(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833900
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】クーラントチャネルを有するクランプ装置、当該クランプ装置の製造方法、及び、そのようなクランプ装置を有する旋削装置のための工具ホルダプレート
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/10 20060101AFI20210215BHJP
B23B 21/00 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
B23Q11/10 D
B23B21/00 C
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-88445(P2019-88445)
(22)【出願日】2019年5月8日
(62)【分割の表示】特願2015-538358(P2015-538358)の分割
【原出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2019-150946(P2019-150946A)
(43)【公開日】2019年9月12日
【審査請求日】2019年5月14日
(31)【優先権主張番号】02099/12
(32)【優先日】2012年10月25日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】507313434
【氏名又は名称】ユティリス、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】UTILIS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】マリオ、マカリオ
(72)【発明者】
【氏名】カルミネ、ファボツィ
【審査官】
久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−300802(JP,A)
【文献】
米国特許第02848790(US,A)
【文献】
特開平08−197311(JP,A)
【文献】
特表2008−522850(JP,A)
【文献】
特公平06−073763(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00 − 13/00
B23B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動旋削装置のための工具ホルダプレートのクランプ装置であって、
当該クランプ装置によって、工具ホルダが前記工具ホルダプレートの収容工具ホルダスロット内に位置的及び回転的に固定された態様で取外可能に係止され得て、
当該クランプ装置は、係止要素によって前記工具ホルダプレート上に取外可能に係止され得て、
前記クランプ装置は、前記クランプ装置の長手方向に整列され角度付けられたくさび形の長手方向表面を有し、前記工具ホルダプレートの前記工具ホルダスロットの対応するくさび形表面に接触するよう構成され、
前記クランプ装置の全長未満を横切るクーラントチャネルが、入口から中間チャネルを介して出口まで延びて、当該クランプ装置内又は当該クランプ装置上に配置されており、
前記中間チャネルは、前記クランプ装置の長手方向表面における溝によって形成され、前記溝は、前記クランプ装置の工具側の端部から離間している
ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
前記クーラントチャネルは、少なくともいくらかは当該クランプ装置の長手軸に平行に延びている
ことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記出口は、長手方向の断面において、当該クランプ装置の長手軸に対してある偏向角度(α)だけ、偏向されている
ことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記出口は、前記クランプ装置の前記長手方向に対して異なる偏向角度で整列された複数の出口チャネルまたは出口穴を有している
ことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項5】
前記入口は、機械加工領域から、または、前記工具ホルダに取り付けられた工具から、可能な限り離れて配置されており、
前記入口は、前記クランプ装置の工具側と反対の停止側端部に近接して配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項6】
前記入口に連結部を備え、当該連結部には、クーラント供給ラインが連結され得る
ことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項7】
前記連結部は、迅速継手である
ことを特徴とする請求項6に記載のクランプ装置。
【請求項8】
自動旋削装置のための工具ホルダプレートのクランプ装置であって、
当該クランプ装置によって、工具ホルダが前記工具ホルダプレートの収容工具ホルダスロット内に位置的及び回転的に固定された態様で取外可能に係止され得て、
当該クランプ装置は、係止要素によって前記工具ホルダプレート上に取外可能に係止され得て、
前記クランプ装置は、前記クランプ装置の長手方向に整列され角度付けられたくさび形の長手方向表面を有し、前記工具ホルダプレートの前記工具ホルダスロットの対応するくさび形表面に接触するよう構成され、
クーラントチャネルが、入口から中間チャネルを介して出口まで延びて、当該クランプ装置内又は当該クランプ装置上に配置されており、
前記中間チャネルは、前記クランプ装置の長手方向表面における溝によって形成され、前記溝は、前記クランプ装置の工具側の端部から離間しており、
停止側端部の領域に止め具が配置され、前記工具ホルダの端面が、当該工具ホルダの設置の間に、当該止め具に対して規定された態様で突き当たり、前記止め具は、ボルトを有しており、当該ボルトによって前記工具ホルダの偏りが規定され得る
ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項9】
工具ホルダの取外可能な係止のための、少なくとも1つの収容スロットを有する工具ホルダプレートをさらに備え、
前記収容スロットは、前記クランプ装置の角度付けられたくさび形の長手方向表面に突き当たるクランプくさび表面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項10】
自動旋削装置のための工具ホルダプレートの収容スロットにおける工具ホルダの取外可能な係止のための、請求項1に記載のクランプ装置の製造方法及び装着方法であって、
前記クランプ装置は、クランプ状態において前記工具ホルダの対応する角度付けられたくさび形の第1側面に対して直接的または間接的に接触状態とされ得る、という角度付けられたくさび形の長手方向クランプ面を有し、
前記クランプ装置の前記長手方向の軸線に沿って、前記クランプ装置及び前記工具ホルダの対応する角度付けられたくさび形表面を互いに接触させることによって、前記クランプ装置を前記工具ホルダに取り付ける工程、
前記クランプ装置の本体内に、入口と出口と中間チャネルとを有するクーラントチャネルを備える工程であって、前記クーラントチャネルは前記クランプ装置の全長未満を横切り、前記中間チャネルは、前記クランプ装置の長手方向表面における溝によって形成され、前記溝は、前記クランプ装置の工具側の端部から離間する工程、及び、
前記クランプ装置の上部露出表面に配置された連結部を通って前記クーラントチャネルの入口へクーラントを供給する工程、
を備えた
ことを特徴とする製造方法及び装着方法。
【請求項11】
前記入口は、前記クランプ装置の前記長手方向の軸線に対してある角度で配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項12】
前記入口は、前記クランプ装置の前記長手方向の軸線に対して略垂直に配置されている
ことを特徴とする請求項11に記載のクランプ装置。
【請求項13】
前記連結部から前記入口への開口が、前記クランプ装置の上部露出表面に配置されている
ことを特徴とする請求項6に記載のクランプ装置。
【請求項14】
前記クランプ装置に、前記工具ホルダプレート上の所定の位置に前記工具ホルダを取外可能に係止するための複数の係止穴をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動旋削装置のための工具ホルダプレートのクランプ装置であって、当該クランプ装置によって、工具ホルダが前記工具ホルダプレートの収容空間(accommodating shaft)内に位置的及び回転的に固定された態様で取外可能に係止され得て、当該クランプ装置は、係止手段によって前記工具ホルダプレート上に取外可能に係止され得て、クーラントチャネルが、当該クランプ装置を少なくともある程度横切って、入口から中間チャネルを介して出口まで延びて当該クランプ装置内または当該クランプ装置上に配置されている、というクランプ装置、クランプ装置による工具ホルダの取外可能な係止のための少なくとも1つの収容空間を有する工具ホルダプレート、更には、クランプ装置の製造方法及び装着方法、を記載している。
【背景技術】
【0002】
既知の自動旋削装置、特には自動化された旋盤は、今日、異なる技術分野において使用するための多数の多様な製品を製造するために、使用されている。そのような自動旋盤は、自動のワーク送りが使用されるので、旋削及びフライス加工される製品の全自動の生産を、許容する。
【0003】
少なくとも1つの工具が各々設けられた複数の工具ホルダが、通常は少なくとも4つの収容空間を有する工具ホルダプレート内に、クランプされ得る。工具ホルダプレートは、複数の収容空間を有しており、その内部に工具ホルダが、平行に並べられ、取外可能に保持され、クランプ装置によってクランプされて、係止される。工具ホルダは、一般に、シャフト形状を有するように構成されており、工具は、例えばインデックス可能なインサートの形態で、ワークに面する端部上に取外可能に固定される。工具ホルダプレート内に複数の工具ホルダが使用されると、使用される工具は、迅速かつ簡易に選択され得て、ワークとの接触状態がもたらされる。工具ホルダプレートとワークとの間の相対移動を行うことにより、旋削工程が実行される。クランプされる工具ホルダを有するこのタイプの既知の工具ホルダプレートは、
図5に概略的に示されている。
【0004】
旋削工程の間、旋削工具またはフライス加工工具を冷却するために、工具にクーラントがかけられる。これは、理想的な冷却動作を達成するために、可能な限り最小の空間で、行われる。
【0005】
これは、一方では工具ホルダプレートから離間された複数のクーラントラインによって、行われ得る。当該複数のクーラントラインは、異なる形状を有している。このタイプのクーラントラインは、工具ホルダプレートからある距離で工具上に整列されており、クーラントは、工具上に目標が定められた噴出口において方向付けられた態様で、噴霧され得る。実務においては、工具に向けてのクーラント噴出口の理想的な調整は困難である、ということが示されている。更に、例えば、装置内に一体化されたハンドリングユニットによって完成した(加工が終了した)ワークが自動的に除去される場合、工具または機械加工されるワークの空間内に露出するクーラントラインは、その形状のためにしばしば破壊的である。クーラントラインが小型化されるとしても、それは、ワークの自動化された除去の場合に破壊的であり、ハンドリングユニットとクーラントラインとの衝突が起こり得る。
【0006】
自動的な除去を改善するために、このタイプのクーラントラインが更に離れて配置される場合には、所望の冷却動作を達成するために、クーラントの圧力が上昇されるべきである。しかしながら、切屑の流れが妨げられるという点で、工具上に高圧で衝突するクーラントによって切断工程ないし加工工程が影響される。切屑は、コンポーネント上に戻るように方向付けられ得て、当該コンポーネントの周囲に巻き付く。このことは、この切屑が再び人手により除去されなければならないため、望ましくない。従って、全自動の加工は不可能となる。
【0007】
追加の破壊的なクーラントラインをなくす動向があり、内部のクーラントチャネルが複数の穴を介して当該工具ホルダを横切って配置されている工具ホルダが、作られている。これは、例によって
図6に示されている。クーラントの供給ラインは、工具とは逆方向の側で、工具ホルダ上の対応する接続部に取り付けられている。クーラントは、クーラントチャネルを介して工具ホルダを横切って加工工程が行われているすぐ近くまでもたらされ、工具の領域において工具ホルダ上に作製された噴霧口を介して、取り出される。
【0008】
クーラントが局所的に範囲を定められた態様で工具上に噴霧され得るので、切屑の流れ、従って切断プロセスは、ほとんど妨げられない。工具の領域において破壊的な構造が存在しないので、コンポーネントが自動的に除去されることも可能である。
【0009】
クーラントが所望に工具ホルダを通流し得るようにクーラントの供給ラインが工具ホルダ上に必ず係止されるので、各工具ホルダは、適宜に特別に設計されなければならない。工具ホルダから出て特別に形づくられた工具内に入るクーラントチャネルを継続する、という解決策も試みられている。従って、工具は、その要求をも満たさなければならず、任意の標準的な(規格化された)工具を使用することができない。しかしながら、これは、工具ホルダ、及び、可能であれば工具が、適切なクーラントチャネルに装着されなければならないという事実にとどまらず、応用もまたより困難である。工具が交換されなければならない場合、工具ホルダは、工具ホルダプレートから取り外されなければならない。これを行うためには、クーラント供給ラインは、いずれの場合においても工具ホルダから取り外されなければならず、対応して後に再び取り付けられなければならない。これは、追加の支出に関係する。工具及び/または工具ホルダのみがクーラントチャネルに装着される場合、当該工具ホルダ及び/または当該工具は、特別に製造されなければならず、相応に製造の点で高価であり複雑である。その他の最適な冷却が不可能であるため、もはや単純なシャフト状の工具ホルダを使用することはできない。工具を冷却するために、工具ホルダには少なくともクーラントチャネルが装備されなければならない。旋削作業の間、クーラントラインは、工具ホルダに連結されなければならず、当該クーラントラインは、工具が交換される必要が生じるとすぐに、工具ホルダまたは工具の交換前に取り外されなければならない。
【0010】
円形の横断面を有する既知の工具ホルダにクーラントラインを設けるために、DE112008003674は、追加のコンポーネントを開示している。当該追加のコンポーネントは、既知の本質的に丸い工具ホルダのための偏心した凹部を有しており、及び、当該追加のコンポーネントには、当該コンポーネントに穴あけされたチャネルが設けられている。当該チャネルを介して、クーラントが工具ホルダの工具側にもたらされる。当該追加のコンポーネントは、特に、収容されるべき本質的に丸い工具ホルダに特に適用され、及び、当該追加のコンポーネントには、工具ホルダを偏心した凹部内で保持するための係止手段が設けられている。
【0011】
DE112008003674による追加のコンポーネントを使用することにより、既存のシャフト形状の工具ホルダが使用され得て、組み立てられた偏心した凹部内に係止され得る。工具または工具ホルダが交換されなければならない場合、チャネルに通じているクーラント供給ラインは、工具ホルダの交換の間、コンポーネントに残存し得る。
【0012】
既存の自動旋削装置を後付けするためには、前述のように、内部に既存の工具ホルダが挿入され得る追加のコンポーネントが製造されなければならない。当該工具ホルダは、追加のコンポーネントの内部に、直接的にねじ留めされる。このタイプの余分のコンポーネントは、製造に当たって高価である。スチールが一般に使用され、余分のコンポーネント内を延びる適切なクーラントチャネルが構築され得るように、当該余分のコンポーネントを横切る正確な穴が形成されなければならない。
【0013】
既存の旋盤装置は、標準化された工具ホルダを収容するための少なくとも1つの空間(シャフト)を有する工具ホルダプレートを有しているので、旋削装置上の既存の工具ホルダプレートは、追加のコンポーネントを収容するために、適宜変更されなければならない。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、作業中に工具の最適化された冷却を引き起こす可能性を生み出すことを、その目的としており、クーラント噴出口が工具のすぐ近くにもたらされ、工具または工具ホルダの簡易化された交換がクーラントラインの取り外し無しで可能とされ、及び、既存の旋削装置の既知の工具ホルダプレートの簡易な装着も、当該自動旋削装置の変更無しで可能とされる。
【0015】
これは、工具ホルダプレートの少なくとも1つの空間内で、工具ホルダのための改善されたクランプ装置を用いて達成される。従って、クランプ装置は、固定することに加え、クーラントチャネルによってクーラントを運ぶために使用される。これにより、当該クランプ装置は2つの機能を有する。
【0016】
特に、クーラントチャネルとして溝を形成することによって既存のクランプ装置を装着することが、請求項12において請求されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の主題の好ましい例示的な一実施の形態が、添付の図面に関連して、以下に示される。
【
図1】2つのクランプ装置と取外可能に保持された工具ホルダとを有する工具ホルダプレートの斜視図を示している。
【
図2a】工具ホルダ及びクランプ装置の側面図を示している。明瞭さのために、工具ホルダプレートが省略されている。
【
図2b】
図2aのC−C線に沿った断面図を示している。
【
図3】偏心して延びるクーラントチャネルを有するクランプ装置を通じての、長手断面図を示している。
【
図4】溝として実現されている中間チャネルと破線で示されている工具ホルダとを有するクランプ装置の、斜視図を示している。
【
図5】先行技術による、シャフト形状の工具ホルダの取外可能な接続のためのクランプ装置を有する工具ホルダプレートの概略斜視図を示している。
【
図6】一体化されたクーラントチャネルと工具の領域における出口ノズルとを有する工具ホルダの斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ワーク4の機械加工による製造が完全に自動的に進行され得る、旋削装置のための、より詳しくは自動旋削装置のための、従って旋削装置のための、工具ホルダプレート1が、
図1に示されている。ここでは、旋削装置とオートメーション装置、例えば工具ホルダへの工具の自動装着のために当該旋削装置内に一体化されている操作ユニットとが、明瞭さのために省略されている。
【0019】
工具ホルダプレート1は、複数の収容空間10を有している。ここでは、1つは、標準として使用され、市販されており、及び、市販されている旋盤装置に広く使用されている、という工具ホルダプレート1に関係している。ここでは、2つの凹んだ収容空間10が図示されている。工具ホルダプレート1は、シャフト(空間)を用いて工具ホルダ2を収容するために収容空間10の形状に基づいて最適化されており、市販されている。工具ホルダ2は、ここにおいて図示されているように、工具側で工具用凹部(tool recess)内に、工具3、例えばインデックス可能なインサート3、を支持する。工具ホルダプレート1との間、従って少なくとも1つの挿入された工具3とワーク4との間、の相対移動が実行され得て、その結果として機械加工が実行され得る。
【0020】
各収容空間10は、ベアリング面、すなわち工具ベアリング面100と、対向するクランプ用くさび面101と、によって形成されており、これらの面は、工具ホルダプレート1の長手方向lの方向に延びている。
【0021】
工具ホルダ2を収容空間10内に挿入した後、それ(工具ホルダ)は、工具3が収容空間10から突出して所望にワーク4との接触がもたらされ得るような態様で、長手方向lにおいて整列される。ひとたび工具ホルダ2の整列が行われると、それは、クランプ装置11によりクランプされた状態で収容空間10内に取外可能に固定される。当該クランプ装置11は、その長手軸Lに沿って、工具側の端部Wと停止側の端部Aとを、有している。当該クランプ装置によって、位置的及び回転的に固定された工具ホルダ2の固定が達成される。
【0022】
工具ホルダ2を固定するために、クランプ装置11は、通常は当該クランプ装置11の長手軸Lに直交する平面においてくさび状の形状を有しており、工具ホルダ2の第1側面20と収容空間10のくさび状のベアリング面101との間に挿入され得る。クランプ装置11は、第2側面21を用いて、収容空間10の工具ベアリング面100に対して工具ホルダ2を、押圧する。この場合、クランプ面110が、工具ホルダ2の第1側面20に対して平行に延びる態様で直接的に突き当たり、その一方で、くさび面111が、クランプ面110に対向する当該くさび面111の側の収容空間10のクランプ用のくさび状ベアリング面101の方を向く。
【0023】
工具ホルダ2がまた、収容空間10内に取外可能に係止され得るように、クランプ装置11、従って工具ホルダ2は、係止手段112によって工具ホルダプレート1上に取外可能に係止され得る。ここでは、係止手段112として、六角形のソケットによって工具ホルダプレート1上に簡単にしっかりとねじ止めされ得る複数のボルトが、提供されている。これにより、工具ホルダ2は、クランプ状態で、位置的に固定され及び回転的に留められた態様で、間接的に保持され得る。そのような、工具ホルダ2を係止するためのクランプ装置11を有する工具ホルダプレート1は、それ自体、先行技術から知られており、
図6からも確認され得る。
【0024】
ここにおいて
図1により示されているクランプ装置11は、それ自身の長手軸Lの方向において工具ホルダ2よりもより長く設計されており、新規に、停止側の端部A上に、工具3とは反対の方向を向いている止め具116を有している。工具ホルダ2は、工具ホルダ2の端面22が止め具116と接触するまで、クランプ装置11に対して整列されて、係止され得る。工具ホルダ2の簡易な調整のために、止め具116にはボルトが設けられており、当該ボルトは、クランプ装置11の長手軸Lに平行に、所望の偏り(deflection)に至るまで停止側の端部A上の突出部によってねじ止めされ得る。
【0025】
切削工程の間に工具3を冷却するために、クランプ装置11を通じて少なくともある程度延びているクーラントチャネル113を介して、工具3上にクーラントがかけられる。このことは、
図2b、
図3及び
図4において確認され得る。クーラントは、それが偏向される前に、クーラント供給ライン114及び連結部115によってクーラントチャネル113に導入され、クーラントチャネル113を通過した後で、十分な高圧下で目標が定められた状態でクーラント噴出口5によって工具3上に導入される。
図2aのC−C線に沿った
図2bの断面図において、クーラントチャネル113がここではクランプ面110内において部分的に凹まされた態様で延びている、ということが確認される。従って、クーラントチャネル113は、工具ホルダ2の第1側面20に開いて実現されている。
【0026】
クーラント供給ライン114及び連結部115を介してのクーラントチャネル113内のクーラントの通路は、
図3に断面図で示されている。当該クーラントチャネル113は、入口1131、中間チャネル1132及び出口1133を、含んでいる。
【0027】
外部のクーラントチャネル114は、通常は1/8インチの名目上の寸法を有する、金属、特には高品位のスチール、または、プラスチック、特にはPTFE、PFA、ビニル、ナイロン、ポリエチレン、または、ゴム、から作られるパイプまたはホースとして実現され得る。クーラント供給ライン114は、異なる複数の形状を有し得て、特には迅速継手として構築され得る連結部115に、係止される。
【0028】
連結部115の開口が入口1131内にあけられており、それは、ここでは長手軸Lの方向においてクランプ装置11の長さの約半分の位置に、配置されている。入口1131は、穴として実現されており、クランプ装置11の横断方向の長さの半分まで、長手軸Lに対して略垂直に当該クランプ装置11を横切っている。これは、連結部115から入口1131に至る開口が、機械加工の領域から、または、工具3から、可能な限り遠くに配置される場合に有利である。
【0029】
入口1131はまた、選択的にクランプ装置11の停止側の端部Aの領域においても配置され得て、その際、対応してより長い中間チャネル1132が構築されなければならない。この場合、クーラント供給ライン114は、クランプ装置11の停止側の端部Aまで案内されるのみであり、同様に、連結部115は、停止側の端部Aまでシフトされる。
【0030】
中間チャネル1132は、入口1131に隣接している。当該中間チャネルは、クランプ装置11の本体を少なくともある程度横切っており、出口1131内に開いている。出口1133は、クランプ装置11にしっかりとクランプされる場合には、クーラント噴出口5が工具ホルダ2の工具側の端部上に、または、そこに係止される工具3上に、方向付けられる、という態様でクランプ装置11の工具側の端部Wの領域内に配置される。ここで、当該出口1133は、クランプ装置11の本体を通る穴として、形づくられている。この穴は、クランプ装置11の長手軸Lに対して偏向角度αで延びるように、形成されている(窪まされている)。
【0031】
好ましい一実施の形態では、中間チャネル1132は、クランプ装置11のクランプ面110内の溝1132として、構成される。クランプ装置11もスチール製なので、クランプ装置11の本体を完全に横切る穴は、製造するために時間を要し、且つ、高価である。このため、クランプ面110における凹部の形成が有利である。中間チャネル1132として溝1132が選択される場合、当該中間チャネル1132の3つの側面がクランプ装置11の本体によって、形成される。このことにより、結果として、開いた中間チャネル1132が生じる。従って、クーラントチャネル113は、クランプ面110に向かって部分的に開かれて実現される。
【0032】
クランプ装置11によって工具ホルダ2内にしっかりとクランプされると、工具ホルダ2の第1側面20とクランプ装置11のクランプ面110とは、互いに同一平面に平行に存在し、当該第1側面20は、工具ホルダ2に対してクーラントチャネル113の中間チャネル1132をシールする。結果として、クーラントは、クランプ面110内に形成された溝1132を通じて高圧で出口1133まで、運ばれる。中間チャネル1132がクランプ面110における溝として形成される場合、工具ホルダ2の側面20は当該中間チャネル1132の端面として使用され、部分的に予冷される。その一方で、クーラントは、中間チャネル1132を介して工具側の端部Wの方向に流れる。
【0033】
出口1133はまた、達成されるべきクーラント噴出口5の要求に応じて、または、実行されるべき機械加工の応用に応じて、複数の出口チャネルまたは穴から、構築され得る。これに対応して、出口1133を構成する出口チャネルは、互いに対してそれぞれ異なる偏向角度αで、整列され得る。
【0034】
(クランプ装置の製造方法及び装着方法)
少なくとも1つの収容空間10を有しており、その内部に工具ホルダ2がクランプ装置11によって取外可能に保持され得る、という既存の工具ホルダプレート1が、容易に装着され得る。更に、当該工具ホルダプレート1には、新たな冷却システムが装備され得る。クランプ装置11は、工具ホルダプレート1及び工具ホルダ2が変更されないままで、独占的に適用されなければならない。クランプ装置11にはクーラントチャネル113が設けられなければならず、前述のように、入口1131、中間チャネル1132及び出口1133が、様々な形態でクランプ装置11の本体内または本体上に、装備される。入口1131が連結部115に接続され、クーラント供給ライン114が当該連結部115に取外可能に接続され得る。
【0035】
従って、工具の交換の間、クーラント供給ライン114はクランプ装置11上に係止されたままであり、従って工具の交換の直後に冷却が再開され得る。既存のクランプ装置を一体化されたクーラントチャネル113を有するクランプ装置11に交換することによる再調整は、容易かつ迅速に実行され得る。更に、標準化(規格化)された工具ホルダプレート1及び工具ホルダ2が、使用され得る。
【0036】
ここで説明された実施の形態において、クーラントチャネル113は、クーラントチャネル113の断面構成に応じて工具ホルダ上2上に間接的または直接的に、係止され得る。当該クーラントチャネル113は工具ホルダ2を貫通していないので、既知の単純で1ピースの工具ホルダ2が更に使用され得る。クーラント供給ライン114がクランプ装置11上の連結部115によって連結される場合には、工具ホルダ2の取り外しさえ、クーラント供給ライン114が分解されずに実行され得る。
【符号の説明】
【0037】
1 工具ホルダプレート
l 長手方向
10 収容空間
100 工具ベアリング面
101 クランプ用のくさび状ベアリング面
11 クランプ装置
110 クランプ面
111 くさび面
112 係止手段
113 クーラントチャネル
1131 入口
1132 中間チャネル
1133 出口
114 クーラント供給ライン
115 連結部
116 止め具
α 偏向角度
L 長手方向
W 工具側の端部
A 停止側の端部
2 工具ホルダ(旋削工具)
20 第1側面
21 第2側面
22 端面
3 工具(旋削工具、例えばインデックス可能なインサート)
4 ワーク
5 クーラント噴出口