特許第6834973号(P6834973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6834973
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】電極組立体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/531 20210101AFI20210215BHJP
   H01M 50/528 20210101ALI20210215BHJP
   H01G 11/72 20130101ALI20210215BHJP
   H01G 11/76 20130101ALI20210215BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20210215BHJP
【FI】
   H01M2/26 A
   H01M2/22 A
   H01G11/72
   H01G11/76
   H01G11/84
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-547899(P2017-547899)
(86)(22)【出願日】2016年10月28日
(86)【国際出願番号】JP2016082106
(87)【国際公開番号】WO2017073746
(87)【国際公開日】20170504
【審査請求日】2019年7月4日
(31)【優先権主張番号】特願2015-212998(P2015-212998)
(32)【優先日】2015年10月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】奥田 真也
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−313309(JP,A)
【文献】 特開2013−122973(JP,A)
【文献】 特開2011−076776(JP,A)
【文献】 特開2010−135651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/26
H01M 2/22
H01G 11/72
H01G 11/76
H01G 11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タブを含む電極を有する電極組立体の製造方法であって、
積層された前記タブを有するタブ積層体を準備する工程と、
前記タブ積層体の積層方向に沿って延在する前記タブ積層体の端面にエネルギービームを照射することによって、前記タブ積層体の端面から内側に溶接部を形成する工程と、
を含み、
前記溶接部を形成する工程では、前記タブ積層体の端面において、前記タブ積層体の積層方向に交差する方向に沿って前記エネルギービームを走査する、電極組立体の製造方法。
【請求項2】
前記タブ積層体は、前記タブ積層体の積層方向において集電体上に配置され、
前記溶接部は、前記タブ積層体と前記集電体との接触箇所に沿って形成される、請求項1に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項3】
前記タブ積層体が、前記タブ積層体の積層方向において押圧部材と集電体との間に配置され、
前記押圧部材及び前記集電体を介して前記タブ積層体を前記タブ積層体の積層方向に押圧した状態で前記タブ積層体の端面に前記エネルギービームを照射する、請求項1又は2に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項4】
前記タブ積層体の積層方向における前記押圧部材の厚みは、前記タブ積層体の積層方向における前記集電体の厚みよりも小さい、請求項3に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項5】
前記タブ積層体の端面において、前記エネルギービームを前記タブ積層体の積層方向に変位させながら走査する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項6】
前記タブ積層体が、前記タブ積層体を挟んで前記タブ積層体の端面とは反対側に配置される別の端面を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項7】
前記タブ積層体の積層方向において前記タブ積層体を跨いで位置する部材を用いることなく、積層された前記タブが前記溶接部によって互いに接続される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項8】
前記タブ積層体の端面において前記タブ積層体の積層方向に直交する方向における前記溶接部の最大長さが、前記タブ積層体の積層方向と前記タブ積層体の積層方向に直交する前記方向との両方に直交する方向から見たときに、前記タブ積層体の積層方向における前記溶接部と前記タブ積層体とが重なる部分の最大長さよりも大きい、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項9】
前記タブ積層体の積層方向を含み前記タブ積層体の端面に直交する前記タブ積層体の断面において、前記タブ積層体の積層方向に直交する方向における前記溶接部の最大溶接深さが2mm未満である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項10】
前記タブ積層体の端面の法線方向から見て、前記溶接部が、曲線を含む外形形状を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、電極組立体の製造方法及び電極組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池を製造する際に、YAGレーザー又は電子ビームを用いて、積層された複数の短冊状集電タブ同士を溶接する方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−313309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記方法では、集電タブの側面において、集電タブの積層方向に長軸を有する楕円形状の溶接部が形成されている。そのため、集電タブの側面において、集電タブの積層方向に直交する方向における溶接部の長さは十分ではない。また、上記方法では、鉤部材が集電タブを電極端子に固定しているので、電流は、集電タブから鉤部材を通って電極端子に流れる。そのため、溶接部の電気抵抗をそれ程低減する必要はない。
【0005】
本発明の一側面は、積層されたタブ間の電気抵抗値を低減できる電極組立体の製造方法及び電極組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電極組立体の製造方法は、タブを含む電極を有する電極組立体の製造方法であって、積層された前記タブを有するタブ積層体を準備する工程と、前記タブ積層体の積層方向に沿って延在する前記タブ積層体の端面にエネルギービームを照射することによって、前記タブ積層体の端面から内側に溶接部を形成する工程と、を含み、前記溶接部を形成する工程では、前記タブ積層体の端面において、前記タブ積層体の積層方向に交差する方向に沿って前記エネルギービームを走査する。
【0007】
この電極組立体の製造方法によれば、タブ積層体の端面において、タブ積層体の積層方向に交差する方向に溶接部が広がる。その結果、溶接部において電流が積層方向に流れる際に、積層されたタブ間の電気抵抗値を低減できる。
【0008】
前記タブ積層体は、前記タブ積層体の積層方向において前記集電体上に配置され、前記溶接部は、前記タブ積層体と前記集電体との接触箇所に沿って形成されてもよい。
【0009】
この場合、溶接部によってタブ積層体と集電体とを強固に接続することができる。
【0010】
前記タブ積層体が、前記タブ積層体の積層方向において押圧部材と集電体との間に配置され、前記押圧部材及び前記集電体を介して前記タブ積層体を前記タブ積層体の積層方向に押圧した状態で前記タブ積層体の端面に前記エネルギービームを照射してもよい。
【0011】
この場合、積層されたタブ間に隙間が生じ難くなるので、タブ積層体の端面に形成される溶接部にボイドが発生し難い。
【0012】
前記タブ積層体の積層方向における前記押圧部材の厚みは、前記タブ積層体の積層方向における前記集電体の厚みよりも小さくてもよい。
【0013】
この場合、押圧部材の厚みが比較的小さくなるので、押圧部材の熱容量とタブの熱容量との差を小さくできる。
【0014】
前記タブ積層体の端面において、前記エネルギービームを前記タブ積層体の積層方向に変位させながら走査してもよい。
【0015】
この場合、タブ積層体の端面の広い面積にエネルギービームを照射できるので、タブ積層体の端面において広い面積の溶接部が形成される。
【0016】
前記タブ積層体が、前記タブ積層体を挟んで前記タブ積層体の端面とは反対側に配置される別の端面を有してもよい。
【0017】
前記タブ積層体の積層方向において前記タブ積層体を跨いで位置する部材を用いることなく、積層された前記タブが前記溶接部によって互いに接続されてもよい。
【0018】
前記タブ積層体の端面において前記タブ積層体の積層方向に直交する方向における前記溶接部の最大長さが、前記タブ積層体の積層方向と前記タブ積層体の積層方向に直交する前記方向との両方に直交する方向から見たときに、前記タブ積層体の積層方向における前記溶接部と前記タブ積層体とが重なる部分の最大長さよりも大きくてもよい。
【0019】
この場合、溶接部の機械的強度が高まるので、例えば組立作業又は外力により電極組立体に応力が生じても溶接部が破壊され難い。また、タブ積層体の端面において、タブ積層体の積層方向に直交する方向に溶接部を大きくすることができる。その結果、溶接部の熱拡散性が向上するので、エネルギービームの照射に起因するスパッタ粒子の発生を抑制できる。
【0020】
前記タブ積層体の積層方向を含み前記タブ積層体の端面に直交する前記タブ積層体の断面において、前記タブ積層体の積層方向に直交する方向における前記溶接部の最大溶接深さが2mm未満であってもよい。
【0021】
この場合、エネルギービームの照射に起因するスパッタ粒子の発生を抑制できる。
【0022】
前記タブ積層体の端面の法線方向から見て、前記溶接部が、曲線を含む外形形状を有してもよい。
【0023】
この場合、溶接部の外形形状の曲線部分において応力が集中し難いので、溶接部が剥離し難い。
【0024】
本発明の一側面に係る電極組立体は、タブを含む電極を備える電極組立体であって、積層された前記タブを有するタブ積層体を備え、前記タブ積層体が、前記タブ積層体の積層方向に沿って延在する前記タブ積層体の端面から内側に位置する溶接部を有し、前記タブ積層体の端面において前記タブ積層体の積層方向に直交する方向における前記溶接部の最大長さが、前記タブ積層体の積層方向と前記タブ積層体の積層方向に直交する前記方向との両方に直交する方向から見たときに、前記タブ積層体の積層方向における前記溶接部と前記タブ積層体とが重なる部分の最大長さよりも大きい。
【0025】
この電極組立体によれば、タブ積層体の端面において、タブ積層体の積層方向に交差する方向に溶接部が広がる。その結果、溶接部において電流が積層方向に流れる際に、積層されたタブ間の電気抵抗値を低減できる。
【0026】
前記タブ積層体の積層方向を含み前記タブ積層体の端面に直交する前記タブ積層体の断面において、前記タブ積層体の積層方向に直交する方向における前記溶接部の最大溶接深さが2mm未満であってもよい。
【0027】
前記タブ積層体が、前記タブ積層体の積層方向において押圧部材と集電体との間に配置され、前記タブ積層体の積層方向における前記押圧部材の厚みは、前記タブ積層体の積層方向における前記集電体の厚みよりも小さくてもよい。
【0028】
この場合、押圧部材の厚みが比較的小さくなるので、押圧部材の熱容量とタブの熱容量との差を小さくできる。
【0029】
前記タブ積層体の端面の法線方向から見て、前記溶接部が、曲線を含む外形形状を有してもよい。
【0030】
この場合、溶接部の外形形状の曲線部分において応力が集中し難いので、溶接部が剥離し難い。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一側面によれば、積層されたタブ間の電気抵抗値を低減できる電極組立体の製造方法が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、第1実施形態に係る電極組立体を備える蓄電装置の分解斜視図である。
図2図2は、図1のII−II線に沿った蓄電装置の断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る電極組立体の斜視図である。
図4図4は、X軸方向から見た図3の電極組立体の一部を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。
図9図9は、第1実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。
図10図10は、第1実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。
図11図11は、第1実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。
図12図12は、第2実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。
図13図13は、第2実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。
図14図14は、第3実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。
図15図15は、第3実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。
図16図16は、変形例に係る溶接部を有する電極組立体の一部を示す図である。
図17図17は、実施例の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面には、必要に応じてXYZ直交座標系が示されている。Z軸方向は例えば鉛直方向、X軸方向及びY方向は例えば水平方向である。
【0034】
図1は、第1実施形態に係る電極組立体を備える蓄電装置の分解斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿った蓄電装置の断面図である。図1及び図2に示される蓄電装置1は、例えばリチウムイオン二次電池といった非水電解質二次電池又は電気二重層キャパシタである。
【0035】
図1及び図2に示されるように、蓄電装置1は、例えば略直方体形状をなす中空のケース2と、ケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属によって形成されている。ケース2は、一方側において開口した本体部2aと、本体部2aの開口を塞ぐ蓋部2bとを有している。ケース2の内壁面上には、絶縁フィルム(図示せず)が設けられる。ケース2の内部には、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。電極組立体3では、後述する正極11の正極活物質層15、負極12の負極活物質層18、及びセパレータ13が多孔質をなしており、その空孔内に、電解液が含浸されている。ケース2の蓋部2bには、正極端子5と負極端子6とが互いに離間して配置されている。正極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定され、負極端子6は、絶縁リング8を介してケース2に固定されている。
【0036】
電極組立体3は、積層型の電極組立体である。電極組立体3は、複数の正極11(電極)と、複数の負極12(電極)と、正極11と負極12との間に配置された袋状のセパレータ13とによって構成されている。セパレータ13内には、例えば正極11が収容されている。セパレータ13内に正極11が収容された状態で、複数の正極11と複数の負極12とがセパレータ13を介して交互に積層されている。
【0037】
正極11は、例えばアルミニウム箔からなる金属箔14と、金属箔14の両面に形成された正極活物質層15と、を有している。正極11の金属箔14は、矩形状の本体14aと、本体14aの一端から突出する矩形状のタブ14bと、を含む。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成されている多孔質の層である。正極活物質層15は、本体14aの両面において、少なくとも本体14aの中央部分に正極活物質が担持されて形成されている。
【0038】
正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウム、硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。ここでは、一例として、タブ14bには、正極活物質が担持されていない。ただし、タブ14bにおける本体14a側の基端部分には、活物質が担持されている場合もある。
【0039】
タブ14bは、本体14aの上縁部から上方に延び、集電板16(集電体)を介して正極端子5に接続されている。集電板16はタブ14bと正極端子5との間に配置されている。集電板16は、例えば、正極11の金属箔14と同一の材料から矩形平板状に構成される。積層された複数のタブ14bは、集電板16と、集電板16よりも薄い保護板23(押圧部材)との間に配置される(図3参照)。保護板23は、例えば、正極11の金属箔14と同一の材料から矩形平板状に構成される。
【0040】
負極12は、例えば銅箔からなる金属箔17と、金属箔17の両面に形成された負極活物質層18と、を有している。負極12の金属箔17は、正極11の金属箔14と同様に、矩形状の本体17aと、本体17aの一端部から突出する矩形状のタブ17bと、を含む。負極活物質層18は、本体17aの両面において、少なくとも本体17aの中央部分に負極活物質が担持されて形成されている。負極活物質層18は、負極活物質とバインダとを含んで形成されている多孔質の層である。
【0041】
負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素等が挙げられる。ここでは、一例として、タブ17bには、負極活物質が担持されていない。ただし、タブ17bにおける本体17a側の基端部分には、活物質が担持されている場合もある。
【0042】
タブ17bは、本体17aの上縁部から上方に延び、集電板19(集電体)を介して負極端子6に接続されている。集電板19はタブ17bと負極端子6との間に配置されている。集電板19は、例えば、負極12の金属箔17と同一の材料から矩形平板状に構成される。積層された複数のタブ17bは、集電板19と、集電板19よりも薄い保護板27(押圧部材)との間に配置される(図3参照)。保護板27は、例えば、負極12の金属箔17と同一の材料から矩形平板状に構成される。
【0043】
セパレータ13は、正極11を収容している。セパレータ13は、正極11及び負極12の積層方向からみて矩形状である。セパレータ13は、例えば、一対の長尺シート状のセパレータ部材を互いに溶着して袋状に形成される。セパレータ13の材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。
【0044】
図3は、第1実施形態に係る電極組立体の斜視図である。図4は、X軸方向から見た図3の電極組立体の一部を示す図である。図3に示される電極組立体3は、セパレータ13を介して互いに積層された複数の正極11及び複数の負極12を含む。複数の正極11のそれぞれは、XY平面に延在する本体14aと、本体14aの一端からX軸方向に突出するタブ14bとを含む。複数の負極12のそれぞれは、XY平面に延在する本体17aと、本体17aの一端からX軸方向に突出するタブ17bとを含む。タブ14b,17bは、互いに積層されてタブ積層体21,25をそれぞれ構成する。すなわち、電極組立体3は、Z軸方向に積層された複数のタブ14bを有するタブ積層体21と、Z軸方向に積層された複数のタブ17bを有するタブ積層体25とを備える。タブ積層体21,25は、Y軸方向において、互いに離間して配列される。
【0045】
タブ積層体21は、タブ積層体21の積層方向(Z軸方向)に沿って延在するタブ積層体21の端面21a,21b,21cを備える。端面21a,21bは、タブ積層体21を挟む面であり、端面21cは端面21a,21bを繋ぐ面である。すなわち、端面21a,21bは、タブ積層体21を挟んで互いに反対側に配置されている。端面21a,21bは、XZ平面に沿う面である。端面21cは、タブ積層体21の先端に向かうに連れてタブ積層体21の厚みが小さくなるようにXY平面に対して傾斜した面である。
【0046】
タブ積層体21は、Z軸方向において、集電板16と保護板23との間に配置される。すなわち、タブ積層体21は、Z軸方向において集電板16上に配置される。保護板23は、Z軸方向においてタブ積層体21上に配置される。保護板23は、集電板16と接触しておらず、保護板23と集電板16とは、タブ積層体21を積層方向に挟んで離間している。タブ積層体21は保護板23よりも厚く、集電板16はタブ積層体21よりも厚い。保護板23の厚みは、タブ14bの厚みよりも大きく、集電板16の厚みよりも小さい。電極組立体3は、保護板23及び集電板16を備えなくてもよい。
【0047】
集電板16のY軸方向における長さは、タブ積層体21のY軸方向における長さ(端面21a,21b間の距離)よりも大きくなっている。Y軸方向において、集電板16のY軸方向における外側端部の位置は、本体14aのY軸方向における端部の位置と一致している。保護板23のY軸方向における長さは、タブ積層体21のY軸方向における長さと略同じである。
【0048】
タブ積層体21は、タブ積層体21の端面21a,21bからそれぞれ内側に位置する溶接部Wを有する。タブ積層体21の端面21a,21bにおいてタブ積層体21の積層方向に直交する方向(例えばX軸方向)における溶接部Wの最大長さW2は、タブ積層体21の積層方向(例えばZ軸方向)とタブ積層体21の積層方向に直交する方向(例えばX軸方向)との両方に直交する方向(例えばY軸方向)から見たときに、タブ積層体21の積層方向(例えばZ軸方向)における溶接部Wとタブ積層体21とが重なる部分の最大長さW1よりも大きい(図3参照)。溶接部Wは、端面21a,21bに隣接する集電板16及び保護板23の内部まで延びている。端面21a,21bにおいて、溶接部WのX軸方向における長さは、保護板23のX軸方向における長さと略等しいか、又は保護板23のX軸方向における長さよりも短いことが好ましい。これにより、タブ積層体21のタブ14bがX軸方向において位置ずれした場合(例えば公差による位置ずれがある場合)であっても安定して溶接部Wを形成することができる。なお、溶接部WのX軸方向における長さが保護板23のX軸方向における長さと略等しい場合、位置ずれにより溶接部WがX軸方向において保護板23の外側にはみ出す可能性がある。また、溶接部WのX軸方向における長さが保護板23のX軸方向における長さよりも長い場合、溶接部WがX軸方向において保護板23の外側にはみ出す。それらの場合であっても、溶接部Wを形成することは可能である。
【0049】
図4に示されるように、Z軸方向を含みタブ積層体21の端面21a,21bに直交するタブ積層体21の断面(例えばYZ断面)において、溶接部Wの境界線Waは、Z軸方向に直交する方向H(例えばY軸方向)及びタブ積層体21の積層方向(Z軸方向)の両方に対して傾斜した方向に延びている。例えば、溶接部Wは2つの境界線Waを有しており、後述するエネルギービームB(図6参照)の照射によりエネルギービームBの周囲に形成される溶融池の形状に応じて、溶接部Wの外面から内側に向かうに連れて2つの境界線Waの間隔が狭くなっている。溶接池は、エネルギービームBの照射方向において、エネルギービームBの照射対象物の表面から内側に向けて先細るように形成される。溶接部Wは集電板16にも形成されるが、集電板16の密度はタブ積層体21の密度と異なるため、集電板16に形成される溶接池の深さとタブ積層体21に形成される溶接池の深さは異なる。その結果、上述のように、溶接部Wの外面から内側に向かうに連れて2つの境界線Waの間隔は狭くなる。すなわち、タブ積層体21のYZ断面において、溶接部Wの1つの境界線Waと方向Hとのなす角度のうち小さい方の角度をα、溶接部Wのもう1つの境界線Waと方向Hとのなす角度のうち小さい方の角度をβ、エネルギービームBの照射方向をYZ平面に投影した方向Jと方向Hとのなす角度のうち小さい方の角度をθとした場合に、θはαとβとの間の値となる。例えば、タブ積層体21のYZ断面において、集電板16内の境界線Waと方向Hとのなす角度のうち小さい方の角度をα、タブ積層体21内の境界線Waと方向Hとのなす角度のうち小さい方の角度をβ、エネルギービームBの照射方向をYZ平面に投影した方向Jと方向Hとのなす角度のうち小さい方の角度をθとした場合、α<θ<βとなる。溶接部Wの境界線Waは、YZ断面においてZ軸方向に平行でもよい。
【0050】
同様に、タブ積層体25は、タブ積層体25の積層方向(Z軸方向)に沿って延在するタブ積層体25の端面25a,25b,25cを備える。端面25a,25bは、タブ積層体25を挟む面であり、端面25cは端面25a,25bを繋ぐ面である。すなわち、端面25a,25bは、タブ積層体25を挟んで互いに反対側に配置されている。また、端面25a,25bは、XZ平面に沿う面である。また、端面25cは、タブ積層体25の先端に向かうに連れてタブ積層体25の厚みが小さくなるようにXY平面に対して傾斜した面である。
【0051】
タブ積層体25は、Z軸方向において、集電板19と保護板27との間に配置される。すなわち、タブ積層体25は、Z軸方向において集電板19上に配置される。保護板27は、Z軸方向においてタブ積層体25上に配置される。保護板27は、集電板19と接触しておらず、保護板27と集電板19とは、タブ積層体25を積層方向に挟んで離間している。タブ積層体25は保護板27よりも厚く、集電板19はタブ積層体25よりも厚い。保護板27の厚みは、タブ17bの厚みよりも大きく、集電板19の厚みよりも小さい。電極組立体3は、保護板27及び集電板19を備えなくてもよい。
【0052】
集電板19のY軸方向における長さは、タブ積層体25のY軸方向における長さ(端面25a,25b間の距離)よりも大きくなっている。Y軸方向において、集電板19のY軸方向における外側端部の位置は、本体17aのY軸方向における端部の位置と一致している。保護板27のY軸方向における長さは、タブ積層体25のY軸方向における長さと略同じである。
【0053】
タブ積層体25は、タブ積層体25の端面25a,25bからそれぞれ内側に位置する溶接部Wを有する。タブ積層体25の端面25bは、タブ積層体21の端面21bと対向している。よって、タブ積層体21,25の端面21a,21b,25a,25bは、Y軸方向に沿って配列される。タブ積層体25の端面25a,25bにおいてタブ積層体25の積層方向に直交する方向(例えばX軸方向)における溶接部Wの最大長さW2は、タブ積層体25の積層方向(例えばZ軸方向)とタブ積層体25の積層方向に直交する方向(例えばX軸方向)との両方に直交する方向(例えばY軸方向)から見たときに、タブ積層体25の積層方向(例えばZ軸方向)における溶接部Wとタブ積層体25とが重なる部分の最大長さW1よりも大きい(図3参照)。溶接部Wは、端面25a,25bに隣接する集電板19及び保護板27の内部まで延びている。端面25a,25bにおいて、溶接部WのX軸方向における長さは、保護板27のX軸方向における長さと略等しいか、又は保護板27のX軸方向における長さよりも短いことが好ましい。これにより、タブ積層体25のタブ17bがX軸方向において位置ずれした場合(例えば公差による位置ずれがある場合)であっても安定して溶接部Wを形成することができる。なお、溶接部WのX軸方向における長さが保護板27のX軸方向における長さと略等しい場合、位置ずれにより溶接部WがX軸方向において保護板27の外側にはみ出す可能性がある。また、溶接部WのX軸方向における長さが保護板27のX軸方向における長さよりも長い場合、溶接部WがX軸方向において保護板27の外側にはみ出す。それらの場合であっても、溶接部Wを形成することは可能である。
【0054】
図4に示されるように、Z軸方向を含みタブ積層体25の端面25a,25bに直交するタブ積層体25の断面(例えばYZ断面)において、溶接部Wの境界線Waは、Z軸方向に直交する方向H(例えばY軸方向)及びタブ積層体25の積層方向(Z軸方向)の両方に対して傾斜した方向に延びている。例えば、溶接部Wは2つの境界線Waを有しており、後述するエネルギービームBの照射によりエネルギービームBの周囲に形成される溶融池の形状に応じて、溶接部Wの外面から内側に向かうに連れて2つの境界線Waの間隔が狭くなっている。溶接池は、エネルギービームBの照射方向において、エネルギービームBの照射対象物の表面から内側に向けて先細るように形成される。溶接部Wは集電板19にも形成されるが、集電板19の密度はタブ積層体25の密度と異なるため、集電板19に形成される溶接池の深さとタブ積層体25に形成される溶接池の深さは異なる。その結果、上述のように、溶接部Wの外面から内側に向かうに連れて2つの境界線Waの間隔は狭くなる。すなわち、タブ積層体25のYZ断面において、溶接部Wの1つの境界線Waと方向Hとのなす角度のうち小さい方の角度をα、溶接部Wのもう1つの境界線Waと方向Hとのなす角度のうち小さい方の角度をβ、エネルギービームBの照射方向をYZ平面に投影した方向Jと方向Hとのなす角度のうち小さい方の角度をθとした場合に、θはαとβとの間の値となる。例えば、タブ積層体25のYZ断面において、集電板19内の境界線Waと方向Hとのなす角度のうち小さい方の角度をα、タブ積層体25内の境界線Waと方向Hとのなす角度のうち小さい方の角度をβ、エネルギービームBの照射方向をYZ平面に投影した方向Jと方向Hとのなす角度のうち小さい方の角度をθとした場合、α<θ<βとなる。溶接部Wの境界線Waは、YZ断面においてZ軸方向に平行でもよい。
【0055】
タブ積層体21の積層方向を含みタブ積層体21の端面21a,21bに直交するタブ積層体21の断面(例えばYZ断面)において、タブ積層体21の積層方向に直交する方向における溶接部Wの最大溶接深さWdは、2mm未満であってもよいし、1.5mm以下であってもよいし、1.2mm以下であってもよいし、0.1mm超であってもよいし、0.3mm以上であってもよい。同様に、タブ積層体25の積層方向を含みタブ積層体25の端面25a,25bに直交するタブ積層体25の断面(例えばYZ断面)において、タブ積層体25の積層方向に直交する方向における溶接部Wの最大溶接深さWdは2mm未満であってもよいし、1.5mm以下であってもよいし、1.2mm以下であってもよいし、0.1mm超であってもよいし、0.3mm以上であってもよい。最大溶接深さWdを2mm未満とすると、例えばエネルギービームBの照射に起因するスパッタ粒子の発生を抑制できる。特に、最大溶接深さWdを1.2mm以下とすると、スパッタ粒子の発生が顕著に抑制される(図17参照)。
【0056】
タブ積層体21の積層方向に直交するタブ積層体21の断面(例えばXY断面)において、溶接部Wの最大面積は、例えば4〜40mmである。同様に、タブ積層体25の積層方向に直交するタブ積層体25の断面(例えばXY断面)において、溶接部Wの最大面積は、例えば4〜40mmである。溶接部Wの最大面積を4mm以上とすると、溶接部Wの電気抵抗値を十分に低減できる。
【0057】
上述のように、電極組立体3において、タブ積層体21の端面21a,21bにおいてタブ積層体21の積層方向に直交する方向(例えばX軸方向)における溶接部Wの最大長さW2は、タブ積層体21の積層方向(例えばZ軸方向)とタブ積層体21の積層方向に直交する方向(例えばX軸方向)との両方に直交する方向(例えばY軸方向)から見たときに、タブ積層体21の積層方向(例えばZ軸方向)における溶接部Wとタブ積層体21とが重なる部分の最大長さW1よりも大きい(図3参照)。よって、タブ積層体21の端面21a,21bにおいて、タブ積層体21の積層方向に交差する方向に溶接部Wが広がる。その結果、溶接部Wにおいて電流が積層方向に流れる際に、複数のタブ14b間の電気抵抗値を低減できる。同様に、タブ積層体25の端面25a,25bにおいてタブ積層体25の積層方向に直交する方向(例えばX軸方向)における溶接部Wの最大長さW2は、タブ積層体25の積層方向(例えばZ軸方向)とタブ積層体25の積層方向に直交する方向(例えばX軸方向)との両方に直交する方向(例えばY軸方向)から見たときに、タブ積層体25の積層方向(例えばZ軸方向)における溶接部Wとタブ積層体25とが重なる部分の最大長さW1よりも大きい。よって、タブ積層体25の端面25a,25bにおいて、タブ積層体25の積層方向に交差する方向に溶接部Wが広がる。その結果、溶接部Wにおいて電流が積層方向に流れる際に、複数のタブ17b間の電気抵抗値を低減できる。
【0058】
タブ積層体21が、タブ積層体21の積層方向において保護板23と集電板16との間に配置され、タブ積層体21の積層方向における保護板23の厚みは、タブ積層体21の積層方向における集電板16の厚みよりも小さくてもよい。この場合、保護板23の厚みが比較的小さくなるので、保護板23の熱容量とタブ14bの熱容量との差を小さくできる。よって、保護板23とタブ14bとの接触箇所における溶接部Wの品質が向上する。タブ積層体21の積層方向における保護板23の厚みは、タブ積層体21の積層方向におけるタブ14bの厚みよりも大きくてもよい。
【0059】
保護板23の厚みは、0.1〜0.5mmであってもよいし、0.1〜0.2mmであってもよい。保護板23の厚みが0.1mm未満であると、保護板23がタブ14bを押圧する力が小さくなるので、溶接時にタブ14bが動き易くなる傾向にある。保護板23の厚みが0.5mm超であると、溶接時に保護板23を溶融させるためのエネルギーが大きくなる傾向にある。エネルギーを大きくするためにエネルギービームBの出力を上げると、エネルギービームBの照射に起因するスパッタ粒子が発生し易くなる。タブ14bの厚みは、例えば5〜30μmである。タブ積層体21の厚みは例えば0.3〜2.4mmであってもよいし、0.6〜1.0mmであってもよい。
【0060】
同様に、タブ積層体25が、タブ積層体25の積層方向において保護板27と集電板19との間に配置され、タブ積層体25の積層方向における保護板27の厚みは、タブ積層体25の積層方向における集電板19の厚みよりも小さくてもよい。この場合、保護板27の厚みが比較的小さくなるので、保護板27の熱容量とタブ17bの熱容量との差を小さくできる。よって、保護板27とタブ17bとの接触箇所における溶接部Wの品質が向上する。タブ積層体25の積層方向における保護板27の厚みは、タブ積層体25の積層方向におけるタブ17bの厚みよりも大きくてもよい。
【0061】
保護板27の厚みは、例えば0.1〜0.5mmであってもよいし、0.1〜0.2mmであってもよい。保護板27の厚みが0.1mm未満であると、保護板27がタブ17bを押圧する力が小さくなるので、溶接時にタブ17bが動き易くなる傾向にある。保護板27の厚みが0.5mm超であると、溶接時に保護板27を溶融させるためのエネルギーが大きくなる傾向にある。エネルギーを大きくするためにエネルギービームBの出力を上げると、エネルギービームBの照射に起因するスパッタ粒子が発生し易くなる。タブ17bの厚みは、例えば5〜30μmである。タブ積層体25の厚みは例えば0.3〜2.4mmであってもよいし、0.6〜1.0mmであってもよい。
【0062】
図5図11は、第1実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。図3に示される電極組立体3は、例えば以下の方法により製造される。
【0063】
(タブ積層体の準備工程)
まず、図5に示されるように、複数のタブ積層体21,25を準備する。図5(A)はX軸方向から見たタブ積層体21,25を示す図であり、図5(B)はY軸方向から見たタブ積層体25を示す図である。例えば、まず、集電板16,19上にそれぞれタブ14b,17bを積層することによりタブ積層体21,25を形成する。その後、タブ積層体21,25上にそれぞれ保護板23,27を載置する。タブ積層体21,25は、例えば治具により保護板23,27を介して押圧されるが、押圧されなくてもよい。
【0064】
(溶接部の形成工程)
次に、図6に示されるように、タブ積層体25の端面25aにエネルギービームBを照射する。図6(A)はX軸方向から見たタブ積層体21,25を示す図であり、図6(B)はY軸方向から見たタブ積層体25を示す図である。エネルギービームBは、照射装置30からタブ積層体25の端面25aに向けて照射される。照射装置30は、例えばレンズ及びガルバノミラーを含むスキャナヘッドである。スキャナヘッドにはファイバを介してビーム発生装置が接続される。照射装置30は、例えばプリズム等の屈折式の光学系から構成されてもよい。
【0065】
タブ積層体25の端面25aに直交すると共にタブ積層体25の積層方向を含む平面(例えばYZ平面)にエネルギービームBの照射方向を投影した方向Jは、当該平面(例えばYZ平面)において、Z軸方向に直交する方向H(例えばY軸方向)及びタブ積層体25の積層方向の両方に対して傾斜している。方向Jはタブ積層体25の端面25aに対しても傾斜している。方向Jは、方向Hに平行でもよい。YZ平面において、方向Hと方向Jとのなす角度のうち小さい方の角度θは、5〜85°であってもよく、10〜80°であってもよく、45〜75°であってもよい。エネルギービームBは、溶接を行うことができる高エネルギービームである。エネルギービームBは、例えばレーザービーム又は電子ビームである。エネルギービームBの照射は、ノズル32から供給される不活性ガスGの雰囲気中で行われる。
【0066】
エネルギービームBは、例えば治具により集電板19及び保護板27を介してタブ積層体25をZ軸方向に押圧した状態でタブ積層体25の端面25aに照射される。
【0067】
集電板16,19、タブ積層体21,25及び保護板23,27を含むワークは、例えばベルトコンベア等の搬送ステージ40上に載置され、エネルギービームBの照射位置までY軸方向に搬送される。
【0068】
エネルギービームBは、タブ積層体25の端面25aにおいて、Z軸方向に交差する方向(X軸方向)に沿って走査される。第1実施形態では、エネルギービームBをZ軸方向に変位させながらX軸方向に沿って走査する。例えば、エネルギービームBをZ軸方向に往復変位(ウォブリング)させながらX軸方向に沿って走査する。エネルギービームBの照射スポットのZ軸方向における変位量は、タブ積層体25の厚みよりも大きい。エネルギービームBの照射スポットは、タブ積層体25の端面25aにおいて、X軸方向に沿った軸線H1上の位置P1から位置P2まで移動する。例えば、位置P1,P2は、Z軸方向においてタブ積層体25の端面25aの中心に位置する。エネルギービームBは、例えば、タブ積層体25の端面25aにおいてX軸方向に沿って中心点を移動させ、当該中心点を中心にXZ平面においてエネルギービームBの照射スポットを回転させながら走査される。回転の直径がタブ積層体25の厚みよりも大きいと、タブ積層体25の端面25a、集電板19及び保護板27を全体的に溶接できるため好ましい。また、タブ積層体25の端面25aのうちの保護板27側の部分にエネルギービームBを照射し、集電板19側の残部にはエネルギービームBを照射しなくてもよい。この場合、タブ積層体25の端面25aのうちの集電板19側の残部には溶接部Wが形成されない。しかし、タブ積層体25の端面25aの内側において溶接部WがエネルギービームBの照射方向に延びることによって、タブ積層体25の内部において、溶接部Wがタブ積層体25の厚み方向に延在することになる。溶接部Wを集電板19まで到達させることによって、複数のタブ17b及び集電板19を溶接することができる。
【0069】
図7に示されるように、エネルギービームBの照射スポットは、タブ積層体25の端面25aにおいて、軸線H1上の位置P1から位置P3まで移動した後、軸線H1上の位置P2から位置P3まで移動してもよい。位置P3は、X軸方向において位置P1と位置P2との間に位置する。この場合、エネルギービームBの照射によって形成される溶接部Wにおいて、X軸方向における歪みのバラつきが低減される。
【0070】
図8に示されるように、エネルギービームBの照射スポットは、タブ積層体25の端面25aにおいて、軸線H1上の位置P1から位置P2まで直線的に移動してもよい。この場合、エネルギービームBの照射スポットをZ軸方向にずらしながら、エネルギービームBをX軸方向に沿って複数回走査する。
【0071】
上述のようにエネルギービームBを照射することによって、図9に示されるように、タブ積層体25の端面25aから内側に溶接部Wが形成される。図9(A)はX軸方向から見たタブ積層体21,25を示す図であり、図9(B)はY軸方向から見たタブ積層体25を示す図である。図9(B)に示されるように、タブ積層体25の端面25aにおいて、溶接部WはX軸方向に広がっている。タブ積層体25の端面25aにおいてタブ積層体25の積層方向に直交する方向(例えばX軸方向)における溶接部Wの最大長さW2は、タブ積層体25の積層方向(例えばZ軸方向)とタブ積層体25の積層方向に直交する方向(例えばX軸方向)との両方に直交する方向(例えばY軸方向)から見たときに、タブ積層体25の積層方向(例えばZ軸方向)における溶接部Wとタブ積層体25とが重なる部分の最大長さW1よりも大きい。なお、最大長さW1はZ軸方向における溶接部Wの最大長さより小さい。
【0072】
続いて、図10に示されるように、タブ積層体21の端面21bにも同様にエネルギービームBを照射する。これにより、図11に示されるように、タブ積層体21の端面21bから内側にも溶接部Wが形成される。タブ積層体21の端面21bにおいて、溶接部WはX軸方向に広がっている。
【0073】
エネルギービームBは、タブ積層体25の端面25bとタブ積層体21の端面21bとが互いに対向配置された状態で、端面21bに照射される。
【0074】
続いて、タブ積層体21の端面21bと同様に、タブ積層体25の端面25bにエネルギービームBを照射することにより、タブ積層体25の端面25bから内側に溶接部Wを形成する(図4参照)。エネルギービームBは、タブ積層体25の端面25bとタブ積層体21の端面21bとが互いに対向配置された状態で、端面25bに照射される。その後、タブ積層体25の端面25bと同様に、タブ積層体21の端面21aにエネルギービームBを照射することにより、タブ積層体21の端面21aから内側に溶接部Wを形成する(図4参照)。
【0075】
エネルギービームBの照射の際、タブ積層体21,25を含むワークは、搬送ステージ40によって、エネルギービームBの照射位置までY軸方向に搬送される。第1の照射装置30を用いて、タブ積層体21,25の端面21a,25bにエネルギービームBを照射し、第2の照射装置30を用いて、タブ積層体21,25の端面21b,25bにエネルギービームBを照射してもよい。また、1つの照射装置30をモータ等の駆動装置により移動させてエネルギービームBの照射方向を変えることによって、端面25a,21b,25b,21aにエネルギービームBを順に照射してもよい。
【0076】
上記工程を経ることによって、電極組立体3が製造される。その後、タブ積層体21,25を折り曲げた電極組立体3をケース2内に収容し、蓄電装置1を製造することができる。
【0077】
以上説明したように、第1実施形態の電極組立体の製造方法では、タブ積層体21,25の端面21a,21b,25a,25bにおいて、X軸方向に溶接部Wが広がる。その結果、溶接部Wにおいて電流がZ軸方向に流れる際に、複数のタブ14b,17b間の電気抵抗値を低減できる。よって、複数のタブ14b,17b間に大電流を流すことができる。溶接部Wは、タブ積層体21,25と集電板16,19との接触箇所に沿って形成されてもよい。この場合、溶接部Wによってタブ積層体21,25と集電板16,19とを強固に接続することができる。電極組立体3では、タブ積層体21の積層方向においてタブ積層体21を跨いで位置する部材(例えば保護板23と集電板16とを接続する部材)を用いることなく、保護板23、複数のタブ14b及び集電板16が溶接部Wによって互いに接続される。同様に、タブ積層体25の積層方向においてタブ積層体25を跨いで位置する部材(例えば保護板27と集電板19とを接続する部材)を用いることなく、保護板27、複数のタブ17b及び集電板19が溶接部Wによって互いに接続される。
【0078】
また、例えば治具により集電板19及び保護板27を介してタブ積層体25をZ軸方向に押圧した状態でタブ積層体25の端面25a,25bにエネルギービームBを照射する場合、複数のタブ17b間に隙間が生じ難くなるので、タブ積層体25の端面25a,25bに形成される溶接部Wにボイドが発生し難い。同様に、例えば治具により集電板16及び保護板23を介してタブ積層体21をZ軸方向に押圧した状態でタブ積層体21の端面21a,21bにエネルギービームBを照射する場合、複数のタブ14b間に隙間が生じ難くなるので、タブ積層体21の端面21a,21bに形成される溶接部Wにボイドが発生し難い。
【0079】
タブ積層体21の端面21a,21bにおいてタブ積層体21の積層方向に直交する方向における溶接部Wの最大長さW2が、タブ積層体21の積層方向(例えばZ軸方向)とタブ積層体21の積層方向に直交する方向(例えばX軸方向)との両方に直交する方向(例えばY軸方向)から見たときに、タブ積層体21の積層方向(例えばZ軸方向)における溶接部Wとタブ積層体21とが重なる部分の最大長さW1よりも大きい。同様に、タブ積層体25の端面25a,25bにおいてタブ積層体25の積層方向に直交する方向における溶接部Wの最大長さW2が、タブ積層体25の積層方向(例えばZ軸方向)とタブ積層体25の積層方向に直交する方向(例えばX軸方向)との両方に直交する方向(例えばY軸方向)から見たときに、タブ積層体25の積層方向(例えばZ軸方向)における溶接部Wとタブ積層体25とが重なる部分の最大長さW1よりも大きい。このような場合、溶接部Wの機械的強度が高まるので、例えば組立作業又は外力により電極組立体3に応力が生じても溶接部Wが破壊され難い。また、タブ積層体21の端面21a,21bにおいて、タブ積層体21の積層方向に直交する方向に溶接部Wを大きくすることができる。同様に、タブ積層体25の端面25a,25bにおいて、タブ積層体25の積層方向に直交する方向に溶接部Wを大きくすることができる。その結果、溶接部Wの熱拡散性が向上するので、エネルギービームBの照射に起因するスパッタ粒子の発生を抑制できる。
【0080】
また、タブ積層体21,25の端面21a,21b,25a,25bにおいて、エネルギービームBをZ軸方向に変位(ウォブリング)させながら走査する場合、タブ積層体21,25の端面21a,21b,25a,25bの広い面積にエネルギービームBを照射できるので、広い面積の溶接部Wが形成される。
【0081】
銅からなるタブ17bを含むタブ積層体25のXY断面における溶接部Wの面積は、電池の定格入出力により異なるが、例えば20Aの電池の場合、3.5mm以上であることが好ましい。アルミニウムからなるタブ14bを含むタブ積層体21のXY断面における溶接部Wの面積は、電池の定格入出力により異なるが、例えば20Aの電池の場合、5.5mm以上であることが好ましい。溶接部Wの面積を上記範囲にすると、通電中の電気抵抗を下げることができ、発熱を抑制することができる。
【0082】
図12図13は、第2実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。図12(A)及び図13(A)はX軸方向から見たタブ積層体21,25を示す図である。図12(B)及び図13(B)はY軸方向から見たタブ積層体25を示す図である。第2実施形態では、タブ積層体21,25の端面21c,25cにそれぞれ溶接部Wが形成されること以外は第1実施形態と同様に電極組立体3を製造することができる。
【0083】
タブ積層体25の端面25cは、タブ積層体25の先端に位置しており、YZ平面に沿う面である。端面25cは、タブ積層体25の先端を切断することによって形成されてもよいし、異なる長さのタブ17bを用いてタブ17bを積層することによって形成されてもよい。
【0084】
図12に示されるように、エネルギービームBは、端面25cにおいて、Z軸方向に変位(ウォブリング)させながらY軸方向に沿って走査される。エネルギービームBの照射スポットは、端面25cにおいて、Y軸方向に沿った軸線H1上の位置P4から位置P5まで移動する。例えば、位置P4,P5は、Z軸方向において端面25cの中心に位置する。エネルギービームBは、例えば、端面25cにおいてY軸方向に沿って中心点を移動させ、当該中心点を中心にYZ平面においてエネルギービームBの照射スポットを回転させながら走査される。
【0085】
図13に示されるように、エネルギービームBの照射により、タブ積層体25の端面25cから内側に溶接部Wが形成される。溶接部Wは、タブ積層体25の端面25cにおいて、Y軸方向に広がっている。
【0086】
同様に、エネルギービームBをタブ積層体21の端面21cに照射することによって、タブ積層体21の端面21cにも溶接部Wが形成される。エネルギービームBは、タブ積層体21の端面21cにおいて、Y軸方向に沿って走査される。
【0087】
第2実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。また、第2実施形態では、タブ積層体25の端面25a,25bに加えて端面25cにも溶接部Wが形成されるので、タブ17b間の電気抵抗値を低減することができる。タブ積層体21,25の端面21a,21b,25a,25bに溶接部Wが形成されず、タブ積層体21,25の端面21c,25cにのみ溶接部Wが形成されてもよい。
【0088】
図14図15は、第3実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。図14及び図15はX軸方向から見たタブ積層体25を示す図である。第3実施形態では、積層型の電極組立体3に代えて巻回型の電極組立体3を製造すること以外は第1実施形態と同様に電極組立体3を製造することができる。
【0089】
巻回型の電極組立体3は、積層型の電極組立体3と同様に、タブ積層体21,25を備える。タブ積層体21,25はX軸方向において互いに反対側に配置される。タブ積層体25では、タブ17bが、X軸方向の軸を中心に巻回された後、Z軸方向に圧縮されている。そのため、タブ積層体25は、Z軸方向に積層されたタブ17bを有する。具体的には、タブ17bにおける複数の部分がZ軸方向に積層される。溶接部Wは、積層されたタブ17b同士を接続する。具体的には、溶接部Wによって、タブ17bにおける複数の部分同士が接続される。巻回型の電極組立体3において、タブ積層体25は端面25a,25bを備えておらず、先端に位置する端面25cのみを備えている。同様に、タブ積層体21は端面21a,21bを備えておらず、先端に位置する端面21cのみを備えている。
【0090】
図14に示されるように、エネルギービームBは、端面25cにおいて、Z軸方向に変位(ウォブリング)させながらY軸方向に沿って走査される。エネルギービームBの照射スポットは、端面25cにおいて、Y軸方向に沿った軸線H1上の位置P4から位置P5まで移動する。例えば、位置P4,P5は、Z軸方向において端面25cの中心に位置する。エネルギービームBは、例えば、端面25cにおいてY軸方向に沿って中心点を移動させ、当該中心点を中心にYZ平面においてエネルギービームBの照射スポットを回転させながら走査される。
【0091】
図15に示されるように、エネルギービームBの照射により、タブ積層体25の端面25cから内側に溶接部Wが形成される。溶接部Wは、タブ積層体25の端面25cにおいて、Y軸方向に広がっている。
【0092】
同様に、エネルギービームBをタブ積層体21の端面21cに照射することによって、タブ積層体21の端面21cにも溶接部Wが形成される。エネルギービームBは、タブ積層体21の端面21cにおいて、Y軸方向に沿って走査される。
【0093】
第3実施形態では、第2実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0094】
図16は、変形例に係る溶接部を有する電極組立体の一部を示す図である。図16(A)は、第1変形例に係る溶接部Wを有する、Y軸方向から見たタブ積層体25を示す図である。図16(B)は、第2変形例に係る溶接部Wを有する、Y軸方向から見たタブ積層体25を示す図である。第1及び第2変形例では、タブ積層体25の端面25aの法線方向から見て、溶接部Wが、曲線を含む外形形状を有している。そのため、溶接部Wの外形形状の曲線部分において応力が集中し難いので、溶接部Wが剥離し難い。溶接部Wは、曲線によって囲まれる外形形状を有してもよいし、曲線及び直線によって囲まれる外形形状を有してもよい。溶接部Wの外形形状は、応力が集中し易い角部(直線同士が交差する部分)を含んでいない。
【0095】
第1変形例に係る溶接部Wの外形形状は例えば楕円形の一部を含む。図16(A)に示されるように、タブ積層体25の端面25aにおいてタブ積層体25の積層方向に直交する方向(X軸方向)における溶接部Wの最大長さW2は、タブ積層体25の積層方向(Z軸方向)とタブ積層体25の積層方向に直交する方向(X軸方向)との両方に直交する方向(Y軸方向)から見たときに、タブ積層体25の積層方向(Z軸方向)における溶接部Wとタブ積層体25とが重なる部分の最大長さW1よりも大きい。
【0096】
第2変形例に係る溶接部Wの外形形状は例えば円形の一部を含む。図16(B)に示されるように、タブ積層体25の端面25aにおいてタブ積層体25の積層方向に直交する方向(X軸方向)における溶接部Wの最大長さW2は、タブ積層体25の積層方向(Z軸方向)とタブ積層体25の積層方向に直交する方向(X軸方向)との両方に直交する方向(Y軸方向)から見たときに、タブ積層体25の積層方向(Z軸方向)における溶接部Wとタブ積層体25とが重なる部分の最大長さW1よりも大きい。最大長さW2は、最大長さW1以下であってもよい。
【0097】
タブ積層体25の端面25b及びタブ積層体21の端面21a,21bのうち少なくとも1つにおいても、溶接部Wが、第1変形例又は第2変形例に係る溶接部Wと同じ形状を有してもよい。
【0098】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。上記各実施形態の構成要素は任意に組み合わされ得る。
【0099】
以下、実施例に基づいて本発明がより具体的に説明されるが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0100】
(実施例1)
溶接部Wの最大溶接深さWdが0.1mmとなるように溶接部Wを形成した。
【0101】
(実施例2)
溶接部Wの最大溶接深さWdを0.3mmとしたこと以外は実施例1と同様にして溶接部Wを形成した。
【0102】
(実施例3)
溶接部Wの最大溶接深さWdを1.2mmとしたこと以外は実施例1と同様にして溶接部Wを形成した。溶接部Wの形成に用いたレーザーの出力は1500W、走査速度は24.9mm/secであった。
【0103】
(実施例4)
溶接部Wの最大溶接深さWdを1.5mmとしたこと以外は実施例1と同様にして溶接部Wを形成した。溶接部Wの形成に用いたレーザーの出力は1500W、走査速度は8.3mm/secであった。
【0104】
(実施例5)
溶接部Wの最大溶接深さWdを2mmとしたこと以外は実施例1と同様にして溶接部Wを形成した。
【0105】
(評価結果)
実施例1〜5の評価結果を図17に示す。レーザービームをタブ積層体の端面に照射している様子を撮像し、得られた映像からレーザービームの照射に起因するスパッタ粒子の数をカウントした。実施例4〜5では、スパッタ粒子の数が、実施例1〜3に比べて顕著に増えた。また、溶接部Wの電気抵抗値を測定した。図17に示される表中のAは良好な結果が得られたことを示し、BはAよりは良好でない結果が得られたことを示す。実施例2〜4では、実施例1及び5に比べて良好な結果が得られた。図17の評価結果によれば、溶接部Wの最大溶接深さWdが0.3〜1.5mmであると、スパッタ粒子の数が少なくなった。さらに最大溶接深さWdが0.3〜1.2mmであると、スパッタ粒子の数が顕著に少なくなり、かつ、溶接部Wの電気抵抗値が良好な値となった。
【符号の説明】
【0106】
3…電極組立体、11…正極(電極)、12…負極(電極)、14b,17b…タブ、16,19…集電板(集電体)、21,25…タブ積層体、21a,21b,25a,25b,25c…端面、23,27…保護板(押圧部材)、B…エネルギービーム、W…溶接部。
図1
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