(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記太陽光発電パネルから引き出せる発電電力が当該パワーコンディショナの入力上限に達した場合に、前記制御部は、当該発電電力を用いて前記蓄電池を充電する請求項1に記載のパワーコンディショナ。
太陽光発電パネルと蓄電池とを共通のパワーコンディショナに接続して交流電路に系統連系するダブル発電システムにおいて前記パワーコンディショナが実行するダブル発電システムの制御方法であって、
前記交流電路に接続された負荷による自家消費電力を前記蓄電池の放電によって賄いつつ、前記太陽光発電パネルの発電する電力を売電することを基本制御動作として実行し、
前記太陽光発電パネルから引き出せる発電電力と前記自家消費電力との合計が、前記パワーコンディショナの交流電力の出力上限を超える場合には、前記基本制御動作によらず、前記蓄電池の放電電力を抑制して前記発電電力を前記自家消費電力に充てる、ダブル発電システムの制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態の要旨]
本発明の実施形態の要旨としては、少なくとも以下のものが含まれる。
【0015】
(1)これは、商用電力系統と接続された需要家の交流電路と、太陽光発電パネル及び蓄電池を含む複数の直流電源との間に設けられるパワーコンディショナであって、前記太陽光発電パネルと接続される第1のDC/DCコンバータと、前記蓄電池と接続される第2のDC/DCコンバータと、前記第1のDC/DCコンバータ及び前記第2のDC/DCコンバータに共通のDCバスと、前記DCバスと前記交流電路との間に設けられたインバータと、前記第1のDC/DCコンバータ、前記第2のDC/DCコンバータ、及び、前記インバータを制御し、前記交流電路の負荷による自家消費電力を前記蓄電池の放電によって賄いつつ、前記太陽光発電パネルの発電する電力を売電することを基本制御動作とする制御部と、を備え、前記制御部は、前記太陽光発電パネルから引き出せる発電電力と前記自家消費電力との合計が、自己の出力上限を超える場合には、前記基本制御動作によらず、前記蓄電池の放電電力を抑制して前記発電電力を前記自家消費電力に充てる、パワーコンディショナである。
【0016】
このように構成されたパワーコンディショナにおいて、基本制御動作としては、負荷による自家消費電力を蓄電池の放電によって賄いつつ、太陽光発電パネルの発電する電力は売電する、ダブル発電を行うことができる。一方、太陽光発電パネルの発電電力と自家消費電力との合計が、自己の出力上限を超える場合には、そのまま蓄電池を放電させると、太陽光発電パネルで発電できる電力の一部が利用されないことになる。そこで、このような場合は、基本制御動作によらず、蓄電池の放電電力を抑制して太陽光発電パネルの発電電力を自家消費電力に充てるようにする。これにより、ダブル発電を基本制御動作としつつ、太陽光発電パネルの発電能力を無駄無く発揮させることができる。
【0017】
(2)また、(1)のパワーコンディショナにおいて、前記太陽光発電パネルから引き出せる発電電力が当該パワーコンディショナの入力上限に達した場合に、前記制御部は、当該発電電力を用いて前記蓄電池を充電するようにしてもよい。
例えば過積載の太陽光発電パネルの発電電力がパワーコンディショナの入力上限に達した場合、太陽光発電パネルがさらに多くの発電電力をパワーコンディショナに入力できる可能性がある。しかし、入力上限は概ね出力上限と等しく、交流側には出力上限を超える電力を出力することができない。そこで、蓄電池を充電することによりDCバスの電力を消費すれば、その分、太陽光発電パネルから多くの直流電力を引き込むことができる。
【0018】
(3)また、これは、商用電力系統と接続された需要家の交流電路と、前記交流電路に接続された負荷と、前記交流電路に接続され、前記商用電力系統と系統連系するパワーコンディショナと、前記パワーコンディショナに接続された蓄電池と、前記パワーコンディショナに接続され、前記パワーコンディショナ内で前記蓄電池とDCバスを共有する太陽光発電パネルと、を備え、前記負荷による自家消費電力を前記蓄電池の放電によって賄いつつ、前記太陽光発電パネルの発電する電力を売電することを基本制御動作とするダブル発電システムであって、前記パワーコンディショナは、前記太陽光発電パネルから引き出せる発電電力と前記自家消費電力との合計が、自己の出力上限を超える場合には、前記基本制御動作によらず、前記蓄電池の放電電力を抑制して前記発電電力を前記自家消費電力に充てる、ダブル発電システムである。
【0019】
このように構成されたダブル発電システムにおいて、基本制御動作としては、負荷による自家消費電力を蓄電池の放電によって賄いつつ、太陽光発電パネルの発電する電力は売電することができる。一方、太陽光発電パネルの発電電力と自家消費電力との合計が、自己の出力上限を超える場合には、そのまま蓄電池を放電させると、太陽光発電パネルで発電できる電力の一部が利用されないことになる。そこで、このような場合は、基本制御動作によらず、蓄電池の放電電力を抑制して太陽光発電パネルの発電電力を自家消費電力に充てるようにする。これにより、ダブル発電を基本制御動作としつつ、太陽光発電パネルの発電能力を無駄無く発揮させることができる。
【0020】
(4)また、方法の観点からは、太陽光発電パネルと蓄電池とを共通のパワーコンディショナに接続して交流電路に系統連系するダブル発電システムにおいて前記パワーコンディショナが実行するダブル発電システムの制御方法であって、前記交流電路に接続された負荷による自家消費電力を前記蓄電池の放電によって賄いつつ、前記太陽光発電パネルの発電する電力を売電することを基本制御動作として実行し、前記太陽光発電パネルから引き出せる発電電力と前記自家消費電力との合計が、前記パワーコンディショナの交流電力の出力上限を超える場合には、前記基本制御動作によらず、前記蓄電池の放電電力を抑制して前記発電電力を前記自家消費電力に充てる、ダブル発電システムの制御方法である。
【0021】
このようなダブル発電システムの制御方法によれば、基本制御動作としては、負荷による自家消費電力を蓄電池の放電によって賄いつつ、太陽光発電パネルの発電する電力を売電することができる。一方、太陽光発電パネルの発電電力と自家消費電力との合計が、パワーコンディショナの交流電力の出力上限を超える場合には、そのまま蓄電池を放電させると、太陽光発電パネルで発電できる電力の一部が利用されないことになる。そこで、このような場合は、基本制御動作によらず、蓄電池の放電電力を抑制して太陽光発電パネルの発電電力を自家消費電力に充てるようにする。これにより、ダブル発電を基本制御動作としつつ、太陽光発電パネルの発電能力を無駄無く発揮させることができる。
【0022】
[実施形態の詳細]
以下、本発明の一実施形態に係るパワーコンディショナ及びこれを含むダブル発電システム(その制御方法も含む。)について、図面を参照して説明する。
【0023】
《ダブル発電システムの構成例》
図1は、一般家庭のような小規模の需要家に設置されるダブル発電システム100の構成の一例を示す単線接続図である。図において、複数の直流電源と接続できるハイブリッド型のパワーコンディショナ1は、太陽光発電パネル2及び蓄電池3と接続されている。なお、図は簡素な例を示しているが、太陽光発電パネル2及び蓄電池3がそれぞれ複数系統あって、それらとパワーコンディショナ1とが接続される場合もある。蓄電池3は、電力用の大容量な二次電池であり、例えばリチウムイオン電池である。
【0024】
パワーコンディショナ1は、直流から交流又はその逆の変換が可能であり、交流側では分電盤4と接続されている。分電盤4は、商用電力系統5に接続されている。また、自家消費電力を消費する需要家の負荷6が、分電盤4に接続されている。パワーコンディショナ1の交流側は、総称すれば、交流電路7である。
【0025】
ここで、
図1中の記号は以下の電力を表している。
「PV_o」は、太陽光発電パネル2からパワーコンディショナ1へ出力する発電電力、言い換えれば、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御によりパワーコンディショナ1が太陽光発電パネル2から引き出せる発電電力を表している。
「BT_o」は、蓄電池3がパワーコンディショナ1に出力する放電電力を表している。なお、符号がマイナスのときは充電電力になる。
「AC_o」は、パワーコンディショナ1から出て行く交流電力を表している。
「GR」は、商用電力系統5との系統連系による逆潮電力(売電電力)を表している。
「LD」は、負荷6による自家消費電力を表している。
【0026】
パワーコンディショナ1は、例えば、出力上限(≒入力上限)が6kWのものである。電力変換による電力損失を無視すれば、入力上限も6kWと考えることができる。以下、入力上限と出力上限とは互いに等しいものとして説明する。また、例えば、蓄電池3の放電電力BT_oの放電上限は2kWであるとする。現時点で、自家消費電力LDが2kW、太陽光発電パネル2の発電電力PV_oが3kWであるとすると、パワーコンディショナ1への入力電力は5kWで入力上限より低い。パワーコンディショナ1から交流側に出て行く電力AC_oも5kWであり、そのうち2kWは負荷6で消費され、残りの3kWが逆潮電力GRとなる。
【0027】
以下、
図2から
図5まで、太陽光発電パネル2の発電電力PV_oが増大していくとどうなるかを示している。
まず、
図1から
図2では、太陽光発電パネル2の発電電力PV_oが3kWから4kWに増大した場合の例を示している。
図2の場合、発電電力PV_o(4kW)と放電電力BT_o(2kW)の合計の入力電力はパワーコンディショナ1の入力上限となる。パワーコンディショナ1から交流側に出て行く電力AC_oも6kWであり、そのうち2kWは負荷6で消費され、残りの4kWが逆潮電力GRとなる。
ここまでは、通常のダブル発電の考え方である。
【0028】
さて次に、
図2から
図3では、太陽光発電パネル2の発電電力PV_oが4kWから5kWに増大した場合の例を示している。
図3の場合、発電電力PV_o(5kW)と放電電力BT_oの合計の入力電力は、放電電力BT_oが2kWであればパワーコンディショナ1の入力上限を超える。従来のダブル発電では、ここで、入力上限を超えることを感知したパワーコンディショナ1自身が、太陽光発電パネル2から引き込む電力を4kWにする。すなわち、太陽光発電パネル2から見れば、5kWの出力が可能であるが、4kWしか引き出してもらえない状態になる。
【0029】
そこで、そうさせないために、パワーコンディショナ1は、蓄電池3から受け取る放電電力を抑制する。
図3の例では、2kW出力できる蓄電池3の放電電力を1kWに絞る。これにより、パワーコンディショナ1は、太陽光発電パネル2から現時点で引き出せる最大の発電電力(5kW)を受け入れることができる。この場合、パワーコンディショナ1から交流側に出て行く電力AC_oは6kWであり、そのうち2kWは負荷6で消費され、残りの4kWが逆潮電力GRとなる。すなわち、発電電力5kWのうち1kWは、負荷6の自家消費電力に充てられている。負荷6は、放電電力BT_oの1kW、及び、発電電力PV_o(5kW)のうち1kWの合計2kWを消費する。
【0030】
さらに、
図3から
図4では、太陽光発電パネル2の発電電力PV_oが5kWから6kWに増大した場合の例を示している。この場合、発電電力PV_o単独でパワーコンディショナ1の入力上限となるため、パワーコンディショナ1は、蓄電池3の放電は完全に抑制し、放電停止させる(BT_o=0kW)。この場合、パワーコンディショナ1から交流側に出て行く電力AC_oは6kWであり、そのうち2kWは負荷6で消費され、残りの4kWが逆潮電力GRとなる。すなわち、発電電力6kWのうち2kWは、負荷6の自家消費電力に充てられている。
【0031】
そして、
図4から
図5では、太陽光発電パネル2の発電電力PV_oが6kWから7kWに増大した場合の例を示している。なお、太陽光発電パネル2と接続されたパワーコンディショナ1内の回路素子は7kWを受け入れることに耐えられるものとする。但し、出力上限は6kWで変わらない。この場合、発電電力PV_o単独でパワーコンディショナ1の入力上限超過となるため、パワーコンディショナ1は、BT_o=0よりもさらに放電電力の抑制、すなわち蓄電池3の充電を行い、1kWを充電に使用する(BT_o=−1kW)。これにより、パワーコンディショナ1への入力電力は、7kW+(−1)kW=6kWとなり、入力上限に収まる。
【0032】
この場合も、パワーコンディショナ1から交流側に出て行く電力AC_oは6kWであり、そのうち2kWは負荷6で消費され、残りの4kWが逆潮電力GRとなる。すなわち、発電電力7kWのうち2kWは、負荷6の自家消費電力に充てられている。
【0033】
なお、以上の説明は、太陽光発電パネル2の発電電力PV_oが増大していくとどうなるかを示したが、
図5の状態から発電電力PV_oが減少していく場合は、
図5,
図4,
図3,
図2の順に、状態が変わる。また、状態の変化は可逆的かつ任意的であり、ある状態から他の状態へ、任意に変化し得る。
【0034】
《パワーコンディショナの回路例》
図6は、パワーコンディショナ1の内部回路の一例を示す図である。図において、まず主回路構成要素から説明する。直流側コンデンサ11は、太陽光発電パネル2からの入力に対して並列に接続されている。DCリアクトル12並びにスイッチング素子Q1及びQ2は、DC/DCコンバータCV1を構成している。DC/DCコンバータCV1は、DCバス15と接続されている。
【0035】
同様に、直流側コンデンサ13は、蓄電池3に対して並列に接続されている。DCリアクトル14並びにスイッチング素子Q3及びQ4は、DC/DCコンバータCV2を構成している。DC/DCコンバータCV2は、DCバス15と接続されている。
【0036】
DCバス15には中間コンデンサ16及びインバータINVが接続されている。インバータINVは、スイッチング素子Q5,Q6,Q7,Q8,Q9,Q10をフルブリッジ接続したものである。インバータINVの交流側は、単相3線(U線,O線,W線)の電路となっており、ACリアクトル17及び系統連系リレー18を介して、交流電路7に接続されている。
【0037】
計測・制御用の要素としては、直流側に、電流センサ1a、電圧センサ1b、電流センサ1c、及び、電圧センサ1dが設けられている。電流センサ1aは、DCリアクトル12に流れる電流を検出する。電圧センサ1bは、直流側コンデンサ11の両端電圧を検出する。電流センサ1cは、DCリアクトル14に流れる電流を検出する。電圧センサ1dは、直流側コンデンサ13の両端電圧を検出する。交流側には、電流センサ1e,1f,1g、電圧センサ1h,1j,1kが設けられている。電流センサ1e,1f,1gはそれぞれ、ACリアクトル17のU線,O線,W線に流れる電流を検出する。電圧センサ1h,1j,1kはそれぞれ、U−O線間電圧、W−O線間電圧、U−W線間電圧を検出する。
【0038】
上記各センサの検出出力は、制御部19に送られる。これに基づいて制御部19は、DC/DCコンバータCV1のスイッチング素子Q1,Q2、DC/DCコンバータCV2のスイッチング素子Q3,Q4、及び、インバータINVのスイッチング素子Q6〜Q10を制御する。制御部19は例えば、コンピュータを含み、ソフトウェア(コンピュータプログラム)をコンピュータが実行することで、必要な制御機能を実現する。ソフトウェアは、制御部19の記憶装置(図示せず。)に格納される。
【0039】
ここで、電流センサ1aが検出する電流をI
PV、電圧センサ1bが検出する電圧をV
PVとすると、前述の太陽光発電パネル2の発電出力PV_oは、
PV_o=I
PV×V
PV ・・・(1)
として、制御部19における演算により求めることができる。なお、太陽光発電パネル2からDCバス15までの回路が複数組(=n組)ある場合は、以下のように求める。
PV_o=
(I
PV1×V
PV1)+(I
PV2×V
PV2)+・・・+(I
PVn×V
PVn)
・・・(1’)
【0040】
また、電流センサ1cが検出する電流をI
BT、電圧センサ1dが検出する電圧をV
BTとすると、前述の蓄電池の放電電力(又は充電電力)BT_oは、
BT_o=I
BT×V
BT ・・・(2)
として、制御部19における演算により求めることができる。なお、蓄電池3からDCバス15までの回路が複数組(=m組)ある場合は、以下のように求める。
BT_o=
(I
BT1×V
BT1)+(I
BT2×V
BT2)+・・・+(I
BTm×V
BTm)
・・・(2’)
【0041】
一方、自家消費電力LDは、電流センサ1e,1f,1g及び電圧センサ1h,1j,1kの検出出力に基づいて求められるU−W線間電力をP
uw、U−O線間電力をP
uo、W−O線間電力をP
woとすると、
LD=P
uw−P
uo−P
wo ・・・(3)
により求めることができる。
【0042】
《制御のアルゴリズム》
次に、蓄電池3の充放電に関する制御のアルゴリズムについて説明する。
図7は、蓄電池3の充放電に関する制御のアルゴリズムを示すフローチャートの一例である。フローチャートの実行主体は制御部19である。
【0043】
(
図1を対象とした説明)
まず、
図1の状態を、
図7のフローチャートの処理に当てはめて説明する。
制御部19は、最初に発電電力PV_o及び自家消費電力LDを算出する(ステップS1)。
図1の場合、PV_oは3kW、LDは2kWと算出される。続いて制御部19は、PV_o(=3kW)がパワーコンディショナ1の入力上限(=6kW)以上か否かを判定する(ステップS2)。
【0044】
判定は「No」となるので、次に制御部19は、PV_o(=3kW)が放電上限(=2kW)より大きいか否かを判定する(ステップS3)。判定は「Yes」となるので、次に制御部19は、自家消費電力LD(=2kW)が、(出力上限(=6kW)−PV_o(=3kW))より大きいか否かを判定する(ステップS4)。このステップS4の判定式の右辺のPV_oを左辺へ移項すると、
LD+PV_o>出力上限 ・・・(4)
となる。すなわち、発電電力PV_oと自家消費電力LDとの合計が、自己の出力上限を超えるか否かの判定をしていることになる。この判定は「No」となるので、制御部19は、放電電力BT_oを自家消費電力(=2kW)と同じ値、すなわち、2kWとする(ステップS6)。
【0045】
なお、
図1において、発電電力が2kW以下であれば、ステップS3における判定が「No」となるので、制御部19は、ステップS6へ直行し、放電電力BT_oを自家消費電力(=2kW)と同じ値、すなわち、2kWとする(ステップS6)。逆潮電力GRは発電電力と同じ値となる。ステップS6の実行後、処理はステップS1へ戻り、状態が変わらない限りは、同じ処理の繰り返しとなる。
【0046】
(
図2を対象とした説明)
次に、
図2の状態を、
図7のフローチャートの処理に当てはめて説明する。
制御部19は、最初に発電電力PV_o及び自家消費電力LDを算出する(ステップS1)。
図2の場合、PV_oは4kW、LDは2kWと算出される。続いて制御部19は、PV_o(=4kW)がパワーコンディショナ1の入力上限(=6kW)以上か否かを判定する(ステップS2)。
【0047】
判定は「No」となるので、次に制御部19は、PV_o(=4kW)が放電上限(=2kW)より大きいか否かを判定する(ステップS3)。判定は「Yes」となるので、次に制御部19は、自家消費電力LD(=2kW)が、(出力上限(=6kW)−PV_o(=4kW))より大きいか否かを判定する(ステップS4)。判定は「No」となるので、制御部19は、放電電力BT_oを自家消費電力(=2kW)と同じ値、すなわち、2kWとする(ステップS6)。逆潮電力GRは発電電力と同じ値となる。ステップS6の実行後、処理はステップS1へ戻り、状態が変わらない限りは、同じ処理の繰り返しとなる。
【0048】
(
図3を対象とした説明)
次に、
図3の状態を、
図7のフローチャートの処理に当てはめて説明する。
制御部19は、最初に発電電力PV_o及び自家消費電力LDを算出する(ステップS1)。
図3の場合、PV_oは5kW、LDは2kWと算出される。続いて制御部19は、PV_o(=5kW)がパワーコンディショナ1の入力上限(=6kW)以上か否かを判定する(ステップS2)。
【0049】
判定は「No」となるので、次に制御部19は、PV_o(=5kW)が放電上限(=2kW)より大きいか否かを判定する(ステップS3)。判定は「Yes」となるので、次に制御部19は、自家消費電力LD(=2kW)が、(出力上限(=6kW)−PV_o(=5kW))より大きいか否かを判定する(ステップS4)。ここで判定は「Yes」となるので、制御部19は、放電電力BT_oを、出力上限(=6kW)−PV_o(=5kW)すなわち、1kWとする(ステップS5)。これにより、放電電力は抑制されることになる。ステップS5の実行後、処理はステップS1へ戻り、状態が変わらない限りは、同じ処理の繰り返しとなる。
【0050】
(
図4を対象とした説明)
次に、
図4の状態を、
図7のフローチャートの処理に当てはめて説明する。
制御部19は、最初に発電電力PV_o及び自家消費電力LDを算出する(ステップS1)。
図4の場合、PV_oは6kW、LDは2kWと算出される。続いて制御部19は、PV_o(=6kW)がパワーコンディショナ1の入力上限(=6kW)以上か否かを判定する(ステップS2)。
【0051】
ここで判定は「Yes」となるので、次に制御部19は、充電電力を、(PV_o(=6kW)−入力上限(=6kW))すなわち、0kWとする(ステップS7)。つまり、蓄電池3を放電させず、かつ、充電もしない状態になる。次に、制御部19は、充電電力(=0kW)が充電上限(例えば2kW)より大きいか否かを判定する(ステップS8)。判定は「No」となって、処理はステップS1に戻る。以後、状態が変わらない限りは、同じ処理の繰り返しとなる。
【0052】
(
図5を対象とした説明)
次に、
図5の状態を、
図7のフローチャートの処理に当てはめて説明する。
制御部19は、最初に発電電力PV_o及び自家消費電力LDを算出する(ステップS1)。
図5の場合、PV_oは7kW、LDは2kWと算出される。続いて制御部19は、PV_o(=7kW)がパワーコンディショナ1の入力上限(=6kW)以上か否かを判定する(ステップS2)。
【0053】
ここで判定は「Yes」となるので、次に制御部19は、充電電力を、(PV_o(=7kW)−入力上限(=6kW))すなわち、1kWとする(ステップS7)。つまり、蓄電池3を1kWで充電する状態になる。次に、制御部19は、充電電力(=1kW)が充電上限(例えば2kW)より大きいか否かを判定する(ステップS8)。判定は「No」となって、処理はステップS1に戻る。以後、状態が変わらない限りは、同じ処理の繰り返しとなる。なお、もしステップS8の判定が「Yes」になる場合は、制御部19は、充電電力を充電上限に抑える(ステップS9)。
【0054】
《まとめ》
以上のように、このパワーコンディショナ1の制御部19は、交流電路7の負荷6による自家消費電力LDを蓄電池3の放電によって賄いつつ、太陽光発電パネル2の発電電力PV_oを売電すること、すなわちダブル発電を基本制御動作とする。そして、制御部19は、式(4)で示したように、発電電力と自家消費電力との合計が、自己の出力上限を超える場合には、基本制御動作によらず、放電電力を抑制して発電電力を自家消費電力に充てる。
【0055】
ダブル発電の制御を行うパワーコンディショナ1では、太陽光発電パネル2の発電電力と自家消費電力との合計が、自己の出力上限を超える場合には、そのまま蓄電池3を放電させると、太陽光発電パネル2で発電できる電力の一部が利用されないことになる。そこで、このような場合は、基本制御動作によらず、蓄電池3の放電電力を抑制して太陽光発電パネル2の発電電力を自家消費電力に充てるようにする。これにより、ダブル発電を基本制御動作としつつ、太陽光発電パネル2の発電能力を無駄無く発揮させることができる。
【0056】
なお、「自己の出力上限を超える」に代えて、「自己の入力上限を超える」とすることもできるが、電力変換の電力損失を考えると、入力上限>出力上限、であるから、自己の入力上限を超える場合は必ず、自己の出力上限を超えることになる。
【0057】
また、例えば過積載の太陽光発電パネル2の発電電力がパワーコンディショナ1の入力上限に達した場合には、太陽光発電パネル2がさらに多くの発電電力をパワーコンディショナに入力できる可能性がある。しかし、入力上限は概ね出力上限と等しく、交流側には出力上限を超える電力を出力することができない。
そこで、太陽光発電パネル2の発電電力がパワーコンディショナ1の入力上限に達した場合には、制御部19は、当該発電電力を用いて蓄電池3を充電する。こうして、蓄電池3を充電することによりDCバス15の電力を消費すれば、その分、太陽光発電パネル2から多くの直流電力を引き込むことができる。
【0058】
《補記》
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。