部からの光は、第2電極130によって遮光領域154を透過することはできない。
【0046】
複数の透光領域152によって、発光装置10は、半透過OLEDとして機能することができる。具体的には、複数の発光部142から光が発せられていない場合、複数の透光領域152によって、人間の視覚では、第1面102側の物体が第2面104側から透けて見え、第2面104側の物体が第1面102側から透けて見える。さらに、複数の発光部142からの光は、第2面104側から主に出力され、第1面102側からはほとんど出力されない。複数の発光部142から光が発せられている場合、複数の透光領域152によって、人間の視覚では、第2面104側の物体が第1面102側から透けて見える。
【0047】
発光装置10の光線透過率を高くする観点からすると、透光領域152の幅d1は、ある程度広いことが好ましく、一例において、遮光領域154の幅d2(すなわち、第2電極130の幅)よりも広くすることができる(d1>d2)。
【0048】
図5は、
図3及び
図4に示した発光装置10の動作の一例を説明するための図である。
図6は、
図5の領域αを拡大した図である。
図5及び
図6に示す例では、基板100の第2面104側には媒質M1が位置しており、基板100の第1面102側には媒質M2が位置している。媒質M1及び媒質M2は、同じ媒質であり、具体的には、空気である。
【0049】
図5に示す例では、発光部142から発せられた光が全反射によって基板100の第2面104と媒質M1の界面で反射している。この光は、基板100及び絶縁層160を透過して絶縁層160の面Sに達する。
図6に示すように、この光は、領域αで有機層120と媒質M2の界面に入射角θiで入射する。
【0050】
図5及び
図6に示す例では、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)の反対側へ絶縁層160の面Sを経由して漏れる光の量を抑えることができる。詳細には、面Sは、基板100の第2面104に沿っており、具体的には、基板100の第2面104と平行になっている。このような構成によって、絶縁層160の面Sでの入射角あるいは有機層120と媒質M2の界面での光の入射角θiを大きくすることができる。このため、基板100と媒質M1の界面で全反射した反射光が絶縁層160の面Sで全反射することができ、発光装置10の基板100の第1面102側への光(漏れ光)の発生を防ぐことができる。また、基板100と媒質M1との界面でフレネル反射したフレネル反射光のうち、絶縁層160の面Sに対して全反射するような角度で侵入した光を面S、あるいは有機層120と媒質M2との界面で全反射することができ、漏れ光を減らすことができる。このようにして、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)の反対側へ絶縁層160の面Sを経由して漏れる光の量を抑えることができる。
【0051】
図7は、比較例に係る発光装置10を示す断面図であり、実施形態3の
図4に対応する。比較例に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施形態3に係る発光装置10と同様である。
【0052】
図7に示す発光装置10では、各発光部142を画定する絶縁層160が互いに離間している。基板100の第1面102は、隣り合う絶縁層160の間で絶縁層160から露出しており、有機層120によって覆われている。
【0053】
各絶縁層160は、側面SS1とは反対側の側面SS2を有している。側面SS2は、基板100の第2面104に沿っておらず、基板100の第2面104から傾いた方向に沿っている。
【0054】
図8は、
図7に示した発光装置10の動作の一例を説明するための図である。
図9は、
図8の領域βを拡大した図である。
図8及び
図9に示す例では、基板100の第2面104側には媒質M1が位置しており、基板100の第1面102側には媒質M2が位置している。媒質M1及び媒質M2は、同じ媒質であり、具体的には、空気である。
【0055】
図8に示す例では、発光部142から発せられた光が全反射によって基板100の第2面104と媒質M1の界面で反射している。特に
図8に示す例では、この光は、全反射によって、隣り合う発光部142の間で有機層120と媒質M1の界面で反射し、さらに、全反射によって、基板100の第2面104と媒質M1の界面で反射している。
図9に示すように、この光は、領域βで有機層120と媒質M2の界面に入射角θiで入射する。
【0056】
図8及び
図9に示す例では、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)の反対側へ絶縁層160の側面SS2を経由して漏れる光の量が多いものとなる。詳細には、側面SS2は、基板100の第2面104に沿っておらず、具体的には、基板100の第2面104から傾いて方向に沿っている。このような構成によって、発光部142の光のうち、入射角θ0で入射し、基板100の第2面104で全反射した光は絶縁膜160の側面SS2でθ0とは異なる角度のθiで侵入することとなり、結果全反射が起こらずに絶縁膜160を介して媒質M2側へ漏れ光となって放出される。つまり、絶縁膜160に側面SS2が形成されていると有機層120と媒質M2の界面の入射角θiは小さいものとなる。したがって、領域βでは、基板100の第2面104で全反射した光で有機層120と媒質M2の界面に達したものの大部分が媒質M2側に向けて透過する。このようにして、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)の反対側へ絶縁層160の側面SS2を経由して漏れる光の量が多いものとなる。
【0057】
なお、比較例に係る構成は透過部152における透過率は絶縁膜160が形成されていない部分では高くなる。そのため、発光装置10において、一部では絶縁膜160が面Sを有するように形成して、他の部分では絶縁膜を分断して形成してもよい。設計者が透過率と漏れ効の量を勘案して適宜設計することができる。例えば、発光装置10の中心付近では、透過率を高めるために絶縁膜160を分断して設け、他方周囲の部分での漏れ光を削減するために面Sを形成するようにしてもよい。
【0058】
図10は、発光装置10の配光分布の詳細を説明するための図である。
図10に示す例では、発光装置10の配光分布は、第2面104の正面方向(すなわち、第2面104に垂直な方向)に光度L1(第1光度)を有しており、第1面102の正面方向(すなわち、第1面102に垂直な方向)から角度φ傾いた方向に光度L2(第2光度)を有している。
【0059】
図11は、実施形態3に係る発光装置10(
図4)及び比較例に係る発光装置10(
図7)の各々に関して、発光面(基板100の第2面104)の反対側へ漏れる光の量のシミュレーション結果を示す図である。
図11のグラフの縦軸は、光度L1(
図10)に対する光度L2(
図10)の光度比Rを示しており、
図11のグラフの横軸は、光度L2の角度φ(
図10)を示している。
【0060】
図11のシミュレーションにおける実施形態3に係る発光装置10及び比較例に係る発光装置10の各々の条件は、以下のとおりとした。
【0061】
基板100は、ガラス基板(屈折率:1.52)とした。基板100の形状は、X方向に沿った10mmの短辺及びY方向に沿った40mmの長辺を有する矩形とした。基板100の厚みは、0.2mmとした。
【0062】
発光素子140(発光部142)の数は7つとした。7つの発光部142は、0.714mmのピッチpで並べた。各発光部142の幅は、0.2mmとした、各発光部142の第2電極130の幅(遮光領域154の幅d2)は、0.25mmとした。
【0063】
絶縁層160の厚みは、0.7μmとした。絶縁層160の屈折率は、1.65とした。
【0064】
図11に示すように、角度φが0°以上50°以下のとき、実施形態3及び比較例のいずれにおいても、光度比Rがほぼ同じ程度に抑えられている。角度φが55°以上60°以下のとき、比較例の光度比Rは、実施形態3の光度比Rよりもやや大きくなる。角度φが65°以上85°以下のとき、実施形態3の光度比Rは、10%以下、より具体的にはほぼ5%以下に抑えられているのに対して、比較例の光度比Rは、10%を超えている。特に角度φが70°以上80°以下のとき、比較例の光度比Rは、実施形態3の光度比Rよりも相当に大きくなっており、具体的には15%を超えている。
【0065】
図11に示す例では、実施形態3の光度比Rは、いずれの方向においても低く抑えられており、具体的には、角度φについて0°以上90°以下のいずれにおいても、10%以下、特におおよそ5%以下となっている。
【0066】
図11において実施形態3の光度比Rがいずれの方向においても低く抑えられている理由は、
図5及び
図6を用いて説明したように、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)の反対側へ絶縁層160の面Sを経由して漏れる光の量を抑えることができているためであると推測される。
【0067】
図11において比較例の光度比Rが一部の方向(角度φについておおよそ65°以上85°以下)において高くなっている理由は、
図8及び
図9を用いて説明したように、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)の反対側へ絶縁層160の側面SS2を経由して漏れる光の量が多いものとなっているためであると推測される。
【0068】
以上、本実施形態によれば、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)の反対側へ漏れる光の量を抑えることができる。
【0069】
(実施形態4)
図12は、実施形態4に係る発光装置10を示す断面図であり、実施形態3の
図4に対応する。本実施形態に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施形態3に係る発光装置10と同様である。
【0070】
図12に示す発光装置10では、各発光部142を画定する絶縁層160が互いに離間している。基板100の第1面102は、隣り合う絶縁層160の間で絶縁層160から露出しており、有機層120によって覆われている。
【0071】
各絶縁層160は、側面SS1及び側面SS2を有している。側面SS1及び側面SS2は、テーパー面となっている。側面SS1は、基板100の第2面104に沿っておらず、基板100の第2面104から傾いた方向に沿っている。側面SS2は、側面SS1とは反対側にある。側面SS2は、基板100の第2面104に沿っておらず、基板100の第2面104から傾いた方向に沿っている。
【0072】
発光装置10は、絶縁層170を備えている。絶縁層170は、複数の発光素子140に亘って広がっており、複数の発光素子140を覆っている。絶縁層170は、透光性を有している。
【0073】
絶縁層170は、面Sを有している。面Sは、基板100の第2面104とは反対側を向いている。さらに、面Sは、基板100、具体的には、基板100の第2面104に沿っており、より具体的には、基板100の第2面104と平行になっている。特に、面Sは、各透光領域152で、基板100の第2面104に沿っており、具体的には、各透光領域152で、基板100の第2面104と平行になっている。絶縁層170の材料は絶縁層160と同じ材料であることが好ましいが、異なる材料であってもよい。
【0074】
図13は、
図12に示した発光装置10の動作の一例を説明するための図であり、実施形態3の
図5に対応する。
図5に示した例と同様にして、
図13に示す例では、基板100の第2面104側には媒質M1が位置しており、基板100の第1面102側には媒質M2が位置している。媒質M1及び媒質M2は、同じ媒質であり、具体的には、空気である。
【0075】
図13に示す例では、発光部142から発せられた光が全反射によって基板100の第2面104と媒質M1の界面で反射している。この光は、基板100及び絶縁層160を透過して絶縁層160の面Sに達する。この光は、絶縁層170と媒質M2の界面に達する。
【0076】
図13に示す例では、
図5及び
図6に示した例と同様にして、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)の反対側へ絶縁層170の面Sを経由して漏れる光の量を抑えることができる。詳細には、面Sは、基板100の第2面104に沿っており、具体的には、基板100の第2面104と平行になっている。このような構成によって、基板100の第2面104で全反射した反射光を面Sでも全反射できるようになる。具体的には、絶縁層170と媒質M2の界面での光の入射角を全反射する角度まで大きくすることができる。このため、
図5及び
図6に示した例と同様にして、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)の反対側へ絶縁層170の面Sを経由して漏れる光の量を抑えることができる。また、絶縁層160と絶縁層170とを同じ材料を含ませるなどによって、屈折率差を少なくすることが好ましく、絶縁層160の屈折率と絶縁層170の屈折率が同じであることが特に好ましい。このようにすることで、基板100の第2面104で全反射した反射光が絶縁層160を介して絶縁層170に入射しても絶縁層160と絶縁層170との界面で屈折が起こらないため、結果的に絶縁層160を介した反射光が面Sで全反射する角度で絶縁層170に侵入することができる。
【0077】
図14は、実施形態4に係る発光装置10(
図12)及び比較例に係る発光装置10(
図7)の各々に関して、発光面(基板100の第2面104)の反対側へ漏れる光の量のシミュレーション結果を示す図であり、実施形態3の
図11に対応する。
【0078】
図14のシミュレーションにおける実施形態4に係る発光装置10の条件は、絶縁層170の厚みが1μmである点を除いて、
図11のシミュレーションにおける実施形態3に係る発光装置10の条件と同一とした。
【0079】
図14に示す例では、
図11に示した実施形態3の光度比Rと同様にして、実施形態4の光度比Rは、いずれの方向においても低く抑えられており、角度φについて0°以上90°以下のいずれにおいても、10%以下、特におおよそ5%以下となっている。
【0080】
図14において実施形態4の光度比Rがいずれの方向においても低く抑えられている理由は、
図13を用いて説明したように、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)の反対側へ絶縁層170の面Sを経由して漏れる光の量を抑えることができているためであると推測される。
【0081】
本実施形態においても、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)の反対側へ漏れる光の量を抑えることができる。
【実施例】
【0082】
図15は、実施例に係る発光装置10を示す平面図である。
図16は、
図15から第2電極130を取り除いた図である。
図17は、
図16から絶縁層160を取り除いた図である。
図18は、
図15のB−B断面図である。
図19は、
図15のC−C断面図である。
図15のA−A断面図は、
図4に示したようになる。説明のため、
図4及び
図18及び
図19に示した有機層120は、
図15から
図17までの各図から取り除いている。
【0083】
図15から
図17を用いて、発光装置10の平面レイアウトの詳細について説明する。発光装置10は、複数の第1電極110、複数の第1接続端子112、複数の第2電極130、複数の第2接続端子132及び絶縁層160を備えている。
【0084】
複数の第1電極110は、Y方向に延伸しており、X方向に沿って並んでいる。複数の第1電極110のそれぞれは、複数の第1接続端子112のそれぞれに接続している。特に
図17に示す例では、第1電極110及び第1接続端子112は、一体となっている。
【0085】
複数の第2電極130のそれぞれは、複数の第1電極110のそれぞれと重なっている。複数の第2電極130は、Y方向に延伸しており、X方向に沿って並んでいる。複数の第2電極130のそれぞれは、複数の第2接続端子132のそれぞれに接続している。
【0086】
複数の第1接続端子112には、共通の配線を接続させることができ、複数の第2接続端子132には、共通の配線を接続させることができる。このような構成によって、X方向に沿って並ぶ複数の発光素子140を並列に接続させることができる。
【0087】
絶縁層160は、複数の第1電極110に亘って広がっており、複数の開口162を有している。複数の開口162のそれぞれは、複数の第1電極110のそれぞれと重なっている。複数の開口162は、Y方向に延伸しており、X方向に沿って並んでいる。各開口162は、Y方向に延伸する縁を有しており、この縁は、絶縁層160の側面SS1として機能している。
図4から明らかなように、絶縁層160の開口162内では、第1電極110、有機層120及び第2電極130が積層されている。このようにして、発光素子140は、発光部142として機能する領域を有している。
【0088】
図18を用いて、第2接続端子132の近傍における絶縁層160の断面構造の詳細について説明する。
図18に示すように、第1電極110は、第2接続端子132に対向する端部を有し、第2接続端子132は、第1電極110に対向する端部を有し、これらの端部は、絶縁層160によって覆われている。第2電極130は、絶縁層160の上方の領域を経由して第1電極110側から第2接続端子132側にかけて広がっている。このようにして、絶縁層160は、第1電極110と第2電極130の直接接触、すなわち、第1電極110と第2電極130の短絡を防止している。
【0089】
図19を用いて、第1接続端子112の近傍における絶縁層160の断面構造の詳細について説明する。
図19に示すように、第1電極110は、絶縁層160の下方の領域を経由して第1接続端子112側に向けて広がっており、第1接続端子112に接続している。第2電極130の端部は、絶縁層160上に位置している。このようにして、絶縁層160は、第1電極110(第1接続端子112)と第2電極130の直接接触、すなわち、第1電極110(第1接続端子112)と第2電極130の短絡を防止している。
【0090】
本実施例においても、
図4に示したように、絶縁層160は、面Sを有している。面Sは、基板100の第2面104に沿っており、具体的には、基板100の第2面104と平行になっている。このような構成によって、発光装置10の発光面(基板100の第2面104)の反対側へ絶縁層160の面Sを経由して漏れる光の量を抑えることができる。
【0091】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0092】
以下、参考形態の例を付記する。
1. 基板と、
前記基板に位置し、それぞれが第1電極、有機層及び第2電極を含む複数の発光部と、
前記複数の発光部のうちの隣り合う発光部の間で各第1電極の端部を覆う透光性の絶縁層と、
を備え、
前記絶縁層は、隣り合う発光部の一方の第1電極の端部から他方の第1電極の端部まで連続して位置し、
隣り合う発光部の間の各第2電極の端部は、前記絶縁層上に位置し、
前記絶縁層と重なる領域は、透光領域として機能する領域を含む発光装置。
2. 1.に記載の発光装置において、
前記基板は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、
前記複数の発光部は、前記第1面側に位置し、
前記絶縁層は、隣り合う発光部の間で各第2電極から露出した面を有し、
前記絶縁層の前記面は、前記基板の前記第2面に沿っている発光装置。
3. 2.に記載の発光装置において、
前記発光装置から発せられる光の前記第2面側における光束は、前記発光装置から発せられる光の前記第1面側における光束よりも大きい発光装置。
4. 2.又は3.に記載の発光装置において、
各発光部は、前記基板の前記第1面から、前記第1電極、前記有機層及び前記第2電極が順に含んでいる発光装置。
5. 1.から4までのいずれか一つに記載の発光装置において、
前記複数の発光部は、第1方向に沿って隣り合う発光部を含み、
隣り合う発光部の間で各第2電極から露出した領域の幅は、前記第1方向において、隣り合う発光部の各第2電極の幅よりも広い発光装置。
6. 2.に記載の発光装置において、
前記発光装置の配光分布は、前記第2面に垂直な方向に第1光度を有し、前記第1面に垂直な方向から角度φ傾いた方向に第2光度を有し、
前記第1光度に対する前記第2光度の光度比は、角度φについて0°以上90°以下のいずれにおいても、10%以下である発光装置。
7. 基板と、
前記基板に位置し、第1電極、有機層及び第2電極を含む発光部と、
複数の前記発光部のうち、隣り合う前記発光部の間で第1電極の端部を覆いテーパー面を有する透光性の第1絶縁層と、
前記発光部の前記基板と反対側に位置し、前記第1絶縁層を覆い前記基板と沿う面を有する透光性の第2絶縁層と、
を備える発光装置。
8. 7.に記載の発光装置において、
隣り合う発光部の間にそれぞれ位置する複数の透光領域を備え、
前記基板は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、
複数の前記発光部は、前記第1面側に位置し、
前記第2絶縁層は各透光領域で前記面を有し、
前記第2絶縁層の前記面は、前記基板の前記第2面に沿っている発光装置。
9. 8.に記載の発光装置において、
前記発光装置から発せられる光の前記第2面側における光束は、前記発光装置から発せられる光の前記第1面側における光束よりも大きい発光装置。
10. 7.かから9までのいずれか1つに記載の発光装置において、
前記第1絶縁層は前記第2絶縁層と同じ材料を含む発光装置。
11. 10.に記載の発光装置において、
前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とは屈折率が同じである発光装置。
12. 7.から11までのいずれか一つに記載の発光装置において、
各発光部は、前記基板の前記第1面から、前記第1電極、前記有機層及び前記第2電極が順に含んでいる発光装置。
13. 7.から12までのいずれか一つに記載の発光装置において、
前記発光装置の配光分布は、前記第2面に垂直な方向に第1光度を有し、前記第1面に垂直な方向から角度φ傾いた方向に第2光度を有し、
前記第1光度に対する前記第2光度の光度比は、角度φについて0°以上90°以下のいずれにおいても、10%以下である発光装置。
【0093】
この出願は、2017年2月2日に出願された日本出願特願2017−017410号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。