(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1ないし
図8を参照して本発明における使い捨ておむつを具体化した一実施形態におけるパンツ型使い捨ておむつについて説明する。
〔第1実施形態〕
図1および
図2に示すように、パンツ型使い捨ておむつ10(以下、単に「おむつ10」という。)は、人体の腹部形状に追従する形状を有する前身頃10Fと、人体の背部形状に追従する形状を有する後身頃10Rと、前身頃10Fおよび後身頃10Rを繋ぐ股下部10Cとを備える。
【0015】
前身頃10Fにおいて股下部10Cと反対側は、人体の胴周りの部分を取り囲む胴周り部10Wを構成し、上端に、胴周り開口部10Aを備えている。また、前身頃10Fにおける左右両端部、後身頃10Rにおける左右両端部、および、股下部10Cにおける左右両端部とは、人体の太股部分を取り囲む形状を有した左右一対の脚周り開口部10Lを構成している。また、前身頃10Fと後身頃10Rの胴周り方向Xの左右両端部は、接合部11となっている。
【0016】
図2(a)は、パンツ型使い捨ておむつの展開状態を示す平面図、(b)は、(a)のa−a断面図、(c)は、上部領域の接着領域を(a)に対応して示す平面図、(d)は、下部領域の接着領域を(a)に対応して示す平面図である。なお、
図2(b)において、右側がおむつ装着者の肌側となる。
【0017】
前身頃10Fにおける胴周り部10Wは、第1外装体12Fで構成され、後身頃10Rにおける胴周り部10Wは、第2外装体12Rで構成されている。以下、単に、第1外装体12Fと第2外装体12Rとをまとめて外装体12ともいう。
【0018】
外装体12は、胴周り方向Xを長手方向とした矩形形状を有しており、外装体12を構成するシート間に弾性部材15U,15Dが挟まれて構成されている。外装体を構成するシートは、一例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の熱可塑性樹脂を原料とした合成繊維からなる不織布であり、また、透液性シート、不透液性シートであってもよい。弾性部材15U,15Dは、天然ゴム、合成ゴム、ウレタンなどから選ばれる1つ以上の材料により形成された弾性体であり、糸状、紐状、ネット状、平型形状に形成されている。弾性部材15U,15Dは、複数本が互いに平行に、胴周り方向Xに沿って配置されている。
【0019】
第1外装体12Fと第2外装体12Rとは、股下部10Cを構成する吸収性本体16で連結される。吸収性本体16は、前後方向Yを長手方向とした矩形形状を有している。吸収性本体16は、液不透過性を有したバックシート17と、吸収体18と、液透過性を有したトップシート19とを備える。おむつ10において、トップシート19は、着用者の肌と接する内側に配置され、バックシート17は、外側に配置される。そして、おむつ10において、外側から、バックシート17、吸収体18、トップシート19の順に重なっている。さらに、バックシート17の外側には、手触り感を向上させるために、不織布を配置してもよい。
【0020】
バックシート17を形成する材料は、例えば、液不透過性を有したポリエチレン樹脂製のフィルムである。バックシート17は、通気性を確保するため、微細孔が多数形成されている。トップシート19を形成する材料は、例えば、織布、不織布、多孔性フィルムなどから選ばれる1以上の材料である。また、トップシート19は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維であって親水化処理が施された繊維から構成される液透過性を有した不織布などが用いられる。
【0021】
吸収体18は、前身頃10F、股下部10C、および、後身頃10Rに跨るように細長い帯形状を有している。吸収体18を形成する材料は、例えば、フラッフパルプ、高吸収性ポリマー、親水性シートなどの吸収性材料である。そして、吸収体18は、コアラップによって包まれ、バックシート17とトップシート19との間に配置され接合される。吸収性本体16の前後方向Yにおける外装体12と重なる領域は、外装体12を構成するシートが接着される被接着部となる端部領域16Aとなる。
【0022】
吸収性本体16には、前後方向Yに沿う両端部に立体ギャザー21が配置されている。立体ギャザー21は、トップシート19に前後方向Yに沿う両端部にサイドシート21Sを配置し、サイドシート21Sに弾性部材21Eを前後方向Yに沿って配置して構成されている。具体的に、サイドシート21Sは、液不透過性を有した不織布などを含んだ前後方向Yに延びる長尺のシート体である。サイドシート21Sは、前端部が前身頃10Fの一部を構成する第1外装体12Fと重なり、後端部が後身頃10Rの一部を構成する第2外装体12Rと重なるように配置される。立体ギャザー21は、弾性部材21Eが収縮した際に、サイドシート21Sが着用者の肌当接方向に向かって立ち上がり、脚周り開口部10Lの周囲に位置する。
【0023】
図2(a)に示すように、第1外装体12Fおよび第2外装体12Rの何れの外装体12においても、外装体12は、上部領域12Uと下部領域12Dとを備えている。上部領域12Uは、上部弾性部材15Uが吸収性本体16に対して内側、すなわちトップシート19側に配置されており、胴周り開口部10Aや胴周り部10Wの一部を構成する。下部領域12Dは、下部弾性部材15Dが吸収性本体16に対して外側、すなわちバックシート17側に配置されており、上部領域12Uと同様に胴周り部10Wの一部を構成する。立体ギャザー21の前端部と後端部は、吸収性本体16上において、下部領域12Dと少なくとも重なる位置まで延在され、ここでは、下部領域12Dと上部領域12Uとの境界部分にまで延在される。したがって、立体ギャザー21は、肌に密着するように、下部領域12Dによって押さえられる。立体ギャザー21を構成するサイドシート21Sは、弾性部材21Eを挟み込むように折り返され、折り返しの前端部と後端部がシール部23でシールされる。
【0024】
また、上部領域12Uにおける上部弾性部材15Uは、胴周り方向Xを長手方向としたシート間において、胴周り方向Xにおける左右両端部に亘って配置され、肌との密着性を高めている。下部領域12Dにおける下部弾性部材15Dもまた、胴周り方向Xにおける左右両端部に亘って配置されている。
図2(c)に示すように、下部領域12Dは、吸収性本体16における端部領域16Aの外面に直接接着されており、下部弾性部材15Dの収縮に合わせて、端部領域16Aに細かい折り目を付けるようなひだ16Bを形成する。ひだ16Bは、上下方向(前後方向Y)に沿う溝形状を有し、吸収体18が膨潤したときでも、消えることのない程度のものである。
【0025】
上部弾性部材15Uは、胴周り部10Wの胴周り開口部10Aに近い部分ではウェストギャザーを構成し、下部弾性部材15Dは、ウェストギャザーの下側に隣接する位置ではタミーギャザーを構成する。
【0026】
図2(b)に示すように、上部領域12Uは、上部弾性部材15Uをシートで挟み込んだ内側弾性部27と、外側に位置する外側シート部26とを備えている。また、下部領域12Dは、下部弾性部材15Dをシートで挟み込んだ外側弾性部28と、上部領域12Uと一連の外側シート部26とを備えている。
【0027】
外側シート部26は、肌とは反対側の最も外側に位置し、下部領域12Dから上部領域12Uに亘って延在する。外側シート部26は、上部領域12Uと下部領域12Dとを繋ぐシートとなる。
【0028】
内側弾性部27は、吸収性本体16に対して内側に位置し、シート27Aで上部弾性部材15Uを挟み込んで構成され、上部領域12Uを構成する。内側弾性部27の端部領域16Aと対向する面は、端部領域16Aに対して非接着である。
【0029】
外側弾性部28は、吸収性本体16に対して外側に位置し、外側シート部26とシート28Aとで下部弾性部材15Dを挟み込んで構成され、下部領域12Dを構成する。外側弾性部28の端部領域16Aと対向する面は、吸収性本体16の端部領域16Aの全面が接着層25によって接着される。
【0030】
図2(c)に示すように、上部領域12Uにおいて、外側シート部26は、吸収性本体16の端部領域16Aの外面が接着される領域が第1接着領域22Aとなり、第1接着領域22Aの周囲であって内側弾性部27のシート27Aが接着される領域が第2接着領域22Bとなる。第2接着領域22Bは、吸収性本体16の端部領域16Aが第1接着領域22Aに配置されることで、股下部10C側に向けて凹部形状となる。この凹部形状の内側部分において、内側弾性部27は、端部領域16Aの肌側の内面に対して非接着部となる。これにより、内側弾性部27のシート27Aと吸収性本体16との間には、端部領域16A上においてポケット30が構成される。ポケット30は、股下部10C側を開口端とし、腹や背の方向に移動する排泄物を収容できるように構成されている。また、第2接着領域22Bは、胴周り開口部10Aと端部領域16Aの前後方向Yの先端部との間に所定の幅を有する帯状領域34を備え、ポケット30に収容された排泄物が胴周り開口部10Aの方へ漏れることを抑制している。
【0031】
なお、ポケット30を構成する肌側のシート部分となるシート27Aは、排泄物を収容する部分であることから疎水性のシートで構成されていることが好ましい。これにより、ポケット30内の排泄物が肌側にしみ出すことを抑えることができる。
【0032】
図2(d)に示すように、また、下部領域12Dにおいて、外側弾性部28は、吸収性本体16の端部領域16Aの外面に対して接着される領域が第3接着領域22Cとなる。このように、外側弾性部28が端部領域16Aの外面に直接接着されることで、ポケット30を構成する第1接着領域22Aより股下部側に、ひだ16Bが形成されることになる。
【0033】
内側弾性部27は、胴周り部10Wを構成するものであり、第1外装体12Fおよび第2外装体12Rの胴周り方向Xの両端部間(接合部11間)の両端部間の長さL1に一致する。また、外側弾性部28も胴周り部10Wを構成するものであり、第1外装体12Fおよび第2外装体12Rの胴周り方向Xの両端部間(接合部11間)の両端部間の長さに一致する。
【0034】
これに対して、内側弾性部27と重なる部分の外側シート部26における胴周り方向Xの両端部間の長さL2は、端部領域16Aの胴周り方向Xの両端部間の長さL3よりも長く、かつ、第1外装体12Fおよび第2外装体12Rの胴周り方向Xの両端部間(接合部11間)の両端部間の長さL1よりも短い。これにより、内側弾性部27は、端部領域16Aの両側において、外側シート部26に覆われず直接外部に臨む露出領域16Xを備えることになり、露出領域16Xにおいて、外側シート部26によって覆われている領域よりも通気性の向上が図られる。また、内側弾性部27が外側シート部26によって覆われる領域は、ポケット30の領域に対応する。ポケット30には、排泄物が浸入することになるが、外側シート部26が存在することで、外表面まで滲みだしにくくなる。
【0035】
次に、おむつ10の製造方法について説明する。
図3(a)に示すように、外側シート部26を構成する第1シート要素26Xおよび第2シート要素26Yを用意する。第1シート要素26Xおよび第2シート要素26Yは、ともに矩形形状を備えており、原反から無駄なく切り取ることができる。
【0036】
ここで用意する第1シート要素26Xは、端部領域16Aの胴周り方向Xの両端部間の長さよりも長く、かつ、第1外装体12Fおよび第2外装体12Rの胴周り方向Xの両端部間(接合部11間)の両端部間の長さよりも短い。すなわち、第1シート要素26Xの胴周り方向Xの両端部間の長さは、外装体12の胴周り方向Xの両端部間の長さより短いが、胴周り方向Xにおいて、端部領域16Aを覆うことができる大きさである。また、第1シート要素26Xの前後方向Yの両端部間の長さは、少なくとも、内側弾性部27の前後方向Yの両端部間の長さに第2シート要素26Yに対するのり代を加えた長さである。ここでは、内側弾性部27の前後方向Yの両端部間の長さに、のり代として第2シート要素26Yの前後方向Yの長さを加えた長さである。
【0037】
また、第2シート要素26Yは、外側弾性部28を構成するシート要素である。第2シート要素26Yの前後方向Yの両端部間の長さは、外側弾性部28の前後方向Yの両端部間の長さに対応し、胴周り方向Xの両端部間の長さは、第1外装体12Fおよび第2外装体12Rの胴周り方向Xの両端部間(接合部11間)の両端部間の長さに対応する。第2シート要素26Yには、下部弾性部材15Dが伸長した状態で配置される。そして、第1シート要素26Xと第2シート要素26Yとは、ホットメルト接着剤などの接着剤によって接合されることで一体化され、外側シート部26となる。外側シート部26は、第1シート要素26Xの部分が内側弾性部27が位置する第1領域となり、第2シート要素26Yの部分が外側弾性部28が位置する第2領域となる。
【0038】
図3(b)に示すように、第2シート要素26Yには、ホットメルト接着剤などの接着剤33が塗布され、外側弾性部28を構成するシート28Aが接着される。または、接着剤33が塗布された下部弾性部材15Dが第2シート要素26Yに配置され、第2シート要素26Yに対してシート28Aが重ねられる。これにより、下部弾性部材15Dは、第2シート要素26Yとシート28Aとに挟み込まれ外側弾性部28が構成される。
【0039】
図3(c)に示すように、第1シート要素26Xの第1接着領域22Aおよびシート28Aの第3接着領域22C、ならびに、第1シート要素26Xの第2接着領域22Bには、接着層25が形成される。
図3(d)に示すように、吸収性本体16の端部領域16Aは、第1シート要素26Xおよびシート28Aに跨って載置される。吸収性本体16の端部領域16Aは、第1シート要素26Xの第1接着領域22Aおよびシート28Aの第3接着領域22Cに跨って載置される。
【0040】
ここで、上部弾性部材15Uを挟み込む一連のシート27Aを用意する。シート27Aは、上部弾性部材15Uを挟み込むため、半分に折り曲げたとき内側弾性部27に相当する大きさを有する。シート27Aには、上部弾性部材15Uが伸長した状態で配置される。
図3(e)に示すように、シート27Aは、ホットメルト接着剤などの接着剤が塗布された後、半分に折り曲げられ、上部弾性部材15Uを挟み込む。または、接着剤が塗布された上部弾性部材15Uがシート27A上に配置され、シート27Aは、半分に折り曲げられる。これにより、内側弾性部27が構成される。
【0041】
図3(f)に示すように、端部領域16Aの上から内側弾性部27が外側シート部26の第2接着領域22Bに対して接着される。したがって、内側弾性部27は、端部領域16Aに対しては非接着となる。これにより、第1シート要素26Xでは、吸収性本体16に対して内側に内側弾性部27が配置される。そして、内側弾性部27は、端部領域16Aに対して非接着であり、端部領域16Aと内側弾性部27との間には、股下部10C側を開口端としたポケット30が形成される。
【0042】
なお、ここで、吸収性本体16の端部領域16Aが接着される第1接着領域22Aおよび第3接着領域22Cと内側弾性部27が接着される第2接着領域22Bとは、一度に同じ接着剤を塗布するようにしてもよい。
【0043】
また、上述したように、異なる接着剤や異なる塗布方法で接着剤を塗布するようにしてもよい。この場合、例えば、第1接着領域22Aおよび第3接着領域22Cに対しては、高い接着力で端部領域16Aが接着されるようにし、第2接着領域22Bに対しては、内側弾性部27がこれに対して低い接着力で接着されるようにする。これにより、端部領域16Aは、第1接着領域22Aおよび第3接着領域22Cに対して強固に接着することができ、内側弾性部27は、第2接着領域22Bに対して弾性あるいは柔軟性を損なわないように接着することができる。
【0044】
以上のような工程を経て、吸収性本体16には、第1外装体12Fと第2外装体12Rとが接着される。この後、第1外装体12Fの胴周り方向Xの両端部と第2外装体12Rの胴周り方向Xの両端部とが接合され接合部11が形成される。
【0045】
以上のようなおむつ10にあっては、以下のような効果を得ることができる。
(1−1)外側シート部26で覆われていない内側弾性部27が露出した露出領域16Xでの通気性を向上することができる。
(1−2)外側シート部26は、内側弾性部27に対して小面積となり、製造コストを削減することができる。
(1−3)内側弾性部27が外側シート部26によって覆われる領域は、ポケット30の領域に対応する。ポケット30には、排泄物が浸入することになるが、外側シート部26が存在することで、外表面まで滲みだしにくくなる。
【0046】
(1−4)下部領域12Dでは、外側弾性部28が吸収性本体16に対して外側に配置され、吸収性本体16の端部領域16Aに直接接着されている。したがって、上部領域12Uに流れる手前においても、吸収性本体16を着用者の肌に押さえ付けて排泄物を吸収させ易くすることができる。また、端部領域16Aおよびその周辺部分において、吸収性本体16の肌側の面には、下部弾性部材15Dの収縮に合わせて、吸収性本体16の前後方向Yに連なるひだ16Bが形成される。これにより、ひだ16Bによって排泄物をポケット30へと誘導することができる。ひだ16Bは、外側弾性部28が端部領域16Aに対して全面接着されることで、確実に形成することができる。
【0047】
(1−5)第1シート要素26Xによって構成される第1領域において、内側弾性部27を位置させることができ、第2シート要素26Yで構成される第2領域において、外側弾性部28を位置させることができる。
(1−6)第1シート要素26Xおよび第2シート要素26Yは、ともに矩形形状であり、原反から無駄なく切り取ることができる。
(1−7)第1シート要素26Xおよび第2シート要素26Yは、別体のシート要素だけであっても、接着によって簡単に一体化することができる。
【0048】
〔第2実施形態〕
図4は、第2実施形態のおむつにおける、
図2(b)に対応する断面図である。第2実施形態のおむつは、上部弾性部材15Uを別々の2枚のシート27A,27Bで挟み込んでいる。なお、
図4において、右側がおむつ装着者の肌側となる。以下、第2実施形態のおむつの製造方法を説明する。
【0049】
図5(a)〜(c)は、上述した
図3(a)〜(c)と同じため詳細は省略する。
図5(d)に示すように、吸収性本体16の端部領域16Aは、第1シート要素26Xの第1接着領域22Aおよび第2シート要素26Yの第3接着領域22Cに跨って載置される。ここで、内側弾性部27の大きさに対応するシート27Aを用意する。そして、端部領域16Aの上からシート27Aが外側シート部26の第2接着領域22Bに対して接着される。したがって、シート27Aは、端部領域16Aに対しては非接着となる。
【0050】
なお、ここで、吸収性本体16の端部領域16Aが接着される第1接着領域22Aおよび第3接着領域22Cとシート27Aが接着される第2接着領域22Bとは、一度に同じ接着剤を塗布するようにしてもよい。また、上述したように、異なる接着剤や異なる塗布方法で接着剤を塗布するようにしてもよい。
【0051】
図5(e)に示すように、シート27Aには、上部弾性部材15Uが伸長した状態で配置され、ホットメルト接着剤などの接着剤が塗布される。この後、第1シート要素26Xの大きさを有したさらなるシート27Bが重ねられ、上部弾性部材15Uをシート27Aとシート27Bとで挟み込む。または、接着剤が塗布された上部弾性部材15Uがシート27A上に配置され、シート27Bが重ねられる。
図5(f)に示すように、これにより、内側弾性部27が構成され、吸収性本体16の上側には内側弾性部27が配置される。内側弾性部27は、端部領域16Aに対して非接着であり、端部領域16Aと内側弾性部27との間には、股下部側を開口端としたポケット30が形成されることになる。
【0052】
以上のような工程を経て、吸収性本体16には、第1外装体12Fと第2外装体12Rとが接着される。この後、第1外装体12Fの胴周り方向Xの両端部と第2外装体12Rの胴周り方向Xの両端部とが接合され接合部11が形成される。
【0053】
以上のようなおむつにあっては、さらに以下のような効果を得ることができる。
(2−1)外側シート部26、シート27Aおよびシート27Bを別々に使用しているので、外側シート部26、シート27Aおよびシート27Bのそれぞれを有効に利用することができる。例えば、外側シート部26、シート27Aおよびシート27Bに異なる材質のシートを使用することができる。この場合、一例として、肌と接するシート27Bには、柔らかいシートを使用し、外側シート部26やシート27Aには、耐水性や耐久性に富む硬めのシートを使用することができる。
【0054】
〔第3実施形態〕
図6は、第3実施形態のおむつにおける、
図2(b)に対応する断面図である。第3実施形態のおむつは、外側シート部26が最も外側に位置し、下部弾性部材15Dを挟み込む構成を有している。また、内側弾性部27は、1枚のシート27Aによって挟まれ、股下部10Cに近い部分で折り返されている。なお、
図6において、右側がおむつ装着者の肌側となる。以下、第3実施形態のおむつの製造方法を説明する。
【0055】
図7(a)に示すように、外側シート部26を構成する第1シート要素26Xおよび第2シート要素26Yを用意する。第1シート要素26Xおよび第2シート要素26Yは、ともに矩形形状を備えており、原反から無駄なく切り取ることができる。
【0056】
ここで、第1シート要素26Xは、第1実施形態および第2実施形態の第1シート要素26Xと同じため詳細は省略する(
図3(a)および
図5(a)参照)。第2シート要素26Yは、下部第1領域32Aと、下部第2領域32Bとを備えている。
【0057】
図7(a)に示すように、下部第2領域32Bは、下部弾性部材15Dが伸長した状態で図中手前の面に配置され、次いで、接着剤33が塗布される。下部第1領域32Aは、下部第2領域32B側に谷折りされる。そして、
図7(b)に示すように、下部弾性部材15Dがシートで挟まれた外側弾性部28が構成される。なお、接着剤33が塗布された下部弾性部材15Dを下部第2領域32Bに配置し、下部第1領域32Aを下部第2領域32Bに谷折りするようにしてもよい。
【0058】
図7(c)に示すように、第1シート要素26Xの第1接着領域22Aおよびシート28Aの第3接着領域22C、ならびに、第1シート要素26Xの第2接着領域22Bには、接着層25が形成される。
図7(d)に示すように、吸収性本体16の端部領域16Aは、第1シート要素26Xおよび外側弾性部28に跨って載置される。
【0059】
なお、ここで、吸収性本体16の端部領域16Aが接着される第1接着領域22Aおよび第3接着領域22Cと内側弾性部27が接着される第2接着領域22Bとは、一度に同じ接着剤を塗布するようにしてもよい。また、上述したように、異なる接着剤や異なる塗布方法で接着剤を塗布するようにしてもよい。
【0060】
図7(e)に示すように、ここで、上部弾性部材15Uを挟み込む一連のシート27Aを用意する。シート27Aは、上部弾性部材15Uを挟み込むため、半分に折り曲げたとき、内側弾性部27となる大きさを有する。シート27Aには、上部弾性部材15Uが伸長した状態で配置される。シート27Aは、ホットメルト接着剤などの接着剤が塗布された後、半分に折り曲げられ、上部弾性部材15Uを挟み込む。または、接着剤が塗布された上部弾性部材15Uがシート27A上に配置され、シート27Aは、半分に折り曲げられる。これにより、内側弾性部27が構成される。
【0061】
図7(f)に示すように、端部領域16Aの上から内側弾性部27が外側シート部26の第2接着領域22Bに対して接着される。したがって、内側弾性部27は、端部領域16Aに対しては非接着となる。これにより、第1シート要素26Xでは、吸収性本体16に対して内側に内側弾性部27が配置される。そして、内側弾性部27は、端部領域16Aに対して非接着であり、端部領域16Aと内側弾性部27との間には、股下部10C側を開口端としたポケット30が形成される。
【0062】
以上のような工程を経て、吸収性本体16には、第1外装体12Fと第2外装体12Rとが接着される。この後、第1外装体12Fの胴周り方向Xの両端部と第2外装体12Rの胴周り方向Xの両端部とが接合され接合部11が形成される。
【0063】
以上のようなおむつ10にあっては、以下のような効果を得ることができる。
(3−1)1枚のシート27Aで上部弾性部材15Uを挟み込むので、内側弾性部27の部品点数の削減と生産効率の向上を実現できる。
【0064】
〔第4実施形態〕
図8に示すように、第4実施形態のおむつは、第3実施形態のおむつの内側弾性部27の向きを逆にしたものであり、折曲されたシート27Aの折れ目を胴周り開口部10A側にし、折れ目と反対側の端部を股下部10C側にしたものである。なお、
図8において、右側がおむつ装着者の肌側となる。このようなおむつによっても、第3実施形態のおむつと同様な効果を得ることができる。
【0065】
なお、上記実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
・外側シート部26を構成する第1シート要素26Xと第2シート要素26Yとは、原反からT字形状に切り取った一連の、すなわち1枚のシート材で構成されていてもよい。この場合、第1シート要素26Xと第2シート要素26Yとの接着工程を省略することができ、生産効率の向上を図ることができる。
【0066】
・第1外装体12F、第2外装体12Rの何れか一方の外装体が上部領域12Uと下部領域12Dを備えていればよい。また、第1外装体12F、第2外装体12Rの少なくとも何れか一方において、下部領域12D(外側弾性部28)が割愛された構成であってもよい。
【0067】
・外側弾性部28は、外側シート部26を使って構成しなくてもよい。すなわち、外側弾性部28を2枚のシート要素で下部弾性部材15Dを挟み込んで構成し、このように構成された外側弾性部28を外側シート部26に接着するようにしてもよい。この場合、外側シート部26の胴周り方向Xの両端部間の長さL2は、吸収性本体16の胴周り方向Xの両端部間の長さL3よりも長く、かつ、外側弾性部28の胴周り方向Xの両端部間の長さより短くすることができる。
【0068】
・上部領域12Uと下部領域12Dとは、外側シート部26で繋がっていなくてもよい。すなわち、上部領域12Uと下部領域12Dとが分離していてもよい。外側シート部26は、少なくとも内側弾性部27と対向する位置に設けられていればよく、それ以外は、おむつの構成によって適宜変更可能である。
【0069】
・吸収性本体16に対して内側に位置する上部弾性部材15Uが配置された領域と外側に位置する下部弾性部材15Dが配置された領域とは、重なっていてもよい。また、上部弾性部材15Uが配置された領域の下端部と下部弾性部材15Dが配置された領域の上端部とが、境界部分において、同じ位置に位置していてもよい。
【0070】
・ポケット30は、第1外装体12Fと第2外装体12Rの両方に設けられることが好ましいが、少なくとも一方に設けられているだけでもよい。
・使い捨ておむつとしては、テープ型のおむつであってもよい。
・乳幼児用又は介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用の使い捨ておむつであってもよい。また、ペット用であってもよい。
・外装体12を構成する外側シート部26、内側弾性部27を構成するシート、および、外側弾性部28を構成するシートは、液不透過性であってもよいし、液透過性であってもよい。