(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作軸の前記回転方向への回転中心を通る前記操作軸に沿った軸を基準軸とすると、前記磁気センサは、前記操作部が操作中立位置に位置するときに、前記基準軸上に位置するように配置されており、
前記磁石は、前記磁石の中心を通る前記磁化方向に沿った磁石中心軸が前記基準軸に対して所定の角度δ傾斜するように、前記操作軸に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の非接触型操作検出装置。
前記磁気センサの中央を通り、前記操作部が操作中立位置に位置するときの前記基準軸に沿った軸を第1軸として、前記第1軸に対する前記磁束密度の偏角を前記磁束密度の前記極座標での極角とし、前記第1軸に直交する平面での偏角を求める基準となる第2軸に対する前記磁束密度の偏角を前記磁束密度の前記極座標での方位角とすると、前記操作部の操作に伴う前記磁束密度の前記極角の変化が所定の範囲内の場合、前記制御部は、前記操作部のよる操作が前記操作軸を回転方向に操作する操作であると判定し、前記方位角に基づき、前記操作部の操作による前記操作軸の回転量を算出することを特徴とする請求項2に記載の非接触型操作検出装置。
前記磁気センサの中央を通り、前記操作部が操作中立位置に位置するときの前記基準軸に沿った軸を第1軸として、前記第1軸に対する前記磁束密度の偏角を前記磁束密度の前記極座標での極角とし、前記第1軸に直交する平面での偏角を求める基準となる第2軸に対する前記磁束密度の偏角を前記磁束密度の前記極座標での方位角とすると、前記操作部の操作に伴う前記磁束密度の前記極角の変化が所定の範囲外の場合、前記制御部は、前記操作部のよる操作が前記操作軸を傾斜方向に操作する操作であると判定することを特徴とする請求項2に記載の非接触型操作検出装置。
前記制御部は、前記操作部による操作が前記操作軸を傾斜方向に操作する操作であると判定すると、所定の前記角度δ、前記磁束密度及び前記方位角に基づき、前記操作部の操作による前記操作軸の傾斜量を算出することを特徴とする請求項4に記載の非接触型操作検出装置。
前記制御部は、所定の前記角度δ、前記磁束密度、前記方位角及び前記操作軸の傾斜量に基づき、前記操作軸の傾斜方向を算出することを特徴とする請求項5に記載の非接触型操作検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)について詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0017】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る第1実施形態の非接触型操作検出装置1の断面図である。
なお、
図1は、ユーザが操作部12を操作していないときに、操作部12が位置する操作中立位置に、操作部12が位置している状態を示している。
図1に示すように、非接触型操作検出装置1は、操作部材10と、操作部材10を受ける傾動部材20と、傾動部材20を傾動可能に受けるベース部材30と、を備えている。
【0018】
(操作部材10)
操作部材10は、操作軸11と、操作軸11の一端側(
図1の上側)に取り付けられるようにして設けられた操作部12と、を備えており、傾動部材20に対して押圧方向(
図1の下側)及び回転方向に操作可能に設けられている。
したがって、ユーザが操作部12を回転方向及び押圧方向に操作すると、その操作部12の操作によって、操作軸11が押圧方向及び回転方向に操作される。
なお、本実施形態では、操作軸11の一端側に操作部12を取り付けるようにしているが、操作部12は、操作軸11の一端側に設けられるように一体成形されていてもよい。
【0019】
また、操作軸11の他端側には、磁石40を固定する磁石固定部11Aが形成されており、その磁石固定部11Aには磁石40が固定されている。
具体的には、操作軸11の回転方向への回転中心を通る操作軸11に沿った軸を基準軸(P軸参照)とすると、磁石固定部11Aは、磁石40の磁化方向(M軸参照)が基準軸(P軸参照)に対して傾斜するように、磁石40が固定できるようになっている。
したがって、磁石40は、磁化方向が基準軸(P軸参照)に対して傾斜するように、操作軸11の他端側に設けられている。
【0020】
(傾動部材20)
傾動部材20は、他端側(
図1の下側)に配置される傾動部21と、一端側に設けられた操作部材受部22と、を備えている。
傾動部21は、後述するベース部材30の傾動受部32に対向する面が、ベース部材30の傾動受部32の半球面状の外形に応じた曲面に形成された半ドーム状の摺動部21Aと、摺動部21Aの他端側の周縁部から外側に延在するように設けられたフランジ部21Bと、を備えており、操作部12の傾斜方向の操作に応じて、傾動部21がベース部材30の傾動受部32に対して摺動することで、傾動部材20が傾動できるようになっている。
したがって、ユーザが操作部12を傾斜方向に操作すると、その操作部12の操作によって、傾動部材20とともに操作軸11も傾斜方向に操作される。
【0021】
なお、フランジ部21Bのベース部材30の傾動受部32側の面には、周方向に複数の弾性部材23(本例では、コイルばね)を受ける凹部21BBが形成されている。
そして、ベース部材30の傾動受部32とフランジ部21Bとの間には、凹部21BBに一端側(
図1の上側)の端部が挿入され、他端側(
図1の下側)の端部がベース部材30の傾動受部32に当接するように配置された複数の弾性部材23が設けられており、この弾性部材23によって、傾動部材20が所定の位置に位置するように付勢されている。
このため、ユーザが操作部12を操作していないときには、この弾性部材23の付勢力によって、
図1に示す操作中立位置に、操作部12が位置するようになっている。
【0022】
また、操作部材受部22には、中央に操作軸11の他端側をベース部材30側に通す開口部22Aが形成されているとともに、その開口部22Aの外周に弾性部材24(本例ではコイルばね)を収容する弾性部材収容部22Bが設けられている。
そして、弾性部材24が、操作部材10の操作部12を一端側(
図1の上側)に付勢するように、弾性部材収容部22Bに配置されており、操作部材10が常に一端側に付勢されている。
このため、ユーザが、操作部12を押圧方向に押圧する操作を止めると、押圧前の位置に操作部材10が戻るようになっている。
【0023】
なお、操作部材10が抜けるのを防止するために、弾性部材24の他端側(
図1の下側)を操作部材受部22に係止するとともに、弾性部材24一端側(
図1の上側)を操作部12に係止するようにしてもよい。
また、本実施形態では、傾動部材20を傾動部21と操作部材受部22を一体形成したものを示しているが、傾動部材20は、傾動部21と操作部材受部22を別体として、傾動部21に操作部材受部22を取り付けるようにしてもよい。
【0024】
(ベース部材30)
ベース部材30は、最も他端側(
図1の下側)に配置される基部31と、基部31上に配置され、基部31に取り付けられた傾動受部32と、傾動受部32上に配置され、傾動受部32に取り付けられた蓋部33と、を備えている。
【0025】
傾動受部32は、中央に操作軸11の他端側(
図1の下側)を受け入れる開口部32Aが形成された傾動部材20の摺動部21Aを受ける摺動受部32Bと、摺動受部32Bの周縁部から延在して基部31に固定されるフランジ部32Cと、を備えている。
なお、摺動受部32Bは、外形が半球面状であるとともに、操作軸11の他端側が傾動方向に傾動できる円柱状の内部空間32Sを有するものになっている。
【0026】
蓋部33は、摺動受部32B上に配置された傾動部材20の傾動部21がベース部材30側から離れるのを規制する部材であり、中央に開口33aを有するとともに傾動部21の摺動部21Aの外面を摺動可能にベース部材30側に抑える押え部33Aと、押え部33Aの周縁部から他端側(
図1の下側)に向かって延在する外壁部33Bと、を備えており、外壁部33Bが傾動受部32のフランジ部32C上に取り付けられるようになっている。
なお、外壁部33Bは、傾動部材20の傾動部21の動きと干渉しない程度の内部空間33Sを形成する内径を有する円筒状になっている。
【0027】
そして、ベース部材30の傾動受部32のドーム状の摺動受部32Bの内側の位置となるベース部材30の基部31上には、磁石40の磁力による磁束密度に応じた出力値を出力する3軸検出型の磁気センサ45(本例では、3軸検出型のホールIC)が、磁石40から離間して設けられている。
なお、本実施形態では、基部31が回路基板である場合を示しているが、磁気センナ45、後述する制御部47及び記憶部48を設ける部分だけを回路基板として、その回路基板が基部31上に取り付けられている構成としてもよい。
【0028】
具体的には、磁気センサ45は、
図1に示すように、操作部12が操作中立位置に位置するときに、磁気センサ45の中央Oが基準軸(P軸参照)上に位置するように配置されている。
なお、磁気センサ45は、3軸のうちの1つの軸である第1軸が、磁気センサ45の中央Oを通り、操作部12が操作中立位置に位置するときの基準軸(P軸参照)に沿った軸となるように配置されており、本実施形態では、磁気センサ45は、この第1軸(P軸参照)と操作部12が操作中立位置に位置するときの基準軸(P軸参照)とがほぼ一致するように配置されている。
【0029】
したがって、磁石40は、磁気センサ45の第1軸(P軸参照)に対して、磁石40の中心を通る磁化方向(M軸参照)に沿った磁石中心軸(M軸参照)が、所定の角度δだけ傾斜するとともに、磁石中心軸(M軸参照)が磁気センサ45の中央Oを通るように配置されている。
また、磁気センサ45は、操作軸11が傾斜方向に動くときの回動中心に磁気センサ45の中央Oが位置するように基部31上に配置されている。
なお、この所定の角度δを磁石40の取り付け角度δと言う場合がある。
【0030】
後ほど、具体的な方法については説明するが、非接触型操作検出装置1は、磁気センサ45に電気的に接続された制御部47(例えば、CPU)を有しており、この制御部47が、磁気センサ45の磁石の磁力による磁束密度に応じた出力値に基づいて、ユーザが操作部12を操作したときの操作軸11の押圧方向、回転方向及び傾斜方向への操作状態を検出する演算を行うことになるが、そのためには、操作軸11の押圧方向、回転方向及び傾斜方向への操作に伴って、磁気センサ45で検出できる程度の磁束密度の変化が必要となる。
なお、本実施形態では、制御部47は、磁気センサ45と同様に、ベース部材30の基部31上に設けているが、制御部47は、必ずしも、基部31上に設けられる必要はなく、本実施形態では、制御部47の演算結果等を記憶する記憶部48(例えば、RAM等)も基部31上に設けているが、記憶部48も、基部31上に設けることに限定されるものではない。
【0031】
ところで、一般的には、操作軸11の傾斜方向の動きに応じた磁束密度の変化を検出するためには、磁石40は、磁化方向(M軸参照)が磁気センサ45の第1軸(P軸参照)に合わせるように配置されるが、そのように配置すると、操作軸11を回転方向に操作したときに、磁束密度の変化がほとんどないため、回転方向の検出を行うことが難しい。
したがって、通常、この回転方向の検出を行うために、さらに、磁石と磁気センサを設けることになる。
なお、押圧方向に関しては、磁化方向(M軸参照)が磁気センサ45の第1軸(P軸参照)に合わせるように、磁石40が配置されていたとしても検出することが可能である。
【0032】
逆に、操作軸11の回転方向の動きに応じた磁束密度の変化を検出するためには、磁石40は、磁化方向(M軸参照)が磁気センサ45の第1軸(P軸参照)に直交するように配置されるが、そのように配置すると、操作軸11を傾斜方向に操作したときに、磁束密度の変化がほとんどないため、傾斜方向の検出を行うことが難しい。
したがって、通常、この回転方向の検出を行うために、さらに、磁石と磁気センサを設けることになる。
なお、押圧方向に関しては、磁化方向(M軸参照)が磁気センサ45の第1軸(P軸参照)に直交するように、磁石40が配置されていたとしても検出することが可能である。
【0033】
このため、従来は、操作軸11の回転方向と傾斜方向の操作を検出する必要がある場合、少なくとも2つ以上の磁石と2つの以上の磁気センサが用いられてきた。
【0034】
一方、本実施形態のように、磁気センサ45の第1軸(P軸参照)に対して、磁化方向(M軸参照)が磁気センサ45の第1軸(P軸参照)に傾斜するように、磁石40を配置すると、操作軸11が回転方向や傾斜方向に操作されても、磁束密度の変化が見られることに気づき、1つの磁石40と1つの磁気センサ45を用いて、回転方向及び傾斜方向の検出が行える非接触型操作検出装置1を実現するに至った。
【0035】
なお、本実施形態のように、磁石40を傾斜させて配置した場合でも、操作軸11の押圧方向への検出が可能であり、したがって、本実施形態の非接触型操作検出装置1では、操作軸11の押圧方向、回転方向及び傾斜方向への操作状態が検出できるものとなっている。
【0036】
次に、磁気センサ45の出力値に基づいて、操作軸11の押圧方向、回転方向及び傾斜方向への操作状態を検出する方法について説明する。
まず、操作状態を検出する方法の説明を行うのに先立って、
図2を参照して、簡単に座標軸等の定義について説明する。
【0037】
図2は、磁気センサ45を基準とした座標軸等の定義を説明する図である。
図2では、磁気センサ45の中央Oを基準として、先に説明した操作部12が操作中立位置に位置するときの基準軸(
図1のP軸参照)に沿った3軸のうちの1つの軸である第1軸(
図1のP軸参照)をZ軸として示している。
【0038】
そして、磁気センサ45の中央Oを含むZ軸に直交する平面を構成する2軸(磁気センサ45の残る2軸)をX軸とY軸としている。
なお、言うまでもないが、X軸とY軸は互いに直交する軸であり、且つ、X軸及びY軸は、それぞれZ軸にも直交している。
【0039】
また、X−Z平面は、
図1の断面を表す軸となっており、操作部12の回転方向への操作を行っていない状態(以下、ホームポジションとも言う)のときに、磁石40の磁石中心軸(
図1のM軸参照)を含む平面となっている。
【0040】
ここで、
図2では、磁気センサ45の中央Oを原点とする、X軸方向の成分、Y軸方向の成分及びZ軸方向の成分がそれぞれ(f
x,f
y,f
z)あるベクトルFを考えたときに、そのベクトルFをX−Y平面上に射影したX軸、Y軸及びZ軸の成分が(f
x,f
y,0)である射影ベクトルをベクトルF1として表している。
なお、以降の説明では、X軸方向の成分、Y軸方向の成分及びZ軸方向の成分を、単に、XYZ成分と記載する場合がある。
【0041】
そして、ベクトルFがZ軸に対して成す偏角θをベクトルFの極角θとし、ベクトルFをX−Y軸平面上に投射したベクトルF1がX軸に対して成す偏角ΦをベクトルFの方位角Φとする。
【0042】
なお、この極角θと方位角Φとの呼び方は、一般に極座標で表すときに用いられているものであり、X軸は、Z軸に直交するX−Y平面での偏角(方位角Φ)を求める基準となる軸になっており、本実施形態では、このX軸をZ軸に直交し、操作部12の回転方向への操作を行っていないホームポジションのときに、磁石40の磁石中心軸(
図1のM軸参照)を含む平面を構成する軸としている。
【0043】
ここで、磁気センサ45の中央O(以下、原点Oともいう)、点(0,0,f
z)及び点(f
x,f
y,f
z)で規定される三角形は、直角三角形になっており、このことから極角θは式(1)で求めることができる。
なお、点(0,0,f
z)と点(f
x,f
y,f
z)を結ぶ直線の長さは、ベクトルF1のノルム|F1|=√(f
x2+f
y2)に等しい。
【0044】
また、同様に、原点O、点(fx,0,0)及び点(fx,fy,0)で規定される三角形が直角三角形になっていることから、方位角Φは式(2)で求めることができる。
このように極角θ及び方位角Φが定義されることを踏まえたうえで、以下、具体的に、操作軸11の操作状態を検出する方法の説明を行う。
【0045】
図3は操作軸11の操作状態を検出するための手順を示したフローチャートであり、このフローチャートの流れに従いながら操作軸11の操作状態を検出する方法について説明する。
また、
図4は、
図1に示す磁気センサ45と磁石40との位置関係を模式的に示すとともに3軸検出型の磁気センサ45の座標軸(第1軸(Z軸)と第2軸(X軸))を加えた図である。
【0046】
なお、以下で説明する処理は、磁気センサ45に電気的に接続されている制御部47が行う処理であり、制御部47が処理を行う上で行った演算等の結果は、必要に応じて、記憶部48(例えば、RAM等)に記憶される。
【0047】
制御部47は、磁気センサ45の出力値を監視しており、磁気センサ45の出力値が変化すると、
図3に示すフローチャートの処理が開始される。
フローチャートの処理が開始されると、制御部47は、ステップ101の処理を実行する。
【0048】
(ステップ101)
制御部47は、ステップ101に進むと、磁石40の磁力による磁束密度に応じた磁気センサ45の出力値に基づく磁束密度BのXYZ成分(B
X,B
Z,B
Z)のうちのZ成分が閾値thB
Z以上に変化したかを基準に、ユーザが操作部12を操作することで操作軸11を押圧方向に操作する操作を行ったか否かを判定する。
【0049】
例えば、操作が行われていない状態での磁束密度B
0を(B
X0,B
Y0,B
Z0)とし、磁気センサ45の出力値が変化したのちの磁束密度B
1を(B
X1,B
Y1,B
Z1)とすると、Z成分の変化量ΔB
Z(=|B
Z0−B
Z1|)が所定の閾値thB
Zより大きいか否かに基づいて、変化量ΔB
Z>閾値thB
Zである場合(変化量ΔB
Zが閾値thB
Zより大きい場合)には、押圧方向の操作が行われたものとしてステップ102に進む。
一方、変化量ΔB
Z>閾値thB
Zでない場合(変化量ΔB
Zが閾値thB
Zより大きくない場合)には、押圧方向の操作がされていないものとしてステップ103に進む。
【0050】
なお、上記では、操作が行われていない状態での磁束密度B
0を(B
X0,B
Y0,B
Z0)として一般的な記述としているが、これは、以前の操作において、回転方向への操作が行われていた場合にはY成分B
Y0が0でない場合があるためであり、
図1に示したホームポジションの状態からの操作である場合には、
図4に示すように、操作前の磁束密度B
0は(B
X0,0,B
Z0)である。
ただし、押圧方向への操作の判定には、Y成分B
Y0は無関係である。
【0051】
(ステップ102)
制御部47は、ステップ102に進むと、ステップ102の処理として、ユーザが操作部12を操作することで操作軸11を押圧方向への操作をしたものとして押圧方向への操作が行われたことを記憶部48に記憶させた後に、
図3の処理を終了する。
【0052】
(ステップ103)
一方、制御部47は、ステップ103に進むと、ステップ103の処理として、ユーザによる操作部12の操作が操作軸11を押圧方向に押圧する操作ではないことを記憶部48に記憶させた後に、ステップ104に進む。
【0053】
(ステップ104)
制御部47は、ステップ104に進むと、磁気センサ45の出力値が変化した後の磁束密度B
1に基づいて、磁束の向きを算出して、ステップ105に進む。
【0054】
具体的には、制御部47は、以下の式(3)及び式(4)に示すように、先に説明した式(1)及び式(2)に磁束密度B
1の値を代入することで、磁束密度B
1の極角θ
1及び方位角Φ
1を算出して、算出した磁束密度B
1の極角θ
1及び方位角Φ
1を記憶部48に記憶させた後に、ステップ105に進む。
【0055】
(ステップ105)
制御部47は、ステップ105に進むと、ステップ105の処理として、ステップ104で算出した磁束密度B
1の極角θ
1に基づいて、ユーザによる操作部12の操作が、操作軸11を回転方向に操作する操作であったのか、傾斜方向に操作する操作であったのかを判定する。
【0056】
具体的には、磁束密度B
1の極角θ
1の変化量Δθ
1(=|θ
1−δ|)が所定の閾値thθより小さいか否かに基づいて、変化量Δθ
1が変化量Δθ
1<閾値thθの場合(変化量Δθ
1が閾値thθより小さい場合)には、回転方向への操作が行われたものとしてステップ106に進む。
逆に、変化量Δθ
1が変化量Δθ
1<閾値thθでない場合(変化量Δθ
1が閾値thθより小さくない場合)には、傾斜方向への操作が行われたものとしてステップ107に進む。
【0057】
つまり、
図1及び
図4に示すように、磁石40が磁気センサ45の第1軸(Z軸参照)に対して、角度δだけ傾斜するように配置されていることを考慮すると、操作前の磁束密度B
0の極角θ
0はほぼ取り付け角度δと同じと考えられるため、傾斜方向への操作が行われていないとすると、極角θの変化はほとんど起きていないことから、磁束密度B
1の極角θ
1は、取り付け角度δとほぼ等しい値になっている。
したがって、傾斜方向への操作が行われていない場合、磁束密度B
1の極角θ
1の変化量Δθ
1(=|θ
1−δ|)は、小さい値を示す。
【0058】
一方、傾斜方向に操作が行われると、磁束密度B
1の極角θ
1は角度δと異なる値になるため、磁束密度B
1の極角θ
1の変化量Δθ
1(=|θ
1−δ|)は大きくなる。
このことから、傾斜方向に操作が行われたと判定できる磁束密度B
1の極角θ
1の変化量Δθ
1(=|θ
1−δ|)に対応した閾値thθを設定し、変化量Δθ
1(=|θ
1−δ|)と閾値thθと比較することで、傾斜方向であったのかを判定することができる。
そして、傾斜方向への操作でない場合には、残る操作である回転方向への操作であったと考えることができる。
【0059】
(ステップ106)
制御部47は、ステップ106に進むと、回転方向への操作が行われたものとして、ユーザによる操作部12の操作によって、操作軸11が、どの程度、回転させられたのかを求めるために、操作軸11の回転量の算出を行う。
【0060】
具体的には、操作部12を回転方向に操作した場合、その操作部12の回転方向の動きと同じ動きで操作軸11も回転し、操作軸11に固定されている磁石40が、操作軸11の回転方向への回転量と同じ量だけ磁気センサ45の第1軸(Z軸)の周りを、
図4に示す矢印Rのように回転することになる。
【0061】
この磁石40が磁気センサ45の第1軸(Z軸)の周りを回転する動きは、磁石の磁力による磁束密度に応じた磁気センサ45の出力値に基づく磁束密度B=(B
X,B
Z,B
Z)が、磁気センサ45の第1軸(Z軸)の周りを、
図4に示す矢印Rのように回転しているものとして捉えることができ、
図2に示したベクトルFが第1軸(Z軸)の周りを回転するのと同様の動きであるため、その回転による回転量は方位角Φそのものと考えられる。
したがって、制御部47は、式(4)で求めた磁束密度B
1の方位角Φ
1を操作軸11の回転量として記憶部48に記憶させた後、
図3に示すフローを終了する。
【0062】
(ステップ107)
一方、制御部47は、ステップ107に進むと、傾斜方向への操作が行われたものとして、ユーザによる操作部12の操作によって、操作軸11がどのような傾斜状態とされているのか求める処理を実行する。
具体的には、以下で説明するようにして、操作軸11の傾斜量を算出するとともに、傾斜方向を算出する。
【0063】
まず、以前に操作部12が回転方向に操作されておらず、
図1に示すホームポジションの状態から、傾斜方向への操作が行われた場合の操作軸11の傾斜量及び傾斜方向の求め方について説明する。
その説明の後、以前に操作部12によって回転方向への操作が行われており、その回転方向の操作の後に、ホームポジションでない状態から傾斜方向への操作が行われた場合の操作軸11の傾斜量及び傾斜方向の求め方について説明する。
【0064】
(ホームポジションからの傾斜方向操作の場合)
図5は、ホームポジションの状態から操作軸11を磁気センサ45の第3軸(Y軸)側に傾斜させた場合を示す図であり、
図4の上側から見た図にあたる。
なお、
図5では、
図4で図示を省略していた操作軸11も模式的に示すようにしている。
【0065】
操作部12が操作され、操作軸11が磁気センサ45の第1軸(Z軸)に位置していた状態から、磁気センサ45の第3軸(Y軸)側に傾斜させる場合、操作軸11の傾斜方向を示すベクトルを方向ベクトルQ(図示せず)とすると、その方向ベクトルQは、磁気センサ45の第2軸(X軸)の周りを傾斜量(傾斜角度)に応じて回転するだけである。
【0066】
つまり、操作軸11の傾斜方向への動きは、
図5に示すように、方向ベクトルQをX−Y平面に射影した射影ベクトルをベクトルQ’とし、そのベクトルQ’の方位角Φを角度Tdとすると、原点Oを通り、その角度Tdに直交する方位角Td’=Td+90度であるX−Y平面状の軸(この例ではX軸)を中心として、傾斜角度分だけ回転させたものと考えることができる。
なお、角度Tdは、操作軸11の傾斜方向を示す角度であり、且つ、操作軸11の方位角そのものであるから、以降では、操作軸11の方位角Td又は操作軸11の傾斜方向の角度Tdと記載する場合がある。
【0067】
そこで、X−Y平面上で、且つ、方位角Φが角度Td’=Td+90度で原点Oを通る軸を傾斜方向に操作するときの回転基準軸とすると、その回転基準軸の方向を表す回転基準ベクトルは、(cos(Td’),sin(Td’),0)として表すことができる。
なお、回転基準ベクトルは、軸の方向を定めるだけでよいので、上記のように、ノルムが1のベクトルとして扱ってよい。
【0068】
そして、操作軸11と一体に傾斜方向に回転することになる磁石40も、この回転基準軸を中心に回転することになる。
したがって、この回転基準軸は、傾斜方向に操作されたときの磁石40の磁束の傾斜方向への回転の基準となる軸にもなっている。
【0069】
ここで、
図1に示すように、磁石40の磁石中心軸(M軸参照)は、操作軸11の回転方向への回転中心を通る操作軸11に沿った軸である基準軸(P軸参照)に対して取り付け角度δで傾斜するように取り付けられているため、傾斜方向への操作を行う前の磁石40の磁束を、この角度δを用いて単位ベクトルB
M0として表すと(sin(δ),0,cos(δ))と記述することができる。
【0070】
そして、傾斜方向への操作後の磁石40の磁束を単位ベクトルB
M1=(B
MX1,B
MY1,B
MZ1)とすると、単位ベクトルB
M1は、磁石40の動きと同様に、単位ベクトルB
M0が回転基準軸を中心として回転したものであるから、単位ベクトルB
M0と単位ベクトルB
M1の関係は、ロドリゲスの回転公式を用いることで表すことができる。
【0071】
具体的に説明すると、ロドリゲスの回転公式は、任意の軸nを表す回転基準ベクトルを(n
1,n
2,n
3)としたときに、その回転基準ベクトルの周りに、角度θ
nだけ回転させる回転行列Rを与えるものであり、その回転行列Rは式(5)のように記述される。
【0072】
したがって、その回転行列Rの回転基準ベクトルに、傾斜方向の操作のときの回転基準ベクトルである(cos(Td’),sin(Td’),0)を代入するとともに、回転させる角度θ
nとして、傾斜させた角度Ta(回転基準軸を中心とする回転の角度)を代入すると、回転基準軸を中心に角度Taだけ回転させる回転行列A(式(6)参照)を得ることができる。
なお、以降では、cos(Td’)をcosTd’と記載し、sin(Td’)をsinTd’と記載するとともに、cos(Ta)及び,sin(Ta)をcosTa及び,sinTaとして角度の部分を示す括弧書きを省略する場合がある。
【0073】
ただし、上述したように、Td’=Td+90度、つまり、Td’は操作軸11の傾斜方向の角度Tdに90度を加えたものである。
【0074】
そして、傾斜方向への操作後の磁石40の磁束の単位ベクトルB
M1=(B
MX1,B
MY1,B
MZ1)は、回転行列Aによって、傾斜方向への操作前の磁石40の磁束の単位ベクトルB
M0=(sin(δ),0,cos(δ))が回転させられたものとして表すことができるので、この回転行列Aを用いると、単位ベクトルB
M0と単位ベクトルB
M1との関係は、式(7)で示す等式として表すことができる。
【0075】
この式(7)に、式(6)の回転行列A、B
M0=(sinδ,0,cosδ)及びB
M1=(B
MX1,B
MY1,B
MZ1)を代入して、左辺にsinTd’だけを残すように、Z成分について解くと式(8)が得られる。
【0076】
また、式(7)に、式(6)の回転行列A、B
M0=(sinδ,0,cosδ)及びB
M1=(B
MX1,B
MY1,B
MZ1)を代入して、X成分について解くとともに、その解いた式に表れるsinTd’に式(8)の右辺を代入して、左辺にcosTaだけを残すようにすると式(9)が得られる。
【0077】
したがって、操作軸11の傾斜方向への傾斜量(傾斜の角度Ta)は、式(10)のように記述することができる。
【0078】
そして、磁石40の取り付け角度δ(
図1参照)は、
図4に示すように、磁気センサ45の第1軸(Z軸)に対する角度にもなっていることから、磁石40の磁束の方向と、磁石40の磁力による磁束密度に応じた磁気センサ45の出力値に基づく磁束密度Bの方向はほぼ一致している。
【0079】
したがって、式(10)の右辺に、磁石の取り付け角度δを代入するとともに、操作後の磁石40の磁束の単位ベクトルB
M1=(B
MX1,B
MY1,B
MZ1)として、操作後の磁石40の磁力による磁束密度に応じた磁気センサ45の出力値に基づく磁束密度B
1=(B
X1,B
Y1,B
Z1)を採用し、B
MX1にB
X1を代入するとともに、B
MZ1にB
Z1を代入すれば、操作軸11の傾斜方向への傾斜量(傾斜の角度Ta)を得ることができる。
なお、磁束密度B
1は、ノルムが1となるように正規化しているものとする。
【0080】
また、式(8)から角度Td’は、式(11)のように記述できるので、式(10)で傾斜量(傾斜の角度Ta)を求めれば、式(11)の右辺に、磁石の取り付け角度δ及び求めた傾斜の角度Taを代入するとともに、B
MZ1にB
Z1を代入すれば角度Td’を求めることができる。
【0081】
そして、上述したように、操作軸11の傾斜方向の角度Td(方位角)と、角度Td’との間には、Td’=Td+90度の関係があることから、操作軸11の傾斜方向の角度Td(方位角)は、Td=Td’−90度、つまり、式(12)で求めることができる。
【0082】
以上のように、
図1に示すホームポジションの状態から、傾斜方向への操作が行われた場合、制御部47は、式(10)に従って、ステップ107の処理として、磁石の取り付け角度δ及び操作後の磁束密度B
1に基づき、操作軸11の傾斜量(角度Ta)を算出するとともに、さらに、式(12)に従って、算出した傾斜量(角度Ta)、磁石の取り付け角度δ及び操作後の磁束密度B
1に基づき、操作軸11の傾斜方向の角度Td(方位角)を算出する。
なお、算出した操作軸11の傾斜量(角度Ta)及び傾斜方向の角度Td(方位角)は記憶部48に記憶される。
【0083】
(ホームポジション以外のときの傾斜方向操作の場合)
次に、以前に回転方向の操作が行われており、
図1に示すホームポジションと異なる回転方向の位置に位置する状態から、操作部12を操作して操作軸11を傾斜方向に操作する場合の操作軸11の傾斜量及び傾斜方向の求め方について説明する。
【0084】
この場合、以前の回転方向への操作が行われたときに、ステップ106の処理が行われ、記憶部48には回転方向に操作されたときの回転量(方位角Φ
1)が記憶されている。
したがって、この回転量(方位角Φ
1)に基づいて、今回の操作後の磁束密度B
1を、一旦、ホームポジションから傾斜方向への操作が行われたものと見なせる状態にして、上述した手順で傾斜量(角度Ta)を求めるようにするところから処理を行う。
なお、式(10)で求めた角度Taとの区別がつくように、ここで求める角度TaをTa
2と記載することとする。
【0085】
具体的には、ステップ106で説明したように、回転方向への操作は、
図4に示すように、磁束密度が磁気センサ45の第1軸(Z軸)を中心として回転する動作(矢印R参照)であるため、式(5)で示したロドリゲスの回転公式から、任意の軸nを表す回転基準ベクトル(n
1,n
2,n
3)に、磁気センサ45の第1軸(Z軸)の方向を表すベクトル(0,0,1)を採用するとともに、回転させる角度θ
nに方位角Φ
1の逆方向への角度−Φ
1を代入すれば、式(13)に示すホームポジションの位置に磁束密度を位置させるように回転させる回転行列Dを得ることができる。
【0087】
そして、今回の操作後の磁束密度B
1を用いて、式(14)に示すように、この回転行列Dで磁気センサ45の第1軸(Z軸)を中心として回転させた磁束密度B
2を求めると、この磁束密度B
2(XYZ成分は(B
X2,B
Y2,B
Z2)である)は、以前に行われた回転方向への回転量(方位角Φ
1)分だけ、元に戻すように回転させられているため、ホームポジションの位置から傾斜方向に傾斜させる操作を行ったときの磁束密度と見なすことができるものになっている。
【0088】
したがって、先ほど、式(10)に代入した磁束密度B
1の値に代えて、磁束密度B
2の値を代入するようにすれば、式(15)に示すように、傾斜量(角度Ta
2)を求めることができる。
なお、傾斜量(角度Ta
2)は回転方向に依存する物理量ではないため、制御部47は、この式(15)で求まる傾斜量(角度Ta
2)を記憶部48に記憶する。
【0089】
一方、先ほど、式(12)に代入した磁束密度B
1の値に代えて、磁束密度B
2の値を代入するとともに、式(15)で求めた傾斜量(角度Ta
2)を代入するようにすれば、
式(16)に示すように、ホームポジションの位置から傾斜方向の操作が行われたと見なしたときの操作軸11の傾斜方向の角度Td(方位角)を求めることができる。
【0090】
しかしながら、この式(16)で求まる操作軸11の傾斜方向の角度Td(方位角)は、ホームポジションから傾斜方向の操作が行われたと見なしたときのものであり、実際には、以前に行われた回転方向への回転量(方位角Φ
1)分だけズレたものになっている。
【0091】
そこで、式(17)に示すように、制御部47は、この式(16)で求めたTdに回転方向の回転量(方位角Φ
1)を加えることで、このズレを解消した操作軸11の傾斜方向の角度Td
2(方位角)を求め、この傾斜方向の角度Td
2(方位角)を記憶部48に記憶させる。
【0092】
以上のように、
図1に示すホームポジション以外の状態から傾斜方向への操作が行われた場合、制御部47は、ステップ107の処理として、磁石40の取り付け角度δ、操作後の磁束密度B
1及び方位角Φ
1に基づいて、より具体的には、操作後の磁束密度B
1と方位角Φ
1とに基づいて求めた磁束密度B
2及び磁石40の取り付け角度δに基づき、操作軸11の傾斜量(角度Ta
2)を算出する。
【0093】
また、制御部47は、ステップ107の処理として、算出した傾斜量(角度Ta
2)、磁石40の取り付け角度δ、操作後の磁束密度B
1(より具体的には磁束密度B
2)及び方位角Φ
1に基づき、操作軸11の傾斜方向の角度Td
2(方位角)を算出し、それら算出した傾斜量(角度Ta
2)及び傾斜方向の角度Td
2(方位角)を記憶部48に記憶する。
【0094】
なお、ホームポジションからの傾斜方向の操作であるか否かは、ステップ106で記憶される回転方向の回転量(方位角Φ
1)を見ればわかるため、上述のようにホームポジションの位置からの傾斜方向への操作とホームポジション以外の位置からの傾斜方向への操作とを区別することが可能である。
【0095】
ただし、以前に回転方向の操作が行われていないとすれば、記憶部48に記憶されている回転方向への回転量(方位角Φ
1)は0となっており、この値を用いれば、式(13)の角度−Φ
1も0であるため、回転行列Dは単位行列の状態となる。
したがって、常に、ホームポジションからの傾斜方向への操作の場合であっても、ホームポジション以外のときの傾斜方向への操作の場合と同様の手順でステップ107の処理を実施するようにしてもよい。
【0096】
[実施例]
次に、以上のような処理によって、押圧方向、回転方向及び傾斜方向の操作状態を求めた実施例について説明する。
なお、本実施例は、上述した磁石40の取り付け角度δを15度として行った場合である。
【0097】
図6は、ホームポジションの状態から操作部12を押圧方向に操作し、操作軸11を押圧方向に操作したときの磁束密度の変化を示すグラフであり、横軸を押圧方向の押圧量(単位mm)とし、縦軸を磁気センサ45の出力値(A/D値)としている。
なお、グラフ中の三角のB
Zは、上述した磁気センサ45の第1軸(Z軸)方向の成分を表しており、同様に、菱形のB
X及び四角のB
Yは、それぞれ、磁気センサ45の第2軸(X軸)方向の成分及び第3軸(Y軸)方向の成分を表している。
【0098】
図6に示すように、押圧量が29mmから34mmの範囲で磁気センサ45の第1軸(Z軸)方向の成分(三角のBZ参照)に大きな変化が見られ、押圧されたことを十分に判別できる変化が得られることがわかる。
【0099】
次に、
図7は、ホームポジションの状態から操作部12を回転方向に操作し、操作軸11を回転方向に操作したときの磁束密度の測定データから操作軸11の回転量を求めた結果を示すグラフであり、横軸を実際の回転量(単位deg)とし、縦軸を磁束密度の測定データから求めた回転量(単位deg)としている。
【0100】
したがって、実際の回転量と測定データに基づく回転量(計算値)とが一致している場合、丸印で示す測定データから求めた回転量が実線で示す対角線上に並ぶことになるが、
図7に示すように、丸印で示す測定データから求めた回転量は、ほぼ実線で示す対角線上に並んでおり、求めた回転量が十分に実用できるものであることがわかる。
【0101】
次に、
図8及び
図9は、操作部12を傾斜方向に操作して操作軸11を傾斜方向に操作したときの磁束密度のデータから操作軸11の傾斜方向を求めた結果を示すグラフであり、横軸を実際の傾斜方向(単位deg)とし、縦軸を磁束密度の測定データから求めた傾斜方向(単位deg)としている。
【0102】
また、
図8はホームポジションの位置から傾斜させた場合を示すグラフになっており、
図9は回転方向の操作によってホームポジションから45度回転させた状態から傾斜させた場合を示すグラフになっている。
なお、縦軸及び横軸は、上述した方位角の基準となる磁気センサ45の第2軸(X軸)を0度とし、傾斜方向がその基準からどの方向に向いているかを示すものになっている。
【0103】
図8及び
図9においても、
図7と同様に、実際の傾斜方向と測定データに基づく傾斜方向(計算値)とが一致している場合、丸印で示す測定データから求めた回転量が実線で示す対角線上に並ぶことになるが、
図8及び
図9に示すように、丸印で示す測定データから求めた傾斜方向は、ほぼ実線で示す対角線上に並んでおり、求めた傾斜方向が十分に実用できるものであることがわかる。
【0104】
さらに、
図10は
図8で示した傾斜方向への操作を行ったときの測定データから求めた操作軸11の傾斜量を示すグラフであり、
図11は
図9で示した傾斜方向への操作を行ったときの測定データから求めた操作軸11の傾斜量を示すグラフである。
なお、
図10及び
図11は、横軸を実際の傾斜方向(単位deg)とし、縦軸を磁束密度の測定データから求めた傾斜量(単位deg)としている。
【0105】
なお、本実施例では、傾斜方向への最大傾斜量を5〜6[deg]程度としているので、傾斜させたか否かの判定を行う程度の状態になっているが、操作部12の操作によって、より大きく操作軸11を傾斜させることができるようにして、同じ傾斜方向で傾斜量に基づいて操作状態をレベル分けするようにしてもよい。
【0106】
つまり、傾斜方向の操作が行われているが10[deg]以下の操作である場合には、レベル1の傾斜操作であるものとして、10[deg]を超えるような傾斜である場合には、レベル2の傾斜操作であるものとするように、同じ傾斜方向に傾斜させる操作を複数段の操作として検出するようにしてもよい。
【0107】
なお、上記実施例は、取り付け角度δを15度した場合の結果について示しているが、取り付け角度δが10度の場合にも同様の結果が得られている。
【0108】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の非接触型操作検出装置1について説明する。
第1実施形態では、
図3を見るとわかるように、押圧方向、回転方向及び傾斜方向への操作が個別に行われる場合について説明したが、第2実施形態では、複数の操作が同時に行われる場合について説明する。
【0109】
なお、非接触型操作検出装置1自体の構成は、第1実施形態と同様であり、処理フローが異なるだけであるため、以下では、この異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する場合がある。
【0110】
図12は第2実施形態の操作軸11の操作状態を検出するための手順を示したフローチャートである。
図12と
図3を見比べればわかるように、第1実施形態では、押圧方向の操作が行われ、ステップ102に進むと、操作部12を操作して操作軸11が押圧される操作が行われたことを記憶部48に記憶させた後、処理が終了するようになっていたが、第2実施形態では、ステップ102の後、処理を終了させるのではなく、ステップ104に進み、第1実施形態で、ステップ103に進んだときに行われるステップ104以降のステップが実施されるようになっている。
【0111】
つまり、第2実施形態では、押圧方向への操作と同時に回転方向の操作がなされた場合、及び、押圧方向への操作と同時に傾斜方向への操作がなされた場合という複数の動作が同時に行われる場合を想定した処理フローになっている。
【0112】
このように処理フローを変更しても、ステップ104以降の内容は、第1実施形態で説明した内容のままでよく、その理由について、以下で説明する。
【0113】
操作部12を操作して押圧方向に操作軸11が操作されると、それに伴って、磁石40の磁気センサ45に対する第1軸(Z軸)方向の距離が変わることになるが、この操作によって磁束密度が回転方向に変化することはほとんどないため、ステップ104の方位角Φ
1を求める計算に影響はない。
【0114】
このことは、押圧方向に加えて回転方向の操作が行われたときだけ、方位角Φ
1が変化することを意味するため、押圧方向への操作は、ステップ106の処理においても影響はない。
【0115】
また、
図13を参照して、以下で説明するように、磁石40を磁気センサ45に対して十分な大きさのものとしておけば、ステップ104の極角θ
1を求める計算にも影響はない。
図13は、磁石40が操作前の状態から操作軸11の押圧方向への移動に伴って磁気センサ45側に移動した状態を示した図である。
なお、
図13では磁石40と磁気センサ45だけを図示し、操作前の磁石40を点線枠で示し、操作後の磁石40を実線枠で示している。
【0116】
磁石40の磁力線は、磁石40の端では、直ぐにN極から出てS極に曲がるようなRのきつい状態になっているが、中心側では、大きな円を描くように緩やかなRを描いてS極に向かう。
このため、磁石40が十分な大きさであるときには、
図13に示すように、磁束密度の方向B’は、磁石40の面に対してほぼ垂直の方向に向いているので、押圧方向への操作が行われても、ほとんど変化していないと考えることができる。
したがって、押圧方向の操作が行われても、ステップ104の極角θ
1を求める計算にはほとんど影響ない。
【0117】
また、ステップ107の計算は、導出の過程を見ればわかるとおり、取り扱うベクトルが正規化されたノルムが1のベクトルとされており、このことは方向だけを取り扱っていることを意味している。
そして、上述のように、押圧方向への操作によっては、磁束密度の方向への影響はほとんどないといえるため、ステップ107の計算においても、この押圧方向の操作は影響しない。
【0118】
以上のように、押圧方向の操作は、ステップ104以降の処理に影響を与えるものではないので、
図12に示した処理フローとしても問題はなく、押圧方向への操作と同時に回転方向の操作がなされた場合、及び、押圧方向への操作と同時に傾斜方向への操作がなされた場合という複数の動作を検出することが可能である。
【0119】
以上、具体的な実施形態を基に本発明の説明を行ってきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
図1に示した非接触型操作検出装置1の構成は、押圧方向、回転方向及び傾斜方向に操作できる構成の一例でしかなく、機械機構自体は、別の構成であってもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、3方向の操作状態を検出する場合について説明したが、回転方向及び傾斜方向の2方向を検出する非接触型操作検出装置であってもよい。
既に、理由については説明したが、従来、1つの磁石と1つの磁気センサで検出が困難であったのは、回転方向及び傾斜方向であり、この場合には複数の磁石及び複数の磁気センサを要するが、本発明に従えば、1つの磁石と1つの磁気センサで検出が可能となる。
【0121】
さらに、本発明の非接触型操作検出装置は、カーナビ等に使用されることに限定されるものではなく、同様の操作が求められるものであれば、好適に用いることができるものである。
【0122】
このように、本発明は、具体的な実施形態に限定されるものではなく、技術的思想を逸脱することのない変更や改良を行ったものも発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。