特許第6834430号(P6834430)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイテクトの特許一覧

<>
  • 特許6834430-モータ装置 図000002
  • 特許6834430-モータ装置 図000003
  • 特許6834430-モータ装置 図000004
  • 特許6834430-モータ装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6834430
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】モータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/225 20160101AFI20210215BHJP
   H02K 24/00 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   H02K11/225
   H02K24/00
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-236941(P2016-236941)
(22)【出願日】2016年12月6日
(65)【公開番号】特開2018-93669(P2018-93669A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】夏目 悠佑
【審査官】 末續 礼子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−057431(JP,A)
【文献】 特開2014−048251(JP,A)
【文献】 特開2014−179289(JP,A)
【文献】 特開2008−109837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/225
H02K 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ、前記ステータの内周側に設けられたロータ、および前記ロータと一体回転可能に挿通された回転軸、を有するモータと、
前記モータを収容する有底筒状のハウジングと、
前記ハウジングの開口部を塞ぐように設けられ、前記回転軸が貫通している第1カバーと、
前記回転軸の軸方向において、前記第1カバーの前記ハウジングと反対側に設けられ、その開口部を前記第1カバーに突き合わせた状態で前記第1カバーに取り付けられる有底筒状の第2カバーと、
前記第1カバーと前記第2カバーとに囲まれる空間において、前記第1カバーに第1締結体で固定され、前記回転軸の回転を検出する第1回転角検出部と、前記第2カバーに第2締結体で固定され、前記回転軸の回転を検出する第2回転角検出部とを備え、
前記第2カバーには、前記回転軸の軸方向において前記第1締結体と対向する第1係止部が設けられ、
前記第1カバーには、前記回転軸の軸方向において前記第2締結体と対向する第2係止部が設けられ、
前記第1締結体と前記第1係止部との軸方向における距離は、前記第1締結体が前記第1カバーにねじ込まれている部分の軸方向長よりも短く設定されているとともに、
前記第2締結体と前記第2係止部との軸方向における距離は、前記第2締結体が前記第2カバーにねじ込まれている部分の軸方向長よりも短く設定されており、
前記第1回転角検出部および前記第2回転角検出部は、前記回転軸と一体回転可能に設けられる円筒状のレゾルバロータと、前記レゾルバロータの外周面に設けられる円筒状のレゾルバステータと、をそれぞれ有し、
前記第1回転角検出部のレゾルバステータは前記第1カバーに、前記第2回転角検出部のレゾルバステータは前記第2カバーに、それぞれ固定部材を介して前記第1締結体および前記第2締結体により固定され、
前記第2カバーにねじ込まれている前記第2締結体は、前記第1係止部として前記回転軸の軸方向において前記第1締結体と対向しているとともに、
前記第1カバーにねじ込まれている前記第1締結体は、前記第2係止部として前記回転軸の軸方向において前記第2締結体と対向しているモータ装置。
【請求項2】
前記第2締結体は、前記回転軸の軸方向において、前記第1締結体と同軸上に設けられている請求項1に記載のモータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1および特許文献2に記載されたモータ装置が知られている。
上記のモータ装置は、回転軸と一体回転するロータと、巻線が巻回され、ロータの外周に設けられる円筒状のステータと、ロータおよびステータを内部に収容するハウジングと、回転軸の回転角を検出する回転角検出部と、を有している。特許文献1のモータ装置のロータの外周面には、界磁導線が巻回されている。特許文献2のモータ装置のロータの外周面には、円筒状のマグネットが設けられている。ステータの巻線に電力が供給されることで、ステータの内周面とロータの外周面との間における磁界が変化し、ロータは回転軸と一体に回転する。
【0003】
特許文献1において、回転角検出部は、回転軸の端部に一体回転可能に設けられた円筒状のレゾルバロータと、レゾルバロータの外周面に設けられたレゾルバステータとを有している。レゾルバステータの内周面には、磁性を有するステータコアが配置されている。レゾルバステータには、レゾルバコイルが巻回されている。レゾルバロータの回転によって、レゾルバロータとレゾルバステータとの間における磁束が変化する。レゾルバステータのレゾルバコイルは、この磁束の変化を検出することで、回転軸の回転角を検出している。尚、レゾルバステータは、固定用部材を介してハウジングに対してねじ固定されている。
【0004】
特許文献2において、回転角検出部は、回転軸の端部に設けられたマグネットと、回転軸の軸方向においてマグネットと対向するように設けられる基板と、基板のマグネット側の面にマグネットと対向するように設けられる磁気センサと、を有している。回転軸の回転に応じて、マグネットと磁気センサとの間における磁束が変化する。磁気センサは、この磁束の変化を検出することで、回転軸の回転角を検出している。尚、基板は、ハウジングに固定されている台座に締結具にて固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−99012
【特許文献2】特開2015−27200
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1および特許文献2のモータ装置の構成では、ロータの回転によるモータ装置の振動、および外部からのモータ装置に対する衝撃により、回転角検出部を固定しているねじ、および締結具が緩み、離脱するおそれがある。このため、特許文献1のモータ装置では、レゾルバステータのレゾルバロータに対する位置ずれ、特許文献2のモータ装置では、磁気センサのマグネットに対する位置ずれが生じることにより、回転角検出部の回転角の検出精度が低下するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、回転角検出部を固定する締結体の離脱を抑制することができるモータ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成し得るモータ装置は、ステータと、前記ステータの内周側に設けられたロータと、前記ロータと一体回転可能に挿通された回転軸と、を有するモータと、前記モータを収容する有底円筒状のハウジングと、前記ハウジングの開口部を塞ぐように設けられ、前記回転軸が貫通している第1カバー、および前記回転軸の軸方向において、前記第1カバーの前記ハウジングと反対側に設けられ、その開口部を前記第1カバーに突き合わせた状態で前記第1カバーに取り付けられる有底円筒状の第2カバー、を有するカバーと、前記第1カバーと第2カバーとに囲まれる空間に設けられ、前記回転軸の回転を検出する回転角検出部と、前記回転角検出部を前記回転軸の軸方向において、前記カバーの内部に固定する複数のボルトと、を備えることを前提としている。前記カバーの内部には、前記回転軸の軸方向において前記ボルトの頭部と対向する係止部が設けられ、前記ボルトの頭部と前記係止部との軸方向における距離は、前記ボルトが前記カバーにねじ込まれている部分の軸方向長よりも短く設定されている。
【0009】
上記構成によれば、ボルトの頭部と係止部との軸方向における距離がボルトがカバーにねじ込まれている部分の軸方向長よりも短く設定されている。このため、回転軸およびロータの回転による振動や外部からの衝撃により、ボルトが緩み、カバーから離脱しようとしても、ボルトの頭部と係止部が当接することにより、ボルトがカバーから離脱することが規制される。
【0010】
前記係止部は、前記回転軸の軸方向において、前記ボルトと同軸上に設けられていることが好ましい。
上記構成によれば、係止部とボルトとが、回転軸の軸方向において同軸上に設けられることにより、ボルトの軸方向における移動をより規制することができる。したがって、ボルトが第1カバーと第2カバーとに囲まれる空間内において離脱することをより抑制することができる。
【0011】
前記回転角検出部は、第1回転角検出部と第2回転角検出部とを有し、前記第1回転角検出部および前記第2回転角検出部は、前記回転軸と一体回転可能に設けられる円筒状のレゾルバロータと、前記レゾルバロータの外周面に設けられる円筒状のレゾルバステータと、をそれぞれ有し、前記第1回転角検出部のレゾルバステータは前記第1カバーに、前記第2回転角検出部のレゾルバステータは前記第2カバーに、それぞれ固定部材を介して前記ボルトで固定され、前記第1カバーに締め付けられる前記ボルトの頭部と、前記第2カバーに締め付けられる前記ボルトの頭部とは、互いに前記係止部として前記回転軸の軸方向において互いに対向していることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、第1カバーに締め付けられるボルトと第2カバーに締め付けられるボルトとは、回転軸の軸方向において互いに対向している。このため、回転軸およびロータの回転による振動や外部からの衝撃により、第1カバーに締め付けられるボルトおよび第2カバーに締め付けられるボルトが緩み、第1カバーまたは第2カバーから離脱しようとしても、第1カバーに締め付けられるボルトの頭部,第2カバーに締め付けられるボルトの頭部が互いに当接することにより、ボルトが第1カバー11および第2カバー12から離脱することが規制される。また、ボルトの緩み止めするために、脱落を抑制できる構成を別途設ける必要がない。このため、モータ装置の構成を簡単にできる。
【0013】
前記回転角検出部は、前記回転軸の端部に設けられる磁石と、前記回転軸の軸方向において、前記磁石と対向するように設けられる制御基板と、前記制御基板の前記磁石側の面に前記磁石と対向するように設けられる磁気センサとを有し、前記制御基板は、前記回転軸の軸方向において、前記第1カバーまたは前記第2カバーに前記ボルトで固定されており、前記制御基板が固定されていない前記第1カバーまたは前記第2カバーの内底面には、前記係止部としての突部が設けられていることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、制御基板は、第1カバーまたは第2カバーにボルトによって固定されている。ボルトが緩んで第1カバーまたは第2カバーから離脱しようとしても、ボルトの頭部が第2カバーまたは第1カバーの突部に当接することにより、ボルトは、第2カバーまたは第1カバーの突部により、その軸方向への移動が規制される。したがって、ボルトの第1カバーまたは第2カバーからの離脱が抑制される。
【発明の効果】
【0015】
本発明のモータ装置によれば、回転角検出部を固定する締結体の離脱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】モータ装置の第1の実施形態を示す断面図。
図2図1の2−2断面指示線にて切断したときの第1カバーにおけるボルトの取り付け位相を示した断面図。
図3図1の3−3断面指示線にて切断したときの第2カバーにおけるボルトの取り付け位相を示した断面図。
図4】モータ装置の第2の実施形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、モータ装置の一実施形態を説明する。
図1に示すように、モータ装置1は、開口部を有する有底円筒状のハウジング10と、開口部を有する有底円筒状の第1カバー11、および開口部を有する有底円筒状の第2カバー12を有するカバー30と、モータ20とを有している。第1カバー11は、その開口部をハウジング10と反対側に向けた状態でハウジング10の開口部に嵌合されている。また、第2カバー12は、その開口部を第1カバー11の開口部へ突き合わせるかたちで、第1カバー11に取り付けられている。第1カバー11および第2カバーには、それらの外周面に設けられた円環状のフランジ部において、互いにボルトで固定されている。第1カバー11の底面と第2カバー12の底面との間には、それらに囲まれることにより空間Sが形成されている。
【0018】
ハウジング10の内部には、モータ20が収容されている。モータ20は、ハウジング10の内周面に嵌合された円筒状のステータ40と、ステータ40の内周に隙間を空けて配置された円筒状のロータ50と、ロータ50の内周に嵌合された回転軸43と、を備えている。回転軸43は、ロータ50を貫通している。回転軸43の第1の端部(図1中の上端部)は、第1カバー11を貫通して空間Sに位置している。回転軸43の第2の端部(図1中の下端部)は、ハウジング10の外部に位置している。回転軸43は、第1カバー11に設けられた軸受44およびハウジング10の底部に設けられた軸受45を介して、ハウジング10に対して回転可能に支持されている。
【0019】
ロータ50は、回転軸43に外嵌されて、回転軸43と一体回転する円筒状のロータコア41と、ロータコア41の外周に固定された複数の永久磁石42とを備えている。各永久磁石42は、ロータコア41の周方向に異なる磁性(N極、S極)が交互に並ぶように設けられている。
【0020】
ステータ40は、ステータコア46、インシュレータ47、およびモータコイル48を有している。ステータコア46は、ハウジング10の内周面に固定されている。また、モータコイル48は、ステータコア46のティースにインシュレータ47を介して巻回されている。モータコイル48の引き出し線(接続端部)49は、バスバー61を介してハウジング10の外部に設けられる制御装置に接続される。
【0021】
第1カバー11および第2カバー12の間の空間Sには、回転軸43の回転角を検出する回転角検出部70が設けられている。回転角検出部70は、第1回転角検出部としての第1レゾルバ71および第2回転角検出部としての第2レゾルバ72を有している。
【0022】
第1レゾルバ71は、第1カバー11の底壁14に設けられた円筒状の収容穴11aに収容されている。第1レゾルバ71は、円筒状のレゾルバロータ71aと、円筒状のレゾルバステータ71bと、を備えている。レゾルバロータ71aは、回転軸43の外周面に一体回転可能に嵌合されている。レゾルバステータ71bは、レゾルバロータ71aの外周面との間に隙間を持って設けられている。レゾルバステータ71bは、第1カバー11の収容穴11aの内周面に固定されている。レゾルバステータ71bは、第1カバー11および第2カバー12と比較して底の浅い有底円筒状の固定部材71cにより回転軸43の軸方向におけるモータ20側へ向けて押されている。レゾルバステータ71bのモータ20側への移動は、レゾルバステータ71bの外周面に設けられた円環状のフランジ部が第1カバー11の底壁14に当接することにより規制されている。固定部材71cは、第1締結体としての複数のボルト73により第1カバー11に対して固定されている。すなわち、レゾルバステータ71bは、固定部材71cを介してボルト73にて第1カバー11に固定されている。固定部材71cの中央部分には貫通孔が設けられており、回転軸43が挿通されている。
【0023】
第2レゾルバ72は、第2カバー12の底壁15に設けられた円筒状の収容穴12aに収容されている。第2レゾルバ72は、円筒状のレゾルバロータ72aと、円筒状のレゾルバステータ72bと、を備えている。レゾルバロータ72aは、回転軸43の外周面に一体回転可能に嵌合されている。レゾルバステータ72bは、レゾルバロータ72aの外周面との間に隙間を持って設けられている。レゾルバステータ72bは、第1カバー11および第2カバー12と比較して底の浅い有底円筒状の固定部材72cにより回転軸43の軸方向におけるモータ20と反対側へ向けて押されている。レゾルバステータ72bのモータ20と反対側への移動は、レゾルバステータ72bの外周面に設けられている円環状のフランジ部が第2カバー12の底壁15に当接することにより規制される。固定部材72cは、係止部および第2締結体としての複数のボルト74により第2カバー12に対して固定されている。すなわち、レゾルバステータ72bは、固定部材72cを介してボルト74にて第2カバー12に固定されている。
【0024】
また、ボルト73とボルト74とは、同種類のものを使用している。回転軸43の軸方向において、ボルト74の頭部74aとボルト73の頭部73aとの間には、隙間が設けられている。ボルト73の頭部73aとボルト74の頭部74aとの間の軸方向における隙間の距離L1は、ボルト73,74の軸部(第1カバー11および第2カバー12にねじ込まれている部分)の軸方向長L2よりも短く設定されている。また、ボルト73の頭部73aとボルト74の頭部74aとの間の軸方向における隙間の距離L1は、第1カバー11および第2カバー12のねじ穴11b,12bの深さL3よりも短く設定されている。
【0025】
尚、モータ装置1では、主として第1レゾルバ71により検出される回転角がモータ20の制御に使用される。第2レゾルバ72は、第1レゾルバ71が安定的に回転角を検出できない場合の冗長用として使用される。
【0026】
ここで、第1カバー11および第2カバー12におけるボルト73,74の取り付け位相について説明する。
図2に示すように、回転軸43の軸方向から(正確には、回転軸43の第1の端部側から)みて、ボルト73は、第1カバー11の周方向において4つ設けられており、それぞれが等間隔に配置されている。
【0027】
図3に示すように、回転軸43の軸方向から(正確には、モータ20側から)みて、ボルト74は、第2カバー12の周方向において4つ設けられており、それぞれが等間隔に配置されている。各ボルト74は、第1カバー11のボルト73と対応する位置に配置されている。
【0028】
すなわち、図1に示すように、第1カバー11および第2カバー12を互いに取り付けた状態において、ボルト73とボルト74とは、互いに回転軸43の軸方向において同軸上に設けられている。
【0029】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)ボルト73とボルト74とは、回転軸43の軸方向において同軸上に位置している。ボルト73とボルト74との軸方向における距離L1がボルト73,74の軸部の軸方向長L2(ねじ穴11b,12bの深さL3)よりも短く設定されている。このため、回転軸43およびロータ50の回転による振動やモータ装置1の外部からの衝撃により、ボルト73,74が緩み、第1カバー11または第2カバー12から離脱しようとしても、ボルト73,74の頭部73a,74a同士が当接することにより、ボルト73,74が第1カバー11および第2カバー12から離脱することが規制される。また、ボルト73,74の緩み止めするために、脱落を抑制できる構成を別途設ける必要がない。このため、モータ装置1の構成を簡単にできる。
【0030】
(2)第1レゾルバ71を第1カバー11へ固定するボルト73と第2レゾルバ72を第2カバー12へ固定するボルト74とは、互いにそれぞれの軸方向への移動を規制し合う。そのため、ボルト73,74の第1カバー11および第2カバー12からの離脱を抑制しつつも、第1レゾルバ71および第2レゾルバ72を第1カバー11および第2カバー12に固定できる。また、モータ20の回転角を検出する機能を冗長化することができる。
【0031】
<第2の実施形態>
つぎに、モータ装置の第2の実施形態を説明する。尚、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付す。
【0032】
図4に示すように、第1カバー11の中心部分には、回転軸43が貫通する貫通孔が設けられている。また、第1カバー11には、モータ20側から延びるバスバー61が貫通し、第1カバー11および第2カバー12により囲まれている空間Sに位置している。
【0033】
第2カバー12の底部には、外部電源に接続されるコネクタ90が設けられている。コネクタ90は、第2カバー12の底部を貫通している接続端子91を有している。接続端子91の一方の端部はモータ装置1の外部に位置し、他方の端部は第1カバー11および第2カバー12により囲まれている空間Sに位置している。
【0034】
第1カバー11および第2カバー12により囲まれている空間Sには、第1回転角検出部としての回転角検出部80が収容されている。回転角検出部80は、磁石81と、磁気センサ82と、制御基板83と、を有している。磁石81は、回転軸43の第1の端部(図4中の上端部)の先端に取り付けられている。制御基板83は、2つの円筒状のスペーサ85を介して第1締結体としての2つのボルト84により第1カバー11に固定されている。制御基板83には、コネクタ90の接続端子91と、バスバー61が接続されている。
【0035】
磁気センサ82は、回転軸43の軸方向において、磁石81と対向している。制御基板83のモータ20側の面に取り付けられている磁気センサ82は、磁石81の回転に伴い変化する磁界に応じた電気信号を生成する。この電気信号は、回転軸43の回転角の演算に使用される。
【0036】
図4に示すように、第2カバー12の内底面には、係止部としての円柱状の2つの突部13が設けられている。2つの突部13は、2つのボルト84の頭部84aにそれぞれ対応する位置に設けられている。2つの突部13は、2つのボルト84のそれぞれと同軸上に位置している。回転軸43の軸方向において、突部13とボルト84との間には隙間が設けられている。突部13とボルト84の頭部84aとの軸方向における隙間の距離L4は、ボルト84の軸部(第1カバー11にねじ込まれている部分)の軸方向長L5よりも短く設定されている。また、突部13とボルト84の頭部84aとの軸方向における隙間の距離L4は、第1カバー11のねじ穴11bの深さL6よりも短く設定されている。
【0037】
本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(3)制御基板83は、第1カバー11にボルト84によって固定されている。ボルト84が緩んで第1カバー11から離脱しようとしても、ボルト84の頭部84aが第2カバー12の突部13に当接することにより、ボルト84は、第2カバー12の突部13により、その軸方向への移動が規制される。ボルト84の第1カバー11からの離脱が抑制される。
【0038】
尚、第1および第2の実施形態は、技術的に矛盾が生じない範囲で以下のように変更してもよい。
・第1の実施形態では、ボルト73とボルト74とを回転軸43の軸方向において同軸上に設け、第2の実施形態では、ボルト84と突部13とを回転軸43の軸方向において同軸上に設けていたが、これに限らない。例えば、第1の実施形態においては、ボルト73とボルト74とを同軸上に設けなくてもよい。この場合、ボルト73の第1カバー11における取り付け位相と、ボルト74の第2カバー12における取り付け位相が異なる状態になるが、ボルト73およびボルト74の数を多くすることによって、ボルト73同士の間の間隔、およびボルト74同士の間の間隔を狭くする。このようにすることで、回転軸43の軸方向において、1つのボルト73を2つのボルト74によって、1つのボルト74を2つのボルト73によって軸方向への移動を規制できる。また、例えば、第2の実施形態において、ボルト84と突部13とを同軸上に設けなくてもよい。この場合、突部13の一部が少なくともボルト84の頭部84aの軸方向における移動の軌跡上に重なっていればよい。すなわち、ボルト73とボルト74、およびボルト84と突部13は、回転軸43の軸方向において、その一部が互いに干渉することによって脱落を防ぐ構成であればよい。
【0039】
・また、第1および第2の実施形態において、ボルト73とボルト74、およびボルト84と突部13は、互いに隙間を持って設けられていたが、互いに当接させてもよい。すなわち、ボルト73とボルト74、およびボルト84と突部13は、回転軸43の軸方向において、その一部が互いに干渉することによって脱落を防ぐ構成であればよい。
【0040】
・第1および第2の実施形態において、ボルト73およびボルト74は4つずつ、ボルト84および突部13は2つずつ設けられていたが、モータ装置1の使用によって適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…モータ装置、10…ハウジング、11…第1カバー、12…第2カバー、13…突部、20…モータ、30…カバー、40…ステータ、43…回転軸、50…ロータ、70,80…回転角検出部、71…第1レゾルバ、72…第2レゾルバ、71a,72a…レゾルバロータ、71b,72b…レゾルバステータ、71c,72c…固定部材、73,74,84…ボルト、73a,74a,84a…頭部、81…磁石、82…磁気センサ、83…制御基板、S…空間、L1,L4…距離、L2,L5…軸方向長、L3,L6…深さ。
図1
図2
図3
図4