特許第6834766号(P6834766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6834766
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】コンテンツ再生装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/443 20110101AFI20210215BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20210215BHJP
   H04N 21/44 20110101ALI20210215BHJP
【FI】
   H04N21/443
   H04N21/442
   H04N21/44
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-96990(P2017-96990)
(22)【出願日】2017年5月16日
(65)【公開番号】特開2018-195930(P2018-195930A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2019年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】本家 裕介
(72)【発明者】
【氏名】竹井 浩司
(72)【発明者】
【氏名】上町 新也
【審査官】 岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−149845(JP,A)
【文献】 特開2006−202219(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/072341(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/096168(WO,A1)
【文献】 出村 成和,Android NDK ネイティブプログラミング 第2版,株式会社秀和システム,2013年 1月 1日,第1版第1刷,p.8−13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 − 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアルタイム制御用ではないOSを用いて、外部からコンテンツ情報を含む信号を受信して前記コンテンツ情報を再生する再生処理を行うコンテンツ再生装置であって、
前記OSを用いて、前記再生処理のレートをプロパティ領域に示しながら前記再生処理を行う第1処理部と、
前記再生処理以外の機能であってクリティカルな影響を生じさせる処理を行う機能を実現する第2処理部とを備え、
前記第2処理部は、前記プロパティ領域を参照し、前記機能を制限することにより前記コンテンツ再生装置の負荷を調整する調整処理を行い、
前記第1処理部は、前記再生処理におけるアンダーフローを示すエラー情報を作成し、
前記第2処理部は、前記プロパティ領域の内容、および前記第1処理部によって作成された前記エラー情報に基づいて前記調整処理を行う、コンテンツ再生装置。
【請求項2】
アプリケーション層、フレームワーク層、HAL(Hardware Abstraction Layer)、およびドライバ層を有するプロトコルに従って動作し、かつプロパティ領域と、プロセッサとを備え、外部からコンテンツ情報を含む信号を受信して前記コンテンツ情報を再生する再生処理を行うコンテンツ再生装置であって、
前記プロセッサは、前記プロトコルに従い、前記再生処理のレートをプロパティ領域に示しながら前記再生処理を行い、
前記プロセッサは、前記再生処理以外の機能であってクリティカルな影響を生じさせる処理を行う機能を有し、前記プロパティ領域を参照し、前記機能を制限することにより自己の負荷を調整する調整処理を行い、
前記プロセッサは、前記再生処理におけるアンダーフローを示すエラー情報を作成し、前記プロパティ領域の内容、および作成した前記エラー情報に基づいて前記調整処理を行う、コンテンツ再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サーバに保存されたコンテンツをプレーヤへ配信するための技術が開発されている。たとえば、特許文献1(特開2007−66471号公報)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、メディア用サーバ装置は、ネットワーク接続中では、ネットワークプレーヤからのデータ送信要求に対して該当デジタルコンテンツの該当データをネットワークプレーヤへストリーム配信し、かつ単体でプレーヤとしても作動可能であり、ネットワークプレーヤにおけるデジタルコンテンツの再生中断を検出する第1の中断検出手段と、ネットワークプレーヤにおけるデジタルコンテンツの再生中断が検出されると、再生中断したデジタルコンテンツおよびその中断位置に係る情報を第1のレジューム情報として記憶する第1のレジューム情報記憶手段と、前記メディア用サーバ装置がプレーヤとなって再生していたデジタルコンテンツの再生中断を検出する第2の中断検出手段と、前記メディア用サーバ装置がプレーヤとなって再生していたデジタルコンテンツの再生中断が検出されると、再生中断したデジタルコンテンツおよびその中断位置に係る情報を第2のレジューム情報として記憶する第2のレジューム情報記憶手段と、前記メディア用サーバ装置がプレーヤとなって再生を行う場合は、第1または第2のレジューム情報に係るデジタルコンテンツを第1または第2のレジューム情報に係る中断位置に基づく再生位置から再生開始する再生制御手段と、ネットワークプレーヤから情報送信要求を受けたときは、ネットワークプレーヤが第1または第2のレジューム情報に係るデジタルコンテンツを第1または第2のレジューム情報に係る中断位置に基づく再生位置から再生開始するためのデータ送信要求をネットワークプレーヤが前記メディア用サーバ装置に対して出せるようにする情報形式で、第1または第2のレジューム情報をネットワークプレーヤへ送信する送信手段とを備える。
【0003】
このようなプレーヤにおいて、再生機能を含む複数の機能が同時に動作した場合、まったく機能制限を行わない構成では、映像再生のカクツキ等、再生機能の品質低下をもたらす場合がある。
【0004】
また、たとえば長時間録画中に録画再生等の他の機能を使用できなくする、といったリソース管理に基づいた機能制限を行う技術も開発されている。
【0005】
ここで、プログレッシブダウンロードに帯域制御を追加したストリーミング技術、たとえば、Microsoft Smooth Streaming、Adobe Dynamic Streaming、HTTP Live Streaming、およびMPEG−DASH等が登場しており、各種サービスにおいて採用されている(たとえば、非特許文献1(”特別インタビュー− ヤフーに聞く、Silverlight採用の理由”、[online]、[平成29年4月24日検索]、インターネット〈URL:http://news.mynavi.jp/column/silverlight/009/〉)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−66471号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】”特別インタビュー− ヤフーに聞く、Silverlight採用の理由”、[online]、[平成29年4月14日検索]、インターネット〈URL:http://news.mynavi.jp/column/silverlight/009/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、安全サイドを優先して機能制限を行う構成では、ユーザが機能をまったく使用できずに不便である。
【0009】
また、上記のように帯域制御を行う構成では、コンテンツの再生途中において帯域が変わる際にコンテンツの画質が切り変わることになる。そして、この切り変わりの際に問題が生じることを防ぐため、各画質のコンテンツ間でタイミング等の整合性が取れるよう事前にコンテンツを作成しておく必要がある。
【0010】
すなわち、事前に様々な帯域に応じた複数のコンテンツを作成しておく必要があり、これら複数のコンテンツを作成するために、リソースを多く使用してしまい、また、保存容量を多く使用してしまう。
【0011】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、配信されたコンテンツの再生を含む複数の処理を並行して実行可能な構成において、処理負荷の増大による再生の品質低下を抑制することが可能なコンテンツ再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるコンテンツ再生装置は、リアルタイム制御用ではないOSを用いて、外部からコンテンツ情報を含む信号を受信して前記コンテンツ情報を再生する再生処理を行うコンテンツ再生装置であって、前記OSを用いて、前記再生処理の状態をプロパティ領域に示しながら前記再生処理を行う第1処理部と、前記再生処理以外の機能であってクリティカルな影響を生じさせる処理を行う機能を実現する第2処理部とを備え、前記第2処理部は、前記プロパティ領域を参照し、前記機能を制限することにより前記コンテンツ再生装置の負荷を調整する調整処理を行う。
【0013】
(3)またこの発明の別の局面に係わるコンテンツ再生装置は、アプリケーション層、フレームワーク層、HAL(Hardware Abstraction Layer)、およびドライバ層を有するプロトコルに従って動作し、かつプロパティ領域と、プロセッサとを備え、外部からコンテンツ情報を含む信号を受信して前記コンテンツ情報を再生する再生処理を行うコンテンツ再生装置であって、前記プロセッサは、前記プロトコルに従い、前記再生処理の状態をプロパティ領域に示しながら前記再生処理を行い、前記プロセッサは、前記再生処理以外の機能であってクリティカルな影響を生じさせる処理を行う機能を有し、前記プロパティ領域を参照し、前記機能を制限することにより自己の負荷を調整する調整処理を行う。
【0014】
本発明は、このような特徴的な処理部を備えるコンテンツ再生装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする方法として実現することができる。また、コンテンツ再生装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現したり、コンテンツ再生装置を含むシステムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、配信されたコンテンツの再生を含む複数の処理を並行して実行可能な構成において、処理負荷の増大による再生の品質低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置の構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置の構成を詳細に示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る、DLNA規格に従うコンテンツ配信のシーケンスの一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係るCDSリストの一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置のプロトコルスタックを示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置がコンテンツ再生処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
図7図7は、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置がコンテンツ再生処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0018】
(1)本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置は、リアルタイム制御用ではないOSを用いて、外部からコンテンツ情報を含む信号を受信して前記コンテンツ情報を再生する再生処理を行うコンテンツ再生装置であって、前記OSを用いて、前記再生処理の状態をプロパティ領域に示しながら前記再生処理を行う第1処理部と、前記再生処理以外の機能であってクリティカルな影響を生じさせる処理を行う機能を実現する第2処理部とを備え、前記第2処理部は、前記プロパティ領域を参照し、前記機能を制限することにより前記コンテンツ再生装置の負荷を調整する調整処理を行う。
【0019】
このように、第1処理部における再生処理の状態を監視し、当該状態に応じて第2処理部の機能を制限する構成により、第2処理部の処理が実行されることに起因する第1処理部によるコンテンツの再生処理におけるアンダーフローおよび停止等のエラー発生を抑制することができる。すなわち、リアルタイム制御用ではないOSを用いることから、たとえば別のプロセスである第2処理部による他の機能の実行に伴って機能の品質低下が生じやすい第1処理部の再生処理を、安定して実行することができる。したがって、配信されたコンテンツの再生を含む複数の処理を並行して実行可能な構成において、処理負荷の増大による再生の品質低下を抑制することができる。
【0020】
(2)好ましくは、前記第1処理部は、前記再生処理におけるエラーを示すエラー情報を作成し、前記第2処理部は、前記第1処理部によって作成された前記エラー情報に基づいて前記調整処理を行う。
【0021】
このような構成により、第1処理部によるコンテンツの再生処理においてエラーが発生していない場合には、再生処理の状態に関わらず調整処理を行わずに各種機能の実行を優先し、エラーが発生した場合に調整処理を行って機能制限をかけることができる。
【0022】
(3)本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置は、アプリケーション層、フレームワーク層、HAL、およびドライバ層を有するプロトコルに従って動作し、かつプロパティ領域と、プロセッサとを備え、外部からコンテンツ情報を含む信号を受信して前記コンテンツ情報を再生する再生処理を行うコンテンツ再生装置であって、前記プロセッサは、前記プロトコルに従い、前記再生処理の状態をプロパティ領域に示しながら前記再生処理を行い、前記プロセッサは、前記再生処理以外の機能であってクリティカルな影響を生じさせる処理を行う機能を有し、前記プロパティ領域を参照し、前記機能を制限することにより自己の負荷を調整する調整処理を行う。
【0023】
このように、プロセッサにおけるプロトコルに従う再生処理の状態を監視し、当該状態に応じてプロセッサによる他の機能を制限する構成により、他の機能の処理が実行されることに起因するプロセッサによるコンテンツの再生処理におけるアンダーフローおよび停止等のエラー発生を抑制することができる。すなわち、たとえば別のプロセスである他の機能の実行に伴って機能の品質低下が生じやすい再生処理を、安定して実行することができる。したがって、配信されたコンテンツの再生を含む複数の処理を並行して実行可能な構成において、処理負荷の増大による再生の品質低下を抑制することができる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0025】
[構成および動作]
図1は、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置の構成を示す図である。
【0026】
図1を参照して、コンテンツ再生装置101は、プロセッサ1と、揮発性メモリ2と、不揮発性メモリ3と、端子4〜6とを備える。
【0027】
コンテンツ再生装置101は、たとえばセットトップボックスであり、VOD(Video On Demand)等のコンテンツ配信サービスに対応する。コンテンツ再生装置101は、リアルタイム制御用ではないOS51を用いて、外部からコンテンツ情報を含む信号を受信して当該コンテンツ情報を再生する再生処理を行う。より詳細には、コンテンツ再生装置101は、コンテンツが複数のパケットに分割されたストリームを配信装置から受信し、図示しない表示装置においてコンテンツを再生する。
【0028】
コンテンツ再生装置101において、プロセッサ1は、揮発性メモリ2および不揮発性メモリ3等を用いて、コンテンツの再生処理を行うとともに、他の処理を並行して行うことが可能である。
【0029】
具体的には、プロセッサ1は、アンテナにおいて受信された放送信号を端子4において受信し、受信した放送信号に含まれるコンテンツを抽出して再生する。また、プロセッサ1は、ネットワークから伝送されるIPパケットを端子5において受信し、受信したIPパケットに含まれるコンテンツを抽出して再生する。たとえば、プロセッサ1は、抽出したコンテンツの情報を端子6から表示装置へ送信する。
【0030】
なお、コンテンツ再生装置101は、端子4および端子5のいずれか一方を備える構成であってもよい。また、コンテンツ再生装置101は、端子6を備えず、表示装置を備える構成であってもよい。また、コンテンツ再生装置101は、コンテンツとして映像を再生する構成に限らず、たとえば音声のみを再生する構成であってもよい。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置の構成を詳細に示す図である。図2は、コンテンツ再生装置101の機能ブロックを主に示している。図2において、矢印A1はコンテンツ録画処理の流れを示し、矢印A2はEPG(Electronic Program Guide)保存処理の流れを示し、矢印A3はDLNA(登録商標)(Digital Living Network Alliance)配信処理を示す。
【0032】
図2を参照して、コンテンツ再生装置101は、第1処理部11と、第2処理部12と、プロパティ領域41とを備える。第1処理部11および第2処理部12は、たとえば別個のソフトウェアモジュールとして実現される。
【0033】
第1処理部11は、コンテンツ再生部29を含む。第2処理部12は、IP/RF受信部21と、データ解析部22と、EPG保存部23と、録画処理部24と、たとえばHDDである記憶部25と、データ読み込み部26と、トランスコード部27と、DLNA配信部28とを備える。
【0034】
たとえば、IP/RF受信部21と、データ解析部22と、EPG保存部23と、録画処理部24と、データ読み込み部26と、トランスコード部27と、DLNA配信部28と、コンテンツ再生部29とは、プロセッサ1によって実現される。また、たとえば、記憶部25は、不揮発性メモリ3に相当する。
【0035】
第1処理部11において、コンテンツ再生部29は、OS51を用いて、端子4または端子5において受信した信号から、コンテンツが複数に分割された情報を含む複数のTS(Transport Stream)パケットを取得し、取得した各TSパケットを用いて当該コンテンツの再生処理を行う。
【0036】
コンテンツ再生部29は、OS51を用いて、コンテンツの再生処理の状態をプロパティ領域41に示しながら当該再生処理を行う。コンテンツ再生部29は、たとえば、高フレームレートでコンテンツ再生を行っている場合、「高フレームレート状態」をプロパティ領域41に設定する。プロパティ領域41は、たとえば揮発性メモリ2の記憶領域の一部である。
【0037】
たとえば、OS51は、リナックス(登録商標)ベースのOS等、リアルタイム制御用ではないOSである。OS51は、VXワークス等のリアルタイム制御用であるOSと比べて、リアルタイム性は低い。この場合、第1処理部11によるコンテンツの再生処理は、他の機能の実行に伴い、映像再生のカクツキ等、機能の品質低下が生じやすい。
【0038】
たとえば、コンテンツ再生部29は、OS51を用いて、デコーダの再生処理におけるアンダーフローおよび停止等のエラーを示すエラー情報を作成する。
【0039】
第2処理部12は、たとえばDLNA規格に従うDMS(Digital Media Server)として動作する。すなわち、第2処理部12は、コンテンツを録画し、録画したコンテンツをネットワーク経由で端末装置へ配信する。
【0040】
より詳細には、IP/RF受信部21は、端子4または端子5において受信した信号から、コンテンツが複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを取得してデータ解析部22へ出力する。
【0041】
データ解析部22は、たとえばIP/RF受信部21から受けたTSパケットに含まれるデータの復号化を行い、復号化後のTSパケットを録画処理部24へ出力する。また、データ解析部22は、復号化後のTSパケットからコンテンツについてのEPG情報を取得してEPG保存部23へ出力する。
【0042】
録画処理部24は、データ解析部22から受けたTSパケットをたとえば暗号化して記憶部25に保存する。
【0043】
EPG保存部23は、データ解析部22から受けたEPG情報をデータベースに保存する。このデータベースは、たとえば不揮発性メモリ3に記憶されている。
【0044】
データ読み込み部26は、たとえば記憶部25に保存されているTSパケットを読み出して復号化し、復号化後のTSパケットをトランスコード部27へ出力する。
【0045】
トランスコード部27は、データ読み込み部26から受けたTSパケットに含まれる映像データをトランスコードし、トランスコード後の映像データを含むTSパケット、および音声データ等を含むTSパケットをDLNA配信部28へ出力する。具体的には、たとえば、トランスコード部27は、端末装置において良好な再生が可能となるように、データ読み込み部26から受けた映像データを、より低い解像度の映像データまたは等倍速の映像データに変換する。
【0046】
DLNA配信部28は、DLNA規格に従うDMP(Digital Media Player)として動作する端末装置からの要求に応じて、DLNA規格に従い、暗号化処理等を含む、TSパケットを端子5およびネットワーク経由で端末装置へ配信する処理を行う。
【0047】
ここで、第2処理部12は、コンテンツの再生処理以外の機能であってコンテンツ再生装置101のパフォーマンスに対してクリティカルな影響を生じさせる処理を行う機能を実現する。クリティカルな影響を生じさせる処理は、一例として、放送に関連するサービスのための処理である。
【0048】
第2処理部12は、プロパティ領域41を参照し、プロパティ領域41の内容に応じて当該機能を制限することによりコンテンツ再生装置101の負荷を調整する調整処理を行う。調整処理の内容は、たとえば、処理の保留、および負荷の軽い処理への変更の少なくともいずれか一方である。また、たとえば、当該機能は、EPG保存部23、トランスコード部27およびDLNA配信部28の機能である。
【0049】
より詳細には、トランスコード部27は、トランスコード処理に投入する映像データのレートを調整可能である。トランスコード部27は、プロパティ領域41を参照し、プロパティ領域41が高フレームレート状態を示す場合、トランスコード処理に投入する映像データのレートを小さくする。
【0050】
このような構成により、トランスコード部27が高速な映像データを処理することに起因する、第1処理部11によるコンテンツの再生処理におけるアンダーフローおよび停止等のエラー発生を抑制することができる。
【0051】
また、トランスコード処理への映像データの投入レートを小さくする構成により、トランスコード処理自体を中断することなく、より適切なタイミングで投入レートを調整することができる。たとえば、コンテンツ再生部29における再生処理の開始直前に投入レートを小さくしたり、当該再生処理の終了直後に投入レートを大きくしたりすることができる。
【0052】
また、EPG保存部23は、データベースへのEPGの登録すなわち不揮発性メモリ3への書き込みを保留することが可能である。EPG保存部23は、プロパティ領域41を参照し、プロパティ領域41が高フレームレート状態を示す場合、データベースへのEPGの登録を保留し、揮発性メモリ2に一時保存する。EPG保存部23は、プロパティ領域41を参照し、たとえば、コンテンツ再生部29における再生処理が終了するとデータベースへのEPGの登録を行う。
【0053】
このような構成により、たとえばカーネルのスレッドが高優先度で動くデータベースへの登録処理が実行されることに起因する、第1処理部11によるコンテンツの再生処理におけるアンダーフローおよび停止等のエラー発生を抑制することができる。
【0054】
コンテンツ再生装置101は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図またはフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。このプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。このプログラムは、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0055】
図3は、本発明の実施の形態に係る、DLNA規格に従うコンテンツ配信のシーケンスの一例を示す図である。
【0056】
図3を参照して、まず、DMPである端末装置は、コンテンツリストを要求するためのリスト要求をDMSであるコンテンツ再生装置101へ送信する(ステップS1)。
【0057】
次に、コンテンツ再生装置101は、端末装置からリスト要求を受信して、コンテンツ情報リストであるCDS(Content Directory Service)リストを作成し、端末装置へ送信する。ここでは、コンテンツA,B,Cのリストが端末装置へ送信される(ステップS2)。
【0058】
次に、端末装置は、コンテンツ再生装置101から受信したCDSリストを表示装置に表示し、たとえばCDSリストを参照したユーザの操作に従い、ユーザによるコンテンツの選択結果を含む再生要求を、配信先URLを指定してコンテンツ再生装置101へ送信する(ステップS3)。
【0059】
次に、コンテンツ再生装置101は、端末装置から受信した再生要求の示すコンテンツを端末装置へ配信する(ステップS4)。
【0060】
図4は、本発明の実施の形態に係るCDSリストの一例を示す図である。
【0061】
DLNA配信部28は、記憶部25に保存されているコンテンツごとの情報を含むCDS情報を作成し、端末装置へ送信可能である。
【0062】
具体的には、図4を参照して、CDSリストは、HTTP(HyperText Transfer Protocol)に従って記述されるリストであり、コンテンツ再生装置101が配信可能なコンテンツごとの、番組のタイトル、番組の内容および録画時間等の詳細情報を含み、また、解像度、ビットレート、データサイズおよび配信先URL等のストリーム情報を含む。
【0063】
再び図2を参照して、DLNA配信部28は、プロパティ領域41を参照し、プロパティ領域41が高フレームレート状態を示す場合、CDSリストに含めるコンテンツを制限する、すなわち、記憶部25に保存されているコンテンツの一部をCDSリストから除く。より詳細には、DLNA配信部28は、プロパティ領域41が高フレームレート状態を示す場合、CDSリストから高速なビットレートのコンテンツを除く。
【0064】
このような構成により、DLNA配信部28が高速なコンテンツを配信することに起因する、第1処理部11によるコンテンツの再生処理におけるアンダーフローおよび停止等のエラー発生を抑制することができる。
【0065】
なお、トランスコード部27、EPG保存部23およびDLNA配信部28が上述のような調整処理を行う構成に限らず、トランスコード部27、EPG保存部23およびDLNA配信部28のうちのいずれか1つまたは2つが調整処理を行う構成であってもよい。
【0066】
また、上述のような調整処理を行う構成により、第1処理部11によるコンテンツの再生処理におけるエラー発生を抑制できる効果に限らず、たとえば、第2処理部12によるコンテンツの録画処理におけるアンダーフローおよび停止等のエラー発生を抑制する効果が得られる。
【0067】
また、コンテンツ再生装置101は、コンテンツの録画機能を有さなくてもよい。すなわち、第2処理部12は、IP/RF受信部21と、データ解析部22と、EPG保存部23と、録画処理部24とを含まない構成であってもよい。
【0068】
また、第2処理部12は、クリティカルな影響を生じさせる処理として、トランスコードへの映像データ投入処理、EPG保存処理およびDLNA配信処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではなく、クリティカルな影響を生じさせる他の処理を行い、当該処理を行う機能を制限可能な構成であってもよい。
【0069】
図5は、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置のプロトコルスタックを示す図である。
【0070】
図5を参照して、コンテンツ再生装置101は、アプリケーション層31、フレームワーク層32、HAL(Hardware Abstraction Layer)33、およびドライバ層34を有するプロトコルに従って動作する。
【0071】
プロセッサ1は、当該プロトコルに従い、コンテンツの再生処理の状態をプロパティ領域41に示しながら当該再生処理を行う。すなわち、第1処理部11は、アプリケーション層31の処理およびフレームワーク層32の処理を行うOS51を用いて、外部からコンテンツ情報を含む信号を受信して当該コンテンツ情報を再生する再生処理を行う。
【0072】
HAL33の処理により、プロパティ領域41に再生処理の状態が設定される。プロパティ領域41は、たとえば、第1処理部11におけるプロセスの優先処理に用いられる。
【0073】
また、たとえば、第2処理部12は、ドライバ層34の処理を用いて上述のようなDLNA配信処理を行う。
【0074】
第1処理部11および第2処理部12は、たとえばプロセッサ1により実行されるプロセスである。
【0075】
すなわち、プロセッサ1は、上記プロトコルに従い、再生処理の状態をプロパティ領域41に示しながら再生処理を行う。また、プロセッサ1は、再生処理以外の機能であってクリティカルな影響を生じさせる処理を行う機能を有し、プロパティ領域41を参照し、上記機能を制限することにより自己の負荷を調整する調整処理を行う。
【0076】
[動作の流れ]
図6は、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置がコンテンツ再生処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。図6は、第1処理部11による処理を示している。
【0077】
図6を参照して、まず、第1処理部11は、コンテンツの再生処理を開始する(ステップS11)。
【0078】
次に、第1処理部11は、当該再生処理が終了するまで(ステップS13でNO)、コンテンツの再生処理の状態をプロパティ領域41に示しながら当該再生処理を行う(ステップS12)。
【0079】
図7は、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置がコンテンツ再生処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。図7は、第2処理部12による処理を示している。
【0080】
図7を参照して、まず、第2処理部12は、コンテンツの再生処理以外の処理、たとえば上述のDLNA配信処理を開始する(ステップS21)。
【0081】
次に、第2処理部12は、プロパティ領域41を監視し、プロパティ領域41が高フレームレート状態を示していない場合(ステップS22でNO)、自己の処理を継続する。
【0082】
たとえば、第2処理部12は、コンテンツ再生部29によって作成されたエラー情報に基づいて上記調整処理を行う。
【0083】
すなわち、第2処理部12は、プロパティ領域41が高フレームレート状態を示しており(ステップS22でYES)、かつエラー情報が発生した場合(ステップS23でYES)、上述のような調整処理を行う(ステップS24)。
【0084】
なお、第2処理部12は、上記のようにエラー情報に基づいて調整処理を開始する構成に限らず、エラー情報の発生の有無に関わらず調整処理を開始する構成であってもよい。
【0085】
ところで、コンテンツの再生処理を行うプレーヤにおいて、安全サイドを優先して機能制限を行う構成では、ユーザが機能をまったく使用できずに不便である。また、上述のように帯域制御を行う構成では、コンテンツの再生途中において帯域が変わる際にコンテンツの画質が切り変わることになる。そして、この切り変わりの際に問題が生じることを防ぐため、各画質のコンテンツ間でタイミング等の整合性が取れるよう事前にコンテンツを作成しておく必要がある。すなわち、事前に様々な帯域に応じた複数のコンテンツを作成しておく必要があり、これら複数のコンテンツを作成するために、リソースを多く使用してしまい、また、保存容量を多く使用してしまう。このため、たとえば家庭用の機器では対応が困難である。
【0086】
これに対して、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置は、リアルタイム制御用ではないOS51を用いて、外部からコンテンツ情報を含む信号を受信して当該コンテンツ情報を再生する再生処理を行う。第1処理部11は、OS51を用いて、再生処理の状態をプロパティ領域41に示しながら再生処理を行う。第2処理部12は、再生処理以外の機能であってクリティカルな影響を生じさせる処理を行う機能を実現する。そして、第2処理部12は、プロパティ領域41を参照し、上記機能を制限することによりコンテンツ再生装置101の負荷を調整する調整処理を行う。
【0087】
このように、第1処理部11における再生処理の状態を監視し、当該状態に応じて第2処理部12の機能を制限する構成により、第2処理部12の処理が実行されることに起因する第1処理部11によるコンテンツの再生処理におけるアンダーフローおよび停止等のエラー発生を抑制することができる。すなわち、リアルタイム制御用ではないOS51を用いることから、たとえば別のプロセスである第2処理部12による他の機能の実行に伴って機能の品質低下が生じやすい第1処理部11の再生処理を、安定して実行することができる。
【0088】
したがって、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置では、配信されたコンテンツの再生を含む複数の処理を並行して実行可能な構成において、処理負荷の増大による再生の品質低下を抑制することができる。
【0089】
また、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置では、第1処理部11は、再生処理におけるエラーを示すエラー情報を作成する。そして、第2処理部12は、第1処理部11によって作成されたエラー情報に基づいて調整処理を行う。
【0090】
このような構成により、第1処理部11によるコンテンツの再生処理においてエラーが発生していない場合には、再生処理の状態に関わらず調整処理を行わずに各種機能の実行を優先し、エラーが発生した場合に調整処理を行って機能制限をかけることができる。
【0091】
また、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置は、アプリケーション層31、フレームワーク層32、HAL33、およびドライバ層34を有するプロトコルに従って動作する。コンテンツ再生装置101は、プロパティ領域41と、プロセッサ1とを備え、外部からコンテンツ情報を含む信号を受信してコンテンツ情報を再生する再生処理を行う。プロセッサ1は、上記プロトコルに従い、再生処理の状態をプロパティ領域41に示しながら再生処理を行う。そして、プロセッサ1は、再生処理以外の機能であってクリティカルな影響を生じさせる処理を行う機能を有し、プロパティ領域41を参照し、上記機能を制限することにより自己の負荷を調整する調整処理を行う。
【0092】
このように、プロセッサ1におけるプロトコルに従う再生処理の状態を監視し、当該状態に応じてプロセッサ1による他の機能を制限する構成により、他の機能の処理が実行されることに起因するプロセッサ1によるコンテンツの再生処理におけるアンダーフローおよび停止等のエラー発生を抑制することができる。すなわち、たとえば別のプロセスである他の機能の実行に伴って機能の品質低下が生じやすい再生処理を、安定して実行することができる。
【0093】
したがって、本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生装置では、配信されたコンテンツの再生を含む複数の処理を並行して実行可能な構成において、処理負荷の増大による再生の品質低下を抑制することができる。
【0094】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0095】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0096】
[付記1]
リアルタイム制御用ではないOSを用いて、外部からコンテンツ情報を含む信号を受信して前記コンテンツ情報を再生する再生処理を行うコンテンツ再生装置であって、
前記OSを用いて、前記再生処理の状態をプロパティ領域に示しながら前記再生処理を行う第1処理部と、
前記再生処理以外の機能であってクリティカルな影響を生じさせる処理を行う機能を実現する第2処理部とを備え、
前記第2処理部は、前記プロパティ領域を参照し、前記機能を制限することにより前記コンテンツ再生装置の負荷を調整する調整処理を行い、
前記コンテンツ再生装置は、セットトップボックスであり、
前記コンテンツ情報は、VODのコンテンツ情報であり、
前記クリティカルな影響を生じさせる処理は、トランスコードへの映像データ投入処理、EPG保存処理およびDLNA配信処理である、コンテンツ再生装置。
【0097】
[付記2]
アプリケーション層、フレームワーク層、HAL(Hardware Abstraction Layer)、およびドライバ層を有するプロトコルに従って動作し、かつプロパティ領域と、プロセッサとを備え、外部からコンテンツ情報を含む信号を受信して前記コンテンツ情報を再生する再生処理を行うコンテンツ再生装置であって、
前記プロセッサは、前記プロトコルに従い、前記再生処理の状態をプロパティ領域に示しながら前記再生処理を行い、
前記プロセッサは、前記再生処理以外の機能であってクリティカルな影響を生じさせる処理を行う機能を有し、前記プロパティ領域を参照し、前記機能を制限することにより自己の負荷を調整する調整処理を行い、
前記コンテンツ再生装置は、セットトップボックスであり、
前記コンテンツ情報は、VODのコンテンツ情報であり、
前記クリティカルな影響を生じさせる処理は、トランスコードへの映像データ投入処理、EPG保存処理およびDLNA配信処理である、コンテンツ再生装置。
【符号の説明】
【0098】
1 プロセッサ
2 揮発性メモリ
3 不揮発性メモリ
4〜6 端子
11 第1処理部
12 第2処理部
21 IP/RF受信部
22 データ解析部
23 EPG保存部
24 録画処理部
25 記憶部
26 データ読み込み部
27 トランスコード部
28 DLNA配信部
29 コンテンツ再生部
31 アプリケーション層
32 フレームワーク層
33 HAL
34 ドライバ層
41 プロパティ領域
51 OS
101 コンテンツ再生装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7