特許第6833908号(P6833908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6833908-水上浮体式設備 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833908
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】水上浮体式設備
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/16 20060101AFI20210215BHJP
   B63B 35/44 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   B63B25/16 Z
   B63B35/44 C
   B63B35/44 Z
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-99650(P2019-99650)
(22)【出願日】2019年5月28日
(65)【公開番号】特開2020-192895(P2020-192895A)
(43)【公開日】2020年12月3日
【審査請求日】2019年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000205535
【氏名又は名称】株式会社 商船三井
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 真実
(72)【発明者】
【氏名】ジフン ナ
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2018−0036221(KR,A)
【文献】 国際公開第2018/078688(WO,A1)
【文献】 特表2019−504792(JP,A)
【文献】 特開2005−214313(JP,A)
【文献】 特開平05−248599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/16
F17C 9/00
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状のガスを貯蔵するタンクと、
前記タンクに貯蔵された前記ガスを気化する気化手段と、
前記気化手段により気化された前記ガスを陸上の設備に送出するガス送出手段と、
自然環境にある水を取り込む水取り込み手段と、
前記ガスと前記水取り込み手段により取り込まれた前記水との温度差に基づいて、ランキンサイクルによる発電を行うランキンサイクル発電手段と
前記水取り込み手段により取り込まれた前記水に基づいて、前記ランキンサイクルで用いるランキンサイクル用媒体を加熱するための第1加熱手段と、
前記ランキンサイクル発電手段と異なる他の発電手段と、
前記他の発電手段の冷却に用いる清水に基づいて、前記ランキンサイクル用媒体を加熱するための第2加熱手段と、
前記水取り込み手段により取り込まれた前記水に基づいて、前記清水を冷却する冷却手段と
を備えたことを特徴とする水上浮体式設備。
【請求項2】
前記タンクの内部で発生する気化した前記ガスを圧縮する圧縮手段と、
前記圧縮手段により圧縮された前記ガスを液化する液化手段と
を備えたことを特徴とする請求項に記載の水上浮体式設備。
【請求項3】
前記ランキンサイクル用媒体を前記圧縮手段により圧縮された前記ガスで加熱するための第3加熱手段
を備えたことを特徴とする請求項に記載の水上浮体式設備。
【請求項4】
液体状のガスを貯蔵するタンクと、
前記タンクに貯蔵された前記ガスを気化する気化手段と、
前記気化手段により気化された前記ガスを陸上の設備に送出するガス送出手段と、
自然環境にある水を取り込む水取り込み手段と、
前記ガスと前記水取り込み手段により取り込まれた前記水との温度差に基づいて、ランキンサイクルによる発電を行うランキンサイクル発電手段と
前記水取り込み手段により取り込まれた前記水に基づいて、前記ランキンサイクルで用いるランキンサイクル用媒体を加熱するための第1加熱手段と、
前記タンクの内部で発生する気化した前記ガスを圧縮する圧縮手段と、
前記圧縮手段により圧縮された前記ガスを液化する液化手段と、
前記ランキンサイクル用媒体を前記圧縮手段により圧縮された前記ガスで加熱するための第2加熱手段と
を備えたことを特徴とする水上浮体式設備。
【請求項5】
前記ランキンサイクル発電手段と異なる他の発電手段と、
前記他の発電手段の冷却に用いる清水に基づいて、前記ランキンサイクル用媒体を加熱するための第加熱手段と
を備えたことを特徴とする請求項に記載の水上浮体式設備。
【請求項6】
前記水取り込み手段により取り込まれた前記水に基づいて、前記清水を冷却する冷却手段
を備えたことを特徴とする請求項に記載の水上浮体式設備。
【請求項7】
前記第1加熱手段は、前記水で加熱される中間媒体を用いて、前記ランキンサイクル用媒体を加熱すること
特徴とする請求項1又は請求項4に記載の水上浮体式設備。
【請求項8】
前記他の発電手段は、前記タンクの内部で発生する気化した前記ガスを燃料とすることを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の水上浮体式設備。
【請求項9】
前記水取り込み手段により取り込まれた前記水に基づいて、前記気化手段により気化された前記ガスの温度を調節する温度調節手段
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の水上浮体式設備。
【請求項10】
水上を移動する機能を有すること
を特徴とする請求項1又は請求項4に記載の水上浮体式設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水上浮体式設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、LNG(液化天然ガス:liquefied natural gas)を輸送する船舶が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような船舶で輸送されたLNGは、FSRU(浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備:floating storage regasification unit)を介して、海水の熱を利用して再ガス化され、陸上の設備に送られる。FSRUとしての操業に必要な電力は、化石燃料等によりディーゼル発電機を用いて発電することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−34665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、LNGの冷熱を海水で温めて、冷やされた海水がそのまま海に流出すると、生態系等の自然環境への影響が懸念される。また、操業のためにディーゼル発電機を用いて排熱を海水で冷却し、その海水が流出すると、同様に、自然環境への影響が懸念される。
【0005】
本発明の実施形態の目的は、自然環境にある水を利用するFSRUとして機能し、自然環境への影響を抑制する水上浮体式設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の観点に従った水上浮体式設備は、液体状のガスを貯蔵するタンクと、前記タンクに貯蔵された前記ガスを気化する気化手段と、前記気化手段により気化された前記ガスを陸上の設備に送出するガス送出手段と、自然環境にある水を取り込む水取り込み手段と、前記ガスと前記水取り込み手段により取り込まれた前記水との温度差に基づいて、ランキンサイクルによる発電を行うランキンサイクル発電手段と、前記水取り込み手段により取り込まれた前記水に基づいて、前記ランキンサイクルで用いるランキンサイクル用媒体を加熱するための第1加熱手段と、前記ランキンサイクル発電手段と異なる他の発電手段と、前記他の発電手段の冷却に用いる清水に基づいて、前記ランキンサイクル用媒体を加熱するための第2加熱手段と、前記水取り込み手段により取り込まれた前記水に基づいて、前記清水を冷却する冷却手段とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、自然環境にある水を利用するFSRUとして機能し、自然環境への影響を抑制する水上浮体式設備を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る水上浮体式設備の構成を示す構成図。
図2】本実施形態に係るORCの温度/比エンタルピーを示すT−s線図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る水上浮体式設備1の構成を示す構成図である。
水上浮体式設備1は、LNGを貯蔵し、貯蔵しているLNGを再ガスして陸上の設備(例えば、ガス管)に高圧ガスを送る水上浮体式(洋上浮体式)のLNG基地である。即ち、水上浮体式設備1は、FSRUである。また、水上浮体式設備1は、航行可能な移動体(例えば、船舶)である。
【0010】
なお、水上浮体式設備1は、液体状のガス(例えば、LNG)を貯蔵して、そのガスを再ガス化(気化)して陸上に送る機能を有し、海水、河水又は湖水等の水に浮かぶ設備であれば、どのような形状及び構造でもよい。例えば、水上浮体式設備1は、船の形をしていなくても良いし、推進設備がなくてもよい。ここでは、水上浮体式設備1は、主に、海洋を航行する船舶として構成されたものについて説明する。
【0011】
水上浮体式設備1は、ターボ発電機3、LNG気化器4、有機媒体循環ポンプ5、第1熱交換器6、第2熱交換器7、第3熱交換器8、第4熱交換器9、第5熱交換器10、ディーゼル発電機11、リコンデンサー(再液化装置)12、LNG昇圧ポンプ13、トリムヒーター(再ガス温度調整用熱交換器)14、LNGタンク15、フィードポンプ(feed pump)16、BOG(boil off gas)圧縮機17、加熱用海水ポンプ18、加熱媒体循環ポンプ19、冷却用海水ポンプ20、冷却清水昇圧ポンプ21、有機媒体配管L1、LNG配管L2、BOG配管L3、海水配管L4、加熱媒体配管L5、冷却清水配管L6、及び、再ガス配管L7を備える。
【0012】
有機媒体配管L1は、発電システム2で用いられる有機媒体が流れる配管である。有機媒体配管L1は、LNG気化器4とターボ発電機3との間を有機媒体が循環するように構成される。有機媒体配管L1は、LNG気化器4からターボ発電機3に第1熱交換器6及び第2熱交換器7を順次に介する経路を含み、LNG気化器4から第1熱交換器6への経路において、第3熱交換器8を経由する経路と第3熱交換器8を経由しない経路(バイパス)に分岐するように構成される。BOG圧縮機17が動作中は、有機媒体は、第3熱交換器8を経由する経路を流れ、BOG圧縮機17が停止中は、有機媒体は、第3熱交換器8を経由しない経路を流れる。なお、有機媒体が3つの熱交換器6〜8を通る順番は、どのように構成されてもよい。有機媒体は、例えばプロパンであるが、可燃性媒体ではなく、プロパンに熱特性が近い非可燃性媒体でもよい。
【0013】
LNG配管L2は、LNGタンク15からリコンデンサー12にLNGが送られるように構成される。LNGは、どのような組成でもよい。
BOG配管L3は、LNGタンク15の上部からリコンデンサー12にBOG圧縮機17及び第3熱交換器8を順次に介してBOG(boil off gas)が送られるように構成される。また、BOG配管L3は、ディーゼル発電機11の燃料供給用としてBOGを送る経路が設けられる。BOGは、LNGタンク15に蓄積されたLNGの一部が入熱により気化した気体状の天然ガスである。
【0014】
海水配管L4は、第4熱交換器9及び第5熱交換器10のそれぞれに船外から取り込まれた海水が送られ、第4熱交換器9及び第5熱交換器10のそれぞれから加熱又は冷却に使用された海水が船外に放出されるように構成される。
【0015】
加熱媒体配管L5は、加熱媒体が流れる配管である。加熱媒体配管L5は、第4熱交換器9とトリムヒーター14との間を加熱媒体が循環する経路、及び、第4熱交換器9と第1熱交換器6との間を加熱媒体が循環する経路を含むように構成される。加熱媒体は、第1熱交換器6により有機媒体を加熱するために用いられ、トリムヒーター14の加熱媒体としても用いられる。
【0016】
ここで、有機媒体を海水で直接加熱すると、海水が第1熱交換器6の中で氷結するリスクがある。このため、有機媒体と海水との中間媒体として、不凍熱媒体である加熱媒体を用いる。例えば、加熱媒体は、エチレングリコール水溶液(グリコール水)であるが、プロパン等のその他の媒体でもよい。
【0017】
冷却清水配管L6は、ディーゼル発電機11のエアクーラーなどでエンジン給気を冷却するための清水が流れる配管である。冷却清水配管L6は、第5熱交換器10、ディーゼル発電機11、及び、第2熱交換器7を順次に清水が流れて循環するように構成される。
再ガス配管L7は、LNG気化器4からトリムヒーター14を介して陸上の設備に、気化(再ガス化)された天然ガスが送出されるように構成される。
【0018】
発電システム2は、ターボ発電機3、LNG気化器4、有機媒体循環ポンプ5、第1熱交換器6、第2熱交換器7、第3熱交換器8、及び、有機媒体配管L1で構成される。
発電システム2は、有機媒体を用いたランキンサイクルにより発電を行う有機ランキンサイクル(ORC、organic Rankine cycle)式発電システムである。LNG冷熱とその他の熱源との温度差を利用してターボ発電機3で発電を行う。
【0019】
発電システム2の動作の概要は、次のとおりである。各熱交換器6〜8は、有機媒体を加熱(気化)して過熱蒸気を作る。ターボ発電機3は、熱交換器6〜8により作られた過熱蒸気をタービンで膨張させて、タービンを回転させる。ターボ発電機3は、この回転力(仕事)により発電する。ターボ発電機3のタービンで仕事をした有機媒体は、気体のまま又は気液混合状態で、LNG気化器4で冷却されて凝縮・液化し、各熱交換器6〜8に戻る。発電システム2は、この一連の動作を繰り返すことで、発電するためのサイクルが行われる。
【0020】
ターボ発電機3は、翼を備えるタービンローターが発電機と接続された構成である。ターボ発電機3は、蒸気ではなく高分子の有機媒体を利用する発電機である。
LNG気化器4は、有機媒体配管L1に流れる有機媒体から熱を吸収してLNGを気化(再ガス化)させるための熱交換器である。例えば、LNG気化器4は、シェルアンドチューブ(shell & tube)タイプであるが、その他のタイプでもよい。
【0021】
有機媒体循環ポンプ5は、LNG気化器4で冷却され凝縮・液化した有機媒体を昇圧させて、発電システム2の有機媒体配管L1に有機媒体を循環させるためのポンプである。なお、有機媒体循環ポンプ5の上流側(LNG気化器4の後流側)に、液化した有機媒体を一時的に貯蔵するタンクを設けてもよい。
【0022】
第1熱交換器6は、有機媒体配管L1に流れる有機媒体と加熱媒体配管L5に流れる加熱媒体との間で熱交換することで、加熱媒体で有機媒体を加熱する。なお、第1熱交換器6は、使用しない時があってもよいし、設けなくてもよい。この場合、発電システム2は、第2熱交換器7及び第3熱交換器8を用いて、ディーゼル発電機11の廃熱及びBOG圧縮機17の熱回収で、ランキンサイクルを行う。このため、水上浮体式設備1は、海水使用量を削減してもよい。
【0023】
第2熱交換器7は、有機媒体配管L1に流れる有機媒体と、冷却清水配管L6に流れる清水との間で熱交換することで、清水で有機媒体を加熱する。これにより、第2熱交換器7は、ディーゼル発電機11の廃熱を利用して有機媒体を加熱する。
【0024】
第3熱交換器8は、有機媒体配管L1に流れる有機媒体と、BOG配管L3に流れるBOGとの間で熱交換することで、BOGで有機媒体を加熱する。
第4熱交換器9は、海水配管L4に流れる海水と、加熱媒体配管L5に流れる加熱媒体との間で熱交換することで、海水で加熱媒体を加熱する。
第5熱交換器10は、海水配管L4に流れる海水と、冷却清水配管L6に流れる清水との間で熱交換することで、海水で清水を冷却する。
【0025】
ディーゼル発電機11は、再ガス化処理に必要な電力(例えば、LNG昇圧ポンプ13、BOG圧縮機17、又は、加熱用海水ポンプ18の電源等)の船内の電力を賄うための発電機である。ディーゼル発電機11は、重油及びBOG圧縮機17から供給されるBOGを燃料として燃焼させて発電する2元燃料焚きディーゼル発電機である。なお、ディーゼル発電機11は、ディーゼル機関を用いない他の発電機でもよい。
【0026】
リコンデンサー12は、BOG圧縮機17から供給されるBOGの一部を再液化(再凝縮)させるための圧力容器である。リコンデンサー12は、加圧された状態の内部で、BOGにLNGをスプレーすることによる蒸発潜熱を利用して、BOGの一部を再液化(再凝縮)させる。再液化されたBOGは、スプレーされたLNGと混合されて、LNG昇圧ポンプ13でLNG気化器4に送られる。なお、再液化されたBOGは、LNGタンク15に戻されてもよい。
【0027】
LNG昇圧ポンプ13は、リコンデンサー12から供給されたLNG(BOGが再液化されたものを含む)を昇圧して、LNG気化器4を介して、陸上の設備に送るためのポンプである。LNG昇圧ポンプ13は、陸上側の要求圧力に合わせて設計吐出圧力を決定する。LNG昇圧ポンプ13は、空運転防止のために液面を一定以上に保つサクションドラムとしての役割を持つ。
【0028】
トリムヒーター14は、加熱媒体配管L5に流れる加熱媒体と、再ガス配管L7に流れる再ガスとの間で熱交換することで、加熱媒体で再ガスを加熱する。加熱媒体は、第4熱交換器9により海水で加熱されることから、トリムヒーター14は、加熱用熱源として海水を利用する熱交換器である。トリムヒーター14は、LNG気化器4から再ガス配管L7に送り込まれた再ガスを加熱して、再ガスの温度を調整する。トリムヒーター14の容量は、陸上側の要求圧力に合うように決定される。
【0029】
LNGタンク15は、LNGを貯蔵するタンクである。LNGタンク15の上部には、一部のLNGが蒸発・気化したBOGが溜まる。
【0030】
フィードポンプ16は、LNGタンク15の底面に設置され、LNG配管L2に接続される。フィードポンプ16は、再ガスに必要な量のLNGをLNGタンク15からリコンデンサー12に送るためのポンプである。
【0031】
BOG圧縮機17は、LNGタンク15の上部に溜まったBOGを吸い込み、圧縮してリコンデンサー12に送るガス圧縮機である。BOG圧縮機17は、LNGタンク15の圧力制御用に使われる。BOGが増え続けるとLNGタンク15の内部圧力が上昇するため、BOG圧縮機17は、LNGタンク15を保護するために、BOGを圧縮する。圧縮されたBOGは、リコンデンサー12に送られるか、又は、ディーゼル発電機11の燃料として焼却処理される。
【0032】
加熱用海水ポンプ18は、海水配管L4に設けられる。加熱用海水ポンプ18は、海水を船外から取り込み、第4熱交換器9に送るためのポンプである。
【0033】
加熱媒体循環ポンプ19は、加熱媒体を昇圧し、循環させるためのポンプである。加熱媒体循環ポンプ19は、加熱媒体配管L5に設けられる。
【0034】
冷却用海水ポンプ20は、海水配管L4に設けられる。冷却用海水ポンプ20は、海水を船外から取り込み、第5熱交換器10に送るためのポンプである。
【0035】
冷却清水昇圧ポンプ21は、冷却清水配管L6に設けられる。冷却清水昇圧ポンプ21は、ディーゼル発電機11の冷却に用いられる清水を昇圧して、ディーゼル発電機11、発電システム2の第2熱交換器7、第5熱交換器10を順次に循環させるためのポンプである。
【0036】
次に、発電システム2について説明する。
発電システム2は、有機媒体配管L1に流れる有機媒体の閉サイクルにより成り立っている。有機媒体は、BOG圧縮機17の後流のガスから回収する熱、海水から得た熱、及び、ディーゼル発電機11の廃熱から得た熱で加熱・気化される。それらの熱とLNGから得た冷熱との差で有機媒体を液化させて、膨張力を生み出す。ターボ発電機3は、この膨張力を回転エネルギーに変換して発電する。
【0037】
有機媒体は、有機媒体循環ポンプ5で昇圧され、有機媒体配管L1を循環する。有機媒体の1次加熱として、第3熱交換器8は、BOG圧縮機17によりBOG配管L3に余分に与えられた熱を回収する。有機媒体の2次加熱として、第1熱交換器6は、加熱媒体を介して、海水からの熱を取り入れる。この加熱媒体は、第4熱交換器9を介して海水から熱を取り入れる。有機媒体の3次加熱(及び気化)として、第2熱交換器7は、ディーゼル発電機11の冷却用の清水に与えられた廃熱を回収する。これらの加熱・気化過程を経て、有機媒体は、発電に必要なエネルギーを与えられ、ターボ発電機3を通過することで、発電システム2は、電力を得る。
【0038】
図2は、本実施形態に係る、発電システム2のORCで用いられる有機媒体の温度/比エンタルピーを示すT−s線図である。また、図2には、有機媒体の飽和曲線Csを示している。
LNG気化器4から出力された有機媒体は、有機媒体循環ポンプ5により昇圧されることで、ORCを実行するように有機媒体配管L1を循環する(状態P5)。
【0039】
有機媒体は、第1熱交換器6及び第3熱交換器8により、液体又は気液2相で加熱される(状態P6,P8)。BOG圧縮機17が動作中は、有機媒体は、BOG圧縮機17の後流の熱を回収するために、第3熱交換器8を通る(状態P8)。BOG圧縮機17が停止中は、有機媒体は、第3熱交換器8を通らないバイパスを通る。
【0040】
有機媒体は、ディーゼル発電機11の廃熱を利用した第2熱交換器7により、加熱される。これにより、少なくとも一部が液体の状態(状態P7a)から、最終的に全量気化する(状態P7b)。気化した有機媒体は、高温かつ高圧の状態(状態P3)でターボ発電機3に入り、仕事(発電)をして、LNG気化器4に戻る。このとき、有機媒体は、気体の状態(状態P4a)から液体の状態(状態P4b)に戻る。
【0041】
次に、LNGが再ガス化されて、陸上の設備に送られる動作について説明する。
LNG気化器4によるLNGの再ガス化を行う場合、LNGタンク15内のLNGがフィードポンプ16で、リコンデンサー12に送られる。また、LNGタンク15の上部に溜まったBOGは、BOG圧縮機17で第3熱交換器8を介してリコンデンサー12に送られる。したがって、第3熱交換器8により、リコンデンサー12に送られる前に、BOGの温度は、下げられる。
【0042】
リコンデンサー12内では、フィードポンプ16により送り込まれたLNGがスプレーされて、BOG圧縮機17から送り込まれたBOGの一部が再液化する。このとき、BOGの温度が予め下げられていることで、再液化効率が向上し、リコンデンサー12は、より多くのBOGを再液化することができる。
【0043】
再液化されたBOGとLNGタンク15から送り込まれたLNGは、LNG昇圧ポンプ13により、所定の圧力に昇圧され、LNG気化器4に送られる。LNG気化器4は、送り込まれたLNGを再ガス化し、トリムヒーター14に送る。トリムヒーター14は、送り込まれた天然ガスを温度調節して、陸上の設備に送る。
【0044】
本実施形態によれば、以下の作用効果を得ることができる。
発電システム2は、蒸気を熱源としてLNGを加熱するクローズドループ式であるが、中間媒体を介して海水(自然環境にある水)の熱源を利用して有機媒体を再ガス化する間接加熱システムを採用しているため、オープンループ式の利点も有する。
【0045】
具体的には、海水の熱源を利用せずに再ガス化するクローズドループ式と比較して、燃料消費量および二酸化炭素排出量を抑制することができる。また、間接加熱システムを採用することで、LNGの冷熱で海水温度が低下することによる自然環境(例えば、生態系)への影響を抑制することができる。さらに、水上浮体式設備1の各機器(LNG気化器4等)を海水が循環することによるリスク(例えば、海水の氷結によるチューブの破損等)を避けることができる。
【0046】
また、発電システム2は、LNG冷熱を利用したLNG冷熱発電を行うため、海水に流れ出るLNG冷熱をさらに低減することができる。
さらに、ディーゼル発電機11を冷却する清水で、有機媒体を加熱するための第2熱交換器7を設けることで、発電システム2のエネルギー効率を向上させ、海水として放出されるディーゼル発電機11の廃熱を低減することができる。これにより、海水温度が上昇することによる自然環境への影響を抑制することができる。
【0047】
ここで、余剰BOGをリコンデンサー12に送るために、BOG圧縮機17を運転する必要がある。これにより、BOGの温度が上がり、再液化処理にとって余分な入熱がBOGに与えられる。この余分な入熱により、再液化効率は下がり、LNGタンク15の内部圧力の上昇速度が上がる。LNGタンク15の内部圧力が一定以上に上昇すると、LNGタンク15の保護のため、BOGを焼却処理する必要がある。これにより、水上浮体式設備1の全体でのエネルギー効率が低減し、二酸化炭素の発生量が増加する。
【0048】
そこで、水上浮体式設備1では、BOGにより有機媒体を加熱するための第3熱交換器8を設けることで、発電システム2のエネルギー効率を向上させ、リコンデンサー12による再液化効率を向上させることができる。これにより、LNGタンク15の内部圧力を効率的に低下させることができ、BOGの焼却処理される量を低減することができる。
【0049】
したがって、水上浮体式設備1は、FSRUにLNG冷熱を利用する発電システム2を適用することで、自然環境への影響を抑制し、FSRUとしての操業に必要なエネルギーを低減することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…水上浮体式設備、2…発電システム、3…ターボ発電機、4…LNG気化器、5…有機媒体循環ポンプ、6〜10…熱交換器、11…ディーゼル発電機、12…リコンデンサー、13…LNG昇圧ポンプ、14…トリムヒーター、15…LNGタンク、16…フィードポンプ、17…BOG圧縮機、18…加熱用海水ポンプ、19…加熱媒体循環ポンプ、20…冷却用海水ポンプ、21…冷却清水昇圧ポンプ、L1…有機媒体配管、L2…LNG配管、L3…BOG配管、L4…海水配管、L5…加熱媒体配管、L6…冷却清水配管、L7…再ガス配管。
図1
図2