(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を用いて、一実施形態の分析装置を説明する。分析装置1は、光ピックアップ10と信号処理回路20とを備える。光ピックアップ10は、レーザ光源11と、コリメータレンズ12と、ビームスプリッタ13と、対物レンズ14と、集光レンズ15a,15bと、光検出器30とを有する。信号処理回路20は、検出信号生成回路21と論理演算回路22とを有する。
【0013】
レーザ光源11は、波長が例えば405nmのレーザ光Laを射出する。コリメータレンズ12はレーザ光Laを平行光にする。ビームスプリッタ13はレーザ光Laを透過させる。対物レンズ14はレーザ光Laを試料分析用ディスク100のトラック領域101に所定のビームスポットで集光させる。
【0014】
トラック領域101には凹部102(対象領域)と凸部103(周辺領域)とが半径方向に交互に形成されている。凹部102及び凸部103は、内周部から外周部に向かってスパイラル状に形成されている。試料分析用ディスク100は、例えばブルーレイディスク(BD)、DVD、コンパクトディスク(CD)等の光ディスクと同等の円板形状を有する。
【0015】
試料分析用ディスク100は、例えば、一般的に光ディスクに用いられるポリカーボネート樹脂またはシクロオレフィンポリマー等の樹脂材料で形成されている。なお、試料分析用ディスク100は、上記の光ディスクに限定されるものではなく、他の形態または所定の規格に準拠した光ディスクを用いることもできる。
【0016】
試料分析用ディスク100のトラック領域101における凹部102は光ディスクのグルーブに相当し、凸部103はランドに相当する。凹部102の半径方向のピッチに相当するトラックピッチは例えば320nmである。
【0017】
レーザ光Laはトラック領域101で反射し、検出光Lbとして対物レンズ14を介してビームスプリッタ13へ入射する。ビームスプリッタ13は検出光Lbを集光レンズ15a,15bに向けて反射する。集光レンズ15a,15bは検出光Lbを光検出器30に向けて集光させる。
【0018】
図2Aに示すように、光検出器30は、受光領域31と受光領域32と受光領域33と受光領域34とを有する。光検出器30は、受光領域が4分割された4分割フォトダイオードである。検出光Lbは受光領域31,32,33,34へ入射する。
【0019】
光検出器30は、受光領域31に入射した検出光Lbの受光レベルRL1を検出し、信号処理回路20の検出信号生成回路21へ出力する。光検出器30は、受光領域32に入射した検出光Lbの受光レベルRL2を検出し、検出信号生成回路21へ出力する。光検出器30は、受光領域33に入射した検出光Lbの受光レベルRL3を検出し、検出信号生成回路21へ出力する。光検出器30は、受光領域34に入射された検出光Lbの受光レベルRL4を検出し、検出信号生成回路21へ出力する。
【0020】
検出信号生成回路21は、受光レベルRL1に基づいて受光レベル信号RS1を生成する。検出信号生成回路21は、受光レベルRL2に基づいて受光レベル信号RS2を生成する。検出信号生成回路21は、受光レベルRL3に基づいて受光レベル信号RS3を生成する。検出信号生成回路21は、受光レベルRL4に基づいて受光レベル信号RS4を生成する。
【0021】
検出信号生成回路21は、受光レベル信号RS1と受光レベル信号RS2と受光レベル信号RS3と受光レベル信号RS4とを加算して総和信号(RS1+RS2+RS3+RS4)を生成し、検出信号DSとして論理演算回路22へ出力する。
【0022】
検出信号生成回路21は、受光レベル信号RS1と受光レベル信号RS2とを加算して加算信号(RS1+RS2)を生成し、受光レベル信号RS3と受光レベル信号RS4とを加算して加算信号(RS3+RS4)を生成する。検出信号生成回路21は、加算信号(RS1+RS2)から加算信号(RS3+RS4)を減算して差信号SS((RS1+RS2)−(RS3+RS4))を生成し、論理演算回路22へ出力する。
【0023】
論理演算回路22は、検出信号DSの信号レベルが閾値を超えている期間にハイレベルとなるパルス信号である微粒子検出信号BSを生成する。論理演算回路22は、差信号SSの信号レベルが閾値を超えている期間にハイレベルとなるパルス信号である計測補正信号CSを生成する。論理演算回路22は、微粒子検出信号BSと計測補正信号CSとの排他的論理和(BS XOR CS)の論理演算を実行する。
【0024】
図3〜
図6を用いて、微粒子検出信号BSと計測補正信号CSとの排他的論理和の論理演算により、微粒子を計測する方法の一例を説明する。
【0025】
図3に示すように、試料分析用ディスク100のトラック領域101には凹部102と凸部103とが交互に形成されている。以下に、凹部102をトラックTRとし、レーザ光Laが凹部102上を走査される場合について説明する。なお、説明をわかりやすくするために、
図1と同じ構成部には同じ符号を付す。
【0026】
レーザ光LaがトラックTR上を走査される場合、トラッキング制御を行うためには、レーザ光Laは、レーザスポットLSが凹部102と、凹部102に隣接する両側の凸部103とを含む領域(第1の照射領域)に位置するように照射される。なお、凸部103をトラックTRとし、レーザ光Laが凸部103上を走査される場合は、レーザ光Laは、レーザスポットLSが凸部103と、凸部103に隣接する両側の凹部102とを含む領域(第2の照射領域)に位置するように照射される。
【0027】
レーザスポットLSの直径は、1.22×レーザ光Laの波長÷対物レンズ14の開口数NAにより決定される。
図1に示すように、レーザ光Laは、トラック領域101で反射し、検出光Lbとして対物レンズ14、ビームスプリッタ13、集光レンズ15a,15bを介して光検出器30に集光される。
【0028】
図2Bに示すように、検出光Lbは、光検出器30の受光領域31,32,33,34に4分割されて入射する。受光領域31に分割されて入射する検出光LbをLb1、受光領域32に分割されて入射する検出光LbをLb2、受光領域33に分割されて入射する検出光LbをLb3、受光領域34に分割されて入射する検出光LbをLb4とする。
図3に示すレーザスポットLS1,LS2,LS3,LS4は
図2Bに示すLb1,Lb2,Lb3,Lb4に対応する。
【0029】
図3に示すように、レーザ光Laは、レーザスポットLS1,LS2が凹部102と、凹部102に隣接する一方の側(
図3における左側)の凸部103(第1の凸部)とを含む領域に位置するように照射される。また、レーザ光Laは、レーザスポットLS3,LS4が凹部102と、凹部102に隣接する他方の側(
図3における右側)の凸部103(第2の凸部)とを含む領域に位置するように照射される。
【0030】
レーザ光LaのレーザスポットLS1,LS2により生成される検出光Lb1,Lb2は、光検出器30の受光領域31,32に入射する。レーザ光LaのレーザスポットLS3,LS4により生成される検出光Lb3,Lb4は、光検出器30の受光領域33,34に入射する。
【0031】
従って、レーザ光La(レーザスポットLS)は、凹部102と凹部102に隣接する一方の側の凸部103とを含む領域に位置するレーザスポットLS1,LS2(第1のレーザスポット)と、凹部102と凹部102に隣接する他方の側の凸部103とを含む領域に位置するレーザスポットLS3,LS4(第2のレーザスポット)とに分割される。レーザスポットLS1,LS2に分割されたレーザ光Laは、検出光Lb1,Lb2(第1の検出光)として受光領域31,32(第1の受光領域)に入射し、レーザスポットLS3,LS4に分割されたレーザ光Laは、検出光Lb3,Lb4(第2の検出光)として受光領域33,34(第2の受光領域)に入射する。
【0032】
検出信号生成回路21は、検出光Lb1,Lb2の受光レベルRL1,RL2に基づいて受光レベル信号RS1,RS2(第1の受光レベル信号)を生成し、検出光Lb3,Lb4の受光レベルRL3,RL4に基づいて受光レベル信号RS3,RS4(第2の受光レベル信号)を生成する。
【0033】
図3は、トラック領域101上に、検出対象物質を標識する微粒子40が捕捉されている状態の一例を示している。なお、
図3では、各凹部102及び各凸部103を区別するために、各凹部102を凹部1021,1022,1023とし、各凸部103を凸部1031,1032,1033,1034として図示している。
【0034】
第1のトラックTR1に対応する凹部1021には2個の微粒子40a,40bが捕捉されている。第2のトラックTR2に対応する凹部1022には1個の微粒子40cが捕捉されている。第3のトラックTR3に対応する凹部1023には1個の微粒子40dが捕捉されている。
【0035】
凸部1031には微粒子40は捕捉されていない。第1のトラックTR1と第2のトラックTR2との間に位置する凸部1032には1個の微粒子40eが捕捉されている。第2のトラックTR2と第3のトラックTR3との間に位置する凸部1033には2個の微粒子40f,40gが連接して捕捉されている。凸部1034には微粒子40は捕捉されていない。
【0036】
レーザ光Laが第1のトラックTR1上を走査される場合、トラッキング制御を行うために、レーザ光Laは、レーザスポットLSが凹部1021と、凹部1021に隣接する両側の凸部1031及び凸部1032とを含む領域に位置するように照射される。凹部1021を第1の凹部とすると、凸部1031は第1の凸部であり、凸部1032は第2の凸部である。
【0037】
図4は、レーザ光Laが第1のトラックTR1上を走査される場合の検出信号DSと微粒子検出信号BSと差信号SSと計測補正信号CSとの関係を示すタイムチャートである。レーザ光Laが微粒子40a上を走査されると、微粒子40aにより受光レベルRL1,RL2,RL3,RL4がほぼ同じレベルで低下する。
【0038】
これにより、受光レベル信号RS1,RS2,RS3,RS4の信号レベルがほぼ同じレベルで低下するため、微粒子40aに対する検出信号DSaの信号レベルは低下し、差信号SSの信号レベルはほとんど変化しない。
【0039】
論理演算回路22は、検出信号DSaの信号レベルが閾値を超えている期間にハイレベルとなるパルス信号である微粒子検出信号BSaを生成する。差信号SSの信号レベルはほとんど変化しないので閾値を超えないため、計測補正信号CSは生成されない。ここで、信号レベルが閾値を超える期間とは、レーザ光Laが微粒子40a上を走査されると、微粒子40aにより受光レベルが低下するため、
図4〜
図6においては信号レベルが閾値を下回っている期間をいう。
【0040】
論理演算回路22は、微粒子検出信号BSと計測補正信号CSとの排他的論理和の論理演算を実行する。論理演算のフラグとしてハイレベルを1、ローレベルを0とすれば、微粒子検出信号BSは微粒子検出信号BSaが生成されるので、微粒子検出信号BSaは1、計測補正信号CSは生成されないので0として論理演算される。これにより、排他的論理和は1となるため、論理演算回路22は、微粒子検出信号BSaに対応する微粒子計測信号HSaを生成する。即ち、論理演算回路22は、微粒子検出信号BSと計測補正信号CSとの排他的論理和の論理演算を実行し、排他的論理和が1となる場合に微粒子計測信号HSを生成する。
【0041】
次に、レーザ光Laが第1のトラックTR1(凹部1021)に隣接する凸部1032に捕捉されている微粒子40eの近傍を走査されると、微粒子40eにより受光レベルRL3,RL4が低下し、受光レベルRL1,RL2は変化しない。これにより、受光レベル信号RS3,RS4の信号レベルが低下し、受光レベル信号RS1,RS2の信号レベルは変化しないため、微粒子40eに対する検出信号DSe1の信号レベルは低下し、差信号SSe1の信号レベルは上昇する。
【0042】
論理演算回路22は、検出信号DSe1の信号レベルが閾値を超えている期間にハイレベルとなるパルス信号である微粒子検出信号BSe1を生成する。差信号SSe1は信号レベルが上昇するので閾値を超えないため、計測補正信号CSは生成されない。
【0043】
論理演算回路22は、微粒子検出信号BSと計測補正信号CSとの排他的論理和の論理演算を実行する。微粒子検出信号BSは微粒子検出信号BSe1が生成されるので1、計測補正信号CSは生成されないので0として論理演算される。これにより、排他的論理和は1となるため、論理演算回路22は、微粒子検出信号BSe1に対応する微粒子計測信号HSeを生成する。
【0044】
次に、レーザ光Laが微粒子40b上を走査されると、微粒子40bにより受光レベルRL1,RL2,RL3,RL4がほぼ同じレベルで低下する。
【0045】
これにより、受光レベル信号RS1,RS2,RS3,RS4の信号レベルがほぼ同じレベルで低下するため、微粒子40aに対する検出信号DSbの信号レベルは低下し、差信号SSの信号レベルはほとんど変化しない。
【0046】
論理演算回路22は、検出信号DSbの信号レベルが閾値を超えている期間にハイレベルとなるパルス信号である微粒子検出信号BSbを生成する。差信号SSの信号レベルはほとんど変化しないので閾値を超えないため、計測補正信号CSは生成されない。
【0047】
論理演算回路22は、微粒子検出信号BSと計測補正信号CSとの排他的論理和の論理演算を実行する。微粒子検出信号BSは微粒子検出信号BSbが生成されるので1、計測補正信号CSは生成されないので0として論理演算される。これにより、排他的論理和は1となるため、論理演算回路22は、微粒子検出信号BSbに対応する微粒子計測信号HSbを生成する。
【0048】
論理演算回路22は、第1のトラックTR1における微粒子計測信号HSをカウントする。具体的には、第1のトラックTR1における微粒子計測信号HSa,HSe,HSbをカウントし、カウント結果に基づいて、第1のトラックTR1をレーザ光Laが走査された場合の微粒子40の数を3と判定する。第1のトラックTR1をレーザ光Laが走査された場合の微粒子40の総数は、凹部1021に捕捉されている微粒子40a,40bと凸部1032に捕捉されている微粒子40eの総数に対応する。
【0049】
レーザ光Laが第2のトラックTR2上を走査される場合、トラッキング制御を行うために、レーザ光Laは、レーザスポットLSが凹部1022と、凹部1022に隣接する両側の凸部1032及び凸部1033とを含む領域に位置するように照射される。凹部1022を第1の凹部とすると、凸部1032は第1の凸部であり、凸部1033は第2の凸部である。
【0050】
図5は、レーザ光Laが第2のトラックTR2上を走査される場合の検出信号DSと微粒子検出信号BSと差信号SSと計測補正信号CSとの関係を示すタイムチャートである。レーザ光Laが微粒子40c上を走査されると、微粒子40cにより受光レベルRL1,RL2,RL3,RL4がほぼ同じレベルで低下する。
【0051】
これにより、受光レベル信号RS1,RS2,RS3,RS4の信号レベルがほぼ同じレベルで低下するため、微粒子40cに対する検出信号DScの信号レベルは低下し、差信号SSの信号レベルはほとんど変化しない。
【0052】
論理演算回路22は、検出信号DScの信号レベルが閾値を超えている期間にハイレベルとなるパルス信号である微粒子検出信号BScを生成する。差信号SSの信号レベルはほとんど変化しないので閾値を超えないため、計測補正信号CSは生成されない。
【0053】
論理演算回路22は、微粒子検出信号BSと計測補正信号CSとの排他的論理和の論理演算を実行する。微粒子検出信号BSは微粒子検出信号BScが生成されるので1、計測補正信号CSは生成されないので0として論理演算される。これにより、排他的論理和は1となるため、論理演算回路22は、微粒子計測信号HScを生成する。
【0054】
次に、レーザ光Laが第2のトラックTR2(凹部1022)に隣接する一方の凸部1032に捕捉されている微粒子40eの近傍を走査されると、微粒子40eにより受光レベルRL1,RL2が低下し、受光レベルRL3,RL4は変化しない。これにより、受光レベル信号RS1,RS2の信号レベルが低下し、受光レベル信号RS3,RS4の信号レベルは変化しないため、微粒子40eに対する検出信号DSe2及び差信号SSe2の信号レベルは低下する。
【0055】
論理演算回路22は、検出信号DSe2の信号レベルが閾値を超えている期間にハイレベルとなるパルス信号である微粒子検出信号BSe2を生成する。論理演算回路22は、差信号SSe2の信号レベルが閾値を超えている期間にハイレベルとなるパルス信号である計測補正信号CSeを生成する。
【0056】
論理演算回路22は、微粒子検出信号BSと計測補正信号CSとの排他的論理和の論理演算を実行する。微粒子検出信号BSは微粒子検出信号BSe2が生成されるので1、計測補正信号CSは計測補正信号CSeが生成されるので1として論理演算される。これにより、排他的論理和は0となり、微粒子計測信号HSは生成されない。即ち、微粒子検出信号BSe2はカウントされない。
【0057】
次に、レーザ光Laが第2のトラックTR2(凹部1022)に隣接する他方の凸部1033に捕捉されている微粒子40f,40gの近傍を走査されると、微粒子40f,40gにより受光レベルRL3,RL4が低下し、受光レベルRL1,RL2は変化しない。これにより、受光レベル信号RS3,RS4の信号レベルが低下し、受光レベル信号RS1,RS2の信号レベルは変化しないため、微粒子40f,40gに対する検出信号DSfg1の信号レベルは低下し、差信号SSfg1の信号レベルは上昇する。
【0058】
論理演算回路22は、検出信号DSfgの信号レベルが閾値を超えている期間にハイレベルとなるパルス信号である微粒子検出信号BSfgを生成する。差信号SSfg1は信号レベルが上昇するので閾値を超えないため、計測補正信号CSは生成されない。
【0059】
論理演算回路22は、微粒子検出信号BSと計測補正信号CSとの排他的論理和の論理演算を実行する。微粒子検出信号BSは微粒子検出信号BSfg1が生成されるので1、計測補正信号CSは生成されないので0として論理演算される。これにより、排他的論理和は1となるため、論理演算回路22は、微粒子検出信号BSfg1に対応する微粒子計測信号HSfgを生成する。
【0060】
論理演算回路22は、第2のトラックTR2における微粒子計測信号HSをカウントする。具体的には、第2のトラックTR2における微粒子計測信号HSc,HSfgをカウントし、カウント結果に基づいて、第2のトラックTR2をレーザ光Laが走査された場合の微粒子40の数を3と判定する。論理演算回路22は、微粒子計測信号HSfgのパルス幅に基づいて、微粒子40の数を2と判定する。第2のトラックTR2をレーザ光Laが走査された場合の微粒子40の総数は、凹部1022に捕捉されている微粒子40cと凸部1033に捕捉されている微粒子40f,40gとの総数に対応する。
【0061】
レーザ光Laが第3のトラックTR3上を走査される場合、トラッキング制御を行うために、レーザ光Laは、レーザスポットLSが凹部1023と、凹部1023に隣接する凸部1033及び凸部1034とを含む領域に位置するように照射される。凹部1023を第1の凹部とすると、凸部1033は第1の凸部であり、凸部1034は第2の凸部である。
【0062】
図6は、レーザ光Laが第3のトラックTR3上を走査される場合の検出信号DSと微粒子検出信号BSと差信号SSと計測補正信号CSとの関係を示すタイムチャートである。レーザ光Laが微粒子40d上を走査されると、微粒子40dにより受光レベルRL1,RL2,RL3,RL4がほぼ同じレベルで低下する。
【0063】
これにより、受光レベル信号RS1,RS2,RS3,RS4の信号レベルがほぼ同じレベルで低下するため、微粒子40dに対する検出信号DSdの信号レベルは低下し、差信号SSの信号レベルはほとんど変化しない。
【0064】
論理演算回路22は、検出信号DSdの信号レベルが閾値を超えている期間にハイレベルとなるパルス信号である微粒子検出信号BSdを生成する。差信号SSの信号レベルはほとんど変化しないので閾値を超えないため、計測補正信号CSは生成されない。
【0065】
論理演算回路22は、微粒子検出信号BSと計測補正信号CSとの排他的論理和の論理演算を実行する。微粒子検出信号BSは微粒子検出信号BSdが生成されるので1、計測補正信号CSは生成されないので0として論理演算される。これにより、排他的論理和は1となるため、論理演算回路22は、微粒子計測信号HSdを生成する。
【0066】
次に、レーザ光Laが第3のトラックTR3(凹部1023)に隣接する凸部1033に捕捉されている微粒子40f,40gの近傍を走査されると、微粒子40f,40gにより受光レベルRL1,RL2が低下し、受光レベルRL3,RL4は変化しない。これにより、受光レベル信号RS1,RS2の信号レベルが低下し、受光レベル信号RS3,RS4の信号レベルは変化しないため、微粒子40f,40gに対する検出信号DSfg2及び差信号SSfg2の信号レベルは低下する。
【0067】
論理演算回路22は、検出信号DSfg2の信号レベルが閾値を超えている期間にハイレベルとなるパルス信号である微粒子検出信号BSfg2を生成する。論理演算回路22は、差信号SSfg2の信号レベルが閾値を超えている期間にハイレベルとなるパルス信号である計測補正信号CSfgを生成する。
【0068】
論理演算回路22は、微粒子検出信号BSと計測補正信号CSとの排他的論理和の論理演算を実行する。微粒子検出信号BSは微粒子検出信号BSfg2が生成されるので1、計測補正信号CSは計測補正信号CSfgが生成されるので1として論理演算される。これにより、排他的論理和は0となり、微粒子計測信号HSは生成されない。即ち、微粒子検出信号BSfg2はカウントされない。
【0069】
論理演算回路22は、第3のトラックTR3における微粒子計測信号HSをカウントする。具体的には、第3のトラックTR3における微粒子計測信号HSdをカウントし、カウント結果に基づいて、第3のトラックTR3をレーザ光Laが走査された場合の微粒子40の数を1と判定する。
【0070】
第3のトラックTR3をレーザ光Laが走査された場合の微粒子40の総数は、凹部1023に捕捉されている微粒子40dと凸部1034に捕捉されている微粒子との総数に対応する。
【0071】
従って、論理演算回路22は、
図3に示すトラック領域101上に捕捉されている微粒子40の総数を7と判定する。従来のように微粒子検出信号BSをカウントすると、
図3に示すトラック領域101上に捕捉されている微粒子40の総数は10と判定される。
【0072】
この測定誤差は、レーザ光Laが第1のトラックTR1を走査される場合と第2のトラックTR2を走査される場合とで微粒子40eがトラック間クロストークによりダブルカウントされ、レーザ光Laが第2のトラックTR2を走査される場合と第3のトラックTR3を走査される場合とで微粒子40f,40gがトラック間クロストークによりダブルカウントされることに起因する。
【0073】
以上のように、本実施形態の分析装置1及び分析方法は、差信号SSに基づいて計測補正信号CSを生成し、総和信号である検出信号DSに基づいて生成された微粒子検出信号BSと計測補正信号CSとの排他的論理和の論理演算を実行する。本実施形態の分析装置1及び分析方法は、排他的論理和が1のときに微粒子計測信号HSを生成し、微粒子計測信号HSをカウントすることにより、トラック領域101上に捕捉されている微粒子40を計測する。
【0074】
従って、本実施形態の分析装置1及び分析方法によれば、レーザ光Laをトラック領域101の凹部102のみを走査することにより、凹部102に捕捉されている微粒子40と、凹部102に隣接する一方の側の凸部103に捕捉されている微粒子40との総数を計測することができる。よって、本実施形態の分析装置1及び分析方法によれば、トラック間クロストークによる影響を抑制し、従来よりも短い時間で精度よく微粒子を計測できる。
【0075】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0076】
例えば、検出信号生成回路21は、加算信号(RS3+RS4)から加算信号(RS1+RS2)を減算して差信号SS((RS3+RS4)−(RS1+RS2))を生成してもよい。この場合、微粒子40に対する差信号SSの信号レベルの変化が反転するため、例えば微粒子40eは、レーザ光Laが第2のトラックTR2(凹部1022)を走査される場合にはカウントされ、第1のトラックTR1(凹部1021)を走査される場合にカウントされない。
【0077】
即ち、レーザ光Laが第1のトラックTR1を走査される場合の微粒子40の総数は、凹部1021に捕捉されている微粒子40a,40bと凸部1031に捕捉されている微粒子の総数に対応する。レーザ光Laが第2のトラックTR2を走査される場合の微粒子40の総数は、凹部1022に捕捉されている微粒子40cと凸部1032に捕捉されている微粒子40eの総数に対応する。レーザ光Laが第3のトラックTR3を走査される場合の微粒子40の総数は、凹部1023に捕捉されている微粒子40dと凸部1033に捕捉されている微粒子40f,40gの総数に対応する。
【0078】
凸部103を対象領域とし、凹部102を周辺領域としてもよい。即ち、レーザ光Laがトラック領域101の凸部103のみを走査されることにより、凸部103に捕捉されている微粒子40と、凸部103に隣接する一方の側の凹部102に捕捉されている微粒子40との総数を計測するようにしてもよい。
【0079】
具体的には、例えば凸部1032を第1の凸部とし、凸部1032に隣接する一方の側の凹部1021を第1の凹部、他方の側の凹部1022を第2の凹部とする。光ピックアップ10は、レーザ光Laを、レーザスポットLSが第1の凸部と、第1の凸部に隣接する両側の第1及び第2の凹部とを含む第2の照射領域に位置するように照射する。
【0080】
レーザスポットLSは、第1の凸部と第1の凸部に隣接する一方の側の第1の凹部とを含む領域に位置する第1のレーザスポットLS1,LS2と、第1の凸部と第1の凸部に隣接する他方の側の第2の凹部とを含む領域に位置する第2のレーザスポットLS3,LS4とに分割される。
【0081】
受光領域31,32は第1のレーザスポットLS1,LS2に分割されたレーザ光Laを第1の検出光Lb1,Lb2として受光する。受光領域33,34は第2のレーザスポットLS3,LS4に分割されたレーザ光Laを第2の検出光Lb3,Lb4として受光する。
【0082】
信号処理回路20による微粒子検出信号BSと計測補正信号CSとの排他的論理和の論理演算により微粒子40を計測する方法は、レーザ光Laが凹部102のみを走査される場合と同じである。
【0083】
光検出器30として2分割フォトダイオードを用いてもよい。この場合、一方の受光領域は受光領域31,32に対応し、他方の受光領域は受光領域33,34に対応する。
【0084】
検出信号DS及び差信号SSの閾値は、トラック領域に微粒子が捕捉されていない場合の信号レベルと、トラック領域に捕捉された微粒子に起因する信号レベルの中間値に設定するが、微粒子の材質または径の大きさ、並びに、用いられるレーザ光Laの波長または対物レンズ14の開口数に応じて、より最適な値に設定してもよい。トラック領域に微粒子が捕捉されていない信号レベルに対して、トラック領域に捕捉されている微粒子に起因する信号レベルが高い値として検出されるような検出系の場合は、閾値を上回っている信号に対して論理演算のフラグを1にすればよい。