(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記風データを提供するステップは、前記距離計の多位置型ボタンを用いて、当該距離計が前記第1の標的に向いたときに風がやってくる場所の時計コード位置まで風指標を動かすステップを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
距離計は、標的に対して正確な射撃を行う際、多くの用途、例えば狩猟、射撃競技会、軍事又は法令施行、において射手を助けるために重要なデータを提供することができる。多くの従来型距離計は、光のレーザパルスが標的に達して反射されて光源に戻るまでの時間を計算することによって物体までの距離を求めるために、レーザビームを使用する。コンピュータがますます高性能化すると共に小型になっているので、種々のパラメータ、例えば特定のライフル、弾丸又は環境要因、に基づいて弾道学的データを射手に提供するために、レーザ距離計にコンピュータを組み込むことがますます普及している。かかる装置に関する一問題は、このような装置が正確な弾道学的特性を提供するために入力する必要のあるデータの量が多いために、プログラム又はカスタマイズすることが厄介な場合があるということにある。
【0004】
最も従来型の弾道学的距離計は、2つの形式のうちの1つである。
図1に示されているように、第1の形式は、一般的な弾道学的公式を用いて比較的単純なインターフェースでコンピュータ計算する基本型距離計12である。かかる基本型距離計12は、多くの特徴が存在するわけではないので、多くのボタンを必要としない。しかしながら、以下に説明するように、かかる基本型距離計12のメニューは、ボタンオプションが制限されているために厄介な場合がある。
図1に示されているように、基本型距離計は、2つのボタン、即ち、レーザ射撃(fire)ボタン10及びメニューボタン20を有し、これら両方のボタンは、単一位置(押し下げ)ボタンである。レーザ射撃ボタン10の作動により、基本型距離計12は、測距モードにあるとき、測定値をとり、例えば射程をきめる。メニューボタン20の作動により、基本型距離計12は、制限された数のオプション、例えばLEDスクリーン輝度又は測距モード様式、を選択することができるメニューモードに入る。距離計メニュー入力のこの様式の一例を、Vortex Optics Ranger 1000 Rangefinderに見ることができる。しかしながら、この制限された情報の入力でさえも、ボタンの押し方の組み合わせが制限されているので、混乱を招く場合がある。基本型距離計12の中には、複数の弾丸等級を一まとめにして、これらを平均し、それにより包括的な弾道学的解決策を提供するようになっているものがある。射程の短い発射(500ヤード(457.2m)未満)の場合、これは、許容限度内にあると言える。射程の長い発射又は極めて正確な発射が求められる場合、これは、十分に正確ではない場合が多い。
【0005】
距離計の第2の形式は、
図2に見えるような新型の距離計100である。新型距離計100により、ユーザは、多くの変数、例えば弾丸の弾道係数、砲口速度(初速)、気圧、エレベーション(着弾点の上下偏差)、弾丸ドラッグモデル、スコープ高さ、ゼロレンジ、及び多くの他の要因、を入力することができる。その目的は、ユーザに極めて正確な弾道学的解決策を与えることにある。しかしながら、既存の新型距離計100を最初にセットアップするためのかかるデータの入力は、厄介であり、混乱を招く。
図2に示されているように、新型距離計100のかかる一例は、Gunwerks G7 BR2距離計である。この装置は、4つの異なるボタンを有し、これらのボタンの各々は、単一の位置(押し下げ)型のものである。ユーザは、新型距離計100で測定値をとるようにするためには、レーザ射撃ボタン110を押さなければならず、或いは、メニューモードにアクセスするためには、モードボタン120を押して保持する場合がある。いったんメニューモードになると、ユーザは、種々のメインメニュー見出しを循環操作すると共に、上矢印ボタン130及び下矢印ボタン140を用いて個別のメニュー選択肢を調節する必要がある。これは、当該装置の周りの異なる位置に配置された2つの手を用いて複数のボタンを押す必要がある。G7 BR2は、新型距離計であるとはいうものの、プログラムするのが困難である。例えば、当該距離計のユーザに固有の弾道学的データを正確に計算するためには、ユーザは、使用中の小火器(firearm)に関する情報、例えば口径、銃身ねじれ、ねじれ方向、砲口速度、に加えて、環境要因、例えば風速及び風向、を含む情報を、当該装置に入力しなければならない。最後に、ユーザは、弾薬自体に関する情報を更に入力しなければならない。かかる弾薬自体の情報としては、弾道係数、弾丸重量、弾丸長さが挙げられるが、これらには限定されない。さらに、新型距離計100、例えばG7 BR2は、より多くのボタン及び大きな形状要素(要因)を有する結果として、労力が増大すると共に製造に手が込むのでより高価である。新型距離計100は又、多数のボタンが多数の入力ポイントを提供するので、液体及びデブリの入り込みの影響を受けやすい。
【0006】
典型的なレーザ距離計に関する別の問題は、かかる距離計ではユーザが複数のセットアップに関連付けられた情報を記憶することができない、ということにある。例えば、射手が複数丁のライフルを所持し、当該射手が自分の銃の全てについて同一のレーザ距離計を用いたいと思った場合、その射手は、自分が銃を持ち代える度に、利用可能なパラメータに関するデータセット全体を距離計に入力しなければならない。これは、特にユーザが銃を任意の頻度で持ち代えたいと思う場合、時間がかかると共に、フラストレーションの生じるプロセスであると言える。
【0007】
既存の距離計に関する更に別の問題は、弾道学的特徴の複雑精巧さに関する。幾つかの既存の弾道学的距離計は、ユーザインターフェースを容易にするために、包括的な弾道学的公式及びコンピュータ計算を提供するが、このような距離計は、真剣な射手にとって十分な程には正確でないかカスタマイズ可能ではない場合が多い。その結果、ユーザが自分でカスタマイズしたデータを入力することが容易であって、更にユーザが複数の銃/弾薬組み合わせについてそのようなカスタマイズされたデータを記憶する(させる)ことができるというパッケージで、機能豊富な弾道学的プログラムを提供する態様が要望されている。
【0008】
情報の入力を助けるため、弾道学的プログラミングを可能にする幾つかの既存の距離計は、多くのボタンを有する。それにより、かかる距離計は、製造するのが高価となり、しかも使用に当たって混乱をきたす。加うるに、追加のボタンを設けると、ボタンのための適当なスペースを提供するために大きな形状要素の装置ハウジングが必要になる。距離計が混乱を招けば招くほど、ユーザが利用可能な特徴の全てを利用する可能性がそれだけ一層低くなる。それにより、ユーザがもしそうでない場合に得ることができる精度よりも、ユーザの精度が低くなる。追加のボタンを設けると、出費、労働集約度、製造の困難さ、における増大に繋がり、液体及びデブリが距離計に入るエントリポイントの数も増大する。
【0009】
他の既存の距離計は、機能豊富な弾道学的プログラムを有するが、1組の単一位置型ボタンしか提供していない。かかる距離計も又、どのボタンを押すべきか、及び、メニューモードに入り、メニューオプションを循環操作し、又はメニューオプションの設定値を循環操作するためにどのような順序でやるか、を決めることが困難な場合があるので、混乱を招く。特に、既存の距離計は、風速及び風向を入力する直観的なやり方を備えていない。したがって、機能豊富な弾道学的プログラムを備えていて、ユーザが使用しやすいディスプレイ/メニューレイアウトをナビゲートできるように、できるだけ少ない直観で分かるボタンを備えた使用しやすい距離計が要望されている。
【0010】
弾道学的距離計に関する別の困難さは、風に関するデータに関する。風は、射撃を行う上で、特に注目すべきである。というのは、風は、弾丸の軌道に大きな影響を及ぼす場合があるからである。また、風が常時変わっていると仮定すると、直接的に測定することが困難だからである。かくして、ユーザが風向及び風速を常時把握するのを助ける装置又は特徴を距離計に組み込むことが、有利である。現在、風を直接的に測定できる装置が市場に存在するが、かかる装置は、大型であり、高価であり、又はバッテリ消費量に関して負担をかける。例えば、トリー・パインズ(Torrey Pines)製のVemon LXユニットは、射手のためにリアルタイム状態の風を読み取る。この装置は、リアルタイム風を計算して追跡することができるが、類似の特徴を有することが、ハンター、軍事及び政令施行者にとって有利な場合がある。これは、安価であり、手持ち型レーザ距離計に嵌まり込むのに足るほどに携帯可能であり、追加のバッテリ電力をほとんど又は全く使用せず、最小限のユーザ入力で風データを常時把握できるに足るほど使用しやすいものであった。
【0011】
風データを読み取る際、従来方法では、風がやってくる方向を見極め、次に風速を求める。例えば、10mphでの360°の風というのは、風が10mphで南に向かって360°(真北)から来ていることを意味している。この慣習的表現は、素人には誤解される場合が多いが、これに対して、気象予報士、パイロット、又は天候についての奥深い知識を有することが求められる人は、これを正確に理解することであろう。このことを考慮して、風入力が全ての人々にとって直観で分かり、風向の誤解のないことが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【0015】
【0016】
【
図3A】本発明による改良型ディスプレイ付きの距離計の概略図である。
【0017】
【
図3B】本発明による距離計に用いることができる測距システムの概略図である。
【0018】
【
図4A】本発明による改良型ディスプレイ付き距離計の斜視図である。
【0019】
【
図4B】本発明による1つの多位置型ボタンの斜視図である。
【0020】
【
図4C】本発明による第2の多位置型ボタンの斜視図である。
【0021】
【
図5】ボタンの概略図、及び、「測距モード」にある時に
図4の距離計を見たときの図である。
【0022】
【
図6】「メニューモード」にある時に
図4の距離計を見たときに見える図である。
【0023】
【
図7】「メニューモード」にある時に
図4の距離計を見たときに見える図であり、メニュー選択肢が
図6から変化している。
【0024】
【
図8】「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、輝度調節設定を示している。
【0025】
【
図9】「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、「基本」モード設定オプションを示している。
【0026】
【
図10】「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、「上級」モード設定オプションを示している。
【0027】
【
図11】「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth )接続が使用可能であることを示している。
【0028】
【
図12】「測距モード」にある時の
図4の距離計の図であり、使用の際のユーザプロフィール、バッテリレベル、ブルートゥース接続が使用可能であるか否か、を示すと共に、相対湿度及び風速をも示している。
【0029】
【
図13】「測距モード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、射程を求める前の風速及び風向を示している。
【0030】
【
図14】「測距モード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、距離及びエレベーション並びにMOA内のウィンデージ保持値を示している。
【0031】
【
図15】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、プロフィールの選択を示している。
【0032】
【
図16】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、測定系選択を示している。
【0033】
【
図17】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、射程単位の選択を示している。
【0034】
【
図18】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、弾道学的単位選択を示している。
【0035】
【
図19】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、磁気方位角選択を示している。
【0036】
【
図20】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、緯度選択を示している。
【0037】
【
図21】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、ゼロ射程選択を示している。
【0038】
【
図22】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、銃身ねじれ選択を示している。
【0039】
【
図23】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、ねじり方向選択を示している。
【0040】
【
図24】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、口径選択を示している。
【0041】
【
図25】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、弾道学的形状選択を示している。
【0042】
【
図26】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、弾道係数選択を示している。
【0043】
【
図27】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、砲口速度選択を示している。
【0044】
【
図28】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、弾丸重量選択を示している。
【0045】
【
図29】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、弾丸長さ選択を示している。
【0046】
【
図30】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、ドープ選択を示している。
【0047】
【
図31】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、コンパス機能を示している。
【0048】
【
図32】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、温度読みを示している。
【0049】
【
図33】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、射程、エレベーション、及びウィンデージを求める前の風速及び風向を示している。
【0050】
【
図34】「上級モード」のための「メニューモード」にある時の
図4の距離計の図であり、バッテリ、ブルートゥース及びプロフィールに加えて、計算されたエレベーション及びウィンデージ設定値を示している。
【0051】
【
図35】風に関する情報を距離計ディスプレイ上に表示する方法を示す流れ図である。
【0052】
【
図36】本発明による改良型ディスプレイ付き距離計の概略図であり、慣性航法ユニット、保存ユーザ弾道学的プロフィール、保存ユーザ風入力部、環境センサ、及び測距システムを含むプロセッサのための幾つかの入力源を示している。
【0053】
【
図37A】本発明による距離計内の慣性航法ユニットが他のデータ入力の再設定なしでどのようにして記憶された風データを新たな標的に利用可能とすることができるかを示す一連の概略図のうちの1つである。
【
図37B】本発明による距離計内の慣性航法ユニットが他のデータ入力の再設定なしでどのようにして記憶された風データを新たな標的に利用可能とすることができるかを示す一連の概略図のうちの1つである。
【
図37C】本発明による距離計内の慣性航法ユニットが他のデータ入力の再設定なしでどのようにして記憶された風データを新たな標的に利用可能とすることができるかを示す一連の概略図のうちの1つである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図3は、改良型ディスプレイ付きの距離計(レンジファインダ)200の概略図であり、ここでは、当該距離計は、本体520、見晴らしのきく箇所から標的までの視線範囲を測定する測距システム504、ディスプレイ300、及び、測距システム504と連絡状態にあるプロセッサ508、を含む基本コンポーネントを備えた状態で示されている。プロセッサ508は、マイクロプロセッサ又はCPUであって良く、或る特定の実施形態についてはメモリを含む。距離計200は、情報及びデータをプロセッサ508に提供する1つ又は2つ以上の入力部215、例えば1つ又は2つ以上のボタン又は多位置型ボタン220、を更に有するのが良い。1つ又は2つ以上の入力部215は、ユーザがデータ又は設定値を選択し、これらを装置に入力し又はインポートすることを許容可能な多くの異なるフォーマットをとることができる。物理的入力機構体、例えばボタン、スイッチ、キー又はスクリーン、並びに、例えば他の装置又は源に接続可能なポート(例えば、HDMI(登録商標)、USBポート)、を用いることができる。かかる入力部は、以下に詳細に説明するような多くの異なるパラメータに関するのが良い。距離計200は、プロセッサ508と相互作用する慣性航法ユニット516を更に有するのが良い。
【0055】
測距システム504は、物体又は標的500までの距離を求めるためにレーザビームを使用し、レーザパルスを標的500に向かって送って当該パルスが標的で反射されて戻ってくるまでの時間を測定することによって動作する。例示のレーザ測距システム504の基本コンポーネントが、
図3Aに示されている。
図3Aでは、レーザパルスが、トランスミッタ、例えばパルスレーザダイオード501、から放出される。放出されたビームの一部は、ビームスプリッタ502を通って進み、一部が反射されて検出器505に差し向けられる。放出されたレーザパルスは、伝送レンズ503を通って標的500まで進む。この標的500は、レーザパルスの一部分を反射して受光レンズ506を通し、次にレシーバ507を通してマイクロコントローラユニット510に戻す。このマイクロコントローラユニット510は、周知の数学的原理を用いて標的500までの距離を計算する。測距システム504は、追加又は代替のコンポーネントを含むより複雑なシステムであっても良く、かかるコンポーネントとしては、例示として、ゲイン制御コンポーネント、充電キャパシタ、アナログ‐ディジタル変換器が挙げられる。
【0056】
慣性航法ユニット516が、弾丸の軌道、ホールドオーバー、又はユーザにとって関心があり得る他の変数、に関する情報を計算するために弾道学的情報と関連して距離計200内で用いられるのが良い。慣性航法ユニット516は、追加的に又は代替的に、当該慣性航法ユニット516からのデータに基づいて、距離計200が位置を変更する時に風速及び風向の計算及び表示を助けるために使用され得る。その結果、距離計200の位置が変わると、新たな風速及び風向がディスプレイ300上に描写される。一実施形態では、慣性航法ユニット516は、3軸コンパス、3軸加速度計、及び3軸ジャイロスコープを含む。他の実施形態では、3軸コンパス、3軸加速度計、及び3軸ジャイロスコープは、一体型ユニットとして距離計200に組み込まれる代わりに、適当なソフトウェア付きで個々のコンポーネントとして距離計200に組み込まれ得る。そして、更に別の実施形態では、ジャイロスコープが省かれても良い。さらに、加速度計に代えて、他のチルトセンサを用いることができる。他のチルトセンサの例としては、電解液レベルチルトセンサ、光学バブルチルトセンサ、容量型バブルチルトセンサ、振子機構体、回転光エンコーダ、回転電気抵抗エンコーダ、ホール効果デバイス、及びセラミック容量型チルトセンサが挙げられる。
【0057】
一実施形態では、改良型ディスプレイ付きレーザ距離計200は、
図4に示されているように、レーザ射撃ボタン210及び多位置型ボタン220を有する。距離計200は、異なる機能を備えた多数の「モード」の状態で動作可能である。例えば、ユーザ入力又はデータを入力するためには、距離計200は、「メニューモード」であり得るが、測距目的での使用中は、「測距モード」であり得る。これよりも多い又は少ない「モード」が、本発明の内容と合致する距離計内に設けられ得る。
【0058】
図5に示されているように、距離計200は、測距モードにあるとき、ディスプレイ300を提供する。レーザ射撃ボタン210の作動により、距離計200は、測距モードにあるとき、例えば単位付き射程308のような測定値を取得する。レーザ射撃ボタン210を作動させたときに測定することができる他の変数、例えば、保持値306の測定値の単位(角度の分、MRAD、インチ、センチメートル等)、エレベーションホールドオーバー値310、風保持値312、並びに、
図5には示されていない他の値、例えば気圧又は温度、もディスプレイ300上に表示され得る。
図5に示されているように、例えば、ディスプレイは、例えば各々がそれ自身のプロフィールを有する複数の銃又はセットアップのためのプロフィール設定値304を表示することもできる。図示の実施形態では、距離計200は、複数のプロフィールを記憶することができ、従って、ユーザは、複数の銃について弾道学的情報の幾つか又は全てをプログラムすることができ、そして後での使用のためにプロフィール情報を記憶することができる。ディスプレイ300は、上述したように表示されるデータに加えて、照準合わせのための十字線302を更に有するのが良い。
【0059】
一実施形態では、距離計200は、機能豊富なメニューを有し、
図4Aに示されているようにメニューをナビゲートすると共にデータを入力するためのボタンとして単一の多位置型ボタン220を用いることによって、多数のボタンの必要性に取って代わる。多位置型ボタン220は、メニューモードにあるときにメニューオプション402及びメニュー選択肢404(
図6)によりナビゲーションをより直観的にする。当然のことながら、多位置型ボタン220の別の入力部215、ボタン、又は他の様式が、本発明の範囲から逸脱しないで使用され得る。多位置型ボタン220は、左に、右に、前に、後ろに、そして真下に、押すことができる。変形例として、4位置ボタン222が
図4Bに示され、5位置ボタン224が
図4Cに示されている。5位置ボタンは、ユーザに対する複雑さの度合いを最小限に抑えた状態で融通性を提供する。例えば、
図4Cに示されている5位置ボタン224では、当該ボタンを、5つの異なる方向、例えば前方方向、後方方向、右側方向、左側方向(図中矢印で示されている)及び真っ直ぐ上下の方向(ボタンの中心270を押すことによって)、に作動することができる。しかしながら、4位置(例えば
図4B)又はそれ以上のボタン又はスイッチも使用できる。
【0060】
他の例示の形態は、多位置型ボタン220の中心270を押して保持し、それにより
図5に示されているようにメニューモードに入る態様を含む。いったんメニューモードになると、例えば多位置型ボタン220の右部分250及び左部分260を押すことによって、種々のメニューを循環操作することができる。次に、例えば多位置型ボタン220の上部分230及び下部分240を用いることによって、メニュー選択肢を調節することができる。
【0061】
多位置型ボタン220を用いてメニューモードで調整することができる変数及び特徴のタイプは、プロフィール、風速、弾道係数、砲口速度、ドラッグ標準、照準高さ及びゼロ射程を含むが、これらに限定はされない。幾つかの実施形態では、調節することができ又はデータを入力することができる距離計200のパラメータを、メニューオプション402及びメニュー選択肢404として分類しておくことができる。例えば、メニューオプション402は、パラメータ又は変数それ自体であっても良く、例えば、射程単位430又は弾道係数475である。この場合、メニュー選択肢404は、当該パラメータのための選択値又はデータ入力であって良く、選択可能なオプションをスクロールしてクリックすることによって提供できる、あるいは、距離計200それ自体に手動で又は別の装置からのデータ入力を介して入力しても良い。射程単位の例(
図17に示されている)では、メニューオプション402は、射程単位の選択を可能にし、ユーザは、メニュー選択肢404の中からヤード又はメートルを選択することができる。
【0062】
図6は、一実施形態において、ユーザプロフィール設定値304についてのメニューオプション402及びメニュー選択肢404の選択(の態様)を示している。別の例として、
図7に示されているように、例えば、砲口速度オプション412が見えるようになるまで多位置型ボタン220の右部分250又は左部分260を作動することによって、砲口速度オプション(Muz Vlcty)412が選択される。所望のメニューオプション402、この場合砲口速度オプション412、がいったん選択されると、当該メニューオプション402に関するメニュー選択肢404が、多位置型ボタン220の上部分230及び下部分240を作動させることによって調節され得る。
図7に示されているように、砲口速度オプション412についてのメニュー選択肢414は、2750フィート(838.2m)に調節された。
【0063】
或る特定の実施形態では、頻繁に変化する変数、例えばプロフィール304又は風速314が、依然として測距モードにある間、メニューモードに入らない状態で、調節され得る。
図5に戻ってこれを参照すると、例えば、「測距モード」にある間、多位置型ボタン220の右部分250及び左部分260は、風速314を調節することができ、一方、多位置型ボタン220の上部分230及び下部分240は、例えば2人以上の人が射撃を行っているとき又は異なる銃の発射が行われているとき、ユーザプロフィール設定値304を変更することができる。レーザ射撃ボタン210が作動されると、距離計200は、測定値、例えば射程、圧力、温度及び角度測定値、を取得する。この情報は、多位置型ボタン220の中心270が作動されて最後の測定データを削除するまで、保持されることになる。距離計200は、風値314及び手動入力したプロフィール設定値304と共に入力されたデータと一緒に保存測定値を用いて、適当な弾道データを表示する。幾つかの変数、例えば風速314や風向が変化すると、多位置型ボタン220の上部分230及び下部分240が、依然として測距モードにある間に作動され得て、それにより風データ及び保存プロフィール設定値304と関連したデータと組み合わされる新たに得られた測定値を用いて新たな弾道データをリアルタイムで得ることができる。この動作の一利点は、取得することが必要な測定値の組が1つだけで、各風速又はプロフィール選択のために独立した測定値を取得することなく、当該たった1組の測定値を複数の弾道データ変数に適用できるということにある。
【0064】
ボタンの個数及び配置に関する複数の変形例が、本発明の範囲内に含まれるものとして想定される。変形実施形態では、多位置型ボタン220上の任意のボタンを押すことによって、メニューボードに入ることができる。別の変形実施形態では、距離計200は、レーザ射撃ボタン210なしの多位置型ボタン220しか備えない。多位置スイッチ220は、例えば多位置型ボタン220の上部分230が1回の測定のために押されるか又はリアルタイム連続測定値を得るために押されて保持される場合、レーザ射撃ボタン210として機能することができる。多位置スイッチ220は又、多位置型ボタン220の中心部分270が押されて保持され、それによりメニューモードに入るときに、メニューオプション402をナビゲートしてメニュー選択肢404を識別(特定)すると共にデータを手動で入力するための機能ボタンとしても働く。
【0065】
図8〜
図34は、改良型ディスプレイ付きの距離計200の概略図であり、特に、ディスプレイ300上に提供された情報の例を示している。
図8〜
図34に示されている図は、ユーザによって単純にナビゲート可能な多くのメニュー及び設定オプションの例を示している。改良型ディスプレイ付き距離計200の一実施形態では、プロフィールを完成させるために必要な情報を入力することは、15個の異なるパラメータを設定するステップを含み、かかるパラメータは、(1)測定系(英ヤードポンド法/メートル法)、(2)射程単位(ヤード/メートル)、(3)弾道単位(角度の分“MOA”又はMRAD(メートル法))、(4)磁気方位角(E/W)、(5)緯度(+/−0.0000N/S)
、(6)ゼロ射程(100+/−)、(7)銃身ねじれ(1/20+/−)、(8)ねじれ方向(L/R)、(9)口径(7mm、0.338、0.500、0.223、0.270、0.308)、(10)DRG STD(弾道形状)(G1,G7)、(11)弾道係数(0.500+/−)、(12)砲口速度(2700.00 f/s +/−)、(13)弾丸重量(11.50グレイン+/−)、(14)弾丸長さ(1.00インチ(2.54cm)+/−)、及び(15)DOPE(キープ/ダンプ)である。「個人装備に関するデータ(Data On Personal Equipment)」又は「先約のデータ(Data Of Previous Engagement )」を表すDOPEは、距離計上に記憶されたエレベーション及びウィンデージ(風の影響による左右偏差)設定値を指している。これよりも多い又は少ないパラメータが、本発明に従って距離計内に提供されても良い。
【0066】
図面において、
図8は、ディスプレイ300の輝度設定値320を示している。
図9及び
図10は、「基本」モード設定値330と、距離計の使用について調節できるパラメータが少ない又は多い「上級」モード設定値340と、の間でメニューを切り替えることができることを示している。例えば、「基本」設定では、ユーザは、調節に利用できる2〜3のキーパラメータを有することができ、これに対し、「上級」設定では、ユーザは、より多くのパラメータを調節したり入力したりすることができ、距離計の複雑精巧なカスタマイゼーション及び使用を達成することができる。変形例として、「基本」設定値は、最も一般的に用いられている設定値であって良く、「上級」設定値は、それほど頻繁には用いられない設定値であって良い。
【0067】
図11に示されているように、例えば、距離計200は又、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)(ブルートゥース設定値350に示されている)又は任意他の適当なワイヤード若しくはワイヤレス接続方式を用いて、別の装置にリンクされてこれと通信可能であるのが良い。他の装置は、ユーザが距離計200とは別個のプロフィールデータを設定し、次に当該データを距離計にアップロードすることができるソフトウェアを含むのが良い。これにより、距離計200を用いる場合の複雑さを更に減少することができる。例えば、距離計200は、スマートフォン、例えばiPhone(登録商標)又はAndroid 装置上で動作(ラン)する対応アプリケーションを有するのが良い。ユーザは、当該装置上に弾道プロフィール設定値304を生じさせ、次にこれを距離計200にアップロードするのが良い。同様に、距離計200は、当該距離計の使用の仕方に関する情報のログ又は分析データを維持可能であるのが良く、当該ログ又は分析データは、ユーザが後でレビューできるスマートフォン又は他の装置に転送され得る。そして、ワイヤードインターフェースかワイヤレスインターフェース、例えばブルートゥース接続方式を用いて、距離計ソフトウェアを定期的にアップデートするのが良い。
【0068】
図12〜
図14は、距離計の一実施形態に関する「基本」設定値で利用できるパラメータを示している。
図12は、多くの基本装置パラメータを示しており、かかるパラメータは、湿度360、風速314、使用中のユーザプロフィール304、バッテリレベル370及びブルートゥース接続性350を含む。
図13は、射程を求める前の風速314及び風向(風指標512を介する)を示している。射程を求めた後、
図14は、射程380、即ち、エレベーションホールドオーバー値310及び風保持値312(MOAで表されている)と共に標的までの距離、を示している。
【0069】
図15〜
図30は、距離計200の一実施形態に関する「上級」設定の際に調節のために利用できるパラメータ、例えば、ユーザプロフィール設定値304、測定系420、射程単位メニューオプション430、弾道単位オプション435、磁気方位角オプション440、緯度オプション445、ゼロ射程オプション450、銃身ねじれオプション455、ねじれ方向オプション460、口径オプション465、弾道形状オプション470、弾道係数オプション475、砲口速度オプション412、弾丸重量オプション480、弾丸長さオプション485、及びドープオプション490、を示している。図示のメニューオプション402の各々に関し、ユーザは、所望のメニュー選択肢404から選択を行うことができ、又は、所望のメニュー選択肢404を入力することができる。
【0070】
距離計200は、或る特定の環境センサ530、例えば温度計、コンパス、圧力センサ、湿度、風向及び風速、又は他の環境上の特徴を測定するセンサ、を更に有するのが良い。
図31及び
図32は、それぞれ、コンパス機能375及び温度の読み385を示している。
図33は、「上級」設定値が使用中であるときの距離計ディスプレイ300を示しており、特に、射程、エレベーション及びウィンデージを求める前の、風速及び風向を示している。
図34は、上級モード実施形態における計算されたエレベーション及びウィンデージ設定値の例を示している。
【0071】
上述したように、必要なデータの全てを入力するプロセスは、多位置型ボタン220を用いて大幅に単純化することができる。それは、使用するのに1本の指しか必要としない。距離計を用いるために、ユーザは、前述の多位置型ボタン220を用いて「プロフィール」を選択することができ、又は、自分の弾道情報を入力することができる。次に、ユーザは、多位置型ボタン220の上部分230及び下部分240を用いて現在の風速を設定することができる。そして、ユーザは、左部分260及び右部分250を用いてディスプレイ300の周囲に沿って矢印を動かして風向を指示することができる。風速及び風向が提供された後、ユーザは、標的に照準合わせすることができ、そしてレーザ射撃ボタン210を押すことができ、それにより先に提供された弾道情報に基づいて標的までの距離(即ち、射程380)、並びに、ユーザが発射のために必要とするエレベーション及びウィンデージ設定値(310,312)、を計算して表示する。
【0072】
或る特定の実施形態では、距離計200は、DOPE情報を「キープ」する又は「ダンプ」するよう選択することができる。
図30は、ユーザが「キープ」又は「ダンプ」設定値を選択するスクリーンを示している。射程を読み取った後にDOPE情報を保持する際の思想には2つの流派が存在する。ユーザの中には、射程を読み取って正確な発射のために自分のDOPE情報(ウィンデージ及びエレベーション調整値)を得て、そして別の射程が読み取られるまで当該情報をスクリーン上に保持したいと考える人がいる。ユーザが「キープ」を選択する場合、DOPE情報は、別の射程が読み取られるまで、距離計内に保持されたままであろう。「キープ」モードであっても、スクリーンは、或る特定の時間(例えば、10秒)後に電源をOFFにして、バッテリ寿命を節約する。スクリーンが電源をオフにした後ユーザが自分のDOPE情報を忘れた場合、ユーザは、レーザ射撃ボタン210を1度押すだけで、ディスプレイ300のスクリーンをオンに戻すことができ、するとユーザのDOPE情報は、依然として、ディスプレイ上に存在する。多くの場合、距離計を用いた極めて長い射程の発射は、正確に測距するのが困難である。というのは、標的は、極めて小さい場合があり、しかもユーザが距離計を極めて安定した状態に保持しなければならないからである。距離計が事実上正確な標的を外して測距したとしても気楽でいられるよう多くの射程を取得する場合がある。かくして、スクリーンの電源が遮断されて復旧した後でも、別の射程が読み取られるまでは、距離計内に記憶されたDOPEを無期限に「キープ」可能であることが有利である。
【0073】
別の流派の思想は、ユーザが「古い」又は時代後れのDOPEを使用したいとは思わず、且つ、考えられる別のユーザに誤ったDOPEでダイヤル調整させて、それにより他のユーザが発射に失敗して欲しくない、ということにある。これは、特に、複数の標的を撃つ際の軍事用途に当てはまる。ユーザは、複数の標的を測距し、距離計を下に置き、最後の射程/DOPE情報を得るためにどの標的を用いたかを忘れる場合がある。ユーザは、数分後に距離計を拾い上げてディスプレイスクリーンの電源を復旧し、ユーザが正しいと考える情報を用いるが、これは、実際には、古い又は異なる標的についてであったりする。このシナリオを防止するため、ユーザは、DOPE設定値を「ダンプ」に設定したい場合がある。「ダンプ」設定では、スクリーンの電源が切れるたびに、距離計はDOPE情報を消去ないし「ダンプ」する。それにより、ユーザは、別の射程を読み取って新たなDOPE情報を得る必要がある。
【0074】
図13及び
図33に示されているように、メニューシステムを介して、風データは、極めて容易で直観的で迅速な態様で、入力することができる。風データは又、ユーザの弾道情報を調整するために、射程が読み取られた後であっても調節することができる。風データ例えば風速及び風向は、環境センサ530により又は多位置型ボタン220を介するエントリにより、距離計200に入力することができ、プロセッサ508によって使用することができる。
図13は、ウィンデージ及び射程データを求める前に現在の風速及び風向を示す基本モードでのディスプレイ300を示している。同様に、上級モードでは、
図34は、射程、エレベーション及びウィンデージを求める前の現在の風速及び風向を示すディスプレイ300を示している。
【0075】
一実施形態では、風データは、多位置型ボタン220を用いてプロセッサに提供されるのが良い。
図13及び
図33に示されているように、風指標512がディスプレイ300内に提供されている。風指標512は、矢印、ポインタ、カーソル又は他のマーカであるのが良い。図示のように、風指標512は、ディスプレイの中心に向いた矢印であり、ディスプレイの外縁に沿って360°回転され得る。図示のように、OLED、LCD、又は類似の形式のディスプレイであり得る距離計200のディスプレイ300上の表示の外縁周りに、ディスプレイの縁のところに単一の矢印が存在し、当該矢印がディスプレイの中心に向いている。このディスプレイがディスプレイの中心のところにユーザが位置しているとシミュレートすると共にディスプレイの縁のところに風が位置しているとシミュレートしていることが、ユーザにとって直ちに直観的であろう。矢印をディスプレイの中心の方へ向けることによって、ユーザが多位置型ボタン220の左/右位置を用いて矢印を風がやってきている位置に動かすだけですむということが、ユーザには明らかである。数値表現の風向を用いる場合、或いは、ユーザがディスプレイ全体を横切って矢印を位置させようとする場合、或いは、ユーザがディスプレイの中心又は外縁のところに位置した矢印を外方に向ける場合、風が「どこかから来ている」ことと、風が「どこかに行っている」ことと、を混同する難しさがある。というのは、風が来ているところと、風が行っているところと、のいずれに矢印が向いているか、ユーザには分からないからである。
【0076】
かくして、図面中の風指標512を用いるため、ユーザは、自分がディスプレイの中心に立っていると想像して、多位置型ボタン220を使用してユーザが標的に向いたときに風がやってくる場所の時計コード位置のところに風指標512を配置する。例えば、ユーザが自分の標的に向いていると共に風が10mphで3時の位置からやって来ている場合、ユーザは、多位置型ボタン220を用いて風指標512を3時の位置に動かし、更に多位置型ボタン220を用いて風速を10mphに合わせて増減し、そしてレーザを射撃してユーザのDOPE及び標的までの射程を得る。距離計が、磁気変化を補償することも可能な内蔵コンパスを装備している場合、当該距離計200は又、風データがユーザによって入力されているとき又は射程を計算しているときに距離計が向いている真の方位を記録する。次に、距離計200のプロセッサ508は、真北から遠ざかる磁気シフト及びコリオリ効果を考慮に入れて、風の方位方角を計算し、そしてこれらの計算結果を用いて最適な弾道解決策を与えることができる。かくしてユーザは、風がやって来ている場所の時計コードのところに矢印を配置するだけで良く、次に、測距前に風速を設定するだけで良い。
【0077】
ユーザが風向及び風速をいったん設定すると、風データがプロセッサ508のメモリ内に記憶される。次の射程測定値がとられた時点で、距離計200は、慣性航法ユニット516を用いて、距離計が向いているのがどの方向であるかを知り、更に記憶された風がやってくるのがどの方向であるかを知り、そして、距離計200は、風指標512を適切に表示してユーザの新たな相対的風向を図形表示することができ、その結果、あたかも人が装置の上方に位置しているかのように風指標が時計の文字盤上に風の向きを指示するようになっている。
【0078】
風向を定める上で、時計コードを用いることは、コンパス、GPS、又は他の測定装置を持ち出さなければならない場合よりも簡単である。この図形インターフェースは、風向の実際のコンパス方首方向又はレーザ距離計が向いている実際のコンパス方向をユーザが知る必要がない、ということを意味している。というのは、これは、距離計200の「フードの下で(つまり、装置内部で)」全て行われるからである。ユーザは、自分の意図した標的にいったん向くと、自分の標的方向に対して風がどの方向からやってくるかを判定するだけで良い。例えば、人が標的に向いていて風がユーザの真後ろから(「6時」のところから)やってきている場合、ユーザは、矢印の向きをスクロールしてこれをスクリーンの底部に合わせ、その結果、矢印が上方に向くようにし、それによりユーザの背後からやってきている風をシミュレートする。さらに別の例で、風がユーザの左肩からやってきている場合、ユーザは、単に風矢印をスクロールしてこれをディスプレイ上の「9時」の位置に合わせれば良い。最後に、ユーザは、多位置型ボタン220の上/下位置を用いると共に風速の適当な増分を用いて、自分の風速を入力する。この説明のため、1mph増分が用いられる。ユーザは、任意の所望の方法を用いて風速を決定する。例えば、ユーザは、単純な経験に基づいて風を推定しても良い。これは、通常、極端に長い射程の場合を除いて、あらゆる正確な発射を補償するのに十分なほどに正確である。変形例として、ユーザは、手持ち型風力計をも用いることができ、又は、天候アプリ、天候チャネル、天候ラジオ、又は任意他の適当な信頼性のあるソース、からの風データを用いることができる。
【0079】
風における最も重要な要因は、弾丸の飛行経路距離にわたる平均風である。風向及び風速は、長い距離の発射にわたって変化する場合がある。この理由のために、携帯型風装置は、これらの値の面で制約がある。というのは、携帯型風装置は、ユーザに現在の所在場所のところでの風の読みを与えるに過ぎず、発射の射程全体にわたって風の読みを与えることがないからである。射撃範囲全体にわたって間隔を置いて配置できるワイヤレス装置が存在するが、これは、通常、狩猟、法令執行又は軍事用途にとっては非実用的である。天候ラジオ、天候チャネル、又はスマートフォンアプリも又、超局所的な風データを提供することはない。最善の現行の方法は、ユーザがユーザ自身の観察に基づいて風データを微調整することを許容することである。風装置情報、草の動き、埃の動き等を用いて、ユーザは、射撃範囲にわたる平均風向及び平均風速を判定することができ、次に、その風を距離計に設定することができる。
【0080】
大抵の距離計が非使用期間(例えば、10秒)後に電源が切れるので、風(情報)がメモリ内に保たれていることが重要である。次に距離計200が電源オンした時点で、コンパスは、その方向の瞬時読みをとり、次に風矢印を記憶した風方向に対応するディスプレイ上の適当な場所で表示する。この場合も又、ユーザは風の数値表示の方位が何であるかを知る必要がない。というのは、これは全て、距離計200のプロセッサ508又はメモリ内に記憶されているからである。ディスプレイデータ、例えば複数の標的に関するエレベーションホールドオーバー値及びウィンデージ設定値、を計算するために当該風データを用いるのが良い。
【0081】
例えば、人が360°に向き、風がユーザの右肩(方向)からやってきている場合、ユーザは、風指標512を3時の位置に置く。次に、ユーザは、ディスプレイの中心に向いた3時の位置の矢印を見る(シミュレートされたユーザの位置は、鳥瞰図プロフィール内にある)。当該装置は、360°(真北)に向いていることが分かり、また、指標が090°のところ(真東)に位置していることが分かり、090風を記憶すると共に、ユーザが設定する風速値がどのようなものであれ当該風速値を記憶する。090°という風向は、ユーザには必ずしも表示されないし(ただし、表示することは、可能である)、必要であるという訳もない。というのは、実際の方向は、矢印の位置と関連していて「フードの下で」記憶されるからである。風指標512がいったん設定されると、ユーザは、距離計200を左又は右にパンする(動かす)ことがあり、矢印は、距離計200が向いている方向に関して090°位置が存在する場所を常に把握するようリアルタイムの調節を行う。
【0082】
次にユーザがしばらく歩いて新たな標的を発見したと仮定する。今、ユーザは、270°(真西)に向いている。本発明に従って距離計200を用いる場合、ユーザは、自分が向いているのがどの方向であるかを知る必要はない。ユーザは、距離計200を電源オンすると、即時コンパス方向読みが搭載型慣性航法ユニット516によって得られ、距離計200のプロセッサ508が、ユーザが270°(真西)に向いていることを判定する。ユーザによって設定された最後の記憶状態の風向値が、090(真東)であったとする。このとき、風指標512は、ディスプレイ300の底部に自動的にシフトされ得る。当該底部は、射手の真後ろに位置する6時の位置である。というのは、これは、風が最後にやって来た場所だからである。ユーザは、風を常時把握する必要は全くない。というのは、距離計200及び風追跡特徴部がユーザに代ってこれを行うからである。風がシフトし又は速度を変えた場合、保存されている風データに対する調節は、多位置型ボタン220を用いて容易に実施でき、それにより風向及び風速を微調整することができる。ユーザが風データを微調整するのを忘れた場合であっても、装置は、風の補正が全く行われない場合よりもずっと良好な弾道学的解決策を与える可能性が依然としてある。また、弾道DOPEキープ/ダンプ特徴により、ユーザは、実際に、その事実の後に風データを変更することができ、そして弾道学的特徴は、数学的処理を再コンピュータ計算する前に適正な解決策に合わせてリアルタイムの調節を行うであろう。このことは、ユーザが射程を読み取った後まで風を微調整するのを忘れても良いことを意味している。
【0083】
図36、
図37A、
図37B、及び
図37Cは、更に、測距システム504、環境センサ530、慣性航法ユニット516、保存ユーザプロフィール設定値540、及び保存ユーザ風入力550を含む改良型ディスプレイ付き距離計200の一実施形態を示している。理解されるべきこととして、これら特徴のうちの全てが本発明の範囲に含まれるべき距離計200内に含まれる必要はない。
図36は、これらの特徴の全てがプロセッサ508への入力となることができるということを図示するために提供されている。これにより、ディスプレイ300内で観察可能な出力データを提供することができる。追加の特徴又は入力部も、設けられ得る。
図36に示されているように、距離計200は、数個のコンポーネントを収容した本体520を有し、かかるコンポーネントとしては、ディスプレイ300、プロセッサ508、測距システム504、環境センサ530、及び慣性航法ユニット516が挙げられる。この概略図では、ボックス540は、弾道学的ユーザプロフィールを表し、ボックス550は、装置のメモリ内に、恐らくはプロセッサ508内に記憶された保存風データ(例えば、風速及び風向)を表している。保存弾道学的プロフィール540は、上述したように提供でき、かかる保存弾道学的プロフィールは、ユーザの銃及び弾薬に関する保存弾道学的プロフィールデータを含む。保存風データ550は、これまた上述したように提供できる。
【0084】
図37A、
図37B、及び
図37Cは、新たな標的のための新たな弾道学的解決策を極めて迅速に提供するために、慣性航法ユニット516、保存弾道学的プロフィール情報540、及び測距システム504と一緒に、保存風データ550をどのように使用することができるかを実証している。
図37Aは、第1の射程570で第1の標的560に対する射手の位置555を示しており、この場合、射手は、風指標512を距離計200上に設定する。
図37Aでは、風は、10mphの速度で真北(360°)から来ており、第1の標的560は、300°のところに位置している。
【0085】
図37Bは、風のベクトル成分を横風成分と向かい風成分とに分解することができ、次に、記憶されている弾道学的情報(恐らくは、ユーザプロフィールから)に適用して所与の風向及び風速について補正された弾道学的解決策を計算して提供することができる、ということを示している。
図37Bにおいて、“X”は、横風成分であり、“Y”は、向かい風成分である。次の計算式、即ち、Sin30=Y/10を用いて、“Y”について解を求めると、5mphの向かい風成分が得られる。更に、次の計算式、即ち、Cos30=X/10を用いて、“X”について解を求めると、8.66mphの横風成分が得られる。5mph向かい風及び8.66mph右横風を、測距システム504及びプロセッサ508によって求められた第1の射程570での第1の標的560に関する弾道学的データに適用すると、その結果として、第1の標的560についてディスプレイ300上に提供され得る補正済みの弾道学的解決策が得られる。
【0086】
ユーザが第2の射程590のところで第2の標的580に関して位置555のところで向きを変えた場合、貯蔵風データ及び他の保存データを用いて、
図37Cに示されているような第2の補正済み弾道学的解決策を計算することができる。
図37Cでは、計算結果は、同一の風及び弾道学的データを用いて、方向200°のところで第2の標的580について調節される。慣性航法ユニット516により、第2の標的580の新たな照準合わせ方向が、プロセッサ508が新たな横風成分及び向かい風(又は追い風成分)を計算するために、元の風入力に適用され得る。
図37Cの例では、“X”は、依然として、横風成分であり、“Y”は、今や、追い風成分である。次の計算式、即ち、Sin20=X/10を用いて、“X”について解を求めると、3.42mphの横風成分が得られる。同様に、次の計算式、即ち、Cos20=Y/10を用いて、“Y”について解を求めると、9.4mphの追い風成分が得られる。9.4mph向かい風及び3.42mph右横風を、測距システム504及びプロセッサ508によって求められた第2の射程590での第2の標的580に関する弾道学的データに適用すると、その結果として、第2の標的580についてディスプレイ300内で提供され得る補正済みの弾道学的解決策が得られる。この機能は、例えば射手が類似の風速及び風向の状態で新たな場所に動いた場合、追加の標的及び異なる場所で利用できる。
図37A、
図37B及び
図37Cに示された例は、風速及び風向が同一のままであることを前提条件にしている。しかしながら、風速又は風向が変化した場合、ユーザは、変化した条件について風指標512又は他の風入力データを容易に調節することができる。
図35は、ステップ図での当該プロセスの図である。
【0087】
本発明は、本明細書において、最も実用的で好ましい実施形態であると考えられた形態で説明されたが、前述した特定の実施形態に限定されることは意図されていないことが理解されるべきである。それどころか、本発明の精神又は意図から逸脱することなく、当業者によって改造を行うことができるということが認識され、従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の主題及び本明細書における本発明の説明に対するあらゆる合理的な均等物を含むものと解されるべきである。