【実施例】
【0020】
以下、実施例によって上記した効果についてより具体的に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されない。
【0021】
架橋樹脂微粒子(A)の製造例を以下に示す。
【0022】
(製造例1)
架橋樹脂微粒子(A−1)
撹拌機、コンデンサ、温度計、窒素導入管を付した4口フラスコにイオン交換水400質量%、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド0.5質量%を入れて溶解させた後、窒素下で75℃まで昇温し、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩0.2質量%とイオン交換水10質量%を加えた。そこにメチルメタクリレート50質量%、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート50質量%を混合したものを1時間で滴下し、75℃で3時間反応させた後、85℃まで昇温し、さらに3時間撹拌して共重合体エマルションを得た。
この共重合体エマルションをスプレードライヤー(大川原化工機製)で乾燥し、ジェットミル(日本ニューマチック工業製)で解砕して架橋樹脂微粒子(A−1)を得た。
【0023】
(製造例2〜10)
架橋樹脂微粒子(A−2〜10)
単量体や乳化剤、開始剤をそれぞれ表1に記載のとおりに変更した以外は製造例1と同様にして架橋樹脂微粒子(A−2〜10)を得た。
なお、架橋剤の含有量が少なくガラス転移温度を有する製造例7(架橋樹脂微粒子A−7)、および、平均一次粒子径が大きい製造例8(架橋樹脂微粒子A−8)は、比較製造例に相当する。
【0024】
<熱特性分析>
架橋樹脂微粒子(A)について示差走査熱量計(DSC)によるガラス転移温度(Tg)の測定および熱重量測定装置(TGA)による熱分解温度の測定を行なった。結果を表1に示す。
DSC測定はDSC−60(島津製作所製)を用い、各測定試料10mgを20℃〜300℃まで10℃/分の速度で昇温し、DSC曲線を得た。そのDSC曲線に現れる変曲点の温度、すなわちDSC微分曲線のピークトップ温度をガラス転移温度(Tg)とした。
また、TGA測定はTGA−50(島津製作所製)を用い、各測定試料10mgを500℃まで10℃/分の速度で昇温し、TGA曲線を得た。熱分解温度は各測定試料について1%減量したときの温度とした。この熱分解温度に達するまでにDSC曲線に変曲点が現れない場合、その測定試料はガラス転移温度(Tg)をもたないと判断した。
【0025】
<粒子径測定>
架橋樹脂微粒子(A)の平均一次粒子径は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定を行なった。
結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
なお、表に記載した化合物の略称は、以下の化合物に対応している。
MMA:メチルメタクリレート
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート
DVB:ジビニルベンゼン
DTAC:ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド
EDDAS:ドデシルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート
DBS:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
AIPMP:2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩
KPS:過硫酸カリウム
APS:過硫酸アンモニウム
【0028】
上記架橋樹脂微粒子(A)を用いた正荷電トナーの実施例を以下に示す。
【0029】
(実施例1)
ポリエステル樹脂(DIC製ACT−6217)100質量%、正荷電制御剤(藤倉化成製FCA−201PS)7質量%、銅フタロシアニン系油溶性染料(保土谷化学工業製アイゼンスピロンブルー2BNH)4質量%、カルナウバワックス(加藤洋行製)4質量%を配合した。これにより得た混合物をラボプラストミル(東洋精機製作所製)にて溶融混練し、ジェットミル(日本ニューマチック工業製)にて粉砕後、分級して粒径5〜10μmのポリエステルトナーを製造した。このトナーと、架橋樹脂微粒子(A−1)1質量%、疎水性シリカ(日本アエロジル製RA−200H)0.8質量%を混合し、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業製)にて処理し、正荷電トナー(B−1)を得た。
【0030】
(実施例2)
スチレンアクリル樹脂(藤倉化成製FSR−051)100質量%、正荷電制御剤(藤倉化成製FCA−201PS)4質量%、カーボンブラック(三菱化学製MA#100)4質量%、ビスコール550−P(三洋化成工業製)4質量%を配合した。これにより得た混合物をラボプラストミル(東洋精機製作所製)にて溶融混練し、ジェットミル(日本ニューマチック工業製)にて粉砕後、分級して粒径5〜10μmのスチレンアクリルトナーを製造した。このトナーと、架橋樹脂微粒子(A−1)1質量%、疎水性シリカ(日本アエロジル製RA−200H)0.8質量%を混合し、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業製)にて処理し、正荷電トナー(C−1)を得た。
【0031】
(実施例3〜9、比較例1〜4)
架橋樹脂微粒子(A−1)を、架橋樹脂微粒子(A−2〜10)に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例3〜9に係る正荷電トナー(B−2〜6、B−11、B−12)、および、比較例3および比較例4に係る正荷電トナー(B−9〜10)を得た。
また、比較例1および2に係る正荷電トナー(B−7〜8)は架橋樹脂微粒子(A)を添加せずに、疎水性シリカのみを処理して得た。
尚、実施例4、9は参考例である。
【0032】
<帯電性評価>
キャリア(パウダーテック製F−921−60)100質量%に対し、正荷電トナー5質量%を配合し、温度22℃、相対湿度60%の環境下で10分間摩擦帯電させ、ブローオフ粉体帯電量測定装置(京セラケミカル製)を用いてトナー1gあたりの帯電量(a)を測定した。この帯電量(a)は初期の帯電量の指標であり、20〜70μC/gの範囲であればトナーとしての実用性を有している。帯電量が20μC/g以上であればカブリを生じにくく、また、70μC/g以下であれば画像濃度の低下を防ぐことができる。
別途、摩擦帯電させる時間を10時間とした以外は前記と同様に正荷電トナーを摩擦帯電させ、帯電量(b)を測定し、下記式(1)により帯電量変化率(%)を算出した。この帯電量変化率が−10%を超えなければ(−10%より負の変化率が大きくならなければ)、帯電性が良好で長時間撹拌されても現像性が悪化しにくいトナーが得られる。
変化率(%)=100×{帯電量(b)−帯電量(a)}/帯電量(a)・・(1)
耐電量変化率の説明の例について説明すると、例えば、耐電量変化率が−7%であった場合、現像性が悪化しにくい傾向にあるトナーが得られ、例えば、耐電量変化率が−17%であった場合、得られたトナーによる現像性は悪化しやすい傾向にある。
実施例1〜9に係る初期帯電量、および、帯電量変化率(%)の評価結果を表2に示す。
また、比較例1〜4に係る初期帯電量、および、帯電量変化率(%)の評価結果を表3に示す。
【0033】
<ブロッキング性の評価>
実施例および比較例に係るトナーをサンプル瓶に10g入れ、60℃の乾燥機内に3時間放置し、取り出して室温に冷却後200メッシュ(目開き75μm)の篩に乗せ、振動させた時の篩上の残分の重量を測定した。
評価基準は、篩上の残分が0.5g未満の場合、合格(〇)とした。
また、篩上の残分が、0.5g以上の場合、不合格(×)とした。
○:0.5g未満(合格)
×:0.5g以上(不合格)
表2および表3にブロッキング性の評価結果を示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
以上に示すように、実施例1〜8に係る架橋樹脂微粒子を含む正荷電トナーは、初期帯電量、帯電量変化率(%)、およびブロッキング性のいずれも、良好な結果が得られた。
また、架橋樹脂微粒子の平均一次粒子径が30nmであった製造例10の架橋樹脂微粒子を用いた実施例9においては、ブロッキング性の評価基準を満たさなかったものの、初期帯電量、帯電量変化率(%)は良好な結果が得られた。
一方、外添剤として、架橋樹脂微粒子を含まない比較例1および比較例2においては、帯電量変化率(%)が大きくなり、特性の低下が観察された。
また、架橋樹脂微粒子の調製に用いた架橋剤が20質量%である製造例7の架橋樹脂微粒子を用いた比較例3においても、帯電量変化率(%)が大きくなり、特性の低下が観察された。
また、架橋樹脂微粒子の平均一次粒子径が180nmであった製造例8の樹脂を用いた比較例4においても、帯電量変化率(%)が大きくなり、特性の低下が観察された。
実施例1〜9および比較例1〜4の結果によれば、外添剤として、(1)架橋樹脂微粒子が二官能以上の重合性官能基を有する多官能モノマーである架橋剤を25質量%以上有し、かつ、(2)架橋樹脂微粒子がガラス転移温度(Tg)をもたない場合、正荷電トナーは良好な初期帯電量および良好な帯電量変化率(%)を有していた。
また、実施例1〜9および比較例1〜4の結果によれば、外添剤が上記(1)、(2)の条件に加えて、(3)架橋樹脂微粒子の粒子径が40nm以上150nm以下の条件を満たした場合、正荷電トナーの初期帯電量および帯電量変化率(%)が良好になることに加えて、得られた正荷電トナーのブロッキングが良好に防止される傾向が観察された。
【0037】
上述の実施形態に係る架橋樹脂微粒子を含む外添剤によれば、帯電性が良好で長時間撹拌されても現像性が悪化しにくいトナーが得られる。
上述の実施例では、正荷電トナーを例に示したが、負荷電トナーにおいても同様の効果が得られる。上述の実施形態に係る外添剤は、負荷電トナー用途に用いてもよく、正荷電トナー用途に限定されない。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。