(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱可塑性樹脂からなり且つ非ラミネート構造の器壁を有していると共に、該器壁内部に発泡セルが分布している発泡領域が少なくとも胴部の一部に存在している発泡延伸プラスチック容器において、
前記発泡セルは、前記胴部の外面から見ての円相当直径が1〜15mmの範囲にある大気泡セルを含んでおり、該大気泡セルが胴部外面から視認されると共に、
前記発泡領域には、前記大気泡セルが、前記胴部の外面からみて、1cm2の領域でみた時の最大数が30個/cm2以下で分布しており、これにより該発泡領域が粗粒状外観を有していることを特徴とする発泡延伸プラスチック容器。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<延伸発泡プラスチック容器及び原理>
本発明の発泡延伸プラスチック容器(以下単に発泡容器と呼ぶことがある)は、熱可塑性樹脂を用いて成形されたものであり且つ非ラミネート構造を有しており、容器壁の胴部の少なくとも一部(通常は胴部全体)には、発泡セルが分布している発泡領域が形成されている。
かかる基本構造は、特許文献1に開示されている発泡容器でも有しており、例えば、その概略断面構造は、
図1に示されている。
【0017】
即ち、
図1において、この容器の胴部壁1を形成している樹脂マトリックス3中に発泡セル5が多数分布して発泡領域を形成している。
尚、この外表面には、発泡セル5が分布していない薄い表皮層7が形成されていることが好ましく、かかる表皮層7の存在により、その外面は、その表面粗さRa(JIS Z−0601−1994)が5μm以下の平滑面であることが好適である。すなわち、表皮層7が存在していない場合には、発泡セル5により、外面に大きな凹凸が形成されてしまい、その外観が損なわれてしまうからである。一般に、上記のような平滑面を形成するためには、表皮層7の厚みは2μm以上あればよい。
【0018】
また、上記の発泡セル5は、マイクロセルラー技術を利用しての発泡によって形成されているものである。マイクロセルラーによる発泡とは、不活性ガスを発泡剤として樹脂に含浸させ、このガスを気泡に成長させて発泡セルを物理的に形成するという技術であり、小さな発泡セルを全体に均等に分布するように発泡をコントロールし得る点で、熱分解により窒素や炭酸ガス等のガスを発生する化合物を発泡剤として用いた化学発泡とは異なっている。
【0019】
また、上記の容器胴部壁1は延伸されており、このため、発泡セル5の側断面は
図1から明らかなように、延伸方向に引き伸ばされた偏平形状を有している。
【0020】
本発明の発泡容器の原理を示す
図2を参照して、本発明の発泡容器では、発泡領域中に分布している発泡セル5が大気泡セル5aと小気泡セル5bとを含んでいる。この大気泡セル5aの分布形態には、その製造方法に応じて、
図2(a)のように大気泡セル5aが前記胴部の厚み方向でみて胴部中心部O付近に分布し且つ小気泡セル5bが大気泡セル5aと外面(及び内面)との間に分布しているパターンと、
図2(b)のように大気泡セル5aが外面側に偏在しており且つ小気泡セル5bが大気泡セル5aの周辺部及び内面側に分布しているパターンとがある。
すなわち、発泡セル5が存在している部分では、外面からの光が発泡セル5で反射し、発泡セル5が存在していない部分では外面からの光が樹脂マトリクス3中に侵入して透過していく。従って、大気泡セル5aが存在している部分ではその周辺部に比して光の反射量が多く(光の透過量が少なく)、明るい明部Lとなる。一方、大気泡セル5aの周辺部は光の反射量が相対的に少なく(光の透過量が多く)、相対的に暗い暗部Dとなる。このよう明暗差によって、容器の外面側から大気泡セル5aを視認することができる。
【0021】
尚、本発明の発泡容器の製造方法については後述するが、
図2(a)のパターンは、ホットパリソン法(1ステージ法)により発泡容器を製造する場合に発生するパターンであり、
図2(b)のパターンはコールドパリソン法(2ステージ法)により発泡容器を製造する場合に発生するパターンである。
【0022】
本発明では、上記のような大気泡セル5aを視認させることにより、独特の外観を発現させる。従って、小気泡5bは大気泡セル5aの視認性を阻害しないように分布させることが必要である。例えば、
図2(b)のパターンでは、大気泡セル5aが外面側に偏在しているため、小気泡セル5bにより大気泡セル5aの視認性は損なわれないが、
図2(a)のパターンのように、大気泡セル5aが胴部の厚み方向でみて胴部中心部Oに形成されている場合には、大気泡セル5aと容器外面との間に存在する小気泡セル5bの数をある程度制限する必要がある。小気泡セル5bの数が多いと、小気泡セル5bでの反射や散乱により発生する遮光性により大気泡セル5aの視認性が阻害され、大気泡セル5aの存在が容器外観に反映されなくなってしまう。
【0023】
本発明の発泡容器の外観写真および胴部拡大写真を示す
図3(a)および
図3(b)を参照して、上述した大気泡セル5aは、容器外面から見ての円相当直径が1〜15mm、特に1〜10mmの範囲にある。この大気泡セル5aの円相当直径が上記範囲よりも小さいと、容器外観に与える影響が小さくなり、後述する独特の外観を呈することが困難となる。また、この円相当直径が過度に大きくなると、この大気泡セル5aの形状が容器外面に反映され、容器外面に大きな凹凸が形成され、容器の外観特性が損なわれてしまう。
尚、上記の大気泡セル5aは容器胴部の外観を写真撮影し、その写真像から画像解析式粒度分布測定ソフトにて円相当直径を測定することができる。
【0024】
本発明において、上記の大気泡セル5aは、例えば、容器胴部の外面からみて、1cm
2の領域でみた時の最大数が30個/cm
2以下(特に20個/cm
2以下)の範囲にある場合、特に発泡領域が形成されている容器胴部では、後述する(
図5実施例1参照)に示されているような粗粒状外観を示す。
【0025】
また、上記の大気泡セル5aの個数は、発泡領域に1個でもよく、大気泡セル5aの個数(密度)が少なくなるほど、大気泡セル5aが独立して、浮遊しているような外観を呈する。特に、大気泡セル5aの個数が10個/cm
2以下(特に5個/cm
2以下)の場合には、この大気泡セル5aの間に分布している小気泡セル5bによりもたらされる外観(例えば、梨地様模様)の中に、大気泡セル5aが点在しているという独特の外観が発現する(後述する
図6(実施例2)参照)。
【0026】
尚、上述した本発明の発泡容器においては、最大延伸方向に沿った断面でみて、大気泡セル5aは1.5mm以上の長径を有しており、その平均長径は1.5〜20mmの範囲にあることが好ましい。また、小気泡セル5bは、大気泡セル5aよりも小さな長径、例えば大気泡セル5aの1/2以下の長径を有しており、その平均長径は0.01〜10mmの範囲にあることが好ましい。このように発泡領域の発泡セル5の粒径分布が2ピークに分離していることにより、大気泡セル5aと小気泡セル5bの両方を、容器外面から明確に視認することができ、独特の外観が発現する。
【0027】
例えば、容器外面からみて、大気泡セル5aの間の部分に存在する小気泡セル5bにより、光線反射率が高い明部(小気泡セル5bが存在する部分)と、光線反射率が低い暗部(小気泡セル5bが存在しない部分)とを多数形成することにより、梨地様模様を形成することができる。すなわち、梨地模様の間に大気泡セル5aが分布している独特の外観を発現させることができる。
尚、上記のような梨地様模様は、胴部外面を倍率50倍で写真撮影し、256階調でグレースケール処理して明度分析を算出した時、明度標準偏差の最大値が18以上であるとき、梨地模様を明確に視認することができる。
【0028】
上述した大気泡セル5aと小気泡セル5bとが分布している、本発明の発泡容器においては、特に
図2(a)に示すパターンの場合、厚み方向に分布している発泡セル5の数(大気泡セル5aと小気泡セル5bとの合計数)が、一定の数以下に抑制されていることが好ましく、例えば、平均して厚み方向のセル数が10以下であることが好ましい。このセル数が多いと、大気泡セル5aの視認性が損なわれたり、小気泡セル5bの視認性も損なわれやすく、外観特性が低下する傾向があるからである。特に、後述するように、着色剤を含む熱可塑性樹脂により容器が成形されている場合には、着色剤による光吸収が容器の外観に与える影響が大きく、発泡セル5による遮光性と着色剤による光吸収とが発生するため、発泡セル5の視認性が低下し、発現する独特の外観が不明瞭となるので、厚み方向の発泡セル5の数は10以下、特に6以下の範囲が好ましく、特に容器の透明感や容器内部の視認性を重視する場合においては、4以下が好適である。
【0029】
本発明の発泡容器を形成する熱可塑性樹脂、即ち、
図1におけるマトリックス3の樹脂としては、後述する不活性ガスを含浸させてのマイクロセルラーによる発泡が可能である限り特に制限されず、それ自体公知の熱可塑性樹脂を使用することができる。例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル系共重合体;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合ポリエステル等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリフエニレンオキサイド樹脂;ポリ乳酸など生分解性樹脂;などを使用することができる。勿論、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物を使用することもできる。
本発明において、最も好適な樹脂は、発泡セル5の形態や延伸成形性の観点から、PETに代表されるポリエステル樹脂である。
【0030】
また、着色のために上記樹脂に配合される着色剤としては、特に制限されず、目的とする色に応じて、種々の顔料を使用することができる。
【0031】
尚、所謂メタリック顔料と呼ばれる高価な顔料、例えば、銅粉、アルミニウム粉、亜鉛粉、金粉、銀粉などの金属粉顔料や、雲母や鱗片状チタン、鱗片状ステンレスなどの鱗片状(フレーク状)顔料、或いはこのような鱗片状顔料の表面をコバルト、ニッケル、チタン等の金属微粒子で被覆した顔料(光輝顔料)を使用し、これらを、適宜、他の色の顔料等と併用することにより、メタリックな外観を得ることができるが、本発明では、このようなメタリック顔料を使用せずとも、特許文献2と同様、金属光沢を有する加飾性の高い外観を得ることができるため、コストの低減からも、このような高価な顔料を敢えて使用する必要はない。即ち、発泡セル5が分布している発泡領域では、光の散乱、反射、干渉及び表皮層7によるマニキュア効果による光沢或いは艶が加わって当該色に応じた金属色を示すようにできる。例えば、金色を得ようとする場合には、橙〜緑系の顔料を使用すると、金色を呈することができる。
すなわち、
図5の発泡容器(着色発泡容器)の外観写真に示されているように、この発泡容器は、螺子やサポートリングなどが外面に形成されている首部を有しており、この首部に内容部が収容される容積の大きな胴部が形成されており、この胴部に発泡セル5が分布している発泡領域が形成されている。この容器の首部は、螺子等のために強度が要求され、従って発泡セル5が分布していない非発泡領域となっている。
図5から理解されるように、非発泡領域である首部では、着色剤の色がそのまま反映されているが、発泡領域である胴部では、発泡により着色剤の色が大きく変化することとなるわけである。
【0032】
着色剤が配合されている発泡容器では、着色剤量が多い程、着色剤による光の吸収が多くなる。また、着色剤が濃色の場合には光の吸収が多く、淡色の場合には光の吸収が少ない。従って、着色剤の量や種類は、前述した大気泡セル5aの視認性が損なわれないように選択される。一般的には、前述した熱可塑性樹脂100質量部当り、20質量部以下の範囲内で、大気泡セル5aが視認されるように着色剤の量や種類が選択される。
【0033】
一方、着色剤を含んでいない熱可塑性樹脂により成形された無着色発泡容器は、小気泡セル5bによる光の散乱や反射により、発泡領域では、全体として遮光性が増加し、小気泡セル5bの数に応じ、透明〜半透明若しくは乳白色を呈し、このような透明〜半透明若しくは乳白色の外観の中に、大気泡セル5aが観察されることとなる(
図6、7(実施例2、3)参照)。
【0034】
<発泡延伸プラスチック容器の製造>
本発明の発泡容器は、発泡剤として、不活性ガス、例えば炭酸ガス、窒素ガスあるいはこれらの混合ガスが使用され、マイクロセルラー技術を利用しての物理発泡を利用して、それ自体公知の方法を採用して発泡プリフォームを作成し、この発泡プリフォームを延伸成形することにより製造されるが、大気泡セル5a(あるいはさらに小気泡セル5b)を形成するために、発泡をコントロールすることが必要である。即ち、不活性ガスから発生する発泡セル5の大きさ、個数、分布状態を調整することが必要となる。
尚、原理的には、特に延伸成形を行わずとも本発明の発泡プラスチック容器を製造することは可能であるが、延伸成形が行われていないものは、発泡セル5が偏平しておらず、球形或いは球形に近い形状を有しているため、大気泡セル5aを形成するためには、容器の胴部壁の厚みを著しく厚く設定しなければならず、このような厚みの増大を回避するために、現実的には、延伸成形により偏平状に引き伸ばすことによって大気泡セル5aを形成する。
【0035】
例えば、発泡セル5の大きさや個数、密度は、発泡剤として使用される不活性ガスの溶解量、発泡に際しての加熱条件に大きく依存し、不活性ガスの溶解量が多い程、発泡セル5の個数を多くすることができ、また、発泡のための加熱温度が高く、加熱時間が長い程、発泡セル5を大きくすることができる。また、不活性ガスの種類によってプリフォームの形成に使用する熱可塑性樹脂に対する溶解度が異なり、また、加熱に伴い生成する発泡セルの成長速度も異なる。例えば、炭酸ガスは、窒素ガスに比して、熱可塑性樹脂に対する溶解度が多いが、発泡セルが大きく成長しやすい。
従って、大気泡セル5aを極力大きな径にするには、不活性ガスとして炭酸ガスを使用することが好ましい。
【0036】
ところで、本発明の発泡プラスチック容器を製造する方法は、延伸成形に供する発泡プリフォームを、2ステージで作成するコールドパリソン法と1ステージで作成するホットパリソン法とに分けられる。
【0037】
図4には、上記の方法によって作成されるボトル用の発泡プリフォーム50が示されている。
この発泡プリフォーム50は、着色発泡容器を製造する場合には、所定の熱可塑性樹脂に所定の色を有する着色剤が配合されたものを成形用樹脂として使用し、無着色の発泡容器を製造する場合には、着色剤が配合されていない熱可塑性樹脂を成形用樹脂として使用しての射出成形により得られるものである。
例えば、発泡プリフォーム50は、全体として試験管形状を有しており、延伸成形により得られるボトルのノズル部に対応する首部51と、首部51に連なる筒状の成形部53を備えている。
首部51は、延伸成形されない部分であり、螺子51a及びサポートリング51bを外面に有しており、成形部53は、延伸成形される部分であり、その下端は、底壁55によって閉じられている。また、図から理解されるように、成形部53の器壁内部には、発泡セル5’が分布しているが、首部51は、発泡セル5’は分布しておらず、非発泡領域となっている。即ち、首部51内に発泡セル5’が分布していると、螺子51aやサポートリング51bの強度低下を生じ、これらの機能が損なわれてしまうからである。
尚、上記成形部53の厚みは、後述する延伸工程での薄肉化を考慮して、目的とする容器の胴部壁の厚みが得られるようなものとする。
以下、上記の発泡プリフォームを例にとって、コールドパリソン法及びホットパリソン法について説明する。
【0038】
1.ホットパリソン法(1ステージ法);
後述するコールドパリソン法が外部加熱により発泡を行い、発泡工程で独立した工程で行われるのに対して、ホットパリソン法は、射出成形によりプリフォームを成形する際の樹脂温度を利用しての樹脂の内部加熱により発泡を行い、成形後の金型から成形品であるプリフォームを取り出し、そのまま冷却することなく、延伸工程に導入して延伸を行うという方法である。即ち、内部加熱により発泡を行い、且つ発泡工程が独立した工程ではないという点で、コールドパリソン法とは大きく異なっている。すなわち、このホットパリソン法では、前述した
図2(a)のパターンで大気泡セル5aが形成され、コールドパリソン法では
図2(b)のパターンで大気泡セル5aが形成される。
このようなホットパリソン法については、例えば本出願人によるWO2013/047262に詳細に説明されている。
【0039】
即ち、このホットパリソン法では、先ず、射出成形機内で成形用樹脂と発泡剤である不活性ガスを含浸させ、成形金型内に、ガスが含浸している成形用樹脂の溶融物を射出充填することにより、プリフォームが賦形される。このとき、金型での発泡を抑制し且つスワルマークなどの発生を防止するために、高圧に保持された金型キャビティ内に保圧(過剰量の樹脂の充填による樹脂圧)をかけながら金型への射出充填が行われる。金型内で発泡を生じると、樹脂が融点以上に加熱されているため、発泡をコントロールできなくなってしまうからである。
【0040】
このような手段は、コールドパリソン法でも採用されるが、ホットパリソン法では、金型内の樹脂温度が延伸成形可能且つ発泡可能温度で維持されているうちに、保圧を解除し、金型から成形されたプリフォームを取り出し、これを延伸成形工程に導入する。
即ち、コールドパリソン法では、成形されたプリフォームを直ちに延伸成形工程に導入するわけではないため、十分に金型冷却され、少なくとも発泡が生じない温度にまで冷却された後に金型内から取り出されるが、ホットパリソン法では、器壁中心部(例えば、
図2(a)の中心部分O、あるいは
図4のプリフォーム50では成形部53の中心部)が少なくとも発泡可能な温度(ガラス転移温度以上である)に維持されていなければならないのであり、これが、ホットパリソン法とコールドパリソン法の大きな違いである。
【0041】
尚、成形されたプリフォームの器壁(例えば成形部53)の中心部分は、発泡可能な温度に維持されるが、その外表面温度は、前述した表皮層7を形成するため、延伸成形可能であるが発泡開始温度よりも低い温度に冷却されていることが必要である。
また、
図4のような形態のボトル形成用のプリフォーム50では、首部51の部分での発泡を防止するため、例えば、成形用金型として割型を使用し、首部51に対応する金型によって首部51を強冷却し、この部分の樹脂全体が、少なくとも保圧を解除する段階で発泡開始温度未満に冷却されていることが必要である。従って、ボトル形成用のプリフォーム50では、上記の温度分布が形成されるように、首部51に対応する型が強冷却されており、成形部53に対応する型は弱冷却されていることになる。
【0042】
上記のようにして、器壁の中心部分(O)が発泡可能な温度に維持されているうちに、金型内から成形されたプリフォームを取り出し、当該温度範囲に保持されている短い時間(10〜30秒程度)の内に、延伸成形工程に導入する。これにより、器壁の中心部からの伝熱によって、中心部分から内外表面に向かって発泡を生じていく。即ち、金型内からプリフォームを取り出すに先立って保圧を解除した段階で、外圧との圧力差により樹脂中(プリフォーム中)に溶解しているガスが膨張し且つガスと樹脂との相分離によって気泡(発泡セル)が成長していくわけである。
【0043】
尚、器壁の中心部分が発泡開始温度以上であっても、実際に気泡が多数生成し成長するまでにはある程度の時間を要する。ホットパリソン法による延伸成形において、キャビティからプリフォームを取り出して延伸成形するまでの時間が例えば10〜30秒程度の場合、温度降下等を考慮すると、実質の発泡開始温度は、ガラス転移温度(Tg)よりも15乃至25℃程度高い温度であり、この保圧解除の段階(或いは金型から取り出す段階)のプリフォームの器壁中心部分は、この温度範囲に保持されていることが好ましい。
【0044】
プリフォームの延伸成形される部分(例えば、プリフォーム50の成形部53)は、少なくとも延伸可能な温度に維持されていなければならないが、この成形部53で発泡を行う必要がある。従って、前述した金型内での冷却によって樹脂の融点以下の温度に冷却されるものの、金型内での成形部53の中心部温度は延伸可能な温度であって且つ発泡可能な温度(前述した発泡開始温度以上)に維持されていなければならない。
尚、延伸成形可能な温度は、前述した発泡可能な温度と同様、樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度であり、一般に、ガラス転移温度(Tg)より5〜15℃程度高く且つ樹脂の融点未満である。
【0045】
かかるホットパリソン法により本発明の着色或いは無着色の発泡容器を製造するには、不活性ガス種の種類及びガス溶解量の選択と同時に、射出充填中の保圧力および保圧時間、金型内のプリフォームの温度分布及びプリフォームを金型から取り出し延伸成形工程に導入するまでの時間をコントロールすることとなる。例えば、延伸工程に導入する時点で、前述したコールドパリソン法でも説明したようなセル密度を有する発泡領域が形成され、これを延伸成形することにより、前述した大気泡セル5aを有する本発明の発泡プラスチック容器を得ることができる。
例えば、ホットパリソン法では、延伸成形工程に導入するまでの時間が短いほど、表皮層7が厚く、セル密度は小さく、且つ発泡セル5の円相当径(あるいは最大延伸方向での長径)が小さい。また、延伸成形工程に導入するまでの時間が長いほど、表皮層7が薄く、セル密度は大きく、且つ発泡セル5の円相当径が大きい。
従って、このような延伸成形工程に導入するまでの時間を調整することにより、最終的に得られる大気泡セル5aの円相当径や密度、あるいは大気泡セル5aと容器外面との間に存在する小気泡セル5bの数、さらには、複数の大気泡セル5aの間の領域に存在する小気泡セル5bの数や密度等を所定の範囲に調節することができる。
延伸工程での延伸条件、例えば延伸倍率等は、後述するコールドパリソン法と同様に選択され、この点については後述する。
【0046】
上記のようなホットパリソン法により本発明の発泡プラスチック容器を製造する場合、得られる容器の胴部(発泡領域)における発泡セル5は、胴部の中央部が最もセル径の大きいものであり、外面及び内面側にいくにつれて、セル径は小さくなる(
図2(a)参照)。
【0047】
かかるホットパリソン法は、融点以上に加熱されている熱可塑性樹脂内で発泡を生じるため、大気泡セル5aを形成させる本発明の発泡容器の製造に特に適している。
【0048】
2.コールドパリソン法(2ステージ法);
この方法は、不活性ガスが含浸されている未発泡のプリフォームを成形し、次いで、これを加熱しての発泡により発泡セル5’を生成せしめて発泡プリフォーム50を得、この後に、延伸成形を行うという方法であり、前述した
図2(b)でのパターンで大気泡セル5aが外面近傍に形成される。この方法は、発泡セル5’を生成せしめる発泡工程が独立の工程として設けられるというものであり(即ち、外部加熱により発泡を行う)、
図1で示されている表皮層7のコントロールが容易であるとともに、小気泡セル5bの分布制御を行いやすいという利点がある。
【0049】
不活性ガスが含浸されているが未発泡のプリフォームは、予め成形された不活性ガスが含浸していないプリフォームを、加熱もしくは非加熱下で高圧の不活性ガス雰囲気下に置くことにより行うことができる。
既に述べたように、不活性ガスの種類によってガスの溶解度は異なるが、この温度が高いほど、ガスの溶解量は少ないが含浸速度は速く、温度が低いほどガスの溶解量は多いが、含浸には時間がかかることとなる。また、ガスの溶解量が多いほど、発泡セル5’を微細とし且つ高密度で分布させることができる。従って、発泡セル5’を大きくし、さらにその個数を少なくする上では、ガスの溶解量をある程度制限するのがよい。
【0050】
また、ホットパリソン法と同様、成形機中の溶融混練部に高圧で不活性ガスを供給し、不活性ガスが溶解した成形用樹脂組成物を、プリフォーム用の金型内に射出充填することにより、不活性ガスが含浸したプリフォームを得ることができ、不活性ガスを含浸させる工程を別個に設ける必要がないため、本発明では、コールドパリソン法においても、このようなガスが溶解した樹脂組成物を用いての射出成形法が好適に使用される。
【0051】
尚、ガスが溶解した樹脂組成物を用いての射出成型法により発泡プリフォーム50を成形する場合においても、ホットパリソン法と同様、金型内での発泡を防止することが必要である。即ち、金型には、樹脂の融点以上に加熱された粘度の低い樹脂溶融物が充填されるため、そのままでは金型内部で発泡を生じてしまい、発泡セル5’が必要以上に大径となってしまうからである。
【0052】
従って、上記のようにガスが溶解した樹脂組成物を用いて射出成形を行う場合、ホットパリソン法で説明したように、高圧に保持された金型キャビティ内に保圧をかけながら不活性ガスが溶解した成形用樹脂組成物を過剰に金型内に射出充填し、これにより生じる樹脂圧により、金型内での不活性ガスの膨張を抑制し、発泡を防止する。
このコールドパリソン法においては、所定の時間(保圧時間)をかけて過剰のガス含浸樹脂溶融物を射出充填した後は、適度な時間をかけて金型内のガス含浸樹脂溶融物が冷却固化した後、金型を開き、不活性ガスが含浸しているが発泡していないガス含浸プリフォームが取り出される。
このようにしてガス含浸プリフォームを形成する場合、保圧の圧力(樹脂圧)及び保圧を加える時間を調整して、金型内での発泡を抑制することができ、保圧停止後は、ガス含浸樹脂が十分に冷却されるまで金型内に保持し、冷却後、成形されたガス含浸非発泡プリフォームが金型から取り出される。
【0053】
このようにして得られたガス含浸プリフォームは、所定時間、常圧下(大気圧)に開放することにより、その表面から不活性ガスを放出させる。これにより、このプリフォームの表層部には、不活性ガスが溶解していないかあるいは不活性ガス濃度が低くなった薄い表皮層が形成される。この表皮層が前述した発泡セルが分布していない表皮層7に対応するものとなる。このときの大気圧下での開放時間(実質的には次の加熱発泡を行うまでの時間)によって表皮層7の厚みを調整することができる。即ち、開放時間が長ければ表皮層7の厚みは厚くなり、開放時間が短いほど、表皮層7の厚みは薄くなる。
尚、表皮層7は、発泡領域となる容器の胴部(発泡プリフォーム50の成形部53の領域に相当)の外面にのみ形成されていればよく、プリフォームの全体にわたってわざわざ形成するものではないため、発泡領域となる部分のみを大気に露出させ、他の部分は大気に露出しないように覆っておくなどの手段を採用し、発泡領域となる部分の外面についてのみ、選択的にガスを放出させることもできる。
【0054】
上記のようにして表皮層7の形成のために行われるガス放出工程に引き続いて発泡が行われる。
この発泡工程では、最終的に得られる容器の発泡領域に対応する部分(
図4のプリフォーム50では、成形部53)を選択的に加熱することにより、不活性ガスの膨張によってセルを発生、成長させ、これにより発泡が行われる。従って、例えば、
図5に示されているボトル形態の容器を得るためには、
図4のプリフォーム50の首部51については加熱を行わず、この部分では発泡セルを形成しない。
【0055】
発泡のための加熱は、熱風の吹き付け、赤外線ヒータ、オイル浴への浸漬、高周波加熱などの外部加熱によって、発泡領域となる部分について、プリフォームの外面側から行われる。
発泡のための加熱温度(発泡開始温度)は、樹脂のガラス転移点(Tg)以上であり、不活性ガスの含浸量によっても異なり、通常、樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも5〜15℃程度高い温度であるが、プリフォームの熱変形を防止するため、樹脂の融点未満であることが必要である。この加熱温度が高く且つ加熱時間が長いほど、大きなセルが数多く形成されることとなる。従って、前述したガス種の選択、ガス溶解量の設定と同時に、発泡のための加熱条件を利用してセル密度やセルの大きさの調整を行う。
【0056】
かかる段階で生成する発泡セル5’は、延伸による引き延ばしが行われていないため、球形或いは球形に近い形状を有している。また、生成する発泡セル5’の径は、外面側が最も大きく、内面側にいくにしたがい小さくなる。従って、以下に述べる延伸成形により、
図2(b)に示されているように、外面に最も大きな円相当径を有する大気泡セル5aが分布することとなる。
従って、この発泡プリフォーム50において、外面に位置する発泡セル5’の径(球相当径)は、大気泡セル5aの円相当径に対応して、もっとも大きく、例えば、200μm以上に設定される。
【0057】
コールドパリソン法では、上記のようにして作製された発泡プリフォーム50を延伸することにより発泡容器を得る。
【0058】
<延伸成形>
上述したホットパリソン法あるいはコールドパリソン法により得られる発泡プリフォーム50について行われる延伸成形は、それ自体公知の方法で行われ、例えば、樹脂のガラス転移温度以上、融点未満の温度にプリフォームを加熱しての二軸延伸ブロー成形によって延伸され(ストレッチロッドによる軸方向延伸及びプリフォーム内への空気等のブロー流体の吹込みによる周方向延伸)、
図1に示されているような偏平状の発泡セル5が分布している発泡領域が胴部壁1に形成され、且つ、
図2(a)あるいは
図2(b)で示されているように、厚み方向中心部分(O)、あるいは外表面側に大気泡セル5aが分布している発泡容器が得られる。
また、延伸倍率は、発泡プリフォーム50に生成している発泡セル5’の形態に合わせて所定の円相当径を有する大気泡セル5aが形成されるように、適宜の延伸倍率とすればよい。
【0059】
さらに、この延伸成形は、発泡プリフォーム50の成形部53の厚みに応じて、最終的に得られる容器胴部の厚みが0.3mm以上となるように延伸倍率を調整して行われていることが好適である。この容器胴部の厚みが薄いと、発泡による強度低下が大きくなる。
尚、ブロー成形によりボトル形態の容器を製造する場合を例にとって説明したが、プラグアシスト成形によりカップ状の容器を製造する場合も、上記と実質的に同じである。
すなわち、ボトルの形態の容器を製造する場合には、試験管形態のプリフォームを用いてのブロー成形により延伸が行われ、カップ形状やトレイ形状の容器を製造する場合には、シート形状のプリフォームが使用され、プラグインアシスト成形により延伸成形が行われる。
【0060】
かくして得られる発泡延伸プラスチック容器は、加飾された印刷フィルムなどの貼り付けや他の加飾層との共押出等によるラミネート構造を有していないにもかかわらず、それ単独で大気泡セル5aが視認されることによる独特の外観を有しており、発泡による軽量性に相俟って、加飾性が要求される分野に好適に適用される。
また、着色剤を含有していない無着色の熱可塑性樹脂を用いて成形された無着色発泡容器はリサイクル性にも優れている。
【実施例】
【0061】
本発明を次の実験例で説明する。
【0062】
<容器の製法>
材料は市販のボトル用PET樹脂(固有粘度0.84dl/g)、および市販の着色マスターバッチを用いた。十分に乾燥させた樹脂ペレットを射出成形機のホッパーに供給し、射出成形機の加熱筒の途中から発泡剤として窒素ガスまたは二酸化炭素ガスを供給し、PET樹脂と混練して溶解させ、射出成形した。射出成形金型は試験管形状のプリフォーム金型を使用した。なお、射出成形時には、充填開始に先立ち金型内に約5MPaの高圧エアを供給し、充填中の発泡を抑制した。また、45MPaの保圧をかけながら充填することで、金型内発泡を抑制した。成形手法は目標とする容器外観に応じ、前述したコールドパリソン法、ホットパリソン法を使い分けた。成形条件の調整は主としてガスの種類および量、プリフォーム温度、保圧時間によりおこなった。プリフォーム温度の調整は、コールドパリソン法の場合はクォーツヒーターによる加熱温度によりおこない、ホットパリソン法の場合は射出保圧時間、および型内冷却時間によりおこなった。
【0063】
<ボトル外観評価>
ブロー成形したボトル胴部の気泡径および気泡数の測定はボトル写真の画像処理によりおこなった。以下、本実施例における評価手順を示す。市販のデジタルカメラ、実体顕微鏡、デジタルマイクロスコープなどを用い、ボトル胴部を写真撮影する。倍率や光学条件は気泡形状が見やすいよう、任意に調節して良い。得られた写真より市販の画像解析式粒度分布測定ソフト(例えばMountec社製 Mac−View)を用い、気泡数および気泡径を測定した。気泡径はボトル胴部における最大気泡の円相当径を計測した。気泡数も同様、ボトル胴部において気泡が最も集まっている領域における、円相当径1mm以上の気泡数を計測した。
【0064】
<ボトル表面粗さ評価>
ボトル胴部の粗さは表面粗さ測定機SURFCOM2000SD3−13(株式会社東京精密製)により算術平均粗さRaの平均値を測定した。Raが2μm以下の範囲では測定長さ4mm、カットオフ値0.8mmとし、Raが2μmを超え10μm以下の範囲では測定長さ12.5mm、カットオフ値2.5mmとし、Raが10μmを超える範囲では測定長さ40mm、カットオフ値8mmとした。
【0065】
<実施例1>
コールドパリソン法を用い、黒色の着色剤を含有したPET樹脂に、二酸化炭素ガスを0.6%混練させて射出充填し、その後、プリフォームが発泡しないよう、保圧を掛けながら成形し、型内冷却を与えたのち、プリフォームを取り出し、室温まで十分に冷却した。その後、プリフォーム胴部外面を113℃に加熱し、プリフォームに対する延伸倍率が縦1.5倍×横2.5倍となるような角形状のボトル型を用い、ブロー成形した。
得られたボトルは外表面に存在する大きな気泡が目視でき、発泡独特の意匠性を有していることを確認した。ボトル写真の画像処理により最大気泡径を計算したところ、3.8mmであった。ボトル表面に存在する円相当径1mm以上の気泡数を測定したところ、最大25個/cm
2であった。
【0066】
<実施例2>
ホットパリソン法を用い、着色剤を含有しないPET樹脂に、窒素ガスを0.08%混練させ、樹脂を射出充填した。その後、射出型開直後のプリフォーム外面温度が約85℃となるよう、保圧時間および冷却時間を与えた。射出型開後、約25秒のアニール時間を経て、そのままブロー成形した(プリフォームに対する延伸倍率が縦1.1倍×横2倍となるような単純丸形状のブロー型を使用)。
得られたボトルは梨地様外観を呈していながら、板厚中央部に存在する大きな気泡が目視でき、発泡独特の意匠性を有していることを確認した。ボトル写真の画像処理により最大気泡径を計算したところ、3.9mmであった。ボトル中央に存在する円相当径1mm以上の気泡数を測定したところ、最大9個/cm
2であった。
【0067】
<実施例3>
二酸化炭素ガスを0.33%混練させたこと以外は実施例2と同様の方法でボトル成形した。
得られたボトルは板厚中央部に存在する大きな気泡が目視でき、発泡独特の意匠性を有していることを確認した。ボトル写真の画像処理により最大気泡径を計算したところ、4.3mmであった。ボトル中央に存在する円相当径1mm以上の気泡数を測定したところ、最大8個/cm
2であった。
【0068】
<実施例4>
窒素ガスを0.08%混練させ、射出保圧時間を短く、その分冷却時間が長くなるよう調整したこと以外は実施例2と同様の方法でボトル成形した。
得られたボトルは板厚中央部に存在する大きな気泡が目視でき、発泡独特の意匠性を有していることを確認した。ボトル写真の画像処理により最大気泡径を計算したところ、1.1mmであった。ボトル中央に存在する円相当径1mm以上の気泡数を測定したところ、最大12個/cm
2であった。
【0069】
<実施例5>
茶系の着色剤を含有したPET樹脂を用い、二酸化炭素ガスを0.33%混練させたこと、射出型開直後のプリフォーム外面温度が約96℃となるよう、保圧時間および冷却時間を与えたこと以外は実施例2と同様の方法でボトル成形した。
得られたボトルは梨地様外観を呈していながら、板厚中央部に存在する大きな気泡がボトル胴部全体で少数目視でき、発泡独特の意匠性を有していることを確認した。ボトル写真の画像処理により最大気泡径を計算したところ、2.3mmであった。ボトル中央に存在する円相当径1mm以上の気泡数を測定したところ、最大2個/cm
2であった。
【0070】
<実施例6>
射出型開直後のプリフォーム外面温度が約103℃となるよう、保圧時間および冷却時間を与えた点、プリフォームに対する延伸倍率が縦2.2倍×横2.8倍となるような単純丸形状のブロー型を使用したこと以外は実施例3と同様の方法でボトル成形した。
得られたボトルは板厚中央部に存在する大きな気泡が目視でき、発泡独特の意匠性を有していることを確認した。ボトル写真の画像処理により最大気泡径を計算したところ、14mmであった。大気泡の径が気泡数測定の視野を超えているため、大気泡数の測定は省略する。
【0071】
<比較例1>
窒素ガスを0.08%混練させ、射出保圧時間、冷却時間を調整したこと以外は実施例2と同様の方法でボトル成形した。
得られたボトルは板厚中央部に存在する気泡が目視できるが、実施例に比べ気泡が微細であり、梨地様外観を有していることを確認した。ボトル写真の画像処理により最大気泡径を計算したところ、0.6mmであった。大気泡数の測定は省略する。
【0072】
<比較例2>
射出型開直後のプリフォーム外面温度が約112℃となるよう、射出保圧時間、冷却時間を調整したこと以外は実施例5と同様の方法でボトル成形した。
得られたボトルは板厚中央部に存在する大きな気泡が目視でき、発泡独特の外観を有していたが、やや意匠性に乏しかった。ボトル写真の画像処理により最大気泡径を計算したところ、17mmであった。大気泡数の測定は省略する。
【0073】
本実施例、比較例にて得られたボトルは、実施例1を除き全て厚み方向気泡数10以下、表面粗さRaに関しては全ての実施例、比較例において5μm以下であった。ボトル外観の参考として、実施例1、2、3で得られた容器の外観写真を
図5、
図6及び
図7に、比較例1で得られた容器の外観写真を
図8に示す。