特許第6834541号(P6834541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6834541
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】トラニオン式サスペンションの組立方法
(51)【国際特許分類】
   B60G 5/02 20060101AFI20210215BHJP
【FI】
   B60G5/02
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-15556(P2017-15556)
(22)【出願日】2017年1月31日
(65)【公開番号】特開2018-122685(P2018-122685A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100171619
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 顕雄
(72)【発明者】
【氏名】小牧 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】永井 輝知
【審査官】 浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−173529(JP,A)
【文献】 特開2008−162508(JP,A)
【文献】 特開平11−171064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下を反転させた車両のフレーム体にリーフスプリングが回動可能に取り付けられた状態で、前記リーフスプリングの一端側に第1車軸体を近づけて、該第1車軸体と前記フレーム体とを第1ロッドにより結合する第1工程と、
前記リーフスプリングの他端側に第2車軸体を近づけて、該第2車軸体と前記フレーム体とを第2ロッドにより結合する第2工程と、
前記リーフスプリング、前記第1車軸体、前記第2車軸体、前記第1ロッド、及び、前記第2ロッドを前記フレーム体と一体に正転させる第3工程と、
前記リーフスプリングの端部と前記第1車軸体及び、又は前記第2車軸体との間にラバー部材を挿入する第4工程と、を有する
ことを特徴とするトラニオン式サスペンションの組立方法。
【請求項2】
上下を反転させた車両のフレーム体にリーフスプリングが回動可能に取り付けられた状態で、前記リーフスプリングの一端側に第1車軸体を近づけて、該第1車軸体と前記フレーム体とを第1ロッドにより結合する第1工程と、
前記リーフスプリングの他端側と前記第2車軸体との間に一のラバー部材を挿入し、前記リーフスプリングの他端側に第2車軸体を近づけて、該第2車軸体と前記フレーム体とを第2ロッドにより結合する第2工程と、
前記リーフスプリング、前記第1車軸体、前記第2車軸体、前記第1ロッド、及び、前記第2ロッドを前記フレーム体と一体に正転させる第3工程と、
前記リーフスプリングの一端側と前記第1車軸体との間に他のラバー部材を挿入する第4工程と、を有する
ことを特徴とするトラニオン式サスペンションの組立方法。
【請求項3】
前記第1ロッド及び前記第2ロッドの少なくとも一方が、ジョイント部にゴムブッシュが介装されたゴムブッシュ式のロッドである
請求項1又は2に記載のトラニオン式サスペンションの組立方法。
【請求項4】
前記フレーム体が、車両前後方向に延びるシャシフレームと、該シャシフレームに上端部を固定されるブラケットとを含み、
前記第1ロッドが、前記第1車軸体と前記ブラケットとを結合するロアロッド及び、前記第1車軸体と前記シャシフレームとを結合するアッパロッドの少なくとも一方を含み、
前記第2ロッドが、前記第2車軸体と前記ブラケットとを結合するロアロッド及び、前記第2車軸体と前記シャシフレームとを結合するアッパロッドの少なくとも一方を含む
請求項1から3の何れか一項に記載のトラニオン式サスペンションの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラニオン式サスペンションの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、この種のトラニオン式サスペンションは、前後にタンデム配置された車軸間を延びるトラニオンシャフトをトラニオンブラケットにより車体フレームに固定すると共に、トラニオンシャフトに回動可能に取り付けられたリーフスプリングの両端部にラバー部材等を介して各車軸がそれぞれ支持されるようになっている。このようなトラニオン式サスペンションにおいて、前後の各車軸は、前後方向の位置を保持或は揺れを抑制するためのアッパロッドやロアロッドを介して車体フレームやトラニオンブラケットに結合されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、この種のアッパロッドやロアロッドとして、例えば、ジョイント部にゴムブッシュが介装された所謂ゴムブッシュ式ロッドを用いる場合がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−173529号公報
【特許文献2】特開2008−162508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、トラニオン式サスペンションの組み付け時において、リーフスプリングが取り付けられた車体フレームに一方の車軸を組み付けようとすると、当該一方の車軸とリーフスプリングの一端部との間に挿入されたラバー部材によりリーフスプリングの一端部が押され、リーフスプリングはトラニオンシャフトを支点に回動する。すなわち、リーフスプリングの回動により、リーフスプリングの他端部は車体フレームから大きく離反した状態になる。
【0006】
このため、一方の車軸の組み付け後に、他方の車軸を組み付ける際は、リーフスプリングの他端部を強く押し戻す必要があり、組み付け作業性の悪化を招く課題がある。特に、ロアロッドやアッパロッドにゴムブッシュ式ロッドを用いる場合、当該ゴムブッシュ式ロッドはジョイント部を支点とした回動範囲が極めて狭いため、各ロッドを車体フレームや車軸に容易に取り付けられなくなる課題がある。
【0007】
本開示の技術は、車軸組み付け時におけるリーフスプリングの回動を効果的に抑止することで、ロッドの取り付けを容易に行うことができるトラニオン式サスペンションの組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の技術は、上下を反転させた車両のフレーム体にリーフスプリングが回動可能に取り付けられた状態で、前記リーフスプリングの一端側に第1車軸体を近づけて、該第1車軸体と前記フレーム体とを第1ロッドにより結合する第1工程と、前記リーフスプリングの他端側に第2車軸体を近づけて、該第2車軸体と前記フレーム体とを第2ロッドにより結合する第2工程と、前記リーフスプリング、前記第1車軸体、前記第2車軸体、前記第1ロッド、及び、前記第2ロッドを前記フレーム体と一体に正転させる第3工程と、前記リーフスプリングの端部と前記第1車軸体及び、又は前記第2車軸体との間にラバー部材を挿入する第4工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記第2工程にて、前記リーフスプリングの他端側と前記第2車軸体との間に一のラバー部材が挿入され、前記第4工程にて、前記リーフスプリングの一端側と前記第1車軸体との間に他のラバー部材が挿入されることが好ましい。
【0010】
また、前記第1ロッド及び前記第2ロッドの少なくとも一方が、ジョイント部にゴムブッシュが介装されたゴムブッシュ式のロッドであってもよい。
【0011】
また、前記フレーム体が、車両前後方向に延びるシャシフレームと、該シャシフレームに上端部を固定されるブラケットとを含み、前記第1ロッドが、前記第1車軸体と前記ブラケットとを結合するロアロッド及び、前記第1車軸体と前記シャシフレームとを結合するアッパロッドの少なくとも一方を含み、前記第2ロッドが、前記第2車軸体と前記ブラケットとを結合するロアロッド及び、前記第2車軸体と前記シャシフレームとを結合するアッパロッドの少なくとも一方を含むものでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示の技術によれば、車軸組み付け時におけるリーフスプリングの回動を効果的に抑止することで、ロッドの取り付けを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係るトラニオン式サスペンションを車体左側から視た模式的な側面図である。
図2】本実施形態に係るトラニオン式サスペンションの組み立て作業の詳細を説明する図である。
図3】本実施形態に係るトラニオン式サスペンションの組み立て作業の詳細を説明する図である。
図4】本実施形態に係るトラニオン式サスペンションの組み立て作業の詳細を説明する図である。
図5】本実施形態に係るトラニオン式サスペンションの組み立て作業の詳細を説明する図である。
図6】本実施形態に係るトラニオン式サスペンションの組み立て作業の詳細を説明する図である。
図7】本実施形態に係るトラニオン式サスペンションの組み立て工程の概略を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係るトラニオン式サスペンションの組立方法について説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0015】
まず、図1に基づいて、本実施形態に係るトラニオン式サスペンションの全体構成から説明する。図1は、トラニオン式サスペンション1を車体左側から視た模式的な側面図である。トラニオン式サスペンション1は、基本的には左右略対称に構成されるため、以下、車体右側の構成について説明を省略する。
【0016】
トラニオン式サスペンション1は、その上端側をシャシフレーム2に固定されたトラニオンブラケット3と、トラニオンブラケット3を挟んで前後にタンデム配置された後前車軸10及び後後車軸20と、トラニオンブラケット3に図示しないベアリング等で軸支されて各車軸10,20間を車幅方向に延びるトラニオンシャフト4と、その中央部をトラニオンシャフト4に回動可能に取り付けられたリーフスプリング5と、各車軸10,20とトラニオンブラケット3とを結合する前後一対のロアロッド(トルクロッド)30,31と、各車軸10,20とシャシフレーム2とを結合する前後一対のアッパロッド(Vロッド)40,41と、前後一対の積層ラバー50,51とを備えている。シャシフレーム2、トラニオンブラケット3及び、トラニオンシャフト4は、本発明の「フレーム体」の一例に相当する。
【0017】
リーフスプリング5は、その中央部が両端部5A,Bよりも上方(シャシフレーム2側)に凸となる半円弧状に湾曲形成されている。また、リーフスプリング5は、その中央部がU字ボルト8等を介して回動ベース9に固定されている。回動ベース9は、トラニオンシャフト4に相対回転可能に設けられている。すなわち、リーフスプリング5は、その中央部を保持する回動ベース9を介して、トラニオンシャフト4に回動可能に取り付けられている。
【0018】
前側ロアロッド30及び、後側ロアロッド31は、例えば、ジョイント部30A,B,31A,Bにゴムブッシュが介装されたゴムブッシュ式ロッドである。前側ロアロッド30は、後前車軸10を収容する後前車軸ケース11とトラニオンブラケット3とを結合する。後側ロアロッド31は、後後車軸20を収容する後後車軸ケース21とトラニオンブラケット3とを結合する。各ロアロッド30,31は、本発明の「第1及び第2ロッド」の一例に相当し、各車軸10、20及び各車軸ケース11,21は、本発明の「第1及び第2車軸体」の一例に相当する。
【0019】
前側アッパロッド40及び、後側アッパロッド41は、例えば、ジョイント部40A,B、41A,Bにゴムブッシュが介装されたゴムブッシュ式ロッドである。前側アッパロッド40は、後前車軸ケース11の車幅方向略中央に突設された後前ブラケット12とシャシフレーム2とを結合する。後側アッパロッド41は、後後車軸ケース21の車幅方向略中央に突設された後後ブラケット22とシャシフレーム2とを結合する。各アッパロッド40,41は、本発明の「第1及び第2ロッド」の一例に相当する。
【0020】
前側積層ラバー50及び後側積層ラバー51は、例えば、ゴム板と金属板とが上下に交互に積層されて形成されている。前側積層ラバー50は、後前車軸ケース11とリーフスプリング5の前端部5Aとの間に挟持されて固定される。後側積層ラバー51は、後後車軸ケース21とリーフスプリング5の後端部5Bとの間に挟持されて固定される。
【0021】
次に、図2〜6に基づいて、本実施形態に係るトラニオン式サスペンションの組み立て作業の詳細を説明する。
【0022】
まず、図2に示すように、ボディ取り付け側が下方に向くように上下反転させたシャシフレーム2に、トラニオンブラケット3、リーフスプリング5及び、各アッパロッド40,41のジョイント部40A,41Aを取り付ける。さらに、後前車軸10を収容した後前車軸ケース11に予め前側ロアロッド30のジョイント部30Aがボルト締結された後前車軸ユニット60をリーフスプリング5よりも上方に吊り下げると共に、当該後前車軸ユニット60をリーフスプリング5の前端部5Aに向けて降下させる。
【0023】
次いで、図3に示すように、後前車軸ケース11とリーフスプリング5の前端部5Aとの間に前側積層ラバー50(図1参照)を挿入することなく、前側ロアロッド30のジョイント部30Bがトラニオンブラケット3の所定の取り付け位置に近接するまで、後前車軸ユニット60を降下させる。さらに、前側ロアロッド30のジョイント部30Bとトラニオンブラケット3とをボルト締結すると共に、前側アッパロッド40のジョイント部40Bと後前車軸ケース11の後前ブラケット12とをボルト締結する。
【0024】
このように、後前車軸ユニット60の組み付け時に、前側積層ラバー50の組み付けを省略することで、リーフスプリング5と後前軸ケース11との間には所定の空隙S1が確保される。すなわち、リーフスプリング5の前端部5Aが前側積層ラバー50(図1参照)により押し下げられないため、リーフスプリング5は、回動することなく、その両端部5A,5Bが略水平方向に配された状態に維持される。
【0025】
次いで、図4に示すように、後後車軸20を収容する後後車軸ケース21に予め後側ロアロッド31のジョイント部31Aが締結された後後車軸ユニット70をリーフスプリング5の後端部5Bに向けて降下させる。この状態において、好ましくは、後後車軸ケース21とリーフスプリング5の後端部5Bとの間には、後側積層ラバー51を挿入配置しておく。
【0026】
次いで、図5に示すように、後後車軸ケース21とリーフスプリング5との間に後側積層ラバー51を挟持させつつ、後側ロアロッド31のジョイント部31Bがトラニオンブラケット3の所定の取付け位置に近接するまで、後後車軸ユニット70を降下させる。さらに、後側ロアロッド31のジョイント部31Aとトラニオンブラケット3とをボルト締結すると共に、後側アッパロッド41のジョイント部41Bと後後車軸ケース21の後後ブラケット22とをボルト締結する。この際、リーフスプリング5は略水平状態に維持されているため、リーフスプリング5の後端部5B側を押し下げることなく、後後車軸ユニット70を所望の組み付け位置まで容易に降下させることができる。また、後後車軸ユニット70が所望の組み付け位置まで降下することで、各ロッド31,41に回動範囲の狭いゴムブッシュ式ロッドを用いても、これらロッド31,41を容易に締結することができる。
【0027】
次いで、図6に示すように、シャシフレーム2を上述の各工程で組み付けられた構成部品と一体に正転させる。シャシフレーム2が正転されると、後前車軸10及び後前車軸ケース11の自重により、これらが下方に降下することで、後前車軸ケース11とリーフスプリング5の前端部5Aとの間には、前側積層ラバー50を容易に挿入できる隙間S2が生じる。この状態において、前側積層ラバー50を隙間S2に挿入し、後前車軸ケース11とリーフスプリング5の前端部5Aとの間に前側積層ラバー50を挟持させることで、トラニオン式サスペンションの組み立て作業を終了する。
【0028】
次に、図7のフローに基づいて、本実施形態に係るトラニオン式サスペンションの組み立て工程の概略を説明する。
【0029】
第1工程(S10)では、シャシフレーム2を上下反転させた状態で、後前車軸ユニット60をリーフスプリング5の前端部5Aに向けて降下させ、前側ロアロッド30とトラニオンブラケット3との締結及び、前側アッパロッド40と後前車軸ケース11との締結を行う(後前車軸ユニット組み付け工程)。
【0030】
この際、リーフスプリング5の回動を防止すべく、後前車軸ケース11とリーフスプリング5の前端部5Aとの間には、前側積層ラバー50を挿入しない状態で後前車軸ユニット60の組み付けが行われる。
【0031】
第2工程(S20)では、後後車軸ケース21とリーフスプリング5の後端部5Bとの間に後側積層ラバー51を挿入配置した状態で、後後車軸ユニット70をリーフスプリング5の後端部5Bに向けて降下させ、後側ロアロッド31とトラニオンブラケット3との締結及び、後側アッパロッド41と後後車軸ケース21との締結を行う(後後車軸ユニット・後側積層ラバー組み付け工程)。
【0032】
この際、リーフスプリング5は略水平状態に維持されているので、後後車軸ユニット70を所望の組み付け位置まで容易に降下させつつ、各ロッド31,41の締結を容易に行うことできる。
【0033】
第3工程(S30)では、シャシフレーム2を第1及び第2工程で組み付けられた構成部品と一体に正転させる(フレーム正転工程)。シャシフレーム2を正転させると、後前車軸10及び後前車軸ケース11の自重により、これらが下方に降下することで、後前車軸ケース11とリーフスプリング5の前端部5Aとの間には隙間が生じる。
【0034】
第4工程(S40)では、第3工程で生じた隙間に前側積層ラバー50を挿入し、後前車軸ケース11とリーフスプリング5の前端部5Aとの間に前側積層ラバー50を挟持させることで、トラニオン式サスペンションの組み立て作業を終了する(前側積層ラバー組み付け工程)。
【0035】
以上詳述したように、本実施形態のトラニオン式サスペンションの組立方法によれば、前側積層ラバー50を挿入することなく後前車軸ユニット60の組み付けを行うことで、後前車軸ケース11とリーフスプリング5の前端部5Aとの間には隙間が確保されるようになる。これにより、前側積層ラバー50の接触押し下げにより引き起こされるリーフスプリング5の回動が効果的に防止され、リーフスプリング5を略水平状態に維持することが可能になり、その後に行う後後車軸ユニット70の組み付け時にロアロッド31及びアッパロッド41を容易に締結することができる。
【0036】
また、後後車軸ユニット70の組み付け後に、シャシフレーム2を正転させることで、後前車軸10及び後前車軸ケース11が自重により下方に降下し、後前車軸ケース11とリーフスプリング5の前端部5Aとの間に隙間が生じるようになる。これにより、当該隙間に前側積層ラバー50を容易に挿入することが可能になる。
【0037】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0038】
例えば、後側積層ラバー51は、後後車軸ユニット70の組み付け時に取り付けられるものとして説明したが、シャシフレーム2を正転させた後に取り付けてもよい。
【0039】
また、上記組み立て手順では、後前車軸ユニット60の組み付け後に後後車軸ユニット70を組み付けるものとして説明したが、後後車軸ユニット70から後前車軸ユニット60の順に組み付けを行ってもよい。
【0040】
また、各ロアロッド30,31は、各ケース11,12側に予めボルト締結されるものとして説明したが、各ロアロッド30,31を予めトラニオンブラケット3側にボルト締結しておいてもよい。同様に、各アッパロッド40,41は、シャシフレーム2側に予めボルト締結されるものとして説明したが、各アッパロッド40,41を予め各ケース11,12側にボルト締結しておいてもよい。また、これら各ロッド30,31,40,41を各ケース11,12側やシャシフレーム2側に予めボルト締結しておくことなく、後前車軸ユニット60及び後後車軸ユニット70の組み付け工程にて取り付けてもよい。
【0041】
また、各ロッド30,31,40,41は、ゴムブッシュ式ロッドに限定されず、ジョイント部にベアリングを備えるロッド等、他のロッドであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 トラニオン式サスペンション
2 シャシフレーム
3 トラニオンブラケット
4 トラニオンシャフト
5 リーフスプリング
10 後前車軸
20 後後車軸
30,31 ロアロッド
40,41 アッパロッド
50,51 積層ラバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7