特許第6834706号(P6834706)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6834706パラメータ決定装置、パラメータ決定方法、及びパラメータ決定プログラム、並びに、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6834706
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】パラメータ決定装置、パラメータ決定方法、及びパラメータ決定プログラム、並びに、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 5/00 20060101AFI20210215BHJP
【FI】
   G06T5/00 705
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-73525(P2017-73525)
(22)【出願日】2017年4月3日
(65)【公開番号】特開2018-180577(P2018-180577A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】山田 邦男
【審査官】 山田 辰美
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06804395(US,B1)
【文献】 特開2000−350021(JP,A)
【文献】 特開昭62−204379(JP,A)
【文献】 特開2003−150934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 5/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高域成分を抽出するフィルタを用いて、入力された輝度よりなる画像データの高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成する高域抽出・二値化部と、
所定形状の内側領域の周囲を所定の厚みを有する枠で囲んだ枠ウィンドウを前記高域抽出・二値化部より出力された二値化データのフレーム内のそれぞれの画素に位置させるように移動させ、前記枠内にハイの画素が存在せず、前記内側領域内にハイの画素が存在するとき、前記内側領域内に存在するハイの画素をローに置換して不要領域を除去する領域除去部と、
前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとを指定する枠ウィンドウ指定部と、
前記フレーム内で予め設定した必要領域と不要領域とを区分けする情報に基づき、前記領域除去部によって不要領域を除去する前の必要領域及び不要領域のハイの画素数と、前記領域除去部によって不要領域を除去した後の必要領域及び不要領域のハイの画素数とをカウントする画素数カウント部と、
前記画素数カウント部によるハイの画素数のカウント結果に基づいて、前記領域除去部によって不要領域を除去する前後で、必要領域のハイの画素数が減少することなく、不要領域のハイの画素数が減少すれば、前記領域除去部が用いた枠ウィンドウは不要領域を除去するのに適していると判定して、前記枠ウィンドウ指定部が指定した前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組を、不要領域を除去するのに適した枠ウィンドウのパラメータと決定する判定部と、
を備えるパラメータ決定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記領域除去部によって不要領域を除去する前後で、必要領域のハイの画素数が減少することなく、不要領域のハイの画素数が減少すれば、前記枠ウィンドウ指定部に対して、前記領域除去部が用いる枠ウィンドウの前記内側領域のサイズを大きくするよう指示する請求項1に記載のパラメータ決定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記領域除去部によって不要領域を除去する前後で、必要領域のハイの画素数が減少すれば、前記枠ウィンドウ指定部に対して、前記領域除去部が用いる枠ウィンドウの前記枠の厚みを大きくするよう指示する請求項1または2に記載のパラメータ決定装置。
【請求項4】
高域抽出・二値化部が、高域成分を抽出するフィルタを用いて、入力された輝度よりなる画像データの高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成し、
領域除去部が、所定形状の内側領域の周囲を所定の厚みを有する枠で囲んだ枠ウィンドウを前記高域抽出・二値化部によって二値化された二値化データのフレーム内のそれぞれの画素に位置させるように移動させ、前記枠内にハイの画素が存在せず、前記内側領域内にハイの画素が存在するとき、前記内側領域内に存在するハイの画素をローに置換して不要領域を除去し、
枠ウィンドウ指定部が、前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとを指定し、
画素数カウント部が、前記フレーム内で予め設定した必要領域と不要領域とを区分けする情報に基づき、前記領域除去部によって不要領域を除去する前の必要領域及び不要領域のハイの画素数と、前記領域除去部によって不要領域を除去した後の必要領域及び不要領域のハイの画素数とをカウントし、
判定部が、前記画素数カウント部によるハイの画素数のカウント結果に基づいて、前記領域除去部によって不要領域を除去する前後で、必要領域のハイの画素数が減少することなく、不要領域のハイの画素数が減少すれば、前記領域除去部が用いた枠ウィンドウは不要領域を除去するのに適していると判定して、前記枠ウィンドウ指定部が指定した前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組を、不要領域を除去するのに適した枠ウィンドウのパラメータと決定する
ラメータ決定方法。
【請求項5】
コンピュータに、
高域成分を抽出するフィルタを用いて、入力された輝度よりなる画像データの高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成するステップと、
所定形状の内側領域の周囲を所定の厚みを有する枠で囲んだ枠ウィンドウを二値化された画像データのフレーム内のそれぞれの画素に位置させるように移動させ、前記枠内にハイの画素が存在せず、前記内側領域内にハイの画素が存在するとき、前記内側領域内に存在するハイの画素をローに置換して不要領域を除去するステップと、
前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとを指定するステップと、
前記フレーム内で予め設定した必要領域と不要領域とを区分けする情報に基づき、不要領域を除去する前の必要領域及び不要領域のハイの画素数と、不要領域を除去した後の必要領域及び不要領域のハイの画素数とをカウントするステップと、
ハイの画素数のカウント結果に基づいて、不要領域を除去する前後で、必要領域のハイの画素数が減少することなく、不要領域のハイの画素数が減少すれば、不要領域を除去する際に用いた枠ウィンドウは不要領域を除去するのに適していると判定して、指定された前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組を、不要領域を除去するのに適した枠ウィンドウのパラメータと決定するステップと、
を実行させるパラメータ決定プログラム。
【請求項6】
高域成分を抽出するフィルタを用いて、入力された輝度よりなる画像データの高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成する高域抽出・二値化部と、
所定形状の内側領域の周囲を所定の厚みを有する枠で囲んだ枠ウィンドウを前記高域抽出・二値化部より出力された画像データのフレーム内のそれぞれの画素に位置させるように移動させ、前記枠内にハイの画素が存在せず、前記内側領域内にハイの画素が存在するとき、前記内側領域内に存在するハイの画素をローに置換して不要領域を除去する領域除去部と、
前記領域除去部が用いる前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組として、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパラメータ決定装置が決定したパラメータが設定され、前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組を、設定されたパラメータから選択して指定する枠ウィンドウ指定部と、
を備える画像処理装置。
【請求項7】
高域抽出・二値化部が、高域成分を抽出するフィルタを用いて、入力された輝度よりなる画像データの高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成し、
領域除去部が、所定形状の内側領域の周囲を所定の厚みを有する枠で囲んだ枠ウィンドウを前記高域抽出・二値化部によって二値化された画像データのフレーム内のそれぞれの画素に位置させるように移動させ、前記枠内にハイの画素が存在せず、前記内側領域内にハイの画素が存在するとき、前記内側領域内に存在するハイの画素をローに置換して不要領域を除去し、
前記領域除去部が用いる前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組として、請求項4に記載のパラメータ決定方法によって決定されたパラメータが設定され、前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組を、設定されたパラメータから選択して指定する
像処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
高域成分を抽出するフィルタを用いて、入力された輝度よりなる画像データの高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成するステップと、
所定形状の内側領域の周囲を所定の厚みを有する枠で囲んだ枠ウィンドウを二値化された画像データのフレーム内のそれぞれの画素に位置させるように移動させ、前記枠内にハイの画素が存在せず、前記内側領域内にハイの画素が存在するとき、前記内側領域内に存在するハイの画素をローに置換して不要領域を除去するステップと、
前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組として、請求項5に記載のパラメータ決定プログラムによって決定されたパラメータが設定され、前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組を、設定されたパラメータから選択して指定するステップと、
を実行させる画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像に含まれる不要領域を除去する際に使用するパラメータを決定するパラメータ決定装置、パラメータ決定方法、及びパラメータ決定プログラム、並びに、画像に含まれる不要領域を除去する画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばトンネル内部の壁面ようなコンクリートの壁面は、経時劣化によってひび割れすることがある。コンクリートの壁面は、砂利または気泡による粒、壁面の施工の仕方に起因する線、塗装の境界線、修理跡等を含むことがある。よって、コンクリートの壁面のひび割れは、各種の複雑なテクスチャに囲まれた状態で存在することがある。コンクリートの壁面にひび割れが発生していないかを自動判別または目視判別するためには、ひび割れ以外のテクスチャを除去することが望ましい。
【0003】
ひび割れの部分を必要領域、ひび割れ以外のテクスチャを不要領域とすると、不要領域を除去する手法の例として、特許文献1〜3に記載されているような孤立点除去によるノイズ低減法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−8899号公報
【特許文献2】特開2008−78792号公報
【特許文献3】特開2001−119585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、孤立点除去によるノイズ低減法は、不要領域が点状で比較的小さい場合には有効であるものの、砂利または気泡による粒のような比較的大きな不要領域を除去することができないことがある。また、従来の孤立点除去によるノイズ低減法を用いて不要領域を除去すると、必要領域であるひび割れの部分を除去してしまうことがある。
【0006】
そこで、画像に含まれる必要領域であるひび割れの部分を極力除去することなく、ひび割れ以外の不要領域を効果的に除去することが望まれる。
【0007】
本発明は、画像に含まれる必要領域を極力除去することなく、不要領域を効果的に除去することができるパラメータを決定することができるパラメータ決定装置、パラメータ決定方法、及びパラメータ決定プログラムを提供することを目的とする。また、本発明は、必要領域を極力除去することなく、不要領域を効果的に除去することができる画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、高域成分を抽出するフィルタを用いて、入力された輝度よりなる画像データの高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成する高域抽出・二値化部と、所定形状の内側領域の周囲を所定の厚みを有する枠で囲んだ枠ウィンドウを前記高域抽出・二値化部より出力された二値化データのフレーム内のそれぞれの画素に位置させるように移動させ、前記枠内にハイの画素が存在せず、前記内側領域内にハイの画素が存在するとき、前記内側領域内に存在するハイの画素をローに置換して不要領域を除去する領域除去部と、前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとを指定する枠ウィンドウ指定部と、前記フレーム内で予め設定した必要領域と不要領域とを区分けする情報に基づき、前記領域除去部によって不要領域を除去する前の必要領域及び不要領域のハイの画素数と、前記領域除去部によって不要領域を除去した後の必要領域及び不要領域のハイの画素数とをカウントする画素数カウント部と、前記画素数カウント部によるハイの画素数のカウント結果に基づいて、前記領域除去部によって不要領域を除去する前後で、必要領域のハイの画素数が減少することなく、不要領域のハイの画素数が減少すれば、前記領域除去部が用いた枠ウィンドウは不要領域を除去するのに適していると判定して、前記枠ウィンドウ指定部が指定した前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組を、不要領域を除去するのに適した枠ウィンドウのパラメータと決定する判定部とを備えるパラメータ決定装置を提供する。
【0009】
本発明は、高域抽出・二値化部が、高域成分を抽出するフィルタを用いて、入力された輝度よりなる画像データの高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成し、領域除去部が、所定形状の内側領域の周囲を所定の厚みを有する枠で囲んだ枠ウィンドウを前記高域抽出・二値化部によって二値化された二値化データのフレーム内のそれぞれの画素に位置させるように移動させ、前記枠内にハイの画素が存在せず、前記内側領域内にハイの画素が存在するとき、前記内側領域内に存在するハイの画素をローに置換して不要領域を除去し、枠ウィンドウ指定部が、前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとを指定し、画素数カウント部が、前記フレーム内で予め設定した必要領域と不要領域とを区分けする情報に基づき、前記領域除去部によって不要領域を除去する前の必要領域及び不要領域のハイの画素数と、前記領域除去部によって不要領域を除去した後の必要領域及び不要領域のハイの画素数とをカウントし、判定部が、前記画素数カウント部によるハイの画素数のカウント結果に基づいて、前記領域除去部によって不要領域を除去する前後で、必要領域のハイの画素数が減少することなく、不要領域のハイの画素数が減少すれば、前記領域除去部が用いた枠ウィンドウは不要領域を除去するのに適していると判定して、前記枠ウィンドウ指定部が指定した前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組を、不要領域を除去するのに適した枠ウィンドウのパラメータと決定するパラメータ決定方法を提供する。
【0010】
本発明は、コンピュータに、高域成分を抽出するフィルタを用いて、入力された輝度よりなる画像データの高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成するステップと、所定形状の内側領域の周囲を所定の厚みを有する枠で囲んだ枠ウィンドウを二値化された画像データのフレーム内のそれぞれの画素に位置させるように移動させ、前記枠内にハイの画素が存在せず、前記内側領域内にハイの画素が存在するとき、前記内側領域内に存在するハイの画素をローに置換して不要領域を除去するステップと、前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとを指定するステップと、前記フレーム内で予め設定した必要領域と不要領域とを区分けする情報に基づき、不要領域を除去する前の必要領域及び不要領域のハイの画素数と、不要領域を除去した後の必要領域及び不要領域のハイの画素数とをカウントするステップと、ハイの画素数のカウント結果に基づいて、不要領域を除去する前後で、必要領域のハイの画素数が減少することなく、不要領域のハイの画素数が減少すれば、不要領域を除去する際に用いた枠ウィンドウは不要領域を除去するのに適していると判定して、指定された前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組を、不要領域を除去するのに適した枠ウィンドウのパラメータと決定するステップとを実行させるパラメータ決定プログラムを提供する。
【0011】
本発明は、高域成分を抽出するフィルタを用いて、入力された輝度よりなる画像データの高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成する高域抽出・二値化部と、所定形状の内側領域の周囲を所定の厚みを有する枠で囲んだ枠ウィンドウを前記高域抽出・二値化部より出力された画像データのフレーム内のそれぞれの画素に位置させるように移動させ、前記枠内にハイの画素が存在せず、前記内側領域内にハイの画素が存在するとき、前記内側領域内に存在するハイの画素をローに置換して不要領域を除去する領域除去部と、前記領域除去部が用いる前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組として、上記のパラメータ決定装置が決定したパラメータが設定され、前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組を、設定されたパラメータから選択して指定する枠ウィンドウ指定部とを備える画像処理装置を提供する。
【0012】
本発明は、高域抽出・二値化部が、高域成分を抽出するフィルタを用いて、入力された輝度よりなる画像データの高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成し、領域除去部が、所定形状の内側領域の周囲を所定の厚みを有する枠で囲んだ枠ウィンドウを前記高域抽出・二値化部によって二値化された画像データのフレーム内のそれぞれの画素に位置させるように移動させ、前記枠内にハイの画素が存在せず、前記内側領域内にハイの画素が存在するとき、前記内側領域内に存在するハイの画素をローに置換して不要領域を除去し、前記領域除去部が用いる前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組として、上記のパラメータ決定方法によって決定されたパラメータが設定され、前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組を、設定されたパラメータから選択して指定する画像処理方法を提供する。
【0013】
本発明は、コンピュータに、高域成分を抽出するフィルタを用いて、入力された輝度よりなる画像データの高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成するステップと、所定形状の内側領域の周囲を所定の厚みを有する枠で囲んだ枠ウィンドウを二値化された画像データのフレーム内のそれぞれの画素に位置させるように移動させ、前記枠内にハイの画素が存在せず、前記内側領域内にハイの画素が存在するとき、前記内側領域内に存在するハイの画素をローに置換して不要領域を除去するステップと、前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組として、上記のパラメータ決定プログラムによって決定されたパラメータが設定され、前記枠ウィンドウにおける前記内側領域のサイズと前記枠の厚みとの組を、設定されたパラメータから選択して指定するステップとを実行させる画像処理プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のパラメータ決定装置、パラメータ決定方法、及びパラメータ決定プログラムによれば、画像に含まれる必要領域を極力除去することなく、不要領域を効果的に除去することができるパラメータを決定することができる。また、本発明の画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムによれば、必要領域を極力除去することなく、不要領域を効果的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態のパラメータ決定装置を示すブロック図である。
図2図1における高域抽出・二値化部1より出力された必要領域及び不要領域を含む画像データの一例を示す図である。
図3図1における画素数カウント部2及び4に入力される必要領域指定画像データの一例を示す図である。
図4図1における領域除去部3及び図9における領域除去部13が用いる枠ウィンドウを示す図である。
図5】枠ウィンドウによって除去される不要領域がどのように除去されるかを説明するための図である。
図6A】一実施形態のパラメータ決定方法、及びパラメータ決定プログラムが用いる枠ウィンドウによって必要領域が除去されないことを説明するための図である。
図6B図6Aの部分拡大図である。
図7A】比較例として枠を有さないウィンドウによって必要領域が除去されることを説明するための図である。
図7B図7Aの部分拡大図である。
図8】一実施形態のパラメータ決定方法で実行される手順、及び、一実施形態のパラメータ決定プログラムがコンピュータに実行させるステップを示すフローチャートである。
図9】一実施形態の画像処理装置を示すブロック図である。
図10】一実施形態の画像処理方法で実行される手順、及び、一実施形態の画像処理プログラムがコンピュータに実行させるステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、一実施形態のパラメータ決定装置、パラメータ決定方法、及びパラメータ決定プログラム、並びに、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムについて、添付図面を参照して説明する。本実施形態においては、トンネル内部の壁面のようなコンクリートの壁面を撮影した画像を、ひび割れを含む画像の例とする。ひび割れを含む画像はコンクリートの壁面を撮影した画像に限定されない。
【0017】
<パラメータ決定装置>
まず、図1を用いて、一実施形態のパラメータ決定装置の構成及び動作を説明する。図1において、高域抽出・二値化部1には、コンクリートの壁面を撮影した画像データが入力される。高域抽出・二値化部1に入力される画像データは、静止画のグレースケールの画像データである。
【0018】
高域抽出・二値化部1は、例えばラプラシアンフィルタを用いて輝度の高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成する。図2に示すように、高域抽出・二値化部1より出力されたフレームF1を示す画像データ(二値化データ)は、必要領域であるひび割れ11、及び、砂利または気泡による粒状の多数の不要領域12を含む。ひび割れ11及び不要領域12は画素値“1”(ハイ)で表され、ひび割れ11及び不要領域12以外の部分は画素値“0”(ロー)で表されている。
【0019】
高域抽出・二値化部1より出力されたフレームF1を示す画像データは、画素数カウント部2及び領域除去部3に入力される。画素数カウント部2には、図3に示すように、ひび割れ11を含むフレームF2を示す必要領域指定画像データが入力される。図3に示す必要領域指定画像データは図2に示す画像データにおける不要領域12を削除した画像データである。
【0020】
図3に示す必要領域指定画像データは、ひび割れ11の部分とそれ以外とを区別するために用いるものである。図3に示す必要領域指定画像データは、図2に示す画像データにおける不要領域12を削除し、ひび割れ11の部分を、画像編集ソフトウェアを用いて所定の色でなぞった画像データであってもよい。図3に示す必要領域指定画像データは、フレーム内で予め設定した必要領域と不要領域とを区分けする情報の一例である。
【0021】
画素数カウント部2は、フレームF2を示す必要領域指定画像データを参照して、フレームF1を示す画像データのうち、必要領域であるひび割れ11の部分のハイの画素数と、不要領域12のハイの画素数とをカウントする。画素数カウント部2がカウントしたひび割れ11の部分の画素数及び不要領域12の画素数は、判定部5に入力される。画素数カウント部2から判定部5に供給される必要領域及び不要領域12の画素数(カウント結果)は、領域除去部3によって領域除去する前の画素数である。
【0022】
領域除去部3は、枠ウィンドウ指定部6で指定された図4に示すような枠ウィンドウ60を用いて、フレームF1内のハイの領域を除去する。枠ウィンドウ60は、一例として、サイズBLKの内側正方形601を厚みTHKの枠602で囲んだ正方形の枠状のウィンドウである。サイズBLKの画素数は奇数である。枠ウィンドウ指定部6は、サイズBLK及び厚みTHKの画素数をそれぞれ初期値の3及び1とする。
【0023】
枠ウィンドウ60は、所定形状の内側領域の周囲を所定の厚みを有する枠で囲んだ枠ウィンドウであればよい。内側領域は、内側正方形601の代わりに、長方形、5角形以上の多角形、円形であってもよい。但し、本実施形態においては、内側領域は正方形とする。
【0024】
領域除去部3は、枠ウィンドウ60の中央画素をフレームF1内のそれぞれの画素に位置させるように枠ウィンドウ60を順に移動させていく。このとき、領域除去部3は、枠602にハイの画素が存在しなければ内側正方形601に存在するハイの画素をローに置換する。
【0025】
図5に示すように、複数の不要領域12のうち、不要領域12a及び12bを例とする。領域除去部3が枠ウィンドウ60を移動させたとき、不要領域12aは枠602にハイの画素がかからない状態で内側正方形601内に位置するので、領域除去部3は不要領域12aをローに置換することによって不要領域12aを除去する。不要領域12bは不要領域12aよりも大きく、枠602に不要領域12bの一部であるハイの画素がかかるため、領域除去部3は不要領域12bを除去しない。
【0026】
このように、領域除去部3は、まず、サイズBLK及び厚みTHKを初期値とした枠ウィンドウ60を用いて、フレームF1内のハイの領域を除去する。
【0027】
図6Aは、枠ウィンドウ60がひび割れ11の部分の位置している状態を示している。図6B図6Aの部分拡大図である。図6Bに示すように、ひび割れ11が分断していて不連続となっており、分断されたひび割れ11の一部が内側正方形601内に位置していても、ひび割れ11が枠602にかかるため、領域除去部3はひび割れ11の部分を除去しない。
【0028】
比較例として、図7A及び図7Bは枠602を有さない正方形のウィンドウ61を用いた場合を示している。図7B図7Aの部分拡大図である。領域除去部3が正方形のウィンドウ61を用いると、分断されたひび割れ11の一部が正方形のウィンドウ61内に位置していると、領域除去部3はひび割れ11の部分を除去してしまう。領域除去部3が枠602を有する枠ウィンドウ60を用いることによって、ひび割れ11の部分を誤って除去してしまうおそれを低減させることができる。
【0029】
図1に戻り、領域除去部3は以上のようにして一部の不要領域12を除去したフレームF1の画像データを画素数カウント部4に供給する。画素数カウント部4は、フレームF2を示す必要領域指定画像データを参照して、領域除去部3から供給されたフレームF1を示す画像データのうち、必要領域であるひび割れ11の部分のハイの画素数と、不要領域12のハイの画素数とをカウントする。画素数カウント部4から判定部5に供給される必要領域及び不要領域12の画素数(カウント結果)は、領域除去部3によって領域除去された後の画素数である。
【0030】
画素数カウント部4は、領域除去部3から供給されたフレームF1に基づいてカウントしたひび割れ11の部分及び不要領域12の画素数を判定部5に供給する。判定部5は、画素数カウント部4から供給されたひび割れ11の部分及び不要領域12の画素数と、画素数カウント部2から入力されたひび割れ11の部分及び不要領域12の画素数とを比較する。ひび割れ11の部分のハイの画素をカウントした画素数をcr、不要領域12のハイの画素をカウントした画素数をncrとする。
【0031】
判定部5は、画素数crが減少せず不変、かつ、画素数ncrが減少していれば、枠ウィンドウ指定部6が指定したサイズBLK及び厚みTHKの枠ウィンドウ60が不要領域12を除去するのに適した枠ウィンドウ60であると判定する。画素数crの減少が0.数パーセント未満程度であれば、画素数crは不変とみなすこともあり得る。
【0032】
判定部5は、不要領域12を除去するために用いる枠ウィンドウ60のパラメータとして、不要領域12を除去するのに適した枠ウィンドウ60であると判定したサイズBLK及び厚みTHKの画素数を出力する。
【0033】
これに加えて、判定部5は、枠ウィンドウ指定部6に対してサイズBLKの画素数を2増やすよう指示する。本実施形態においてはサイズBLK及び厚みTHKの初期値を3及び1としているため、枠ウィンドウ指定部6は、サイズBLK及び厚みTHKの画素数をそれぞれ5及び1とする。領域除去部3は、上記のサイズBLK及び厚みTHKを有する枠ウィンドウ60を用いて、フレームF1内のハイの領域を除去する。
【0034】
画素数カウント部4及び判定部5は同様の処理を繰り返す。判定部5は、画素数crが不変、かつ、画素数ncrが減少していれば、サイズBLK及び厚みTHKの画素数を出力し、枠ウィンドウ指定部6に対してサイズBLKの画素数を2増やすよう指示する。
【0035】
領域除去部3〜枠ウィンドウ指定部6は、画素数crが不変、かつ、画素数ncrが減少する限り、サイズBLKが予め設定した最大のサイズである所定のサイズを超えない範囲で、枠ウィンドウ60のサイズBLKの画素数を順に増加させる。領域除去部3〜枠ウィンドウ指定部6は、サイズBLKの画素数が順に増加する枠ウィンドウ60を用いて不要領域12を除去する動作を繰り返す。
【0036】
一方、判定部5は、画素数ncrが減少するか否かにかかわらず、画素数crが減少すれば、枠ウィンドウ指定部6が指定したサイズBLK及び厚みTHKの枠ウィンドウ60が不要領域12を除去するのに適した枠ウィンドウ60ではないと判定する。不要領域12を除去するのに適した枠ウィンドウ60ではないと判定すれば、判定部5はサイズBLK及び厚みTHKの画素数を出力しない。
【0037】
判定部5は、枠ウィンドウ指定部6に対して新たな枠ウィンドウ60を設定するよう指示する。具体的には、判定部5は、枠ウィンドウ指定部6に対して厚みTHKの画素数を1増やすよう指示し、枠ウィンドウ指定部6は厚みTHKの画素数を1増やした新たな枠ウィンドウ60を設定する。枠ウィンドウ指定部6は、領域除去部3が領域除去に用いる枠ウィンドウ60として新たに設定した枠ウィンドウ60を指定する。
【0038】
但し、枠ウィンドウ指定部6は、例外として、厚みTHKの画素数を1増やした結果、厚みTHKの画素数がBLK/2を超える場合には、サイズBLKを2増やし、厚みTHKを1とした枠ウィンドウ60を新たな枠ウィンドウ60を設定する。
【0039】
例えば、領域除去部3がサイズBLK及び厚みTHKの画素数が初期値の3及び1である枠ウィンドウ60を用いてフレームF1内のハイの領域を除去し、画素数crが減少したとする。厚みTHKの画素数を1増やすと、厚みTHKの画素数がBLK/2を超えるため、枠ウィンドウ指定部6は、サイズBLK及び厚みTHKの画素数をそれぞれ5及び1とする。
【0040】
また、領域除去部3がサイズBLK及び厚みTHKの画素数が5及び1である枠ウィンドウ60を用いてフレームF1内のハイの領域を除去し、画素数crが減少したとする。この場合、枠ウィンドウ指定部6は、サイズBLK及び厚みTHKの画素数をそれぞれ5及び2とする。
【0041】
判定部5が、枠ウィンドウ60が不要領域12を除去するのに適した枠ウィンドウ60ではないと判定し、枠ウィンドウ指定部6に対して新たな枠ウィンドウ60を設定するよう指示したとき、領域除去部3は、直前に実行した領域の除去を破棄する。これによって、フレームF1の画像データは元の状態に戻される。
【0042】
領域除去部3〜枠ウィンドウ指定部6は、画素数crが減少する限り、サイズBLKが予め設定した最大のサイズである所定のサイズを超えない範囲で、上記の例外を除き、厚みTHKの画素数を順に増加させる。領域除去部3〜枠ウィンドウ指定部6は、厚みTHKの画素数が順に増加する枠ウィンドウ60を用いて領域を除去して、不要領域12を除去するのに適した枠ウィンドウ60を探索する動作を繰り返す。
【0043】
以上の動作によって、判定部5からは、不要領域12を除去するのに適した枠ウィンドウ60のサイズBLK及び厚みTHKの画素数の複数の組み合わせが出力される。なお、壁面の状態によっては、不要領域12を除去するのに適した枠ウィンドウ60のパラメータが、サイズBLK及び厚みTHKの1つの組のみという場合もあり得る。
【0044】
<パラメータ決定方法及びパラメータ決定プログラム>
図8に示すフローチャートを用いて、図1に示すパラメータ決定装置で実行される一実施形態のパラメータ決定方法を説明する。図8に示すフローチャートは、一実施形態のパラメータ決定方法で実行される手順、及び、一実施形態のパラメータ決定プログラムがコンピュータに実行させるステップを示す。
【0045】
高域抽出・二値化部1(コンピュータ)は、ステップS1にて、枠ウィンドウ60のパラメータを決定するために用意した画像データを取り込む。高域抽出・二値化部1(コンピュータ)は、ステップS2にて、輝度の高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化し、図2に示す画像データ(二値化データ)を生成する。
【0046】
画素数カウント部2(コンピュータ)は、ステップS3にて、図3に示す必要領域指定画像データを参照して、必要領域(ひび割れ11の部分)のハイの画素数crと不要領域12のハイの画素数ncrとをカウントする。
【0047】
枠ウィンドウ指定部6(コンピュータ)は、ステップS4にて、枠ウィンドウ60のサイズBLK及び厚みTHKの画素数をそれぞれ初期値の3及び1に設定する。領域除去部3(コンピュータ)は、ステップS5にて、枠ウィンドウ60を用いて上記のように枠602にハイの画素がかかることなく内側正方形601内に位置するハイの画素よりなる領域を除去する。
【0048】
画素数カウント部4(コンピュータ)は、ステップS6にて、必要領域指定画像データを参照して、必要領域(ひび割れ11の部分)のハイの画素数crと不要領域12のハイの画素数ncrとをカウントする。
【0049】
判定部5(コンピュータ)は、ステップS7にて、画素数crが不変、かつ、画素数ncrが減少するか否かを判定する。画素数crが不変、かつ、画素数ncrが減少すれば(YES)、判定部5(コンピュータ)は、ステップS8にて、枠ウィンドウ60のサイズBLK及び厚みTHKの画素数を出力する。
【0050】
枠ウィンドウ指定部6(コンピュータ)は、ステップS9にて、内側正方形601のサイズBLKの画素数を2増加させ、ステップS12にて、サイズBLKが所定のサイズ以下であるか否かを判定する。サイズBLKが所定のサイズ以下であれば(YES)、領域除去部3〜枠ウィンドウ指定部6(コンピュータ)は、ステップS5〜S7、S8及びS9(またはS10及びS11)、S12の処理を繰り返す。
【0051】
ステップS7にて画素数crが不変、かつ、画素数ncrが減少するという状態でなければ(NO)、ステップS10にて、領域除去部3(コンピュータ)は直前の領域の除去を破棄し、枠ウィンドウ指定部6(コンピュータ)は枠602の厚みTHKの画素数を1増加させる。
【0052】
枠ウィンドウ指定部6(コンピュータ)は、ステップS11にて、厚みTHKの画素数がBLK/2を超えれば、サイズBLKの画素数を2増やし、厚みTHKの画素数を1として、処理をステップS12に移行させる。同様に、枠ウィンドウ指定部6(コンピュータ)は、ステップS12にて、サイズBLKが所定のサイズ以下であるか否かを判定する。サイズBLKが所定のサイズ以下であれば(YES)、領域除去部3〜枠ウィンドウ指定部6(コンピュータ)は、ステップS5〜S7、S10及びS11(またはS8及びS9)、S12の処理を繰り返す。
【0053】
ステップS12にてサイズBLKが所定のサイズ以下でなければ(NO)、領域除去部3〜枠ウィンドウ指定部6(コンピュータ)は、処理を終了させる。
【0054】
ところで、以上説明した本実施形態のパラメータ決定装置、パラメータ決定方法、及びパラメータ決定プログラムにおいては、図2に示すフレームF1に基づいて枠ウィンドウ60のパラメータを決定している。同様のコンクリートの壁面であれば、ひび割れ11の分断の仕方、砂利または気泡による粒状の不要領域12の大きさはほぼ同様となる。
【0055】
従って、サンプルとして選択したコンクリートの壁面を撮影した静止画の画像データを高域抽出・二値化部1に供給してパラメータを決定すれば、サンプル以外の画像データであっても、不要領域12を効果的に除去できる枠ウィンドウ60とすることができる。
【0056】
以上説明した本実施形態のパラメータ決定装置、パラメータ決定方法、及びパラメータ決定プログラムによれば、画像に含まれる必要領域を極力除去することなく、不要領域を効果的に除去することができるパラメータを決定することができる。
【0057】
<画像処理装置>
次に、図9を用いて、以上のように決定した枠ウィンドウ60のパラメータを用いて、コンクリートの壁面を撮影した画像データに含まれる不要領域12を除去する一実施形態の画像処理装置を説明する。
【0058】
図9において、枠ウィンドウ指定部16には、枠ウィンドウ60のパラメータとして、サイズBLK及び厚みTHKの1または複数の組が設定されている。サイズBLK及び厚みTHKの組にはセット番号Nが付されているとする。セット番号Nは、例えば、1,2,3…である。
【0059】
高域抽出・二値化部11には、コンクリートの壁面を撮影した画像データが入力される。高域抽出・二値化部11に入力される画像データは、静止画のグレースケールの画像データである。高域抽出・二値化部1は、例えばラプラシアンフィルタを用いて高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成する。
【0060】
領域除去部13は、枠ウィンドウ指定部16に設定されている全ての組のサイズBLK及び厚みTHKの枠ウィンドウ60を順に用いて、領域除去部3と同様に不要領域12を除去して、不要領域12が除去された画像データを出力する。
【0061】
<画像処理方法及び画像処理プログラム>
図10に示すフローチャートを用いて、図9に示す画像処理装置で実行される一実施形態の画像処理方法を説明する。図10に示すフローチャートは、一実施形態の画像処理方法で実行される手順、及び、一実施形態の画像処理プログラムがコンピュータに実行させるステップを示す。
【0062】
高域抽出・二値化部11(コンピュータ)は、ステップS21にて、不要領域12を除去しようとする対象の画像データを取り込む。高域抽出・二値化部11(コンピュータ)は、ステップS22にて、輝度の高域成分を抽出し、抽出された輝度の高域成分のレベルを、閾値を基準としてハイとローとに二値化して二値化データを生成する。
【0063】
枠ウィンドウ指定部16(コンピュータ)は、ステップS23にて、パラメータのセット番号Nを1に設定する。領域除去部13(コンピュータ)は、ステップS24にて、セット番号N(ここでは1)のサイズBLK及び厚みTHKを設定した枠ウィンドウ60を用いて不要領域12を除去する。
【0064】
枠ウィンドウ指定部16(コンピュータ)は、ステップS25にて、セット番号Nを1増加させ、ステップS26にて、1増加させたセット番号Nが最大のセット番号以下であるか否かを判定する。最大のセット番号以下であれば(YES)、領域除去部13(コンピュータ)は、ステップS24にて、1増加させたセット番号N(ここでは2)のサイズBLK及び厚みTHKを設定した枠ウィンドウ60を用いて不要領域12を除去する。
【0065】
枠ウィンドウ指定部16(コンピュータ)は、ステップS25にて、セット番号Nをさらに1増加させ、ステップS26にて、1増加させたセット番号Nが最大のセット番号以下であるか否かを判定する。領域除去部13及び枠ウィンドウ指定部16(コンピュータ)は、ステップS24〜S26の処理を繰り返す。
【0066】
ステップS26にて最大のセット番号以下でなければ(NO)(即ち、最大のセット番号を超えていれば)、枠ウィンドウ指定部16に設定されている全ての組のサイズBLK及び厚みTHKの枠ウィンドウ60を用いて不要領域12を除去したということである。領域除去部13(コンピュータ)は、不要領域12が除去された画像データを出力して処理を終了させる。
【0067】
以上説明した本実施形態の画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムによれば、必要領域を極力除去することなく、不要領域を効果的に除去することができる。
【0068】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。本実施形態のパラメータ決定装置及び画像処理装置は、ハードウェアで構成されてもよいし、ソフトウェアで構成されてもよく、ハードウェアとソフトウェアとの使い分けは任意である。
【0069】
即ち、本実施形態のパラメータ決定装置及び画像処理装置は、集積回路で構成されてもよいし、コンピュータの中央処理装置(CPU)及びメモリで構成されてもよい。メモリに記憶されたコンピュータプログラム(パラメータ決定プログラム及び画像処理プログラム)をCPUによって実行させることによって、本実施形態のパラメータ決定装置及び画像処理装置が構成されてもよい。パラメータ決定プログラム及び画像処理プログラムは非一時的な記憶媒体に記憶されて提供されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1,11 高域抽出・二値化部
2,4 画素数カウント部
3,13 領域除去部
5 判定部
6,16 枠ウィンドウ指定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10