(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
消弧性ガスを充填した容器内で、可動アーク接触子が固定アーク接触子から離間する際に発生するアーク放電に前記消弧性ガスを吹き付けて消弧するガス遮断器を備えたガス絶縁開閉装置であって、
前記ガス遮断器は、
前記固定アーク接触子を支持すると共に遮断時に前記消弧性ガスの吹付により発生した熱ガス流を導入し、冷却して前記容器内へ排出する固定サポートと、
前記容器内に配置された中空の絶縁支持体に支持され、前記固定サポートに対向して配置された中空の可動サポートと、
前記絶縁支持体の中空部内に挿設され、先端部が前記可動サポートの中空部内で往復移動する絶縁操作ロッドと、
前記可動サポートの中空部内に挿設され、前記絶縁支持体側の一端部に前記絶縁操作ロッドの先端部が継手を介して連結され、前記固定アーク接触子に対向する他端部に前記可動アーク接触子が設けられた可動排気パイプと、を具備し、
前記可動サポートは、前記熱ガス流を前記容器内に排出する排出口を備え、
前記絶縁操作ロッドが最も前記絶縁支持体側に位置するときに、前記可動サポート及び前記絶縁支持体のそれぞれの中空部を互いに連通する開口部を封止する封止構造を備え、
前記封止構造は、第1中空部材と、前記継手の外側で前記操作ロッドの移動方向に沿って伸び、前記第1中空部材の内部に進退可能なカバー部材とを有し、前記第1中空部材の内壁面には、前記カバー部材の外周面に摺接する摺接部材が設けられていることを特徴とするガス絶縁開閉装置。
消弧性ガスを充填した容器内で、可動アーク接触子が固定アーク接触子から離間する際に発生するアーク放電に前記消弧性ガスを吹き付けて消弧するガス遮断器を備えたガス絶縁開閉装置であって、
前記ガス遮断器は、
前記固定アーク接触子を支持すると共に遮断時に前記消弧性ガスの吹付により発生した熱ガス流を導入し、冷却して前記容器内へ排出する固定サポートと、
前記容器内に配置された中空の絶縁支持体に支持され、前記固定サポートに対向して配置された中空の可動サポートと、
前記絶縁支持体の中空部内に挿設され、先端部が前記可動サポートの中空部内で往復移動する絶縁操作ロッドと、
前記可動サポートの中空部内に挿設され、前記絶縁支持体側の一端部に前記絶縁操作ロッドの先端部が継手を介して連結され、前記固定アーク接触子に対向する他端部に前記可動アーク接触子が設けられた可動排気パイプと、を具備し、
前記可動サポートは、前記熱ガス流を前記容器内に排出する排出口を備え、
前記絶縁操作ロッドが最も前記絶縁支持体側に位置するときに、前記可動サポート及び前記絶縁支持体のそれぞれの中空部を互いに連通する開口部を封止する封止構造を備え、
前記封止構造は、第1中空部材と、該第1中空部材の内部を摺動する前記継手と、で少なくとも構成され、
前記第1中空部材は、前記開口部を塞ぐフランジ部を有する
ことを特徴とするガス絶縁開閉装置。
消弧性ガスを充填した容器内で、可動アーク接触子が固定アーク接触子から離間する際に発生するアーク放電に前記消弧性ガスを吹き付けて消弧するガス遮断器を備えたガス絶縁開閉装置であって、
前記ガス遮断器は、
前記固定アーク接触子を支持すると共に遮断時に前記消弧性ガスの吹付により発生した熱ガス流を導入し、冷却して前記容器内へ排出する固定サポートと、
前記容器内に配置された中空の絶縁支持体に支持され、前記固定サポートに対向して配置された中空の可動サポートと、
前記絶縁支持体の中空部内に挿設され、先端部が前記可動サポートの中空部内で往復移動する絶縁操作ロッドと、
前記可動サポートの中空部内に挿設され、前記絶縁支持体側の一端部に前記絶縁操作ロッドの先端部が継手を介して連結され、前記固定アーク接触子に対向する他端部に前記可動アーク接触子が設けられた可動排気パイプと、を具備し、
前記可動サポートは、前記熱ガス流を前記容器内に排出する排出口を備え、
前記絶縁操作ロッドが最も前記絶縁支持体側に位置するときに、前記可動サポート及び前記絶縁支持体のそれぞれの中空部を互いに連通する開口部を封止する封止構造を備え、
前記封止構造は、第1中空部材と、該第1中空部材の内部に進退可能な前記継手とを有し、前記第1中空部材の内壁面には、前記継手の外周面に摺接する摺接部材が設けられ、
前記第1中空部材は、前記開口部を塞ぐフランジ部を有する
ことを特徴とするガス絶縁開閉装置。
消弧性ガスを充填した容器内で、可動アーク接触子が固定アーク接触子から離間する際に発生するアーク放電に前記消弧性ガスを吹き付けて消弧するガス遮断器を備えたガス絶縁開閉装置であって、
前記ガス遮断器は、
前記固定アーク接触子を支持すると共に遮断時に前記消弧性ガスの吹付により発生した熱ガス流を導入し、冷却して前記容器内へ排出する固定サポートと、
前記容器内に配置された中空の絶縁支持体に支持され、前記固定サポートに対向して配置された中空の可動サポートと、
前記絶縁支持体の中空部内に挿設され、先端部が前記可動サポートの中空部内で往復移動する絶縁操作ロッドと、
前記可動サポートの中空部内に挿設され、前記絶縁支持体側の一端部に前記絶縁操作ロッドの先端部が継手を介して連結され、前記固定アーク接触子に対向する他端部に前記可動アーク接触子が設けられた可動排気パイプと、を具備し、
前記可動排気パイプは、前記熱ガス流をその一端部側から前記可動サポートの中空部へ排気する排気孔を備え、
前記可動サポートは、前記熱ガス流を前記容器内に排出する排出口を備え、
前記絶縁操作ロッドが最も前記絶縁支持体側に位置するときに、前記可動サポート及び前記絶縁支持体のそれぞれの中空部を互いに連通する開口部を封止する封止構造を備え、
前記絶縁操作ロッドの先端部が、最も前記固定サポート側の位置及び最も前記絶縁支持体側の位置の間で移動する途中で、前記排気孔から排気された前記熱ガス流が前記絶縁支持体の中空部に流入するのを抑制する熱ガス流制御構造をさらに具備することを特徴とするガス絶縁開閉装置。
前記封止構造は、第1中空部材と、該第1中空部材の内部に進退可能な前記継手とを有し、前記第1中空部材の内壁面には、前記継手の外周面に摺接する摺接部材が設けられることを特徴とする請求項4に記載のガス絶縁開閉装置。
前記熱ガス流制御構造は、前記可動排気パイプの長軸方向に沿って配設された遮蔽体を含み、前記遮蔽体には前記排気孔を前記可動サポートの中空部に向って開放する間隙部が設けられていることを特徴とする請求項4、請求項5、請求項7又は請求項9に記載のガス絶縁開閉装置。
前記遮蔽体は、前記継手が内部を通過可能な第2中空部材であり、前記間隙部は、前記第2中空部材に形成されたスリット部であることを特徴とする請求項10に記載のガス絶縁開閉装置。
前記熱ガス流制御構造は摺動部材をさらに含み、前記継手が前記摺動部材を介して前記第2中空部材の内部を摺動することを特徴とする請求項12に記載のガス絶縁開閉装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようなパッファ型ガス遮断器において、可動アーク接触子を移動させるための駆動機構を、可動排気パイプと、可動排気パイプの一端部に連結された絶縁操作ロッドと、で構成する場合がある。
【0006】
この場合、消弧性ガスを充填した金属容器内に中空の絶縁支持体を配置し、中空の可動部を支持させる。また、絶縁支持体の中空部内には、絶縁操作ロッドを挿設し、先端部を可動部の中空部内に突出させ、その先端部に可動排気パイプの一端部を連結する。さらに、可動部に、熱ガス流を金属容器内に排出する排出口を設ける。
【0007】
このような構成において、アーク放電への消弧過程において発生した熱ガス流が、可動排気パイプの他端部側からその内部に流入し、一端部側から可動部の中空部へ排気され、可動部に設けられた排出口から金属容器内へ排出される。
【0008】
しかしながら、上述のような可動排気パイプ及び絶縁操作ロッドを備えたガス遮断器においては、可動排気パイプの一端部側から排出された熱ガス流が、絶縁支持体の中空部及び可動部の中空部が互いに連通する開口部を介して、絶縁支持体の中空部に流入し、絶縁支持体の内面が熱ガス流に曝されるため、絶縁支持体を構成する絶縁材料が炭化するおそれがある。そのため、絶縁支持体の絶縁が低下し、系統の電圧が印加されると、地絡にいたる可能性がある。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、熱ガス流による絶縁材料の炭化を抑制し、地絡の発生を防止することができるガス絶縁開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のガス絶縁開閉装置の一態様は、消弧性ガスを充填した容器内で、可動アーク接触子が固定アーク接触子から離間する際に発生するアーク放電に前記消弧性ガスを吹き付けて消弧するガス遮断器を備えたガス絶縁開閉装置であって、前記ガス遮断器は、前記固定アーク接触子を支持すると共に遮断時に前記消弧性ガスの吹付により発生した熱ガス流を導入し、冷却して前記容器内へ排出する固定サポートと、前記容器内に配置された中空の絶縁支持体に支持され、前記固定サポートに対向して配置された中空の可動サポートと、前記絶縁支持体の中空部内に挿設され、先端部が前記可動サポートの中空部内で往復移動する絶縁操作ロッドと、前記可動サポートの中空部内に挿設され、前記絶縁支持体側の一端部に前記絶縁操作ロッドの先端部が継手を介して連結され、前記固定アーク接触子に対向する他端部に前記可動アーク接触子が設けられた可動排気パイプと、を具備し、前記可動排気パイプは、前記他端部側から内部に流入した前記熱ガス流を、前記一端部側側面から、前記可動サポートの中空部へ排気する排気孔を備え、前記可動サポートは、前記熱ガス流を前記容器内に排出する排出口を備え、前記絶縁操作ロッドが最も前記絶縁支持体側に位置するときに、前記可動サポート及び前記絶縁支持体のそれぞれの中空部を互いに連通する開口部を封止する封止構造を備えていることを特徴とする。
本発明のガス絶縁開閉装置の他の態様は、消弧性ガスを充填した容器内で、可動アーク接触子が固定アーク接触子から離間する際に発生するアーク放電に前記消弧性ガスを吹き付けて消弧するガス遮断器を備えたガス絶縁開閉装置であって、前記ガス遮断器は、前記固定アーク接触子を支持すると共に遮断時に前記消弧性ガスの吹付により発生した熱ガス流を導入し、冷却して前記容器内へ排出する固定サポートと、前記容器内に配置された中空の絶縁支持体に支持され、前記固定サポートに対向して配置された中空の可動サポートと、前記絶縁支持体の中空部内に挿設され、先端部が前記可動サポートの中空部内で往復移動する絶縁操作ロッドと、前記可動サポートの中空部内に挿設され、前記絶縁支持体側の一端部に前記絶縁操作ロッドの先端部が継手を介して連結され、前記固定アーク接触子に対向する他端部に前記可動アーク接触子が設けられた可動排気パイプと、を具備し、前記可動サポートは、前記熱ガス流を前記容器内に排出する排出口を備え、前記絶縁操作ロッドが最も前記絶縁支持体側に位置するときに、前記可動サポート及び前記絶縁支持体のそれぞれの中空部を互いに連通する開口部を封止する封止構造を備え、前記封止構造は、第1中空部材と、該第1中空部材の内部を摺動する前記継手と、で少なくとも構成され、前記第1中空部材は、前記開口部を塞ぐフランジ部を有することを特徴とする。
本発明のガス絶縁開閉装置の他の態様は、消弧性ガスを充填した容器内で、可動アーク接触子が固定アーク接触子から離間する際に発生するアーク放電に前記消弧性ガスを吹き付けて消弧するガス遮断器を備えたガス絶縁開閉装置であって、前記ガス遮断器は、前記固定アーク接触子を支持すると共に遮断時に前記消弧性ガスの吹付により発生した熱ガス流を導入し、冷却して前記容器内へ排出する固定サポートと、前記容器内に配置された中空の絶縁支持体に支持され、前記固定サポートに対向して配置された中空の可動サポートと、前記絶縁支持体の中空部内に挿設され、先端部が前記可動サポートの中空部内で往復移動する絶縁操作ロッドと、前記可動サポートの中空部内に挿設され、前記絶縁支持体側の一端部に前記絶縁操作ロッドの先端部が継手を介して連結され、前記固定アーク接触子に対向する他端部に前記可動アーク接触子が設けられた可動排気パイプと、を具備し、前記可動サポートは、前記熱ガス流を前記容器内に排出する排出口を備え、前記絶縁操作ロッドが最も前記絶縁支持体側に位置するときに、前記可動サポート及び前記絶縁支持体のそれぞれの中空部を互いに連通する開口部を封止する封止構造を備え、前記封止構造は、第1中空部材と、該第1中空部材の内部に進退可能な前記継手とを有し、前記第1中空部材の内壁面には、前記継手の外周面に摺接する摺接部材が設けられ、前記第1中空部材は、前記開口部を塞ぐフランジ部を有することを特徴とする。
本発明のガス絶縁開閉装置の他の態様は、消弧性ガスを充填した容器内で、可動アーク接触子が固定アーク接触子から離間する際に発生するアーク放電に前記消弧性ガスを吹き付けて消弧するガス遮断器を備えたガス絶縁開閉装置であって、前記ガス遮断器は、前記固定アーク接触子を支持すると共に遮断時に前記消弧性ガスの吹付により発生した熱ガス流を導入し、冷却して前記容器内へ排出する固定サポートと、前記容器内に配置された中空の絶縁支持体に支持され、前記固定サポートに対向して配置された中空の可動サポートと、前記絶縁支持体の中空部内に挿設され、先端部が前記可動サポートの中空部内で往復移動する絶縁操作ロッドと、前記可動サポートの中空部内に挿設され、前記絶縁支持体側の一端部に前記絶縁操作ロッドの先端部が継手を介して連結され、前記固定アーク接触子に対向する他端部に前記可動アーク接触子が設けられた可動排気パイプと、を具備し、
前記可動排気パイプは、前記熱ガス流をその一端部側から前記可動サポートの中空部へ排気する排気孔を備え、前記可動サポートは、前記熱ガス流を前記容器内に排出する排出口を備え、前記絶縁操作ロッドが最も前記絶縁支持体側に位置するときに、前記可動サポート及び前記絶縁支持体のそれぞれの中空部を互いに連通する開口部を封止する封止構造を備え、前記絶縁操作ロッドの先端部が、最も前記固定サポート側の位置及び最も前記絶縁支持体側の位置の間で移動する途中で、前記排気孔から排気された前記熱ガス流が前記絶縁支持体の中空部に流入するのを抑制する熱ガス流制御構造をさらに具備することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、可動排気パイプの内部を通って可動サポートの中空部に排気された熱ガス流は、封止構造によって絶縁支持体の中空部に流入するのが妨げられる。これにより、絶縁支持体を構成する絶縁材料の炭化を防ぐことができ、絶縁支持体の絶縁性能の低下を抑止し、地絡発生を抑制することができる。
【0012】
本発明のガス絶縁開閉装置の一態様において、前記封止構造は、第1中空部材と、該第1中空部材の内部を摺動する前記継手と、で少なくとも構成されることが好ましい。
【0013】
また、本発明のガス絶縁開閉装置の一態様において、前記封止構造は摺動部材をさらに含み、前記継手が前記摺動部材を介して前記第1中空部材の内部を摺動することが好ましい。
【0014】
また、本発明のガス絶縁開閉装置の一態様において、前記封止構造は、第1中空部材と、該第1中空部材の内部に進退可能な前記継手とを有し、前記第1中空部材の内壁面には、前記継手の外周面に摺接する摺接部材が設けられるようにしてもよい。
【0016】
また、本発明のガス絶縁開閉装置の一態様において、前記第1中空部材は、前記開口部を塞ぐフランジ部を有することが好ましい。
【0017】
また、本発明のガス絶縁開閉装置の一態様において、
前記可動排気パイプは、前記熱ガス流をその一端部側から前記可動サポートの中空部へ排気する排気孔を備え、前記絶縁操作ロッドの先端部が、最も前記固定サポート側の位置及び最も前記絶縁支持体側の位置の間で移動する途中で、前記排気孔から排気された前記熱ガス流が前記絶縁支持体の中空部に流入するのを抑制する熱ガス流制御構造をさらに具備することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、可動排気パイプの内部を通って可動サポートの中空部に排気された熱ガス流は、熱ガス流制御構造によって絶縁支持体の中空部に流入するのが抑制される。これにより、絶縁支持体を構成する絶縁材料の炭化を防ぐことができ、絶縁支持体の絶縁性能の低下を抑止し、地絡発生を抑制することができる。
【0019】
また、本発明のガス絶縁開閉装置の一態様において、前記熱ガス流制御構造は、前記可動排気パイプの長軸方向に沿って配設された遮蔽体を含み、前記遮蔽体には前記排気孔を前記可動サポートの中空部に向って開放する間隙部が設けられていることが好ましい。
【0020】
また、本発明のガス絶縁開閉装置の一態様において、前記遮蔽体は、前記継手が内部を通過可能な第2中空部材であり、前記間隙部は、前記第2中空部材に形成されたスリット部であることが好ましい。
【0021】
本発明のガス絶縁開閉装置の一態様において、前記熱ガス流制御構造は、前記継手が前記第2中空部材の内部を摺動することが好ましい。
【0022】
本発明のガス絶縁開閉装置の一態様において、前記熱ガス流制御構造は摺動部材をさらに含み、前記継手が前記摺動部材を介して前記第2中空部材の内部を摺動することが好ましい。
【0023】
本発明のガス絶縁開閉装置の一態様において、前記第1中空部材及び前記第2中空部材が一つの部材で構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明のガス絶縁開閉装置によれば、熱ガス流による絶縁材料の炭化を抑制し、地絡の発生を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態に係るガス遮断器を備えるガス絶縁開閉装置について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明に係るガス遮断器については、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0027】
図1は、本実施の形態に係るガス遮断器を示す部分断面図である。
図1に示すように、ガス遮断器1は、SF6ガス等の絶縁性ガス(消弧性ガス)を充填した金属容器(容器)2と、金属容器2内に配置された三相の消弧室3とを含んで構成される。金属容器2内には、密閉空間21が形成されている。この密閉空間21には、消弧性ガスが封入されており、数気圧(例えば、6気圧)に維持されている。三相の消弧室3は、密閉空間21内に設置されている。ガス遮断器1は、消弧室3内の電極間に発生するアーク放電(アーク)に対して消弧性ガスを吹き付けて大電流の短絡電流を瞬時に遮断するように構成されている。
【0028】
なお、
図1に示すガス遮断器1においては、説明の便宜上、消弧室3が鉛直方向に延在する場合について説明している。しかしながら、ガス遮断器1の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。本発明は、消弧室3が水平方向に延在するガス遮断器1にも適用することができる。
【0029】
また、ガス遮断器1は、三相の消弧室3を備えているが、特に限定されず、例えば、一相の消弧室3のみを備えていてもよい。
【0030】
以下、消弧室3の内部構造について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図2は、本実施の形態に係るガス遮断器1における内部構造の説明図である。
図2においては、
図1に示す電極(固定電極及び可動電極)周辺を拡大して示している。
図2Aにおいては、ガス遮断器1における閉路状態を示し、
図2Bにおいては、ガス遮断器1における開路状態を示している。なお、
図2においては、説明の便宜上、可動サポート51の一部のみを示している。
【0031】
各消弧室3は、
図1に示す上下に対向して配置された固定部4及び可動部5と、可動部5を支持する絶縁支持体6とを備える。固定部4は、固定サポート41と、固定主接触子42と、固定アーク接触子43とを有する。固定サポート41は、上底を有する有底円筒形状を有し、下方側に開口している。固定サポート41の側面には、開口部411が設けられている。固定主接触子42は、固定サポート41の下端部の近傍に設けられ、後述する可動主接触子55の外周面に摺接可能な寸法を有している。固定アーク接触子43は、固定サポート41の一部に支持されており、棒状導体で構成される。固定アーク接触子43は、固定サポート41の中心に設けられ、
図1に示す上下方向に延在して配置されている。これらの固定主接触子42及び固定アーク接触子43により固定接点(固定電極)が構成される。
【0032】
一方、可動部5は、可動サポート51と、パッファシリンダ52と、摺動部53と、ノズル54と、可動主接触子55とを有する。可動サポート51は、概して円筒形状を有し、上下方側に開口している。また、可動サポート51の側面には、2つの排出口511(511a、511b)が形成されている(
図5B参照)。パッファシリンダ52は、可動サポート51の上端側に配置される。パッファシリンダ52の内側には、摺動部53が摺動可能に設けられている。
【0033】
パッファシリンダ52の内側には、後述する可動排気パイプ56の外周面との間に機械パッファ室521が形成されている。また、摺動部53の内側には、後述するノズル内壁部542との間に熱パッファ室522が形成されている。摺動部53とノズル内壁部542との間には連通路523が形成され、連通路523の熱パッファ室522側には、逆止弁524が取り付けられている(
図2A参照)。
【0034】
ノズル54は、
図2Aに示すように、ノズル外壁部541とノズル内壁部542とで構成され、ノズル外壁部541とノズル内壁部542との間には連通路543が形成されている。ノズル内壁部542は、概して円筒形状を有し、後述する可動排気パイプ56の他端部(上端部)が嵌装される。一方、ノズル外壁部541は、摺動部53の上端部に嵌合して固定される。ノズル外壁部541は、可動主接触子55の内側に配置されている。ノズル外壁部541は、概して漏斗形状を有し、摺動部53の上面から上方側に延出している。
【0035】
また、可動主接触子55は、摺動部53の上端部の外周部に設けられている。可動主接触子55は、概して円筒形状を有し、摺動部53の上面から上方側に延出している。可動主接触子55は、固定主接触子42の内周面に摺接可能な寸法を有している。
【0036】
また、可動部5は、可動排気パイプ56、可動アーク接触子57と、固定ピストン58と、絶縁操作ロッド59とを有する。
【0037】
可動排気パイプ56は、概して円筒形状を有する。可動排気パイプ56は、可動サポート51、パッファシリンダ52及び摺動部53の中空内部に挿設されている。また、可動排気パイプ56の、絶縁支持体6側の一端部(下端部)には、後述する絶縁操作ロッド59の先端部が継手591を介して連結されている。さらに、可動排気パイプ56の一端部の近傍には、2つの排気孔561a、561bが形成され、可動排気パイプ56の中空内部は、可動サポート51の中空部512と連通している。一方、可動排気パイプ56の、固定アーク接触子43に対向する他端部(上端部)は、可動アーク接触子57を支持している。
【0038】
2つの排気孔561a、561bは、互いに180°対向して形成されていると共に、可動サポート51の、2つの排出口511a、511bに対して90°回転した位置に形成されている。
【0039】
可動アーク接触子57は、概して円筒形状を有する。可動アーク接触子57は、摺動部53の中央部分で
図1に示す上下方向に延在している。可動アーク接触子57の上端部には、固定アーク接触子43に摺接可能な孔571が形成されている。これらの可動主接触子55及び可動アーク接触子57により可動接点(可動電極)が構成される。
【0040】
固定ピストン58は、
図2Aに示すように、可動サポート51の一部に取り付けられるフランジ部581と、パッファシリンダ52内で上下に延在するピストン部582とを有する。ピストン部582は、概して円筒形状を有している。ピストン部582は、パッファシリンダ52内の機械パッファ室521内に収容されている。ピストン部582の上端部は、摺動部53の内周面に摺接可能な寸法を有している。また、ピストン部582には、機械パッファ室521と可動サポート51の中空部512とを互いに連通する連通路583が形成されている。連通路583の中空部512側には、放圧弁(リリース弁)584が取り付けられている。放圧弁584により、機械パッファ室521内の所定以上の圧力上昇を抑制することができる。連通路583の機械パッファ室521側には、逆止弁585が取り付けられている。逆止弁585により、投入動作時に機械パッファ室521が負圧になるのを抑制することができる。
【0041】
絶縁操作ロッド59は、一端部(上端部)が可動サポート51の中空部512内に突出可能であり、可動排気パイプ56に連結される一方、他端部(下端部)が不図示の操作機構に接続される。絶縁操作ロッド59は、例えば、エポキシ樹脂等の絶縁材料で構成される。また、絶縁操作ロッド59は、操作機構の駆動力を受けてその先端部を可動サポート51の中空部512内で往復移動し、その結果、摺動部53及び可動排気パイプ56を可動サポート51及びパッファシリンダ52内にて上下移動させる。可動排気パイプ56の上下移動に伴い、可動排気パイプ56に支持される可動アーク接触子57や、摺動部53の一部に設けられるノズル54及び可動主接触子55が一体的に移動可能に構成されている。
【0042】
絶縁支持体6は、例えば、エポキシ樹脂等の絶縁材料で構成される。絶縁支持体6は、可動部5の下方側に配置されている。絶縁支持体6は、一端部(下端部)が固定ベース61上に固定される一方(
図1参照)、他端部(上端部)が可動部5の可動サポート51の下端部に固定されている。すなわち、絶縁支持体6は、下方側から可動サポート51を支持する。固定ベース61は、金属容器2に電気的に接続された接地電位で構成される。
【0043】
以上説明した本実施の形態に係るガス遮断器1においては、可動サポート51は、パッファシリンダ52を間に挟んで、固定サポート41に対向して配置されている。本明細書において、2つの部材が「対向する」と言った場合、両者の間に他の部材が介在してもよいし、しなくてもよい。
【0044】
ここで、本実施の形態に係るガス遮断器1における消弧原理について、
図2及び
図3を参照して説明する。
図3は、本実施の形態に係るガス遮断器1における消弧原理の説明図である。
図3は、ガス遮断器1における可動接点の開極位置での状態を示している。
【0045】
図2Aに示す閉路状態においては、絶縁操作ロッド59により可動排気パイプ56が押し上げられている。可動排気パイプ56の上方移動に伴い、摺動部53、ノズル54、可動主接触子55、及び、可動アーク接触子57も押し上げられている。この場合、固定主接触子42は、可動主接触子55の外周面に接触している。また、固定アーク接触子43は、孔571に挿入され、可動アーク接触子57に接触している。一方、固定ピストン58は、可動サポート51に固定されている。このため、摺動部53の上方移動に伴い、機械パッファ室521内に消弧性ガスが導入(吸引)された状態となっている。
【0046】
図2Aに示す閉路状態から開路状態に移行する場合には、
図2Bに示すように、絶縁操作ロッド59により可動排気パイプ56が引き下げられる。可動排気パイプ56の下方移動に伴い、摺動部53、ノズル54、可動主接触子55、及び、可動アーク接触子57も引き下げられている。摺動部53の下方移動の過程において、可動主接触子55は、可動アーク接触子57に先立って固定主接触子42から離間する。すなわち、可動アーク接触子57は、固定主接触子42に対する可動主接触子55の離間よりも遅いタイミングで固定アーク接触子43から離間する。このため、
図3に示すように、固定アーク接触子43から可動アーク接触子57が離間、すなわち開極した後、これらのアーク接触子43、57間でアーク放電が発生する。
【0047】
熱パッファ室522内の消弧性ガスが、アーク放電の発生時の熱により加熱され、熱パッファ室522内の圧力が急速に上昇する。そして、消弧性ガスが、連通路543を通り、アーク放電に吹き付けられる。
【0048】
さらに、上述のように、固定ピストン58は、可動サポート51に固定されている。このため、摺動部53の下方移動に伴い、固定ピストン58のピストン部582によって機械パッファ室521内に配置された消弧性ガスが圧縮され、機械パッファ室521の圧力が上昇する。そして、熱パッファ室522の圧力より上昇すると、機械パッファ室521と熱パッファ室522とを隔離していた逆止弁524が開放され、圧縮された消弧性ガスが、連通路523を介して熱パッファ室522に流入し、さらに連通路543を通り、アーク放電に吹き付けられる。これにより、固定アーク接触子43と可動アーク接触子57との間に発生したアーク放電が消弧される。
【0049】
ガス遮断器1においては、アーク放電の消弧過程において熱ガス流が発生する。この熱ガス流は、高温且つ低密度のガス(以下、単に「高温ガス」という)で構成される。このような熱ガス流の一部は、固定サポート41に導入されて冷却された後、固定サポート41に形成された開口部411(
図1参照)から金属容器2内に排出される。
【0050】
また、熱ガス流の一部は、可動排気パイプ56の他端部(上端部)側、すなわち可動アーク接触子57に形成された孔571からその内部に流入し、可動排気パイプ56の一端部(下端部)側、すなわち排気孔561a、561bから可動サポート51の中空部512へ排気される。さらに、熱ガス流は、可動サポート51に形成された排出口511a、511bから金属容器2内に排出される。
【0051】
ところで、本実施の形態に係るガス遮断器1では、可動サポート51の中空部512において、可動排気パイプ56の一端部に、絶縁操作ロッド59の先端部が継手591を介して連結し、消弧室3のコンパクト化を図っている。このような構成を採用したことにより、可動サポート51の中空部512内での熱ガス流の流動経路を考慮する必要が生じた。
【0052】
図4は、ガス遮断器の参考例における熱ガス流の流れを示す説明図である。
図4では、本実施の形態と同様の構成については同一の符号を付す。
図4中の矢印は、熱ガス流を示している。
【0053】
図4に示す従来のガス遮断器1における消弧室3においては、可動排気パイプ56の排気孔561a、561bを通って中空部512に熱ガス流が排出される。そして、熱ガス流は、一度可動サポート51の内壁面に衝突してから90°位置のずれた排出口511a、511bから金属容器2内へ排出される。しかし、熱ガス流の一部が、可動サポート51の中空部512と絶縁支持体6の中空部601とが互いに連通する開口部602を通って、絶縁支持体6の中空部601に流入する場合がある。この場合、絶縁支持体6の内面を構成する絶縁材料に熱ガス流が吹付けられることで、絶縁が低下し、遮断後に印加される回復電圧に耐えられず地絡にいたる場合がある。
【0054】
特に、ガス遮断器1が開閉する電流が大きくなった場合、上記の課題はより顕著になる。
【0055】
本発明者らは、可動サポート51の中空部512から絶縁支持体6の中空部601に流入した熱ガス流が、絶縁材料の絶縁の低下を招くおそれがあることに着目した。そして、絶縁支持体6の中空部601に熱ガス流が流入するのを抑制することが、ガス遮断器1における地絡発生を抑制できることを見出し、本発明に想到した。
【0056】
すなわち、本発明に係るガス遮断器1の骨子は、第1に、絶縁操作ロッド59の先端部が最も絶縁支持体6側(
図1の上下において最下端)に位置するとき、上述の開口部602を塞ぎ、可動排気パイプ56の一端部側から排気された熱ガス流が、絶縁支持体6の中空部601に流入するのを防止する封止構造を備えることである。
【0057】
この構成によれば、可動排気パイプ56の内部を通って可動サポート51の中空部512に排気された熱ガス流は、封止構造によって絶縁支持体6の中空部601に流入するのが妨げられる。これにより、絶縁支持体6を構成する絶縁材料の炭化を防ぐことができ、絶縁支持体6の絶縁性能の低下を抑止し、地絡発生を抑制することができる。
【0058】
ここで、本発明の封止構造は、継手591と、その内部を継手591が摺動する第1中空部材と、で少なくとも構成されることが好ましい。また、封止構造は摺動部材を含み、継手591が、摺動部材を介して第1中空部材に対して摺動することが好ましい。
【0059】
また、本発明に係るガス遮断器1の骨子は、第2に、往復移動を行う絶縁操作ロッド59の先端部が、最も絶縁支持体6側の位置(
図1の上下において最下端)から最も固定部4側の位置、(
図1に示す上下において最上端)に移動する途中で、可動排気パイプ56の一端部側から排気された熱ガス流が、開口部602を通って絶縁支持体6の中空部601に流入するのを抑制する熱ガス流制御構造を備えることである。
【0060】
この構成によれば、可動排気パイプ56の内部を通って可動サポート51の中空部512に排気された熱ガス流は、熱ガス流制御構造によって絶縁支持体6の中空部601に流入するのが抑制される。これにより、絶縁支持体6を構成する絶縁材料の炭化を防ぐことができ、絶縁支持体6の絶縁性能の低下を抑止し、地絡発生を抑制することができる。
【0061】
本発明の熱ガス流制御構造は、可動排気パイプ56の長軸方向に沿って配設された遮蔽体を含むことが好ましい。さらに、遮蔽体には排気孔561a、561bを可動サポート51の中空部512に向って開放する間隙部が設けられていることが好ましい。
【0062】
また、遮蔽体は、継手591が内部を通過可能な第2中空部材であり、間隙部が、第2中空部材に形成されたスリット部であることが好ましい。
【0063】
以降の説明において、絶縁操作ロッド59の先端部が最も絶縁支持体6側にある位置を最大開路位置という。一方、絶縁操作ロッド59の先端部が最も固定部4側にある位置を、最大閉路位置という。また、固定アーク接触子43及び可動アーク接触子57が開極したときの、絶縁操作ロッド59の先端部の位置を接点開極位置という。
【0064】
以下、本実施の形態に係るガス遮断器1における封止構造及び熱ガス流制御構造について説明する。
【0065】
例えば、ガス遮断器1は、
図2Aに示すように、上述の第1中空部材及び第2中空部材の一例として、中空パイプ71を備えている。中空パイプ71は、その内部を継手591が移動する、言い換えれば、その内部を絶縁操作ロッド59の先端部が移動するように構成されている。
【0066】
中空パイプ71の絶縁支持体6側(
図2Aの上下において下端側)の端部(以下、下端部という)には、フランジ部711を有し、可動サポート51の一部(底部)に、ボルト(不図示)で取り付けられている。また、中空パイプ71の固定部4側(
図2Aの上下において上端側)の端部(以下、上端部という)は、可動サポート51の中空部512内に開放されている。
【0067】
中空パイプ71は、例えば、
図2Aの上下において上方から視た場合、可動排気パイプ56及び絶縁操作ロッド59と同一軸上に配置されている。
【0068】
中空パイプ71の長さに関しては、例えば、
図3に示すように、固定アーク接触子43及び可動アーク接触子57が開極したとき、すなわち、絶縁操作ロッド59が接点開極位置にあるとき、排気孔561a、561bの上端が、中空パイプ71の上端よりも低くなるように構成されている。
【0069】
中空パイプ71の側面部には、上述の間隙部の一例として、2つの排気孔561a、561bのそれぞれに対応して、2つのスリット部712a、712bがそれぞれ形成されている。絶縁操作ロッド59の先端部が、最大閉路位置から最大開路位置の間で移動する途中で、可動排気パイプ56も移動するが、その最中、スリット部712a、712bは、2つの排気孔561a、561bが、可動サポート51の中空部512に開放されるように形成されている。
【0070】
本実施の形態では、スリット部712a、712bの幅は、排気孔561a、561bの幅(
図1における横(水平)方向の長さ)よりもわずかに広く構成されている(
図6B参照)。
【0071】
このようなスリット部712a、712bにより、絶縁操作ロッド59の先端部が、最大閉路位置から最大開路位置の間で移動する途中で、排気孔561a、561bからの熱ガス流の排出が中空パイプ71により妨げられることがない。
【0072】
また、
図2に示すように、継手591の最も外径が大きい部分(以下、最大径部という)には、上述の摺動部材の一例であるウェアリング592が設けられている。本実施の形態では、ウェアリング592は環状であり、継手591に形成された嵌合溝に嵌合されている。継手591の最大径部は、中空パイプ71の内径より小さい。ウェアリング592の外径は、中空パイプ71の内壁面を摺動可能な寸法になっている。したがって、継手591は、ウェアリング592を介して中空パイプ71に対して摺動する。なお、ウェアリング592の材質は、例えばテフロン(登録商標)であるが特に限定されない。
【0073】
図5〜
図7を参照して、本実施の形態に係るガス遮断器1における、最大閉路位置、接点開極位置、及び、最大開路位置における、継手591及び中空パイプ71との位置関係を説明する。
図5は、本実施の形態に係るガス遮断器1の最大閉路位置での内部構造の説明図である。
図5Aは、ガス遮断器1を正面から見た状態を示し、
図5Bは、
図5Aに示すガス遮断器1を水平方向に90°回転させた状態を示す。
【0074】
図5A及び
図5Bに示すように、最大閉路位置では、継手591は、最も上端に位置する。そして、可動排気パイプ56に形成された排気孔561a、561bの一部は、中空パイプ71の上端よりも上側に位置している。
【0075】
絶縁操作ロッド59の上端部が最大閉路位置にあるとき、固定アーク接触子43及び可動アーク接触子57は、
図2Aに示すように閉路状態にあるため、未だアークは発生していないので熱ガス流は生じていない。したがって、排気孔561a、561bから熱ガス流は排気されない。
【0076】
図6は、本実施の形態に係るガス遮断器1の接点開極位置での内部構造の説明図である。
図6Aは、ガス遮断器1を正面から見た状態を示し、
図6Bは、
図6Aに示すガス遮断器1を水平方向に90°回転させた状態を示す。
【0077】
図6A及び
図6Bに示すように、接点開極位置では、最大閉路位置に比べ、絶縁操作ロッド59の先端部が下降(絶縁支持体6側に移動)するので、排気孔561a、561bが、スリット部712a、712bの上端部に対応する位置に配置され、排気孔561a、561bの全体が、可動サポート51の中空部512に開放されるようになる。
図3を用いて説明したように、固定アーク接触子43及び可動アーク接触子57が開極するとアーク放電が発生し、これに伴い、熱ガス流が発生する。そして、熱ガス流が、排気孔561a、561bから、スリット部712a、712bを通って、中空部512に排出される。
【0078】
排気孔561a、561bから排出された熱ガス流は、可動サポート51の内壁面に当たって当該内壁面に沿って横方向及び縦方向に拡散する。そして、熱ガス流の一部が、
図4に示すように絶縁操作ロッド59の中心方向に向かい、さらに絶縁支持体6の中空部602に侵入しようとする。しかしながら、中空パイプ71の側面部のうち、スリット部712a、712bが形成されていない部分(以下、遮蔽部分という)が、熱ガス流を遮蔽する。この遮蔽部分が、上述の遮蔽体の一例である。また、熱ガス流が、スリット部712a、712bを通り、さらに中空パイプ71の内壁面と可動排気パイプ56及び絶縁操作ロッド59との間の隙間を通って、絶縁支持体6の中空部601へ向おうとする。しかし、このような熱ガス流の侵入経路は、圧力損失が大きくなっているので、熱ガス流が侵入しにくい。この結果、一部の熱ガス流が中空部601に流入する可能性があるものの、その濃度は低く、絶縁支持体6の絶縁低下を防止できる程度に熱ガス流の流入を抑制することができる。
【0079】
その後、絶縁操作ロッド59の先端部はさらに下降し続ける。そして絶縁操作ロッド59の先端部と共に継手591も下降する。継手591と、中空パイプ71の内壁面の間には、ウェアリング592が介在し、継手591は、中空パイプ71に対して摺動するようになっている。また、中空パイプ71は、フランジ部711により可動サポート51に固定されている。このため、継手591の水平方向の動きが、フランジ部711により可動サポート51に取り付けられた中空パイプ71の内壁面によって規制される。
【0080】
また、中空パイプ71のスリット部712a、712bは、排気孔561a、561bの移動経路に沿って連続して形成されているので、移動の途中にも、排気孔561a、561bから排出された熱ガス流は、スリット部712a、712bを通って、中空部512に排出され続ける。このときも、中空パイプ71の遮蔽部分及びスリット部712a、712bを経由する侵入経路の圧力損失によって、
図6を参照して説明したときと同様に、熱ガス流が絶縁支持体6の中空部601に流入するのを抑制することができる。
【0081】
図7は、本実施の形態に係るガス遮断器1の最大開路位置での内部構造の説明図である。
図7Aは、ガス遮断器1を正面から見た状態を示し、
図7Bは、
図7Aに示すガス遮断器1を水平方向に90°回転させた状態を示す。
【0082】
図7A及び
図7Bに示すように、最大開路位置においても、排気孔561a、561bが、スリット部712a、712bの下端部に対応する位置に配置され、排気孔561a、561bの全体が、可動サポート51の中空部512に開放されている。そして、熱ガス流が、排気孔561a、561bから、スリット部712a、712bを通って、中空部512に排出される。
【0083】
また、絶縁操作ロッド59が最開路位置にあるとき、すなわち、排気孔561a、561bが最も絶縁支持体6側にあるとき、可動サポート51の排出口511a、511bの近傍は、消弧性ガスの濃度が最も高くなっている。このような状態で熱ガス流が絶縁支持体6の中空部601に流入すると、絶縁支持体6を構成する絶縁材料に対するダメージが大きい。
【0084】
そこで、本実施の形態では、
図7A、
図7Bに示すように、中空パイプ71の下端側にフランジ部711を設け、可動サポート51及び絶縁支持体6のそれぞれの中空部512、601を互いに連通する開口部602の上端側(可動サポート51側)の開口端部を塞いでいる。
【0085】
また、中空パイプ71の下端側の側面部は、スリット部712a、712bが形成されていない。したがって、この部分では、中空パイプ71を水平断面で見ると連続した円形状になっている。このようなフランジ部711を有し、かつ、スリット部712a、712bが形成されていない中空パイプ71の一部分を、上述の第1中空部材の一例であるフランジ付中空構造713(
図7A、
図7B参照)という。一方、中空パイプ71のスリット部712a、712bが形成された他の部分を、上述の第2中空部材の一例であるスリット付中空構造714と呼ぶ。
【0086】
そして、上述のように、継手591にはウェアリング592が嵌設されている。これにより、継手591は、フランジ付中空構造713に対して、ウェアリング592を介して摺動するように構成されている。したがって、可動サポート51及び絶縁支持体6のそれぞれの中空部512、601を互いに連通する開口部602を、フランジ付中空構造713のフランジ部711で塞ぎ、さらに、継手591及びウェアリング592により、フランジ付中空構造713の開口部を塞いでいる。これにより、熱ガス流が開口部602を通って、絶縁支持体6の中空部601に流入するのを防止している。この結果、絶縁支持体6の絶縁低下を防止することができる。
【0087】
次に、上記実施の形態でのスリット付中空構造714における、熱ガス流の遮蔽効果についてより詳細に説明する。上記実施の形態のスリット付中空構造714において、スリット部712a、712bの幅は、熱ガス流の排気効率の観点から、少なくとも排気孔561a、561bの幅よりも広ければよい。論理的には、スリット部712a、712bの幅をより広くすることも可能である。その場合、上述の熱ガス流を遮蔽する遮蔽部分が小さくなる。
【0088】
図8は、本実施の形態に係るガス遮断器1における熱ガス流の動きを示す説明図である。
図8Aは、
図6A中のA−A線に対応する断面を示す模式図である。
図8Bは、参考例を示す模式図である。
図8A、
図8B中の矢印は熱ガス流の流れを示す。
【0089】
図8Aに示すように、排気孔561a、561bから噴き出した熱ガス流は、可動サポート51の内壁面に衝突し、排気孔561a、561bに対して90°回転した位置に向って流れていく。したがって、この熱ガス流が流れる先に中空パイプ71の遮蔽部分が存在すれば、効率的に熱ガス流を遮蔽することできる。
【0090】
一方、
図8Bに示すように、中空パイプ71の排気孔561a、561bに対して90°回転した位置に隙間801があり、中空パイプ71の遮蔽部分が存在しないと、熱ガス流を充分に遮蔽することができない。
【0091】
したがって、スリット部712a、712bの幅は、少なくとも排気孔561a、561bの幅よりも広く、排気孔561a、561bに対して90°回転した位置に、遮蔽部分が残されるように設定すればよいことがわかる。
【0092】
なお、
図8Aに示すように、排気孔561a、561bから吹き出した熱ガス流が衝突し、排気孔561a、561bに対して90°回転した位置に熱ガス流が向かうが、実際には、それ以外の方向にも熱ガス流は拡散する。そこで、可動サポート51の内壁面の、排気孔561a、561bと対向する箇所に、例えば、水平方向の断面がくさび状の整流部材を配設して、排気孔561a、561bに対して90°回転した位置にある遮蔽部分に向う熱ガス流の割合を高め、遮蔽効率を向上するようにしてもよい。
【0093】
上記実施の形態では、絶縁操作ロッド59に駆動力を伝達する操作機構は、モータ(不図示)の回転運動を上下運動に変換しているので、絶縁操作ロッド59の先端部に取り付けられた継手591が水平方向に振動しやすい。継手591が振動すると、中空構造に対して軸ずれを起し、継手591が中空構造の内部に嵌入しづらくなる。しかし、スリット付中空構造714では、ウェアリング592を介して継手591が摺動移動するように構成されている。これにより、継手591の水平方向の動きが規制されているので、継手591の振動を抑えることができる。このため、スリット付中空構造714がガイドとなり、継手591が、軸ずれをおこすことなく、フランジ付中空構造713にスムーズに嵌入することができる。
【0094】
また、上記実施の形態では、スリット部712a、712bの下端部の位置は、最大開路位置での排気孔561a、561bの下端部の位置と略同一である。しかし、スリット部712a、712bが、さらに下方に長く、スリット部712a、712bの下端部の位置が、排気孔561a、561bの下端部よりもさらに下であって構わない。
【0095】
また、上記実施の形態では、スリット部712a、712bの上端部は閉じているが、スリット部712a、712bが中空パイプ71の上端部にまで達し、当該上端部が開放されていてもよい。
【0096】
また、上記実施の形態では、
図6A、
図6Bに示すように、絶縁操作ロッド59が接点開極位置に位置するとき、スリット部712a、712bから排気孔561a、561bを開放させ、熱ガス流を排出している。これに代えて、絶縁操作ロッド59が接点開極位置よりもさらに下方に下がるまで、排気孔561a、561bを中空パイプ70の側壁部で塞いでもよい。この場合、接点開極位置でアーク放電が起こり、熱ガス流が十分に発生し、圧力が高まるまで、スリット部712a、712bから排気孔561a、561bが開放するタイミングを遅らせることができる。
【0097】
また、上記実施の形態における中空パイプ71を2つに分割し、フランジ付中空構造713を第1中空部材とし、スリット付中空構造714を第2中空部材とし、別々の中空部材で構成してもよい。この場合、2つの中空部材の間は隙間があってもよいが、本発明の効果を発揮するには、第1中空部材及び第2中空部材は連結されていることが好ましい。
【0098】
次に、本発明のガス遮断器の変形例について説明する。
図9は、本実施の形態に係るガス遮断器の変形例を示す説明図である。上記実施の形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
図9Aは、変形例のガス遮断器の最大閉路位置での状態を示し、
図9Bは、変形例のガス遮断器の最大開路位置での状態を示す。
【0099】
図9に示すように、変形例のガス遮断器は、中空パイプ71のフランジ付中空構造713(
図7参照)の代わりに、第1中空部材の一例であるフランジ付中空部材90を備えている。フランジ付中空部材90は、絶縁支持体6側の端部に、フランジ部901を有し、可動サポート51の一部(底部)に、ボルト(不図示)で取り付けられている。また、フランジ付中空部材90の固定部4側の端部は、可動サポート51の中空部512内に開放されている。継手591は、フランジ付中空部材90の内部に進退可能に構成されている。
【0100】
フランジ付中空部材90は、
図9Aの上下において上方から視た場合、可動排気パイプ56及び絶縁操作ロッド59と同一軸上に配置されている。
【0101】
変形例のガス遮断器では、継手591であって、ウェアリング592が嵌設された最大径部の下側に、第2中空部材の一例であるカバー部材902を設けている。カバー部材902は、概して円筒形状を有している。カバー部材902の外径は、ウェアリング592の外径よりも小さい。また、カバー部材902の外径は、フランジ付中空部材90の内部に進退可能な寸法に構成されている。
【0102】
カバー部材902の上端部は継手591に取り付けられている。したがって、継手591の上下移動に伴ってカバー部材902も上下移動する。カバー部材902は、継手591の最大径部の下方側から絶縁支持体6側に伸びている。なお、カバー部材902の材質は、特に限定されないが、絶縁材料で形成することが好ましい。
【0103】
カバー部材902の下端部の周面上には、摺動部材の一例であるウェアリング903が取り付けられている。
図9Aに示すように、最大閉路位置では、カバー部材902の下端部は、フランジ付中空部材90に挿入され、ウェアリング903を介して、フランジ付中空部材90の内壁面に摺動するように構成されている。
【0104】
そして、絶縁操作ロッド59の先端部が、最大閉路位置から最大開路位置の間で移動する途中では、カバー部材902は、継手591と共に下方に移動し、フランジ付中空部材90の内側に挿入されていく。このため、フランジ付中空部材90及びカバー部材902により、排気孔561a、562bから排出された熱ガス流が、可動サポート51及び絶縁支持体6のそれぞれの中空部512、601を互いに連通する開口部602に流入するのをカバー部材902で抑制することができる。この結果、絶縁支持体6の絶縁低下を防止することができる。
【0105】
なお、ウェアリング592およびウェアリング903に代わり、フランジ付中空部材90の内壁面にウェアリングを取り付けてもよい。この場合、ウェアリングは、継手591及びカバー部材902の外周面に摺接する摺接部材として機能する。このような構成とした場合でも、開口部602に対する熱ガス流の流入を抑制することができる。
【0106】
また、この変形例では、継手591の最大径部の下方側にカバー部材902が設けられる構成について説明しているが、カバー部材902の構成についてはこれに限定されない。例えば、継手591の外側で操作ロッド59の移動方向(
図9に示す上下方向)に伸びる構成とし、その外周面にフランジ付中空部材90の内壁面に取り付けられたウェアリング(摺接部材)を摺接させるようにしてもよい。
【0107】
また、
図9Bに示すように、絶縁操作ロッド59が最開路位置にあるとき、フランジ付中空部材90の下端側に設けられたフランジ部901で、開口部602の上端側(可動サポート51側)の開口端部を塞いでいる。
【0108】
そして、継手591にはウェアリング592が嵌設されている。これにより、継手591がフランジ付中空部材90に対してウェアリング592を介して摺動するように構成されている。したがって、可動サポート51及び絶縁支持体6のそれぞれの中空部512、601を互いに連通する開口部602を、フランジ付中空部材90のフランジ部901で塞ぎ、さらに、継手591及びウェアリング592によって、フランジ付中空部材90の開口部を塞いでいる。これにより、熱ガス流が開口部602を通って、絶縁支持体6の中空部601に流入するのを防止している。この結果、絶縁支持体6の絶縁低下を防止することができる。
【0109】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている部材や孔などの大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
【0110】
例えば、上記実施の形態においては、スリット部712a、712bのぞれぞれは垂直方向(中空パイプ71の長軸方向)に長く伸びた形状である場合を例に挙げて説明したが、当該スリット部712a、712bが、水平方向に分割されている場合や、スリット部が垂直方向に分割されている場合も、本発明に包含される。
【0111】
また、上記実施の形態では、本発明の第1中空部材としてフランジ付中空構造713を例に挙げて説明しているが、フランジ部711を用いずに、中空パイプ71の下端部を、例えば、開口部602(
図2A参照)の可動サポート51側に直接嵌合してもよいし、中空パイプ71の下端部を、可動サポート51の一部(底部)に溶接してもよい。
【0112】
また、上記実施の形態では、本発明の第2中空部材の一例としてスリット付中空構造714を例に挙げて説明しているが、中空パイプ71にスリット部712a、712bを設けるのではなく、水平断面が円弧状の遮蔽体(壁部材)を少なくとも2つ用意して、互いの間に排気孔を開放するための間隙を設けて、可動排気パイプ56の長手方向に沿って配設し、全体としてスリット付中空構造714と同等の機能を実現してもよい。
【0113】
また、上記実施の形態において、スリット部712a、712bからの熱ガス流の侵入をより低減するために、排気孔561a、561bに対応する箇所を除いてスリット部712a、712bを覆うカバーを設け、排気孔561a、561bが常に開放されるように、継手591と連動してカバーを上下移動させる構成を採用してもよい。
【0114】
上記実施の形態では、継手591及び中空パイプ71で上述の封止構造及び熱ガス流制御構造の両方を実現しているが、ガス遮断器に封止構造及び熱ガス流制御構造のいずれか一方のみを設けてもよい。
【0115】
上記実施の形態では、継手591が、摺動部材の一例であるウェアリング592を介して中空パイプ71に対して摺動する場合を例に挙げて説明したが、継手591及び中空パイプ71の内壁面の間で、十分な潤滑性及び耐摩耗性があり、本発明の効果を発揮するのに十分な封止性能が確保できれば、摺動部材は必ずしも必要がない。