(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
雄側と雌側のチャックにおいて、チャックの包装袋への溶着部となるフランジが、嵌合側をイージーピール樹脂層で形成し、シール側をシーラント樹脂層で形成した、少なくとも2層以上の層構成から成るフランジを有するチャックを使用し、
チャックの流れ方向の左右両端をシールしてから殺菌することを特徴とする請求項1に記載の包装袋の製造方法。
過酸化水素水のミストによるチャックの殺菌工程において、チャックの流れ方向における先頭と最後尾をシールしてから殺菌することを特徴とする請求項2に記載の包装袋の製造方法。
殺菌した梱包したチャックと、殺菌した梱包した注出用口栓とフィルムをクリーンルームに持ち込み、内部で梱包を殺菌後、開封し、さらに上記チャックと注出用口栓、フィルムを各々殺菌してから包装体を製造することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の包装袋の製造方法。
【背景技術】
【0002】
現在、食品や飲料、医療医薬品などについて、口栓の付いていない包装品は、包装材料を過酸化水素水などの薬液に浸漬して殺菌している。
また、口栓付パウチで口径が大きなものでは、製袋をしながら口栓を取り付け、電子線を照射して殺菌している例がある。
その他、口栓を薬剤に浸漬して殺菌した後、同じ薬剤で浸漬殺菌したフィルムで包装袋を作りながら前記口栓を融着するなどして、殺菌された包装袋を製造する例もある。
口栓が閉塞している場合、薬剤で浸漬殺菌する方法では、閉塞している口栓の内側に薬剤を浸透させて殺菌することは難しい。たとえ口栓の閉塞した内側に薬剤を浸透させ殺菌できたとしても、その薬剤を短時間で除去することは、さらに難しい。
たとえば、殺菌に用いられる過酸化水素水は、食品容器に残留してはならないと、食品衛生法に定められている。
チャックも同様に、嵌合した状態では、薬剤を浸透させにくいし、短時間で薬剤を除去することも容易ではない。
【0003】
例えば、特許文献1では、
注出口栓の装着工程前において、注出口栓に殺菌液を吹きつけ殺菌した後、加熱したクリーンエアーを吹きつけ殺菌液を除去する注出口栓の殺菌方法を提案している。
しかしながら、この方法では、装着毎に殺菌する必要があり、煩雑で、非常に手間が掛かる。しかも、単に加熱したクリーンエアーを吹き付けただけでは、閉塞した口栓の場合、内部の殺菌液を除去することは難しい。
【0004】
また、特許文献2では、
シュートで搬送中のキャップに殺菌洗浄媒体を噴射ノズルで噴射することによりキャップを殺菌洗浄するシュート式のキャップ殺菌洗浄装置で、搬送経路を水平面に対して傾斜させた上り勾配のシュートを使用し、複数の噴射ノズルを有する殺菌洗浄媒体パイプを配置し、シュートを上り勾配シュートと垂直下がりシュートを連設して高さ方向にジグザグ状に配置したキャップの殺菌洗浄装置を提案している。
しかしながら、このように噴霧したミスト状の殺菌洗浄媒体を使用し、製品がジグザグに動き、媒体が溜まりにくい状態で殺菌洗浄したとしても、噴霧し濡らした殺菌洗浄媒体を短時間で取り除くことは難しかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、殺菌洗浄されたチャックや口栓を有する包装袋を製造するのに、殺菌用の洗浄剤を残留させないで高速で殺菌洗浄し、充填可能な包装袋の殺菌・充填方法を得ることが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1の包装袋の製造方法は、
チャックと口栓とフィルムとからなる包装袋の製袋、および充填工程における製造において、
雄側と雌側のチャックを嵌合した状態においてフィルム袋で梱包して電子線で殺菌する工程と、開封後、過酸化水素水ミストによる殺菌工程と、加熱して過酸化水素水を蒸散し、乾燥させるチャック部品準備工程と、
口栓をフィルム袋で梱包して電子線で殺菌する工程と、開封後、過酸化水素水ミストによる殺菌工程と、加熱して過酸化水素水を蒸散し、乾燥させる口栓部品準備工程と、
フィルムを過酸化水素水に浸漬して殺菌し、加熱して過酸化水素水を乾燥させるフィルム準備工程と、
を設けて各々の部材を殺菌して製造準備すると共に、
フィルムのシーラント面を合わせ、その外周囲を融着して包装体を製造するのに、
上記包装袋の対向する辺に口栓とチャックを融着し、他の一辺を融着し、
融着した他の一辺に対向した一辺を充填孔とし、
包装袋内部に充填孔から内容物を充填後、上記充填孔をシールしてなることを特徴とする包装袋の製造方法である。
【0008】
本発明の請求項1の包装袋の製造方法は、チャックと口栓を梱包した状態で電子線照射によって殺菌するので、閉塞している内部にも殺菌でき、かつ、その状態で在庫することができる。さらに、在庫したチャックと口栓を開梱し、チャックと口栓を個別に過酸化水素水ミストで殺菌し、開梱で汚染され易い外表面のみ殺菌すると共に、ミストを使用することによって、蒸散しやすい殺菌方法を採るので、高速で過酸化水素水を蒸散させることができる。また、合わせて、フィルムを個別に過酸化水素水で洗浄し、加熱蒸散させるので、生産ライン上で洗浄でき、蒸散し易いフィルム用の乾燥炉を用いることができるので、生産性が高い。
また、このような工程で殺菌・充填すると、過酸化水素水の残留を削減し、かつ、生産速度を向上させることができる。
【0009】
また、本発明の請求項2の包装袋の製造方法は、
雄側と雌側のチャックにおいて、
チャックの包装袋への溶着部となるフランジ
が、嵌合側をイージーピール樹脂層で形成し、シール側をシーラント樹脂層で形成し
た、少なくとも2層以上の
層構成から成るフランジを有するチャックを使用し、
チャックの流れ方向の左右両端をシールしてから殺菌することを特徴とする請求項1に記載の包装袋の製造方法である。
【0010】
本発明の請求項2の包装袋の製造方法は、嵌合側をイージーピール樹脂層で形成するので、殺菌した状態で嵌合側を融着して、嵌合部分を触らないようにすることができるので、作業上、菌による汚染が発生しにくくすることができる。
【0011】
本発明の請求項3の包装袋の製造方法は、
過酸化水素水のミストによるチャックの殺菌工程において、チャックの流れ方向における先頭と最後尾をシールしてから殺菌することを特徴とする請求項3に記載の包装袋の製造方法である。
【0012】
本発明の請求項3の包装袋の製造方法は、事前に雄側と雌側とを嵌合したチャックの流れ方向における左右と共に先頭と最後尾をシールして、完全に嵌合部を外気から遮断するので、作業上、菌による汚染をより高いレベルで防ぐことができる。
【0013】
また、本発明の請求項4の包装袋の製造方法は、
チャックと注出用口栓とフィルムからなる包装袋の製袋、および充填工程における殺菌方法において、
雄側と雌側のチャックを別々に分けた状態においてフィルム袋で梱包して電子線で殺菌する工程と、開封後、過酸化水素水ミストによる殺菌工程と、加熱して過酸化水素を蒸散させる工程と、雄側と雌側のチャックを嵌合するチャック部品準備工程と、
注出用口栓をフィルム袋で梱包して電子線で殺菌する工程と、開封後、過酸化水素水ミストによる殺菌工程と、加熱して過酸化水素を蒸散させる注出用口栓部品準備工程と、
フィルムを過酸化水素水に浸漬して殺菌し、加熱して過酸化水素水を乾燥させるフィルム準備工程と、
を設けて各々の部材を殺菌して製造準備すると共に、
フィルムのシーラント面を合わせ、その外周囲を融着して包装体を製造するのに、
上記包装袋の対向する辺に注出用口栓とチャックを融着し、他の一辺を融着し、
融着した他の一辺に対向した一辺を充填孔とし、
包装袋内部に充填孔から内容物を充填後、上記充填孔をシールしてなることを特徴とする包装袋の製造方法である。
【0014】
本発明の請求項4の包装袋の製造方法は、チャックを雄側と雌側で分けて殺菌し、包装袋に組み込む直前に嵌合する。その為、チャックの嵌合部分を確実に殺菌可能にすると共に、雄・雌の嵌合部に過酸化水素水の残留もない。
【0015】
本発明の請求項5の包装袋の製造方法は、
殺菌した梱包したチャックと、殺菌した梱包した注出用口栓とフィルムをクリーンルームに持ち込み、内部で梱包を殺菌後、開封し、さらに上記チャックと注出用口栓、フィルムを各々殺菌してから包装体を製造することを特徴とする請求項1〜4
のいずれかに記載の包装袋の製造方法である。
【0016】
本発明の請求項5の包装袋の製造方法は、事前に殺菌して梱包したチャックや口栓とフィルムをクリーンルーム内に持ち込み、クリーンルーム内部で梱包を殺菌後、開梱し、さらに、使用する部品を過酸化水素水で殺菌するので、部材が確実に殺菌され、菌が付着しない状態で包装体を製造可能にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の包装袋の製造方法は、チャックと注出用口栓を梱包した状態で電子線照射によって殺菌するので、閉塞している内部にも殺菌でき、かつ、その状態で在庫することができる。さらに、在庫したチャックと注出用口栓を開梱し、チャックと注出用口栓を個別に過酸化水素水ミストで汚染され易い外表面のみ殺菌するので、高速で過酸化水素水を蒸散させることができる。また、合わせて、フィルムを生産ライン上で洗浄でき、蒸散し易いフィルム用の乾燥炉を用いることができるので、過酸化水素水の残留を削減し、かつ、生産速度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の包装袋の製造方法について、図を用いて詳細に説明する。
図1−1は、本発明で製造される包装袋1に用いる注出用口栓2とキャップ3の斜視図である。
この注出用口栓2は、フィルム製容器の一端に融着して用いられる注出用口栓2で、上方に注出口が形成されていて、その下方にフィルムと融着しやすいように左右が尖り、中央が丸く膨らんだ断面が舟形形状の舟形融着部22を有し、射出成形によって製造される。舟形融着部22の融着部には、フィルム端部に平行な融着部221と平行な肉盗み部222が形成され、融着部のヒケを防いで、確実に融着できるようになっている。
また、上面の注出口にはキャップ3が嵌合されている。
【0020】
図1−2は、本発明で製造される包装袋の一例で、注出用口栓2と、雄と雌の嵌合によって閉鎖・開封可能とするチャック4、および包装袋の本体フィルム部を形成するフィルム部5と、からなる。
注出用口栓2の断面が舟形形状をした舟形融着部22は、フィルム容器本体5の表フィルム51と裏フィルム52との間に挟まれて融着されている。この為、注出用口栓2の注出孔は表フィルム51と裏フィルム52との間に隙間を設けて、融着されている。
包装袋の下方には、チャック4が融着されていて、その先にフィルムの折り曲げ部53が設けられている。チャックの左右端部はフィルム部5の周囲と一致し、フィルムのシールに合わせて押し潰されて、フィルムや雄雌のチャック間で融着されている。
【0021】
図2は、注出用口栓のキャップを外した状態の平面図(
図2−1)と、正面図(
図2−2)、および右側面図(
図2−3)である。
注出用口栓2のフランジ23には、中央に注出口21がある。注出口21は先端に破断閉鎖部210が設けられ、かつ、先端に向ってテーパーが設けられて細くなっており、注出口外側はチューブが挿入されやすくなっていると共に、チューブが抜けにくくなるように、嵌め込み段差構造211が設けられている。
上記舟形融着部22と注出口21を通して、内部に注出孔20が走って、容器の内外を貫通するように設けられている。
舟形融着部22の外表面には、横にヒケ防止凹部(肉盗み)222を走らせ、表面が成形によってヒケて融着力が低下しないようになっている。また、左右端部には、薄肉で、尖るような融着リブ223を設け、表裏のフィルムが重なり合い始める境界で、隙間が発生しないように設計している。
【0022】
図3−1は、チャック4の断面図である。チャック4は、巻き取りの状態で製造、保管されている。
本発明のチャック4は、雄側チャック41と雌側チャック42があるが、嵌合する雄状、あるいは雌状のチャック形状を有する嵌合側にはシールしてもシール強度が出ないイージーピール樹脂層411、421で形成されておく。
そして、容器用のフィルムに融着する融着側には、通常のシーラント樹脂層412、422で形成する。
チャックの殺菌方法では、第一殺菌方法と第二殺菌方法がある。
ここでは、第一殺菌方法を採用し、雄側チャック41を雌側チャック42に予め挿嵌し、嵌合状態とさせ、その状態で、フィルム袋で梱包し、梱包した状態で電子線照射し、殺菌する。
【0023】
チャックの素材としては、シーラント樹脂層には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度
ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂などが使用できる。
また、嵌合側のイージーピール樹脂層としては、ポリエチレンにポリプロピレンをブレンドした樹脂系や、スチレン等に代表される重合性ビニルモノマーで化学的に改質したポリオレフィン系ポリマーアロイで、ビニルポリマーがポリオレフィン中に分散させた樹脂系、などの界面剥離タイプのイージーピール樹脂が好ましい。また、エチレン・酢酸ビニル共重合体にロジン、テルペン樹脂などの粘着付与剤や、ワックスなどを添加したようなホットメルトタイプのイージーピール樹脂も使用できる。
【0024】
図3−2は、殺菌方法1において、雄側チャック41を雌側チャック42に予め挿嵌し、その嵌合側のイージーピール樹脂層411、421の両端同士を融着した状態を示した。
チャックの嵌合部分を避けて、その幅方向の両端を融着する。
この状態で殺菌すると、嵌合部分がシーラント層に覆われているので、殺菌した状態で嵌合部分を外気にさらさないようにすることができるので、作業上、菌による汚染が発生しにくくすることができる。
さらに、チャック4をイージーピール樹脂層411、421の幅方向の両端を融着し、かつ、その流れ方向における先頭と最後尾を融着する。
先頭と最後尾の融着部は、嵌合した雄側チャックと雌側チャックが嵌合状態で、平らに押し潰された状態で、融着する。
イージーピール樹脂同士で嵌合する面を製造することによって、乾燥時に万が一融着するような温度が掛かっても、完全に融着して、雄側チャックと雌側チャックが離れなくならないようにすることができる。
また、両端を融着することによって、嵌合しているチャックの嵌合部は完全に外気に触れないようになるので、この状態で電子線照射すると、嵌合部は完全に殺菌された状態で保つことができる。
さらに、過酸化水素水が嵌合部に入らないので、乾燥温度を高くしたり、乾燥時間を多く取らなくても、過酸化水素水ミストを蒸散させることが出来るので、製造速度を上げることができる。
特に、チャックは流れ方向に、巻き取りの状態に保管可能なので、取り扱いやすい。
【0025】
図4は、本発明の第一実施形態で製造されるチャックの殺菌工程を示す図である。
チャック4は押出し成形で製造され、巻き取りになっている。このチャック4は、
図3−2で示したように、雄側チャック41を雌側チャック42に予め挿嵌し、その嵌合側のイージーピール樹脂層411,421の両端同士を融着した状態になっており、この状態で巻き取りの状態にしておく。
さらに、
図4−1のように、巻取りの状態のチャック4を、チャック用フィルム袋43で密封し、チャック用フィルム袋全体に電子線70を照射して、チャックの巻き取り全体を殺菌する。チャックは、このチャック用フィルム袋43に入った状態で倉庫等に保管することができる。
図4−2は、チャック用フィルム袋43に入った状態で殺菌されたチャック4を、倉庫等から取り出し、クリーンルーム等に入れる時の殺菌工程である。
チャック用フィルム袋に入った状態で、過酸化水素水71に浸漬し、外装の殺菌を行なう。
図4−3は、殺菌されたチャック用フィルム袋からチャックを取り出す工程である。クリーンルーム内で取り出すので、嵌合部などは外気にさらされていない。
図4−4は、チャック73の雄側と雌側を嵌合した巻取りの状態で、過酸化水素水のミスト72を吹き掛ける。過酸化水素水を霧にした部屋に通しても良い。このミスト72によって、チャック4のシーラント層や融着端面が殺菌される。
図4−5は、乾燥空気を吹き掛け、チャックの外側に付着した過酸化水素水のミスト72
を加熱蒸散させる工程である。過酸化水素水のミストを加熱蒸散することで殺菌することができる。乾燥空気73もフィルターを通し、ウイルスなどの菌を捕捉したきれいな空気を吹き掛ける必要があることはもちろんである。
図4−6は、殺菌が終了し、生産準備ができたチャックの状態である。
【0026】
図5は、本発明の第一実施形態で製造される注出用口栓2の殺菌工程を示す図である。
図5−1は、射出成形した注出用口栓を複数個用意し、口栓用フィルム袋24に密封し、フィルム袋全体に電子線70を照射して、複数個の注出用口栓を一度に殺菌する。注出用口栓2は、この口栓用フィルム袋24に入った状態で倉庫等に保管することができる。
図5−2は、口栓用フィルム袋24に入った状態で殺菌された注出用口栓2を、倉庫等から取り出し、クリーンルーム等に入れる時の殺菌工程である。
口栓用フィルム袋24に入った状態で、過酸化水素水71に浸漬し、外装の殺菌を行なう。
図5−3は、殺菌された口栓用フィルム袋24から注出用口栓2を取り出す工程である。クリーンルーム内で取り出すので、注出用口栓内部の奥はほとんど外気にさらされていない。
図5−4は、注出用口栓2を包装機のパーツフィーダー25に乗せる。この時、重なり合うこともなく、個々の口栓が整列した状態に保たれる。
図5−5は、パーツフィーダー25に乗せられた注出用口栓が、過酸化水素水のミスト72で満たされた殺菌室に通される。この過酸化水素水のミストによって、注出用口栓2の外面や融着面近傍が殺菌される。
図5−6は、乾燥空気73を吹き掛け、注出用口栓2に付着した過酸化水素水のミスト72を加熱蒸散させる工程である。乾燥空気73はフィルターを通し、ウイルスなどの菌を捕捉したきれいな空気を使用する。
これで殺菌が終了し、注出用口栓の生産準備ができた。
キャップも注出用口栓と同じように、殺菌工程を行なう。
【0027】
図6は、本発明の第一実施形態で製造される積層フィルム50の殺菌工程を示す図である。(第二実施形態でも積層フィルム50の殺菌工程は同じ様に殺菌する。)
積層フィルム50は、エクストルーダーラミネート機やドライラミネーション機などで製造されるが、端部をスリットするなどして、製造される包装袋の幅、あるいは、製造する包装袋の2倍の幅の巻きが準備される。
この積層フィルム50の巻きは、
図6−1のように、端部に置かれ、巻きから積層フィルムを引き出し、過酸化水素水71を入れた槽の中に通される。
次に、
図6−2で示すように、槽から出てきた積層フィルム50は、乾燥炉を通って、過酸化水素水71の乾燥工程を経て、殺菌が完了し、生産準備ができる。
なお、この工程は通常のコーターで殺菌することができる。
【0028】
図7は、本発明の第一実施形態で製造される包装袋1の製造工程を示す図である。
殺菌された積層フィルムは、図の上側から幅の中央を折った状態で供給されている。
折り曲げ部53の内側には、殺菌された雄側チャックと雌側チャックが嵌合状態で供給される。
そして、表フィルム51に雌側チャック、裏フィルム52に雄側チャックが融着される。もちろん、雄側チャックと雌側チャックの向きを換えて表フィルム51に雄側チャック、裏フィルム52に雌側チャックを融着させてもかまわない。
また、同時に折り曲げ部53を一定幅でシールしてもかまわない。
次に、折り曲げ部53から一番離れた反対側端部には、殺菌された注出用口栓2が用意され、表フィルム51と裏フィルム52との間に挟んで融着される。
さらに、注出用口栓2と注出用口栓2との間に側面シールが施され、右側面シール部が形成される。
その状態で、積層フィルムに融着されたチャック4と注出用口栓2との間に充填ノズル6が差し込まれ、充填ノズル6から内容物が充填される。
積層フィルム全体が下方に移動し、充填された包装袋の口栓と新たに融着された次の注出用口栓2との間に側面シールが施される。
側面シール部分は刃が左右方向に入れられ、左側面シール部560と右側面シール部550の上下に包装体を分け、包装袋が分離される。
以上が本発明の包装袋の第一実施形態である。
【0029】
次に、第二実施形態例におけるチャック4の殺菌方法について説明する。
第二実施形態では、チャック4は
図8−1のように、雄側チャック41と雌側チャック42を予め離した非嵌合状態とし、雄側、雌側それぞれ別々にした状態で巻き取った状態で準備される。
殺菌後は、
図8−2に示すように雄側チャック41と雌側チャック42を嵌合してから製造ラインに投入する。
【0030】
図9は、本発明の第二実施形態で製造されるチャックの殺菌工程を示す図である。
チャックは押出し成形で製造され、巻き取りになっている。このチャックは、
図8−1で示したように、雄側チャック41と雌側チャック42は分離し、別々の巻き取り状態にしておく。
さらに、
図9−1のように、巻取りの状態のチャックを、チャック用フィルム袋43で密封し、チャック用フィルム袋43全体に電子線70を照射して、チャック4の巻き取り全体を殺菌する。チャック4は、このチャック用フィルム袋43に入った状態で倉庫等に保管することができる。
図9−2は、チャック用フィルム袋43に入った状態で殺菌されたチャック4を、倉庫等から取り出し、クリーンルーム等に入れる時の殺菌工程である。
チャック用フィルム袋43に入った状態で、過酸化水素水71に浸漬し、外装の殺菌を行なう。
図9−3は、殺菌されたチャック用フィルム袋43からチャック4を取り出す工程である。クリーンルーム内で取り出される。
図9−4は、チャックの雄側チャック41や雌側チャック42が別々の巻取り状態で、過酸化水素水のミスト72を吹き掛ける。過酸化水素水を霧にした部屋に通しても良い。このミストによって、チャック4の嵌合部を含め、全表面が確実に殺菌される。
図9−5は、乾燥空気を吹き掛け、チャックの全表面に付着した過酸化水素水を加熱蒸散させる工程である。嵌合部も嵌合していないので、確実に過酸化水素水を蒸散させることができる。乾燥空気もフィルターを通し、ウイルスなどの菌を捕捉したきれいな空気を吹き掛ける必要があることはもちろんである。
図9−6は、殺菌が終了し、雄側チャックと雌側チャックを嵌合し、生産準備ができたチャックの状態である。チャックは嵌合部も開放された状態で殺菌と蒸散を行なっているので、安心して次工程に投入できる。
【0031】
図10は、本発明の第二実施形態で製造される包装袋の製造工程を示す図である。
殺菌された積層フィルムは、図の上側から表フィルム51と裏フィルム52のシーラント側同士が向き合わされた状態で供給されている。
そして、図の左側はそのままシールされ、上面シール部530となる。上面シール部530の内側には、殺菌された雄側チャックと雌側チャックが嵌合状態で供給される。第一実施形態との違いは、雄側チャックと雌側チャックの端部が融着されていない状態で製造ラインに供給される点と、表フィルム51と裏フィルム52が一体でない点である。
次に、上面シール部530から一番離れた図の右側である下端シール部540側には、殺菌された注出用口栓2が用意され、表フィルム51と裏フィルム52との間に挟んで注出用口栓が融着される。
同時に、表フィルム51に雌側チャック42、裏フィルム52に雄側チャック41が融着される。もちろん、雄側チャックと雌側チャックの向きを換えて表フィルム51に雄側チャック、裏フィルム52に雌側チャックを融着させてもかまわない。
さらに、注出用口栓と注出用口栓との間に側面シールが施され、右側面シール部550が形成される。
その状態で、積層フィルムに融着されたチャック4と注出用口栓2との間に充填ノズル6が差し込まれ、充填ノズル6から内容物が充填される。
積層フィルム全体が下方に移動し、充填された包装袋の注出用口栓2と新たに融着された次の注出用口栓2との間に側面シールが施される。
側面シール部分は刃が左右方向に入れられ、左側面シール部560と右側面シール部550となり、上下に包装体1を分け、包装袋が分離される。
以上が本発明の包装袋の第二実施形態である。
【0032】
本発明の包装袋の製造方法は以上のようなものであるが、包装袋の表フィルムや裏フィルムに使用する積層フィルムは、最内層にシーラントとして、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂などが使用でき、内容物の保存性や強度が確保できれば、どのような構成でも問題はない。
例えば、外側から、
ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、
ポリアミド/ポリエチレン/無機酸化物蒸着ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、
ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/エチレン酢酸ビニル共重合体鹸化物/ポリエチレン、
エチレン酢酸ビニル共重合体鹸化物/ポリアミド/接着樹脂/ポリエチレン、
ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/接着樹脂/ポリアミド/接着樹脂/ポリエチレン、
ポリエチレンテレフタレート/ポリアミド/接着樹脂/ポリエチレン/アルミ箔/ポリエチレン、
などの一般的な構成が考えられる。
これらのフィルムは、通常のドライラミネーション機、エクストルーダーラミネート機などを使用して貼り合わせたり、多層インフレーション機などで製造することができる。
【0033】
本発明に使用する注出用口栓は、フィルム製容器本体に融着可能で、内容物との相性も良く、長期保存に適した素材で製造されることが好ましい。
例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・ポリプロピレン共重合体、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、又は、それらの混合物などが考えられる。
また、製造には、射出成形機や圧縮成形機などを用いて、これらの樹脂を金型に射出して製造することができる。
【0034】
キャップは、注出用口栓とは、異樹脂であることが望ましく、射出成形で製造できる。主に、口栓の先端が輸送や取り扱い中に破損して、予期しない時に開封してしまうのを防いだり、汚れてしまうことを防ぐ目的で、使用される。
素材としては、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・ポリプロピレン共重合体、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、アクリロニトリル、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、などが考えられる。
【0035】
本発明の包装袋の製造方法は、以上のようなものであるが、専用に使用しづらい電子線
照射装置を効率的に使用し、包装された状態で殺菌した口栓やチャックを在庫できる。
特に、使用する部材の殺菌がなされた状態で個別に供給可能であるので、包装袋への充填時に、逐一過酸化水素水を使用してクリーンルーム内部で、各部品の梱包を開封し、効率よく殺菌して包装体を製造しながら、内容物を充填・包装することができる。
この製造方法は、殺菌した薬剤の残留もなく、クリーンルームへ持ち込む部材からのダメージもなく、高度な殺菌包装システムを構築できるので、信頼性が高く、かつ、経済的にもメリットが非常に大きい。