【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するための本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1] 製品の製造工程において、状態予測モデルにより製品の状態の予測値を算出する製品の状態予測装置であって、
予測対象製品の状態の予測値を算出する際に、製造条件を含む実績データを蓄積したデータベースから、前記予測対象製品の製造条件と前記実績データの製造条件との類似度を表す距離関数に基づいて、前記予測対象製品の製造条件と類似する製造条件を持つ前記実績データを近傍教師データとして抽出する抽出手段と、
前記予測対象製品のある製造条件が、前記抽出手段で抽出したいずれかの近傍教師データの当該製造条件の範囲外にあるとき、前記抽出手段で抽出した近傍教師データ及び前記予測対象製品の当該製造条件のうち少なくともいずれか一方を修正する修正手段と、
前記抽出手段で抽出した近傍教師データ或いは前記修正手段で修正した場合はその修正した近傍教師データを用いて、前記状態予測モデルにより算出する前記予測対象製品の状態の予測値の誤差を求める回帰モデルを生成し、当該回帰モデル、及び前記予測対象製品の製造条件或いは前記修正手段で修正した場合はその修正した製造条件により当該誤差を計算する計算手段と、
前記計算手段で求めた前記予測対象製品の状態の予測値の誤差に基づいて、前記状態予測モデルにより算出する前記予測対象製品の状態の予測値を補正する補正手段とを備え、
前記修正手段は、前記予測対象製品のある製造条件が、前記抽出手段で抽出したいずれかの近傍教師データの当該製造条件の範囲外にあるとき、前記抽出手段で抽出した近傍教師データから当該製造条件に係るすべての近傍教師データを除外することを特徴とする製品の状態予測装置。
[2] 製品の製造工程において、状態予測モデルにより製品の状態の予測値を算出する製品の状態予測装置であって、
予測対象製品の状態の予測値を算出する際に、製造条件を含む実績データを蓄積したデータベースから、前記予測対象製品の製造条件と前記実績データの製造条件との類似度を表す距離関数に基づいて、前記予測対象製品の製造条件と類似する製造条件を持つ前記実績データを近傍教師データとして抽出する抽出手段と、
前記予測対象製品のある製造条件が、前記抽出手段で抽出したいずれかの近傍教師データの当該製造条件の範囲外にあるとき、前記抽出手段で抽出した近傍教師データ及び前記予測対象製品の当該製造条件のうち少なくともいずれか一方を修正する修正手段と、
前記抽出手段で抽出した近傍教師データ或いは前記修正手段で修正した場合はその修正した近傍教師データを用いて、前記状態予測モデルにより算出する前記予測対象製品の状態の予測値の誤差を求める回帰モデルを生成し、当該回帰モデル、及び前記予測対象製品の製造条件或いは前記修正手段で修正した場合はその修正した製造条件により当該誤差を計算する計算手段と、
前記計算手段で求めた前記予測対象製品の状態の予測値の誤差に基づいて、前記状態予測モデルにより算出する前記予測対象製品の状態の予測値を補正する補正手段とを備え、
前記修正手段は、前記予測対象製品のある製造条件が、前記抽出手段で抽出したいずれかの近傍教師データに含まれる当該製造条件の最大値よりも大きいとき、前記予測対象製品の当該製造条件を前記最大値に置き換え、また、前記抽出手段で抽出したいずれかの近傍教師データに含まれる当該製造条件の最小値よりも小さいとき、前記予測対象製品の当該製造条件を前記最小値に置き換えることを特徴とする製品の状態予測装置。
[3] 前記データベースは、実績データとして、製品の状態実績値と前記状態予測モデルを用いて算出した製品の状態の予測値との差を製造条件と紐付けて蓄積し、
前記抽出手段は、前記予測対象製品の製造条件と類似する製造条件を持つ実績データを、前記距離関数に基づいて近傍教師データとして抽出することを特徴とする[1]又は[2]に記載の製品の状態予測装置。
[4] 前記製品は鋼板、前記製造工程は冷却工程、前記製品の状態は鋼板の冷却停止温度、前記状態予測モデルは温度予測モデルであることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の製品の状態予測装置。
[5] [1]乃至[4]のいずれか一つに記載の製品の状態予測装置と、
前記補正手段で補正した前記予測対象製品の状態の予測値が、予め前記予測対象製品毎に定められた目標値と一致するように、前記製造工程に用いられる製造設備の操作量を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする製品の状態制御装置。
[6] 前記製品は鋼板、前記製造工程は冷却工程、前記製品の状態は鋼板の冷却停止温度、前記状態予測モデルは温度予測モデル、前記操作量は冷却水量及び鋼板の搬送速度のうち少なくともいずれかであることを特徴とする[5]に記載の製品の状態制御装置。
[7] 製品の製造工程において、状態予測モデルを用いて製品の状態の予測値を算出する製品の状態予測方法であって、
予測対象製品の状態の予測値を算出する際に、製造条件を含む実績データを蓄積したデータベースから、前記予測対象製品の製造条件と前記実績データの製造条件との類似度を表す距離関数に基づいて、前記予測対象製品の製造条件と類似する製造条件を持つ前記実績データを近傍教師データとして抽出する抽出ステップと、
前記予測対象製品のある製造条件が、前記抽出ステップで抽出したいずれかの近傍教師データの当該製造条件の範囲外にあるとき、前記抽出ステップで抽出した近傍教師データ及び前記予測対象製品の当該製造条件のうち少なくともいずれか一方を修正する修正ステップと、
前記抽出ステップで抽出した近傍教師データ或いは前記修正ステップで修正した場合はその修正した近傍教師データを用いて、前記状態予測モデルにより算出する前記予測対象製品の状態の予測値の誤差を求める回帰モデルを生成し、当該回帰モデル、及び前記予測対象製品の製造条件或いは前記修正ステップで修正した場合はその修正した製造条件により当該誤差を計算する
計算ステップと、
前記計算ステップで求めた前記予測対象製品の状態の予測値の誤差に基づいて、前記状態予測モデルにより算出する前記予測対象製品の状態の予測値を補正する補正ステップとを有し、
前記修正ステップでは、前記予測対象製品のある製造条件が、前記抽出ステップで抽出したいずれかの近傍教師データの当該製造条件の範囲外にあるとき、前記抽出ステップで抽出した近傍教師データから当該製造条件に係るすべての近傍教師データを除外することを特徴とする製品の状態予測方法。
[8] 製品の製造工程において、状態予測モデルを用いて製品の状態の予測値を算出する製品の状態予測方法であって、
予測対象製品の状態の予測値を算出する際に、製造条件を含む実績データを蓄積したデータベースから、前記予測対象製品の製造条件と前記実績データの製造条件との類似度を表す距離関数に基づいて、前記予測対象製品の製造条件と類似する製造条件を持つ前記実績データを近傍教師データとして抽出する抽出ステップと、
前記予測対象製品のある製造条件が、前記抽出ステップで抽出したいずれかの近傍教師データの当該製造条件の範囲外にあるとき、前記抽出ステップで抽出した近傍教師データ及び前記予測対象製品の当該製造条件のうち少なくともいずれか一方を修正する修正ステップと、
前記抽出ステップで抽出した近傍教師データ或いは前記修正ステップで修正した場合はその修正した近傍教師データを用いて、前記状態予測モデルにより算出する前記予測対象製品の状態の予測値の誤差を求める回帰モデルを生成し、当該回帰モデル、及び前記予測対象製品の製造条件或いは前記修正ステップで修正した場合はその修正した製造条件により当該誤差を計算する
計算ステップと、
前記計算ステップで求めた前記予測対象製品の状態の予測値の誤差に基づいて、前記状態予測モデルにより算出する前記予測対象製品の状態の予測値を補正する補正ステップとを有し、
前記修正ステップでは、前記予測対象製品のある製造条件が、前記抽出ステップで抽出したいずれかの近傍教師データに含まれる当該製造条件の最大値よりも大きいとき、前記予測対象製品の当該製造条件を前記最大値に置き換え、また、前記抽出ステップで抽出したいずれかの近傍教師データに含まれる当該製造条件の最小値よりも小さいとき、前記予測対象製品の当該製造条件を前記最小値に置き換えることを特徴とする製品の状態予測方法。
[9] 製品の製造工程において、状態予測モデルを用いて製品の状態の予測値を算出するためのプログラムであって、
予測対象製品の状態の予測値を算出する際に、製造条件を含む実績データを蓄積したデータベースから、前記予測対象製品の製造条件と前記実績データの製造条件との類似度を表す距離関数に基づいて、前記予測対象製品の製造条件と類似する製造条件を持つ前記実績データを近傍教師データとして抽出する抽出手段と、
前記予測対象製品のある製造条件が、前記抽出手段で抽出したいずれかの近傍教師データの当該製造条件の範囲外にあるとき、前記抽出手段で抽出した近傍教師データ及び前記予測対象製品の当該製造条件のうち少なくともいずれか一方を修正する修正手段と、
前記抽出手段で抽出した近傍教師データ或いは前記修正手段で修正した場合はその修正した近傍教師データを用いて、前記状態予測モデルにより算出する前記予測対象製品の状態の予測値の誤差を求める回帰モデルを生成し、当該回帰モデル、及び前記予測対象製品の製造条件或いは前記修正手段で修正した場合はその修正した製造条件により当該誤差を計算する計算手段と、
前記計算手段で求めた前記予測対象製品の状態の予測値の誤差に基づいて、前記状態予測モデルにより算出する前記予測対象製品の状態の予測値を補正する補正手段としてコンピュータを機能させ、
前記修正手段は、前記予測対象製品のある製造条件が、前記抽出手段で抽出したいずれかの近傍教師データの当該製造条件の範囲外にあるとき、前記抽出手段で抽出した近傍教師データから当該製造条件に係るすべての近傍教師データを除外することを特徴とするプログラム。
[10] 製品の製造工程において、状態予測モデルを用いて製品の状態の予測値を算出するためのプログラムであって、
予測対象製品の状態の予測値を算出する際に、製造条件を含む実績データを蓄積したデータベースから、前記予測対象製品の製造条件と前記実績データの製造条件との類似度を表す距離関数に基づいて、前記予測対象製品の製造条件と類似する製造条件を持つ前記実績データを近傍教師データとして抽出する抽出手段と、
前記予測対象製品のある製造条件が、前記抽出手段で抽出したいずれかの近傍教師データの当該製造条件の範囲外にあるとき、前記抽出手段で抽出した近傍教師データ及び前記予測対象製品の当該製造条件のうち少なくともいずれか一方を修正する修正手段と、
前記抽出手段で抽出した近傍教師データ或いは前記修正手段で修正した場合はその修正した近傍教師データを用いて、前記状態予測モデルにより算出する前記予測対象製品の状態の予測値の誤差を求める回帰モデルを生成し、当該回帰モデル、及び前記予測対象製品の製造条件或いは前記修正手段で修正した場合はその修正した製造条件により当該誤差を計算する計算手段と、
前記計算手段で求めた前記予測対象製品の状態の予測値の誤差に基づいて、前記状態予測モデルにより算出する前記予測対象製品の状態の予測値を補正する補正手段としてコンピュータを機能させ、
前記修正手段は、前記予測対象製品のある製造条件が、前記抽出手段で抽出したいずれかの近傍教師データに含まれる当該製造条件の最大値よりも大きいとき、前記予測対象製品の当該製造条件を前記最大値に置き換え、また、前記抽出手段で抽出したいずれかの近傍教師データに含まれる当該製造条件の最小値よりも小さいとき、前記予測対象製品の当該製造条件を前記最小値に置き換えることを特徴とするプログラム。