特許第6834086号(P6834086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6834086
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】10−ヒドロキシステアリン酸組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/20 20060101AFI20210215BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20210215BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20210215BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20210215BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20210215BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20210215BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20210215BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20210215BHJP
   A61P 17/00 20060101ALN20210215BHJP
   A61P 17/14 20060101ALN20210215BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20210215BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALN20210215BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALN20210215BHJP
【FI】
   A61K31/20
   A61K8/36
   A61K47/12
   A61K9/107
   A61K8/06
   A61K47/24
   A61K47/10
   A61K47/14
   !A61P17/00
   !A61P17/14
   !A61P43/00 121
   !A61Q19/00
   !A61Q7/00
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-553073(P2018-553073)
(86)(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公表番号】特表2019-511517(P2019-511517A)
(43)【公表日】2019年4月25日
(86)【国際出願番号】EP2017057425
(87)【国際公開番号】WO2017178236
(87)【国際公開日】20171019
【審査請求日】2020年2月18日
(31)【優先権主張番号】16164997.5
(32)【優先日】2016年4月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】デアイユ, シリル
(72)【発明者】
【氏名】メンドロック−エディンガー, クリスティーネ
【審査官】 深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−286739(JP,A)
【文献】 特表2014−501738(JP,A)
【文献】 特開平09−048962(JP,A)
【文献】 特開2009−051732(JP,A)
【文献】 特開2010−138110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A61K 8/00−8/99
CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10−ヒドロキシステアリン酸又はその塩及び12−ヒドロキシステアリン酸又はその塩を含む局所組成物。
【請求項2】
前記10−ヒドロキシステアリン酸又はその塩の量は、前記組成物の総重量に基づいて0.001〜5重量%の範囲、好ましくは0.01〜3重量%の範囲、最も好ましくは0.1〜2重量%の範囲、例えば特に0.1〜1.5重量%の範囲で選択されることを特徴とする、請求項1に記載の局所組成物。
【請求項3】
本発明による前記局所組成物中の12−ヒドロキシステアリン酸又はその塩の量は、有利には、前記組成物の前記総重量に基づいて0.001〜5重量%の範囲、好ましくは0.01〜3重量%の範囲、最も好ましくは0.1〜2重量%の範囲、例えば特に0.1〜1.5重量%の範囲で選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の局所組成物。
【請求項4】
10−ヒドロキシステアリン酸又はその塩と12−ヒドロキシステアリン酸又はその塩とのモル比は、20:1〜1:10の範囲、好ましくは15:1〜1:10の範囲、最も好ましくは10:1〜1:1の範囲で選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項5】
10−ヒドロキシステアリン酸、特に(R)−10−ヒドロキシステアリン酸が使用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項6】
12−ヒドロキシステアリン酸が使用されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項7】
水相及び油相並びに少なくとも1種のO/W又はSi/W乳化剤を含むO/Wエマルションであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項8】
前記組成物の前記総重量に基づいて、前記水相は、少なくとも50重量%を構成し、及び前記油相は、少なくとも10重量%を構成することを特徴とする、請求項7に記載の局所組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種のO/W乳化剤は、セチルリン酸カリウムであることを特徴とする、請求項7又は8に記載の局所組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種のO/W又はSi/W乳化剤は、前記組成物の前記総重量に基づいて0.5〜10重量%、特に0.5〜6重量%の範囲、例えばより特に0.5〜5重量%の範囲、例えば最も特に1〜4重量%の範囲の総量で使用されることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項11】
12〜22個の炭素原子を有する非イオン性固体脂肪族アルコール及びそれらの混合物の群から、好ましくはセチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリン酸グリセリル及びセテアリルアルコール並びにそれらの混合物から選択される共乳化剤を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項12】
共乳化剤の量は、前記組成物の前記総重量に基づいて0.1〜20重量%の範囲、より好ましくは0.5〜10重量%の範囲、最も好ましくは1〜5重量%の範囲で選択されることを特徴とする、請求項11に記載の局所組成物。
【請求項13】
フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、ソルビン酸カリウム及び安息香酸ナトリウム並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の保存剤を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項14】
局所組成物中の10−ヒドロキシステアリン酸又はその塩の再結晶化を抑制又は阻止する方法であって、10−ヒドロキシステアリン酸又はその塩を12−ヒドロキシステアリン酸又はその塩の存在下で製剤することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、10−ヒドロキシステアリン酸又はその塩を12−ヒドロキシステアリン酸又はその塩と組み合わせて含む局所組成物に関する。本発明は、局所組成物中の10−ヒドロキシステアリン酸又はその塩の再結晶化を抑制又は阻止する方法であって、10−ヒドロキシステアリン酸又はその塩を12−ヒドロキシステアリン酸又はその塩の存在下で製剤することを含む方法にも関する。
【0002】
10−ヒドロキシステアリン酸(CAS:638−26−6)などのヒドロキシ脂肪酸は、健康な皮膚の生理学的恒常性の衰えにより起こるあらゆる症状の治療又は予防において、並びに発毛の促進及び抜け毛からの保護に有益な化粧効果を有することが報告された。しかし、活性物質が時間を経ても可溶性のままであり、保存時に再結晶化しない製品形態を確立することが困難であるため、これらの化合物のいずれも市販の製品になっていない。
【0003】
したがって、従来技術の欠点を克服し、保存時の結晶の形成なしに10−ヒドロキシステアリン酸の組み込みを可能にする強固で安定なエマルション系を見出すことが引き続き必要とされている。
【0004】
驚くべきことに、10−ヒドロキシステアリン酸を12−ヒドロキシステアリン酸又はその塩と共製剤することにより、10−ヒドロキシステアリン酸の再結晶化を実質的に抑制又はさらに阻止できることが見出された。
【0005】
そのため、第1の実施形態において、本発明は、10−ヒドロキシステアリン酸又はその塩及び12−ヒドロキシステアリン酸又はその塩を含む局所組成物に関する。
【0006】
本発明による局所組成物中の10−ヒドロキシステアリン酸又はその塩の量は、有利には、常に組成物の総重量に基づいて0.001〜5重量%の範囲、好ましくは0.01〜3重量%の範囲、最も好ましくは0.1〜2重量%の範囲、例えば特に0.1〜1.5重量%の範囲で選択される。
【0007】
本発明による局所組成物中の12−ヒドロキシステアリン酸又はその塩の量は、有利には、常に組成物の総重量に基づいて0.001〜5重量%の範囲、好ましくは0.01〜3重量%の範囲、最も好ましくは0.1〜2重量%の範囲、例えば特に0.1〜1.5重量%の範囲で選択される。
【0008】
好ましくは、10−ヒドロキシステアリン酸又はその塩と12−ヒドロキシステアリン酸又はその塩との比(モル)は、20:1〜1:10の範囲、好ましくは15:1〜1:10の範囲、最も好ましくは10:1〜1:1の範囲で選択される。
【0009】
10−ヒドロキシステアリン酸(別名:10−ヒドロキシオクタデカン酸、CAS:638−26−6)は、例えば、G.SchroepferによりBiological Chemistry(1966),241(22),5441−7に説明される通り調製でき、以下の式を有する。
【化1】

両方のエナンチオマーが本発明に従って使用され得、好ましいエナンチオマー形態は、(R)−10−ヒドロキシステアリン酸である。
【0010】
12−ヒドロキシステアリン酸(別名:12−ヒドロキシオクタデカン酸、CAS:106−14−9)は、例えば、Sigma−Aldrich又はAlberdink Boleyで市販されており、以下の式を有する。
【化2】
【0011】
好ましくは、本発明に従って使用される12−ヒドロキシステアリン酸は、水素化及び加水分解によりヒマシ油から誘導され、少なくとも80%の範囲、例えば80〜85%範囲の純度を有する。
【0012】
それぞれの塩は、有機塩基又はアルカリ若しくはアルカリ土類塩基との反応によりそれぞれの塩が生じることによって形成され得る。皮膚に対して毒性がなく、且つ/又はアレルギー反応を起こさない、化粧品として許容できるカチオンを放出する好適な塩基は、当業者に周知である。有機塩の例は、特にトリエタノールアンモニウム塩などのそれぞれのアンモニウム及びアルキルアンモニウム塩である。好ましいアルカリ又はアルカリ土類塩は、それぞれのリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム又はカルシウム塩、例えば特にカリウム及びナトリウム塩である。
【0013】
本発明による局所組成物は、好ましくは、イソブチルパラベンを含まないが、より好ましくは、組成物は、あらゆるパラベンを含まず、特にメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン及びブチルパラベンを含まない。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、局所組成物中の10−ヒドロキシステアリン酸又はその塩の再結晶化を抑制又は阻止する方法であって、定義及び選択物を全て先に与えられた通りとして、10−ヒドロキシステアリン酸又はその塩を12−ヒドロキシステアリン酸又はその塩の存在下で製剤することを含む方法に関する。
【0015】
本明細書での用語「局所組成物」は、特に、例えばヒトの皮膚又は髪、特にヒトの皮膚などの哺乳類の角質組織に局所適用できる化粧組成物を指す。
【0016】
本願で使用される用語「化粧組成物」は、Roempp Lexikon Chemie,10th edition 1997,Georg Thieme Verlag Stuttgart,New York中の見出し「Kosmetika」で定義されている化粧組成物及びA.Domsch,“Cosmetic Preparations”,Verlag fuer chemische Industrie(ed.H.Ziolkowsky),4thedition,1992に開示されている化粧調合物を指す。
【0017】
好ましくは、本発明による局所調合物は、エマルション若しくはマイクロエマルション(特にO/Wタイプ)、PITエマルション、多重エマルション(例えば、O/W/Oタイプ及びW/O/W)又はピッカリングエマルションの形態である。
【0018】
本発明の全ての実施形態において、本発明による局所組成物は、好ましくは、水相及び油相を含むエマルション若しくはマイクロエマルション(特にO/Wタイプ)、PITエマルション、多重エマルション(例えば、O/W/Oタイプ及びW/O/W)又はピッカリングエマルションであり、水相は、好ましくは、組成物の少なくとも50重量%を構成し、及び油相は、好ましくは、少なくとも10重量%を構成する。より好ましくは、水相は、少なくとも60重量%を構成し、及び油相は、40重量%未満を構成する。特に、水相は、全組成物の少なくとも70重量%を構成し、及び油相は、30重量%未満を構成する。最も好ましくは、本発明の全ての実施形態において、組成物の総重量に基づいて、水相の量は、70〜90重量%の範囲で選択され、及び油相の量は、10〜30重量%の範囲で選択される。
【0019】
水(aqueous)(水(water))相と油相とが共にエマルションを形成するが、より少量(5重量%まで)の保存剤、活性成分、香料などの残りの成分も存在し得、それらは、相の一方に加えても、例えば当業者に周知である調製の最後に別々に加えてもよいことが十分に理解される。
【0020】
本発明による局所組成物の油相を形成する特定の好適な油成分及び溶媒は、エタノール;トリエチルヘキサノイン;プロピレングリコール、プロピレングリコールジベンゾエート、ブチレングリコール、ペンチレングリコール及びPPG−15エトキシジグリコールステアリルエーテルなどのグリコール;ジカプリリルエーテル、PPG−3ミリスチルエーテルなどのジアルキルエーテル;飽和及び/若しくは不飽和で分岐鎖及び/若しくは非分岐鎖の3〜30炭素原子の鎖長を有するアルカンカルボン酸と、飽和及び/若しくは不飽和で分岐鎖及び/若しくは非分岐鎖の3〜30炭素原子の鎖長を有するアルコールのエステル又は芳香族カルボン酸と、飽和及び/若しくは不飽和で分岐鎖及び/若しくは非分岐鎖の、3〜30C原子の鎖長を有するアルコールのエステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、安息香酸エチルヘキシル、安息香酸C12〜15アルキル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、アジピン酸ジイソプロピル、ラウリン酸イソアミル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、酒石酸ジ−C12〜C13アルキル並びにそのようなエステルの合成、半合成及び天然の混合物、例えばホホバ油;炭酸ジカプリリルなどの炭酸エステル;カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、PEG−8カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなどのトリグリセリド;シリコーンオイル;デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン及びC8〜20イソパラフィンなどの8〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素;動物、植物、鉱物源から誘導された天然の油脂(バター含む)、例えばアーモンド油、杏仁油、アルガンオイル、アボカドバター、アボカドオイル、カカオバター(カカオ脂)、カメリナオイル、キャノーラ油、ニンジン種子油、ヒマシ油、柑橘類種子油、ヤシ油、コーン油、綿実油、キュウリ油、卵油(egg oil)、グレープシードオイル、ヘンプシードオイル、ホホバ油、ラノリン油、亜麻仁油、マカダミアナッツオイル、メドウフォームシードオイル、鉱油、ミンクオイル、オリーブ油、パーム核油、桃仁油、落花生油、ナタネ油、ローズヒップオイル、紅花油、ゴマ油、サメ肝油、シアバター、大豆油、ヒマワリシードオイル、スイートアーモンドオイル、タロー(牛)脂、タロー(羊)脂、カメ油、植物油及びコムギ胚芽並びにこれらの油成分及び溶媒の混合物を包含する。
【0021】
本発明による局所組成物の油相を形成する特に好適な油及び溶媒成分は、パルミチン酸イソプロピル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、PPG−15ステアリルエーテル、ブチレングリコール、炭酸ジカプリリル、ジカプリリルエーテル、酒石酸ジ−C12〜C13アルキル、アジピン酸ジイソプロピル、トリエチルヘキサノイン、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、ラウリン酸イソアミル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、安息香酸エチルヘキシル、ペンチレングリコール、PEG−8カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジ安息香酸プロピレングリコール、PPG−3ミリスチルエーテル、エトキシジグリコール、安息香酸C12〜15アルキル及びエタノール並びにそれらの混合物である。
【0022】
好ましくは、本発明による局所組成物は、O/Wエマルションである。
【0023】
好ましい実施形態において、これらのO/Wエマルションは、セテアリル硫酸ナトリウム、クエン酸ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸、ステアリン酸の塩、ジステアリン酸ポリグリセリル−3−メチルグリコース、セスキステアリン酸メチルグルコース、セテアリル硫酸ナトリウム、リン酸オレイン酸グリセリルナトリウム、水添植物グリセリド、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セテアリルグルコシド、オリーブ油脂肪酸セテアリル、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ポリステアリン酸スクロース、水和ポリイソブテン、リン酸エステル乳化剤、例えば特にC8〜10アルキルエチルホスフェート、C9〜15アルキルホスフェート、セテアレス−2リン酸、セテアレス−5リン酸、セテス−8リン酸、セテス−10リン酸、リン酸セチル、C6〜10パレス−4リン酸、C12〜15パレス−2リン酸、C12〜15パレス−3リン酸、セテアレス−2リン酸DEA、セチルリン酸DEA、オレス−3リン酸DEA、セチルリン酸カリウム、デセス−4リン酸、デセス−6リン酸及びトリラウレス−4リン酸、ポリエチレングリコールアルキルエーテル(PEG−エーテル)、例えば特にステアレス−2及びステアレス−21、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(PEG−エステル)、例えば特にステアリン酸PEG−40及びステアリン酸PEG−100、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロックポリマー、例えば特にPPG−1−PEG−9ラウリルグリコールエーテル、PPG−1−PEG−9ラウリルグリコールエーテル、PEG/PPG−18/18ジメチコン及びセチルPEG/PPG−10/1ジメチコン、及び乳化特性を有する合成ポリマー、例えばPVPエイコセンコポリマー、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー並びにこれらの乳化剤の混合物からなるリストから選択される少なくとも1種のO/W又はSi/W乳化剤を含む。
【0024】
前記少なくとも1種のO/W又はSi/W乳化剤は、組成物の総重量に基づいて好ましくは0.5〜10重量%、特に0.5〜6重量%の範囲、例えばより特に0.5〜5重量%の範囲、例えば最も特に0.5〜4重量%の範囲の(総)量で使用される。
【0025】
本発明による局所組成物に使用される特定の好適なO/W乳化剤は、セテアリル硫酸ナトリウム(ラネッテ(Lanette)E)、クエン酸ステアリン酸グリセリル(Imwitor)を包含し、且つセチルリン酸カリウム(アンフィソル(Amphisol)(登録商標)K)である。本発明の全ての実施形態において最も好ましいものは、セチルリン酸カリウム(アンフィソル(登録商標)K)であり、例えばDSM Nutritional Products Ltd Kaiseraugstで市販されている。
【0026】
有利な実施形態において、本発明は、定義及び選択物を全て先に与えられた通りとして、セチルリン酸カリウムであるO/W乳化剤の存在下で水相中に分散された油相を含むO/Wエマルションの形態の局所組成物に関する。
【0027】
本発明による局所組成物は、好ましくは、共乳化剤をさらに含む。本発明による特定の好ましい共乳化剤は、好ましくは、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、パルミトレイルアルコール及びそれらの混合物など、12〜22個の炭素原子を有する非イオン性固体脂肪族アルコール及びそれらの混合物である。特定の好ましい共乳化剤は、例えば、BASFからラネッテ22として市販されているベヘニルアルコール、例えばBASFからラネッテ16として市販されているセチルアルコール、例えばCrodaからシスロール(Cithrol)GMS 40として、又はBASFからクチナ(Cutina)GMSとして市販されているステアリン酸グリセリル、及び例えばBASFからラネッテ(登録商標)Oとして市販されているセテアリルアルコール(すなわちセチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0028】
本発明による局所組成物中の共乳化剤の(総)量は、組成物の総重量に基づいて好ましくは0.1〜20重量%の範囲、より好ましくは0.5〜10重量%の範囲、最も好ましくは1〜5重量%の範囲で選択される。
【0029】
水相は、有利には、水、保湿剤及び増粘剤から基本的になる。好適な増粘剤は、例えば、キサンタンガム、例えばケルトロール(Keltrol)CG−RDとして入手できるもの、グアーガム、アルギネート、ポリアクリレート、ポリクオタニウム、シリコーン系ポリマー、カルボマー、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー並びに他のアクリロイルジメチルタウレートコポリマーを包含する。好ましい増粘剤は、キサンタンガム又はアクリレート/C10〜30アルキルアクリレートコポリマー又はポリアクリル酸(INCI:カルボマー(Carbomer))である。
【0030】
本発明によると、キサンタンガムは、局所組成物の総重量に基づいて例えば0.05〜1重量%の範囲、好ましくは0.05〜0.3重量%の範囲で選択される濃度などの低濃度で好ましくは使用される。
【0031】
本発明によると、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートは、局所組成物の総重量に基づいて例えば0.05〜1重量%の範囲、好ましくは0.05〜0.3重量%の範囲で選択される濃度などの低濃度で好ましくは使用される。
【0032】
本発明によると、ポリアクリル酸は、局所組成物の総重量に基づいて例えば0.05〜1重量%の範囲、好ましくは0.05〜0.3重量%の範囲で選択される濃度などの低濃度で好ましくは使用される。
【0033】
特に好適な保湿剤は、グリセリンであるが、これに限定されない。他の好適な保湿剤は、例えば、ペンタバイティン(Pentavitin)(登録商標)として利用可能な異性化糖、例えばハイドロライト(Hydrolite)(登録商標)として利用可能なペンチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール及び尿素並びにそれらの混合物を包含する。
【0034】
本発明によると、グリセリンは、局所組成物の総重量に基づいて0.5〜10重量%の範囲、より好ましくは1〜6重量%の範囲で選択される濃度などの低濃度で好ましくは使用される。
【0035】
本発明による局所組成物に使用される特定の好適な保存剤は、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、ソルビン酸カリウム及び安息香酸ナトリウム並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0036】
本発明によると、保存剤(総量)は、局所組成物の総重量に基づいて0.1〜3重量%の範囲、より好ましくは0.5〜2重量%の範囲、最も好ましくは0.5〜1重量%の範囲で選択される濃度などの低濃度で好ましくは使用される。
【0037】
本発明による局所組成物は、液体、ローション、濃密ローション、ゲル、クリーム、ミルク、軟膏又はペーストの形態であり得、任意選択でエアゾールとして包装でき、エアゾールムースなどのムース、フォーム又はスプレーフォーム、スプレー、スティックの形態で提供できる。
【0038】
本発明による局所組成物は、任意選択で、皮膚美白;日焼け防止;色素沈着過多及び/又はセルライトの治療;ざ瘡、しわ、筋、萎縮及び/又は炎症を予防又は低減すること;スリミング(例えば、フィタン酸)、引き締め、潤いを与えること、活力を与えること、セルフタンニング、鎮静のための成分、並びに弾力性及び皮膚バリアを改善する薬剤など、さらなる化粧品として活性な成分と組み合わせてよい。本明細書において有用な化粧品として活性な成分が、いくつかの場合、2つ以上の利益を与え得るか、又は2つ以上の作用様式により機能し得ることは当業者に周知である。
【0039】
存在する場合、化粧品として活性な追加の成分は、典型的には、局所調合物の総重量に基づいて少なくとも0.001重量%の量で含まれる。一般的に、局所組成物の総重量に基づいて約0.001重量%〜約30重量%、好ましくは約0.001重量%〜約10重量%の量の化粧品として活性な追加の作用物質が使用される。
【0040】
本発明の局所化粧組成物は、通常の化粧品用補助剤及び添加剤、例えば保存剤/酸化防止剤、脂肪性物質/油、水、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、柔軟剤、乳化剤、日焼け止め、消泡剤、香料などの感覚的な成分、界面活性剤、充填剤、金属封鎖剤、キレート剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性若しくは両性ポリマー又はそれらの混合物、噴射剤、酸性化剤若しくは塩基性化剤、染料、色素/着色剤、研磨剤、吸収剤、精油、皮膚センセート、アストリンゼント、顔料若しくはナノ顔料、例えば紫外線を物理的に遮断することにより光防護作用を与えるのに適したもの、或いは化粧組成物に通常製剤される他のあらゆる通常の化粧品用補助剤又は添加剤なども含み得る。
【0041】
スキンケア産業に通常利用され、本発明の組成物における使用に好適である有効成分並びに化粧品用補助剤及び添加剤は、例えば、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition(1992)に記載されているが、これに限定されない。
【0042】
有効成分並びに化粧品用補助剤及び添加剤の必要量は、所望の製品に基いて当業者により容易に選択することができ、実施例に説明されるが、これらに限定されない。
【0043】
当然のことながら、当業者は、上述の任意選択の追加化合物若しくは複数の化合物及び/又はそれらの量を、本発明による組み合わせと本質的に関連する有利な性質が、想定される追加物又は複数の追加物により有害な影響を受けないか又は実質的に有害な影響を受けないように選択するように注意するであろう。
【0044】
本発明による局所組成物に組み込まれる好適なUVフィルター物質は、化粧用又は皮膚科用のサンケア製品などの局所組成物に加えられることが知られている従来のUVA、及び/又はUVB、及び/又は広域スペクトルUVフィルター物質である。そのようなUVフィルター物質は、400nm〜320nm(UVA)及び320nm〜280nm(UVB)の波長又はさらに短い波長(UVC)の範囲の光を吸収し、化粧品として許容できるUVフィルター物質であるか、又はそれとして使用できる全ての群を含む。そのようなUVフィルター物質は、例えば、CTFA Cosmetic ingredient Handbook又はNadim A.Shaathによる“The Encyclopedia of Ultraviolet Filters”(ISBN:978−1−932633−25−2)に列記されている。
【0045】
好適なUVフィルター物質は、有機化合物でも無機化合物でもよい。例示的な有機UVフィルター物質は、例えば、アクリル酸エステル、例えば2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン、パーソル(PARSOL)(登録商標)340)、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル;カンファー誘導体、例えば4−メチルベンジリデンカンファー(パーソル(登録商標)5000)、3−ベンジリデンカンファー、カンファーベンザルコニウムメトサルフェート、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、スルホベンジリデンカンファー、スルホメチルベンジリデンカンファー、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸(メギゾリル(Mexoryl)(登録商標)SX);ケイ皮酸エステル誘導体、例えばメトキシケイ皮酸エチルヘキシル(パーソル(登録商標)MCX)、メトキシケイ皮酸エトキシエチル、メトキシケイ皮酸イソアミル並びにシロキサンに結合したケイ皮酸誘導体;p−アミノ安息香酸誘導体、例えばp−アミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N−オキシプロピレン化p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリル;ベンゾフェノン、例えばベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン;ベンザルマロン酸のエステル、例えば4−メトキシベンザルマロン酸ジ−(2−エチルヘキシル);発色団基を有する有機シロキサン化合物、例えばポリシリコーン−15(パーソル(登録商標)SLX)、ドロメトリゾールトリシロキサン(メギゾリル(登録商標)XL);イミダゾール誘導体、例えば2−フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸(パーソル(登録商標)HS)及びその塩、例えばナトリウム塩又はカリウム塩、アンモニウム塩、モルホリン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩のような一級、二級及び三級アミンの塩;サリチル酸エステル誘導体、例えばサリチル酸イソプロピルベンジル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチル、サリチル酸エチルヘキシル(パーソル(登録商標)EHS、ネオヘリオパン(Neo Heliopan)(登録商標)OS)、サリチル酸イソオクチル又はサリチル酸ホモメンチル(ホモサレート、パーソル(登録商標)HMS、ネオヘリオパン(登録商標)HMS);トリアジン誘導体、例えばエチルヘキシルトリアゾン(ユビナール(Uvinul)(登録商標)T−150)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(Uvasorb(登録商標)HEB)、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(チノソーブ(Tinosorb)(登録商標)S)、2,4,6−トリス([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−1,3,5−トリアジン(トリスビフェニルトリアジン、チノソーブ A2B);ベンゾトリアゾール誘導体、例えば2,2’−メチレン−ビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−フェノール(チノソーブ(登録商標)M);カプセル化されたUVフィルター、例えばカプセル化されたメトキシケイ皮酸エチルヘキシル(オーソレックス(Eusolex)(登録商標)UV−パールズ(pearls))、又は例えば欧州特許第1471995号明細書に開示されたUVフィルターを充填したマイクロカプセル;ジベンゾイルメタン誘導体、例えば4−tert.−ブチル−4’−メトキシジベンゾイル−メタン(パーソル(登録商標)1789)、ジメトキシジベンゾイルメタン、イソプロピルジベンゾイルメタン;フェニレン−1,4−ビス−ベンズイミダゾ−ルスルホン酸又は塩、例えば2,2−(1,4−フェニレン)ビス−(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸)(ネオヘリオパンAP);アミノ置換ヒドロキシベンゾフェノン、例えば2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステル(アミノベンゾフェノン、ユビナール(登録商標)A Plus);ベンゾオキサゾール−誘導体、例えば2,4−ビス−[5−1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール−2−イル−(4−フェニル)−イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)−イミノ−1,3,5−トリアジン(Uvasorb(登録商標)K2A)である。無機UVフィルター物質は、例えば、微粒子化された酸化亜鉛又は二酸化チタン(例えば、パーソル(登録商標)TXとして市販)などの顔料を包含する。用語「微粒子化された」は、約5nm〜約200nm、特に約15nm〜約100nmの粒径を指す。粒子は、他の金属酸化物、例えば酸化アルミニウム若しくは酸化ジルコニウム、又は有機コーティング、例えばポリオール、メチコン、ステアリン酸アルミニウム、アルキルシランにより被覆されていてもよい。そのようなコーティングは、当技術分野で周知である。
【0046】
サンケア製品の光安定性を増大させるために、光安定剤を加えることが望ましいことがあり得る。当業者に公知である例示的な光安定剤は、例えば、非限定的に、3,3−ジフェニルアクリレート誘導体、例えばオクトクリレン(パーソル(登録商標)340)又はPolyester−8(Polycrylene(登録商標));ベンジリデンカンファー誘導体、例えば4−メチルベンジリデンカンファー(パーソル(登録商標)5000);ベンザルマロネート誘導体、例えばポリシリコーン−15(パーソル(登録商標)SLX)又はマロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン(オキシネックス(Oxynex)STリキッド(liquid));ジエチルへキシルナフタレート(コラパン(Corapan)TQ)などのジアルキルナフタレートを包含する。さらなる安定剤についての概説は、例えば、参照により本明細書に含まれる‘SPF Boosters&Photostability of Ultraviolet Filters’,HAPPI,October 2007,p.77−83に与えられる。光安定剤は、一般的に、局所組成物の総重量に基づいて0.05〜10重量%の量で使用される。
【0047】
一般的に、本発明による局所組成物中の各UVフィルター物質の量は、局所組成物の総重量に基づいて約0.1〜10重量%の範囲、好ましくは約0.2〜10重量%の範囲、最も好ましくは約0.5〜10重量%の範囲で選択される。
【0048】
本発明による局所組成物中のUVAフィルター物質、特にブチルメトキシジベンゾイルメタンの総量は、局所組成物の総重量に基づいて好ましくは約0.5〜8重量%の範囲、特に約1〜6重量%の範囲、最も特に約1〜5重量%の範囲で選択される。
【0049】
本発明による局所組成物中のUVフィルター物質の総量は、局所組成物の総重量に基づいて好ましくは約1〜40重量%の範囲、好ましくは約5〜30重量%の範囲、特に8〜30重量%の範囲である。
【0050】
本発明による局所組成物に組み込まれる好ましいUVBフィルター物質は、ポリシリコーン−15、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、オクトクリレン、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル及び/又はホモサレートを包含する。
【0051】
本発明による局所組成物に組み込まれる好ましい広域UVフィルター物質は、非対称s−トリアジン誘導体、例えば2,4−ビス−{[4−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン若しくは2,4,6−トリス([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−1,3,5−トリアジン(トリスビフェニルトリアジン、チノソーブ(Tinosorb)A2B)、特定のベンゾフェノン、例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−メチレン−ビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−フェノール)及び/又は二酸化チタンを包含する。
【0052】
本発明による局所組成物に組み込まれる好ましいUVAフィルター物質は、ブチルメトキシジベンゾイルメタンである。好ましくは、ブチルメトキシジベンゾイルメタンは、本発明による局所組成物中の唯一のUVAフィルター物質である。
【0053】
特定の好ましい実施形態において、組成物は、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、ホモサレート及びエチルヘキシルサレート並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のUVフィルター物質を含む。特定の有利な実施形態において、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、ホモサレート及びエチルヘキシルサレートの全てが本発明による組成物中に存在する。
【0054】
本発明による局所組成物は、好ましくは、少なくとも1000mPs(TA Instruments AR 550、せん断速度1s−1、25℃、プレートSST ST 40mmにより測定)、好ましくは5000〜13000mPasの範囲などの2000〜15000mPasの範囲の粘度を有する。
【0055】
本発明による局所組成物は、3〜10の範囲のpH、好ましくは4〜8のpHの範囲、最も好ましくはpH4〜7の範囲のpHを有する。
【0056】
以下の実施例は、本発明の組成物及び効果をさらに説明するために与えられる。これらの実施例は、説明のためのものにすぎず、本発明の範囲を決して限定するものではない。
【0057】
[実施例1]
脂肪酸を使用しないか(基準1)又は異なる脂肪酸(ステアリン酸(基準2)、オレイン酸(基準3)及び12−ヒドロキシステアリン酸(本発明))を添加剤として使用した種々の製剤を表1に列記の通り調製した。最初に、製剤のいずれにおいても、顕微鏡分析により結晶は全く観察されなかった。次いで、製剤を室温で保存し、10−ヒドロキシステアリン酸の再結晶化に関して、3か月まで繰り返し顕微鏡で分析した。その結果を表2に列記する。
【0058】
【表1】