特許第6833991号(P6833991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6833991加工性が向上したチョコレート組成物およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833991
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】加工性が向上したチョコレート組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 1/40 20060101AFI20210215BHJP
【FI】
   A23G1/40
【請求項の数】27
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-523724(P2019-523724)
(86)(22)【出願日】2017年10月31日
(65)【公表番号】特表2019-533471(P2019-533471A)
(43)【公表日】2019年11月21日
(86)【国際出願番号】KR2017012173
(87)【国際公開番号】WO2018084538
(87)【国際公開日】20180511
【審査請求日】2019年5月7日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0144819
(32)【優先日】2016年11月1日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0144818
(32)【優先日】2016年11月1日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソ,イル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ボンチャン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン−イン
(72)【発明者】
【氏名】リ,スンミ
(72)【発明者】
【氏名】リム,スヨン
(72)【発明者】
【氏名】リム,ヘジン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,テ−チョル
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジョンスク
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/068962(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0302463(US,A1)
【文献】 特開2014−084291(JP,A)
【文献】 古谷野哲夫訳,チョコレート−カカオの知識と製造技術,幸書房,2015年12月10日,初版第1刷,p.4-6, 20-23, 26-27, 44-49, 52-53, 58-61
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/WPIDS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カカオマス、カカオバターまたはその代用油脂(CBE)、アルロースを含有する糖類および乳化剤を含み、
前記アルロースを、全チョコレート組成物の固形分含量100重量部を基準にして、2〜50重量部含み、
コンチング工程後、前記アルロースがチョコレート内に均一に分散され、粒径約15〜40マイクロメートルの粒子を含、チョコレート組成物。
【請求項2】
前記チョコレートは、ダークチョコレート、スイートチョコレート、ミルクチョコレート、ファミリーミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、準チョコレートまたはチョコレート加工品である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記チョコレート組成物の固形分含量100重量部を基準にして、前記カカオマスは5〜95重量部であり、前記カカオバターまたはその代替油脂は5〜50重量部で含まれる請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
全チョコレート組成物の固形分含量100重量部を基準にして、5〜50重量部の乳製品粉末をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記乳化剤は、HLB0〜6の値を有し、
レシチン、モノグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリグリセリンポリリシノレートからなる群より選択されるものである請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記糖類は、砂糖およびブドウ糖からなる群より選択される1種以上をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記アルロースは混合糖シロップまたは前記混合糖シロップから製造される粉末形態で提供され、前記混合糖は全混合糖の固形分100重量部を基準にして、1〜99.9重量部のアルロースと、果糖、ブドウ糖、およびオリゴ糖からなる群より選択される1種以上をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物固形分含量100重量部を基準にして、0.0005〜2重量部の香料を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
カカオバター特性向上剤(Cocoa butter improver、CBI)をさらに含む請求項に記載の組成物。
【請求項10】
カカオマス、カカオバターまたはその代用油脂、アルロースを含有する糖類および乳化剤を含むチョコレート組成物の製造方法であって、
カカオマス、カカオバターおよび糖類を提供する工程、
コンチング機で45〜60℃の温度条件で1次コンチングしてアルロースが均一に分散された1次コンチング物を得る工程と前記1次コンチング物に乳化剤を添加して2次コンチングする工程、および
テンパリング(Tempering)および成形する工程を含み、
前記アルロースを、全チョコレート組成物の固形分含量100重量部を基準にして、2〜50重量部含む量で用いる製造方法。
【請求項11】
前記糖類は、チョコレート組成物100重量%を基準にして、アルロースを2〜50重量部で含有する請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記乳化剤は、液状で添加するものである請求項10に記載の製造方法。
【請求項13】
前記カカオマス、カカオバターまたはその代用油脂および糖類を提供する工程は、コンチング機でコンチングしながら、70〜80℃の温度条件でカカオマスおよびカカオバターを溶融してカカオペーストを製造および冷却し、50〜60℃のカカオペーストに糖類粉末を混合する工程で行われる請求項10に記載の製造方法。
【請求項14】
前記カカオマス、カカオバターまたはその代用油脂および糖類を提供する工程、1次コンチング物を得る工程、および2次コンチングする工程は、コンチング機でコンチング工程を行いながら行われる請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記カカオマスは、発酵および乾燥工程を経たカカオ豆をロースティングした後に、外皮を除去し、粉砕して得られるものである請求項13に記載の製造方法。
【請求項16】
コンチング機でカカオマスおよびカカオバターまたはその代用油脂粉末を投入し、70〜80℃の温度条件で溶融してカカオペーストを製造し、前記カカオペーストに糖類粉末を混合し、45〜60℃の温度条件でコンチングして、アルロースが均一に分散されたコンチング物を得る工程を行う請求項13に記載の製造方法。
【請求項17】
前記カカオマス、カカオバターまたはその代用油脂および糖類を提供する工程は、40〜60℃の温度条件でカカオマスとカカオバターを溶融して糖類粉末を混合し、前記混合物にリファイニング(refining)処理を行ってフレーク(flake)状のリファイニング混合物を製造する工程で行われる請求項10に記載の製造方法。
【請求項18】
前記カカオマス、カカオバターまたはその代用油脂および糖類を提供する工程にさらに乳製品を含む請求項10に記載の製造方法。
【請求項19】
前記カカオマス、カカオバターまたはその代用油脂および糖類を提供する工程は、70〜80℃の温度条件でコンチングしながら溶融してカカオペーストを製造し、前記カカオペーストを冷却して50〜60℃のカカオペーストに糖類粉末および乳製品粉末を混合するので行われる請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記カカオマス、カカオバターまたはその代用油脂および糖類を提供する工程は、40〜60℃の温度条件でカカオマス、カカオバターまたはその代用油脂、糖類および乳製品粉末を混合し、前記混合物にリファイニング(refining)処理を行ってフレーク(flake)状のリファイニング混合物を製造する工程で行われる請求項18に記載の製造方法。
【請求項21】
前記乳化剤は、HLB0〜6の値を有し、
レシチン、モノグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリグリセリンポリリシノレートからなる群より選択されるものである請求項10に記載の製造方法。
【請求項22】
香料、アルコール、ワイン、果汁、堅果類、およびオリゴ糖からなる群より選択される1種以上の添加剤を混合する工程をさらに含む請求項10に記載の製造方法。
【請求項23】
前記乳製品粉末は、脱脂粉乳、全脂粉乳、脱塩乳清粉末、乳糖、乳清粉末、クリーム粉末およびバターミルク粉末からなる群より選択される1種以上を含む請求項10に記載の製造方法。
【請求項24】
前記チョコレート組成物は、粒径約15〜40マイクロメートルの粒子を含む請求項10に記載の製造方法。
【請求項25】
前記アルロースは混合糖シロップまたは前記混合糖シロップから製造される粉末形態で提供され、前記混合糖は全混合糖の固形分100重量部を基準にして1〜99.9重量部のアルロースと、果糖、ブドウ糖、およびオリゴ糖からなる群より選択される1種以上をさらに含む請求項10に記載の製造方法。
【請求項26】
前記混合糖は、混合糖の総固形分含量100重量部を基準にして、アルロースを2〜55重量部、果糖を30〜80重量部、ブドウ糖を2〜60重量部およびオリゴ糖を0〜15重量部含む請求項15に記載の製造方法。
【請求項27】
前記カカオマス、カカオバターまたはその代用油脂および糖類を提供する工程、1次コンチング物を得る工程、および2次コンチングする工程は、コンチング機でコンチング工程を行いながら行われる請求項10に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルロースを含有するチョコレートおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは、チョコレートに添加される糖類の低減化、アルロースによるチョコレートの苦味マスキングおよび優れた乳化安定性を有するチョコレート組成物およびその製造方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
チョコレートとはカカオ生地にミルク、バター、砂糖および香料などを添加して固めた菓子の総称である。製品の特性上、それ自体のみでも間食あるいはデザートなどとして食されているが、その甘さや他の特性と相俟ってデザートおよび製菓、製パンの原料として古くから汎用されている。従来のチョコレートは、ココナッツバターのような油脂を多量含むことによってカロリーが高いだけでなく、糖類として砂糖を多量含むため、カロリーが高く、流動性が低い。また最近、低カロリーおよび健康への関心が増加するにつれて、カカオマスとカカオバターを含むカカオ固形分含量の高い糖類および/または乳製品などの含量を低減した製品が発売されているが、チョコレートの苦味によって砂糖の使用量が増加して消費者の嗜好度が低いという問題がある。
【0003】
スクロースは、チョコレート産業の創生期から甘味物質の基準となってきた。その官能的特性と技術的特徴により、スクロースはこのような類型の製菓製品に特に適合する。一方、その栄養特性は批判の対象にさらされることがある。実際、スクロースは熱量価が4kcal/gであり、そのため、スクロースをその必須重要性分として含むチョコレートは高熱量価を有するようになる。さらに、砂糖は糖尿病患者にとって絶対禁止物質である。これは、砂糖がグルコースから構成されており、生体によって急速に同化されるので糖尿病患者に深刻な過血糖症を起こすためである。スクロースは、口腔内共生細菌によって発酵されて腐食性酸に転換されることがあるため、虫歯の原因になることがある。
【0004】
このような問題を解消するために、チョコレート中のスクロースをポリオールで代替しようとするアイデアが提案された。これらのポリオールは、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールのような水素添加された単糖類またはマルチトール、ラクチトール、水素添加されたイソマルツロース(1,6−グルコピラノシルソルビトールおよび1,6−グルコピラノシルマンニトールの動物混合物)のような水素添加された二糖類であり得る。これらのポリオールは、純粋な状態で還元力を有しておらず、口腔の細菌叢によって酸に発酵されない。したがって、これらは、その他の成分が発酵可能な砂糖を提供しない限り、非歯牙腐食性チョコレートの生産を可能にする。ミルクチョコレートとホワイトチョコレートの場合、このような低歯牙腐食を確実にするために、ラクトース非含有ミルク成分でミルクを代替することができる。ポリオールは徐々に代謝され、これらの摂取以降、血糖値を急激に上昇させることはない。その結果、これらはしばしば、糖尿病患者の食餌療法に推薦されている。また、これらの熱量価は平均2.4kcal/g(10.0KJ/g)と評価され、これは砂糖の約60%水準である。
【0005】
アルロースは果糖の3番炭素のエピマーであって、果糖の70%に匹敵する甘味度を有しており、血糖調節、虫歯予防および肝臓の脂肪合成を阻害する機能性糖である。砂糖代替甘味料として多く使用されている糖アルコール類は一定量以上摂取すると下痢を誘発するなどの副作用があるが、アルロースは、特段の副作用は知られていない。したがって、アルロースの甘味料としての関心が高まっている。
【0006】
しかし、アルロースを通常のチョコレート製造工程に投入する場合、コンチング工程で凝集現象が発生してコンチング工程を行うことができず、チョコレート製造自体が難しいという問題点がある。そのため、チョコレート組成物において非発酵性糖類として糖類の低減化に有用であるが、チョコレートの適用には難しいという問題点を解決する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、チョコレートに添加される糖類の低減化、アルロースによるチョコレートの苦味マスキングおよび優れた乳化安定性を有するチョコレート組成物およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、コンチング工程で凝集現象が発生してコンチング工程を行うことができず、チョコレート製造自体が難しいという問題点を解消し得るアルロース含有チョコレートおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0010】
本発明によるチョコレート組成物は、カカオマス、カカオバター、糖類およびアルロースを含んでもよく、さらに乳製品を含んでもよい。
【0011】
本明細書においてチョコレートとは、前述のチョコレートを含有する食品を全て含む趣旨であり、食品公典上、チョコレート(chocolate)、準チョコレート(compound chocolate)およびチョコレート加工品(chocolate products)を含む。食品公典上の分類にかかわらず、本明細書ではミルクチョコレートは乳製品とカカオ原料を含むものを意味し、広範囲にミルクチョコレート(milk chocolate)、ファミリーミルクチョコレート(family milk chocolate)およびホワイトチョコレート(white chocolate)を含む趣旨である。また、ダークチョコレートは、乳製品を含まないチョコレート製品を意味する。
【0012】
食品公典によれば、チョコレート類とは、テオブロマカカオ(Theobroma cacao)の果実から得られたカカオマス、カカオバター、カカオ粉末などであるか、これに食品または食品添加物を加えて加工したダークチョコレート、スイートチョコレート、ミルクチョコレート、ファミリーミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、準チョコレートおよびチョコレート加工品をいう。
【0013】
本明細書においてチョコレートとは、前述のチョコレートを含有する食品を全て含む趣旨であり、食品公典上、チョコレート、準チョコレートおよびチョコレート加工品を含む。食品公典上の分類にもかかわらず、本明細書ではミルクチョコレートは乳製品とカカオ原料を含むものを意味し、広範囲にミルクチョコレート、ファミリーミルクチョコレートおよびホワイトチョコレートを含む趣旨である。また、ダークチョコレートは、乳製品を含まないチョコレート製品を意味する。
【0014】
本発明によるチョコレート組成物はカカオ加工品類を含み、例えばカカオマス、カカオバターおよびカカオ粉末を含んでもよく、好ましくはカカオマスとカカオバターを含んでもよい。食品公典でカカオ固形分含量はカカオマス、カカオバターおよびカカオ粉末の含量を意味する。
【0015】
前記カカオマスはカカオ果実を炒った後に皮を剥いて粉砕させたものを意味し、カカオバターはカカオ果実の皮を剥いた後に圧着または溶媒抽出して得られた脂肪を意味し、ヨウ素価33〜42を有するものであってもよい。カカオ粉末は、カカオ果実を炒った後に皮を剥いて脂肪を除去した塊を粉末化したものを意味する。前記カカオマスおよびカカオバターは、通常のカカオ加工品として製造されたものであれば、特別な制限なく本発明に適用することができる。
【0016】
前記カカオバターはカオバター代用油脂(CBE)で一部または全量代替して使用されてもよく、前記カカオバター代用油脂はPOSおよびSOSのトリグリセリドを重量比1:1〜2:1で含有することを特徴とする。「POS」とは、トリグリセリドsn−2位置にオレイン酸が位置し、sn−1,3位置にそれぞれパルミチン酸およびステアリン酸;またはステアリン酸およびパルミチン酸が位置するトリグリセリドを意味する。本明細書で使用された用語「SOS」とは、トリグリセリドsn−2位置にオレイン酸が位置し、sn−1,3位置にそれぞれステアリン酸が位置するトリグリセリドを意味する。前記ココアバター代替油脂は、POS含量の高いココアバターのトリグリセリド組成と類似しており、ココアバター特有の急激な傾きのSFC(Solid Fat Content、固体脂含量)曲線を示すため、口の中でそう快に溶け、固くなく柔らかい食感のココアバター代替油脂として用いられ得る。前記カカオバター代用油脂に関する詳しい記載事項は、韓国登録特許第10−1314683号に詳しく記述されている。
【0017】
本発明によるチョコレート組成物は、全チョコレート組成物の固形分含量100重量部を基準にして、カカオマスを5〜95重量部、好ましくは10〜85重量部で含んでもよい。また、カカオバターは、全チョコレート組成物100重量部を基準にして、5〜50重量部、好ましくは7〜45重量部で含んでもよい。
【0018】
本発明の一例であるダークチョコレート組成物の場合、チョコレート組成物の固形分含量100重量部を基準にして、カカオマスを5〜95重量部、好ましくは30〜85重量部で含んでもよく、カカオバターを5〜50重量部、好ましくは7〜40重量部含んでもよい。
【0019】
本発明の一例であるミルクチョコレート組成物の場合、全チョコレート組成物の固形分含量100重量部を基準にして、カカオマスを5〜95重量部、好ましくは7〜40重量部含んでもよく、カカオバターまたはその代用油脂を5〜50重量部、好ましくは10〜35重量部含んでもよい。
【0020】
本発明によるチョコレート組成物は乳化剤を含み、全チョコレート組成物の固形分含量100重量部を基準にして0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部で含んでもよい。
【0021】
本発明に適用可能な乳化剤は、疎水性乳化剤であって親水親油バランス(hydrophile−Lipophile−balance、HLB)値が0〜6の乳化剤からなる群より選択される1種以上を含んでもよい。具体的な乳化剤の例は、HLB6以下である乳化剤であって、モノグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリグリセリンポリリシノレートであってもよく、前記脂肪酸は炭素数10〜18の脂肪酸、好ましくは炭素数16〜18の脂肪酸である。前記乳化剤は具体的に、モノグリセリドおよびジグリセリド(MD)、モノステアリン酸ソルビタン(SMS)、トリステアリン酸ソルビタン(STS)、ポリグリセロールエステル(PGE)、モノグリセリドおよびジグリセリドの乳酸エステル(LMD)、モノグリセリドおよびジグリセリドのリン酸エステル(PMD)、モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(DATEM)、およびレシチンのうちの1つ以上を使用することができ、前記レシチンは大豆レシチンおよび卵黄レシチンを含み、好ましくは大豆レシチンであり、前記グリセリン脂肪酸エステルはモノグリセリンステアリン酸エステルであり、前記ソルビタン脂肪酸エステルはソルビタンオレイン酸エステルおよびソルビタンステアリン酸エステルであってもよい。
【0022】
本発明によるチョコレート組成物は、ミルクチョコレートの製造のための乳製品粉末をさらに含んでもよく、乳製品粉末は脱脂粉乳、全脂粉乳、脱塩乳清粉末、乳糖、乳清粉末、クリーム粉末およびバターミルク粉末からなる群より選択される1種以上であってもよい。前記乳製品粉末は、全チョコレート組成物の固形分含量100重量部を基準にして、5〜50重量部、好ましくは10〜45重量部で含んでもよい。
【0023】
本発明によるチョコレート組成物は、チョコレートの製造のためにカカオバター特性向上剤(Cocoa butter improver、CBI)のような品質改善剤をさらに含んでもよい。
【0024】
本発明によるチョコレート組成物は、カカオ粉末をさらに含んでもよい。
【0025】
本発明の一例において、本発明によるチョコレートが乳製品を含まないダークチョコレートである場合、全チョコレート組成物の固形分含量100重量部を基準にして、チョコレート組成物の固形分含量100重量部を基準にして、カカオマスを5〜95重量部、カカオバターを5〜50重量部、乳化剤を0.01〜3重量部、アルロースを2〜50重量部含んでもよい。
【0026】
具体的な一例において、本発明によるチョコレートが乳製品を含むミルクチョコレートである場合、全チョコレート組成物の固形分含量100重量部を基準にして、カカオマスを5〜95重量部、カカオバターまたは代用油脂(CBE)を5〜50重量部、乳化剤を0.01〜3重量部、アルロースを2〜50重量部、および乳製品粉末を5〜50重量部含むことができる。
【0027】
本発明によるチョコレート組成物は糖類を含んでもよく、前記糖類はアルロースであるか、アルロースに加えて1つ以上の他の単糖類または二糖類をさらに含んでもよい。よって、従来のチョコレート製造において使用していた砂糖のような糖類をアルロースで一部または全部を代替して、糖類および/または乳製品などの高含量によるカロリー問題を解決し、糖類を低減したチョコレートの場合に苦味によって消費者の嗜好度が低下するという問題点などを解決することができる。
【0028】
しかし、従来のように砂糖を用いてチョコレートを製造する場合、通常、コンチング工程を80℃温度付近で行うが、砂糖の一部または全部をアルロースで代替した組成物を砂糖と同一の工程条件でコンチングを行おうとすると、凝集現象が発生してコンチング工程を行うことができず、チョコレート製造自体が難しいという問題点がある。そのため、チョコレートへの適用に難しいという上記問題点を解決する必要がある。
【0029】
本発明によるアルロースを含有するチョコレート組成物は、一定の含量でアルロースを含有することによりカロリー問題を解決できる。糖類を低減したチョコレートの場合、苦味による消費者の低嗜好度を解決し得、特定の温度範囲でコンチング工程を行うことでアルロースをチョコレート工程に適用し難いという問題を改善または解消する。
【0030】
全チョコレート組成物の固形分含量100重量部を基準にして、前記アルロースを2〜50重量部、好ましくは7〜45重量部含んでもよく、砂糖およびブドウ糖からなる群より選択される1種以上の糖類をさらに含む場合にはアルロース含量を多少低減した含量を含んでもよい。
【0031】
本発明によるチョコレート製造用組成物において、アルロース以外に追加の甘味料を添加する場合、砂糖およびブドウ糖からなる群より選択される1種以上の糖類をアルロースで全量代替してこれらの糖類を含まないか、前記糖類の一部をアルロースで代替してチョコレート組成物に含まれる糖類全体のうちの一部をアルロースで使用し、他の一部を前記砂糖またはブドウ糖で含んでもよい。前記アルロース以外の追加糖類は、全チョコレート組成物の固形分含量100重量部を基準にして、1〜30重量部で含んでもよい。
【0032】
本発明によるチョコレート組成物に含まれるアルロースは、アルロースシロップ、アルロースを粉末またはこれを用いて様々な濃度で製造した溶液であってもよい。アルロースは、アルロース以外に、ブドウ糖、果糖および二糖類以上の糖類を含んでもよい。
【0033】
アルロースは、化学的合成、またはアルロースエピマー化酵素を用いた生物学的方法により製造でき、好ましくは生物学的方法、例えば微生物または酵素反応により製造できる。例えば、前記アルロースは混合糖またはこれから得られるものであり、前記混合糖はアルロースエピマー化酵素、前記酵素を生産する菌株の菌体、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選択される1種以上を含むアルロース生産用組成物を果糖含有原料と反応して製造された混合糖またはこれから得られるものであってもよい。
【0034】
前記アルロースは、アルロース単独で使用するか、または追加の他の糖類を含む混合糖であってもよく、混合糖の例としては全混合糖の固形分100重量部を基準にして1〜99.9重量部のアルロースを含有してもよく、追加的に果糖、ブドウ糖、およびオリゴ糖からなる群より選択される1種以上をさらに含んでもよい。前記アルロース含有混合糖の具体的な例は、混合糖の全固形分含量100重量部を基準にして、アルロースを2〜55重量部、果糖を30〜80重量部およびブドウ糖を2〜60重量部、およびオリゴ糖を0〜15重量部含むものであってもよく、オリゴ糖は含まなくてもよい。前記アルロース、果糖およびブドウ糖は、好ましくは全てD型異性体である。
【0035】
アルロースシロップは、前記混合糖から分離、精製および濃縮工程を通じて得られたものであってもよい。本発明の一例において、分離および精製工程を経たアルロースシロップは、電気伝導度1〜50μS/cmであり、無色または微黄色の甘味を有する液状でアルロース10重量%以上を含むアルロースシロップであってもよい。
【0036】
本発明のアルロース製造のための一例として挙げられる、アルロースエピマー化酵素を高い発現率と安定性で生産することができる発現システム、これを用いたGRAS(Generally recognized as safe)微生物、および前記発現システムを用いた微生物および酵素を含むアルロース生産方法などは、韓国登録特許第10−1318422号および第10−1656063号などに詳しく記載されている。
【0037】
本発明の一例は、アルロースを含有するチョコレート組成物の製造方法を提供する。本発明によるチョコレート製造工程の具体的な一例は、
(A)カカオマス、カカオバターおよび糖類を提供する工程、
(B)コンチング機で45〜60℃の温度条件で1次コンチングしてアルロースが均一に分散された1次コンチング物を得る工程と前記1次コンチング物に乳化剤を添加して2次コンチングする工程、および
(C)テンパリング(Tempering)および成形する工程を含む。
【0038】
以下、前記製造方法の各工程毎に詳しく説明する。
【0039】
(A)カカオマス、カカオバターおよび糖類を提供する工程
一具体例において、(A)カカオマス、カカオバターおよび糖類を提供する工程は、(A−1)コンチング機でコンチングを行いながら行ってもよく、この場合、70〜80℃の温度条件でカカオマスおよびカカオバターを溶融してカカオペーストを製造した後に糖類を混合する工程で行われ、リファイニング工程を行わないものである。
【0040】
具体的に前記(A)カカオマス、カカオバターおよび糖類を提供する工程は、コンチング機でコンチングしながら、70〜80℃の度条件でカカオマスおよびカカオバターを溶融してカカオペーストを製造し、前記カカオペーストを50〜60℃に冷却して糖類粉末を混合する工程で行うことができる。前記カカオマス、カカオバターおよび糖類を提供する工程、1次コンチング物を得る工程、および2次コンチングする工程は、コンチング機でコンチング工程を行いながら順次行ってもよい。
【0041】
前記方法で(A)工程を行う場合、本発明によるチョコレートの製造方法は(A−1)コンチング機でコンチングを行いながら、70〜80℃の温度条件でカカオマスおよびカカオバターを溶融してカカオペーストを製造し、前記カカオペーストを50〜60℃に冷却して糖類粉末を混合する工程、
(B)コンチング機で45〜60℃の温度条件で1次コンチングしてアルロースが均一に分散された1次コンチング物を得る工程と前記1次コンチング物に乳化剤を添加して2次コンチングする工程、および
(C)テンパリング(Tempering)および成形する工程を含むことができる。
【0042】
前記コンチング機はカカオ用コンチング装置に関するものであって、カカオの胚乳を粉砕して微粉化することはもちろん、微粉化過程中に粉砕されたカカオ粉末を加熱してカカオに含有されている蛋白質の酸化を促進することができるようにする機能を果たす。
【0043】
また他の具体例において、(A)カカオマス、カカオバターおよび糖類を提供する工程は、(A−2)40〜60℃の温度条件でカカオマスとカカオバターを溶融して糖類を混合し、前記混合物にリファイニング(refining)処理を行ってフレーク(flake)状のリファイニング混合物を製造する工程を行ってもよい。このような工程で(A)工程を行う場合、リファイニング工程を含んで行う。
【0044】
前記リファイニングは、混合工程から得られたペーストを鋼鉄製ローラーの間でローリングさせて粒度を25マイクロメートル未満に減少させる工程である。この工程により、初期ペーストを、吸湿性を有し、周辺の臭いを捕獲することができる微細な粉末に変換させる。
【0045】
前記方法で(A)工程を行う場合、本発明によるチョコレートの製造方法は、(A−2)40〜60℃の温度条件でカカオマスとカカオバターを溶融して糖類粉末を混合し、前記混合物をリファイニング機に投入しリファイニング(refining)処理を行ってフレーク(flake)状のリファイニング混合物を製造する工程で行ってもよい。
【0046】
本発明の一例において乳製品粉末を添加してミルクチョコレートを製造する場合、乳製品粉末は糖類粉末を混合する工程で添加して混合してもよい。
【0047】
具体的にミルクチョコレートを製造する場合、(A−1)70〜80℃の温度条件でカカオマスおよびカカオバターをコンチングしながら溶融してカカオペーストを製造し、前記カカオペーストを冷却して50〜60℃のカカオペーストに糖類粉末および乳製品粉末を混合する工程で行うか、または(A−2)40〜60℃の温度条件でカカオマス、カカオバター、糖類および乳製品粉末を混合し、前記混合物にリファイニング(refining)処理を行ってフレーク(flake)状のリファイニング混合物を製造する工程で行ってもよい。
【0048】
(B)1次コンチングおよび2次コンチングを行う工程
前記(A)でカカオマス、カカオバターおよび糖類を提供する工程を行った後、本発明によるアルロース含有チョコレート組成物を製造するためには、コンチング機で45〜60℃の温度条件で1次コンチングしてアルロースが均一に分散された1次コンチング物を得る工程および前記1次コンチング物に乳化剤を添加して2次コンチングする工程を行ってもよい。
【0049】
前記1次および2次コンチング工程で温度は45〜60℃範囲であってもよい。前記温度範囲を外れる場合、アルロースの凝集現象が発生して不均一な分散が行われ、結局、コンチング工程を完全に行い難い。
【0050】
前記コンチング工程の攪拌速度および処理時間は、一般的なコンチング工程によって行ってもよく、特に限定されない。コンチングはチョコレートの味を変化させて物性を改善するのに必須の工程であって、数時間〜数日間行ってもよい。チョコレートの味はコンチング工程中に現われる。
【0051】
前記乳化剤を添加して2次コンチングする工程として、このような特性をさらに改善させるために、コンチングが終了する数時間前にチョコレートに乳化剤を添加する。前記乳化剤は液状で投入することが好ましい。乳化剤は糖粒子をコーティングし、水の残存微量を乳化させて、その後の成形工程に必須の優れた流動特性をチョコレートに付与する。
【0052】
(C)テンパリング(Tempering)および成形する工程
前記(B)コンチング工程を完了した後にテンパリング工程と成形工程を行い、選択的に冷却および包装する工程をさらに行ってもよい。
【0053】
チョコレートのテンパリングは、カカオバターを安定した形態に結晶化させるための工程である。成形はチョコレートの型を取る工程であって、例えば精製形態または特定の形状に作る。冷却工程の間、脂肪物質はテンパリング工程が十分行われた場合、結晶化によって安定した形態に凝固する。前記テンパリングおよび成形工程の処理条件および時間などは一般的な工程条件によって行ってもよく、特に限定されない。
【0054】
チョコレートは、その中が空いていない稠密なソリッド型またはその中が他のもので満たされる充填型であってもよい。ケーキ、シリアルバー、果物キャンディーなどの製品表面をコーティングするための、いわゆる覆い型チョコレートも存在する。
【0055】
本発明のチョコレート組成物は、追加的に香料、アルコール、ワイン、果汁、堅果類、およびオリゴ糖からなる群より選択される1種以上をさらに添加して製造することができる。前記香料は食品添加剤として使用可能なものであれば特に限定されず、香料は液状で投入することが好ましく、第2次コンチング工程で添加してもよい。前記香料はチョコレート組成物固形分含量100重量部を基準にして、0.0005〜2重量部、例えば0.001〜1.5重量部で添加してもよい。
【発明の効果】
【0056】
本発明はアルロースが含まれているチョコレートおよびその製造方法に関する。本発明の目的はチョコレートに添加される糖類の低減化、アルロースによるチョコレートの苦味マスキングおよび優れた乳化安定性を有するチョコレート組成物を提供するにある。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明の実施例2および3によって製造されたミルクチョコレートと比較例3によって製造されたミルクチョコレートの写真である。
図2】本発明の実施例2および3によって製造されたミルクチョコレートと比較例3によって製造されたミルクチョコレートの結晶分析写真である。
図3】比較例4においてコンチング温度を調節していないミルクチョコレートの100倍拡大顕微鏡写真とミルクチョコレートの200倍拡大顕微鏡写真である。
図4】試験例2において実施例によるアルロース粉末の結晶形状を示す写真である。
図5】試験例2において砂糖粉末の結晶形状を示す写真である。
図6】試験例2において砂糖とアルロースの溶融点テスト結果を示す写真である。
図7】試験例2においてアルロースの溶融点テスト結果を示す写真である。
図8】試験例2においてアルロースのDSC分析結果を示すグラフである。
図9】本発明の実施例によるダークチョコレートの官能評価結果を示すグラフである。
図10】本発明の実施例によるミルクチョコレートの官能評価結果を示すグラフである。
図11】比較例4によって製造したチョコレート組成物で凝集現象が発生したペーストの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、本発明を下記の実施例によってさらに詳しく説明する。しかし、これらの実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0059】
製造例1:アルロースの製造
アルロースは、韓国登録特許第10−16173797号に記載の製造方法と実質的に同一の生物学的方法により、果糖基質からアルロースシロップを製造した。
【0060】
具体的には、クロストリジウムシンデンス(Clostridium scindens ATCC 35704)に由来したアルロースエピマー化酵素の暗号化遺伝子(DPE gene;Gene bank:EDS06411.1)を組換えベクター(pCES_sodCDPE)に導入して、前記製造された組換えベクター(pCES_sodCDPE)プラスミドを電気穿孔法(electroporation)を使用してコリネバクテリウムグルタミクムを形質転換させた。前記形質転換されたコリネバクテリウムグルタミクム細胞を含むビードを製造して固定化反応カラムに充填し、40ブリックスの95重量%果糖からブドウ糖:果糖:アルロース:オリゴ糖=6:67:25:2である24〜26(w/w)%アルロースシロップを得た。
【0061】
前記アルロースシロップ中の有色およびイオン成分などの不純物を除去するために、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を混合した樹脂で充填された常温のカラムに時間当りイオン交換樹脂2倍(1〜2倍)体積の速度で通液させて脱塩させた後、カルシウム(Ca2+)タイプのイオン交換樹脂で充填されたクロマトグラフィーを用いて高純度のアルロース溶液に分離収得した。前記高純度アルロースシロップを82Bx濃度に濃縮させ、過飽和状態になる35℃の温度から徐々に10℃の温度まで冷却させて結晶を生成させた。この時、アルロース種晶を添加せず、前記結晶化工程で得られたアルロース結晶は遠心脱水によって母液を除去して結晶を冷却水で洗浄した後、乾燥して回収した。
【0062】
実施例1:ダークチョコレートの製造
本実施例ではビーントゥバーチョコレート製造方法によってリファイニング工程を経ずにダークチョコレートを製造した。具体的には、発酵および乾燥工程を経たカカオ豆を132℃で30分間ロースティングした後、外皮を除去し、ミラー(MILLER)やローラ(ROLLER)を用いて粉砕してカカオマスを製造した。砂糖およびアルロース結晶粉末を粉砕して準備した。
【0063】
カカオマスとカカオバターを混合してコンチング機に投入し、75℃の条件でコンチング工程を行って固形のカカオニブからペーストタイプを製造した。この時、粉砕した砂糖およびアルロース粉末を投入して55℃の温度条件で1次コンチング工程を行い、乳化剤と香料液状で製造して添加して2次コンチング工程を行って最終的に約72時間まで進めて、コンチング工程を終了した。前記コンチングが終了した配合物をテンパリング(Tempering)した後、板型モールドに注ぎ、10℃の冷却室で10分間冷却してモールドから取り出して完成した。前記実施例1のチョコレート製造のための成分および含量を下記表1に示した。
【0064】
【表1】
【0065】
比較例1および比較例2:砂糖を用いたダークチョコレートの製造
比較例1では、実施例1のダークチョコレート製造方法と実質的に同一の方法で製造した。但し、実施例1で使用したアルロース粉末27.05重量%の代わりに全量砂糖粉末を使用し、大豆レシチンの含量を変更した。
【0066】
比較例2では、実施例1のダークチョコレート製造方法と実質的に同一の方法で製造した。但し、実施例1で使用したアルロース粉末27.05重量%の代わりに全量砂糖粉末を使用し、カカオマスの含量を増加させ、カカオバターおよび大豆レシチンの含量を変更した。
【0067】
実施例2および実施例3:ミルクチョコレート製造
下記表2に記載の原料をそれぞれ計量して準備し、カカオバターおよびカカオマスを加温してカカオペーストとして準備した。前記カカオペーストに、全脂粉乳、カカオマスおよび糖類の順に投入して混合し、前記配合物の温度を45℃に維持しながら約15〜20分間混合作業を行った。その後、40マイクロメートル以下の粒子を作るために配合物を3段ローラーリファイニング機に入れてリファイニング工程を2回繰り返して行った。
【0068】
リファイニング工程後、リファイニングされた粉末フレーク(flake)状態の原料をコンチング機で加温しながら55℃の温度条件でコンチング工程を行った。コンチング後にペースト状態になったら、乳化剤および香料を添加して最終的に約72時間まで進めてコンチング工程を完了した。コンチング工程が完了した後、テンパリング工程を行った。前記コンチングが終了した配合物をテンパリング(Tempering)した後、板型モールドに注ぎ10℃の冷却室で10分間冷却してモールドから取り出して完成した。実施例2および3のミルクチョコレートの写真を図1に示した。
【0069】
【表2】
【0070】
比較例3:砂糖を用いたミルクチョコレートの製造
実施例2と実質的に同一の方法で、前記表2に記載の成分および含量でミルクチョコレートを製造した。即ち、実施例2でアルロース粉末を38.37重量%使用する代わりに、砂糖粉末を38.37重量%使用してミルクチョコレートを製造した。製造した比較例3のミルクチョコレートの写真を図1に示した。
【0071】
比較例4:工程条件が異なるミルクチョコレートの製造
実施例2と実質的に同一の方法で、前記表2に記載の成分および含量でミルクチョコレートを製造した。但し、従来糖類として砂糖を用いたチョコレート製造工程で使用するコンチング温度は80℃であった。前記製造条件でコンチング工程を行った時、アルロースの添加によってカカオペーストの凝集現象が発生してコンチング工程を完了することができず、カカオペースト内に糖類の塊が凝集していることを肉眼で観察することができた。前記凝集現象が発生したペーストの写真を図11に示した。
【0072】
試験例1:チョコレートの物性分析
試験例1−1:顕微鏡観察
スライドガラスに約1〜2gのチョコレートを薄く広げて塗布した後、カバーガラスを覆った後、光学顕微鏡で観察した。観察倍率は100倍および200倍にして確認した。
【0073】
砂糖のみを使用したミルクチョコレート(比較例3)によるチョコレートの場合、図2に示すように、茶色部分はカカオマス、うすく塊になっている部分は粉乳、白色部分は糖類と見られ、一般に砂糖が適用されたミルクチョコレートの場合は均一に分散されていることを確認することができた。
【0074】
比較例4によってコンチング温度を実施例2とは異なって製造したときのカカオペーストの顕微鏡写真を図3に示す。上段の写真は100倍率写真であり、下段の写真は200倍率写真である。図3に示すように、比較例4の方法によって製造されたミルクチョコレートにアルロースを適用して顕微鏡で観察した結果、一部を拡大した写真(×200倍)で結晶でない無定形状態を観察することができた。これがアルロースの水分含量または溶融点に起因したものかどうかを確認するため、水分含量の測定、相転移温度およびエネルギー評価および溶融点テストを行った。
【0075】
実施例2および3によるミルクチョコレートの結晶を観察した結果を図2に示した。図3に示すように、茶色部分はカカオマス、薄く塊になっている部分は全脂粉乳、白色部分は糖類と見られ、ミルクチョコレートは均一に十分分散していることが肉眼で観察された。
【0076】
試験例1−2:チョコレート水分含量測定
ザルトリウス(Satorious)赤外線水分測定器を用い、比較例4のミルクチョコレート3gを125℃で水分含量を測定し、36秒間1mgの変化がない時に中断した。比較例4のミルクチョコレートの水分測定の結果、約0.18%の水分含量を有することが分析された。このような水分含量分析結果に鑑みれば、比較例4のアルロース含有ミルクチョコレートの場合、コンチング工程の問題点が水分含量に起因したのではないことを確認することができた。
【0077】
試験例2:アルロースおよび砂糖の特性分析
比較例4の問題点の原因を解明するために、構成成分の糖類に対して結晶構造、溶融点および相転移温度およびエネルギーの評価を行った。
【0078】
2−1:糖類結晶構造確認
実施例1および比較例2で使用した製造例1のアルロース粉末と砂糖粉末の結晶写真をそれぞれ図4および図5に示した。図4のアルロース粉末の場合、図5の砂糖の結晶とは異なって不規則的であることを確認した。よって、アルロース結晶の溶融性実験を行った。
【0079】
2−2:糖類結晶の溶融点実験
砂糖とアルロースの溶融点試験として、砂糖1個とアルロース3個を含む総4個の試料を準備して、それぞれの温度条件を砂糖105℃、アルロース70℃、90℃、105℃のオーブンに入れて置きながら確認し、その結果を図6に示した。実験の結果、アルロースは砂糖に比べてはやく溶け落ちることを確認することができた。
【0080】
アルロースの温度による変化および溶融点を確認するために、1個のアルロース試料をホットプレートに置いて漸進的に温度を増加させながらアルロースの変化を肉眼で確認し、その写真を図7に示した。実験の結果、各温度によるアルロースの変化は約58℃から徐々に起こり始めた。
【0081】
2−3:アルロースの相転移温度およびエネルギー評価
サンプル量4〜6mgを採取してDSC分析(相転移温度測定)を行った。具体的には20から10/minの速度で昇温して200℃まで温度を設定し、TA instrument DSCを用いて相転移温度を確認し、その結果を図8に示した。前記結果によれば、アルロースのDSC測定結果は砂糖の結果よりはブドウ糖と類似のパターンを示し、55℃〜60℃で相転移が起こったことを確認することができる。
【0082】
試験例3:ダークチョコレートの官能評価
研究員を対象にしてチョコレートの官能および嗜好度を評価して、以下の評価基準によって、様々な項目で官能評価のために専門的に訓練されたパネリスト11人(20〜40代、男女)に試食させ、下記の5点尺度で評価した。
【0083】
評価項目は、硬度(hardness)、味満足度、甘味強度、溶解度満足度、および全般的な満足度であった。前記評価の結果を図9に示した。
【0084】
図9に示すように、硬度は三つの試料で類似の水準を示しており、比較例1のチョコレート(72%)の全般満足度が3.1点であって、品質水準が低い方であり、実施例1のアルロースを含有するチョコレートの場合、甘味は比較例2のダークチョコレート(85%)と類似の水準であるが、苦味は比較例2のダークチョコレートに比べて低水準であった。全般的な選好度は、比較例1(72%砂糖)>実施例1(72%アルロース)>比較例2(85%砂糖)の順に示された。
【0085】
試験例5:ミルクチョコレートの官能評価
研究員を対象にしてチョコレートの官能および嗜好度を評価して、以下の評価基準によって、様々な項目で官能評価のために専門的に訓練されたパネリスト15人(20〜40代、男女)に試食させ、下記の5点尺度で評価した。
【0086】
評価項目は、舌先触感、味満足度、甘味強度、溶解度満足度、および全般的な満足度であった。前記評価結果を図10に示した。
【0087】
図10に示すように、舌先触感および全般的な満足度は三個の試料で類似の水準を示し、甘味強度は比較例3、実施例3および実施例2の順に減少した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11