【文献】
Authors et al.,Biocidal Compositions containing 4,4'-dichloro 2-hydroxy diphenylether(DCPP),The IP.com Journal,ip.com,2011年12月20日,IPCOM000213522D,pages1-36
【文献】
D.OCHS et al.,A new antimicrobial active for household products,SOFW JOURNAL,ドイツ,1999年11月,125巻/11月号,pages60-66
【文献】
繊維製品の機能性評価〜抗菌性試験,日本,一般財団法人ニッセッケン品質評価センター,2013年 5月12日,第1-2頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
本明細書で使用するとき、用語「洗濯洗剤組成物」は、布地洗浄に関する組成物を意味する。洗濯洗剤組成物は、粉末でも液体でもあり得るが、好ましくは液体である。本明細書で使用するとき、「液体洗濯洗剤組成物」は、注ぐことが可能な液体、ゲル、クリーム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される形態である組成物を指す。液体洗濯洗剤組成物は、水性又は非水性のいずれかであってよく、異方性、等方性、又はこれらの組み合わせであってよい。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「抗菌剤」は、その主目的とする機能が殺菌又は細菌の増殖若しくは再生の防止である化学化合物を指す。従来的な抗菌剤として、カチオン性抗菌剤(例えば、ある種の塩化アンモニウム)、非イオン性抗菌剤などが挙げられる。本発明で使用するジフェニルエーテル化合物は、非イオン性抗菌剤である。
【0012】
用語「洗濯洗浄液」、「洗濯液」、「洗濯溶液」、及び「洗浄溶液」は、本明細書において同じ意味で用いられ、洗濯洗浄の1サイクルで使用される洗浄性の水溶液を指す。洗濯洗浄液は、推奨量の水又は水溶液中で推奨量又は用量の洗濯洗剤組成物が分解されることによって形成される。洗濯洗浄液の量は好ましくは1リットル〜70リットルであり、あるいは、手洗いの場合には1リットル〜20リットル、機械洗浄の場合には8リットル〜70リットルである。
【0013】
本明細書で使用するとき、ジフェニルエーテル抗菌剤に関して、用語「スルーザウォッシュ用量」又は「TTW用量」は、推奨量の水又は水溶液中で推奨量の洗濯洗剤組成物が分解されることによって形成される洗濯洗浄液中でのジフェニルエーテル抗菌剤の百万分率(ppm)濃度であると定義される。例えば、洗濯洗剤組成物が0.04重量%のジフェニルエーテル抗菌剤を含有しており、この洗濯洗剤組成物の推奨用量が水45リットル当たり50グラムである場合、ジフェニルエーテル抗菌剤のTTW用量は、(0.04重量%×50グラム)/(45リットル×1000グラム/リットル+50グラム)×1000000ppm/重量%=0.444ppmである。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「アルキル」は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のヒドロカルビル部分を意味する。用語「アルキル」には、アシル基のアルキル部分が含まれる。
【0015】
本明細書で使用するとき、組成物が特定の成分を「実質的に含まない」ときとは、その組成物が、微量に満たない、あるいは組成物の0.1重量%未満、あるいは0.01重量%未満、あるいは0.001重量%の特定成分を含むことを意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、「a」及び「an」を含む冠詞は、特許請求の範囲で使用されるとき、1つ以上の請求又は記載されるものを意味するものと理解される。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprise、comprises、comprising)」、「包含する(include、includes、including)」、「含有する(contain、contains、containing)」は、非限定的である、すなわち、最終結果に影響を及ぼすことのない他の工程及び他の成分を加えることができることを指す。上記用語には、「からなる」及び「から本質的になる」という用語が包含される。
【0018】
抗菌剤
本発明で使用される抗菌剤であるジフェニルエーテルは、非イオン性である。本発明では、その非イオン特性のため、本発明のジフェニルエーテル抗菌剤は安定的な抗菌性液体洗濯洗剤組成物の形成を可能にすることが見出されている。対照的に、従来のカチオン性抗菌剤は通常、洗濯洗剤組成物に存在するアニオン性界面活性剤との相溶性がない。本明細書に使用するのに好適なジフェニルエーテルは、米国特許第7041631B号の1段54行〜5段12行に記載されている。
【0019】
抗菌剤は好ましくは、ヒドロキシジフェニルエーテルである。本明細書の抗菌剤は、ハロゲン化されていてもされていなくてもよいが、好ましくはハロゲン化されている。一実施形態では、抗菌剤は、次式(I):
【0020】
【化1】
(式中、
各Yは、塩素、臭素、又はフッ素から独立して選択され、好ましくは塩素又は臭素、より好ましくは塩素であり、
各Zは、SO
2H、NO
2、又はC
1〜C
4アルキルから独立して選択され、 rは、0、1、2、又は3であり、好ましくは1又は2であり、
oは、0、1、2、又は3であり、好ましくは0、1又は2であり、
pは、0、1、又は2であり、好ましくは0であり、
mは、1又は2であり、好ましくは1であり、
nは、0又は1であり、好ましくは0である)で表されるヒドロキシジフェニルエーテルである。
【0021】
式(I)について上記の定義では、0は不存在を意味する。例えば、pが0のとき、式(I)にはZが存在しない。各Y及び各Zは、同一であっても異なっていてもよい。一実施形態では、oは、1であり、rは、2であり、Yは、塩素又は臭素である。この実施形態では、1つの塩素原子が一方のベンゼン環に結合し、臭素原子及び他の塩素原子が他方のベンゼン環に結合し得る。あるいは、臭素原子が一方のベンゼン環に結合し、2つの塩素原子が他方のベンゼン環に結合し得る。
【0022】
より好ましくは、抗菌剤は、4−4’−ジクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル(「Diclosan」)、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(「Triclosan」)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。最も好ましくは、抗菌剤は、商標名Tinosan(登録商標)HP100でBASFから市販されている4−4’−ジクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテルである。
【0023】
配合物に不安定性を生じさせる量で存在しない限り、ジフェニルエーテルに加えて、他の抗菌剤も存在してよい。このような更なる有用な抗菌剤にはキレート剤があり、これは、硬水中でのグラム陰性微生物の耐性を減少させるのに特に有用である。また、酸性の殺生剤が存在してもよい。
【0024】
低スルーザウォッシュ(TTW)用量のジフェニルエーテル抗菌剤
本明細書で前述したように、ジフェニルエーテル抗菌剤は、米国特許第7041631B号に記載されている。しかしながら、この抗菌剤は、比較的大きいスルーザウォッシュ(TTW)用量、例えば約3ppm〜約20ppmで従来は使用されてきた。
【0025】
例えば、米国特許第7041631B号には、実施例3で、ジフェニルエーテル化合物を含有する30%活性溶液を0.6重量%含む洗剤配合物8が開示されており、これは、約0.18重量%のジフェニルエーテル濃度に相当する。このような配合物8を、洗浄液300mL中に推奨量2.3グラムの洗剤という標準的な洗浄条件下で洗濯布地に使用すると、ジフェニルエーテル化合物のTTW用量は(0.18重量%×2.3グラム)/(1g/mL×300mL+2.3グラム)×1000000ppm/重量%≒14ppmとなる。米国特許第7041631B号には、実施例5で、ジフェニルエーテル化合物の30%活性溶液を0.13重量%含むいくつかの洗剤配合物20〜22も開示されており、これは、約0.039重量%のジフェニルエーテル濃度に相当する。上記の洗浄条件下で使用されるとき、ジフェニルエーテル化合物のTTW用量は、(0.039重量%×2.3グラム)/(1g/mL×300mL+2.3グラム)×1000000ppm/重量%≒3ppmとなる。
【0026】
従来の見解では、所望の抗菌効果を達成するには、処理される布地上に十分な量のジフェニルエーテル抗菌剤を付着させるために、このような高TTW用量が必要であると考えられていた。
【0027】
驚くべきことに、また予想外に、ジフェニルエーテル抗菌剤は大幅に少ないTTW用量、例えば1ppm以下で使用しても、グラム陽性菌及びグラム陰性菌の両方に対して十分な抗菌効果を実現し得ることを、本発明の発明者らは発見した。具体的には、ジフェニルエーテル抗菌剤の抗菌効果は、約0.25ppm〜約1ppm範囲の臨界TTW用量内で、「平衡状態になる」。したがって、使用されるジフェニルエーテル抗菌剤のTTW用量が、上記の従来のTTW用量よりも大幅に下回る、この臨界TTW用量の範囲内に入っている場合に、従来の高TTW用量の場合と本質的に同様の、又はそれに匹敵する抗菌効果を実現することができる。
【0028】
この低い臨界TTW用量の範囲でジフェニルエーテル抗菌剤を使用すると、このようなジフェニルエーテル抗菌剤が洗浄によって環境へ放出される量を大幅に低減でき、それによって、このようなジフェニルエーテル抗菌剤を含有する洗濯洗剤組成物の環境フットプリントを低減する又は最小限に抑えることができる。更に、このようなジフェニルエーテル抗菌剤に付随する製造コストも実質的に削減することができる。このように、より低い臨界TTW用量の範囲内でジフェニルエーテル抗菌剤を使用することは更に有利である。
【0029】
ジフェニルエーテル抗菌剤は、好ましくは約0.3ppm〜約0.7ppm、より好ましくは約0.4ppm〜約0.6ppm、最も好ましくは約0.45ppm〜0.55ppmの範囲のTTW用量で使用される。
【0030】
特に好ましい実施態様では、グラム陽性菌及びグラム陰性菌の両方に対して、少なくともlog 1.7、好ましくは少なくともlog 2、より好ましくは少なくともlog
2.1の静菌活性値(以下の試験方法のセクションに記載)を得るのに十分なTTW用量で、ジフェニルエーテル抗菌剤を使用する。
【0031】
一方で、ジフェニルエーテル抗菌剤は、グラム陽性菌の黄色ブドウ球菌に対して、以下に記載のJISL 1902法によって定められた10分の接触時間後、少なくともlog 3.4、より好ましくは少なくともlog 3.6、最も好ましくは少なくともlog 3.8の静菌活性値を与えるのに十分なTTW用量で使用されることが好ましい。他方で、ジフェニルエーテル抗菌剤は、グラム陰性菌の肺炎桿菌に対して、少なくともlog 1.7、より好ましくは少なくともlog 2.1、最も好ましくは少なくともlog 2.2の静菌活性値を与えるのに十分なTTW用量で使用されることが好ましい。黄色ブドウ球菌はヒトの皮膚によく見られるため、布地(特に着衣)には特に黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果が求められる点は注目に値する。
【0032】
抗菌性洗濯洗剤組成物
本発明の抗菌性洗濯洗剤組成物は、抗菌性洗濯洗剤組成物の合計重量に対して、好ましくは約0.02重量%〜約0.3重量%、より好ましくは約0.03重量%〜約0.2重量%、最も好ましくは約0.04〜約0.1重量%の範囲の量のジフェニルエーテル抗菌剤を含む。
【0033】
洗剤組成物中のジフェニルエーテル抗菌剤の絶対濃度は、本発明の実施上、重要ではないが、ジフェニルエーテルのTTW用量を決定するためには、洗剤組成物の推奨用量と合わせて考慮する必要がある。
【0034】
本発明の抗菌性洗濯洗剤組成物の通常の推奨用量は、例えば機械洗浄又は手洗いなどの実施される洗浄の種類に応じて、最小で水50リットル当たり洗剤1グラム(洗剤のTTW用量20ppm)から、最大で水5リットル当たり洗剤100グラム(洗剤のTTW用量20000ppm)の範囲で変更してよい。機械洗浄の場合の通常の推奨洗剤用量は、例えば、水45リットル当たり洗剤47.7グラム、水30リットル当たり洗剤10グラム、水45リットル当たり洗剤16グラム、水55リットル当たり洗剤20グラム、水65リットル当たり洗剤24グラムなどである。手洗いの場合の通常の推奨洗剤用量は、例えば、5グラム、10グラム、25グラム及び50グラムである。このような推奨洗剤用量から、約900重量倍〜約3000重量倍の範囲のオーダーによって抗菌性洗濯洗剤組成物の希釈液が得られる。希釈液は水により作製されることが好ましいが、何らかの他の好適な水溶液によって作製することもできる。
【0035】
抗菌性洗剤組成物の推奨用量も、本発明の実施上、重要ではないが、ジフェニルエーテルの最終的なTTW用量を決定するためには、洗剤組成物中のジフェニルエーテル抗菌剤の濃度と合わせて考慮する必要がある。
【0036】
本発明の抗菌性洗剤組成物は1種以上の洗浄性界面活性剤を含んでよく、これは必須ではないものの、アニオン性及び/又は非イオン性であることが好ましい。好ましくは、洗浄性界面活性剤は、(1)C
10〜C
20の直鎖アルキルベンゼンスルホネート;(2)約0.1〜約5.0の範囲の重量平均アルコキシル化度を有する、C
10〜C
20の直鎖又は分枝鎖のアルキルアルコキシサルフェート;(3)C
10〜C
20の直鎖又は分枝鎖のアルキルサルフェート;(4)C
10〜C
20の直鎖又は分枝鎖のアルキルエステルサルフェート;(5)C
10〜C
20の直鎖又は分枝鎖のアルキルエステルスルホネート;(6)C
10〜C
20の直鎖又は分枝鎖のアルキルエステルアルコキシレート;(7)約1〜約60の重量平均アルコキシル化度を有する、C
8〜C
22のアルキルアルコキシル化アルコール;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0037】
アニオン性界面活性剤系
本発明の特に好ましい実施形態では、抗菌性洗濯洗剤組成物は、C
10〜C
20の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、約0.1〜約5.0(AES)の範囲の平均アルコキシル化度を有する、C
10〜C
20の直鎖又は分枝鎖のアルキルアルコキシサルフェート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む。
【0038】
一実施形態では、LASは、C
10〜C
16のLASである。LASは、通常、アルキルベンゼンを(SO
2又はSO
3を使用して)スルホン化し、その後、中和することによって調製される。好適なアルキルベンゼン供給原料は、硫酸及びHFに基づく方法を含む任意の好適なアルキル化スキームを使用して、オレフィン、パラフィン、又はこれらの混合物から作製することができる。的確にアルキル化触媒を変えることにより、ベンゼンの脂肪族炭化水素鎖への共有結合の位置を広く変えることが可能である。したがって、本明細書のLASは、2−フェニル異性体及び/又は内部異性体含有量において広く変えることができる。
【0039】
一実施形態では、AESはC
10〜C
18のAESであり、好ましくは、xは1〜3である。C
11〜C
15を有する中鎖分枝状AESが特に好ましい。
【0040】
洗濯洗剤組成物中におけるAES及びLASの量は、2つの総量が組成物の重量に対して3重量%〜50重量%の範囲に入る限り、調節可能である。一実施形態では、LASに対するAESの重量比は、0.1:1〜10:1、好ましくは0.5:1〜5:1、より好ましくは0.7:1〜2:1である。
【0041】
非イオン性界面活性剤
本明細書の組成物はまた、非イオン性界面活性剤を含んでもよい。本明細書での使用に好適な非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、Shellから入手可能なNeodol(登録商標)非イオン性界面活性剤などのC
8〜C
22アルキルアルコキシル化アルコール;C
6〜C
12アルキルフェノールアルコキシレート(ここで、アルコキシレート単位は、エチレンオキシ単位とプロピレンオキシ単位との混合物である);BASFより入手可能なPluronic(登録商標)などのエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックアルキルポリアミンエトキシレートとのC
12〜C
18アルコール及びC
6〜C
12アルキルフェノール縮合物;C
14〜C
22中鎖分枝状アルキルアルコキシレート、BAEx(式中、xは1〜30である);アルキル多糖類、及び具体的にはアルキルポリグリコシド;ポリヒドロキシ脂肪酸アミド;並びにエーテル末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。式R
1C(O)O(R
2O)nR
3(式中、R
1は、直鎖及び分枝鎖のC
6〜C
22アルキル又はアルキレン部分から選択され、R
2は、C
2H
4及びC
3H
6部分から選択され、R
3は、H、CH
3、C
2H
5、及びC
3H
7部分から選択され、nは、1〜20の値を有する)を有するものなどのアルコキシル化エステル界面活性剤も、非イオン性界面活性剤として本明細書において有用である。そのようなアルコキシル化エステル界面活性剤は、脂肪メチルエステルエトキシレート(MEE)を含み、当該技術分野において周知である。
【0042】
本発明の好適な実施形態では、抗菌性洗濯洗剤組成物は、約1〜約60の範囲の重量平均アルコキシル化度を有する、少なくとも1種のC
8〜C
22アルキルアルコキシル化アルコール系の非イオン性界面活性剤を含む。好ましくは、このような非イオン性界面活性剤は、
(i)R
1−O−(C
2H
4O)
l−H(式中、R
1は、C
8〜C
22アルキル基であり、lは約1〜約20の範囲である重量平均エトキシル化度を表す)、及び
(ii)R
2−O−(C
2H
4O)
m−(AO)
n−H(式中、R
1は、C
8〜C
22アルキル基であり、AOは、C
3〜C
5のアルキレンオキシ基であり、m及びnはそれぞれ、mが約18〜約60の範囲の重量平均エトキシル化度、nが0〜約5の範囲の重量平均アルコキシル化度を表す)からなる群から選択される式を有する。
【0043】
最も好ましいアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、平均7モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたC
12〜C
15アルコール(例えばShellより市販されているNeodol(登録商標)25−7)である。
【0044】
極めて好ましい実施形態では、本発明の抗菌性洗濯洗剤組成物は、
a)組成物の0.02重量%〜0.3重量%の抗菌剤(抗菌剤は、4−4’−ジクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテルである)、
b)組成物の10重量%〜40重量%のアニオン性界面活性剤系(アニオン性界面活性剤系は、AESとLASとを含み、好ましくはLASに対するAESの重量比が、0.1:1〜10:1、好ましくは0.5:1〜5:1、より好ましくは0.7:1〜2:1である)、及び
c)組成物の0.5重量%〜50重量%のアルコキシル化非イオン性界面活性剤(アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、平均5〜9モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたC
12〜C
16アルコールである)を含む。
【0045】
特定のアニオン性界面活性剤(複数可)及び非イオン性界面活性剤(複数可)をある一定の量で使用することによって、驚くべきことに、処理された布地に対する抗菌剤の付着性が向上することが見出された。それにより、処理された布地に対する抗菌性利点の改善が達成される。
【0046】
好ましくは本発明の抗菌性洗濯洗剤組成物中に、アニオン性界面活性剤系(すなわち、AES及びLASの総量)は、組成物の約5重量%〜約45重量%、より好ましくは約10重量%〜約40重量%の範囲の量で存在する。非イオン性界面活性剤は、好ましくは組成物の約0.5重量%〜約50重量%、より好ましくは約1重量%〜約40重量%で存在する。一実施形態では、組成物はアニオン性が豊富であり、非イオン性界面活性剤に対するアニオン性界面活性剤系の重量比は、少なくとも約2:1、あるいは約2:1〜約35:1、あるいは約3:1〜約30:1、あるいは約5:1〜約28:1、あるいは約10:1〜約25:1である。別の実施形態では、組成物は非イオン性が豊富であり、アニオン性界面活性剤系に対する非イオン性界面活性剤の重量比は、少なくとも約2:1、あるいは約2:1〜約35:1、あるいは約3:1〜約30:1、あるいは約5:1〜約28:1、あるいは約10:1〜約25:1である。
【0047】
本明細書の洗濯洗剤組成物は、グラム陽性菌(例えば、黄色ブドウ球菌)及びグラム陰性菌(例えば、肺炎桿菌)の両方に対する抗菌性利点を与える。組成物は、組成物によって処理された布地に対して、残留する抗菌性利点を与えることが好ましい。すなわち、組成物中のジフェニルエーテル抗微生物剤が洗浄サイクル中に布地上へ付着し、その後、付着した(すなわち、残留する)抗微生物剤が、乾燥又は保管又は着用時における布地上での細菌増殖を防止する。
【0048】
本明細書の洗濯洗剤組成物は、組成物に組み込まれる成分に応じて、酸性又はアルカリ性又はpH中性であってよい。洗濯洗剤組成物のpH範囲は、好ましくは6〜12、より好ましくは7〜11、更により好ましくは8〜10である。
【0049】
洗濯洗剤組成物は、組成物の配合成分及び目的などの要素に応じて、任意の好適な粘性を有することができる。一実施形態では、組成物は、剪断速度20/秒及び温度21℃で、200〜3,000cP、あるいは300〜2,000cP、あるいは500〜1,000cPの高剪断粘度値、及び剪断速度1/秒及び温度21℃で、500〜100,000cP、あるいは1000〜10,000cP、あるいは1,500〜5,000cPの低剪断粘度値を有する。
【0050】
補助成分
本明細書の洗濯洗剤組成物は、補助成分を含んでよい。好適な補助材料として、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ビルダー、キレート剤、レオロジー改質剤、移染抑制剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒材料、漂白活性剤、過酸化水素、過酸化水素の供給源、予備形成された過酸、ポリマー分散剤、埴土除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、光漂白剤、香料、香料入りマイクロカプセル、構造伸縮剤、布地柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、溶媒、色調剤、構造剤並びに/又は顔料が挙げられるが、これらに限定されない。洗濯洗浄組成物中におけるこれら補助剤成分の正確な性質及びその濃度は、組成物の物理的形状、及び組成物が使用される洗浄操作の性質によって決まる。
【0051】
一実施形態では、本明細書の組成物は、カチオン性界面活性剤を含む。カチオン性界面活性剤の非限定的な例には、最高26の炭素原子を有し得る4級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、これには、アルコキシル化4級アンモニウム(AQA)界面活性剤;ジメチルヒドロキシエチル第4級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;ポリアミンカチオン性界面活性剤;カチオン性エステル界面活性剤;及びアミノ界面活性剤、具体的にはアミノプロピルジメチルアミン(APA)がある。
【0052】
一実施形態では、本明細書の組成物は、両性界面活性剤を含む。双極性イオン性界面活性剤の非限定例には、第2級及び第3級アミンの誘導体、複素環式第2級及び第3級アミンの誘導体、又は第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム若しくは第3級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。好適な例として、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタイン、C8〜C18(又はC12〜C18)のアミンオキシド及びスルホ並びにヒドロキシベタイン、例えばN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホネートであり、そのアルキル基がC8〜C18又はC10〜C14であり得るものが含まれる、ベタインが挙げられる。
【0053】
好ましくは、本明細書の両性界面活性剤は、水溶性アミンオキシド界面活性剤から選択される。有用なアミンオキシド界面活性剤は、次式:
【0054】
【化2】
(式中、R
3は、C
8〜22アルキル基、C
8〜22ヒドロキシアルキル基、又はC
8〜22アルキルフェニル基であり、各R
4は、C
2〜3アルキレン基又はC
2〜32ヒドロキシアルキレン基であり、xは、0〜約3であり、各R
5は、C
1〜3アルキル基、C
1〜3ヒドロキシアルキル基、又は約1〜約3のEOを含むポリエチレンオキシド基である)を有する。好ましくは、アミンオキシド界面活性剤は、C
10〜18アルキルジメチルアミンオキシド又はC
8〜12アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドであってもよい。
【0055】
一実施形態では、本明細書の組成物は、レオロジー改質剤(ある特定の状況下では「構造剤」とも呼ばれる)を含み、これは、懸濁してマイクロカプセルを安定化させると共に、包装アセンブリにより適合するように組成物の粘度を調整する機能を果たす。本明細書のレオロジー改質剤は、粒子状物質を懸濁できるかつ/又は液体組成に応じてレオロジーを調整できる任意の既知の成分であり得る。好ましくは、レオロジー改質剤は、ヒドロキシ含有結晶性材料、ポリアクリレート、多糖類、ポリカルボキシレート、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩、C
12〜C
20脂肪族アルコール、ジベンジリデンポリオールアセタール誘導体(DBPA)、ジアミドゲル化剤、メタクリルアミドから誘導される第1の構造単位及びジアリルジメチル塩化アンモニウムから誘導される第2の構造単位から構成されるカチオン性ポリマー、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、レオロジー改質剤は、概して結晶質であることを特徴とするヒドロキシ含有結晶性材料、ヒドロキシル含有脂肪酸、脂肪族エステル及び脂肪族ワックス、例えばヒマシ油及びヒマシ油誘導体である。より好ましくは、レオロジー改質剤は、硬化ヒマシ油(HCO)である。
【0056】
使用方法
本発明の重要な態様は、布地の洗浄、特に抗菌性利点を実現するための上記の抗菌性洗濯洗剤組成物の使用方法に関する。具体的には、本方法は、最初に上記の抗菌性洗濯洗剤組成物を形成する工程と、次に容器(容器の種類は、手洗い又は半自動又は完全自動機械洗浄などの洗浄方法の種類に応じて決定される)内で、推奨用量(例えば、約5g〜約120g)の組成物を推奨用量(例えば、約1リットル〜約65リットル)の水又は水溶液と混合して、上記のTTW用量でジフェニルエーテル抗菌剤を含有する洗濯洗浄液を形成し、この洗浄液を使用して、処理される布地に接触させて、所望の抗菌性利点を実現する工程とを含む。好ましくは、本明細書の抗菌性利点は、以下に記載するJISL 1902の方法によって測定する。
【0057】
通常の手洗い手順では、約5g〜約60gの抗菌性洗濯洗剤組成物を、水を収容した洗濯洗浄容器に投入して、洗濯洗浄溶液を形成する。本明細書の洗濯洗剤容器内の洗浄溶液は、好ましくは約1リットル〜約20リットル、好ましくは約2リットル〜約15リットル、最も好ましくは約3リットル〜約10リットルの量を有する。
【0058】
あるいは、通常の機械洗浄手順では、約60g〜約120gの抗菌性洗濯洗剤組成物を、直接洗濯機のドラムに、又は洗濯機の洗剤用引き出しのいずれかに投入する。次に、洗濯機から、約20リットル〜約65リットル、好ましくは約25リットル〜約55リットルの水がドラム内に注入され、抗菌性洗濯洗剤組成物と混合されて、布地を機械洗浄するための洗濯洗剤溶液が形成される。
【0059】
洗濯洗剤溶液の温度は、−10℃〜80℃、好ましくは5℃〜60℃、より好ましくは25℃〜50℃の範囲であり得る。
【0060】
好ましくは、本明細書の方法は、布地が抗菌処理を必要とする場合に、布地を洗浄溶液と接触させる工程を更に含む。例えば、布地上にグラム陽性菌及び/又はグラム陰性菌の存在が疑われる場合などである。布地を洗濯洗浄溶液と接触させる工程は、洗濯洗剤溶液の形成工程後が好ましいが、形成と同時であってもよい。
【0061】
組成物の調製
本発明の洗濯洗剤組成物は一般に、洗濯洗剤組成物の製造に関し当該技術分野において既知である従来法によって調製される。かかる方法は、典型的には、加熱、冷却、真空などを適用して、又は適用せずに、必須成分及び任意成分を任意の所望の順序で比較的均一な状態まで混合することと、それによって、成分を必要濃度で含有する洗濯洗剤組成物を提供することと、を含む。
【0062】
水溶性パウチ
一実施形態では、本明細書の抗菌性洗濯洗剤組成物は、水溶性パウチを形成している水溶性フィルム内に収容される。パウチは、必要とされる操作、例えば1回の洗浄に好適な本明細書の組成物の1回量、又は、ユーザーが、例えば洗濯する量若しくは汚れの程度に応じた使用量の変更を、より柔軟にできるような部分量のみのいずれかを収容するのに便利な大きさであってよい。
【0063】
パウチの水溶性フィルムは、好ましくはポリマーを含む。フィルムは、当該技術分野において既知の方法、例えば、ポリマーの注型成形、吹込み成形、押出成形、射出成形によって得ることができる。水溶性フィルムを製造するためのポリマーの非限定例として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、(変性)セルロース、(変性)セルロース−エーテル又は−エステル又は−アミド、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸及び塩、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、ポリアミノ酸つまりペプチド、ポリアクリルアミドなどのポリアミド、デンプン及びゼラチンなどの多糖類、キサンタン及びカラゴム(carragum)などの天然ゴムが挙げられる。好ましくは、水溶性フィルムは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む。最も好ましくは、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール、例えば、MonoSolから入手可能なM8639を含む。
【0064】
本明細書のパウチは、単一の区画又は複数の区画を含んでよく、好ましくは、複数の区画、例えば、2つの区画又は3つの区画を含む。多区画の実施では、複数の区画のうちの1つ以上が、上述した抗菌性洗濯洗剤組成物を含む。パウチは、複数の区画を形成する複数のフィルムを備える、すなわち、複数のフィルムの内部容積が複数の区画に分けられているのが好ましい。本発明のパウチは、当該技術分野において既知の任意の好適なプロセスによって作製できる。
【0065】
試験方法
洗濯洗剤組成物に関する抗菌性効果をJISL 1902の方法に規定された、以下に記載する方法で測定する。
【0066】
1.微生物の調製:
A.黄色ブドウ球菌又は肺炎桿菌の凍結乾燥培養物に、一定量の普通ブイヨンを無菌的に添加する。普通ブイヨン中の培養物を溶解して懸濁し、懸濁液を得る。栄養寒天プレートに白金耳量の懸濁液を画線接種し、37℃で24時間インキュベートして、細菌懸濁液の第一継代の培養物を得る。細菌懸濁液の第一継代の培養物の白金耳量を、振盪させた20mLの普通ブイヨンに移し、37℃で24時間インキュベートして、細菌懸濁液の第二継代の培養物を得る。細菌懸濁液の第二継代の培養物0.4mLを、振盪させた別の20mLの普通ブイヨンに移し、37℃で3時間インキュベートして、細菌懸濁液の第三継代の培養物を得る。
B.1/20希釈の普通ブイヨンで、細菌懸濁液の第三継代の培養物を1×10
5細胞/mLに希釈して、試験用培養物を得る。
C.試験用培養物を4℃で保管する。試験用培養物は一晩保管できない。
【0067】
2.布地の洗浄:
A.それぞれ幅5cm及び長さ2.5m(32ヤーン/cm×32ヤーン/cm、100%平織綿)を有する2枚の布地片を、3Lの溶液中で1時間煮沸する。溶液は、1.5gの非イオン性浸漬剤、1.5gの炭酸ナトリウム、及び3000mLの蒸留水により調製する。非イオン性浸漬剤は、5.0gのアルキルフェノールエトキシレート、5gの炭酸ナトリウム、及び1000mLの蒸留水により調製する。煮沸した脱イオン水中で布地片を5分間すすぐ。布地片を冷たい脱イオン水中に5分間入れて、屋内乾燥する。一方の布地片を、次の工程2B〜2I用の試験用布地片として供給し、他方の布地片を対照(工程2B〜2Iを実施しない)として使用する。
B.工程2Aから得た試験用布地片の片端を、ステンレス鋼スピンドルの水平延長部に沿って外側位置において、ステンレス鋼スピンドル上に固定する。ステンレス鋼スピンドルは、互いに接続された3つの水平スタンドを有する。試験用布地片を、十分な張力を保ってステンレス鋼スピンドルの3つの水平スタンドの回りに巻き付け、布地12周を巻き付けたスピンドルを得る。試験用布地片の他端を、12周の布地の最外周にピンで固定する。布地を巻き付けたスピンドルを、蒸気圧により121℃で15分間、消毒する。
C.5.903gの塩化カルシウム二水和物及び2.721gの塩化マグネシウム6水和物を100mLの蒸留水に溶解させた後、蒸気圧により121℃で20分間、消毒する。1mLの混合物を1Lの蒸留水に添加し、硬水溶液を得る。
D.工程2Cから得た硬水溶液1Lに、十分量の試料を添加し、1055ppmの濃度を有する溶液を得る。磁気撹拌器で4分間、溶液を混合する。250mLの混合溶液を曝露室中に分配し、洗浄溶液を得る。曝露室を水浴中に置き、(25±1)℃の試験温度にする。次いで曝露室を、蒸気圧により121℃で15分間、消毒する。
E.工程2Bから得た、布地を巻き付けたスピンドルを、暴露室内の洗浄溶液に無菌的に浸漬し、曝露室の蓋を閉める。
F.タンブラー上に曝露室を固定する。タンブラーを10分間、回転させる。その後、布地を巻き付けたスピンドルを曝露室から取り出す。布地を巻き付けたスピンドルをHaier iwash−1p Top Load Washing Machineに入れ、2分間すすぐ。
G.洗浄溶液を曝露室から廃棄し、次いで250mLの殺菌蒸留水を曝露室に添加する。曝露室内に新しく添加された蒸留水に、すすぎ後の布地を巻き付けたスピンドルを浸漬する。タンブラーを3分間、回転させる。
H.工程2Gを再度行う。
I.布地を巻き付けたスピンドルを曝露室から無菌的に取り出し、試験用布地片をスピンドルから取り外す。試験用布地片を一晩、空気乾燥する。
【0068】
3.布地培養:
A.工程2Iから得た、洗浄された試験用布地片を、辺長2cmの正方形片に切る。0.4g片3セットを、次の工程のための試料として供給する。
B.試料の各セットをバイアル瓶に入れた後、試料を、蒸気圧により121℃で15分間、消毒する。消毒後、試料をクリーンベンチ内で蓋をせずに1時間、乾燥させる。
C.乾燥させた各試料上に工程1Cから得た試験用培養物0.2mLを接種する。接種された試料を収容したバイアル瓶を、37℃で18時間インキュベートする。
D.インキュベートした試料の生残菌を抽出し、栄養寒天にてプレート培養して、37℃で24〜48時間インキュベートする。試料の各セットの総コロニー形成単位(CFU)を計数して、3セットの平均結果を得る。CFU値のlog10値をMbとする。
E.工程3A〜3Dでは、(工程2B〜2Iを経ていない)工程2Aから得た布地片を対照として使用する。CFU値のlog 10値をMaとする。
【0069】
4.静菌活性値の算出:
静菌活性値=Mb−Ma
1.0超、好ましくは1.5超、及びより好ましくは2.0超の静菌活性値が、許容される抗菌性効果を表す。
【実施例】
【0070】
本明細書の実施例は、本発明を例示することを意図するものであって、本発明の範囲を制限する、又は他の方法で定義するために使用されるものではない。
【0071】
実施例1:低TTW用量でのジフェニルエーテル抗菌剤の「平衡」作用を示す比較例
9つの液体洗濯洗剤組成物を調製する。これは、(1)ジフェニルエーテル抗菌剤を含まない、1つの対照の液体洗濯洗剤組成物1A、及び(2)対照組成物1Aと同成分を含有しているが、これに加え、BASFから市販されている4−4’−ジクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテルであるTinosan(登録商標)HP100も異なる量で含有している、8つの液体洗濯洗剤組成物1B〜1Iである。以下は1A〜1Iの成分内訳である。
【0072】
【表1】
a Neodol(登録商標)25−7は、非イオン性界面活性剤としての、Shellから入手可能な平均7モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたC
12〜C
15アルコール
b キレート剤としての、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム塩
c Tinosan(登録商標)HP100は、BASFから入手可能な4−4’−ジクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル
【0073】
試験用組成物1A〜1Iの抗菌性効果を測定する比較実験は、前述のようなJISL 1902の方法に準拠して実施する。試験用組成物を希釈して、約1055ppmの洗浄性TTW用量を有する洗濯洗浄溶液にする。試験用組成物1Aによって形成される洗濯洗浄溶液は、TTW用量0ppmのTinosan(登録商標)HP100を有する。試験用組成物1B〜1Iによって形成される洗濯洗浄溶液はそれぞれ、0.25ppm、0.33ppm、0.41ppm、0.5ppm、0.75ppm、1.0ppm、1.25ppm、及び1.5ppmのTTW用量のTinosan(登録商標)HP100を有する。各試験用組成物は、JISL 1902の方法の工程2Dで試料として添加する。以下の表2は、黄色ブドウ球菌(グラム陽性菌)及び肺炎桿菌(グラム陰性菌)に対する静菌活性値を示す。
【0074】
【表2】
【0075】
図1は、Tinosan(登録商標)HP100のTTW用量に応じた、グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対する上記一覧の静菌活性値をプロットしたグラフである。約0.25ppm〜約1ppm、好ましくは約0.3ppm〜約0.7ppm、より好ましくは約0.4ppm〜約0.6ppm、及び最も好ましくは約0.45ppm〜約0.55ppmの範囲の臨界TTW用量内で、Tinosan(登録商標)HP100の静菌活性が平衡現象に達していることが観察できる。この範囲を上回るTinosan(登録商標)HP100を添加しても、静菌活性値は大幅に向上しない。したがって、Tinosan(登録商標)HP100のTTW用量をこの臨界範囲内に調節することによって、驚くべきことに、また予想外に、それ以上のTTW用量によって得られるものと同様か又はそれに匹敵する抗菌効果が得られると結論付けることができる。
【0076】
実施例2A〜2E:アニオン性豊富な液体洗濯洗剤組成物の例示的な配合
列挙された成分を列挙された比率(重量%)で含む、表3に示す以下の液体洗濯洗剤組成物を作製する。これらの洗剤組成物は、約1000ppmの洗浄性TTW総用量を持つ液体洗濯洗浄溶液を形成するために使用できる標準的な洗剤製品を表す。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
a Neodol(登録商標)25−7は、非イオン性界面活性剤としての、Shellから入手可能な平均7モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたC
12〜C
15アルコール
b キレート剤としての、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム塩
c Tinosan(登録商標)HP100は、BASFから入手可能な4−4’−ジクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル
【0079】
実施例3A〜3C:非イオン性豊富な液体洗濯洗剤組成物の例示的な配合
列挙された成分を列挙された比率(重量%)で含む、表4に示す以下の液体洗濯洗剤組成物を作製する。これらの洗剤組成物は、約350ppmの洗剤性TTW総用量を持つ液体洗濯洗浄溶液を形成するために通常使用される濃縮洗剤製品を表す。
【0080】
【表5】
a Neodol(登録商標)25−7は、非イオン性界面活性剤としての、Shellから入手可能な平均7モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたC
12〜C
15アルコール
b キレート剤としての、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム塩
c Tinosan(登録商標)HP100は、BASFから入手可能な4−4’−ジクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテルである
【0081】
実施例2A〜2E及び3A〜3Cの液体洗濯洗剤組成物を以下の工程によって調製する。
a)NaOH(適宜)と水との混合物を、200rpmの剪断力を加えることによって、バッチ容器内で混合する工程と、
b)クエン酸(適宜)、ホウ酸(適宜)、及びC
11〜C
13 LASをバッチ容器内に添加し、200rpmの剪断力を加えることによって混合し続ける工程と、
c)工程b)で得られた混合物の温度を25℃まで冷却する工程と、
d)C
12〜14AE
1〜3S、Na−DTPA(適宜)、Neodol(登録商標)25−7、C
12〜C
18脂肪酸、1,2プロパンジオール(適宜)、モノエタノールアミン(適宜)、塩化カルシウム(適宜)、クメンスルホン酸ナトリウム(適宜)、シリコーンエマルション(適宜)、ポリアクリル酸ナトリウム(適宜)、及びTinosan(登録商標)HP100をバッチ容器へ添加し、250rpmの剪断力を加えることによって、混合物が均一になるまで混合して、pHを8に調整する工程と、
e)増白剤(適宜)、プロテアーゼ(適宜)、アミラーゼ(適宜)、染料(適宜)、及び香油(適宜)をバッチ容器へ添加し、250rpmの剪断力を加えることによって混合し、それにより液体洗濯洗剤組成物を形成する工程と、であり、
組成物中の各成分は、実施例2A〜2E及び3A〜3Cに示す量で存在する。
【0082】
全ての百分率、比率、及び割合は、特に指示がない限り、全組成物の重量を基準として計算される。全ての温度は、特に断らない限り、摂氏温度(℃)である。特別の定めのない限り、測定は全て25℃で行われる。構成成分又は組成物の濃度は全て、その構成成分又は組成物の活性レベルに関するものであり、市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0083】
本明細書の全体を通して与えられるすべての最大の数値限界は、それよりも小さい全ての数値限定を、そのようなより小さい数値限界があたかも本明細書に明示的に記載されているかのように包含するものと理解すべきである。本明細書の全体を通して与えられるすべての最小の数値限定は、それよりも高い数値限定を、そのようなより高い数値限定があたかも本明細書に明示的に記載されているかのように包含する。本明細書の全体を通して与えられるすべての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るより狭いすべての数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲があたかもすべて本明細書に明示的に記載されているかのように包含する。
【0084】
本明細書に開示される寸法及び値は、記載される正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、それぞれのそのような寸法は、記載される値とその値の周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0085】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外又は別の方法で限定しない限りにおいて、参照によりその全容が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する範囲において、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0086】
以上、本発明の特定の実施形態を図示、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を実施することが可能である点は当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することが意図される。