特許第6834577号(P6834577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6834577信号情報表示装置、探知システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6834577
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】信号情報表示装置、探知システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 3/84 20060101AFI20210215BHJP
   G01S 3/802 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   G01S3/84
   G01S3/802
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-30874(P2017-30874)
(22)【出願日】2017年2月22日
(65)【公開番号】特開2018-136204(P2018-136204A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2019年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩永 久志
【審査官】 ▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−062508(JP,A)
【文献】 特開平11−344550(JP,A)
【文献】 特開2005−091307(JP,A)
【文献】 特開2005−091300(JP,A)
【文献】 米国特許第05216640(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 3/80 − G01S 3/86
G01S 7/52 − G01S 7/64
G01S 15/00 − G01S 15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号の周波数強度を方位毎に示す監視信号情報を表示する表示部と、
前記監視信号情報から所定の信号の周波数および方位を取得する信号情報取得部と、
前記所定の信号の方位を基準として、所定の角度離れて連続する複数の方位について、周波数毎の信号強度の方位変化を示す情報を生成し、生成した情報から信号の時刻を取得する時刻情報取得部と、
前記時刻情報取得部が取得した時刻から過去の所定時間の前記信号に対する周波数分析結果を前記複数の方位の各方位について時間を積分変数として積分処理し、積分処理後の信号を方位方向に補間処理して、方位方向に連続した信号強度を示す信号方位補間情報を生成して前記表示部に表示させる信号方位変化表示処理部と、
前記信号方位補間情報から信号が最大となる方位であるピーク方位を取得し、該ピーク方位における信号の周波数分析処理を行い、追尾対象の信号の周波数強度を時間毎に示す情報を前記表示部に表示させる追尾情報表示処理部と、
を備えた信号情報表示装置。
【請求項2】
到来する音波を受信するソーナー装置と、
処理対象の信号として、前記ソーナー装置が受信した音波の信号が入力される、請求項1に記載の信号情報表示装置と、
を有する探知システム。
【請求項3】
コンピュータを、
信号の周波数強度を方位毎に示す監視信号情報を表示する手段と、
前記監視信号情報から所定の信号の周波数および方位を取得する手段と、
前記所定の信号の方位を基準として、所定の角度離れて連続する複数の方位について、周波数毎の信号強度の方位変化を示す情報を生成し、生成した情報から信号の時刻を取得する手段と、
取得した時刻から過去の所定時間の前記信号に対する周波数分析結果を前記複数の方位の各方位について時間を積分変数として積分処理し、積分処理後の信号を方位方向に補間処理して、方位方向に連続した信号強度を示す信号方位補間情報を生成して表示する手段と、
前記信号方位補間情報から信号が最大となる方位であるピーク方位を取得し、該ピーク方位における信号の周波数分析処理を行い、追尾対象の信号の周波数強度を時間毎に示す情報を表示する手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーナー装置等の探知装置で受信する信号について、信号の到来方位を含む情報を取得する信号情報表示装置、探知システム、およびコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソーナー装置などの探知装置に設けられた音響センサが受信した信号の到来方位を把握するための表示装置が知られている。この表示装置は、探知装置から受信した信号に対して、任意の方位に整相処理および周波数分析を行う。表示装置は、周波数分析処理で得られた信号について、例えば、BTR(Bearing Time Recording)、BL(Bearing Level)および監視LOFAR(Low Frequency Analysis Recorder)などで表示する。
【0003】
BTR表示は、方位毎の信号強度の経時変化を示すグラフである。通常、BTRのグラフの縦軸は時間であり、横軸は方位である。BTR表示では、信号強度は濃淡で表される。表示される色が濃いほど、信号の強度が高いことを示す。BL表示は、方位毎の信号強度を示すグラフである。通常、BLのグラフの縦軸は強度であり、横軸は方位である。監視LOFAR表示は、方位の異なるLOFARを複数並べて表示するものである。LOFAR表示は、周波数毎の信号強度の経時変化を示すグラフである。これらの表示結果から、ユーザは、方位毎の信号強度を把握することができる。
【0004】
また、表示装置には、予め設定された強度以上の信号を検出する自動検出処理を備えたものがある。このような表示装置は、予め設定された強度以上の信号に対して周波数分析結果に対して行い、信号の方位および強度の時間変化を観測する。そして、表示装置は、自動検出処理で検出された信号の方位に関して、周波数分析を行い、その出力となるLOFARを、追尾LOFARとして表示する。追尾LOFARは、縦軸を時間とし、横軸を周波数とし、追尾対象の信号の経時変化を示すグラフである。
【0005】
ユーザは、追尾LOFAR表示を参照することで、視覚の積分効果により、音源から発生している信号の周波数変化を取得できる。また、注目していた信号以外にも音源から信号が発生している場合は、ユーザは、視覚の積分効果により、注目していた信号以外の微弱な信号の周波数情報を取得していた。
【0006】
従来の表示装置の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1には、周波数分析処理されたLOFARグラムデータを時間軸方向に積分する時間軸圧縮処理して表示する表示装置が開示されている。特許文献1には、この装置により、CRT(Cathode Ray Tube)上で低い輝度のドットで表示されるような微弱な出力レベルの信号が平均化され、ラインとして、ユーザが容易に視認することができるようになると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−171547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された装置では、SN比の高い信号である場合、自動検出処理により信号方位を取得することができるが、SN比の低い微弱な信号である場合、自動検出処理では信号が検出されず、信号方位を取得することができない。また、BTR表示およびBL表示では信号方位を得ることができないため、ユーザは、監視LOFAR表示から信号の方位を取得する必要がある。
【0009】
しかしながら、監視LOFAR表示から方位を取得する場合、表示されている方位が飛び飛びであるため、信号の正確な到来方位を得ることは困難である。したがって、信号の方位に合わせた追尾LOFARを作成することができず、微弱な信号の周波数変化を取得することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る信号情報表示装置は、信号の周波数強度を方位毎に示す監視信号情報を表示する表示部と、監視信号情報から所定の信号の周波数および方位を取得する信号情報取得部と、所定の信号の方位を基準として、所定の角度離れて連続する複数の方位について、周波数毎の信号強度の方位変化を示す情報を生成し、生成した情報から信号の時刻を取得する時刻情報取得部と、時刻情報取得部が取得した時刻から過去の所定時間の信号に対する周波数分析結果を複数の方位の各方位について時間を積分変数として積分処理し、積分処理後の信号を方位方向に補間処理して、方位方向に連続した信号強度を示す信号方位補間情報を生成して表示部に表示させる信号方位変化表示処理部と、信号方位補間情報から信号が最大となる方位であるピーク方位を取得し、ピーク方位における信号の周波数分析処理を行い、追尾対象の信号の周波数強度を時間毎に示す情報を表示部に表示させる追尾情報表示処理部と、を備えたものである。
【0011】
本発明に係る探知システムは、到来する音波を受信するソーナー装置と、処理対象の信号として、ソーナー装置が受信した音波の信号が入力される、上記信号情報表示装置と、を有するものである。
【0012】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、信号の周波数強度を方位毎に示す監視信号情報を表示する手段と、監視信号情報から所定の信号の周波数および方位を取得する手段と、所定の信号の方位を基準として、所定の角度離れて連続する複数の方位について、周波数毎の信号強度の方位変化を示す情報を生成し、生成した情報から信号の時刻を取得する手段と、取得した時刻から過去の所定時間の信号に対する周波数分析結果を複数の方位の各方位について時間を積分変数として積分処理し、積分処理後の信号を方位方向に補間処理して、方位方向に連続した信号強度を示す信号方位補間情報を生成して表示する手段と、信号方位補間情報から信号が最大となる方位であるピーク方位を取得し、ピーク方位における信号の周波数分析処理を行い、追尾対象の信号の周波数強度を時間毎に示す情報を表示する手段として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、微弱な信号について指定された周波数および方位を基準として方位方向と周波数方向に補間処理を行うことで、微弱な信号の方位を特定し、信号の周波数強度を方位毎に示す情報を表示することができ、微弱な信号の到来方位および周波数の時間変化の情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1に係る信号情報表示装置の一構成例を示すブロック図である。
図2図1に示した表示部が表示する情報の例を示す図である。
図3図1に示した表示部が表示する情報の例を示す図である。
図4図1に示した表示部が表示する情報の例を示す図である。
図5図1に示した表示部が表示する情報の例を示す図である。
図6図1に示した情報処理部の動作手順を示すフローチャートである。
図7図6に示すステップS104の処理についての手順を示すフローチャートである。
図8図1に示したBearing LOFAR表示の一例を示す図である。
図9図6に示すステップS105の処理についての手順を示すフローチャートである。
図10図1に示したBL表示処理部が表示部に表示させるBL表示の一例を示す図である。
図11図6に示すステップS106の処理についての手順を示すフローチャートである。
図12図1に示した微弱信号追尾LOFAR表示処理部が表示部に表示させる追尾LOFAR表示の一例である。
図13】本発明の実施の形態2に係る探知システムの一構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
本実施の形態1の信号情報表示装置の構成を説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る信号情報表示装置の一構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、信号情報表示装置1は、入力部10と、情報処理部20と、表示部30とを有する情報処理装置である。情報処理部20は、整相処理部21と、周波数分析処理部22と、自動検出処理部23と、追尾LOFAR表示処理部24と、信号情報取得部25と、時刻情報取得部26と、BL表示処理部27と、微弱信号追尾LOFAR表示処理部28とを有する。
【0016】
情報処理部20には、プログラムを記憶するメモリ(不図示)と、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)(不図示)とが設けられている。CPUがプログラムを実行することで、整相処理部21、周波数分析処理部22、自動検出処理部23、追尾LOFAR表示処理部24、信号情報取得部25、時刻情報取得部26、BL表示処理部27および微弱信号追尾LOFAR表示処理部28が信号情報表示装置1に構成される。メモリは、入力部10から受け取る情報を保持し、CPUが実行する演算処理の過程の情報および演算処理の結果を記憶する。
【0017】
入力部10には、図に示さないソーナー装置から複数の音響センサの音波の情報が時間経過に伴って順次入力される。入力部10は、入力される音波の情報を整相処理部21に送信する。順次入力される音波の信号は、情報処理部20内のメモリに、所定の時間分、メモリ容量を超えない範囲で保持される。音波の情報について、メモリが保持する容量を越える場合、メモリは、FIFO(First In First Out)にしたがって、最も古い情報から消去し、新しく入力される情報を格納する。また、入力部10は、情報処理部20が実行する処理に対する、ユーザの指示が入力されると、ユーザが入力した指示の内容を情報処理部20に送信する。
【0018】
整相処理部21は、入力部10から音波の信号を受信すると、音響センサ毎の信号の伝搬時間差を補正するように、各音響センサから出力された信号に所要の時間遅延または位相補償を与える処理を行い、任意の方位に対する信号強度を算出する。周波数分析処理部22は、整相処理部21の処理結果に周波数分析処理を行い、分析処理の結果を、BTR、BLおよび監視LOFARとして表示部30に表示させる。監視LOFARは、信号の周波数強度を方位毎に示す監視信号情報に相当する。
【0019】
自動検出処理部23は、信号の方位および強度の時間変化を観測することにより、信号強度が予め設定された第1閾値以上の信号の方位を検出する。追尾LOFAR表示処理部24は、自動検出処理部23から入力された信号方位の周波数分析を行い、その出力として追尾LOFARを表示部30に表示させる。
【0020】
信号情報取得部25は、入力部10を介して、ユーザが指定した方位および周波数の情報を受け取ると、受け取った方位および周波数の情報を時刻情報取得部26に通知する。時刻情報取得部26は、監視LOFARを参照し、信号情報取得部25から通知された周波数の所定の周波数範囲について、信号情報取得部25から通知された方位を中心として、所定の角度だけ離れて隣り合う方位のLOFARを監視LOFARから取得する。所定の角度とは、例えば、5〜10°である。また、時刻情報取得部26は、取得したLOFARを方位の順に横に並べたBearing LOFARを生成して表示部30に表示させる。時刻情報取得部26は、入力部10を介して、ユーザが指定した時刻の情報を受け取ると、指定された時刻の情報をBL表示処理部27に通知する。Bearing LOFARは信号強度方位変化情報に相当する。
【0021】
なお、時刻情報取得部26は、ユーザから時刻が指定されなくても、Bearing LOFARから信号を検出し、検出した信号の時刻の情報をBL表示処理部27に通知してもよい。信号の検出方法として、例えば、ノイズレベルよりも大きく、かつ第1閾値より小さい第2閾値が予め設定され、時刻情報取得部26は、信号強度が第2閾値より大きい信号の時刻をBearing LOFARで特定する方法が考えられる。
【0022】
BL表示処理部27は、時刻情報取得部26から時刻の情報を取得すると、Bearing LOFARで用いた複数の方位の各方位について、取得した時刻から過去の所定時間の周波数分析結果を周波数分析処理部22から取得する。所定時間は、例えば、数秒である。BL表示処理部27は、各方位について、過去の数秒間の周波数分析出力を積分処理する。BL表示処理部27は、積分処理の結果を方位方向に補間することで、連続したBLを取得する。補間処理では、例えば、二次曲線近似を行う。BL表示処理部27は、補間処理後の出力結果を、BLとして表示部30に表示させる。このときのBLは、信号が方位方向に補間処理され、方位方向に連続した信号強度を示す信号方位補間情報に相当する。BL表示処理部27は、信号方位補間情報を生成する信号方位変化表示処理部に相当する。
【0023】
微弱信号追尾LOFAR表示処理部28は、BLから信号強度が最大となる方位であるピーク方位を取得し、取得したピーク方位における信号の周波数分析を行い、分析処理の結果を、追尾LOFARとして表示部30に表示させる。追尾LOFARは、追尾対象の信号の周波数強度を方位毎に示す追尾信号情報に相当する。微弱信号追尾LOFAR表示処理部28は、追尾LOFARを生成する追尾情報表示処理部に相当する。
【0024】
なお、図1に示す機能ブロック図では、情報処理部20が備える機能を説明するために、追尾LOFAR表示処理を行う構成を、信号が自動検出されるか否かによって、別の構成で示したが、どちらか一方の構成が両方の処理を行ってもよい。また、BL表示処理部27、追尾LOFAR表示処理部24および微弱信号追尾LOFAR表示処理部28が周波数分析処理を行うように説明したが、その処理を周波数分析処理部22に実行させてもよい。また、ユーザは、BL表示処理部27が表示部30に表示させるBL表示を参照して、ピーク方位を指定してもよい。
【0025】
次に、図1に示した信号情報表示装置の動作を説明する。
図2図5は、図1に示した表示部が表示する情報の例を示す図である。図6は、図1に示した情報処理部の動作手順を示すフローチャートである。
【0026】
整相処理部21は、入力部10から受信する音波の信号を受信すると、音波の信号に整相処理を行って、任意の方位に対する信号強度を算出する(ステップS101)。続いて、周波数分析処理部22は、整相処理部21の処理結果に周波数分析処理を行い(ステップS102)、分析処理の結果を、監視LOFARとして表示部30に表示させる(ステップS103)。その際、周波数分析処理部22は、BTRおよびBLを表示部30に表示させてもよい。
【0027】
図2は、図1に示すBTR表示31の一例である。図3は、図1に示すBL表示32の一例である。図4は、図1に示す監視LOFAR表示34の一例である。図2図4は、強度の強い信号が検出されていることを示している。ユーザは、BTR表示31、BL表示32および監視LOFAR表示34を参照することで、強度の強い信号の方位の変化、周波数、および周波数変化を把握することができる。
【0028】
ここで、BTR表示31、BL表示32および監視LOFAR表示34において明確に識別できる信号の強度が第1閾値以上である場合、自動検出処理部23は、その信号の方位を検出する。追尾LOFAR表示処理部24は、自動検出処理部23から通知された信号方位の周波数分析を行い、その出力として追尾LOFARを表示部30に表示させる。図5は、図1に示す追尾LOFAR表示33の一例である。
【0029】
図5を参照すると、BTR表示31、BL表示32および監視LOFAR表示34において明確に識別できた信号X1は、追尾LOFAR表示33に現れている。一方、追尾LOFAR表示33を参照すると、微弱な信号X2が検出されていることがわかる。しかし、図5に示す追尾LOFAR表示33では、信号X2の強度が弱いため、信号X2の周波数変化を把握することは困難である。信号X2に相当する方位を図4に示す監視LOFAR表示34で確認しようとしても、表示されている方位が飛び飛びであるため、信号の正確な到来方位を得ることは困難である。そこで、本実施の形態1では、情報処理部20は、ステップS104〜S106を実行する。
【0030】
図6に示すステップS104における処理について説明する。図7は、図6に示すステップS104の処理についての手順を示すフローチャートである。ユーザは、監視LOFAR表示34において微弱な信号を確認すると、その信号の周波数fおよび概略方位θ3を監視LOFAR表示34から取得する。ユーザは、方位θ3を指定方位とし、周波数fを指定周波数として、入力部10を介して入力する(ステップS141)。
【0031】
信号情報取得部25は、入力部10を介して、ユーザが指定した方位θ3および周波数fの情報を受け取ると、受け取った方位および周波数の情報を時刻情報取得部26に通知する。時刻情報取得部26は、監視LOFAR表示34を参照し、信号情報取得部25から通知された周波数の所定の周波数範囲について、信号情報取得部25から通知された方位を中心として、所定の角度だけ離れて隣り合う方位θ1〜θ5のLOFARを監視LOFARから取得する。ここでは、方位θ3に隣り合う方位として、θ1、θ2、θ4およびθ5を用いているが、θ2とθ4の2つであってもよい。続いて、時刻情報取得部26は、周波数f、方位θ3を中心として、隣り合う方位θ1〜θ5のLOFARを横に並べたBearing LOFARを生成する(ステップS142)。そして、時刻情報取得部26は、生成したBearing LOFARを表示部30に表示させる(ステップS143)。
【0032】
図8は、図1に示したBearing LOFAR表示の一例を示す図である。図8に示すように、Bearing LOFAR表示35では、複数の方位のLOFAR表示について、信号が存在する限られた周波数帯域を、時間軸が同じになるように互いに合わせて横に並べることで、信号の方位変化が確認できるような表示になっている。
【0033】
次に、図6に示すステップS105における処理について説明する。図9は、図6に示すステップS105の処理についての手順を示すフローチャートである。
ユーザは、Bearing LOFAR表示35を参照し、追尾対象の信号X2の時刻を取得し、取得した時刻を指定時刻として入力部10に入力する(ステップS151)。時刻情報取得部26は、入力部10を介して、指定時刻の情報を受け取ると、指定時刻の情報をBL表示処理部27に通知する。
【0034】
BL表示処理部27は、時刻情報取得部26から指定時刻の情報を取得すると、Bearing LOFAR表示35を参照して、θ1〜θ5の各方位で指定時刻から過去数秒間の周波数分析を行う(ステップS152)。ここで、BL表示処理部27は、周波数分析処理の結果を周波数分析処理部22から取得してもよい。続いて、BL表示処理部27は、θ1〜θ5の各方位で指定時刻から過去数秒間の周波数分析出力を積分処理する(ステップS153)。そして、BL表示処理部27は、積分処理後のデータを補間処理する(ステップS154)。ステップS154の補間処理では、BL表示処理部27は、積分処理の結果を方位方向に補間することで連続したBLを取得する。BL表示処理部27は、補間処理後の出力結果を、BLとして表示部30に表示させる(ステップS155)。
【0035】
図10は、図1に示したBL表示処理部が表示部に表示させるBL表示の一例を示す図である。図10に示すBL表示36では、微弱な信号X2に注目して処理しているため、信号強度が第1閾値以上のものを処理対象から省略している。また、図10に示すBL表示36は、縦軸の強度のスケールを図3に示したBL表示32とは異なり、強度の幅を拡大している。
【0036】
次に、図6に示すステップS106における処理について説明する。図11は、図6に示すステップS106の処理についての手順を示すフローチャートである。
ユーザは、BL表示36を参照し、信号のピーク方位を取得し、取得したピーク方位を指定方位として、入力部10に入力する(ステップS161)。微弱信号追尾LOFAR表示処理部28は、指定方位における信号の周波数分析処理を行い(ステップS162)、分析処理の結果を、追尾LOFARとして表示部30に表示させる(ステップS163)。
【0037】
図12は、図1に示した微弱信号追尾LOFAR表示処理部が表示部に表示させる追尾LOFAR表示の一例である。図12に示すように、追尾LOFAR表示37には、目標方位における信号X2のLOFARが表示されるため、ユーザは、微弱な信号X2の周波数変化を取得することができる。また、ユーザは、図12に示す追尾LOFAR表示37から、視覚の積分効果により、他の微弱な信号の周波数情報を取得することができる。
【0038】
本実施の形態1の信号情報表示装置1は、監視LOFARを表示する表示部30と、監視LOFAR表示34から所定の信号の周波数および方位を取得する信号情報取得部25と、所定の信号の周波数および方位を基準として、所定の角度離れて隣り合う方位について、周波数毎の信号強度の方位変化を示すBearing LOFAR表示35を生成して信号の時刻を取得する時刻情報取得部26と、取得した時刻から過去の所定時間の周波数分析結果を積分し、方位方向に補間したBL表示36を生成して表示部30に表示させるBL表示処理部27と、BL表示36からピーク方位における信号の周波数分析処理を行い、追尾対象の信号の周波数強度を方位毎に示す追尾LOFARを表示部に表示させる微弱信号追尾LOFAR表示処理部28と、を有するものである。
【0039】
本実施の形態1によれば、BTR表示および自動検出処理で検出できない微弱な信号について、周波数および方位を指定し、指定された周波数および方位を基準として方位方向と周波数方向に補間処理を行うことで、微弱な信号の方位を特定し、信号の方位に合わせた追尾LOFARを表示することができる。そのため、音源から発生している微弱な信号の到来方位だけでなく、周波数の時間変化を取得することができる。さらに、他の微弱な信号の周波数情報を取得することができる。
【0040】
なお、本実施の形態1で説明した信号情報処理の手順をコンピュータプログラムに記述してもよく、そのプログラムを記録媒体に記録してもよい。さらに、そのプログラムをコンピュータにインストールし、そのコンピュータに本実施の形態1で説明した信号情報表示装置1の機能を実行させてもよい。
【0041】
実施の形態2.
本実施の形態2は、実施の形態1で説明した信号情報表示装置1を有する探知システムである。本実施の形態2では、実施の形態1で説明した構成と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0042】
本実施の形態2の探知システムの構成を説明する。図13は、本発明の実施の形態2に係る探知システムの一構成例を示すブロック図である。
図13に示す探知システム100は、ソーナー装置50と、信号情報表示装置1とを有する。ソーナー装置50は、例えば、潜水艦および水上艦等の艦船に搭載されている。ソーナー装置50は、信号情報表示装置1と接続されている。到来する音波の信号を受信すると、音波の信号を信号情報表示装置1に送信する。ソーナー装置50は、音波を受信する音響センサを複数備えていてもよい。
【0043】
本実施の形態2によれば、信号情報表示装置1が搭載されて艦船において、実施の形態1で説明した効果と同様な効果を得ることができる。そのため、艦船に居るオペレータは、微弱な信号の方位の情報をいち早く取得することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 信号情報表示装置、10 入力部、20 情報処理部、21 整相処理部、22 周波数分析処理部、23 自動検出処理部、24 追尾LOFAR表示処理部、25 信号情報取得部、26 時刻情報取得部、27 BL表示処理部、28 微弱信号追尾LOFAR表示処理部、30 表示部、31 BTR表示、32 BL表示、33 追尾LOFAR表示、34 監視LOFAR表示、35 LOFAR表示、36 BL表示、37 追尾LOFAR表示、50 ソーナー装置、100 探知システム、X1、X2 信号。
図1
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