(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
以下、
図1から
図4を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の電子点字表示システムのブロック構成図と、電子点字表示装置100の操作部の平面模式図を表すものである。
【0021】
(電子点字表示システム)
第1の実施形態の電子点字表示システムは、
図1のように、電子点字表示装置100と健常者用電子書籍データ装置50で構成する。
【0022】
電子点字表示装置100は、
図1のように、点字基板1に設置した6つの点字ピン21で1文字の点字情報を表示する点字表示部5を指タッチ用窓5a内に露出させ、市販の電子書籍端末やパソコン等の健常者用電子書籍データ装置50に接続するための通信インターフェース9を備える。そして、電子点字表示装置100が、健常者用電子書籍データ装置50から電子書籍データ50aを取得して点字表示部5に点字情報を表示する電子点字表示システムを構成する。
【0023】
電子点字表示装置100は、点字ピン21を点字基板1に対しておよそ垂直方向に駆動する点字ピン駆動部であるアクチュエータ22を有する点字基板1を備え、この点字基板1の表面に点字ピン21を突出させ、その点字ピン21に利用者が指を接触させることにより点字を読み取る。
【0024】
電子点字表示装置100の通信インターフェース9は、電子書籍データ装置50に必ず
しも有線で接続される必要はなく、例えば、Wi−Fi(登録商標)や、Bluetooth(登録商標)等の無線通信手段により電子書籍データ装置50に接続しても良い。電子点字書籍システムをこの様に電子書籍データ装置50と電子点字表示装置100に分けて構成することにより、電子点字表示装置100のサイズを小さくすることができる。
【0025】
(点字基板1)
電子点字表示装置100の点字基板1は、
図2の部分断面模式図のように、表層にタッチセンサ配線フィルム基板で構成する接触位置検知部10を有し、その接触位置検知部10に対向させて、下層のアクチュエータ配線フィルム基板20を有する。そして、接触位置検知部10とアクチュエータ配線フィルム基板20との間に、アクチュエータ(点字ピン駆動部)22と点字ピン21とスペーサー26とを備える。
【0026】
接触位置検知部10のタッチセンサ配線フィルム基板には点字ピン用貫通孔11を形成し、その点字ピン用貫通孔11内に点字ピン21を挿入し、その点字ピン21の下端をアクチュエータ22の一端に固定する。アクチュエータ22の他端はアクチュエータ駆動配線23に固定し、アクチュエータ22の電極端子はアクチュエータ駆動配線23に接続する。アクチュエータ駆動配線23はアクチュエータ配線フィルム基板20に接続する。アクチュエータ22の点字ピン21が固定されていない端は、接触位置検知部10のタッチセンサ配線フィルム基板のフィルム基板10aの下面に固定部材25を介して固定しても良い。
【0027】
(アクチュエータ(点字ピン駆動部)22)
アクチュエータ(点字ピン駆動部)22としては、点字ピン21を上下させる電磁アクチュエータ、積層型圧電アクチュエータや、点字ピン21を片端に設置したフィルムを反らせるバイモルフ型圧電アクチュエータ等の様々なアクチュエータを用いることができるが、電磁アクチュエータは装置が大型になりやすく、積層型圧電アクチュエータは電圧印加時の変位量が小さいため、小型化および薄型化が可能で、大きな変位量を得られるバイモルフ型圧電アクチュエータを用いるのが望ましい。
【0028】
上記以外の他の、点字ピン21を片端に設置したフィルムを反らせる方式のフィルム型アクチュエータを用いることもできる。例えば、イオン伝導アクチュエータや導電性高分子アクチュエータなどのフィルム型アクチュエータを用いることにより、軽量で、駆動に大きな電圧を必要としない構造にすることができるので、さらに望ましい。
【0029】
(アクチュエータ制御手段24)
アクチュエータ配線フィルム基板20には、アクチュエータ22の電極端子を接続するアクチュエータ駆動配線23が複数配線され、各々のアクチュエータ駆動配線23はアクチュエータ制御手段24に接続される。アクチュエータ制御手段24は、表示制御手段40に制御されて、個々のアクチュエータ22を駆動する。
【0030】
すなわち、アクチュエータ制御手段24が、アクチュエータ配線フィルム基板20に配線されたアクチュエータ駆動配線23を介してアクチュエータ22に駆動電圧を加えると、アクチュエータ22が反って点字ピン21を上側に押し上げる。アクチュエータ22の駆動電圧が取り除かれると、アクチュエータ22の反りはなくなり、点字ピン21は下側に戻される。
【0031】
アクチュエータ22によって、点字ピン21が点字ピン用貫通孔11内で上に移動すると、点字ピン21は接触位置検知部10の表面から突出する。そして、突出した複数の点字ピン21の群と、貫通孔11の群によって点字を表示する点字表示部5を形成する。
【0032】
利用者が指を接触位置検知部10の表面の点字表示部5に接触させて、点字ピン21が点字表示部5に形成する点字を読み取る。
【0033】
(接触位置検知部10)
本実施形態の接触位置検知部10は、樹脂基板等のフィルム基板10aの裏面にタッチセンサ用駆動電極パターン12が形成され、フィルム基板10aの表面にタッチセンサ用検出電極パターン13が形成され、その上層に利用者が指を接触させる面の表面保護層14が形成されている。
【0034】
(静電容量型のタッチセンサ部)
図3のように、接触位置検知部10のタッチセンサ配線フィルム基板は、樹脂基板等のフィルム基板10aに形成したタッチセンサ用駆動電極パターン12とタッチセンサ用検出電極パターン13を互いにパターンが直交するように対向配置させることで、電極の交差点に
図2のように形成された容量素子Cを利用する静電容量型のタッチセンサ部を構成する。
【0035】
容量素子Cの一端に接続されるタッチセンサ用駆動電極パターン12の一端が送信回路32の交流信号源に接続され、容量素子Cの他端に接続されるタッチセンサ用検出電極パターン13を受信回路33の電圧検出器に接続する。そして、その容量素子Cの静電容量変化を測定することで指のタッチの有無を検出する。
【0036】
接触位置検知部10は上記の構成以外にも、フィルム基板10aの片面にタッチセンサ用駆動電極パターン12とタッチセンサ用検出電極パターン13を直交させて配し、タッチセンサ用駆動電極パターン12にタッチセンサ用検出電極パターン13が交差する部分に絶縁膜を形成することで、フィルム基板10aの片面のみに静電容量型のタッチセンサ部を配置した構成とすることもできる。
【0037】
(タッチセンサ制御手段30)
タッチセンサ制御手段30は
図3のように、接触位置検出回路31と受信回路33と送信回路32とから構成される。タッチセンサ用駆動電極パターン12はタッチセンサ制御手段30の送信回路32に接続され、タッチセンサ用検出電極パターン13は受信回路33に接続される。利用者の指が接触位置検知部10に接触すると、タッチセンサ制御手段30の接触位置検出回路31が、送信回路32と受信回路33を制御して接触位置検知部10への利用者の指の接触位置を検出する。接触位置検出回路31は、検出した指の接触位置データ30aを表示制御手段40へ出力する。
【0038】
(表示制御手段40)
表示制御手段40は、
図4のように、接触位置解析手段41と点字表示切替タイミング指令手段42と、書籍データ記憶手段43と、書籍データ読出手段44と、点字翻訳手段45と、点字表示制御部46とから構成される。
【0039】
(点字表示手順)
図4を参照し、第1の実施形態における点字表示手順を説明する。
(ステップS1)
接触位置解析手段41は、タッチセンサ制御手段30から、点字基板1の接触位置検知部10上に接触した利用者の指の位置を示す接触位置データ30aを受け取る。
【0040】
接触位置解析手段41は、接触位置データ30aを受け取ると、点字表示部5に指が接触したことを示す指接触データ41aを作成し、点字表示切替タイミング指令手段42に出力する。また接触位置解析手段41は、接触位置データ30aを基に利用者の指が接触
している範囲の輪郭を分析する。連続して送られる接触位置データ30aに変動があり、点字表示部5に指が接触する範囲の輪郭が、点字表示部5の左右何れに片寄ったかを示す指位置片寄りデータ41bを作成し、点字表示切替タイミング指令手段42に出力する。
【0041】
(ステップS2)
点字表示切替タイミング指令手段42は指接触データ41aと指位置片寄りデータ41bを受け取ると、表示している点字の表示を切り替えるタイミングを指定する表示切替タイミングデータ42aを作成する。作成された表示切替タイミングデータ42aは書籍データ読取手段44へ出力される。
【0042】
(ステップS3)
通信インターフェース9が、健常者用電子書籍データ装置50から点字の読み取りが行われている文字に相当する部分の周辺の数文字の電子書籍データ50aを読み出し、書籍データ記憶手段43に記憶する。記憶する文字は、点字の表示の切り替えが滞りなく行われるために必要な文字数が記憶されていれば良い。
【0043】
(ステップS4)
書籍データ読出手段44は、点字表示切替タイミング指令手段42から表示切替タイミングデータ42aを受け取り、表示切替タイミングデータ42aから指定されたタイミングにおいて点字を表示すべく、書籍データ記憶手段43から書籍テキストデータ43aを読み出して、表示切替タイミングデータ42aとともに点字翻訳手段45に出力する。
【0044】
(ステップS5)
書籍データ記憶手段43から書籍テキストデータ43aが読み出されると、書籍データ記憶手段43は読み出された文字を削除し、通信インターフェース9が、健常者用電子書籍データ装置50から削除された文字数に相当する文字数の数文字の電子書籍データ50aを新たに読み出し、書籍データ記憶手段43に記憶する。このようにすることで、電子点字表示装置100内に大きな記憶媒体を備える必要がなくなる。
【0045】
(ステップS6)
点字翻訳手段45は、点字翻訳演算用データを用いて書籍テキストデータ43aの各文字を点字パターンの点字情報を表す点字データ45aに変換して、表示切替タイミングデータ42aとともに点字表示制御部46に出力する。
【0046】
点字翻訳演算用データは、あらかじめ表示制御手段が備えていてもよいが、電子点字表示装置100の通信インターフェース9が、無線の通信ネットワークを通じて外部のデータベースと通信して点字翻訳演算用データを取得して点字翻訳手段45に使用させるようにすることもできる。
【0047】
あるいは、通信インターフェース9が、有線の通信用ケーブルでパーソナルコンピュータや携帯端末装置と電気的に接続されて、それらパーソナルコンピュータや携帯端末装置から、必要とする点字翻訳演算用データを取得するように構成することもできる。
【0048】
(ステップS7)
点字表示制御部46は、入手した表示切替タイミングデータ42aが指定するタイミングにおいて、点字データ45aに従ったアクチュエータ制御データ46aを作成してアクチュエータ制御手段24に出力することで、点字表示部5のアクチュエータ22の制御を指令する。
【0049】
(ステップS8)
アクチュエータ制御手段24は、点字表示制御部46から入手したアクチュエータ制御データ46aに従って、指定されたタイミングにおいてアクチュエータ22を駆動して点字データ45aに従って点字ピン21を上下させて点字を表示する。
【0050】
(点字表示切替タイミング制御手順42)
ステップS2からステップS7において、点字の表示を切り替えるタイミングを速く、あるいは遅くするための制御を行う手順について詳しく説明する。上述の通り、点字表示切替タイミング指令手段42が、表示を切り替えるタイミングを指定する表示切替タイミングデータ42aを作成する。
【0051】
(ステップS1−1)
点字基板1の接触位置検知部10上の点字を表示する領域に利用者の指が接触してそのまま移動されない場合、接触位置解析手段41は、指接触データ41aのみを作成し、点字表示切替タイミング指令手段42に出力する。点字の表示を切り替えるタイミングはあらかじめ点字表示切替タイミング指令手段42に設定されており、点字表示切替タイミング指令手段42が指接触データ41aのみを連続して受け取ると、点字表示切替タイミング指令手段42は、あらかじめ設定された点字の表示を切り替えるタイミングに従って点字の表示を切り替えるように指定する表示切替タイミングデータ42aを作成する。
【0052】
(ステップS7−1)
あらかじめ設定された点字の表示を切り替えるタイミングに従って点字の表示を切り替えるように指定する表示切替タイミングデータ42aが作成される場合、点字表示制御部46は一定の速度で点字の表示を切り替えるようにアクチュエータ制御データ46aを作成する。この場合、点字基板1において、一定速度で次の文字が表示される。
【0053】
(ステップS1−2)
点字基板1の接触位置検知部10上の点字を表示する領域に利用者の指が接触した後、点字表示部5に接触する指が左右何れかの方向に傾けられ、利用者の指の接触範囲の輪郭が左右何れかに片寄った場合、接触位置解析手段41は指接触データ41aに加えて、指の接触範囲が左右何れに片寄ったかを示す指位置片寄りデータ41bを出力する。出力された指接触データ41aと指位置片寄りデータ41bは、点字表示切替タイミング指令手段42が受け取る。
【0054】
(ステップS1−3)
指位置片寄りデータ41bが、点字表示部5に指が接触する範囲が点字表示部5の右側に片寄ったことを示すデータであった場合、点字表示切替タイミング指令手段42は、あらかじめ点字表示切替タイミング指令手段42に設定されていた点字の表示を切り替えるタイミングを短くし、表示切替タイミングデータ42aを作成する。
【0055】
(ステップS7−3)
点字の表示を切り替えるタイミングが短くなるように指定された表示切替タイミングデータ42aが作成される場合、点字表示制御部46は表示切替タイミングデータ42aに従い、短いタイミングで次の点字を表示するようにアクチュエータ制御データ46aを作成する。この場合、点字基板1において、次の文字が表示されるまでのタイミングが速くなり、点字の表示速度が速くなる。
【0056】
(ステップS1−4)
指位置片寄りデータ41bが、点字表示部5に指が接触する範囲が点字表示部5の左側に片寄ったことを示すデータであった場合、点字表示切替タイミング指令手段42は、あらかじめ点字表示切替タイミング指令手段42に設定されていた点字の表示を切り替える
タイミングを長くし、表示切替タイミングデータ42aを作成する。
【0057】
(ステップS7−4)
点字の表示を切り替えるタイミングが長くなるように指定された表示切替タイミングデータ42aが作成された場合は、点字表示制御部46は表示切替タイミングデータ42aに従い、長いタイミングで次の点字を表示するように指示するアクチュエータ制御データ46aを作成する。長いタイミングで次の点字を表示する場合は、点字基板1において、次の点字が表示されるまでの時間が長くなり、点字の表示速度が遅くなる。
【0058】
以上の手順により、利用者は点字基板1に表示される点字に指を接触させたまま、表示される点字を読み取ることができ、また、表示される点字の切替速度を調整することができる。
【0059】
(変形例1)
変形例1として、接触位置解析手段41が接触位置データ30aを解析する際、点字表示部5に指が接触する範囲の左右への片寄りの大きさを解析し、指位置片寄りデータ41bに、指の接触位置の片寄りの大きさを示す情報を含めることができる。
【0060】
この指位置片寄りデータ41bを受け取った表示切替タイミング指令手段42は、指の接触位置の片寄りが大きいほど表示を切り替えるタイミングの変化量が大きい表示切替タイミングデータ42aを作成し、指の接触位置の片寄りが小さいほど表示を切り替えるタイミング変化量が小さい表示切替タイミングデータ42aを作成することができる。
【0061】
このようにすることで、利用者が指を点字表示部5の左右に片寄らせる大きさを制御することにより、点字の表示速度の加速の度合いを制御することが可能となる。
【0062】
(変形例2)
また、変形例2として、接触位置解析手段41が接触位置データ30aを解析する際に、利用者が指を点字表示部5に接触する位置を左右に片寄らせる指の移動速度を読み取り、その利用者の指の移動速度のデータを指位置片寄りデータ41bとして作成することができる。
【0063】
そして、点字表示切替タイミング指令手段42が、その指の移動速度を示す指位置片寄りデータ41bに応じて表示を切り替えるタイミング変化量が制御された表示切替タイミングデータ42aを作成する。
【0064】
このようにすることで、利用者が指を点字表示部5の左右に片寄らせる速度を制御することにより、点字の表示速度の加速の度合いを制御することが可能となる。
【0065】
(変形例3)
また、変形例3として、接触位置解析手段41は、タッチセンサ制御手段30から受信した利用者の指の接触位置の時間変化を解析する演算を行うことで、指の接触位置の移動による利用者の操作指令を認識する処理を行うこともできる。すなわち、接触位置解析手段41は、タッチセンサ制御手段30が検出した利用者の指の接触動作を認識し、各種の操作指令を入力する機能を持つように構成することができる。
【0066】
例えば、接触位置解析手段41は、利用者の指の、タッチ、タップ、ドラッグ、フリック、ピンチ、スワイプ、タッチアンドホールド、等の様々な動作を認識し、それらの指の接触動作に応じた利用者の操作指令を認識することができる。
【0067】
以上のような構成により、利用者が点字を読み取りながら点字表示速度の調整操作のためにダイヤル操作やスイッチ操作を行う必要がなく、点字読み取りが容易な電子点字表示装置100を提供できる。
【0068】
<第2の実施形態>
以下、
図5と
図6と
図7とを参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。
図5は第2の実施形態の電子点字書籍システムのブロック構成図と電子点字表示装置100の操作部の平面模式図である。
図6は、電子点字表示装置100の要部のベルト進行方向Aに沿った断面構造を表す断面模式図である。
【0069】
(電子点字表示装置100)
第2の実施形態の電子点字表示装置100は、
図5に示す操作部の平面模式図のように、指タッチ用窓5a内の点字表示部5の点字位置h1、h2、h3、h4・・・に点字を表示させる。各点字は、例えば、6つの点字ピン21で1文字の点字情報を表示する。
【0070】
また、電子点字表示装置100は、
図6の断面図のように、スプロケット孔等の接続用凹部(不図示)を有するベルト状に形成された点字基板1と、基板移動速度制御手段3と、点字基板移動検知手段6と、表示制御手段40と、電子書籍データ50aを取得するために、市販の電子書籍端末やパソコン等の電子書籍データ装置50に接続するための通信インターフェース9を備える。
【0071】
通信インターフェース9は、電子書籍データ装置50に必ずしも有線で接続される必要はなく、例えば、Wi−Fi(登録商標)や、Bluetooth(登録商標)等の、無線による接続であっても良い。これにより、電子点字表示装置100のサイズを小さくすることができる。
【0072】
(点字基板1)
電子点字表示装置100の点字基板1の一部を指タッチ用窓5aに露出させ、表面に点字表示部5を備える。この点字基板1の表面に点字ピン21を突出させ、その点字ピンに利用者が指を接触させることにより点字を読み取る。
【0073】
点字基板1は、スプロケット孔等の接続用凹部(図示せず)を裏面に備え、点字基板1の裏面から接続用凹部にローラ2(第1ローラ2aと第2ローラ2b)の歯車の突起部をかみ合わせる。点字基板1は、ローラ2に架けるようにベルト状に形成する。
【0074】
ローラ2に架ける点字基板1の接続用凹部としては、スプロケット孔以外の手段によることもでき、例えば、点字基板1の裏面に周期的に凹凸を成す接続用凹部を形成することもできる。ローラ2には、その凹凸を成す接続用凹部とかみ合うような形状に凹凸を設けることにより、同様の効果を得ることもできる。
【0075】
点字基板1は、第1の実施形態と同様に、接触位置検知部10と複数のアクチュエータ22とアクチュエータ配線フィルム基板20とから構成される。それぞれのアクチュエータ22は、一端に点字ピン21をそれぞれ備える。
【0076】
アクチュエータ22とアクチュエータ制御手段24、接触位置検知部10のタッチセンサ配線フィルム基板、タッチセンサ制御手段30については、第1の実施形態と同様に構成する。
【0077】
基板移動速度制御手段3によってモータ4の回転速度を制御してローラ2を回転させることで、ローラ2に架けたベルト状の点字基板1をベルト進行方向Aに定速で移動させる
。
【0078】
(点字表示部5)
図6のように、指タッチ用窓5a内の領域に露出された点字基板1の点字表示部5において、アクチュエータ22を制御して点字ピン21を上下させて点字を表示する。
図6の点字表示部5に表示する点字数は、少なくとも三文字の点字を表示する。
【0079】
すなわち、利用者が読み取っている点字(中間位置の点字)と、読み取っている点字から点字読取方向Bに対して一文字先行している位置の点字(先行位置の点字)と、読み取っている点字から点字読取方向Bに対して一文字遅れている位置の点字(遅れ位置の点字)との少なくとも三文字の点字を、指タッチ用窓5a内の領域の点字表示部5に点字情報を表示させる。
【0080】
点字表示部5に表示させる文字数は必ずしも三文字である必要はなく、読み取っている点字から点字読取方向Bに対して二文字以上先行している位置の点字や、読み取っている点字から点字読取方向Bに対して二文字以上遅れている位置の点字に点字情報を表示して、四文字以上を表示させてもよい。すなわち、点字表示部5に表示する点字の数を、利用者の読取速度に合わせて変えるようにしても良い。
【0081】
(点字基板移動検知手段6)
点字基板移動検知手段6は、点字基板1のベルト進行方向Aへの移動位置を検出し、点字基板1の移動位置データ6aを表示制御手段40の接触位置解析手段41へ出力する。
【0082】
点字基板移動検知手段6は、例えば、移動する点字基板1のベルト送り用のスプロケット孔を光学的に数えることで、指タッチ用窓5aに露出される点字基板1の位置を検出して点字基板1の移動位置データ6aを作成する。
【0083】
あるいは、点字基板移動検知手段6は、ローラ2に回転角度エンコーダを設置して回転角度を検出することで、タッチ用窓32に露出する点字基板1の位置を検出する。
【0084】
(表示制御手段40)
表示制御手段40は、
図7のように、接触位置解析手段41と、点字表示切替位置指令手段47と、基板移動速度指定手段48と、書籍データ記憶手段43と、書籍データ読出手段44と、点字翻訳手段45と、点字表示制御部46とで構成する。
【0085】
(点字表示手順)
図7を参照し、第2の実施形態における点字表示手順を説明する。
【0086】
(ステップS11)
接触位置解析手段41は、点字基板移動検知手段6から点字基板1の移動位置データ6aを受け取り、タッチセンサ制御手段30から指の接触位置データ30aを受け取り、それらのデータを解析する。そして、接触位置解析手段41は、点字表示部5内の点字基板1に接触する利用者の指の接触位置である点字位置(h1、h2、h3、h4・・・)を特定し、その情報を含む指接触点字位置データ41cを作成し、点字表示切替位置指令手段47に出力する。
【0087】
(ステップS12)
点字表示切替位置指令手段47は、点字基板1への指の接触位置データ30aが示す位置よりも先行した位置の点字基板1の点字位置を、次に点字の表示を切り替えるべき位置として定め、点字基板1のその点字位置の点字情報の切替を指定する点字表示切替位置データ47aを作成する。利用者の指が点字基板1に触れているとき、少なくとも中間位置の点字と、先行位置の点字と、遅れ位置の点字は点字基板1上に表示されているので、次に点字の表示を切り替えるべき位置は、点字表示部5における先行位置で点字情報を表示している点字基板1の点字位置よりも先行した位置の点字基板1の点字位置を、次に点字の表示を切り替えるべき位置として定める。
【0088】
そして、点字表示切替位置指令手段47が、点字基板1のその点字位置の点字情報の切替を指定する情報として点字表示切替位置データ47aを作成し、書籍データ読出手段44に出力する。
【0089】
(ステップS13)
通信インターフェース9は、健常者用電子書籍データ装置50から、点字の読み取りが行われている文字に相当する部分の周辺の数文字の電子書籍データ50aを読み出し、書籍データ記憶手段43に記憶する。記憶する文字は、点字の表示の切り替えが滞りなく行われるために必要な文字数が記憶されていれば良い。
【0090】
(ステップS14)
書籍データ読出手段44は、点字表示切替位置指令手段47から点字表示切替部の位置データを受け取り、その点字表示切替部の位置に点字を表示すべく、書籍データ記憶手段43から書籍テキストデータ43aを読み出して、点字表示切替位置データ47aとともに点字翻訳手段45に出力する。
【0091】
(ステップS15)
点字翻訳手段45は、点字翻訳演算用データを用いて、書籍テキストデータ43aの各文字を点字パターンの点字情報を表す点字データ45aに変換して、点字表示切替位置データ47aとともに点字表示制御部46に出力する。
【0092】
点字翻訳演算用データはあらかじめ表示制御手段が備えていてもよいが、電子点字表示装置100の通信インターフェース9が、無線の通信ネットワークを通じて外部のデータベースと通信して点字翻訳演算用データを取得して点字翻訳手段45に使用させるようにすることもできる。
【0093】
あるいは、通信インターフェース9が、有線の通信用ケーブルでパーソナルコンピュータや携帯端末装置と電気的に接続されて、それらパーソナルコンピュータや携帯端末装置から、必要とする点字翻訳演算用データを取得するように構成することもできる。
【0094】
(ステップS16)
点字表示制御部46は、入手した点字表示切替位置データ47aと点字データ45aから、点字表示切替部の位置データが指定する位置の点字表示部5のアクチュエータ22の制御を指令するアクチュエータ制御データ46aを作成して、アクチュエータ制御手段24に出力する。
【0095】
(ステップS17)
アクチュエータ制御手段24は、点字表示制御部46から入手したアクチュエータ制御データ46aに従って、指定された位置のアクチュエータ22を駆動して点字データ45aに従って点字ピン21を上下させて点字を表示する。
【0096】
(点字表示速度制御手順)
以下で、点字表示の速度を利用者の点字読み取り速度に合わせるための、主に接触位置解析手段41で行われるステップS11の処理手順を詳しく説明する。
【0097】
電子点字表示装置100の指タッチ用窓5aの領域に露出される点字基板1の上面に、読み取り順の中間位置の点字と、先行位置の点字と、遅れ位置の点字との少なくとも三文字の点字を表示させ、利用者がそれらの点字を読み取るために指を点字基板1の上面に接触させる。表示させる点字は、三文字以上であってもよい。
【0098】
(ステップS11−1)
まず初めに、接触位置解析手段41は、点字基板移動検知手段6から、点字基板1の移動位置データ6aを受け取る。
【0099】
次に、接触位置解析手段41は、タッチセンサ制御手段30から、点字基板1の接触位置検知部10への利用者の指の接触位置データ30aを受け取る。
【0100】
接触位置解析手段41は、点字基板1の移動位置データ6aと、点字基板1への利用者の指の接触位置データ30aの時間変化を演算処理することで、点字を読み取る指の位置が中間位置よりも点字読取方向Bに対して先行しているか、遅れているかを判定する。
【0101】
利用者が点字基板1上で点字を読み取る指の位置が中間位置よりも点字読取方向Bに対して先行している場合は、点字接触位置解析手段41が、利用者による点字の読み取り速度が点字基板1の移動速度よりも速いと判定する。
【0102】
(ステップS18−1)
点字接触位置解析手段41が利用者による点字の読み取り速度が点字基板1の移動速度よりも速いと判定した場合は、接触位置解析手段41が、点字基板1の移動速度を加速することを指示する基板速度制御指令48aを基板移動速度指定手段48に出力する。
【0103】
(ステップS19−1)
基板速度制御指令48aを受け取った基板移動速度指定手段48が、基板移動速度制御手段3を制御してモータ4の回転速度を速めることで、点字基板1の移動速度を速めて利用者の指の送り速度に追いつかせる。
【0104】
(ステップS11−2)
一方、点字基板1上で点字を読み取る利用者の指の位置が中間位置よりも点字読取方向Bに対して遅れている場合は、接触位置解析手段41が、利用者による点字の読み取り速度が点字基板1の移動速度よりも遅いと判定する。
【0105】
(ステップS18−2)
接触位置解析手段41が利用者による点字の読み取り速度が点字基板1の移動速度よりも遅いと判定した場合は、接触位置解析手段41が、点字基板1の移動速度を減速することを指示する基板速度制御指令48aを基板移動速度指定手段48に出力する。
【0106】
(ステップS19−2)
基板速度制御指令48aを受け取った基板移動速度指定手段48が、基板移動速度制御手段3を制御してモータ4の回転速度を遅くすることで点字基板1の移動速度を遅らせて利用者の指の送り速度に合わせる。
【0107】
(ステップS11−3)
点字基板1上で点字を読み取る利用者の指の位置が中間位置と一致している場合には、接触位置解析手段41が、利用者による点字の読み取り速度が点字基板1の移動速度に一致していると判定する。
【0108】
(ステップS18−3)
接触位置解析手段41が利用者による点字の読み取り速度が点字基板1の移動速度に一致していると判定した場合は、接触位置解析手段41は、基板速度制御指令48aを出力しない。
【0109】
(ステップS19−3)
そのため、基板移動速度指定手段48は基板移動速度制御手段3にモータ4の回転速度を加速もしくは減速する指示を出さない。そのため、点字基板1の移動速度は維持される。
【0110】
(変形例4)
また、本実施形態の電子点字表示装置100は更に、他の入力手段のスイッチ類も備えることができる。
【0111】
例えば、書籍切り替え指令ボタン、目次表示指令ボタン、読み出す書籍データを書籍の初めに戻す指令用ボタンや、行や段落送りボタン、ブックマーク作成指令用ボタンを備えることができる。また、書籍データの音声再生指令ボタン、スピーカーを備えることもできる。
【0112】
以上のような構成により、利用者が点字を読み取りながら点字表示速度の調整操作のためにダイヤル操作やスイッチ操作を行う必要がなく、点字読み取りが容易で、かつ利用者が点字の読み取りを行う際に指を動かす必要がないため、連続して点字を読み取ることが可能な電子点字表示装置100を提供できる。
【0113】
<第3の実施形態>
以下、
図8と
図9とを参照して、本発明の第3の実施形態を説明する。
図8は、第3の実施形態の電子点字表示装置100の要部断面構造を表し、
図9は、第3の実施形態の電子点字表示装置100の操作部の平面模式図である。
【0114】
第3の実施形態の電子点字表示装置100は、
図8の断面図のように、点字基板1として円板状に形成した点字アクチュエータ付きタッチセンサ円板7を用いたものである。すなわち、第2の実施形態で用いたベルト状の点字基板1を、点字アクチュエータ付きタッチセンサ円板7の形態に置き換えた構成である。
【0115】
点字アクチュエータ付きタッチセンサ円板7の表面において、円板カバー8に覆われていない領域が点字表示部5である。電子点字表示装置100の操作部で、
図9の平面模式図のように、点字アクチュエータ付きタッチセンサ円板7の一部が露出している点字表示部5に利用者が指を接触させて点字を読み取る。
【0116】
第3の実施形態では、点字アクチュエータ付きタッチセンサ円板7の回転位置を、点字基板移動検知手段6が検出して表示制御手段40へ出力する。点字アクチュエータ付きタッチセンサ円板7の回転位置とは、第2の実施形態における点字基板1の移動位置に相当するものである。
【0117】
(点字表示速度制御手順・点字表示手順)
第3の実施形態における点字表示速度制御手順および点字表示手順については、第2の実施形態における点字表示手順と同様である。
【0118】
第3の実施形態においても、表示制御手段40がタッチセンサ制御手段30から接触位置データ30aを受け取り、点字基板移動検知手段6から移動位置データ6aを受け取り
、アクチュエータ制御データ46aをアクチュエータ制御手段24に出力し、点字アクチュエータ付きタッチセンサ円板7の移動速度を加速もしくは減速する指令を基板移動速度制御手段3に出力する。
【0119】
アクチュエータ制御データ46aを受け取ったアクチュエータ制御手段24は、アクチュエータ22を制御して、点字アクチュエータ付きタッチセンサ円板7の上面に点字を表示させる。
【0120】
点字アクチュエータ付きタッチセンサ円板7の移動速度を加速もしくは減速する指令を受け取った基板移動速度制御手段3は、モータ4の回転速度を制御することによって、点字アクチュエータ付きタッチセンサ円板7の回転速度を制御する。
【0121】
以上のような構成により、利用者が点字を読み取りながら点字表示速度の調整操作のためにダイヤル操作やスイッチ操作を行う必要がなく、点字読み取りが容易で、かつ利用者が点字の読み取りを行う際に指を動かす必要がないため、連続して点字を読み取ることが可能な電子点字表示装置100を提供できる。
【0122】
<第4の実施形態>
以下、
図10と
図11とを参照して、本発明の第4の実施形態を説明する。
図10は、第4の実施形態の電子点字表示装置100の操作部の平面模式図である。
【0123】
第4の実施形態の操作部は、
図10の平面模式図のように、点字表示部5を有する点字基板1を備える。この点字基板1の表面に点字ピン21を突出させ、その点字ピンに利用者が指を接触させることにより点字を読み取る。
【0124】
また、この電子点字表示装置100は、電子書籍データ50aを取得するために、市販の電子書籍端末やパソコン等の電子書籍データ装置50に接続するための通信インターフェース9を備える。
【0125】
通信インターフェース9は、電子書籍データ装置50に必ずしも有線で接続される必要はなく、例えば、Wi−Fi(登録商標)や、Bluetooth(登録商標)等の、無線による接続であっても良い。これにより、電子点字表示装置100のサイズを小さくすることができる。
【0126】
点字基板1は、例えば6本の点字ピン21で構成する点字を複数表示する点字表示部5を備える。点字表示部5に表示する点字は二文字以上であれば何文字でも良いが、10文字以下では一行で表示される文字数が少なく、改行の回数が多くなるので利用者が読み辛く感じる。また、30文字以上では、全ての点字を表示するために必要な装置のサイズが大きくなる。そのため、一行に表示する点字の文字数は15文字以上30文字以下にすることが望ましい。
【0127】
点字基板1、アクチュエータ22、アクチュエータ制御手段24、接触位置検知部10、タッチセンサ制御手段30については、第1の実施形態と同様に構成する。
【0128】
(表示制御手段40)
表示制御手段40は、
図11のように、接触位置解析手段41と、点字表示切替位置指令手段47と、書籍データ記憶手段43と、書籍データ読出手段44と、点字翻訳手段45と、点字表示制御部46とから構成する。
【0129】
(点字表示手順)
図11を参照して、第4の実施形態における点字表示手順を説明する。利用者の指が点字基板1に触れているとき、少なくとも中間位置の点字と、先行位置の点字と、遅れ位置の点字は点字基板1上に表示されている。表示される文字数は利用者の読取速度に合わせて、四文字以上であっても構わない。
【0130】
(ステップS21)
接触位置解析手段41は、タッチセンサ制御手段30から指の接触位置データ30aを受け取り、利用者の指が点字表示部5で接触している点字基板1の点字位置(h1、h2、h3、h4・・・)を特定し、利用者の指が接触している点字位置を示す指接触点字位置データ41cを作成し、点字表示切替位置指令手段47に出力する。
【0131】
(ステップS22)
点字表示切替位置指令手段47は、先行位置よりも先行した位置の点字基板1の点字位置を、次に点字の表示を切り替えるべき位置として定め、その点字位置の点字情報の切替を指示する点字表示切替位置データ47aを作成する。
【0132】
(ステップS22−1)
図10の操作部の点字表示部5の右端の点字位置よりも一文字先行した位置とは、点字表示部5の左端の点字位置である。すなわち、指接触点字位置データ41cが
図10の操作部の点字表示部5の右端の点字位置から数えて一文字手前の点字位置を示す場合、点字表示切替位置指令手段47は、次に点字の表示を切り替えるべき点字位置を、点字表示部5の左端の点字位置に指定する。
【0133】
こうして、点字表示切替位置指令手段47が、次に点字の表示を切り替えるべき点字位置を指定して、その点字位置の点字情報の切替を指定する点字表示切替位置データ47aを作成し、書籍データ読出手段44に出力する。
【0134】
(ステップS23)
通信インターフェース9は、健常者用電子書籍データ装置50から、点字の読み取りが行われている文字に相当する部分の周辺の数文字の電子書籍データ50aを読み出し、書籍データ記憶手段43記憶する。記憶する文字は、点字の表示の切り替えが滞りなく行われるために必要な文字数が記憶されていれば良い。
【0135】
(ステップS24)
書籍データ読出手段44は、点字表示切替位置指令手段47から点字表示切替部の位置データを受け取り、その点字表示切替部の位置に点字を表示すべく、書籍データ記憶手段43から書籍テキストデータ43aを読み出して、点字表示切替位置データ47aとともに点字翻訳手段45に出力する。
【0136】
(ステップS25)
点字翻訳手段45は、書籍テキストデータ43aの各文字を、点字翻訳演算用データを元に点字パターンの点字情報を表す点字データ45aに変換して、点字表示切替位置データ47aとともに点字表示制御部46に出力する。
【0137】
点字翻訳演算用データは、あらかじめ表示制御手段が備えていてもよいが、点字翻訳手段45が通信ネットワークを通じて外部のデータベースと通信して取得することもできる。あるいは、パーソナルコンピュータや携帯端末装置と電気的に接続されることにより、それらの機能やソフトウェアを利用して必要な点字翻訳演算用データを取得するように構成することもできる。
【0138】
(ステップS26)
点字表示制御部46は、入手した点字表示切替位置データ47aと点字データ45aから、点字表示切替部の位置データが指定する位置の点字表示部5のアクチュエータ22の制御を指令するアクチュエータ制御データ46aを作成して、アクチュエータ制御手段24に出力する。
【0139】
(ステップS27)
アクチュエータ制御手段24は、点字表示制御部46から入手したアクチュエータ制御データ46aに従って、指定された位置のアクチュエータ22を駆動して点字ピン21を上下させて点字を表示する。
【0140】
本実施形態は、この点字表示手順により、利用者が点字を読み取ることによって、接触位置検知部10が利用者の指の接触位置を検出して、その接触位置に応じて点字表示切替位置指令手段47が、次に点字の表示を切り替えるべき点字位置を指定して、その点字位置の点字情報の切替を指定する点字表示切替位置データ47aを作成する。そして、その点字表示切替位置データ47aによって、後ろに続く点字の表示を切り替えるため、利用者が点字を読み取る速度に合わせて表示する点字を切り替えることができる。
【0141】
以上のような構成により、利用者が点字を読み取りながら点字表示速度の調整操作のためにダイヤル操作やスイッチ操作を行う必要がなく、点字読み取りが容易で、かつ利用者が紙に印字された点字書籍を読むように自然な動きで読み取りが可能な、電子点字表示装置100を提供できる。
【0142】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、構成要素を変形して具体化することが可能である。以上の実施形態におけるピン、フィルムなどは、その部材を例示した表現であり、その構成に限定されるものではなく、以上の実施形態で記載した機能と同等の機能を有する基板やその他の部材であっても良い。また、指の接触位置検出手段に用いるタッチセンサ配線フィルム基板はその他の指の接触位置検出手段を用いることができ、例えば光学センサ群に置き換えて構成することもできる。
【0143】
さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、1つの実施形態に開示される複数の構成要素の適宜な組み合わせ、若しくは異なる実施形態に開示される構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を構成することができる。