特許第6834807号(P6834807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6834807-画像形成装置 図000002
  • 特許6834807-画像形成装置 図000003
  • 特許6834807-画像形成装置 図000004
  • 特許6834807-画像形成装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6834807
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20210215BHJP
【FI】
   G03G15/20 555
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-124085(P2017-124085)
(22)【出願日】2017年6月26日
(65)【公開番号】特開2019-8155(P2019-8155A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2019年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 栄次
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−90755(JP,A)
【文献】 特開2012−083454(JP,A)
【文献】 特開平2−34885(JP,A)
【文献】 特開2003−149989(JP,A)
【文献】 特開2012−234107(JP,A)
【文献】 特開2014−215324(JP,A)
【文献】 特開2007−003808(JP,A)
【文献】 米国特許第05051780(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な芯金と該芯金の外周面に設けられる弾性層とを有する定着ローラーと、
前記定着ローラーに外嵌される無端状の定着ベルトと、
通電されることで発熱して、前記定着ベルトを制御温度に加熱するIHヒーターと、
前記定着ベルトを介して前記定着ローラーに押し当てられて、トナー像が転写された用紙が通過する加圧領域を形成する加圧部材と、を有する定着装置を備える画像形成装置であって、
前記芯金の回転軸方向の端部の温度を検知する温度検知手段と、
前記IHヒーターによって発生した磁束の一部が前記芯金に到達して該芯金が発熱し、
前記温度検知手段で検知された温度が所定温度よりも高くなった場合に、前記IHヒーターに投入される電力量を抑制して前記芯金の温度上昇を抑制するように画像形成動作を制御する制御部と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記温度検知手段で検知された温度が所定温度よりも高い場合に、単位時間当たりに前記加圧領域に搬送される用紙の処理枚数を少なくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記温度検知手段で検知された温度が所定温度よりも高い場合に、画像形成動作を停止することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記温度検知手段で検知された温度が所定温度よりも高い場合に、前記制御温度を下げることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定温度は、前記制御温度以上、且つ、前記弾性層の耐熱温度未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像を用紙に定着する定着装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、ファックス、複合機などの電子写真方式の画像形成装置は、トナー像を用紙に定着する定着装置を備えている。フルカラー画像形成装置には、熱源によって加熱される無端状の定着ベルトと、定着ベルトの内周側に設けられる定着ローラーと、定着ベルトを介して定着ローラーに圧接される加圧ローラーと、を備える定着装置が用いられる場合がある。この定着装置では、定着ベルトと加圧ローラーとの間に形成される加圧領域に用紙を通紙することで、トナー像が加熱及び加圧されて用紙に定着される。
【0003】
一般に、定着ローラーは、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等で形成された芯金と、芯金の外周面に設けられるシリコーンゴムや発泡樹脂等で形成された弾性層と、を有している。加圧ローラーは、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等で形成された芯金と、芯金の外周面に設けられるシリコーンゴム等で形成された弾性層と、弾性層の外周面に設けられるPFAチューブ等で形成された離型層と、を有している。定着ベルトは、ニッケル等で形成された基材層と、基材層の外周面に設けられる弾性層と、弾性層の外周面に設けられる離型層と、を有している。
【0004】
熱源としては一般にIHヒーターが使用される。IHヒーターのコイルが励磁されて発生した磁束によって、定着ベルトの基材層に渦電流が発生して基材層が発熱し、定着ベルトが加熱される。
【0005】
しかしながら、IHヒーターによって定着ベルトを誘導加熱すると、IHヒーターから発生した磁束が定着ベルトの基材層を貫通して芯金に達することがある。この貫通した磁束によって芯金が発熱すると、定着ローラーの弾性層が加熱されて硬化し、場合によっては破損する虞がある。
【0006】
そこで、特許文献1には、ステンレス鋼で形成された芯金の外周面に、アルミニウム等の非磁性材料で形成された非磁性金属層を設けた定着ローラーを備える定着装置が記載されている。また、特許文献2には、非磁性金属で形成された芯金の外周面に、磁性分を混合したシリコーンゴム層を設けた定着ローラーを備える定着装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−106346号公報
【特許文献2】特許第4015114号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1に記載された定着装置においては、芯金と非磁性金属層との熱膨張率が異なっているので、その熱膨張率の差によっては、いずれかが破損してしまう虞がある。また、特許文献2に記載された定着装置においては、加工性や材料費を考慮するとコスト高となってしまう。
【0009】
本発明は上記事情を考慮し、定着ローラーの芯金の温度上昇を抑制できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、回転可能な芯金と、該芯金の外周面に設けられる弾性層とを有する定着ローラーと、前記定着ローラーに外嵌される無端状の定着ベルトと、通電されることで発熱して、前記定着ベルトを制御温度に加熱するIHヒーターと、前記定着ベルトを介して前記定着ローラーに押し当てられて、トナー像が転写された用紙が通過する加圧領域を形成する加圧部材と、を有する定着装置を備える画像形成装置であって、前記芯金の回転軸方向の端部の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段で検知された温度が所定温度よりも高い場合に、前記IHヒーターに投入される電力量を抑制するように画像形成動作を制御する制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の画像形成装置において、前記制御部は、前記温度検知手段で検知された温度が所定温度よりも高い場合に、単位時間当たりに前記加圧領域に搬送される用紙の処理枚数を少なくすることを特徴としても良い。
【0012】
本発明の画像形成装置において、前記制御部は、前記温度検知手段で検知された温度が所定温度よりも高い場合に、画像形成動作を停止することを特徴としても良い。
【0013】
本発明の画像形成装置において、前記制御部は、前記温度検知手段で検知された温度が所定温度よりも高い場合に、前記制御温度を下げることを特徴としても良い。
【0014】
本発明の画像形成装置において、前記所定温度は、前記制御温度以上、且つ、前記弾性層の耐熱温度未満であることを特徴としても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、定着装置への投入電力量を減らすように画像形成動作を制御することで、IHヒーターに投入される電力量が減少するので、定着ベルトの基材層を貫通して芯金に達する磁束の量を低減させて芯金の温度上昇を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンターの内部構成を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るカラープリンターの制御部のブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着装置を示す側面断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、定着装置を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0018】
まず、図1及び図2を参照して、画像形成装置としてのカラープリンター1の全体の構成について説明する。図1はカラープリンターの内部構成を模式的に示す正面図であり、図2はカラープリンターの制御部のブロック図である。以下の説明において、図1に示す前後方向をカラープリンター1の前後方向とし、左右方向は、カラープリンター1を前側から見た方向を基準とする。各図に示すFr、Rr、L、Rは、それぞれカラープリンター1の前側、後側、左側、右側を示す。
【0019】
図1に示されるように、カラープリンター1には、用紙Sが収容される給紙カセット3と、給紙カセット3から用紙Sを送り出す給紙装置5と、用紙Sにフルカラーのトナー像を形成する画像形成部7と、トナー像を用紙Sに定着する定着装置9と、用紙Sを排出する排紙装置11と、排紙された用紙Sを受け止める排紙トレイ13と、が設けられている。さらに、カラープリンター1には、給紙装置5から画像形成部7と定着装置9とを通って排紙装置11まで用紙Sが搬送される搬送経路15が形成されている。
【0020】
カラープリンター1は、図2に示されるように、搬送経路15に沿った用紙Sの搬送を制御すると共に給紙カセット3、給紙装置5、画像形成部7、定着装置9、排紙装置11を制御して、搬送される用紙Sに画像を形成する画像形成動作を実行する制御部17を備えている。例えば、制御部17は、給紙装置5から用紙Sを送り出すタイミングを制御したり、搬送経路15に沿った用紙Sの搬送速度を制御したりする。
【0021】
次に、図3及び図4を参照して、定着装置9について説明する。図3は定着装置を示す側面断面図、図4は定着装置を示す正面断面図である。
【0022】
図3及び図4に示されるように、定着装置9は、定着ローラー21と、定着ローラー21に外嵌される定着ベルト23と、定着ベルト23の外周面に対向して設けられるIHヒーター25と、定着ベルト23を介して定着ローラー21に押し当てられる加圧部材としての加圧ローラー27と、定着ローラー21の温度を検知する温度検知手段としての温度検知センサー29と、定着ベルト23の両端面の外側に設けられる寄り止め部材33と、を備えている。
【0023】
定着ローラー21は、回転軸としての芯金41と、芯金41の外周面に設けられた弾性層43と、を有している。芯金41は、回転軸方向の中央に設けられる本体部45と、回転軸方向において本体部45の両外側に設けられて本体部45よりも小径の両端部47と、有している。両端部47の各々には、円周方向に沿った内環状溝47aと外環状溝47bとが、回転軸方向に所定の間隔を開けて形成されている。内環状溝47aと外環状溝47bとによって、各端部47は、内側から順に、最内部47cと、中央部47dと、最外部47eと、に分けられている。芯金41は、例えば、アルミニウムで形成されている。
【0024】
弾性層43は、芯金41の本体部45の外周面に設けられている。弾性層43の回転軸方向の両端には、小径の段部43aが形成されている。弾性層43は、例えば、発泡性のシリコーンゴムで形成されている。
【0025】
芯金41の両端部47の中央部47dには、それぞれブッシュ51を介してベアリング53が取り付けられている。ベアリング53は、定着ハウジング(図示省略)に支持されている。これにより、定着ローラー21は、芯金41を中心として回転可能に定着ハウジングに支持されている。
【0026】
定着ベルト23は、所定の内径を有し、用紙Sが通紙される通紙領域よりも長い幅を有する無端状ベルトである。定着ベルト23は、基材層23aと、基材層23aの外周面に設けられる弾性層23bと、弾性層23bの外周面に設けられる離型層23cと、を有している。基材層23aは、例えば、厚さは30μmのニッケルで形成される。弾性層23bは、例えば、厚さは200μmのシリコーンゴムで形成される。離型層23cは、例えば、厚さ30μmのPFAチューブで形成される。定着ベルト23の温度は、サーミスタ35によって計測されるようになっている。サーミスタ35は制御部17と電気的に接続して、検知された温度が制御部17に送信される。
【0027】
定着ベルト23は、定着ローラー21に所定のクリアランスを介して外嵌されている。
【0028】
IHヒーター25は、コイル部25aと、コイル部25aを巻線状に保持するコイルボビン25bと、アーチコア25cと、を有している。コイル部25aは、高周波の交流電圧が印加されると励磁して、磁界を発生させる。
【0029】
IHヒーター25は、定着ベルト23の上半分を覆っている。IHヒーター25のコイル部25aが励磁されると、発生した磁束によって定着ベルト23の基材層23aに渦電流が発生して基材層23aが発熱し、定着ベルト23が加熱される。
【0030】
加圧ローラー27は、芯金27aと、芯金27aの外周面に設けられる弾性層27bと、弾性層27bの外周面に設けられる離型層(図示省略)と、を有している。芯金27aは、例えば、アルミニウムで形成される。弾性層27b、例えば、シリコーンゴムで形成される。離型層は、例えば、厚さ50μmのPFAチューブで形成される。
【0031】
加圧ローラー27は、定着ローラー21の下方で定着ハウジングに支持されて、定着ベルト23を介して定着ローラー21に圧接して加圧領域Nを形成している。また、加圧ローラー27は、駆動源(図示省略)に接続して回転駆動される。駆動源によって加圧ローラー27が図2の反時計回り方向に回転すると、定着ベルト23と定着ローラー21とは、加圧ローラー27の回転方向とは反対の時計回り方向に従動回転する。これにより、搬送された用紙Sが加圧領域Nを通過する。
【0032】
なお、加圧ローラー27が定着ローラー21に圧接されると、図3に示されるように定着ローラー21の弾性層43が加圧されて変形する。この変形に伴って、定着ベルト23の両端部は、弾性層43の段部43a内で内側へ屈曲するように変形する(図3参照)。
【0033】
温度検知センサー29は、温度検知素子と、温度検知素子を支持する支持部材と、を有している。温度検知素子は、例えば、サーミスタである。支持部材は、スポンジ等の支持体と、支持体を定着ハウジングに支持する板バネと、を有している。温度検知素子は、支持体の一側面に取り付けられて、耐熱フィルム等で覆われている。支持部材は定着ハウジングに支持されて、温度検知素子が、定着ローラー21の芯金41の両端部47の最外部47eに所定の圧力で接触している。温度検知センサー29で検知された温度は、制御部17に送信される。
【0034】
寄り止め部材33は、リング形状を有している。寄り止め部材33の外径は、定着ベルト23の外径よりも大きい。寄り止め部材33は、定着ローラー21の芯金41の両端部47の最内部47cに回転可能に嵌合して、定着ベルト23の端面に所定の間隔を開けて対向している。
【0035】
さらに、定着装置9は、図3に示されるように、加圧領域Nよりも用紙搬送方向上流側に設けられる用紙進入ガイド55と、加圧領域Nよりも用紙搬送方向下流側に設けられる分離部材57と、を備えている。用紙進入ガイド55は、加圧領域Nに向かって上方に傾斜するように搬送経路15に沿って配置されている。分離部材57は、定着ベルト23の回転方向に対してカウンター方向から定着ベルト23の表面に向かうように支持されている。
【0036】
上記構成を有する定着装置9の定着動作について説明する。まず、加圧ローラー27が駆動されて回転し、定着ベルト23と定着ローラー21とは、加圧ローラー27の回転方向とは反対の図2の時計回り方向に従動回転する。同時に、IHヒーター25が駆動されて定着ベルト23を加熱する。定着ベルト23は、サーミスタ35で計測される温度が所定の制御温度(例えば、160℃)となるまで加熱される。このように定着ベルト23が加熱された後、トナー像が転写された用紙Sが、用紙進入ガイド55に案内されて加圧領域Nに搬送される。用紙Sは加圧領域Nを通過時に定着ベルト23によって加熱されると共に加圧ローラー27と定着ローラー21とによって加圧されて、トナー像が用紙Sに定着される。トナー像が定着された用紙Sは、先端が分離部材57によって定着ベルト23から分離されて、搬送経路15に沿って搬送される。
【0037】
前記の定着動作において、IHヒーター25によって発生した磁束の大半は、定着ベルト23の基材層23aの発熱に寄与するが、一部の磁束は基材層23aを貫通して定着ローラー21の芯金41に到達する。芯金41は非磁性材料であるアルミニウムで形成されているが、微小な抵抗によって貫通した磁束が渦電流を発生して芯金41が発熱する場合がある。IHヒーターに投入される電力量が多いほど貫通する磁束が多くなる。つまり、単位時間当たりの処理枚数が多いほど、画像比率が多いほど、用紙Sの秤量が多いほど、貫通する磁束が多くなる。定着動作が短時間であれば芯金41の上昇温度は高くないが、印字動作が連続して定着動作が長時間行われた場合、芯金41の温度は上昇し続けてしまう。
【0038】
そこで、制御部17は、温度検知センサー29で計測された温度が所定の温度に達すると、単位時間当たりに加圧領域に搬送される用紙Sの処理枚数を少なくするように、各要素を制御する。所定の温度は、定着ベルト23の制御温度(160℃)よりも高く、定着ローラー21の弾性層43の耐熱温度(230℃)未満の温度であり、一例で210℃である。
【0039】
単位時間当たりの用紙Sの処理枚数を少なくするには、一例として、給紙装置5において用紙Sを給紙するタイミングを遅くする。これにより単位時間当たりに加圧領域に搬送される用紙Sの処理枚数が少なくなり、IHヒーター25への投入電力量が減少するので、定着ベルト23の基材層23aを貫通する磁束が少なくなり、芯金41の温度上昇を防ぐことができる。また、前述のように所定温度を設定することで、定着ベルト23を定着可能な温度に維持すると共に、定着ローラー21の弾性層43の熱硬化を防止できる。なお、一例として、処理枚数を80枚/分から70枚/分程度に減少させることとすれば、処理枚数を大きく低下させることはない。なお、単位時間当たりの用紙Sの処理枚数を少なくするには、他に、用紙Sの搬送速度を遅くするように、給紙装置5、画像形成部7、定着装置9、排紙装置11を制御してもよい。
【0040】
また、制御部17は、処理枚数を少なくしてから、温度検知センサー29が、芯金41の端部47の温度が所定の温度に下降したことを検知すると、処理枚数を元の枚数に戻す。所定の温度は、制御温度よりも高い温度であり、一例で190℃である。このように処理枚数を制御することで、画像形成作業の生産性を大きく低下させずに、芯金41の温度上昇を防ぎつつ定着ローラー21の温度を十分に熱飽和した状態に維持することができる。
【0041】
上記説明したように本発明のカラープリンター1においては、定着ローラー21の芯金41の温度が上昇した場合、画像形成動作を制御してIHヒーター25に投入される電力量を抑制するので、定着ベルト23の基材層23aを貫通して芯金41に達する磁束の量を低減できる。したがって、芯金41の温度上昇を防いで、熱硬化による弾性層43の破損を防止できる。
【0042】
他の実施形態においては、温度検知センサー29で計測された温度が所定の温度に達すると、制御部17は、画像形成動作を停止させても良い。この場合も、IHヒーター25への投入電力量が減少するので、定着ベルト23の基材層23aを貫通して芯金41に達する磁束の量を低減させることができる。そして、温度検知センサー29が、芯金41の端部47の温度が所定の温度に下降したことを検知すると、画像形成動作を再開させる。
【0043】
さらに他の実施形態においては、温度検知センサー29で計測された温度が所定の温度に達すると、制御部17は、定着ベルト23の制御温度(例えば、160℃)を下げるように制御しても良い。この場合は、定着ベルト23を加熱するために必要なIHヒーター25の電力量を少なくできるので、定着ベルト23の基材層23aを貫通して芯金41に達する磁束の量を低減させることができる。そして、温度検知センサー29が、芯金41の端部の温度が所定の温度に下降したことを検知すると、制御温度を元の温度に戻す。
【0044】
さらに、上記した本発明の実施形態の説明は、本発明に係る画像形成装置における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0045】
1 カラープリンター(画像形成装置)
7 画像形成部
9 定着装置
17 制御部
21 定着ローラー
23 定着ベルト
25 IHヒーター
27 加圧ローラー(加圧部材)
29 温度検知センサー(温度検知手段)
41 芯金
43 弾性層
図1
図2
図3
図4