特許第6834994号(P6834994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6834994プリントシステム、画像形成装置、プリント管理装置、および制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6834994
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】プリントシステム、画像形成装置、プリント管理装置、および制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20210215BHJP
   G03G 15/36 20060101ALI20210215BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20210215BHJP
   G03G 21/02 20060101ALI20210215BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20210215BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20210215BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   B41J29/38 801
   G03G15/36
   G03G21/00 386
   G03G21/02
   B41J29/00 Z
   H04N1/00 127Z
   G06F3/12 303
   G06F3/12 373
   G06F3/12 371
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-6217(P2018-6217)
(22)【出願日】2018年1月18日
(65)【公開番号】特開2019-123176(P2019-123176A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2019年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177334
【弁理士】
【氏名又は名称】河内 浩
(72)【発明者】
【氏名】高原 正和
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−097636(JP,A)
【文献】 特開2014−171067(JP,A)
【文献】 特開2003−034061(JP,A)
【文献】 特開2013−073435(JP,A)
【文献】 特開2001−318771(JP,A)
【文献】 特開2010−092220(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0075166(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント処理を実行する画像形成装置と、前記プリント処理を管理するプリント管理装置と、を備えるプリントシステムであって、
前記プリント管理装置は、
前記プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合において、前記第1プリントデータが公的プリントに該当することを示す第1公的イメージを作成する公的イメージ作成部と、
前記第1公的イメージを前記第1プリントデータに付与して前記画像形成装置に送る公的イメージ付与部と、を備え、
前記画像形成装置は、
前記プリント管理装置から送られた前記第1プリントデータを、前記第1プリントデータに付与された前記第1公的イメージと共にプリントするプリント制御部を備え、
さらに、前記画像形成装置は、
前記画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合において、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての公私判別を前記プリント管理装置に問い合わせる問合せ部を備え、
前記プリント管理装置は、
前記問合せ部からの問合せに応じて前記公私判別を行い、前記公私判別による判別結果を前記画像形成装置に返す公私判別部を備え
前記プリント管理装置の前記公私判別部は、
前記第2プリントデータの入力元が着脱可能な周辺機器である場合に、前記第2プリントデータが私的プリントに該当すると判別する、ことを特徴とするプリントシステム。
【請求項2】
プリント処理を実行する画像形成装置と、前記プリント処理を管理するプリント管理装置と、を備えるプリントシステムであって、
前記プリント管理装置は、
前記プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合において、前記第1プリントデータが公的プリントに該当することを示す第1公的イメージを作成する公的イメージ作成部と、
前記第1公的イメージを前記第1プリントデータに付与して前記画像形成装置に送る公的イメージ付与部と、を備え、
前記画像形成装置は、
前記プリント管理装置から送られた前記第1プリントデータを、前記第1プリントデータに付与された前記第1公的イメージと共にプリントするプリント制御部を備え、
さらに、前記画像形成装置は、
前記画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合において、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての公私判別を前記プリント管理装置に問い合わせる問合せ部を備え、
前記プリント管理装置は、
前記問合せ部からの問合せに応じて前記公私判別を行い、前記公私判別による判別結果を前記画像形成装置に返す公私判別部を備え、
前記プリント管理装置の前記公私判別部は、
前記第2プリントデータがテキストデータを含まない場合に、前記第2プリントデータが私的プリントに該当すると判別する、ことを特徴とするプリントシステム。
【請求項3】
プリント処理を実行する画像形成装置と、前記プリント処理を管理するプリント管理装置と、を備えるプリントシステムであって、
前記プリント管理装置は、
前記プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合において、前記第1プリントデータが公的プリントに該当することを示す第1公的イメージを作成する公的イメージ作成部と、
前記第1公的イメージを前記第1プリントデータに付与して前記画像形成装置に送る公的イメージ付与部と、を備え、
前記画像形成装置は、
前記プリント管理装置から送られた前記第1プリントデータを、前記第1プリントデータに付与された前記第1公的イメージと共にプリントするプリント制御部を備え、
さらに、前記画像形成装置は、
前記画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合において、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての公私判別を前記プリント管理装置に問い合わせる問合せ部を備え、
前記プリント管理装置は、
前記問合せ部からの問合せに応じて前記公私判別を行い、前記公私判別による判別結果を前記画像形成装置に返す公私判別部を備え、
前記画像形成装置は、
前記第2の場合において、前記第2プリントデータが私的プリントに該当することを示す前記判別結果を前記プリント管理装置から受けると、前記第2プリントデータによるプリントは私的プリントであるから課金する旨をユーザーに提示した後、前記ユーザーからのプリント指示を受けて前記第2プリントデータをプリントするように前記プリント制御部に指示する応答処理部を備える、ことを特徴とするプリントシステム。
【請求項4】
プリント処理を実行する画像形成装置と、前記プリント処理を管理するプリント管理装置と、を備えるプリントシステムであって、
前記プリント管理装置は、
前記プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合において、前記第1プリントデータが公的プリントに該当することを示す第1公的イメージを作成する公的イメージ作成部と、
前記第1公的イメージを前記第1プリントデータに付与して前記画像形成装置に送る公的イメージ付与部と、を備え、
前記画像形成装置は、
前記プリント管理装置から送られた前記第1プリントデータを、前記第1プリントデータに付与された前記第1公的イメージと共にプリントするプリント制御部を備え、
さらに、前記画像形成装置は、
前記画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合において、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての公私判別を前記プリント管理装置に問い合わせる問合せ部を備え、
前記プリント管理装置は、
前記問合せ部からの問合せに応じて前記公私判別を行い、前記公私判別による判別結果を前記画像形成装置に返す公私判別部を備え、
前記第1の場合において、前記画像形成装置が前記第1プリントデータを保持している期間にわたって前記第1プリントデータに対応する前記第1公的イメージを保管し、前記画像形成装置から前記第1プリントデータが削除されると前記第1公的イメージを削除する公的イメージ管理部を備える、ことを特徴とするプリントシステム。
【請求項5】
プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合において、前記プリント管理装置から送られた前記第1プリントデータを、前記第1プリントデータに付与された第1公的イメージと共にプリントするプリント制御部と、
画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合において、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての公私判別を前記プリント管理装置に問い合わせる問合せ部と、
前記第2プリントデータが私的プリントに該当することを示す判別結果を前記プリント管理装置から受けると、前記第2プリントデータによるプリントは私的プリントであるから課金する旨をユーザーに提示した後、前記ユーザーからのプリント指示を受けて前記第2プリントデータをプリントするように前記プリント制御部に指示する応答処理部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置によるプリント処理を管理するプリント管理装置であって、
前記プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合において、前記第1プリントデータが公的プリントに該当することを示す第1公的イメージを作成する公的イメージ作成部と、
前記第1公的イメージを前記第1プリントデータに付与して前記画像形成装置に送る公的イメージ付与部と、
前記画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合において、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての問合せに応じて公私判別を行い、前記公私判別による判別結果を前記画像形成装置に返す公私判別部と、を備え
前記公私判別部は、
前記第2プリントデータの入力元が着脱可能な周辺機器である場合に、前記第2プリントデータが私的プリントに該当すると判別することを特徴とするプリント管理装置。
【請求項7】
画像形成装置によるプリント処理を管理するプリント管理装置であって、
前記プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合において、前記第1プリントデータが公的プリントに該当することを示す第1公的イメージを作成する公的イメージ作成部と、
前記第1公的イメージを前記第1プリントデータに付与して前記画像形成装置に送る公的イメージ付与部と、
前記画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合において、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての問合せに応じて公私判別を行い、前記公私判別による判別結果を前記画像形成装置に返す公私判別部と、を備え、
前記公私判別部は、
前記第2プリントデータがテキストデータを含まない場合に、前記第2プリントデータが私的プリントに該当すると判別することを特徴とするプリント管理装置。
【請求項8】
画像形成装置によるプリント処理を管理するプリント管理装置であって、
前記プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合において、前記第1プリントデータが公的プリントに該当することを示す第1公的イメージを作成する公的イメージ作成部と、
前記第1公的イメージを前記第1プリントデータに付与して前記画像形成装置に送る公的イメージ付与部と、
前記画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合において、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての問合せに応じて公私判別を行い、前記公私判別による判別結果を前記画像形成装置に返す公私判別部と、
前記第1の場合において、前記画像形成装置が前記第1プリントデータを保持している期間にわたって前記第1プリントデータに対応する前記第1公的イメージを保管し、前記画像形成装置から前記第1プリントデータが削除されると前記第1公的イメージを削除する公的イメージ管理部と、を備えることを特徴とするプリント管理装置。
【請求項9】
プリント処理を実行する画像形成装置と、前記プリント処理を管理するプリント管理装置と、を備えるプリントシステムにおける制御方法であって、
前記プリント管理装置において、前記プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合に、前記第1プリントデータが公的プリントに該当することを示す第1公的イメージを作成することと、前記第1公的イメージを前記第1プリントデータに付与して前記画像形成装置に送ることと、
前記画像形成装置において、前記プリント管理装置から送られた前記第1プリントデータを、前記第1プリントデータに付与された前記第1公的イメージと共にプリントすることと、
さらに、前記画像形成装置において、前記画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合に、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての公私判別を前記プリント管理装置に問い合わせることと、
前記プリント管理装置において、前記画像形成装置からの問合せに応じて前記公私判別を行い、前記公私判別による判別結果を前記画像形成装置に返すことと
さらに、前記プリント管理装置において、前記第2プリントデータの入力元が着脱可能な周辺機器である場合に、前記第2プリントデータが私的プリントに該当すると判別することとを備える、ことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
プリント処理を実行する画像形成装置と、前記プリント処理を管理するプリント管理装置と、を備えるプリントシステムにおける制御方法であって、
前記プリント管理装置において、前記プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合に、前記第1プリントデータが公的プリントに該当することを示す第1公的イメージを作成することと、前記第1公的イメージを前記第1プリントデータに付与して前記画像形成装置に送ることと、
前記画像形成装置において、前記プリント管理装置から送られた前記第1プリントデータを、前記第1プリントデータに付与された前記第1公的イメージと共にプリントすることと、
さらに、前記画像形成装置において、前記画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合に、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての公私判別を前記プリント管理装置に問い合わせることと、
前記プリント管理装置において、前記画像形成装置からの問合せに応じて前記公私判別を行い、前記公私判別による判別結果を前記画像形成装置に返すことと、
さらに、前記プリント管理装置において、前記第2プリントデータがテキストデータを含まない場合に、前記第2プリントデータが私的プリントに該当すると判別することとを備える、ことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
プリント処理を実行する画像形成装置と、前記プリント処理を管理するプリント管理装置と、を備えるプリントシステムにおける制御方法であって、
前記プリント管理装置において、前記プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合に、前記第1プリントデータが公的プリントに該当することを示す第1公的イメージを作成することと、前記第1公的イメージを前記第1プリントデータに付与して前記画像形成装置に送ることと、
前記画像形成装置において、前記プリント管理装置から送られた前記第1プリントデータを、前記第1プリントデータに付与された前記第1公的イメージと共にプリントすることと、
さらに、前記画像形成装置において、前記画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合に、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての公私判別を前記プリント管理装置に問い合わせることと、
さらに、前記画像形成装置において、前記第2の場合において、前記第2プリントデータが私的プリントに該当することを示す前記判別結果を前記プリント管理装置から受けると、前記第2プリントデータによるプリントは私的プリントであるから課金する旨をユーザーに提示した後、前記ユーザーからのプリント指示を受けて前記第2プリントデータをプリントするように前記プリント制御部に指示することと、
前記プリント管理装置において、前記画像形成装置からの問合せに応じて前記公私判別を行い、前記公私判別による判別結果を前記画像形成装置に返すこととを備える、ことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
プリント処理を実行する画像形成装置と、前記プリント処理を管理するプリント管理装置と、を備えるプリントシステムにおける制御方法であって、
前記プリント管理装置において、前記プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合に、前記第1プリントデータが公的プリントに該当することを示す第1公的イメージを作成することと、前記第1公的イメージを前記第1プリントデータに付与して前記画像形成装置に送ることと、
さらに、前記プリント管理装置において、前記第1の場合において、前記画像形成装置が前記第1プリントデータを保持している期間にわたって前記第1プリントデータに対応する前記第1公的イメージを保管し、前記画像形成装置から前記第1プリントデータが削除されると前記第1公的イメージを削除することと、
前記画像形成装置において、前記プリント管理装置から送られた前記第1プリントデータを、前記第1プリントデータに付与された前記第1公的イメージと共にプリントすることと、
さらに、前記画像形成装置において、前記画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合に、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての公私判別を前記プリント管理装置に問い合わせることと、
前記プリント管理装置において、前記画像形成装置からの問合せに応じて前記公私判別を行い、前記公私判別による判別結果を前記画像形成装置に返すこととを備える、ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、私的プリントと公的プリントとを判別可能なプリントシステム、画像形成装置、プリント管理装置、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業や学校などの団体組織においては、コピー機等のプリンティング機能を有する画像形成装置が複数のユーザーに共有して用いられる場合が多い。あるユーザーが画像形成装置を私的に利用したときに、その利用が私的なものであるか否かを判別できなければ、団体組織はそのユーザーに対して課金できない。結果として、ユーザーの属する団体組織がその私的プリントに掛かるコストを負担することになるので、組織運営のコストが増大するだけでなく、ユーザー間の公平性の観点からも問題がある。
【0003】
特許文献1の画像形成システムは、プリントジョブにおけるプリント対象の画像から抽出された文字情報に基づいて、そのプリントジョブが私的利用であるか公的利用であるかを判断する私用判断装置を備える。以上の私用判断装置は、抽出された文字情報に、私用キーワードが特定の基準を満たす状態で含まれ、かつ、公用キーワードが含まれない場合に、対応するプリントジョブが画像形成装置の私的利用に該当する(すなわち、私的プリントに該当する)と判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−171067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術によれば、プリント対象から抽出された文字情報内のキーワード(すなわち、文字情報)のみで私的プリントであるか公的プリントであるかを判断しているので、プリント対象が文字を含まない画像(例えば、写真や絵画)である場合にプリントの公私判断ができない可能性がある。また、キーワードの登録に不備がある場合(例えば、私用キーワードとして登録されるべき語が公用キーワードに登録されている場合)にも、キーワードのみではプリントの公私判断を正しく行えない可能性がある。
【0006】
したがって、特許文献1の技術では、実際には私的プリントであるプリントジョブがシステム上私的プリントではないと判断される可能性があり、ひいては、ユーザーに対して正しく課金できない可能性がある。
【0007】
以上の事情を考慮して、本発明は、私的プリントと公的プリントとを適切に判別することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本発明によるプリントシステムは、プリント処理を実行する画像形成装置と、前記プリント処理を管理するプリント管理装置と、を備える。前記プリント管理装置は、前記プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合において、前記第1プリントデータが公的プリントに該当することを示す第1公的イメージを作成する公的イメージ作成部と、前記第1公的イメージを前記第1プリントデータに付与して前記画像形成装置に送る公的イメージ付与部と、を備え、前記画像形成装置は、前記プリント管理装置から送られた前記第1プリントデータを、前記第1プリントデータに付与された前記第1公的イメージと共にプリントするプリント制御部を備え、さらに、前記画像形成装置は、前記画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合において、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての公私判別を前記プリント管理装置に問い合わせる問合せ部を備え、前記プリント管理装置は、前記問合せ部からの問合せに応じて前記公私判別を行い、前記公私判別による判別結果を前記画像形成装置に返す公私判別部を備える。
【0009】
好適には、前記プリント管理装置の前記公私判別部は、前記第2プリントデータが公的プリントに該当することを示す第2公的イメージが前記第2プリントデータ内に存在しない場合に、前記第2プリントデータが私的プリントに該当すると判別する。
【0010】
好適には、前記プリント管理装置の前記公私判別部は、前記第2プリントデータの入力元が着脱可能な周辺機器である場合に、前記第2プリントデータが私的プリントに該当すると判別する。
【0011】
好適には、前記プリント管理装置の前記公私判別部は、前記第2プリントデータがテキストデータを含まない場合に、前記第2プリントデータが私的プリントに該当すると判別する。
【0012】
好適には、前記プリント管理装置の前記公私判別部は、前記第2プリントデータが、前記プリントシステム外で実行される外部アプリケーションにて用いられるページ記述言語によって作成されている場合に、前記第2プリントデータが私的プリントに該当すると判別する。
【0013】
好適には、前記画像形成装置は、前記第2の場合において、前記第2プリントデータが私的プリントに該当することを示す前記判別結果を前記プリント管理装置から受けると、前記第2プリントデータによるプリントは私的プリントであるから課金する旨をユーザーに提示した後、前記ユーザーからのプリント指示を受けて前記第2プリントデータをプリントするように前記プリント制御部に指示する応答処理部を備える。
【0014】
好適には、前記プリント管理装置は、私的プリントに該当すると判別した前記第2プリントデータが前記画像形成装置においてプリントされた場合に、前記ユーザーに対して課金する課金部を備える。
【0015】
好適には、前記画像形成装置の前記プリント制御部は、前記第2の場合において、前記第2プリントデータが公的プリントに該当することを示す前記判別結果を前記プリント管理装置から受けると、前記第2プリントデータに付与された第2公的イメージと共に前記第2プリントデータをプリントする。
【0016】
好適には、前記プリント管理装置は、前記第1の場合において、前記画像形成装置が前記第1プリントデータを保持している期間にわたって前記第1プリントデータに対応する前記第1公的イメージを保管し、前記画像形成装置から前記第1プリントデータが削除されると前記第1公的イメージを削除する公的イメージ管理部を備える。
【0017】
また、本発明による画像形成装置は、プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合において、前記プリント管理装置から送られた前記第1プリントデータを、前記第1プリントデータに付与された第1公的イメージと共にプリントするプリント制御部と、画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合において、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての公私判別を前記プリント管理装置に問い合わせる問合せ部と、前記第2プリントデータが私的プリントに該当することを示す判別結果を前記プリント管理装置から受けると、前記第2プリントデータによるプリントは私的プリントであるから課金する旨をユーザーに提示した後、前記ユーザーからのプリント指示を受けて前記第2プリントデータをプリントするように前記プリント制御部に指示する応答処理部と、を備える。
【0018】
また、本発明によるプリント管理装置は、画像形成装置によるプリント処理を管理するプリント管理装置であって、前記プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合において、前記第1プリントデータが公的プリントに該当することを示す第1公的イメージを作成する公的イメージ作成部と、前記第1公的イメージを前記第1プリントデータに付与して前記画像形成装置に送る公的イメージ付与部と、前記画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合において、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての問合せに応じて公私判別を行い、前記公私判別による判別結果を前記画像形成装置に返す公私判別部と、を備える。
【0019】
また、本発明による制御方法は、プリント処理を実行する画像形成装置と、前記プリント処理を管理するプリント管理装置と、を備えるプリントシステムにおける制御方法であって、前記プリント管理装置において、前記プリント管理装置に対して第1プリントデータが入力された第1の場合に、前記第1プリントデータが公的プリントに該当することを示す第1公的イメージを作成することと、前記第1公的イメージを前記第1プリントデータに付与して前記画像形成装置に送ることと、前記画像形成装置において、前記プリント管理装置から送られた前記第1プリントデータを、前記第1プリントデータに付与された前記第1公的イメージと共にプリントすることと、さらに、前記画像形成装置において、前記画像形成装置に対して第2プリントデータが入力された第2の場合に、前記第2プリントデータが私的プリントと公的プリントとのいずれに該当するかについての公私判別を前記プリント管理装置に問い合わせることと、前記プリント管理装置において、前記画像形成装置からの問合せに応じて前記公私判別を行い、前記公私判別による判別結果を前記画像形成装置に返すこととを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、私的プリントと公的プリントとを適切に判別することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る印刷システムを示す全体構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る印刷管理装置の電気的構成のブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る印刷管理装置の論理的構成のブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す概略図(正面図)である。
図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置の電気的構成のブロック図である。
図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置の論理的構成のブロック図である。
図7】本発明の実施形態に係る通常印刷ケースのシーケンス図である。
図8】本発明の実施形態に係るイレギュラー印刷ケースのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な具体例であって、種々の好ましい技術を開示しているが、本発明の技術範囲はこれらの態様に限定されるものではない。また、本発明の実施形態における「印刷」という語は、電子写真方式等を含む広汎な画像形成(プリント、プリンティング)を意味するものであり、例えば、板面にインクを塗布し媒体に転写すること等の限定的な態様のみを意味することを意図しない。
【0023】
1.印刷システムの全体構成
図1を参照して、本実施形態による印刷システム1の全体構成を説明する。印刷システム1は、印刷管理装置10とネットワーク30と画像形成装置50とを備える。
【0024】
印刷管理装置10は、画像形成装置50による印刷処理を管理する装置であって、例えば、UNIX(登録商標)サーバーやPCサーバーである。なお、クラスターサーバーのような複数のコンピューター装置が連携し1つの印刷管理装置10を構成してもよいし、クラウド上またはエッジ上の仮想マシンが印刷管理装置10を構成してもよい。
【0025】
ネットワーク30は、印刷システム1内の印刷管理装置10、画像形成装置50等のノード同士を接続する通信ネットワークであり、複数のリピーター、ブリッジ、ルーター等の通信機器を備える。ネットワーク30は、例えば、印刷管理装置10および画像形成装置50が属するローカルエリアネットワークである。ネットワーク30に接続される装置は、所定のプロトコル(TCP/IP等)に従って通信を実行すると好適である。
【0026】
画像形成装置50は、印刷データに基づいて印刷処理を実行する装置であり、例えば、プリント機能、コピー機能、およびファックス機能等を複合的に備える複合機である。印刷データは、ネットワーク30を介して、または画像形成装置50に直接的に入力され得る。画像形成装置50は、印刷データを用いて印刷処理を実行することにより、印刷用紙等の媒体S上に印刷データに対応する画像を形成する。
【0027】
2.印刷管理装置の構成
次いで、図2および図3を参照して印刷管理装置10の構成について説明する。
【0028】
図2は、印刷管理装置10の電気的構成を示すブロック図である。図2に示すとおり、印刷管理装置10は、通信インターフェイス11とCPU(Central Processing Unit)12とRAM(Random Access Memory)13とROM(Read Only Memory)14とストレージ装置15とを備える。以上の構成要素はバス16によって相互に接続される。
【0029】
通信インターフェイス11は、ネットワーク30を介して画像形成装置50等の装置と通信を実行するインターフェイスであり、例えばイーサネット(登録商標)規格に対応したNIC(Network Interface Card)である。CPU12は、主記憶装置であるRAM13及びROM14に記憶されているプログラムを実行することにより、種々の演算および制御を行う演算装置である。ストレージ装置15は、RAM13上に展開可能なプログラムおよびデータを記憶する補助記憶装置であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)である。
【0030】
図3は、印刷管理装置10の論理的構成を示すブロック図である。図3に示すとおり、印刷管理装置10は、制御部20を機能ブロックとして備える。制御部20は、さらに、公的イメージ作成部21と公的イメージ付与部22と公的イメージ管理部23と公私判別部24と課金部25とを、機能ブロックとして備える。印刷管理装置10の主記憶装置(RAM13およびROM14)に記憶されているコンピュータープログラムをCPU12が実行することにより、以上の機能ブロックが実現される。
【0031】
制御部20は、印刷管理および入出力に関する汎用的な機能を実現する機能ブロックであり、例えば、印刷システム1のユーザー管理(認証および権限付与等)や、通信インターフェイス11を介した画像形成装置50等の外部装置との通信制御を実行する。
【0032】
公的イメージ作成部21は、印刷データが公的印刷に該当することを示す公的イメージを作成する。本実施形態において、「公的印刷」とは、印刷システム1を所有する団体組織の目的に適う印刷行為のことであり、例えば、営利企業組織においては、その企業が遂行するビジネスに用いる資料(営業資料や会計資料等)の印刷である。
【0033】
なお、公的印刷の対義語は私的印刷である。本実施形態において、「私的印刷」とは、印刷システム1を所有する組織の目的外の印刷行為のことであり、例えば、営利企業組織においては、その企業の従業員が個人的に用いる資料(個人旅行の写真や趣味のウェブページ等)の印刷である。
【0034】
また、本実施形態において、「公的イメージ」とは、印刷システム1を所有する団体組織またはその組織の提供物等を示す標章であり、例えば、営利企業組織においては、その企業のロゴの透かし(ウォーターマーク)である。なお、公的イメージは、公的イメージに対応する画像データそのものであってもよいし、公的イメージの描画に用いられる指示データ(例えば、ページ記述言語のコマンドリスト)であってもよい。
【0035】
公的イメージ付与部22は、公的イメージ作成部21が作成した公的イメージを印刷データに付与して画像形成装置50に送る。公的イメージ管理部23は、公的イメージ作成部21が作成した公的イメージのストレージ装置15への記憶および削除を管理する。公私判別部24は、ある印刷データについて、その印刷データが私的印刷と公的印刷とのいずれに該当するかについての判別(公私判別)を行い、判別結果を出力する。課金部25は、私的印刷に該当すると判別した印刷データが画像形成装置50において印刷された場合に、その印刷データの印刷を要求したユーザーに対して課金する。
【0036】
3.画像形成装置の構成
次いで、図4ないし図6を参照して画像形成装置50の構成について説明する。
【0037】
図4は、画像形成装置50を示す概略図(正面図)である。図4の紙面手前側が、画像形成装置50の前側に相当する。また、図4に示す「L」は「左」を示し、「R」は「右」を示し、「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示す。
【0038】
画像形成装置50は、略箱型形状の装置本体52を備える。装置本体52の下部には、普通紙等の媒体Sを収容する給紙カセット53が着脱可能に設けられ、装置本体52の上部には、排紙トレイ54が設けられる。
【0039】
装置本体52は、給紙装置55と作像装置56と定着装置57とを備える。給紙装置55は、給紙カセット53から排紙トレイ54まで伸びた搬送路58の上流端部に設けられる。作像装置56は搬送路58の中間部に設けられ、定着装置57は搬送路58の下流側に設けられる。
【0040】
作像装置56は、トナーコンテナ60とドラムユニット61と光走査装置62とを含む。トナーコンテナ60は、例えば、黒色のトナー(現像剤)を収容する。ドラムユニット61は、感光体ドラム63と帯電装置64と現像装置65と転写ローラー66とを含む。トナーは、トナーとキャリアとを混合した2成分現像剤であってもよく、磁性トナーからなる1成分現像剤であってもよい。
【0041】
また、装置本体52は、上記した各装置の制御に用いられる制御装置70を備える。制御装置70の詳細については後述される。
【0042】
図5は、画像形成装置50(制御装置70)の電気的構成を示すブロック図である。図5に示すとおり、画像形成装置50の制御装置70は、タッチパネル71と通信インターフェイス72と周辺機器インターフェイス73とCPU74とRAM75とROM76とストレージ装置77とを備える。以上の構成要素はバス78によって相互に接続される。
【0043】
タッチパネル71は、ユーザーからの入力を受け付けて電気信号に変換する入力装置として機能すると共に、処理結果を映像として出力する出力装置として機能する。通信インターフェイス72は、ネットワーク30を介して印刷管理装置10等の装置と通信を実行するインターフェイスであり、例えばイーサネット(登録商標)規格に対応したNICである。
【0044】
周辺機器インターフェイス73は、USB(Universal Serial Bus)メモリー等の記録媒体やPC、デジタルカメラ等の外部装置との入出力に用いられるインターフェイスであり、例えばUSBインターフェイスである。USBメモリー等の記録媒体に記録された印刷データが、周辺機器インターフェイス73を介して画像形成装置50に直接的に入力され得る。また、PC、デジタルカメラ等の外部装置に記録された印刷データが、適切な接続ケーブル(例えば、USBケーブル)および周辺機器インターフェイス73を介して画像形成装置50に直接的に入力され得る。上記したUSBメモリー等の記録媒体およびPC、デジタルカメラ等の外部装置は、周辺機器インターフェイス73を介して画像形成装置50に着脱可能な周辺機器である。
【0045】
CPU74は、主記憶装置であるRAM75およびROM76に記憶されているプログラムを実行することにより、種々の演算および制御を行う演算装置である。ストレージ装置77は、RAM75上に展開可能なプログラム及びデータを記憶する補助記憶装置であり、例えばHDDまたはSSDである。
【0046】
図6は、画像形成装置50の論理的構成を示すブロック図である。図6に示すとおり、画像形成装置50は、制御部80を機能ブロックとして備える。制御部80は、さらに、印刷制御部81と問合せ部82と応答処理部83とを、機能ブロックとして備える。画像形成装置50の主記憶装置(RAM75およびROM76)に記憶されているコンピュータープログラムをCPU74が実行することにより、以上の機能ブロックが実現される。
【0047】
制御部80は、装置制御および入出力に関する汎用的な機能を実現する機能ブロックであり、例えば、タッチパネル71を介した入出力の制御、通信インターフェイス72を介した外部装置との通信制御、周辺機器インターフェイス73を介した着脱可能な周辺機器との入出力の制御等を実行する。
【0048】
印刷制御部81は、画像形成装置50の各装置を制御して印刷処理を実行する機能ブロックであり、例えば、印刷管理装置10から送られた印刷データを印刷したり、画像形成装置50に直接的に入力された印刷データを印刷したりする。印刷制御部81は、印刷データに公的イメージが付与されている場合に、公的イメージと共に印刷データを印刷すると好適である。また、印刷制御部81は、後で印刷処理を実行するために、ユーザーの個人ボックス(ストレージ装置77)に印刷データを記憶しておくことが可能である。
【0049】
問合せ部82は、印刷管理装置10に問合せを行う機能ブロックであり、例えば、画像形成装置50に入力された印刷データの公私判断を印刷管理装置10に問い合わせる。応答処理部83は、タッチパネル71を介してユーザーに情報を提示すると共に、ユーザーからの指示を受けて各装置を制御する機能ブロックである。
【0050】
4.印刷システムの処理
図7および図8を参照して、本実施形態の印刷システム1による印刷制御処理を説明する。図7は、印刷管理装置10に印刷データが入力される通常印刷ケース(第1の場合)のシーケンス図であり、図8は、画像形成装置50に印刷データが入力されるイレギュラー印刷ケース(第2の場合)のシーケンス図である。
【0051】
4−1.通常印刷ケース(第1の場合)
ユーザーがネットワーク30に接続された業務用PCを用いて印刷処理を実行すると、印刷データ(第1印刷データ)がそのPCから印刷管理装置10に送信される(ステップS1)。印刷システム1において使用される業務用PCは、印刷処理を実行すると印刷データが印刷管理装置10に送信されるようにデフォルトで設定されていると好適である。
【0052】
印刷管理装置10が印刷データをPCから受信すると、公的イメージ作成部21は、その印刷データが公的印刷に該当することを示す公的イメージ(第1公的イメージ)を作成する(ステップS1.1)。公的イメージ作成部21が作成する公的イメージの種類やサイズは、ユーザーの指示に基づいて決定されてもよく、印刷データの内容(印刷データの文字情報に含まれる商品・サービスの名称等)に基づいて自動的に決定されてもよい。
【0053】
公的イメージ付与部22は、作成された公的イメージを印刷データに付与する(ステップS1.2)。より具体的には、印刷データ内に公的イメージが埋め込まれても(エンベッドされても)よいし、画像形成装置50側で公的イメージを作成できるような指示データが印刷データにリンクされる形で付与されてもよい。なお、後者において、ユーザーが印刷を所望する印刷データのページ記述言語(例えば、PostScript(登録商標))と同じ言語で指示データが作成されると好適である。
【0054】
次いで、公的イメージ付与部22は、公的イメージが付与された印刷データを画像形成装置50に送る(ステップS1.3)。画像形成装置50が印刷データを受信すると、印刷制御部81は、印刷データに付与された公的イメージと共に、その印刷データを印刷する(ステップS1.3.1)。画像形成装置50側で公的イメージを作成できるような指示データが印刷データに付与されている場合、印刷制御部81は、その指示データに基づいて公的イメージを作成して、印刷データと共に印刷する。画像形成装置50における印刷データの印刷処理が完了すると、通常印刷ケースが終了する。
【0055】
なお、ステップS1において、ユーザーが即時に印刷することを希望せず、画像形成装置50の個人ボックス(ストレージ装置77)に印刷データを記憶するように指示する場合も想定される。
【0056】
その場合、印刷制御部81は、個人ボックスへの印刷データの記憶が完了したことを印刷管理装置10に通知する(処理が図7の「alt」に進む)。以上の通知を受けると、公的イメージ管理部23は、画像形成装置50に記憶された印刷データに対応する公的イメージをストレージ装置15に記憶する(ステップS1.4)。公的イメージ管理部23は、画像形成装置50が印刷データを保持している期間にわたって、その印刷データに対応する公的イメージを保管する。
【0057】
画像形成装置50が印刷データを保持している間、ユーザーは、画像形成装置50のタッチパネル71を操作して、その印刷データを印刷することが可能である。画像形成装置50の印刷制御部81は、印刷が完了した印刷データを削除することが可能である。印刷制御部81は、印刷データを削除すると、削除したことを印刷管理装置10に通知する。印刷管理装置10の公的イメージ管理部23は、画像形成装置50から印刷データが削除された旨の通知を受けると、その印刷データに対応する公的イメージをストレージ装置15から削除することが可能である。
【0058】
4−2.イレギュラー印刷ケース(第2の場合)
ユーザーがネットワーク30に接続されたPCを用いて、画像形成装置50を宛先として選択して印刷処理を実行すると、印刷データ(第2印刷データ)がそのPCから画像形成装置50に送信される(ステップS2)。また、ユーザーは、ステップS2において、ネットワーク30経由ではなく、USBメモリーやPC、デジタルカメラ等の着脱可能な周辺機器に記録されている印刷データ(第2印刷データ)を、周辺機器インターフェイス73を介して直接的に画像形成装置50に入力することも可能である。
【0059】
画像形成装置50に印刷データが入力されると、問合せ部82は、その印刷データが私的印刷と公的印刷とのいずれに該当するかについての公私判別を、印刷管理装置10に問い合わせる(ステップS2.1)。
【0060】
ステップS2.1において、問合せ部82は、印刷管理装置10が公私判別をする際に使用する情報である判別情報を、上記した問合せと併せて印刷管理装置10に送信すると好適である。判別情報とは、例えば、印刷データの入力元(データソース)の情報、印刷データの作成に用いられたページ記述言語の情報、印刷データから抽出された文字情報、等である。なお、問合せ部82は、ステップS2.1において、印刷データ自体を印刷管理装置10に送信してもよい。
【0061】
印刷管理装置10が問合せ部82からの問合せを受信すると、公私判別部24は、その問合せに対応する印刷データについて公私判別を行う(ステップS2.1.1)。公私判別は様々な基準に基づいて実行され得る。以下に、公私判別の例を非限定的に列挙する。
【0062】
(1)公私判別部24は、印刷データが公的印刷に該当することを示す公的イメージが印刷データ内に存在しない場合に、その印刷データが私的印刷に該当すると判別することができる。逆に、印刷データに公的イメージが含まれている場合は、その印刷データは公的印刷に該当すると判定され得る。
【0063】
(2)公私判別部24は、判別情報によって示される印刷データの入力元が、USBメモリー等の記録媒体またはPC、デジタルカメラ等の外部装置(すなわち、着脱可能な周辺機器)である場合に、その印刷データが私的印刷に該当すると判別することができる。なお、ユーザーが外部記録媒体からPCに印刷データを入力して印刷処理を実行した場合も、ユーザーが画像形成装置50に外部記録媒体を挿して印刷データを入力した場合も、入力元はいずれも「周辺機器」である。
【0064】
(3)公私判別部24は、印刷データがテキストデータを含まない場合(すなわち、印刷データが写真や絵のみの場合)に、その印刷データが私的印刷に該当すると判別することができる。例えば、印刷データがJPEG等の画像ファイルである場合や、印刷データにOCR処理を施した際に文字情報が抽出されなかった場合に、その印刷データがテキストデータを含まないと判定し得る。
【0065】
(4)公私判別部24は、印刷データが、印刷システム1外で実行される外部アプリケーション(例えば、スマートフォンにおいて用いられることが多いAirPrint(登録商標)やGoogle(登録商標) Cloud Print)にて用いられるページ記述言語によって作成されている場合に、その印刷データが私的印刷に該当すると判別することができる。
【0066】
次いで、公私判別部24は、ステップS2.1.1の公私判別による判別結果を、画像形成装置50に返す(ステップS2.1.2)。処理は図8の「alt」に進む。なお、公私判別部24は、印刷データが公的印刷に該当すると判別した場合、その印刷データに対応する公的イメージ(第2公的イメージ)を公的イメージ作成部21に作成させ、判別結果にその公的イメージを添付して画像形成装置50に送信してもよい。
【0067】
印刷データが公的印刷に該当することを示す判別結果を印刷管理装置10から受けると、印刷制御部81は、判別結果に対応する印刷データを印刷する(ステップS2.2)。なお、印刷データまたは判別結果に公的イメージが付与されている場合、印刷制御部81は、公的イメージと共に印刷データを印刷すると好適である。以上の公的印刷が完了すると、イレギュラー印刷ケースが終了する。
【0068】
他方、印刷データが私的印刷に該当することを示す判別結果を印刷管理装置10から受けると、応答処理部83は、その印刷データによる印刷は私的印刷であるから課金する旨を表示する(すなわち、ユーザーに提示する)ように、タッチパネル71を制御する(ステップS2.3)。
【0069】
ユーザーがタッチパネル71を操作して印刷を指示すると、応答処理部83は、印刷データを印刷するように印刷制御部81に指示する。印刷制御部81は、応答処理部83からの指示を受けてその印刷データを印刷する(ステップS2.4)。ステップS2.4の印刷が完了すると、印刷制御部81は印刷管理装置10に私的印刷が完了した旨を通知する。印刷管理装置10の課金部25は、私的印刷を指示したユーザーに対して課金する。その後、イレギュラー印刷ケースが終了する。
【0070】
5.本実施形態の効果
上記した本実施形態の構成においては、通常印刷ケース(第1の場合)とイレギュラー印刷ケース(第2の場合)とで相異なる制御が実行される。印刷管理装置10に印刷データが入力される通常印刷ケースでは、自動的に公的イメージが作成され印刷データに付与されて印刷される。他方、画像形成装置50に印刷データが入力されるイレギュラー印刷ケースでは、印刷管理装置10にて公私判別がなされる。以上の構成によれば、印刷管理装置10をバイパスして私的印刷を実行しようとしても、画像形成装置50から印刷管理装置10に問合せがなされ公私判別されるので、私的印刷の見過ごしが回避される。
【0071】
また、本実施形態の一例では、イレギュラー印刷ケース(第2の場合)において、公私判別部24が、公的イメージが印刷データ内に存在しない場合に、その印刷データが私的印刷に該当すると判別する。以上の構成によれば、公的イメージが無く私的なものである可能性が高い印刷データが公的印刷であると判別されることが回避される。
【0072】
また、本実施形態の一例では、イレギュラー印刷ケース(第2の場合)において、公私判別部24が、印刷データの入力元が着脱可能な周辺機器である場合に、その印刷データが私的印刷に該当すると判別する。以上の構成によれば、ユーザーが着脱可能な周辺機器を用いて個人的に持参した可能性が高い印刷データが公的印刷であると判別されることが回避される。
【0073】
また、本実施形態の一例では、イレギュラー印刷ケース(第2の場合)において、公私判別部24が、印刷データがテキストデータを含まない場合に、その印刷データが私的印刷に該当すると判別する。以上の構成によれば、写真や絵のみの私的である可能性が高い印刷データが公的印刷であると判別されることが回避される。
【0074】
また、本実施形態の一例では、イレギュラー印刷ケース(第2の場合)において、公私判別部24が、印刷システム1外で実行される外部アプリケーションにて用いられるページ記述言語によって印刷データが作成されている場合に、その印刷データが私的印刷に該当すると判別する。以上の構成によれば、外部アプリケーションによって生成されており私的である可能性が高い印刷データが公的印刷であると判別されることが回避される。
【0075】
また、本実施形態の一例では、イレギュラー印刷ケース(第2の場合)において、ユーザーが要求した印刷は私的印刷であるから課金する旨がユーザーに提示された後、ユーザーからの印刷指示を受けて印刷処理が実行される。以上の構成によれば、ユーザーに私的印刷の注意喚起がなされるので、画像形成装置50が私的印刷に用いられる頻度を抑制できる他、ユーザーにとっても知らずに課金されてしまう状況が回避される。
【0076】
また、本実施形態の一例では、イレギュラー印刷ケース(第2の場合)において、私的印刷がなされた場合にユーザーに対して課金がなされる。以上の構成によれば、私的印刷を行ったユーザーに対して適切に課金がなされる。
【0077】
また、本実施形態の一例では、イレギュラー印刷ケース(第2の場合)において、印刷管理装置10によって公的印刷であると判別された場合に、公的イメージと共に印刷データが印刷される。以上の構成によれば、画像形成装置50に印刷データが入力された場合であっても、公的イメージを印刷データに付す公的印刷が適切に実現される。
【0078】
また、本実施形態の一例では、通常印刷ケース(第1の場合)において、画像形成装置50が印刷データを保持している期間にわたってその印刷データに対応する公的イメージを保管し、画像形成装置50からその印刷データが削除されると印刷管理装置10がその印刷データに対応する公的イメージを削除する。以上の構成によれば、印刷データが存続している間は対応する公的イメージが保持されるので、印刷データの入力後すぐに印刷処理を実行しない場合においても、公的イメージを印刷データに付す公的印刷が適切に実現される。
【0079】
また、本実施形態の構成によれば、印刷システム1の構成要素としての印刷管理装置10および画像形成装置50の各々が実現される。また、印刷システム1において効果的な公私判別を行うことが可能な制御方法が実現される。
【0080】
6.変形例
上記した実施形態における印刷管理装置10を実現するのに用いられるコンピュータープログラムおよび画像形成装置50を実現するのに用いられるコンピュータープログラムは、非一過性の記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、ネットワーク30を介してダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 印刷管理装置
21 公的イメージ作成部
22 公的イメージ付与部
23 公的イメージ管理部
24 公私判別部
25 課金部
50 画像形成装置
81 印刷制御部
82 問合せ部
83 応答処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8