(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本願の開示する乗用芝刈り機の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
<乗用芝刈り機1の全体構成>
まず、
図1Aおよび
図1Bを参照して、乗用芝刈り機1の全体構成について簡単に説明する。
図1Aは、実施形態に係る乗用芝刈り機1の左側面図である。
図1Bは、実施形態に係る乗用芝刈り機1の右側面図である。また、乗用芝刈り機1は、走行車体2の前部に設けられた操縦席6aに着席した操縦者(作業者ともいう)によって操作される。
【0016】
また、以下の説明において、前後方向とは、乗用芝刈り機1の直進時における進行方向であり、進行方向の前方側を「前」、後方側を「後」と規定している。なお、乗用芝刈り機1の進行方向とは、乗用芝刈り機1の直進時において、操縦席6aからステアリングホイール6dへと向かう方向である(
図1Aおよび
図1B参照)。
【0017】
また、左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向である。以下の説明では、「前」側へ向けて左右を規定している。すなわち、操縦者が操縦席6aに着席して前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。また、上下方向とは、鉛直方向である。前後方向、左右方向および上下方向は、互いに3次元で直交している。各方向は、説明をわかりやすくするために便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、乗用芝刈り機1を指して機体と呼ぶ場合がある。
【0018】
図1Aおよび
図1Bに示すように、乗用芝刈り機(以下、芝刈り機という)1は、走行車体2の前部に左右一対の車輪(前輪)3を備えるとともに、走行車体2の後部に左右一対の車輪(後輪)4を備える。また、芝刈り機1は、走行車体2の下部前方に縦軸(
図1Aおよび
図1Bにおいては、上下方向に沿った軸)回りに回転する刈刃を有するモア5を備える。モア5は、走行車体2の前方において昇降自在に設けられる。また、芝刈り機1は、走行車体2の前部に操縦部6を備える。
【0019】
操縦部6は、操縦席6aと、フロアステップ6bと、ステアリングコラム6cと、ステアリングホイール6dとを備える。フロアステップ6bは、操縦席6aの前方に設けられる。ステアリングコラム6cは、フロアステップ6bの前部に立設される。ステアリングホイール6dは、ステアリングコラム6cの上部に設けられる。ステアリングコラム6cの上部には、ステアリングホイール6dの他、操作パネルや、各種操作レバー、各種操作スイッチなどが設けられる。
【0020】
また、芝刈り機1は、走行車体2の後部(操縦席6aの後方)に、走行車体2を形成する、後述する車体フレーム21およびエンジンE(
図3A〜
図3C参照)を備える。また、芝刈り機1は、走行車体2の後部に、車体フレーム21およびエンジンEを覆うボンネット7や、ボンネット7の上方に設けられるコレクタ8を備える。なお、コレクタ8は、モア5で刈り取った芝草など(以下、芝草という)を収容する容器である。
【0021】
また、芝刈り機1は、走行車体2の後部に、ブロワを内装したブロワケースを備える。ブロワケースとコレクタ8との間はダクトによって接続されている。また、ブロワとモア5との間にはシュータが設けられる。芝刈り機1では、モア5で刈り取った芝草を、モアデッキ5aからシュータを経由してブロワへと送り、さらに、ダクトを経由してコレクタ8へと空気搬送される。
【0022】
<乗用芝刈り機1の伝動構成>
次に、
図2を参照して、芝刈り機1の伝動構成について簡単に説明する。
図2は、実施形態に係る乗用芝刈り機(芝刈り機)1の伝動線図である。
図2に示すように、芝刈り機1では、エンジンEから出力された動力(回転動力)は、エンジンEの出力軸10に接続された分配伝動軸11に伝達され、第1のPTO(Power Take-off)軸(ブロワPTO軸ともいう)12Aに伝達される。ブロワPTO軸12Aから出力された回転動力は、たとえば、ブロワ伝動装置(ギヤ伝動装置など)を経由して、上記したブロワに伝達される。
【0023】
また、分配伝動軸11から出力された回転動力は、走行伝動装置を経由して駆動輪に伝達される。この場合、油圧式無段変速装置(以下、HST(Hydro Static Transmission)という)13の油圧ポンプ13aを介して、トラニオン軸が傾動して油圧モータ13bを変速する。ここで、芝刈り機1は、二輪駆動(2WD)と四輪駆動(4WD)とを切り替え可能に構成されている。このため、駆動輪は、芝刈り機1が二輪駆動の場合には、左右の前輪3および左右の後輪4のいずれか(たとえば、左右の前輪3)であり、芝刈り機1が四輪駆動の場合は左右の前輪3および左右の後輪4である。
【0024】
分配伝動軸11から出力された回転動力は、HST13の油圧ポンプ13aおよび油圧モータ13bを経由して、デフケース14内のギヤ伝動装置14aおよびデフ機構14bを経由して前輪3に伝達される。また、分配伝動軸11から出力された回転動力は、HST13の油圧ポンプ13aおよび油圧モータ13bを経由して、デフケース15内のギヤ伝動装置15aおよびデフ機構15bを経由して後輪4に伝達される。
【0025】
また、分配伝動軸11から出力された回転動力は、第2のPTO軸(モアPTO軸ともいう)12Bに伝達される。モアPTO軸12Bから出力された回転動力は、モア入力軸、モアデッキ5a内のモア伝動装置を経由して、上記した刈刃に伝達される。
【0026】
<走行車体2のフレーム構造>
次に、
図3A〜
図3Cを参照して、走行車体2のフレーム構造(車体フレーム21)について説明する。
図3A〜
図3Cは、走行車体2のフレーム構造の説明図である。なお、
図3Aには、走行車体2の背面を示し、
図3Bには、走行車体2の平面を示し、
図3Cには、走行車体2の右側面を示している。
図3A〜
図3Cに示すように、走行車体2は、車体フレーム21を備える。車体フレーム21は、左右の幅が広い前部22と、左右の幅が狭い後部23とより構成される。
【0027】
車体フレーム21の前部22と後部23とは、たとえば、前部22と後部23の互いの左右方向の中心をあわせて、溶接などにより固着される。車体フレーム21の前部22には、後側半部に操縦席6aが取り付けられ、前側半部にフロアステップ6bが形成される。また、車体フレーム21の前部22には、上記したHST13やデフケース14(
図2参照)、前輪伝動ケース16などが吊り下げられた状態で取り付けられる。なお、HST13は、車体フレーム21の後部23側に配置される。
【0028】
車体フレーム21の後部23は、上部フレーム231と、下部フレーム232とを備える。上部フレーム231および下部フレーム232は共に、前後方向に長い矩形枠である。また、車体フレーム21の後部23は、上部フレーム231と下部フレーム232とを上下に並んだ状態で接続する中間フレーム233を備える。車体フレーム21の後部23は、上部フレーム231、下部フレーム232および中間フレーム233により、前後方向に長い直方体(箱型)状の矩形枠である。
【0029】
車体フレーム21の後部23は、上部フレーム231、下部フレーム232および中間フレーム233により形成された直方体状の矩形枠の内部に、芝刈り機1(
図1Aおよび
図1B参照)に搭載されるエンジンEが配置されるエンジンマウント部234を備える。エンジンマウント部234は、ゴム材(ゴムマウント)を介して、エンジンEを下方から支持している。そして、下部フレーム232は、エンジンマウント部234を下方から支持している。
【0030】
また、車体フレーム21の後部23には、左右一対の後輪4を連結する車軸を収容する車軸ケース(後輪車軸ケース)17が取り付けられる。下部フレーム232は、後輪車軸ケース17よりも下方に配置される。このように、車体フレーム21の後部23を形成し、かつ、エンジンマウント部234を下方から支持している下部フレーム232が、後輪車軸ケース17よりも下方に配置されることで、エンジンEが車体フレーム21の低い位置に配置される。
【0031】
ここで、
図4を参照して、四輪駆動シャフト18の配置について説明する。
図4は、四輪駆動シャフト18の配置説明図である。なお、
図4には、四輪駆動シャフト18の平面を示している。芝刈り機1は、たとえば、操縦部6に設けられた4WDクラッチの切り替え操作によって、上記したように、左右の前輪3だけが駆動する二輪駆動(2WD)方式と、左右の前輪3および左右の後輪4が共に駆動する四輪駆動(4WD)方式とに切り替え可能に構成されている。
【0032】
図4に示すように、四輪駆動シャフト18は、前後方向に並んだ左右一対の車輪(左右の前輪3および左右の後輪4)の間に配置されるとともに前後方向に沿って延在し、前後のいずれか一方の駆動輪(前輪3)に伝達されたエンジンEからの回転動力を、他方の駆動輪(後輪4)へと伝達する。四輪駆動シャフト18は、前端部がカップリング18aを介してHST13側に接続され、後端部がカップリング18bを介して後輪4の車軸ケース17側に接続される。
【0033】
また、四輪駆動シャフト18は、エンジンマウント部234(
図3Bおよび
図3C参照)に配置されたエンジンEを左右のいずれか一側方(たとえば、右方)に避けるように、左右方向にオフセットして配置される。このように、四輪駆動シャフト18をオフセットさせることで、エンジンE(具体的には、エンジンEの下方に配置されるオイルパン)と四輪駆動シャフト18とが干渉しなくなり、エンジンEが車体フレーム21の低い位置に配置される。
【0034】
図3Bに戻り、機体(車体フレーム21)の左右方向の中心線L1に対してエンジンEの左右方向の中心線L2が、四輪駆動シャフト18がオフセットされた側とは反対側となる左右のいずれか他側方(たとえば、左方)にずれていることで、エンジンE(オイルパン)と四輪駆動シャフト18との干渉をより確実になくすことができる。
【0035】
また、
図4においては、走行車体2(
図3B参照)に搭載される動力伝達機構を、一点鎖線によって種類ごとに囲んでいる。
図4に示すように、走行車体2の動力伝達機構は、メカトランスミッション19A,19Bと、HST13を含むHSTユニット19Cとに大別される。このように、走行車体2の動力伝達機構を、メカトランスミッション19A,19BとHSTユニット19Cとの組み合わせにより構成することで、たとえば、それぞれの駆動輪を油圧モーターで駆動させる油圧駆動よりも走行負荷を低減することができる。
【0036】
上記したようなフレーム構造によれば、車体フレーム21の後部23におけるエンジンマウント部234を支持する下部フレーム232を、後輪4の車軸ケース17よりも下方に配置することで、エンジンEを機体の低い位置に配置することができる。これにより、機体の重心の位置を下げることができる。このように、機体の重心の位置を下げることで、安定して対地作業が行えるようになり、作業性を向上させることができる。なお、機体の重心の位置が低いと、とくに傾斜作業時に安定する。
【0037】
また、車体フレーム21の後部23が、直方体(箱型)状の矩形枠のフレーム構造であるため、フレーム剛性が向上するとともに、エンジンEの周囲が開放されエンジンEへのアクセス性が向上する。これにより、メンテナンスなどの作業性が向上する。
【0038】
また、前後方向に沿って延在する四輪駆動シャフト18を、エンジンEを避けるように左右のいずれか一側方に片寄せて配置することで、エンジンEが四輪駆動シャフト18に干渉しないため、エンジンEを機体の低い位置に配置することができる。これにより、機体の重心の位置を下げることができ、機体の重心の位置を下げることで、安定して対地作業が行えるようになり、作業性を向上させることができる。
【0039】
<HSTユニット19CとHSTペダル25の接続構造>
次に、
図5Aおよび
図5Bを参照して、HSTユニット19CとHSTペダル25の接続構造について説明する。
図5Aおよび
図5Bは、HSTユニット19CとHSTペダル25の接続構造の説明図である。なお、
図5Aには、車体フレーム21の前部22(HSTユニット19CおよびHSTペダル25)の右側面を示し、
図5Bには、HSTユニット19CおよびHSTペダル25の拡大右側面を示している。
【0040】
図5Aに示すように、車体フレーム21の前部22には、ミッションケース71(
図15Aおよび
図15B参照)内に設けられたHSTユニット19C(HST13)のトラニオンアーム13c(
図5B参照)を操作して機体を前後進させる場合に、操縦者によって踏み込み操作されるHSTペダル25が設けられる。HSTペダル25は、フロアステップ6b上におけるステアリングコラム6c(
図1B参照)の右側に配置される。HSTペダル25は、機体を前進させる場合に操作される前進ペダル25aと、機体を後進させる場合に操作される後進ペダルとを備える。前進ペダル25aと後進ペダルは、機体の左右方向に並んで配置される。なお、
図5Aおよび
図5Bには、前進ペダル25aだけを示している。
【0041】
HSTペダル25は、踏み込み操作に応じてHST13のトラニオン開度が調節されることで、前進増速、中立および後進増速に対応する無段変速を実現している。なお、HSTペダル25の踏み込み操作を行わない場合は、たとえば、スプリング復帰力が作用してトラニオン軸の中立は維持される。
【0042】
図5Aおよび
図5Bに示すように、HSTペダル25(25a)とHSTユニット19Cのトラニオンアーム13cとの間には、2つのロッド26が設けられる。2つのロッド26は前後方向に向けて配置され、HSTペダル25(25a)とトラニオンアーム13cとの間を接続している。また、2つのロッド26のうち、一方は機体を前進させる場合(前進ペダル25aが踏み込まれた場合)に作動する前進用のロッド(前進ロッドという)26aであり、他方は機体を後進させる場合(後進ペダルが踏み込まれた場合)に作動する後進用のロッド(後進ロッドという)26bである。
【0043】
図5Bに示すように、前進ロッド26aおよび後進ロッド26bはそれぞれ、前端部がHSTペダル25から延出しているロッド部材27aに接続された前側アーム28に接続され、後端部がトラニオンアーム13cから延出しているロッド部材27bに接続された後側アーム29に接続されている。ここで、たとえば、前進ロッド26aを下側に配置し、後進ロッド26bを上側に配置して、前側アーム28に対しては回動支点28aの下方に同一の支点で接続し、後側アーム29に対しては回動支点29aを挟んで回動支点29aの上下に接続することで、2つのロッド26(26a,26b)によるリンク機構を実現している。すなわち、前進ペダル25aが踏み込まれた場合には、前進ロッド26aが前方に引っ張られてトラニオンアーム13cが前進側に作動(回動)する。後進ペダルが踏み込まれた場合は、後進ロッド26bが前方に引っ張られてトラニオンアーム13cが後進側(前進側とは反対側)に作動(回動)する。
【0044】
たとえば、HSTペダル25とHSTユニット19Cのトラニオンアーム13cとの間が取り回しが容易なワイヤケーブルで接続されている場合、ワイヤケーブルの配索状態によっては曲げ部分などで抵抗が発生してワイヤケーブルの動きが悪いことがあるという不利があるが、ロッド26を用いたいわゆるメカリンクとした場合はこのような不利がない。また、HSTペダル25が踏み込まれた場合にロッド26の引っ張りによる伝達構成であるため、ロッド26を小径に形成してもメカリンクとして機能する。
【0045】
また、前進ロッド26aおよび後進ロッド26bはそれぞれ、長手方向の中途位置に調節部30(30a,30b)が設けられ、調節可能なものである。調節部30としては、たとえば、ターンバックルが好ましい。このように、前進ロッド26aおよび後進ロッド26bが長さ調節可能なため、各部品やリンク構成のがたつきを長さ調節により抑えることができる。
【0046】
<エンジンE周りのフレーム構造>
次に、
図6A〜
図7を参照して、エンジンE周りのフレーム構造についてさらに説明する。
図6Aおよび
図6Bは、エンジンE周りのフレーム構造の説明図である。
図7は、車軸(後輪4の車軸(後輪車軸)、またはリアアクスルともいう)41の配置説明図である。なお、
図6Aには、車体フレーム21の平面を示し、
図6Bには、車体フレーム21の右側面を示している。
図6Aおよび
図6Bにおいては、車体フレーム21に前輪伝動ケース16および後輪車軸ケース17が組み付けられている。また、
図6Bには、下部フレーム232が備える、後述するフレーム構成部材232aも示している。また、
図7には、後輪車軸41の拡大側面を示している。
【0047】
図6Aおよび
図6Bに示し、かつ、上記したように、車体フレーム21は、前部22と、後部23とにより構成され、このうち、後部23が直方体(箱型)状の矩形枠に形成されている。また、上記したように、車体フレーム21の後部23は、上部フレーム231、下部フレーム232および中間フレーム233を備える。なお、上部フレーム231、下部フレーム232および中間フレーム233のうち、下部フレーム232は、後部23におけるメインフレームとなり、
図7に示すように、後輪車軸41の下方に配置される。これにより、機体の低重心化が可能となる。
【0048】
図6Aおよび図6Bに示すように、下部フレーム232は、左右方向に並んで設けられた複数のフレーム構成部材232aを備える。フレーム構成部材232aは、少なくとも2つ以上(好ましくは、2つ)である。複数(2つ)のフレーム構成部材232aは、後輪車軸ケース17の上方における走行車体2(車体フレーム21)の左右方向の中心線L1から左右に等距離で配置される。ここで、後輪車軸ケース17は、揺動軸171を中心として機体のロール方向に揺動可能に設けられる。揺動軸171は、車体フレーム21の左右方向の中心線L1上に設けられる。すなわち、揺動軸171は、2つのフレーム構成部材232aに対して左右方向の中間に設けられる。
【0049】
このようなフレーム構造によれば、左右方向に並んで設けられたフレーム構成部材232aが、揺動軸171を中心として揺動する後輪車軸ケース17の揺動範囲を規制するようになる。このように、下部フレーム232が揺動を規制する部材として機能するため、揺動規制部材が不要となり、部品点数を減らすことができる。
【0050】
また、
図8は、コントローラ・ヒューズ31の配置説明図である。なお、
図8には、車体フレーム21の拡大左側面を示している。また、
図8には、コントローラ・ヒューズ31をA部に拡大して示している。
図8に示すように、車体フレーム21の後部23の内部であり上部フレーム231の下部には、コントローラ・ヒューズ31の取り付けステー32が設けられる。コントローラ・ヒューズ31は、取り付けステー32に取り付けられ、上部フレーム231の下方に集中的に配置される。このように、コントローラ・ヒューズ31が車体フレーム21の後部23における直方体(箱型)状の矩形枠内に集中配置されることで、コントローラ・ヒューズ31へのアクセス性が向上する。これにより、メンテナンス性が向上する。また、スペースを有効に活用することができる。
【0051】
また、
図9Aおよび
図9Bは、四輪駆動ユニット51の配置説明図である。なお、
図9Aには、車体フレーム21の平面を示し、
図9Bには、車体フレーム21の右側面を示している。
図9Aおよび
図9Bにおいては、機体の走行を二輪駆動から自動的に四輪駆動に切り替える四輪駆動ユニット51以外にも、車体フレーム21に前輪伝動ケース16、後輪車軸ケース17、四輪駆動シャフト18およびHSTユニット19Cが組み付けられている。
【0052】
図9Aおよび
図9Bに示すように、四輪駆動ユニット(オート4WDユニットともいう)51は、HSTユニット19Cの直後に配置される。このように、四輪駆動ユニット51がHSTユニット19Cの直後に配置されることで、後輪車軸ケース17側に四輪駆動ユニット51を設ける必要がなくなるため、後輪車軸ケース17を小型に構成することができる。これにより、車体フレーム21の後部23の低い位置にエンジンE(
図3A〜
図3C参照)を配置するためのスペースを確保することができる。
【0053】
<ラジエータ61およびエアクリーナ62>
次に、
図10Aおよび
図10Bを参照して、ラジエータ61およびエアクリーナ62の配置構成、
図11Aおよび
図11Bを参照して、ラジエータ61およびエアクリーナ62の接続構造について説明する。以下では、まず、ラジエータ61およびエアクリーナ62の配置構成について説明し、次いで、ラジエータ61およびエアクリーナ62の接続構造について説明する。
図10Aおよび
図10Bは、ラジエータ61およびエアクリーナ62の配置説明図である。なお、
図10Aには、車体フレーム21の平面を示し、
図10Bには、車体フレーム21の右側面を示している。
【0054】
図10Aおよび
図10Bに示すように、車体フレーム21の後部23の左右いずれか一側部(右側部)には、ラジエータ61が配置される。また、車体フレーム21の後部23の左右いずれか一側部(右側部)には、エアクリーナ62が配置される。ラジエータ61は、左右方向に面するように、横向きに配置される。このように、ラジエータ61が横向きに配置されることで、ラジエータ61がエンジンEの側方に配置されてこれらが前後方向に並ばないため、車体フレーム21の全長(前後長)を短縮することができ、機体の小型化が可能となる。なお、ラジエータ61は、外側部が後述するラジエータネット611で覆われている。エアクリーナ62は、ラジエータ61の後方に配置される。また、エアクリーナ62は、車体フレーム21の後部23から外側方に突出して配置される。
【0055】
ラジエータ61とエアクリーナ62とは、配管(吸気管)63により接続されている。エアクリーナ62は、吸気管63を流れてきた空気を浄化処理してエンジンE(
図3B参照)へと供給する。また、
図10Bに示すように、エアクリーナ62の蓋621は、車体フレーム21の後部23よりも外側に配置される。
【0056】
このような配置構成によれば、車体フレーム21の後部23において、エアクリーナ62が車体フレーム21の後部23(上部フレーム231および下部フレーム232)から外側方に突出しているため、エアクリーナ62へのアクセスが容易となる。エアクリーナ62は、フィルタの掃除や交換など定期的なメンテナンスを必要とするが、これにより、エアクリーナ62のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0057】
また、エアクリーナ62が直方体状の矩形枠である車体フレーム21の後部23に配置されるため、エアクリーナ62を、メンテナンスが容易な位置に配置することができるとともに、安定して配置することができる。
【0058】
図11Aおよび
図11Bは、ラジエータ61およびエアクリーナ62の接続構造の説明図である。なお、
図11Aには、ラジエータ61およびエアクリーナ62の平面を示し、
図11Bには、ラジエータ61およびエアクリーナ62の右側面を示している。
【0059】
図11Aおよび
図11Bに示すように、ラジエータ61は、ラジエータファンによる吸気を行う場合に機体外部から塵埃などが入り込まないように、外部に露出している部分(外側部)がラジエータネット611で覆われている。また、吸気管63のラジエータ61側の端部は、ラジエータネット611に形成された穴612に挿通され、ラジエータネット611の内部空間に配置される。このため、吸気管63の吸気口631は、ラジエータネット611の内部空間に配置される。
【0060】
このような接続構造によれば、吸気管63のラジエータ61側の端部がラジエータネット611の内部空間に配置されることで、機体外部の塵埃などの吸い込みを防ぐことができる。これにより、塵埃などを吸い込むことによるエアクリーナ62の目詰まりを防止することができる。
【0061】
<ラジエータネット611の着脱構造>
次に、
図12Aおよび
図12Bを参照して、ラジエータネット611の着脱構造について説明する。
図12Aおよび
図12Bは、ラジエータネット611の着脱構造の説明図である。なお、
図12Aおよび
図12Bには、ラジエータ61を含むラジエータユニット64の背面を示している。また、
図12Aには、ラジエータネット611を取り付ける、または取り外す途中の状態を示し、
図12Bには、ラジエータネット611を取り付けた状態を示している。
【0062】
図12Aに示すように、ラジエータユニット64は、上記したラジエータ61およびラジエータネット611の他、ラジエータブラケット641と、固定部642と、支持部643とを備える。ラジエータブラケット641は、たとえば、箱型であり、ラジエータ61を内部に収容する。ラジエータブラケット641は、車体フレーム21(
図3B参照)の外側方に向けた面が開放され、開放された面にはラジエータネット611が取り付けられる。固定部642は、ラジエータブラケット641にラジエータネット611を取り付ける場合に、ラジエータネット611を固定する。支持部643は、ラジエータブラケット641にラジエータネット611を取り付ける場合に、ラジエータブラケット641の開放された面に配置されたラジエータネット611を下方から支持する。
【0063】
固定部642は、固定バー642aと、固定クリップ642bとを備える。固定バー642aは、ラジエータブラケット641の開放された面に設けられ、たとえば、この面を前後方向に横切るようなバー部分を有する。固定クリップ642bは、たとえば、箱型のラジエータネット611の内側面に設けられ、固定バー642aのバー部分に係合可能である。支持部643は、ラジエータブラケット641の下部に外側方に突出して設けられ、ラジエータネット611の下端縁部が載置される。支持部643は、たとえば、前後方向に延在するフックである。
【0064】
ラジエータネット611をラジエータブラケット641に取り付ける場合に、ラジエータネット611の下端縁部を支持部643に載置して、支持部643に載置された部分を支点として閉じる向きに回転させることで、固定部642の固定バー642aに固定クリップ642bが係合する。ラジエータネット611を取り外す場合は、支持部643に載置された部分を支点として開く向きに回転させることで、固定部642の係合が解除され、ラジエータネット611を取り外すことができる。このように、工具などを用いることなく、ラジエータネット611を容易に取り付けまたは取り外すことができる。これにより、メンテナンス性が向上する。
【0065】
<エンジンマウント構造>
次に、
図13Aおよび
図13Bを参照して、エンジンマウント構造(エンジンマウント部234)についてさらに説明する。
図13Aおよび
図13Bは、エンジンマウント構造の説明図である。なお、
図13Aには、車体フレーム21の後部23を後方左上から示し、
図13Bには、車体フレーム21の後部23を後方右上から示している。
【0066】
図13Aおよび
図13Bに示すように、車体フレーム21の後部23においてエンジンEを下方から支持するエンジンマウント部234は、曲げ板234aと、リブ234bとを備える。曲げ板234aは、車体フレーム21の後部23の下部フレーム232に設けられる。曲げ板234aは、左右一対で設けられ、それぞれ上部が機体外側となる向きに開くように傾斜している。リブ234bは、曲げ板234aの補強部材であり、曲げ板234aの機体外側となる面に、上下方向に沿って設けられる。また、曲げ板234aの上部には、エンジンEに伝達される振動を抑えるためのゴム材(マウントゴム)234cが設けられる。
【0067】
このように、エンジンEを曲げ板234aにより斜めに支持することで、エンジンEの上下方向および左右方向の振動を吸収することができる。これにより、エンジンEに伝達される振動を低減することができる。
【0068】
<ブレーキ構成>
次に、
図14Aおよび
図14Bを参照して、ブレーキ構成について説明する。
図14Aおよび
図14Bは、ブレーキ構成の説明図である。なお、
図14Aには、車体フレーム21の右側面を示している。また、
図14Bには、前輪伝動ケース16の拡大斜視を示している。
図14Aに示すように、車体フレーム21の前部22には、前輪3(
図14B参照)に向けた動力伝達のために、前輪伝動ケース16が設けられる。
図14Aおよび
図14Bに示すように、前輪伝動ケース16の後端部には筒状部161が設けられ、筒状部161内にブレーキ機構162が組み込まれる。また、ブレーキ機構162は、ブレーキアーム162aを備える。ブレーキアーム162aは、筒状部161の内部と外部とに跨るように設けられることで、筒状部161の内部に組み込まれたブレーキ機構162の機体走行時のブレーキドラムの回転を防止することができる。これにより、安全性が向上する。
【0069】
<ミッションケース71内のクラッチ72,73>
次に、
図15Aおよび
図15Bを参照して、ミッションケース71内に配設されるクラッチ(ブロワPTOクラッチ72、モアPTOクラッチ73)について説明する。
図15Aおよび
図15Bは、ミッションケース71内に配設されるクラッチ72,73の説明図である。なお、
図15Aには、ミッションケース71内の拡大左側面を示し、
図15Bには、ミッションケース71内の拡大平面を示している。
【0070】
図15Aおよび
図15Bに示すように、ミッションケース71内には、ブロワPTO軸12Aに伝達される動力を断続するブロワPTOクラッチ72が配設される。また、ミッションケース71内には、モアPTO軸12Bに伝達される動力を断続するモアPTOクラッチ73が配設される。ここで、ブロワPTOクラッチ72とモアPTOクラッチ73とは、同じクラッチ(すなわち、同型のクラッチ)を使用している。このように、ブロワPTOクラッチ72とモアPTOクラッチ73とを同型のクラッチとすることで、2つのクラッチ72,73を制御するクラッチバルブを1つ設けて、1つのクラッチバルブで2つのクラッチ72,73を制御することができる。すなわち、クラッチバルブを共用することができる。
【0071】
<ラジエータファン81の駆動制御>
次に、
図16を参照して、ラジエータファン81の駆動制御について説明する。
図16は、ラジエータファン81の駆動回路の説明図である。なお、
図16には、芝刈り機1の各駆動回路のうち、ラジエータファン81の駆動に関する部分を一点破線で囲んでいる。ラジエータファン81は、ラジエータ61(
図10Aおよび
図10B参照)とエンジンE(
図3Bおよび
図3C参照)との間に配置される。ラジエータファン81は、電動式であり、正逆回転が可能である。
【0072】
図16に示すように、ラジエータファン81の駆動モータ81aは、コントローラ82a,82bから出力される回転信号(正転信号、逆転信号)に基づいて、2つのリレー83a,83bを介して駆動モータ81aの電流を切り替えることにより、正逆いずれかの方向に回転する。また、ラジエータファン81(駆動モータ81a)は、たとえば、5分ごとに逆転するといったように、正逆回転が所定の間隔(時間)で切り替わる。この場合、たとえば、コントローラ82aから正転信号が5分間出力されたら、コントローラ82bから逆転信号が10秒間出力される。
【0073】
このような駆動制御によれば、ラジエータファン81の正逆回転を所定の間隔で切り替えることで、定期的に風向きを変えてラジエータネット611(
図11Aおよび
図11B参照)の目詰まりを防止することができる。これにより、ラジエータ61の駆動不良を抑えることができ、ラジエータ61の駆動不良を抑えることで、エンジンEのオーバーヒートを防止することができる。また、ラジエータファン81が電動式であるため、油圧回路から動力を得る場合に比べて出力ロスを低減することができる。
【0074】
なお、ラジエータファン81の下流側、かつ、エンジンEの上流側にエンジンEを冷却するための空冷ファンを設けてもよい。空冷ファンを設けることで、エンジンEのオーバーヒートをさらに防止することができる。
【0075】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。