(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について詳細に説明する。本明細書中、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表す。また、本明細書中、「C.I.」は、カラーインデクッス(C.I.)を意味する。
【0021】
<顔料組成物>
本発明の顔料組成物は、下記一般式(1)で表される置換基数の異なる2種類の顔料誘導体とを含むことを特徴とする。置換基数nが1であるものを顔料誘導体(D1)とし、nが2であるものを、顔料誘導体(D2)とし、(D1):(D2)を質量比60:40〜80:20の特定比率で含む顔料組成物を用いることで、優れた分散性(コントラスト、明度、粘度)と耐熱性を達成することができる。
【0022】
<一般式( 1 )で表される顔料誘導体(D1)、(D2)>
一般式(1)
【化7】
【0023】
[一般式(1)中、R
1及びR
2は、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基またはシクロアルキル基を表し、R
1及びR
2は、窒素原子を含むヘテロ環を形成してもよい。R
3は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。kは、1または2の整数を表し、lは、2または3の整数を表し、mは、0または1の整数を表し、nは、1または2の整数を表す。]
【0024】
[顔料誘導体(D1)]
置換基数nが1であるものを顔料誘導体(D1)とし、顔料誘導体(D1)として好ましくは、下記一般式(2)又は(3)で表される構造である。
【0027】
[顔料誘導体(D2)]
置換基数nが2であるものを顔料誘導体(D2)とし顔料誘導体(D2)として好ましくは、下記一般式(4)、(5)又は(6)で表される構造である。
一般式(4)
【化10】
【0030】
[一般式(2)〜(6)中、R
1及びR
2は、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基またはシクロアルキル基を表し、R
1及びR
2は、窒素原子を含むヘテロ環を形成してもよい。R
3は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。kは、1または2の整数を表し、lは、2または3の整数を表し、mは、0または1の整数を表す。]
【0031】
以下に一般式(1)〜(6)中の置換基について説明するが、これらに限定されるものではない。R
1及びR
2におけるアルキル基としては、炭素数1〜6が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。中でもブチル基が好ましい。R
1及びR
2におけるシクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、シクロヘキシル基が好ましい。R
1及びR
2におけるヘテロ環としては、例えば、アジナンが挙げられる。R
3における炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。R
1及びR
2としては、無置換のアルキル基が好ましく、ブチル基がより好ましい。R
3としては、水素あるいはメチル基が好ましい。
【0032】
<顔料誘導体の合成方法>
本願の顔料誘導体の合成方法に特に制限はないが、一例としては、PR177と、パラホルムアルデヒドと、2−クロロアセトアミドのようなアミン化合物とを酸性条件下で反応させることで、主に下記いずれかの反応経路を経て目的の構造が得られる。
【0033】
(第一の反応経路)
第一の反応経路としては、アミドメチロールの芳香族求電子置換反応によるものが考えられる。これはフェノール樹脂の製造にも利用されている反応で一般的に広く知られている(非特許文献1)。まずパラホルムアルデヒドの酸分解によって生じたホルムアルデヒドと2−クロロアセトアミドが反応し、アミドメチロールを形成する。このアミドメチロールが、アミノ基によって反応活性化されたオルト位のプロトンと脱水反応し(芳香族求電子置換反応)、C.I.ピグメントレッド177と結合すると考えられる(非特許文献2)。
【0034】
(第二の反応経路)
第二の反応経路としては、イミニウムイオン中間体を経るマンニッヒ反応によるものが考えられる。まずパラホルムアルデヒドの酸分解によって生じたホルムアルデヒドとC.I.ピグメントレッド177のアミノ基が反応し、イミニウムイオンを形成する。これは不安定な化合物であるため、直ちに2−クロロアセトアミドと求核反応を起こし、結合すると考えられる(非特許文献3)。
【0035】
【非特許文献1】井本稔著「有機電子論II」初版、第33刷、共立出版(1973)、p285‐289
【0036】
【非特許文献2】JOHN McMURRY著、伊藤椒訳「マクマリー有機化学(中)」第7版、第2刷、東京化学同人(2009)、p557‐559
【0037】
【非特許文献3】井本稔著「有機電子論I」増補版、第54刷、共立出版(1973)、p241‐242
【0038】
上記の反応経路を経ることにより、上述の顔料誘導体(D1)、(D2)で表される構造のものが得られる。
【0039】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、一般式(1)で表される顔料誘導体2種を含有する顔料組成物を含む着色剤、バインダー樹脂及び有機溶剤を含む。
【0040】
<着色剤>
本発明における着色剤は、前述の一般式(1)で表される顔料組成物を含むことを特徴とするが、色度を調製するため等に、本発明の効果を損なわない範囲で、上記顔料組成物以外にも、下記のその他色素を併用してもよい。含有してもよいその他色素としては、顔料、染料が挙げられ、顔料が好ましい。
【0041】
[顔料]
顔料としては、例えば、C.I.ピグメント レッド7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、168、169、176、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、273、274,276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287または臭素化ジケトピロロピロール顔料等の赤色顔料、
【0042】
C.I.ピグメント オレンジ38、43、71、または73等の橙色顔料、
【0043】
C.I.ピグメント イエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、または221等の黄色顔料、が挙げられる。
【0044】
[染料]
染料としては、赤色染料、橙色染料または黄色染料が挙げられる。赤色染料としては、キサンテン系、アゾ系(ピリドン系、バルビツール酸系、金属錯体系など)、ジスアゾ系、アントラキノン系、シアニン系、等が挙げられる。特にキサンテン染料が好ましい。
【0045】
具体的には、キサンテン系油溶性染料としては、C.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド42、C.I.ソルベントレッド43、C.I.ソルベントレッド44、C.I.ソルベントレッド45、C.I.ソルベントレッド46、C.I.ソルベントレッド47、C.I.ソルベントレッド48、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド72、C.I.ソルベンレッド73、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド140、C.I.ソルベントレッド141、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット10などが、キサンテン系酸性染料としては、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388、ローズベンガルB、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9などが、キサンテン系塩基性染料としては、C.I. ベーシック レッド 1、C.I. ベーシック レッド8、C.I. ベーシック バイオレット 10などが挙げられる。
【0046】
また、橙色染料または黄色染料としては、キノリン系、アゾ系(ピリドン系、バルビツール酸系、金属錯体系など)、ジスアゾ系、メチン系などが挙げられる。
【0047】
併用するその他色素として好ましいものは、色特性の観点から、アゾ系、ナフトールアゾ系、ジケトピロロピロール系、アントラキノン系、キノフタロン系、及びペリレン系の色素が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメント レッド177、254、臭素化ジケトピロロピロール顔料、C.I.ピグメント イエロー138、139、150、185が挙げられ、好ましくは、C.I.ピグメント レッド177、254である。
【0048】
<顔料の微細化>
本発明の顔料組成物及び顔料(以下、顔料と略することがある。)は、着色組成物とした場合に高い輝度及び高いコントラストを得るため、必要に応じてソルトミリング処理やアシッドペースティング処理等により、顔料粒子の微細化を施すことにより、カラーフィルタ用として好適に使用することができる。TEM(透過型電子顕微鏡)により求められる顔料の平均一次粒子径は、顔料担体中への分散性を高めるために、10nm以上であることが好ましい。また、コントラストが高いフィルタセグメントを得るためには、50nm以下であることが好ましい。
【0049】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕され、それにより活性面が生じて、結晶成長がおこると考えられている。従って、混練時は顔料の破砕と結晶成長が同時に起こり、混練条件により得られる顔料の1次粒子径が異なる。
【0050】
加熱により顔料の結晶成長を促進するためには、加熱温度が35〜150℃であることが好ましい。また、ソルトミリングの混練時間は、ソルトミリングを行った顔料の1次粒子の粒度分布とソルトミリングに要する費用のバランスの点から2〜24時間であることが好ましい。
【0051】
顔料をソルトミリングする際の条件を最適化することにより、1次粒子径が非常に微細であり、また分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。特に、色素誘導体を併用すると好適である。
【0052】
また、ソルトミリングに用いる水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料の全重量を基準(100重量%)として、50〜2000質量部用いることが好ましく、300〜1200質量部用いることが最も好ましい。
【0053】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料の全重量を基準(100重量%)として、5〜1000重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
【0054】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料の全重量を基準(100重量%)として、2〜200重量%の範囲であることが好ましい。
【0055】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて後述の色素誘導体を添加してもよい。また、色素誘導体として本願の顔料組成物を使用することもできる。その場合、顔料としては、類似骨格であるC.I.ピグメント レッド177を選択することが好ましい。
【0056】
アシッドペースティング処理とは、硫酸等の強い溶解力を持つ溶媒に有機顔料と顔料誘導体を共溶解して水等の貧溶媒により共沈させる顔料の微細化方法であるが、顔料及び顔料誘導体を含んだ硫酸溶液を調製する方法は特に限定されない。硫酸中にそれぞれの粉末を添加して溶解してもよいし、それぞれを硫酸に溶解した後に、それぞれの硫酸溶液を混合してもよい。硫酸中にそれぞれの粉末を添加する際の添加順などは限定されない。
【0057】
この硫酸の濃度は、各原料を溶解することができ、且つスルホン化などの反応を発生しない濃度であれば特に限定されないが、70〜98重量%であることが好ましい。濃度が70重量%未満の場合、C.I.ピグメントレッド177の溶解度が低く、溶解するC.I.ピグメントレッド177の単位量あたりに必要となる硫酸量が増加するため、生産性が低下する。また、98重量%を超える場合、C.I.ピグメントレッド177または顔料誘導体が低温でもスルホン化される可能性があり、好ましくない。
【0058】
この硫酸の量は、硫酸の濃度によって増減する必要があるが、それらを完全に溶解し得る量であれば特に限定されない。例えば98重量%の硫酸を使用する場合、C.I.ピグメントレッド177及び顔料誘導体の合計重量に対して3〜100重量倍使用するのが好ましく、さらに好ましくは5〜30重量倍である。硫酸量がこの範囲よりも少ない場合、低温でC.I.ピグメントレッド177及び顔料誘導体を完全に溶解するのが困難な場合がある。また、この範囲よりも多く使用しても品質に与えるメリットはなく、生産性が低下するため、不経済である。
【0059】
C.I.ピグメントレッド177及び顔料誘導体を硫酸に溶解する際の温度は、原料の分解やスルホン化などの反応を発生しない範囲であれば特に限定されないが、例えば98重量%の硫酸を使用する場合、3℃以上60℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは3℃以上40℃以下である。温度が3℃未満である場合、硫酸が凝固してしまい均一に攪拌するのが困難となるため、好ましくない。また、上記の温度よりも高温で溶解する場合、C.I.ピグメントレッド177または顔料誘導体がスルホン化される、あるいは分解する可能性がある。
【0060】
本発明において、C.I.ピグメントレッド177及び顔料誘導体の硫酸溶液を、水と混合して析出させる際の温度は特に限定されない。但し、使用する顔料誘導体の種類によって異なるが、多くの場合、高温で析出させた場合よりも低温の場合に粒子が微細となる傾向があるため、0℃以上60℃以下で行うことが好ましい。その際に使用する水としては水道水、井水、温水など、工業的に使用可能なものはいずれも使用することができるが、析出時の温度上昇を低減するためには、予め冷却した水を使用するのが好ましい。
【0061】
硫酸溶液と水の混合方法は特に限定されず、C.I.ピグメントレッド177及び顔料誘導体を完全に析出させることができればどのような方法で混合しても良い。例えば硫酸溶液を予め調製した氷水に注入する方法や、アスピレーターなどの装置を使用して流水中に連続的に注入するなどの方法で析出させることができる。
【0062】
以上の方法で得られたスラリーを濾過、洗浄して酸性成分を除去し、その後乾燥、粉砕することで本発明の顔料組成物を得ることができる。スラリーを濾過する際、硫酸溶液と水を混合したスラリーをそのまま濾過してもよいが、スラリーの濾過性が悪い場合は濾過前に加熱攪拌してから濾過してもよい。また、塩基性の置換基を有する顔料誘導体を使用した場合、析出後の顔料誘導体は硫酸塩となっている可能性があり、その場合、スラリーを中和した後に濾過するのが好ましい。
【0063】
本発明において、顔料誘導体の含有量は、微細化と着色力の観点からC.I.ピグメントレッド177と顔料誘導体の合計量のうち、0.5重量%〜30重量%の範囲であることが好ましい。本発明で使用する顔料誘導体は、C.I.ピグメントレッド177と共にアシッドペースティング法で顔料組成物を製造する場合、少量の添加でも非常に微細化効果が高いため、顔料組成物中に0.5重量%添加すれば十分に微細な顔料組成物を調製することができる。また、顔料誘導体の含有量が増加するのに伴い、得られる顔料組成物の一次粒子径は微細となり、それを使用したカラーフィルターのコントラストを向上することができる。
【0064】
顔料組成物は、C.I.ピグメントレッド177顔料と本発明の誘導体とを混合して調製しても充分な分散効果が得られるが、下記の方法により調製すれば、さらに良好な結果を得ることができる。混合法以外の顔料組成物の調製方法としては、ディソルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ロールミル、アトライター、サンドミル、各種粉砕機等を用いて顔料粉末と顔料分散剤の粉末を機械的に混合する方法、顔料の水または有機溶媒によるサスペンジョン系に顔料分散剤を含む溶液を添加し、顔料表面に顔料分散剤を沈着させる方法、硫酸等の強い溶解力を持つ溶媒に有機顔料と顔料誘導体を共溶解して水等の貧溶媒により共沈させる方法が挙げられる。
【0065】
<バインダー樹脂>
本発明の着色組成物に含まれるバインダー樹脂は、顔料組成物を分散するものであって、従来公知の熱可塑性樹脂、及び熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0066】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0067】
カラーフィルタ用途として用いる場合には、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。また、アルカリ現像型着色レジストの形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
【0068】
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、またはイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0069】
エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該高分子に導入した樹脂が用いられる。又、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0070】
熱可塑性樹脂として、アルカリ可溶性能とエネルギー線硬化性能とを併せもつものも、カラーフィルタ用途として好ましい。
【0071】
上記熱可塑性樹脂を構成するモノマーとして以下のものが挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、またはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、またはアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類、スチレン、またはα−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、またはプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類が挙げられる。
【0072】
あるいは、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2−ビスマレイミドエタン1,6−ビスマレイミドヘキサン、3−マレイミドプロピオン酸、6,7−メチレンジオキシ−4−メチル−3−マレイミドクマリン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−(4−アミノフェニル)マレイミド、N−(4−ニトロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ブロモメチル−2,3−ジクロロマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオナート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチラート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドヘキサノアート、N−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9−マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類が挙げられる。
【0073】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられる。中でも、耐熱性向上の観点から、エポキシ樹脂、メラミン樹脂がより好適に用いられる。
【0074】
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、顔料組成物を好ましく分散させるためには、5,000〜80,000の範囲が好ましく、より好ましくは7,000〜50,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は2,500〜40,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0075】
ここで重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、東ソー株式会社製ゲルパーミエイションクロマトグラフィー「HLC−8120GPC」において、分離カラムを4本直列に繋ぎ、充填剤には順に東ソー株式会社製「TSK−GEL SUPER H5000」、「H4000」、「H3000」、及び「H2000」を用い、移動相にテトラヒドロフランを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。
【0076】
バインダー樹脂をカラーフィルタ用途で使用する場合には、顔料組成物への吸着及び現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、顔料組成物担体及び溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、顔料組成物の分散性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である場合がある。300mgKOH/gを超えると、現像で微細パターンが残らなくなる場合がある。
【0077】
バインダー樹脂は、顔料組成物の全質量を基準として、20〜500質量%の量で用いることができる。20質量%未満では、成膜性及び諸耐性が不十分となり、500質量%より多いと顔料濃度が低く、色特性を発現できない場合がある。
【0078】
<有機溶剤>
本発明の着色組成物には、顔料組成物を充分に顔料組成物担体中に分散させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤は、着色組成物の塗布性が良好であることに加え、着色組成物の各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
【0079】
有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0080】
中でも、着色組成物各成分の溶解性、及び塗布性が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
【0081】
これら有機溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。また有機溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚のフィルタセグメントを形成できることから、顔料組成物の全質量を基準(100質量%)にして、500〜4000質量%の量で用いることが好ましい。
【0082】
<分散助剤>
顔料組成物を顔料組成物担体中に分散する際には、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、顔料組成物の分散に優れ、分散後の顔料組成物の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料組成物を顔料組成物担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、分光透過率(輝度)の高いカラーフィルタが得られる。
【0083】
(色素誘導体)
本発明に用いられる色素誘導体としては、有機顔料を母体骨格とし、公知の方法により有機顔料に塩基性基、酸性基、またはフタルイミドメチル基を導入した化合物も用いることができる。有機顔料は、具体的には、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノリン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンゾイミダゾロン顔料等が挙げられる。 また、一般に色素とは呼ばれていないフタルイミド系、ナフタレン系、ナフトキノン系、アントラセン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報、特開平06−306301号公報、特開2001−220520号公報、特開2003−238842号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0084】
色素誘導体の配合量は、顔料組成物の分散性向上の観点から、顔料組成物の全量を基準(100重量%)として、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上、最も好ましくは3重量%以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、顔料組成物の全量を基準(100重量%)として、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下である。
【0085】
(樹脂型分散剤)
樹脂型分散剤は、顔料組成物に吸着する性質を有する顔料組成物への親和性部位と、顔料組成物担体と相溶性のある部位とを有し、顔料組成物に吸着して顔料組成物担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0086】
上記分散剤の内、本発明の顔料分散剤との酸−塩基相互作用を最大限に利用し、少量の添加量で着色組成物の粘度が低くなり、高い分光透過率を示すという理由から、酸性官能基を有する高分子分散剤がより好ましい。特にカルボン酸含有グラフト共重合体や、側鎖にスルホン酸、カルボン酸、リン酸などを含む官能基を有する、酸性官能基含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤などが好ましい。
【0087】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、6919、またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、21116、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、BASF社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0088】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0089】
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合の配合量は、顔料組成物の全量を基準(100重量%)として、好ましくは0.1〜55重量%、さらに好ましくは0.1〜45重量%である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が、0.1重量%未満の場合には、添加した効果が得られ難く、配合量が55重量%より多いと、過剰な分散剤により分散に悪影響を及ぼすことがある。
【0090】
<着色組成物の製造方法>
本発明の着色組成物は、顔料組成物を、有機溶剤と、必要に応じて、バインダー樹脂、分散助剤、またはその他色素等を混合した後、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、またはアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、本発明の着色組成物は、顔料組成物とその他色素等を同時に顔料組成物担体に分散しても良いし、別々に顔料組成物担体に分散したものを混合しても良い。
【0091】
<感光性着色組成物>
本発明の着色組成物は、さらに光重合性単量体を添加し、感光性着色組成物として使用することができる。
【0092】
<光重合性単量体>
本発明の感光性着色組成物に添加しても良い光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0093】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。これらの光重合性化合物は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0094】
光重合性単量体の配合量は、顔料組成物100重量部に対し、5〜400重量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から10〜300重量部であることがより好ましい。
【0095】
<光重合開始剤>
本発明の感光性着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成するために、必要に応じて光重合開始剤を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物の形態で調製することができる。
【0096】
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0097】
光重合開始剤の含有量は、顔料組成物100重量部に対し、2〜200重量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から3〜150重量部であることがより好ましい。
【0098】
<増感剤>
さらに、本発明の感光性着色組成物には、増感剤を含有させることができる。増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,又は4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。これらの増感剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0099】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0100】
増感剤の含有量は、感光性着色組成物中に含まれる光重合開始剤100重量部に対し、3〜60重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量部であることがより好ましい。
【0101】
<アミン系化合物>
また、本発明の感光性着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、及びN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0102】
<レベリング剤>
本発明の感光性着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造またはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、感光性着色組成物の全重量を基準(100重量%)として、0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
【0103】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、感光性着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0104】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0105】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0106】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0107】
<硬化剤、硬化促進剤>
また本発明の感光性着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。上記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂100重量部に対し、0.01〜15重量部が好ましい。
【0108】
<その他の添加剤成分>
本発明の感光性着色組成物には、経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0109】
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸及びそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤100重量部に対し、0.1〜10重量部の量で用いることができる。
【0110】
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、感光性着色組成物中の着色剤100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
【0111】
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物及び感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物及び感光性着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0112】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、及び青色フィルタセグメントを具備するものであり、その中の赤色フィルタセグメントが、本発明の化合物を含有する着色組成物または感光性着色組成物から形成される。
【0113】
緑色フィルタセグメントは、緑色顔料と顔料担体を含む通常の緑色着色組成物あるいは緑色感光性着色組成物を用いて形成することができる。緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメント グリーン7、10、36、37、58等が用いられる。また、アルミニウムフタロシアニンなどの青色顔料も使用することができる。
【0114】
また、緑色着色組成物あるいは緑色感光性着色組成物には、黄色顔料を併用することができる。併用可能な黄色顔料としては、C.I.ピグメント イエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、または221等の黄色顔料を挙げることができる。また黄色を呈する塩基性染料、酸性染料の造塩化合物を併用することもできる。
【0115】
青色フィルタセグメントは、青色顔料と顔料担体を含む通常の青色着色組成物あるいは青色感光性着色組成物を用いて形成することができる。青色顔料としては、例えばC.I.ピグメント ブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等が用いられる。また青色着色組成物あるいは青色感光性着色組成物には、紫色顔料を併用することができる。併用可能な紫色顔料としては、C.I.ピグメント バイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を挙げることができる。また、青色や紫色を呈する塩基性染料、酸性染料の造塩化合物を使用することもできる。染料を使用する場合、キサンテン系染料が耐熱性と輝度の点で好ましい。
【0116】
(カラーフィルタの製造方法)
本発明のカラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度及び平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0117】
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0118】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0119】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物または感光性着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【0120】
透明基板あるいは反射基板上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、上記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
【実施例】
【0121】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
【0122】
(バインダー樹脂の重量平均分子量)
東ソー株式会社製ゲルパーミエイションクロマトグラフィー「HLC−8120GPC」において、分離カラムを4本直列に繋ぎ、充填剤には順に東ソー株式会社製「TSK−GEL SUPER H5000」、「H4000」、「H3000」、及び「H2000」を用い、移動相にテトラヒドロフランを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。
【0123】
((D1)と(D2)の質量比LC−MASS(質量分析))
下記条件のLC−MASS(質量分析)を行い、nが1である顔料誘導体(D1)のピークの合計面積比と、nが2である顔料誘導体(D2)のピークの合計面積比を(D1)と(D2)の質量比として算出した。
《分析条件》
質量分析装置:UPLC H−Class/XevoTQD(日本ウォーターズ株式会社製)
カラム:Symmetry C18 5micron(日本ウォーターズ株式会社)
溶離液:(A)0.05mol/l CH
3COONH
4水溶液、(B)DMF
勾配条件:(A):(B)=87:13(体積比)で1分保持した後、5分かけて(A):(B)=87:13から(A):(B)=5:95(体積比)へ変更し、その後(A):(B)=5:95(体積比)で3分保持する。
流速:0.400ml/分
注入量:1μl
カラム温度:35℃
測定波長:300nm
【0124】
<バインダー樹脂溶液の製造方法>
(アクリル樹脂溶液1の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n−ブチルメタクリレート37.2部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してアクリル樹脂溶液1を調製した。重量平均分子量(Mw)は26000であった。
【0125】
(アクリル樹脂溶液2の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液2を調製した。重量平均分子量(Mw)は18000であった。
【0126】
<微細顔料及び着色組成物の製造方法>
(微細顔料(PR177−1)の製造)
ジアントラキノン系顔料(C.I.Pigment Red 177)150部、塩化ナトリウム1500部、及びジエチレングリコール250部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)中に仕込み、60℃で10時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状として、濾過及び水洗をして食塩及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより、138部のアントラキノン系の微細顔料(PR177−1)を得た。
【0127】
(微細顔料(PR254−1)の製造)
150部のC.I.ピグメントレッド254、塩化ナトリウム1500部、及びジエチレングリコール250部の混合物を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所)を使用し、60℃で10時間混練した。次に、この混練物を5000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とした。濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除去後、乾燥、粉砕して、135部の微細顔料(PR254−1)を得た。
【0128】
(着色組成物(PR254−1P)の作製)
下記に示す配合組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、ピコミルで8時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、着色組成物(PR254−1P)を作製した。
微細顔料(PR254−1) :11.0部
誘導体A : 1.0部
アクリル樹脂溶液1 :40.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :48.0部
【0129】
誘導体A
【化13】
【0130】
<本願の顔料組成物の製造>
[実施例1](顔料組成物(Xa−1)の製造)
98%硫酸110部に、C.I.ピグメントレッド177(「Cinilex Red SR3C」CINIC Chemicals社製)11部を10℃以下で加え、攪拌して溶解させた。続いて10℃以下で2−クロロアセトアミド23.1部及びパラホルムアルデヒド8.9部を加え、10℃で3時間攪拌した後、氷水中に投入し、濾過、水洗して、顔料組成物の水ペーストを得た。上記水ペーストを水400部にリスラリーしジエチルアミン9.1部を加え、70℃で2時間攪拌させた後、濾過、水洗、乾燥して、一般式(2)〜(6)の置換基が表1に示すとおり、R1=エチル基、R2=エチル基、R3=水素、k=1、m=0である、下記式(2)a〜(6)aで表される構造を有する顔料組成物(Xa−1)の赤色粉末を得た。LC−MASS(質量分析)の結果、nが1である顔料誘導体(D1):nが2である顔料誘導体(D2)の質量比は、80:20であった。
【0131】
【化14】
【0132】
[実施例2](顔料組成物(Xa−2)の製造)
実施例1の10℃で3時間撹拌する工程を、20℃で3時間撹拌に変更した以外は、実施例1と同様な反応を行い、一般式(2)〜(6)における置換基が表1に示すとおりである、一般式(2)〜(6)に該当する構造を有する顔料組成物(Xa−2)の赤色粉末を得た。(D1):(D2)の質量比は、69:31であった。
【0133】
[実施例3](顔料組成物(Xa−3)の製造)
実施例1の10℃で3時間撹拌する工程を、30℃で3時間撹拌に変更した以外は、実施例1と同様な反応を行い、一般式(2)〜(6)における置換基が表1に示すとおりである、一般式(2)〜(6)に該当する構造を有する顔料組成物(Xa−3)の赤色粉末を得た。(D1):(D2)の質量比は、60:40であった。
【0134】
[実施例4](顔料組成物(Xa−4)の製造)
実施例2のジエチルアミン9.1部を2−ピペコリン12.3部に変更した以外は、実施例2と同様な反応を行い、一般式(2)〜(6)における置換基が表1に示すとおりである、一般式(2)〜(6)に該当する構造を有する顔料組成物(Xa−4)の赤色粉末を得た。(D1):(D2)の質量比は、65:35であった。
【0135】
[実施例5](顔料組成物(Xa−5)の製造)
実施例2のジエチルアミン9.1部をシクロヘキシルアミン12.3部に変更した以外は、実施例2と同様な反応を行い、一般式(2)〜(6)における置換基が表1に示すとおりである、一般式(2)〜(6)に該当する構造を有する顔料組成物(Xa−5)の赤色粉末を得た。(D1):(D2)の質量比は、66:34であった。
【0136】
[実施例6](顔料組成物(Xa−6)の製造)
実施例2のジエチルアミン9.1部をジエチルアミノエチルアミン14.4部に変更した以外は、実施例2と同様な反応を行い、一般式(2)〜(6)における置換基が表1に示すとおりである、一般式(2)〜(6)に該当する構造を有する顔料組成物(Xa−6)の赤色粉末を得た。(D1):(D2)の質量比は、71:29であった。
【0137】
[実施例7](顔料組成物(Xa−7)の製造)
実施例2のジエチルアミン9.1部をジメチルアミノプロピルアミン12.6部に変更した以外は、実施例2と同様な反応を行い、一般式(2)〜(6)における置換基が表1に示すとおりである、一般式(2)〜(6)に該当する構造を有する顔料組成物(Xa−7)の赤色粉末を得た。(D1):(D2)の質量比は、68:32であった。
【0138】
[実施例8](顔料組成物(Xa−8)の製造)
実施例2のジエチルアミン9.1部をジエチルアミノプロピルアミン16.1部に変更した以外は、実施例2と同様な反応を行い、一般式(2)〜(6)における置換基が表1に示すとおりである、一般式(2)〜(6)に該当する構造を有する顔料組成物(Xa−8)の赤色粉末を得た。(D1):(D2)の質量比は、73:27であった。
【0139】
[実施例9](顔料組成物(Xa−9)の製造)
実施例2のジエチルアミン9.1部をジブチルアミノプロピルアミン23.1部に変更した以外は、実施例2と同様な反応を行い、一般式(2)〜(6)における置換基が表1に示すとおりである、一般式(2)〜(6)に該当する構造を有する顔料組成物(Xa−9)の赤色粉末を得た。(D1):(D2)の質量比は、71:29であった。
【0140】
[実施例10](顔料組成物(Xa−10)の製造)
実施例7の2−クロロアセトアミド23.1部を、2−クロロ−N−メチルアセトアミド26.6部に変更した以外は、実施例7と同様な反応を行い、一般式(2)〜(6)における置換基が表1に示すとおりである、一般式(2)〜(6)に該当する構造を有する顔料組成物(Xa−10)の赤色粉末を得た。(D1):(D2)の質量比は、69:31であった。
【0141】
[実施例11](顔料組成物(Xa−11)の製造)
実施例8の2−クロロアセトアミド23.1部を、2−クロロ−N−メチルアセトアミド26.6部に変更した以外は、実施例8と同様な反応を行い、一般式(2)〜(6)における置換基が表1に示すとおりである、一般式(2)〜(6)に該当する構造を有する顔料組成物(Xa−10)の赤色粉末を得た。(D1):(D2)の質量比は、72:28であった。
【0142】
[実施例12](顔料組成物(Xa−12)の製造)
実施例9の2−クロロアセトアミド23.1部を、2−クロロ−N−メチルアセトアミド26.6部に変更した以外は、実施例9と同様な反応を行い、一般式(2)〜(6)における置換基が表1に示すとおりである、一般式(2)〜(6)に該当する構造を有する顔料組成物(Xa−10)の赤色粉末を得た。(D1):(D2)の質量比は、73:27であった。
【0143】
[比較例1](顔料組成物(Xb−1)の製造)
98%硫酸110部に、C.I.ピグメントレッド177(「Cinilex Red SR3C」CINIC Chemicals社製)11部を30℃以下で加え、攪拌して溶解させる。続いて30℃以下で2−クロロアセトアミド9.5部及びパラホルムアルデヒド4部を加え、25℃で2時間攪拌した後、さらに60℃で4時間攪拌してから氷水中に投入し、ろ過、水洗しC.I.ピグメントレッド177誘導体の水ペーストを得た。上記水ペーストを水400部にリスラリーしジエチルアミン7部を加え、70℃で2時間攪拌させた後、ろ過、水洗、乾燥して、一般式(2)〜(6)における置換基が表1に示すとおりである、一般式(2)〜(6)に該当する構造を有する顔料組成物(Xb−1)の赤色粉末を得た。(D1):(D2)の質量比は、52:48であった。
【0144】
【表1】
【0145】
<顔料組成物の製造方法>
[実施例13](顔料組成物(Xa−13)の製造)
135部のC.I.ピグメントレッド177、15部の顔料組成物(Xa−1)、塩化ナトリウム1500部、及びジエチレングリコール250部の混合物を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所)を使用し、60℃で10時間混練した。次に、この混練物を5000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とした。濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除去後、乾燥、粉砕して、134部の顔料組成物(Xa−13)を得た。
【0146】
[実施例14](顔料組成物(Xa−14)の製造)
90部のC.I.ピグメントレッド177、及び10部の顔料組成物(Xa−1)を1000部の98%硫酸に20℃を超えない条件で徐々に投入し、1時間攪拌した。その後、貧溶媒として準備した10000部の水を撹拌している状態で、接触時の温度が50℃以上にならないように徐々に硫酸溶液を注入した。析出させた顔料を濾過、水洗し、乾燥、粉砕して、97部の顔料組成物(Xa−14)を得た。
【0147】
【表2】
【0148】
<着色組成物の作製方法>
[実施例15](着色組成物(RP−1)の作製)
下記に示す配合組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、ピコミル(浅田鉄工社製)で8時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、着色組成物(RP−1)を作製した。
微細顔料(PR177−1) :10.8部
顔料組成物(Xa−1) : 1.2部
アクリル樹脂溶液1 :40.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :48.0部
【0149】
[実施例16〜29、比較例2〜4]
(着色組成物(RP−2)〜(RP−18)の作製)
微細顔料(PR177−1)及び顔料組成物(Xa−1)を、表3に記載の材料にそれぞれ変更した以外は、着色組成物(RP−1)と同様にして、着色組成物(RP−2)〜(RP−18)を作製した。
【0150】
【表3】
【0151】
誘導体B1
【化15】
【0152】
誘導体B2
【化16】
【0153】
<感光性着色組成物の作製方法>
[実施例30]
(感光性着色組成物(RR−1)の作製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、感光性着色組成物(RR−1)を作製した。
着色組成物(PR254−1P) :21.5部
着色組成物(RP−1) :21.5部
アクリル樹脂溶液2 :17.8部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM402」) : 2.3部
光重合開始剤(BASF社製「IRGACURE OXE 02」) : 0.5部
PGMAc :35.8部
【0154】
[実施例31〜44、比較例5〜7]
(感光性着色組成物(RR−2〜18)の作製)
着色組成物(RP−1)及び着色組成物(PR254−1P)を、表4に記載の着色組成物にそれぞれ変更した以外は、感光性着色組成物(RR−1)と同様にして、感光性着色組成物(RR−2)〜(RR−18)を作製した。なお、2種類の着色組成物の配合量は、合計43.0部で固定し、塗膜とした際にC光源でx=0.658、y=0.323の色度になるように比率を変更した。
【0155】
<感光性着色組成物の評価>
得られた感光性着色組成物(RR−1〜18)について、粘度特性、明度、コントラスト比、着色力、耐熱性の評価を下記方法で行った。結果を表4に示す。
【0156】
(塗膜耐熱性の評価)
得られた感光性着色組成物を、透明基板上に乾燥塗膜が約2.5μmとなるように塗布し、先述のストライプ状のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行った後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去してストライプ状のパターンを形成した。その後、オーブンで230℃20分加熱焼成した。その後、ITO(酸化インジウムスズ)膜を平均膜厚1500オングストロームの厚さになるようにスパッタリング法を用いて成膜した。得られた塗膜のC光源での色度1(L*(1),a*(1),b*(1))を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱試験としてオーブンで230℃3時間加熱し、C光源での色度2(L*(2),a*(2),b*(2))を測定した。測定した色差値を用いて、下記計算式により、色差ΔE*abを算出し、塗膜の耐熱性を評価した。
ΔE*ab=[[L*(2)−L*(1)]
2+[a*(2)−a*(1)]
2+[b*(2)−b*(1)]
2]
1/2
○:ΔE*abが1.0未満
△:ΔE*abが1.0以上3.0未満
×:ΔE*abが3.0未満
【0157】
(粘度特性)
得られた感光性着色組成物について、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃における初期粘度を測定した。別途、当該顔料分散体25gを、ガラス容器中密閉状態で、40℃、24時間静置した後、上記と同様の方法で粘度を測定し、経時粘度とした。
○:粘度変化率が±10%未満で、沈降物を生じなかった場合。
△:粘度変化率が±10%以上20%未満で、沈降物を生じなかった場合。
×:粘度変化率が±20%以上、又は粘度変化率が±20%未満であっても沈降物を生じていた場合。
【0158】
(明度Y(C)評価)
得られた感光性着色組成物を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板上に、C光源においてx=0.658、y=0.323になるような膜厚に塗布し、乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて300mJ/cm
2の紫外線を照射した。さらに、230℃で60分加熱することで赤色塗膜を得た。その後、得られた塗膜の明度Y(C)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)で測定した。明度Y(C)に関しては、0.2ポイント以上であれば、明らかに差があるといえる。
【0159】
(コントラスト比評価)
液晶ディスプレー用バックライトユニットから出た光は、偏光板を通過して偏光され、ガラス基板上に塗布された着色組成物の乾燥塗膜を通過し、偏光板に到達する。偏光板と偏光板の偏光面が平行であれば、光は偏光板を透過するが、偏光面が直行している場合には光は偏光板により遮断される。しかし、偏光板によって偏光された光が着色組成物の乾燥塗膜を通過するときに、顔料粒子による散乱等が起こり、偏光面の一部にずれを生じると、偏光板が平行のときは偏光板を透過する光量が減り、偏光板が直行のときは偏光板を一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行のときの輝度と、直行のときの輝度との比(コントラスト比)を算出した。塗膜中の顔料により散乱が起こると、平行のときの輝度が低下し、かつ直行のときの輝度が増加するため、コントラスト比は低くなる。
(コントラスト比)=(平行のときの輝度)/(直行のときの輝度)
なお、輝度計としては色彩輝度計(トプコン社製「BM−5A」)、偏光板としては偏光板(日東電工社製「NPF−G1220DUN」)を用いた。なお、測定に際しては、不要光を遮断するために、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色のマスクを当てた。また、コントラスト比測定には明度Y(C)評価時と同様の方法で得られた赤色塗膜を使用した。
【0160】
(着色力評価(膜厚))
着色力は、明度評価をしたものと同じ塗膜を用いて、塗膜の膜厚測定により評価した。得られた塗膜の膜厚の測定は、表面形状測定装置『Dektak8(Veeco社製)』を用いて測定を行った。目的の色度を与える膜厚が小さいほど、着色力が大きいことを示しており、優れていると言える。
【0161】
【表4】
【0162】
表4の結果より、本発明における特定の顔料誘導体(D1)(D2)を特定比率で含むことにより、得られた感光性着色組成物が、明度、コントラスト比、粘度特性といった分散特性に優れるだけでなく、耐熱性及び着色力に優れていることが確認された。一方、特定の顔料誘導体を含むが、比率が特定範囲外である顔料組成物を使用した感光性着色組成物(比較例5)は、分散特性と着色力は良好だが耐熱性が実用レベルには達していない。特定の顔料誘導体を含まない感光性着色組成物(比較例6、7)は、耐熱性は良好だが、分散特性と着色力が実用レベルに達していないことが示された。
【0163】
<カラーフィルタの作製>
カラーフィルタの作製に使用する緑色感光性着色組成物と青色感光性着色組成物の作製を行った。尚、赤色については本発明の感光性着色組成物(RR−11)を使用した。
【0164】
(緑色着色組成物1(GP−1)の作製)
下記に示す配合組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、ピコミルで8時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、緑色着色組成物(GP−1)を作製した。
緑色顔料(C.I.ピグメント グリーン 58) : 6.8部
黄色顔料(C.I.ピグメント イエロー 150) : 5.2部
樹脂型分散剤(BASF社製「EFKA4300」) : 1.0部
アクリル樹脂溶液1 :35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :52.0部
【0165】
(緑色感光性着色組成物(GR−1)の調製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、緑色感光性着色組成物(GR−1)を作製した。
緑色着色組成物(GP−1) :42.0部
アクリル樹脂溶液2 :13.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) : 2.8部
光重合開始剤(BASF社製「IRGACURE OXE 02」) : 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) : 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート :39.6部
【0166】
(青色着色組成物1(BP−1)の調製)
下記に示す配合組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、ピコミルで8時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、青色着色組成物(BP−1)を作製した。
青色顔料(C.I.ピグメント ブルー 15:6) : 7.2部
紫色顔料(C.I.ピグメント バイオレット 23) : 4.8部
樹脂型分散剤(BASF社製「EFKA4300」) : 1.0部
アクリル樹脂溶液1 :35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :52.0部
【0167】
(青色感光性着色組成物1(BR−1)の調製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、青色感光性着色組成物(BR−1)を作製した。
青色着色組成物(BP−1) :34.0部
アクリル樹脂溶液2 :15.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) : 3.3部
光重合開始剤(BASF社製「IRGACURE OXE 02」) : 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) : 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート :45.1部
【0168】
ガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで本発明の感光性着色組成物(RR−13)をx=0.658、y=0.323になるような膜厚に塗布し着色被膜を形成した。該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて300mJ/cm
2の紫外線を照射した。次いで0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で20分加熱して、赤色フィルタセグメントを形成した。同様の方法により、緑色感光性着色組成物(GR−1)をx=0.300、y=0.600になるような膜厚に、青色感光性着色組成物(BR―1)を用いてx=0.150、y=0.060になるような膜厚にそれぞれ塗布し、緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメントを形成して、カラーフィルタを得た。
【0169】
本発明の感光性着色組成物(RR−13)を用いることにより、高明度かつ高コントラストなカラーフィルタを作製することができた。