(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被装着部に装着される中空ボックス状のケースと、前記ケースの前記被装着部側に設けられて、前記被装着部から前記ケースが取り外されたことを検知する検知スイッチとを、備え、
前記検知スイッチの周囲に防護部材を設け、
前記防護部材は、タンパ線を配索するフレキシブルケーブルであることを特徴とする検知部。
前記ケースが取付けられる箱形の筺体と、前記筺体の一部に設けられる操作パネル部材と、前記操作パネル部材の裏面側に設けられて前記ケースが前記筺体の内部から装着される被装着部と、を備え、
前記検知スイッチは、前記ケースから突設されて、前記ケースの前記被装着部への装着で、押圧された状態となり、前記ケースが前記被装着部から取り外されると、押圧された状態が解除されて、前記ケースが取り外されたことを検知できる位置に設けられていることを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の検知部を備えた自動預け払い機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態1]
本発明の実施形態1について、
図1乃至
図6を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
[全体の構成]
図1は、実施形態1の自動預け払い機1の構成を説明する斜視図である。
まず、全体の構成について説明すると、この自動預け払い機1は、略箱形の筺体2を有している。この筺体2の操作者側に位置する前面部3には、操作パネル部材4と、この操作パネル部材4よりも上側に位置する表示パネル部材5とが設けられている。
このうち、操作パネル部材4の一部には、暗証番号等の暗号情報を入力するピンパッド6が配設されている。
【0013】
図2は、実施形態1の自動預け払い機1に用いる入力装置としてのピンパッド6の構成を説明する分解斜視図である。
この実施形態1のピンパッド6は、メインケース7と、制御部10と、キーボードパネル11とを主に有している。
【0014】
このうち、メインケース7は、上面視略矩形の周壁部に囲まれている上面部のほぼ全面に、開口部7aが開口形成されている。この開口部7aには、キーボードパネル11が開閉可能に装着される。キーボードパネル11は、金属製にて構成されているが、後述するリング部材24と溶接しない場合には、樹脂製であってもよい。
そして、メインケース7は、キーボードパネル11が蓋体として組み合わせられた状態で略直方体の中空ボックス状となるように形成されている。
この実施形態1では、メインケース7の内側に制御部10の保護ケース10aが配置されている。
制御部10は、保護ケース10a内に電子部品8および制御印刷配線板9を収納している。そして、これらのメインケース7および保護ケース10aの周壁部は、内外方向で重複する。このため、保護ケース10a内に収納される電子部品8および制御印刷配線板9の周囲は、二重の周壁部によって覆われて、外部からの物理的な侵入に対して保護されるように構成されている。
【0015】
キーボードパネル11には、複数のキー孔11b,11cが所定の間隔で開口形成されている。キーボードパネル11の各キー孔11b,11cには、それぞれ上下動自在となるように複数の操作キー101b,101cが設けられている。操作キー101b,101cは、数字キーまたは実行キー等の特定の機能キーを含んで構成されている。
そして、キーボードパネル11は、キーボードパネル11の裏面の四隅に立設されて、メインケース7の内側に装着される四隅の4本の支柱12…で支持されて、メインケース7の開口部7aを覆うように装着される。
【0016】
さらに、ピンパッド6は、ゴムシート102と、キー操作入力部23と、フレキシブルケーブル20とを有している。
このうち、ゴムシート102は、各操作キー101b,101cおよびキー操作入力部23との間に挟まれて、各操作キー101b,101cを下方から弾性支持する。
また、キー操作入力部23は、キーパッド印刷配線板16と、キーパッド印刷配線板16の上に載置される複数の皿バネ部材17b,17cおよび小皿バネ部材18と、接着層19とを積層して構成されている。
【0017】
この実施形態1のキーパッド印刷配線板16は、平面視長方形で平板状のガラス・エポキシ基板にて構成されている。しかしながら、特にこれに限らず他の種類の材質で形成される層を有する基板、たとえば紙フェノール基板にて構成されていてもよい。
また、キーパッド印刷配線板16は、制御印刷配線板9上の電子部品8と電気的に接続されている。
各操作キー101b,101cの押し下げにより、皿バネ部材17b,17cは、キーパッド印刷配線板16上の端子間を接続して、電気的に導通させる。電流は入力キー信号として、制御印刷配線板9に送られる。そして、電子部品8は、キー操作入力部23から送られてくる入力キー信号を暗号化するように構成されている。
【0018】
さらに、フレキシブルケーブル20は、可撓性を有する、例えばFPC(フレキシブルプリンテッド回路基板)によって構成されている。フレキシブルケーブル20の内側面(キーパッド印刷配線板16に対向する面)には、タンパ線30(
図3参照)が配索されていて、折り曲げ可能に構成されている。
この実施形態1のフレキシブルケーブル20には、長手方向のほぼ中央に両側が切り欠かれた折り返し部20cが設けられている。そして、この折り返し部20cを挟んで、上側ケーブル20aおよび下側ケーブル20bは、
図2中矢印Fに示すように、二つ折れ状に折り返えされる。一方、制御部10は、キー操作入力部23の裏面側に隣接して配置される。これにより、フレキシブルケーブル20は、キー操作入力部23とともに制御部10を覆う。
【0019】
すなわち、上側ケーブル20aおよび下側ケーブル20bは、ほぼ同じ面積を有するように構成されている。このため、折り返しにより、フレキシブルケーブル20は、上側ケーブル20aおよび下側ケーブル20bの内側面が対向した袋状の空間部を形成する。
そして、袋状となったこれらの上側ケーブル20aおよび下側ケーブル20b間に、挟み込まれるように制御部10とキー操作入力部23とが収納される。
上側ケーブル20aの内側面は、接着層19によってキーパッド印刷配線板16の上面に接着される。この際、各皿バネ部材17b,17cおよび小皿バネ部材18の装着されている箇所は、逃げ孔19a,19b等によって接着されないように回避されている。
【0020】
また、下側ケーブル20bは、内側面をキーパッド印刷配線板16の下面側に廻りこませた状態で、制御部10とともに固定される。
なお、キーパッド印刷配線板16の周縁に位置する上側ケーブル20aの外縁部と下側ケーブル20bの外縁部との間をお互いに接合させるように構成してもよい。
【0021】
この実施形態のフレキシブルケーブル20の上側ケーブル20aおよび下側ケーブル20bの各内側面には、全面に渡り2本あるいはそれ以上(例えば信号線も含めて5本など)のタンパ線30が連続して平行に蛇行しながら隙間なく配索されている。
従って、タンパ線30の配索パターンは、外部から見えない。このため、配索パターンの隙間を狙って不正な侵入を行うことは困難である。
【0022】
また、制御部10およびキーパッド印刷配線板16は、接続経路も含めて上,下面がフレキシブルケーブル20によって覆われている。
フレキシブルケーブル20に配索されたタンパ線30は、キーパッド印刷配線板16を介して、制御部10の制御印刷配線板9(
図2参照)に接続されている。
例えば、不正が行われ、フレキシブルケーブル20の上側ケーブル20aまたは下側ケーブル20bに設けられたタンパ線30のうち、何れかの部分が外部からの物理的な侵入により切断される。この場合、フレキシブルケーブル20に接続されている制御部10の電子部品8は、断線による電気的な導通の停止を検出して、不正を検知することができる。
【0023】
このように、この実施形態1のキー操作入力部23は、タンパ線30を配索したフレキシブルケーブル20によって覆われている。このため、上,下面の方向から試みられる不正な侵入に対して、制御部10内に保存されている守秘情報を保護することができる。
【0024】
[検知部の構成]
また、
図3〜5に示すように、この実施形態1のピンパッド6には、メインケース7が被装着部4cに装着されているか否か、ピンパッド6の自動預け払い機1への装着状態を検知する検知部21が設けられている。
図5,6に示すように、この実施形態1の被装着部4cは、パッド開口部4aの周縁の裏面側4bに設けられている。
検知部21は、この裏面側4bに対向するピンパッド6の上面部周縁に設けられていて、キーボードパネル11に形成された挿通孔11aから先端22cを突出させる検知スイッチ22およびこの検知スイッチ22に対応するキーパッド印刷配線板16の端子類によって構成されている。そして、検知部21は、被装着部4cからメインケース7が取り外されたことを検知可能に構成されている。
【0025】
すなわち、実施形態1のピンパッド6には、上面側の左,右側縁部6a,6a近傍にそれぞれ、検知スイッチ22が設けられている(
図5参照)。
検知スイッチ22は、円柱状のボタン部22aと、ボタン部22aよりも大径に形成される基部22bと、ボタン部22aよりも小径に形成される後端部22dとが同軸上に連設されて一体に形成されている(
図4参照)。
【0026】
このうち、ボタン部22aは、キーボードパネル11に形成された挿通孔11aに下方から挿通されて、上下方向に摺動自在に配置される。
また、基部22bは、ボタン部22aよりも大径に形成されていて、後述する防護部材としてのリング部材24の内側で上下動方向に摺動自在となるように構成されている。ボタン部22aと基部22bとの間には、径寸法の相違により形成される段差部22eが設けられている。
段差部22eは、挿通孔11aの周縁部の下側に当接する。これにより、検知スイッチ22は、先端22cを一定量、挿通孔11aから上方に向けて突出させた状態で、上方に移動しないように阻止される。そして、検知スイッチ22の挿通孔11aからの抜け落ちが防止されている。
【0027】
さらに、
図4に示すように、検知スイッチ22の後端部22dは、下端をフレキシブルケーブル20の上側ケーブル20aに当接させている。キーパッド印刷配線板16の上面側で、上側ケーブル20aの下方には、小皿バネ部材18が挟まれて配置されている。
また、水平方向での後端部22dの下端の位置は、小皿バネ部材18の配置位置の上方となるように設けられている。
そして、ボタン部22aは、挿通孔11aの軸方向に沿って所定のストロークで摺動可能に構成されている。
【0028】
ボタン部22aは、先端22cを被装着部4cに当接させて、小皿バネ部材18の付勢力に抗して押し下げられる。このボタン部22aの後端部22dは、小皿バネ部材18を押し下げて、キーパッド印刷配線板16に形成された図示しない対となる接点間が小皿バネ部材18によって接続される。この接続により、キーパッド印刷配線板16の回路が電気的に導通状態となる。
キーパッド印刷配線板16にて電気的な導通が開始されると、保護ケース10a内の制御部10は、自動預け払い機1を稼働準備段階に移行させる。
【0029】
例えば、
図5に示すように、操作パネル部材4が筺体2に装着される際、二点鎖線の位置にピンパッド6が配置される。この位置では、検知部21のボタン部22aが操作パネル部材4のパッド開口部4aの周縁の裏面側(被装着部)に当接して押し下げられる。
このため、キーパッド印刷配線板16では、対となる接点間が接続されて、電気的な導通にて制御部10は、ピンパッド6がパッド開口部4aに装着されたことを検知することができる。
【0030】
また、検知スイッチ22のボタン部22aが押し下げられていない状態では、キーパッド印刷配線板16の上面側に配置された小皿バネ部材18によって下方から上方に向けて付勢されていて、キーパッド印刷配線板16の回路が電気的に非導通状態となる。
すなわち、
図5に示す実線で示すようにピンパッド6がパッド開口部4aから取り外されている状態では、ボタン部22aの押圧が開放されて、小皿バネ部材18の付勢力により、キーボードパネル11の上面側から検知スイッチ22の先端22cが突出する。
この状態では、キーパッド印刷配線板16の接点間の接続が開放されて、電気的な導通は停止する。
制御部10は、電気的な導通の停止により、ピンパッド6が操作パネル部材4の裏面側から外されて、装着状態ではなくなったことを検知することができる。
【0031】
[防護部材の構成]
実施形態1の防護部材は、金属製のリング部材24によって構成されている(
図3,4参照)。リング部材24は、円筒形状を呈している。
【0032】
図4に示すように、リング部材24は、キーボードパネル11とキーパッド印刷配線板16との間で上下方向から挟持されている。この実施形態1のリング部材24の上端面24aは、キーボードパネル11の裏面側に溶接されて固定されている。また、リング部材24の下端面24bは、キーパッド印刷配線板16の上面部に敷設された上側ケーブル20aの上面に当接されて、小皿バネ部材18が配置されている部分を囲むように装着されている。
また、ゴムシート102は、上側ケーブル20aの上面とキーボードパネル11の下面との間に挟持される。
ゴムシート102には、メインケース7の側壁部側に、一部切り欠きを有する略円形の挿通溝103が形成されている。この挿通溝103内には、検知スイッチ22の基部22bの外側を囲むようにリング部材24が介装されている。
リング部材24は、キーボードパネル11がメインケース7の開口部7aに装着された状態で内側に位置する検知スイッチ22の基部22bを全周に渡り覆う。
【0033】
このように、キーボードパネル11がメインケース7の開口部7aに装着された状態では、検知スイッチ22の基部22bが金属製のリング部材24によって全周を覆われて、メインケース7の外部から基部22b方向への不正な侵入が阻止される。
なお、この実施形態1のリング部材24の上端面24aは、キーボードパネル11の裏面側に溶接されているが、特にこれに限らない。例えば、隙間なく当接されていればよく、接着されていても、いなくてもよい。
【0034】
[作用効果]
このように構成された実施形態1の自動預け払い機1では、
図6中、二点鎖線で示すように、パッド開口部4aの周縁部の裏面側4bに装着されている状態から、実線に示すようにピンパッド6が取り外される。
ピンパッド6の取り外しにより、ボタン部22aは、
図4に示す小皿バネ部材18の弾性反力によって上方へ押し戻される。このため、キーパッド印刷配線板16の接点は開放されて、電気的な導通が停止する。
制御部10は、この電気的な導通の停止を検出することにより、ピンパッド6が取り外されたことを検知することができる。
【0035】
たとえば、二点鎖線位置から実線に示すように、ピンパッド6を操作パネル部材4の裏面側から無理に取り外そうとすると、
図4に示すように、小皿バネ部材18の付勢力によって、ボタン部22aが上方へ移動し挿通孔11a内から突出するとともに、キーパッド印刷配線板16から、小皿バネ部材18が離間して接点間の電気的な導通を停止させる。
制御部10は、電気的な導通の停止により、ピンパッド6のメインケース7が操作パネル部材4から外されたことを検知する。
【0036】
そして、制御部10は、タンパ応答プロトコルを開始する。タンパ応答プロトコルでは、制御部10の内部に蓄積されたキー入力情報等の守秘情報を破棄するか、あるいは、デバイスを動作不能状態とするかのうち、少なくとも何れか一方が実行される。これにより、制御部10からの不正な情報の取り出しを行えなくなる。
【0037】
さらに、タンパ応答プロトコルが開始されないように、不正な取り外しが行なわれる場合がある。このような場合、何らかの手段によって、メインケース7の側面から侵入して、検知スイッチ22を押さえつけて固定する。
これにより、検知部21は、ボタン部22aが押し下げられたON状態に保持されたままとなり、パッド開口部4aの裏面側からピンパッド6を取り外すことが可能となる。
このような物理的な侵入では、接点間の電気的な導通が停止しないため、制御部10は、ピンパッド6が取り外されたことを検知できない。このため、タンパ応答プロトコルが開始されず、不正なアクセスまたは情報の不正な取り出しが行なわれてしまう虞があった。
【0038】
これに対して、実施形態1の検知部21は、金属製のリング部材24によってメインケース7内部の検知スイッチ22が覆われている。このため、外部からの不正な侵入は、リング部材24によって阻まれて、物理的に検知スイッチ22の基部22bおよび段差部22eに到達することが出来ない。
段差部22eの周囲に設けられる防護部材の範囲は、たとえば挿通孔11aの周縁部の下側から、検知スイッチ22のボタン部22aが押し下げられたON状態の段差部22eの上面位置までの範囲に存在し、さらに好ましくは、段差部22eのストローク範囲内である。
【0039】
このように、実施形態1のピンパッド6では、外部からメインケース7内の検知スイッチ22まで物理的に侵入できない。このため、検知スイッチを押さえつけることが出来ず、検知スイッチ22をON状態に保持したまま、操作パネル部材4の裏面側からメインケース7を取り外す不正を行なうことができない。
【0040】
このように、この実施形態1のピンパッド6では、メインケース7を非金属材料、例えば樹脂製としても所望の守秘情報の保護が図れる。
また、この実施形態1の自動預け払い機1では、筺体2の強度も、メインケース7と同様に金属製として高める必要はなくなる。よって、筺体2を非金属材料、例えば樹脂製としても所望の守秘情報の保護を図ることができる。
したがって、この実施形態1では、検知スイッチ22の周囲に筒状のリング部材24を設けた検知部21を用いることにより、メインケース7を筺体2から外して行われる不正を阻止できる。このため、安価に耐タンパ性を向上させたピンパッド6および自動預け払い機1が提供される。
【0041】
更に、この実施形態1のピンパッド6では、
図3に示すように金属製のリング部材24が円筒形状を呈している。
このため、検知スイッチ22の周囲の何れの方向から不正な侵入が行われても、リング部材24によって阻まれて、物理的に検知スイッチ22の基部22bおよび段差部22eに到達することが出来ない。
しかも、この実施形態1のピンパッド6では、
図4に示すようにボタン部22aと基部22bとの間に形成された段差部22eは、高さ方向で挿通孔26aの周縁部の下側に当接する位置付近となるように装着されている。挿通孔26aの周縁部の下側とリング部材24の上端面24aとの間は、溶接により接合されている。
このため、挿通孔26aの周縁部の下側に沿って不正な侵入が試みられても、溶接されたリング部材24によって阻まれて、物理的に検知スイッチ22の基部22bおよび段差部22eに到達することが出来ない。したがって、更に守秘情報の保護性を向上させることができる。
【0042】
また、
図4に示すように、検知スイッチ22の下方は、フレキシブルケーブル20によって覆われている。このため、検知スイッチ22の下方向から不正な侵入が行われると、フレキシブルケーブル20に配索されているタンパ線30を切断してしまう。
さらに、
図6に示すように、検知スイッチ22の上方には、操作パネル部材4が装着されているので、物理的に侵入出来ない。このように、あらゆる方向からの侵入に対して、タンパ応答プロトコルを開始でき、耐タンパ性が良好である。
【0043】
[実施形態2]
図7は、実施形態2の入力装置としてのピンパッド106で、要部の分解斜視図、
図8は、
図7中VIII−VIII線に沿った位置での縦断面図である。なお、実施形態1の入力装置と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
この実施形態2では、キーボードパネル25がほぼ同じ大きさの上側パネル26と下側パネル27との2枚を有して構成されている。そして、これらの2枚の上側パネル26と下側パネル27とが重ね合わせられて一枚のキーボードパネル25として使用される。
このうち、下側パネル27の挿通孔27aは、上側パネル26の挿通孔26aよりも大径となるように構成されている。
【0044】
また、この実施形態2の検知部21aは、防護部材としてリング部材28を用いている。リング部材28は、上端縁に段差部28aが形成されている。そして、段差部22eは、下側パネル27の挿通孔27aに挿通されて嵌合するように構成されている。
【0045】
次に、この実施形態2の検知部21aの作用効果について説明する。
図8に示すように、この実施形態2のリング部材28には、段差部28aが形成されていて、上側パネル26と別体で重合される下側パネル27の挿通孔27aに嵌合されている。
このため、下側パネル27とメインケース7の上縁部7bとの間から不正な侵入を行おうとしても、挿通孔27aが嵌合された段差部28aを有するリング部材28に阻まれて、検知スイッチ22まで到達できない。
さらに、この実施形態2のピンパッド106では、段差部28aが下側パネル27の挿通孔27aに嵌合されているため、リング部材28の位置安定性が良好である。このため、溶接により当接させる場合と比べて、装着を容易に行うことができる。
【0046】
他の構成、および作用効果については、実施形態1と同一乃至均等であるので説明を省略する。
なお、この実施形態2のリング部材28は、上端縁に段差部28aを形成しているが特にこれに限らず、例えば段差部の無い円筒形状にリング部材28が形成されていてもよい。
この場合、リング部材28の上端部の外周縁が下側パネル27の挿通孔27aに嵌合する。したがって、この場合も不正な侵入を阻むことができるとともに、リング部材28の位置安定性が良好である。
【0047】
[実施形態3]
図9は、実施形態3の入力装置としてのピンパッド206の構成を説明する分解斜視図である。また、
図10は、
図9中X−X線に沿った位置で、検知部21bを拡大した断面図である。なお、実施形態1,2の入力装置と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0048】
この実施形態3のフレキシブルケーブル120は、折り返し部120cを挟んで、上側ケーブル120aおよび下側ケーブル120bが連設されている。さらに、この実施形態3のフレキシブルケーブル120は、防護部材となる立壁状のタンパ線延長部121を有している。
このタンパ線延長部121は、上側ケーブル120aの外側縁から外側方に向けて突設されて延設される括れ部121bと、この括れ部121bに連設される幅広の縦壁部121aとを含み、平面視略T字状を呈している。
【0049】
さらに、このタンパ線延長部121は、括れ部121bから縦壁部121aに至るまでほぼ全域に、タンパ線30が配索されている。このタンパ線30は、フレキシブルケーブル120の上側ケーブル120aおよび下側ケーブル120bに設けられている図示しないタンパ線30と接続されている。これにより、タンパ線延長部121内のタンパ線30が断線すると電気的導通が停止したことを制御部10が検知可能としている。
【0050】
図10に示すように、タンパ線延長部121は、上側ケーブル120aからほぼ直角に屈曲されて上方に向けて延設されている。そして、キーボードパネル11の裏面側にタンパ線延長部121の上端縁121dを当接させて、基部22bのメインケース7の内側面に対向する部分がタンパ線延長部121によって覆われている。
【0051】
また、この実施形態3のタンパ線延長部121は、上側ケーブル120aから屈曲される括れ部121bの幅方向寸法W1と比較して、上端縁121d近傍の幅方向寸法W2が大きくなるように設定されている(
図11(a)等参照)。
【0052】
次に、この実施形態3の検知部21bの作用効果について説明する。
この実施形態3の検知部21bでは、実施形態1,2の検知部21,21aの作用効果に加えてさらに、次の作用効果を奏する。
すなわち、
図10に示すように、タンパ線延長部121がメインケース7の内側に沿って平行に一直線状に配置されて、検知スイッチ22との間に介在する立壁状の縦壁部121aを形成する。このため、キーボードパネル11とメインケース7の上縁部7bとの間から不正な侵入を行おうとしても、タンパ線延長部121に阻まれて、検知スイッチ22まで到達できない。
【0053】
また、無理にタンパ線延長部121を破り、不正に侵入しようとするとタンパ線延長部121に配索されたタンパ線30を切断してしまう。このため、タンパ応答プロトコルが開始されてしまうため、不正を行なうことができない状態となる。
【0054】
更に、このタンパ線延長部121は、括れ部121bで折り曲げられて、上端縁121dをキーボードパネル11の裏面側に当接させた縦壁部121aを有している。この縦壁部121aの幅方向寸法W2は、括れ部121bの幅方向寸法W1と比較して、大きく設定されている。
このため、検知スイッチ22の側面とメインケース7の内側面との間に、内側面と平行に所望の面積のタンパ線延長部121を配置出来る。したがって、効率よく不正な侵入が想定される部分にタンパ線延長部121を配置して、有効に不正な侵入を阻止できる。
【0055】
また、タンパ線延長部121に配索されているタンパ線30は、フレキシブルケーブル120の上側ケーブル120aおよび下側ケーブル120bに設けられているタンパ線30と連続するように接続されている。
このため、別途、検知スイッチ22用のタンパ線を配索しなくても、キーパッド印刷配線板16および制御部10を保護しているタンパ線30の経路を用いて、不正な侵入を検知することができる。
他の構成、および作用効果については、実施形態1,2と同一乃至均等であるので説明を省略する。
【0056】
[実施形態4]
図11は、実施形態4の検知部21cで、フレキシブルケーブル120の端部の拡大斜視図を示し、(a)は、タンパ線30が設けられたタンパ線延長部121を側縁から突出させた様子を示し、(b)は、括れ部121bを折り曲げる工程を示し、実施形態3と同様に立壁状のタンパ線延長部121を円筒状の縦壁部として用いている。
【0057】
なお、実施形態1〜3の入力装置と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
図11(c)は、タンパ線延長部121を丸めて筒状とした様子を示す拡大斜視図である。タンパ線延長部121の幅方向両端部は、重複部121cによって接合されている。
そして、
図12に示すように、実施形態4の検知部21cでは、タンパ線延長部121が円筒状となって、内側面121eによって検知スイッチ22の基部22bの周囲を覆うように構成されている。
しかしながら、特にこれに限らず、重複部121cが接合されていなくてもよく、重ね合わせられて、タンパ線延長部121が円筒形状となればよい。さらにこの重複部121cの重ね合わせ方向の寸法量は、特に限定されるものではなく、例えば、数周に渡り、重ね合わせられていてもよい。
【0058】
このように構成された実施形態4の検知部21cでは、
図12に示すように、タンパ線延長部121が円筒状となって、内側面121eによって検知スイッチ22の基部22bの周囲を覆う。タンパ線延長部121の上端縁121dは、キーボードパネル11の裏面側に当接して、隙間を減少させている。
このため、基部22bに到達するような何れの方向からの不正な侵入が行われると、タンパ線延長部121のタンパ線30が切断されて、制御部10は、不正を検知することができる。
他の構成、および作用効果については、実施形態1〜3と同一乃至均等であるので説明を省略する。
【0059】
[実施形態5]
図13,14は、実施形態5の入力装置としてのピンパッド206を示すものである。
なお、実施形態1〜4の入力装置と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
この実施形態5の検知部21dでは、フレキシブルケーブル220の下側ケーブル220bから、タンパ線延長部221が突設されている。
図14中(a)に示すように、下側ケーブル220bの内側面に配索されたタンパ線30は、
図14中(b)に示すように、括れ部221bにて内向きに折曲される。
【0060】
このように構成された実施形態5の検知部21dでは、実施形態4の作用効果に加えて更に、括れ部221bの折曲によって、下側ケーブル220bから連続する立壁状の縦壁部221aは、
図15に示すように、メインケース7の基部22b側の内側面に沿って一直線状に配置される。
縦壁部221aの内側面221eには、タンパ線30の配索パターンが表示される。このため、メインケース7側の外側面からは、縦壁部221aの配索パターンが見えないか、または、見えづらい。
したがって、メインケース7の内側まで不正に侵入した際、タンパ線30の配索パターンから、タンパ線30が侵入により切断されないように間隙を見つけて、縦壁部221aの内側まで侵入することは困難である。よって、さらに、有効に不正を阻止出来る。
【0061】
他の構成、および作用効果については、実施形態1〜4と同一乃至均等であるので説明を省略する。
【0062】
[実施形態6]
図14中(c)および
図16は、実施形態6の検知部21eを示すものである。
なお、実施形態1〜5と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
この実施形態6では、
図14中(c)に示すように、立壁状の縦壁部221aは、括れ部221bの折曲によって、下側ケーブル220bから連続して立設されている。そして、実施形態3,4と同様に立壁状のタンパ線延長部221を丸めて筒状の縦壁部として用いている。
タンパ線延長部221は、幅広方向の両端部間を重複部221cにて接合することにより、円筒状を呈している。このため、縦壁部221aの内側面221eには、タンパ線30の配索パターンが表示される。
【0063】
このように構成された実施形態6の検知部21eでは、実施形態5の作用効果に加えて更に、円環状に形成された縦壁部221aは、
図16に示すように、検知スイッチ22の基部22b側に対向する内側面221eに、タンパ線30の配索パターンが表示される。
このため、メインケース7側の外側面からは、内側面221eの配索パターンが見えないか、または、見えづらい。
【0064】
従って、どの方向からも、タンパ線30の配索パターンを調べて、タンパ線30を切断しないように間隙を見つけて侵入する不正行為を行うことが困難である。よって、さらに、有効に不正を阻止することが出来る。
他の構成、および作用効果については、実施形態1〜5と同一乃至均等であるので説明を省略する。
【0065】
[実施形態7]
図17,18は、実施形態7の入力装置としてのピンパッド306に設けられる検知部21fの構成を示すものである。
なお、実施形態1〜6と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
この実施形態7では、キーボードパネル111の下面側から、一方の防護部材となる立壁状の縦壁部111aが下方に向けて一体となるように延設されている。
【0066】
また、
図18に示すように、フレキシブルケーブル120の上側ケーブル120aからは、他方の防護部材となるタンパ線延長部121が立設されている。
このタンパ線延長部121は、上側ケーブル120aの外側縁から突設されて上方へ向けて折曲される括れ部121bと、この括れ部121bに連設される幅広で立壁状の縦壁部121aとを含み、平面視略T字状を呈している。
そして、タンパ線延長部121は、縦壁部111aのメインケース7側の外側面111bと平行に沿うように、重ねられて設けられている。縦壁部111aとタンパ線延長部121とは、接合されていてもよい。
【0067】
このように構成された実施形態7の検知部21fでは、実施形態3の作用効果に加えてさらに、キーボードパネル111の下面側から一体に延設される外側面111bに対して、タンパ線延長部121の立壁状の縦壁部121aが重ね合わせられて設けられている。
タンパ線延長部121は、外側面111bによって裏面側から支持されて、形状安定性が向上するため、平板の立壁形状を維持することができる。よって、タンパ線延長部121が撓んだり、折れ曲がる虞が減少し、不正な侵入によってタンパ線30を切断させて検知しやすくすることができる。
【0068】
また、縦壁部111aは、キーボードパネル111の下面側から一体に延設される。このため、キーボードパネル111と同様の比較的剛性の高い部材で縦壁部111aを形成することにより、不正な侵入を防止可能な構造とすることができる。
従って、不正な侵入が外側の縦壁部121aを通過しても、内側の縦壁部111aによって阻止される。
【0069】
特に、この実施形態7では、フレキシブルケーブル120の上側ケーブル120aから括れ部121bにて折曲されて縦壁部121aが延設される上方への方向と、キーボードパネル111の下面側から一体に縦壁部111aが延設される下方への方向とが互い違いに形成されていて、上下方向で重複する部分が生じるように形成されている。
このため、縦壁部121aの上端縁121dとキーボードパネル111の下面側の隙間から不正な侵入が行われても、キーボードパネル111と一体に設けられている縦壁部111aによって阻止することができる。
【0070】
他の構成、および作用効果については、実施形態1〜6と同一乃至均等であるので説明を省略する。
【0071】
[実施形態8]
図19,20は、実施形態8のピンパッド406に設けられる検知部21fの構成を示すものである。
なお、実施形態1〜7と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0072】
実施形態8のピンパッド406では、実施形態7のピンパッド306のキーボードパネル111に代えて、実施形態2(
図7,8参照)のような2枚重ねで構成されるキーボードパネル25を一部変更したキーボードパネル125を用いて、検知部21fが構成されている。
すなわち、このキーボードパネル125は、上側パネル126と下側パネル127との2枚によって構成されている。
このうち、下側パネル127には、スリット状の係合溝部127aが貫通形成されている。
【0073】
また、タンパ線延長部121は、上側ケーブル120aの外側縁から突設されて上方へ向けて折曲される括れ部121bと、この括れ部121bに連設される幅広で立壁状の縦壁部121aとを含み、平面視略T字状を呈している。
さらに、縦壁部121aは、キーボードパネル125に対して別体で形成された裏あて板128のメインケース7側の外側面128aに、重ねられて設けられている。縦壁部121aと裏あて板128とは、接合されていてもよい。
そして、縦壁部121aと裏あて板128とは、係合溝部127aに下方から挿入されて係合により固定される。
【0074】
このように構成された実施形態8の検知部21fでは、2枚の上側パネル126と下側パネル127とのうち、下側パネル127に形成された係合溝部127aに、裏あて板128とともにタンパ線30が設けられた縦壁部121aを挿入、係合させて固定している。
このため、メインケース7の上縁部7bと下側パネル127の下面側との間から不正な侵入が試みられても、縦壁部121aと裏あて板128とによって、二段階で阻止される。
他の構成、および作用効果については、実施形態1〜7と同一乃至均等であるので説明を省略する。
【0075】
[実施形態9]
図21は、実施形態9の入力装置としてのピンパッド506に設けられる検知部21hの構成を示すものである。
なお、実施形態1〜8と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
この実施形態9のピンパッド506は、実施形態4の構成に加えて、キーボードパネル211を備える。キーボードパネル211は、下面側にキーパッド印刷配線板16方向に向けて、一体に延設される円筒状の縦壁部211aが設けられている。
このように構成された実施形態9の検知部21hでは、検知スイッチ22の周囲の全周に渡り、円筒状のタンパ線延長部121および縦壁部211aが配置される。このため、実施形態7の作用効果に加えてさらに、如何なる方向からの不正な侵入であっても効果的に阻止できる。
他の構成、および作用効果については、実施形態1〜8と同一乃至均等であるので説明を省略する。
【0076】
[実施形態10]
図22は、実施形態10の入力装置としてのピンパッド606に設けられる検知部21iの構成を示すものである。
なお、実施形態1〜9と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
この実施形態10のピンパッド606は、実施形態6の筒状のタンパ線延長部221(
図16参照)を有する構成に、キーボードパネル211からキーパッド印刷配線板16の方向に向けて、一体に延設される円筒状の縦壁部211bを組み合わせたものである。
他の構成、および作用効果については、実施形態1〜9と同一乃至均等であるので説明を省略する。
【0077】
[実施形態11]
図23は、実施形態11の入力装置としてのピンパッド706に設けられる検知部21jの構成を示すものである。
なお、実施形態1〜10と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
この実施形態11のピンパッド706は、実施形態2のリング部材28(
図8参照)に、実施形態4のタンパ線延長部121(
図11参照)を組み合わせたものである。
他の構成、および作用効果については、実施形態1〜10と同一乃至均等であるので説明を省略する。
【0078】
[実施形態12]
図24は、実施形態12の入力装置としてのピンパッド806に設けられる検知部21kの構成を示すものである。
なお、実施形態1〜11と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
この実施形態12のピンパッド806は、実施形態8の直線状のタンパ線延長部121および裏あて板128(
図20参照)を、筒状のタンパ線延長部121および裏あて筒部材228が組み合わせられたものに変更している。
他の構成、および作用効果については、実施形態1〜11と同一乃至均等であるので説明を省略する。
【0079】
[実施形態13]
図25は、実施形態13の入力装置としてのピンパッド906に設けられる検知部21lの構成を示すものである。
なお、実施形態1〜12と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
この実施形態13のピンパッド906は、実施形態12(
図24参照)の筒状のタンパ線延長部121に代えて、裏あてとして用いられる筒状のリング部材228の内側面228aに沿うように配置されたタンパ線延長部222を用いている。
タンパ線延長部222は、フレキシブルケーブル20の上側ケーブル20aを一部折り返し部20cにて折り返すことにより形成されている。
他の構成、および作用効果については、実施形態1〜12と同一乃至均等であるので説明を省略する。
【0080】
[実施形態14]
図26は、実施形態14の入力装置としてのピンパッド726に設けられる検知部21mの構成を示すものである。
なお、実施形態1〜13と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
この実施形態14のピンパッド726は、実施形態11(
図23参照)のタンパ線延長部221に代えて、実施形態5,6(
図15,16参照)の下側ケーブル20bから延長して筒状に形成されるタンパ線延長部222を用いている。
他の構成、および作用効果については、実施形態1〜13と同一乃至均等であるので説明を省略する。
【0081】
[実施形態15]
図27は、実施形態15の入力装置としてのピンパッド826に設けられる検知部21nの構成を示すものである。
なお、実施形態1〜14と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
この実施形態15のピンパッド826は、実施形態12(
図24参照)の筒状のタンパ線延長部121に代えて、実施形態5,6(
図15,16参照)の下側ケーブル20bから延長して筒状に形成されるタンパ線延長部222を用いている。
すなわち、下側パネル27に形成された挿通孔27aに、裏あて筒部材228の上端228bとともにタンパ線30が設けられたタンパ線延長部222の上端222aが挿入、係合されている。
他の構成、および作用効果については、実施形態1〜14と同一乃至均等であるので説明を省略する。
【0082】
[実施形態16]
図28,29は、実施形態16の入力装置としてのピンパッド926に設けられる検知部21pの構成を示すものである。
なお、実施形態1〜15と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0083】
この実施形態16の検知部21pは、金属製のリング部材328と、金属製の縦壁部材29とを組み合わせた防護部材130を設けている。
このうち、金属製のリング部材328は、実施形態2(
図7,8参照)の防護部材としてのリング部材28と同様に、円筒形状を呈して構成されていて、上下方向略中央に環状の段差部328aが形成されている。
【0084】
また、縦壁部材29は、段差部328aに係合する係合孔29aが形成される水平板部29dと、L字状壁部29bとを有している。L字状壁部29bには、水平板部29dと直交する面延設方向を有する縦壁29cが水平板部29dと一体に形成されている。
このうち、縦壁29cは、メインケース7の側面と平行となるように直線状に形成されている。縦壁29cの幅方向の寸法W1は、係合孔29aの径方向の寸法dよりも大きくなるように設定されている(
図28参照)。
そして、リング部材328の段差部328aは、下側パネル27の挿通孔27aおよびこの係合孔29aに嵌合するように構成されている(
図29参照)。
【0085】
このように構成された実施形態16の検知部21pを備えたピンパッド926では、縦壁部材29の係合孔29aがリング部材328の段差部328aに係合する。これにより、縦壁部材29の直線状の縦壁29cは、メインケース7の側壁の内側に沿って平行に配置される。
このため、縦壁部材29は、リング部材328を中心として回転することなく、メインケース7の側壁の内側面に向かい合う。
【0086】
そして、さらに、検知スイッチ22に対してメインケース7の側壁側から不正な侵入が行われても、縦壁部材29およびリング部材328によって阻まれて、物理的に検知スイッチ22の基部22bおよび段差部328aに到達することが出来ない。
また、この実施形態16では、直線状の縦壁29cが係合孔29aの径方向の寸法dよりも幅方向の寸法W1が大きくなるように形成されている。
このため、リング部材328を単体で用いる場合と比して、縦壁部材29が広い箇所からの不正な侵入を防止することができる。
【0087】
他の構成、および作用効果については、実施形態1〜15と同一乃至均等であるので説明を省略する。
以上、各実施形態に係る入力装置について詳述してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでない。
【0088】
例えば、各実施形態では、検知部を有する入力装置としてピンパッド6〜926を例示して説明してきたが、特にこれに限らず、たとえばATM等の自動取引装置のキーボード部に用いられるテンキーや、暗証番号を入力する際に用いる他の入力装置を備えたものであってもよい。
すなわち、キー操作による入力が可能な入力ボタンを設けているものに限らず、守秘情報を内部に有するものであれば、どのような寸法、形状、および材質のメインケース7および上蓋等を用いているものであってよい。また、入力装置は、自動預け払い機1に用いられるものに限定されるものではない。
【0089】
そして、実施形態では、ピンパッド6が筺体2の操作者側に位置する前面部3に設けられた操作パネル部材4に装着されている。しかしながら、特にこれに限らず、例えば、筺体2の側面や背面等、どの部分にピンパッド6が装着されていてもよい。
【0090】
さらに、この実施形態の制御部10は、ショートまたは断線等により不正を検知すると守秘情報被攻撃信号を発出して守秘機能処理部分内の守秘情報を破棄する等に構成されている。しかしながら、特にこれに限らず、たとえば、自動預け払い機1の制御を停止させるようにしてもよく、守秘情報の廃棄と制御の停止とを同時に行うようにしてもよい。
【0091】
そして、実施形態では、リング部材24,28および縦壁部211a,211bを円筒形状としたが特にこれに限らず、筒状であれば楕円形、長円形、三角筒形、四角筒形等、他の多角筒形状、あるいは、水平断面形状が円形ではないものであってもよい。さらに、筒状形状の一部または大部分が切り欠かれていても、検知スイッチ22の周囲に設けられるものであればよい。
【0092】
そして、実施形態では、防護部材の範囲を周方向では、メインケース7の中心から遠い側であるメインケース7の側面部との間、もしくは、全周としているが、特にこれに限らず、例えば、メインケース7の中心から近い側である操作キー101b,101cが設けられている部分との間の一部であっても、周囲に設けられていればよい。
段差部28aの周囲に設けられる防護部材の上下方向の範囲は、たとえば挿通孔11aの周縁部の下側から、検知スイッチ22のボタン部22aが押し下げられたON状態の段差部22eの上面位置までの範囲に存在し、さらに好ましくは、段差部22eのストローク範囲内であればよい。
【0093】
さらに、この実施形態の段差部22eの形状が挿通孔11aの周縁部の下側に面当たりする平面形状となるように形成されている。しかしながら、特にこれに限らず、段差部22eが面取りされていたり、あるいは、外径方向に向けて斜めに下降する円錐状を呈していてもよい。