特許第6834958号(P6834958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6834958
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】超音波シール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/22 20060101AFI20210215BHJP
   B29C 65/08 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   B65B51/22 100
   B29C65/08
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-530795(P2017-530795)
(86)(22)【出願日】2016年7月19日
(86)【国際出願番号】JP2016071121
(87)【国際公開番号】WO2017018266
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2019年6月19日
(31)【優先権主張番号】特願2015-150659(P2015-150659)
(32)【優先日】2015年7月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】柚原 徳崇
(72)【発明者】
【氏名】安田 裕一郎
【審査官】 武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/002148(WO,A1)
【文献】 国際公開第99/48759(WO,A1)
【文献】 特開2005−52983(JP,A)
【文献】 特開昭62−225323(JP,A)
【文献】 特開昭63−249623(JP,A)
【文献】 特開2001−233309(JP,A)
【文献】 特開平4−44935(JP,A)
【文献】 特開2013−220847(JP,A)
【文献】 特開昭63−96003(JP,A)
【文献】 特開2012−197112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10−51/30
B29C 65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂層を有する包材をその熱可塑性樹脂層同士が向き合うように互いに重ね合わせ、その重ね合わせた部分に両側からホーンの先端面とアンビルとを押し当てて当該重ね合わせた部分をシールする超音波シール装置であって、
前記ホーンと前記アンビルとフレーム部とを備え、
前記ホーンは超音波振動するものであり、
前記ホーンの先端部は、先端に向かうにつれて外径断面が小さくなる形状であり、
前記アンビルは、前記ホーンの先端面との間で前記包材を押圧するものであり、
前記フレーム部は、前記ホーンの先端部に向けて流体を吹き出す機構を有するものであり、前記ホーン先端部に非接触状態で配置されると共に、前記ホーンの先端部の側面の一部について周方向全周を囲むように配置され、前記ホーンの先端部の側面と対向する面に形成された複数の開口から、前記ホーン先端部の側面に向けて上記流体を吹き出し可能となっている、
ことを特徴とする超音波シール装置。
【請求項2】
前記フレーム部がストッパを具備しており、
前記ストッパは、前記ホーンと前記アンビルとの間に前記包材を介在させない状態のとき、前記ホーンと前記アンビルとが直接当接しないように、前記ホーンと前記アンビルとの間の距離を規制するものであることを特徴とする請求項1に記載の超音波シール装置。
【請求項3】
前記ホーンの少なくとも前記先端部に撥水加工が施されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波シール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体用紙容器の重ね合わせ部を超音波シールする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液体用紙容器は、果実飲料やお茶、コーヒー、乳飲料、スープ等の液体飲料、日本酒、焼酎等の酒類などに広く用いられている。その容器形状としては、屋根型やレンガ型、円筒型などがある。
例えば、レンガ型の液体用紙容器の製造は、紙層の表裏に熱可塑性樹脂層を持たせた包材に、容器用罫線を施し、包材の端部にエッジプロテクトテープを貼り、これを筒状に成形し包材端部どうしを縦方向で重ねて貼ることで、筒状形状の筒状包材とする。続けて、この筒状包材の下端部を横断方向にシールし、筒状包材の筒の中に内容物を充填した状態で液中シールして仕切った後、立体形状に成形することで紙容器となる。
【0003】
横断方向へのシールは、電気エネルギーを機械的な振動エネルギーに変換するコンバータ(超音波発振子)に付随したホーン(振動側)とアンビル(振動の受側)とで包材を押圧しながら振動を加えて、包材界面で発生する熱によって包材表面の熱可塑性樹脂層が溶融することで行われる(特許文献1、2参照)。
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4025098号公報
【特許文献2】特許第4603122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紙容器に対し超音波シール装置で超音波シールを連続して行うと、振動するホーンが熱を持ち、超音波シールが不安定になるおそれがあるという課題がある。
本発明は、上記のような点に着目したもので、ホーンを冷却することで、より安定した超音波シールを実現可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するために、本発明の一態様である超音波シール装置は、熱可塑性樹脂層を有する包材をその熱可塑性樹脂層同士が向き合うように互いに重ね合わせ、その重ね合わせた部分に両側からホーンとアンビルとを押し当てて当該重ね合わせた部分をシールする超音波シール装置であって、前記ホーンと前記アンビルとフレーム部とを備え、前記ホーンは超音波振動するものであり、前記アンビルは、前記ホーンとの間で前記包材を押圧するものであり、前記フレーム部は、前記ホーンの先端部に向けて流体を吹き出す機構を有するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、振動するホーンの先端部に向けてフレーム部から流体(例えば圧縮空気)が吹き出すことによりホーンを冷却する。この結果、本発明の一態様によれば、超音波振動による、より安定したシールを実現する。
ここで、ホーン先端部表面が撥水性を具備している場合には、フレーム部から吹き出す流体との相乗効果により、ホーン先端部に付着した液体内容物等をより積極的に除去する効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に基づく実施形態に係る超音波シール装置の一例に用いる積層体を模式的に断面で示した説明図である。
図2】本発明に基づく実施形態に係る超音波シール装置の一例に用いる積層体を模式的に断面で示した説明図である。
図3】液体用紙容器の製造工程と本発明の装置を示す模式図である。
図4】本発明に基づく実施形態に係る超音波シール方法および装置の説明図である。
図5】本発明に基づく実施形態に係る超音波シール方法および装置の説明図である。
図6】本発明に基づく実施形態に係る超音波シール装置における超音波振動発生器ケースの模様を示す模式的斜視図である。
図7】本発明に基づく実施形態に係る超音波シール装置におけるホーン先端部における流体による冷却の様子を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態につき説明する。
図3はレンガ型液体紙容器の製造工程と本発明の装置のシール部を示す模式図である。
図3に示すように、シート状包材17が、ロール状に巻かれ且つ容器用罫線が施された原反19から巻き出される。そのシート状包材17は、処理部16にて、包材端部どうしを重ねて貼り合わされ、エッジプロテクトテープで重ね合わせ部分の内側の端部を覆うように縦状にシールされて、筒状になる。処理部16は、シート状包材17を筒状に変形する変換部(縦シール部)及び液体内容物充填部からなる。
【0010】
ここにおいて使用される包材には、例えば図1図2で示される構成の積層体101aや101bが用いられる。これら積層体は、最内層および最外層が熱可塑性樹脂層1,6から構成され、該熱可塑性樹脂層1,6は例えばポリエチレン製である。接着樹脂層3には例えばポリエチレンが使用される。符号2は紙基材である。熱可塑性樹脂層1,6や接着樹脂層3は他の材質であってもよい。図1,2に示すバリア層4は、蒸着膜層4aを有する基材フィルム4cからなる。基材フィルム4cは例えばポリエチレンテレフタレートからなる。もっとも、バリア層4は、アルミや他のバリア材から構成されていてもかまわない。図1ではバリア層4において蒸着膜層4aが内層側にあり、図2ではバリア層4において蒸着膜層4aが外層側にある。また、包材を構成する積層体は、図1図2で示す構成だけに制限されない。また包材を構成する積層体の各層に使用される材料も上述の材料に限定されない。上述のように、バリア層4はアルミでも構わない。
【0011】
次に、図4を参照して横シール工程を説明する。
上述の処理で、包材17は筒状になっており、中には液体内容物が入っている。これが、上から下に下りていき超音波シール部を通過する。このとき、熱可塑性樹脂層を有する包材がその熱可塑性樹脂層同士が向き合うように互いに重ね合わされており、その重ね合わせ部に、積層体の厚さ方向である両側から、ホーン12とアンビル13とを押し当てて当該重ね合わせ部をシールする。
すなわち、超音波発振器24の駆動によりコンバータ21が発振することで、ホーン12は超音波振動する。その振動しているホーン12は、押し当てられた包材を溶着する。ホーン12の押し当ては、押し当て機構14を構成するカム機構、油圧又は空気圧シリンダーによって行われる。押し当てのタイミングはソレノイドバルブの動作タイミングで行い、また押し当て圧力は空気圧によって調整される。アンビル13は、上下対称に構成された、一対のシールバー23を保有している。一対のシールバー23は、振動するホーン12と共にそれぞれ包材の上部と下部とを溶着し、その後、包材の上部と下部の間が断裁刃15によって分断される。このようにして、液体内容物が入った紙容器が形成される。コンバータ21及びホーン12を有する超音波振動発生器は、ケース部25によって覆われている。
【0012】
ここで、図5のように、超音波振動発生器がコンバータ21、ブースタ22、ホーン12からなり、ケース部25に収められている装置も、実施形態のひとつである。
図6は、本実施形態における超音波振動発生器のケース部25およびフレーム部26の一例を示している。図4に示される超音波振動発生器がコンバータ21、ホーン12からなる場合には、ケース部25はコンバータ21、ホーン12の一部分を格納している。図5に示される超音波振動発生器がコンバータ21、ブースタ22、ホーン12からなる場合には、ケース部25はコンバータ21、ブースタ22、ホーン12の一部分を格納している。ホーン12の一部分とは、ホーン12の本体部分であり、本体部分にホーン12の先端部12aが一体に設けられている。
フレーム部26は、ホーン12の先端部の側周に位置している。フレーム部26は、先端枠28と棒状物27とを備える。
【0013】
先端枠28は、ホーン12の先端部12aの先端部分の側周に配置された、無端環状で且つ中空の枠体であって、先端部12aの先端部分の側周全周と対向可能に配置されている。また、棒状物27は、先端枠28とケース部25とを連結する部材であって、シャフト等から構成されている。
本実施形態の超音波シール装置は、先端枠28内にエア31を供給する流体供給管30を具備し、ホーン12を冷却するためのエア31が吹き出す機能を備える。先端枠28の内周面には、穴状やスリット状の開口部28aを有し、その開口部28aからホーン12の先端部12aに向けてエア31が吹き出すようになっている。なお、エア31は、不図示のコンプレッサなどによって流体供給管30に圧送される。
中空の先端枠28及び開口部28aが吹き出す機能を構成する。エア31は常温であるが、別途、熱交換器などで温度降下してから先端枠28に供給しても良い。
【0014】
図7は、フレーム部の先端枠28とホーン先端部12aの断面を模式的に図示したものであり、ホーン先端部12aの冷却の様子を示している。
なお、先端枠28内に供給される流体はエア(圧縮空気)に限定されず、不活性ガスなどであっても良い。また流体は水であっても良い。
また、フレーム部26はストッパ29を有する。ストッパ29は、図6に示すように、先端枠28におけるアンビル13と対向する面に設けられ、アンビル13側に向けて突出している。ストッパ29の先端位置は、ホーン12の先端部12aの先端位置よりもアンビル13側に位置するように設定されている。図6では、ストッパ29が、上下で対を為し、その突出量が同じ値に設定されている。
また、ホーン12は、少なくとも先端部12aの表面に対し撥水加工が施されている。
【0015】
以下、本実施形態の超音波シール装置の構成によってもたらさられる作用と効果などについて説明する。
超音波シール中に、フレーム部26の先端枠28からホーン先端部12aに向けてエア31が吹き付けられる。これによって超音波シール中は、ホーン12の先端部12aを常時冷却することとなり、超音波振動による、より安定したシールを実現する。
また、ホーン12、特に先端部12aは撥水加工が施されており、撥水加工とフレーム部26から吹き出されるエア31との相乗効果により、少なくともホーン先端部12aに付着した液体内容物や包材断裁時に発生する紙粉等の汚れを積極的に除去する効果をもたらす。なお、吹き出されるエア31がエアカーテンとしても作用する。
【0016】
このときフレーム化することにより、すなわち図6のようにケース部25と先端枠28の間に空間を形成することで、ホーン先端部12aが可視化されホーン12の汚れの状態を視認し易くなった。
また、従来付着物の定期的な洗浄作業を必要とし、通常であればケースごと取り外さなければならなかったが、フレーム化によって容易にホーン先端部12aへアクセス可能となり、フレーム部26を設けても当該フレーム部26を取り外す必要が無くなり、汚れの除去に関する作業負荷が軽減された。
また超音波振動発生器のフレーム部26の先端枠28にはホーン12及びアンビル13が筒状包材を介さない状態において直接当接せず、ホーン12とアンビル13の間が一定の距離に規制するストッパ29を具備している。このストッパ29により、ホーン12及びアンビル13が直接当接したときの超音波発振を防止することが可能となった。
【0017】
以上、本願が優先権を主張する、日本国特許出願2015−150659号(2015年7月30日出願)の全内容は、参照により本開示の一部をなす。
ここでは、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく各実施形態の改変は当業者にとって自明なことである。すなわち、本発明は、以上に記載した各実施形態に限定されうるものではない。当業者の知識に基づいて各実施形態に設計の変更等を加えることが可能であり、そのような変更等を加えた態様も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0018】
101a、101b 積層体
1 熱可塑性樹脂層
2 紙基材
3 接着樹脂層
4 バリア層
4a 蒸着膜層
4c 基材フィルム
6 熱可塑性樹脂層
10 筒状包材
11 液体内容物
12 ホーン
12a ホーン先端部
13 アンビル
14 押し当て機構部
15 断裁刃
16 処理部
17 シート状包材
19 原反
21 コンバータ(超音波発振子)
22 ブースタ
23 シールバー
24 超音波発振機
25 ケース部
26 フレーム部
27 棒状物
28 先端枠
29 ストッパ
30 流体供給管
31 エア
32 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7