(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記積層ユニットは、一の段の前記支持部に支持された前記対象物を受け取った後、他の段の前記支持部から前記対象物を受け取り可能な位置へ移動する、請求項1記載の積層装置。
前記送出部が一の段の前記支持部に支持された前記対象物を送出した後、他の段の前記支持部は、前記積層ユニットへ前記対象物を送出可能な位置へ移動する、請求項2に記載の積層装置。
前記送出部が第1の方向へ前記対象物を送出する前に、前記第1の方向と水平方向において直交する第2の方向へ、前記支持部で支持された状態の前記対象物の位置決めを行う位置決めユニットを更に備える、請求項1〜3の何れか一項に記載の積層装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る電極積層装置を適用して製造される蓄電装置の内部を示す断面図である。
図2は、
図1のII−II線に沿った断面図である。
図1及び
図2において、蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
【0016】
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、電極組立体3とケース2の内側の側面及び底面との間には絶縁フィルムが配置されており、絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。
図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2の内側の底面に接触している。また、電極組立体3の積層方向において、電極組立体3のガタツキを低減するために、電極組立体3とケース2との間の隙間に、数枚のスペーサが配置されている。スペーサの枚数は、電極組立体3の厚みに応じて適宜調整される。
【0017】
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
【0018】
正極8は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体である金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。タブ14bは、箔本体部14aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。そして、タブ14bは、セパレータ10を突き抜けている。複数の正極8より延びる複数のタブ14bは、集箔された状態で導電部材12に接続(溶接)され、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、
図2では、便宜上タブ14bを省略している。
【0019】
正極活物質層15は、箔本体部14aの表裏両面に形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
【0020】
負極9は、例えば銅箔からなる負極集電体である金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、
図2では、便宜上タブ16bを省略している。
【0021】
負極活物質層17は、箔本体部16aの表裏両面に形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
【0022】
セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
【0023】
以上のように構成された蓄電装置1を製造する場合は、まずセパレータ付き正極11及び負極9を製作した後、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、積層体を形成する。この積層体を加圧することでセパレータ付き正極11及び負極9を密着させた後、セパレータ付き正極11及び負極9を固定することで電極組立体3を得る。そして、セパレータ付き正極11のタブ14bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9のタブ16bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。
【0024】
次に、
図3〜
図7を参照して、本発明の実施形態に係る電極積層装置100について説明する。
図3は、電極積層装置100を示す側面図である。
図4は、電極積層装置100の平面図である。
図5は、電極積層装置100の積層ユニット22周辺の構成を示す拡大図である。
図6は、積層ユニット22へ電極を積層する様子を示す拡大図である。
図7は、正極搬送ユニット20Aの駆動機構を説明するための図である。
【0025】
図3〜
図5に示すように、電極積層装置100は、正極搬送ユニット20Aと、負極搬送ユニット20Bと、正極供給用コンベア21A(搬送装置)と、負極供給用コンベア21B(搬送装置)と、積層ユニット22と、を備えている。なお、電極積層装置100に対してXYZ座標系を設定する。X軸方向は、水平方向における一の方向を示す。Y軸方向は、水平方向においてX軸方向と直交する方向を示す。Z軸方向は、上下方向を示す。また、X軸方向における一方(
図3においては紙面右側)を「正」とし、他方を「負」とする。Y軸方向における一方(
図3においては紙面表側)を「正」とし、他方を「負」とする。Z軸方向における上側を「正」とし、下側を「負」とする。以降の説明においては、適宜XYZ座標系を用いて説明を行う場合がある。
【0026】
正極搬送ユニット20Aは、セパレータ付き正極11を貯めながら順次搬送するユニットである。正極搬送ユニット20Aは、循環部材23Aと、複数の支持部24Aと、駆動部26Aと、押出ユニット27Aと、位置決めユニット29Aと、を有している。
【0027】
循環部材23Aは、上下方向に延びるループ状の部材であり、上昇した後に下降する循環経路を形成するように循環する外周面を有する。循環部材23Aの外周側には、一定間隔で複数の支持部24Aが循環部材23Aの全周にわたって設けられている。循環部材23Aは、上下に配置されたローラ28A,28A間に架け渡されている。ローラ28A,28Aは、Y軸方向に延びる回転軸を有し、Y軸方向の正側から負側を見て時計回りに回転する。すなわち、循環部材23Aの循環方向は、Y軸方向の正側から負側を見て時計回りとなる。従って、循環部材23Aのうち、ローラ28A,28AのX軸方向の負側において上下方向に延びる部分は、支持部24Aを上昇させる上昇区間として構成される。循環部材23Aのうち、ローラ28A,28AのX軸方向の正側において上下方向に延びる部分は、支持部24Aを下降させる下降区間として構成される。
【0028】
支持部24Aは、セパレータ付き正極11を支持する部材である。支持部24Aは、循環部材23Aと共に循環経路を循環する。支持部24Aは、循環部材23AのX軸方向の負側の上昇区間にて、正極供給用コンベア21Aからセパレータ付き正極11を受け取る。支持部24Aは、循環部材23AのX軸方向の正側の下降区間にて、積層ユニット22へセパレータ付き正極11を送出する。支持部24Aは、循環部材23Aに設けられたブラケット部31Aと、ブラケット部31Aを挟むように設けられた一対の板部32A,32Aと、によって構成される(特に
図5参照)。支持部24Aが循環部材23Aの上昇区間または下降区間に配置されている状態では、板部32A,32Aは、循環部材23Aの外周面からX軸方向に延び、上下方向に互いに離間して対向している。セパレータ付き正極11は、板部32A,32A間に、タブ14bがY軸方向の負側に突出するように配置された状態で支持部24Aに支持される。板部32A,32Aの幅方向(Y軸方向)における寸法は、セパレータ付き正極11よりも小さい。従って、セパレータ付き正極11が支持部24Aに支持された状態では、セパレータ付き正極11のY軸方向に対向する縁部11a,11bは、板部32A,32AのY軸方向に対向する側縁部32Aa,32Abからはみ出る。板部32A,32A間の隙間のうち、循環部材23A側の端部には、ブラケット部31Aの先端部を覆う緩衝部材33Aが設けられている。
【0029】
駆動部26Aは、循環部材23Aを回転させると共に、循環部材23Aを上下方向に移動させる。駆動部26Aは、循環部材23Aの上昇区間においては支持部24Aを上昇させ、循環部材23Aの下降区間においては支持部24Aを下降させる。駆動部26Aは、本実施形態においては、後述される支持フレームに固定された2台のモータよりなる。
【0030】
ここで、循環部材23Aを駆動する駆動機構60について、
図7を参照して説明する。駆動機構60は、正極搬送ユニット20Aから、Y軸方向の負側へ離間した位置に設けられる。駆動機構60は、正極搬送ユニット20Aの上側のローラ28Aと回転軸を介して接続される駆動ギア61と、正極搬送ユニット20Aの下側のローラ28Aと回転軸を介して接続される駆動ギア62と、上下方向において駆動ギア61と駆動ギア62との間に配置される駆動ギア63,64と、駆動ギア61,62,63,64に架け渡されたタイミングベルト68と、を備える。駆動ギア63は、上下方向に配置された駆動ギア61,62よりもX軸方向の負側に配置されている。駆動ギア63は、駆動部26Aのモータ(不図示)の駆動軸と接続されており、当該モータの回転に伴い、独立して回転する。駆動ギア64は、上下方向に配置された駆動ギア61,62よりもX軸方向の正側に配置されている。駆動ギア64は、駆動部26Aのモータ(不図示)の駆動軸と接続されており、当該モータの回転に伴い、独立して回転する。駆動ギア63,64は、支持フレーム(不図示)に支持されており、上下方向の位置は変動することなく固定されている。駆動ギア61,62は、モータとは接続されておらず、タイミングベルト68を介した駆動ギア63,64の回転に伴い、上下方向へ移動するように、支持フレーム(不図示)に移動可能に支持されている。なお、駆動ギア61と駆動ギア62とは図示されないスライドフレームに回動可能に支持されており、駆動ギア61と駆動ギア62との間の上下方向の間隔は変動することなく固定されている。タイミングベルト68は、上下方向及びX軸方向の四方に配置された駆動ギア61,62,63,64に架け渡され、且つ、複数の(ここでは4つ)のガイドローラ66にガイドされることで、上下方向及びX軸方向に延びる略十文字状をなしている。
【0031】
積層ユニット22にセパレータ付き正極11を積層するために、循環部材23Aの下降区間における支持部24Aを下降させる場合、駆動ギア64が時計回りの回転方向RD1へ回転する。正極供給用コンベア21Aからセパレータ付き正極11を順次受け取るために、循環部材23Aの上昇区間における支持部24Aを上昇させる場合、駆動ギア63が時計回りの回転方向RD2へ回転する。ここで、駆動ギア63,64の位置は固定されており、駆動ギア61,62の上下方向の間隔を一定とした状態で上下方向に移動可能であり、タイミングベルト68の全長は不変である。従って、駆動ギア64の回転方向RD1への回転速度が、駆動ギア63の回転方向RD2への回転速度よりも速い場合(あるいは駆動ギア63が停止している場合)、タイミングベルト68を下側へ送り出す量が多くなることで、駆動ギア61,62は下側(方向BD1)へ移動する。このとき、駆動ギア61,62に連結されたローラ28A,28Aも循環部材23Aを回転させながら下側へ移動する。駆動ギア63の回転方向RD2への回転速度が、駆動ギア64の回転方向RD1への回転速度よりも速い場合(あるいは駆動ギア64が停止している場合)、タイミングベルト68を上側へ送り出す量が多くなることで、駆動ギア61,62は上側(方向BD2へ移動する。このとき、駆動ギア61,62に連結されたローラ28A,28Aも循環部材23Aを回転させながら上側へ移動する。なお、駆動ギア61と駆動ギア62の回転速度が同じときは、駆動ギア61,62は上下方向に動くことなく循環部材23Aを回転させる。
【0032】
図3〜
図5に示すように、押出ユニット27Aは、セパレータ付き正極11を積層する積層エリアにおいて、複数(ここでは5つ)のセパレータ付き正極11を積層ユニット22に向けて同時に押し出すユニットである。押出ユニット27Aは、支持部24Aから積層ユニット22へセパレータ付き正極11を送出する。ここでは、押出ユニット27Aは、循環部材23Aの下降区間に対応する位置に設けられ、X軸方向の正側へ向けてセパレータ付き正極11を送出する。押出ユニット27Aは、各支持部24Aで支持された複数のセパレータ付き正極11を一緒に押す一対の押出部材34A,36Aと、この押出部材34A,36AをX軸方向へ往復動させる駆動部71A(
図3参照)と、を有している。駆動部71Aは、押出部材34A,36Aを上下方向へ移動させる。押出部材34Aは支持部24Aに対してY軸方向の負側に設けられる。押出部材36Aは、支持部24Aに対してY軸方向の正側に設けられる。押出部材34A,36Aは、上下方向に延びる基体部34Aa,36Aaと、基体部34Aa,36Aaに対して上下方向に所定のピッチで設けられる櫛歯型の押出部34Ab,36Abと、を有している。押出部34Ab,36Abは、支持部24AのX軸方向へ延びる側縁部32Aa,32Abに沿って、X軸方向の正側に延びる部分を有する。押出部34Ab,36Abは、セパレータ付き正極11のX軸方向の負側の縁部11cのうち、支持部24Aの側縁部32Aa,32Abからはみ出た部分と当接する。押出部34Ab,36Abは、n段当たりの支持部24Aに対して一つの間隔にて合計m個、基体部34Aa,36Baに設けられる。本実施形態では、n=4、m=5であるが、特に個数は限定されない。
【0033】
位置決めユニット29Aは、支持部24Aに支持されているセパレータ付き正極11の位置決めを行うためのユニットである。位置決めユニット29Aは、セパレータ付き正極11を積層ユニット22に送出する前段階で、支持部24Aに対してセパレータ付き正極11の位置決めを行う。位置決めユニット29Aは、循環部材23Aの下降区間に配置された支持部24Aに対して、Y軸方向の負側に配置された位置決め部材40Aと、Y軸方向の正側に配置された位置決め部材41Aと、を備える。位置決め部材40Aは、セパレータ付き正極11のY軸方向の位置決めを行う位置決め部42Aと、セパレータ付き正極11のX軸方向の位置決めを行う位置決め部43Aと、位置決め時にタブ14bとの干渉を避ける回避部44Aと、位置決め部42A,43A及び回避部44Aを支持する基体部48Aと、を有している。位置決め部材41Aは、セパレータ付き正極11のY軸方向の位置決めを行う位置決め部46Aと、セパレータ付き正極11のX軸方向の位置決めを行う位置決め部47Aと、位置決め部46A,47Aを支持する基体部49Aと、を有している。
【0034】
位置決め部42A,46Aは、Y軸方向の両側からセパレータ付き正極11を挟み込むことにより、当該セパレータ付き正極11のY軸方向の位置決めを行う。位置決め部43A,47Aは、セパレータ付き正極11をX軸方向の負側へ向かって移動させ、支持部24Aの緩衝部材33Aへ押し付けることで、セパレータ付き正極11のX軸方向の位置決めを行う。なお、位置決め部42A,43A,46A,47A、回避部44A及び基体部48A,49Aは、下降区間の複数の支持部24Aに支持された複数のセパレータ付き正極11を一度に位置決めできるように、積層ユニット22に対向する複数の支持部24Aにわたって上下方向に延びている(
図4の仮想線を参照)。
【0035】
負極搬送ユニット20Bは、負極9を貯めながら順次搬送するユニットである。負極搬送ユニット20Bは、正極搬送ユニット20AからX軸方向の正側に離間した位置にて、正極搬送ユニット20Aと隣り合うように設けられている。負極搬送ユニット20Bは、循環部材23Bと、複数の支持部24Bと、駆動部26Bと、押出ユニット27Bと、位置決めユニット29Bと、を有している。負極搬送ユニット20Bの支持部24Bは、ブラケット部31Bと、板部32B,32Bと、緩衝部材33Bと、を有している。負極搬送ユニット20Bの押出ユニット27Bは、支持部24Bで支持された負極9を押し出す押出部材34B,36Bと、押出部材34B,36Bを往復動させる駆動部71B(
図3参照)を有している。また、押出部材34B,36Bは、基体部34Ba,36Baと、押出部34Bb,36Bbと、を有している。位置決めユニット29Bは、位置決め部材40Bと、位置決め部材41Bと、を有している。位置決め部材40Bは、負極9のY軸方向の位置決めを行う位置決め部42Bと、負極9のY軸方向の位置決めを行う位置決め部43Bと、タブ16bを回避する回避部44Bと、基体部48Bと、を有している。位置決め部材41Bは、負極9のY軸方向の位置決めを行う位置決め部46Bと、負極9のX軸方向の位置決めを行う位置決め部47Bと、基体部49Bと、を有している。負極搬送ユニット20Bでは、循環部材23Aの循環方向が、Y軸方向の正側から負側を見て反時計回りとなる。従って、循環部材23Aのうち、X軸方向の負側が下降区間となり、X軸方向の正側が上昇区間となる。また、負極搬送ユニット20Bでは、押出ユニット27Bが、X軸方向の負側へ向けて負極9を送出する。また、位置決めユニット29Bの位置決め部43B,47Bは、負極9をX軸方向の正側へ移動させて、支持部24の緩衝部材33Bに押し付ける。負極搬送ユニット20Bのその他の構成については正極搬送ユニット20Aと同趣旨の構成を有するため、説明を省略する。
【0036】
正極供給用コンベア21Aは、セパレータ付き正極11を正極搬送ユニット20Aに向けて水平方向に搬送し、正極搬送ユニット20Aの支持部24Aにセパレータ付き正極11を供給する。正極供給用コンベア21Aは、正極搬送ユニット20Aに対してセパレータ付き正極11を一定の間隔で供給する。正極供給用コンベア21Aは、正極搬送ユニット20Aに対して、X軸方向の負側に設けられる。正極供給用コンベア21Aは、正極搬送ユニット20Aの循環部材23Aの上昇区間に対応する位置にて、支持部24Aへセパレータ付き正極11を供給する。
【0037】
負極供給用コンベア21Bは、負極9を負極搬送ユニット20Bに向けて水平方向に搬送し、負極搬送ユニット20Bの支持部24Bに負極9を供給する。負極供給用コンベア21Bは、負極搬送ユニット20Bに対して負極9を一定の間隔で供給する。負極供給用コンベア21Bは、負極搬送ユニット20Bに対して、X軸方向の正側に設けられる。負極供給用コンベア21Bは、負極搬送ユニット20Bの循環部材23の上昇区間に対応する位置にて、支持部24Bへ負極9を供給する。
【0038】
積層ユニット22は、正極搬送ユニット20Aと負極搬送ユニット20Bとの間に配置されている。積層ユニット22は、正極搬送ユニット20Aから送出されたセパレータ付き正極11及び負極搬送ユニット20Bから送出された負極9を受け取って、積層するユニットである。積層ユニット22は、積層部51と、壁部52A,52Bと、仕切板53A,53Bと、位置決め部材54A,54Bと、受け部材56A,56Bと、を備える。
【0039】
積層部51は、正極搬送ユニット20Aから送出されたセパレータ付き正極11及び負極搬送ユニット20Bから送出された負極9を積層させる部分である。積層部51は、XY平面と平行に拡がる矩形状の板部材によって構成されている。積層部51のY軸方向における寸法は、電極11,9よりも小さい。積層部51は、押出ユニット27A,27Bの複数の押出部34Ab,36Ab,34Bb,36Bbに対応する位置に複数設けられている。また、押出部34Ab,36Ab,34Bb,36Bbはn段当たりの支持部24A,24Bに対して一つの間隔で、合計m個設けられている。よって、積層部51もn段当たりの支持部24A,24Bに対して一つの間隔で、合計m個設けられている。なお、積層部51は図示されない支持構造によって支持されている。支持構造は、積層部51のY軸方向の正側の縁部のうち、受け部材56A,56B付近の部分を、当該受け部材56A,56Bと干渉しないように、それぞれ支持する。支持構造は、上下方向に延びる一対の基体部と、基体部から積層部51の支持位置に向けてそれぞれ延びる支持部を備える。
【0040】
壁部52Aは、正極搬送ユニット20Aと積層部51との間に設けられる。壁部52Aは、YZ平面と平行をなし、上下方向に延びている。壁部52Bは、負極搬送ユニット20Bと積層部51との間に設けられる。壁部52Bは、YZ平面と平行をなし、上下方向に延びている。壁部52Aには、セパレータ付き正極11を積層部51側へ送出するためのスリット55Aが形成されている(
図5参照)。スリット55Aは、上下方向において、正極搬送ユニット20Aの複数の押出部34Ab,36Abと対応する位置に複数形成されている。壁部52Bには、負極9を積層部51側へ送出するためのスリット55Bが形成されている(
図5参照)。スリット55Bは、上下方向において、負極搬送ユニット20Bの複数の押出部34Bb,36Bbと対応する位置に複数形成されている。なお、スリット55Aは、スリット55Bよりも上下方向において、支持部24A,24Bの一段分だけ高い位置に形成されている。なお、壁部52A,52Bは、図示されない支持構造によってそれぞれ支持されている。各支持構造は、上下方向に延びる基体部と、基体部から壁部52A,52Bに向けてそれぞれ延びる支持部と、を備えている。なお、当該支持構造は、位置決め部材54A,54Bと干渉しないように、当該位置決め部材54A,54B付近に設けられる。
【0041】
仕切板53Aは、スリット55Aから積層部51側へ送出されたセパレータ付き正極11を積層部51の上方で一時的に保持する部材である。仕切板53Bは、スリット55Bから積層部51側へ送出された負極9を積層部51の上方で一時的に保持する部材である。仕切板53A,53Bに電極11,9が載せられたら、仕切板53A,53Bは、積層部51と対向する位置からY軸方向の負側へ引き抜かれるように移動する(
図4に示す状態)。このとき、位置決め部材54A,54Bは、仕切板53A,53B上に載置された電極11,9を引き抜き方向に支持する。これによって、仕切板53A,53Bを引き抜く際に、電極11,9が仕切板53A,53Bと共に移動することを防止できる。仕切板53A,53Bが引き抜かれた後、電極11,9は下方へ向けて落下し、積層部51上に積層される。
【0042】
位置決め部材54A,54Bは、積層部51上に積層される電極11,9の位置決めを行う部材である。位置決め部材54A,54Bは、積層部51に対してY軸方向の負側に配置される。また、位置決め部材54A,54Bは、前述のように、仕切板53A,53Bを引き抜く際に電極11,9の位置決めも行う。位置決め部材54A,54Bは、上下方向に延びる基体部54Aa,54Baと、基体部54Aa,54Baに上下方向に所定のピッチで設けられた押し部54Ab,54Bbと、を備える。位置決め部材54Aの押し部54Abは、電極11,9のY軸方向の負側の縁部11a,9aのうち、壁部52A寄りの部分を押さえる。位置決め部材54Bの押し部54Bbは、電極11,9のY軸方向の負側の縁部11a,9aのうち、壁部52B寄りの部分を押さえる。位置決め部材54A,54Bは、基体部54Aa,54Ba及び押し部54Ab,54Bbを位置決め方向(Y軸方向)へ往復動させる駆動部(不図示)を備えている。押し部54Ab,54Bbが積層部51に積層された電極11,9の縁部11a,9aを押さえる時、受け部材56A,56Bが電極11,9の反対側(Y軸方向の正側)の縁部11b,9bを受ける。なお、仕切板53A,53Bが電極11,9を載置させる状態(
図6の状態)では、仕切板53A,53BのX軸方向の寸法は、押し部54Ab,54Bb間のX軸方向の寸法よりも大きい。ただし、引き抜かれる際、仕切板53A,53BはX軸方向に縮むことで、押し部54Ab,54Bb間の隙間の寸法よりも小さくなる(
図4の状態)。このような伸縮機構は、仕切板53A,53BをそれぞれX軸方向へ互いにスライド可能な二枚板の構成とすることで実現できる。
【0043】
受け部材56A,56Bは、位置決め部材54A,54Bが積層部51上に積層される電極11,9の位置決めを行う時に、押し部54Ab,54Bbに押される電極11,9を受ける部材である。受け部材56A,56Bは、積層部51に対してY軸方向の正側に配置される。受け部材56A,56Bは、複数の積層部51にわたって上下方向に延びる柱状の部材によって構成される。受け部材56Aは、電極11,9のY軸方向の正側の縁部11b,9bのうち、壁部52A寄りの部分を受ける。受け部材56Bは、電極11,9のY軸方向の正側の縁部11b,9bのうち、壁部52B寄りの部分を受ける。受け部材56A,56Bは、図示されない駆動部に接続されており、X軸方向の往復動が可能である。ここで、積層部51のY軸方向の正側には、当該積層部51に積層された電極11,9の積層体を取り出す取出ユニット59が設けられている。取出ユニット59は、積層部51上の積層体をY軸方向の正側に引き出す。従って、取出ユニット59が積層体を引き出すとき、受け部材56A,56Bは、電極11,9に対してX軸方向における外側へ移動することで、積層体との干渉を回避する。
【0044】
積層ユニット22は、当該積層ユニット22の各構成要素を駆動させる駆動部72を有している。駆動部72は、積層部51、壁部52A,52B、仕切板53A,53B、位置決め部材54A,54B、受け部材56A,56B、及び取出ユニット59における上述の動作を行うための複数のアクチュエータを備える。上述の動作は、直線状の進退移動であり、公知のアクチュエータで実現できる為、アクチュエータ詳細については省略する。また、駆動部72は、積層ユニット22全体を上下方向に移動させる。駆動部72は、積層ユニット22全体をフレームなどで支持し、当該フレーム自体を上下動させることで、積層ユニット22を上下動させてよい。または、駆動部72は、積層ユニット22の各構成要素にそれぞれ設けられた駆動部によって構成され、それらの駆動部が互いに同期して各構成要素を上下動させることで、積層ユニット22を上下動させてよい。
【0045】
電極積層装置100は、コントローラ110を備えている。コントローラ110は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等から構成されている。コントローラ110は、上述した駆動部26A,26Bを制御する搬送制御部111と、積層ユニット22の駆動部72を制御する積層制御部112と、押出ユニット27A,27Bの駆動部71A,71Bを制御する押出制御部113と、位置決めユニット29A,29Bの駆動部を制御する位置決め制御部114と、を有している。コントローラ110は、装置内の各センサからの検知信号、及びROMに保存されたプログラムに基づき制御内容を決定し、各制御部を介して、各駆動部を駆動制御する。なお、コントローラ110は、一つの処理装置によって構成されていなくともよく、複数の処理装置によって構成されてよい。例えば、電極積層装置100の構成要素に対して独立した処理装置が設けられており、各処理装置は、各種センサの検出信号に基づいて、他の構成要素との動作タイミングを合わせてよい。
【0046】
次に、電極積層装置100の動作について説明する。各支持部24A,24Bがスリット55A,55Bの位置まで移動すると、正極搬送ユニット20Aの位置決めユニット29Aは支持部24Aに支持されたセパレータ付き正極11のX軸方向及びY軸方向の位置決めを行い、負極搬送ユニット20Bの位置決めユニット29Bは支持部24Bに支持された負極9のX軸方向及びY軸方向の位置決めを行う。次に、正極搬送ユニット20Aの押出ユニット27Aと、負極搬送ユニット20Bの押出ユニット27Bは、同時に電極11,9を押し出す。これにより、各電極11,9は、仕切板53A,53B上へ同時に送出される(
図6参照)。次に、位置決め部材54A,54Bが、電極11,9を支持した状態の仕切板53A,53Bを引き抜く。これによって、電極11,9は同時に積層部51上に積層される。積層部51上に電極11,9が積層されたら、位置決め部材54A,54B、及び受け部材56A,56Bは、積層部51上で電極11,9のY軸方向の位置決めを行う。
【0047】
次に、
図6、
図7及び
図8〜
図10を参照して、押出ユニット27A,27B、積層ユニット22、正極搬送ユニット20A及び負極搬送ユニット20Bの動作について説明する。なお、
図8〜
図10を用いた具体的な例では、負極搬送ユニット20B及び押出ユニット27Bが省略されているが、正極搬送ユニット20A及び押出ユニット27Aと同趣旨の動作を行う。
【0048】
積層ユニット22と対向する全ての支持部24A,24Bに電極11,9が存在する状態(
図5及び
図8に示す状態)から順に説明を行う。上述のように、押出ユニット27A,27Bは、n段当たりの支持部24A,24Bに対して一つの間隔にて、合計m個の押出部34Ab,36Ab,34Bb,36Bbを有する。押出制御部113は、駆動部71A,71Bを制御して押出ユニット27A,27Bによる押出動作を実行することで、支持部24A,24Bに支持された電極11,9のうち、m個の電極11,9を押出部34Ab,36Ab,34Bb,36Bbで押し出す。
図8〜
図10では、積層ユニット22のうち、最も下段側の積層部51
1及びスリット55A
1、及び下から二段目の積層部51
2及びスリット55A
2を示す。また、セパレータ付き正極11を支持する支持部24Aのうち、最も下段側に配置されるものを支持部24A
1とし、それより上段ものを、下から順次支持部24A
2〜24A
8としている。
図8に示す状態では、支持部24A
1がスリット55A
1に対向する位置に配置され、支持部24A
5がスリット55A
5に対向する位置に配置される。従って、押出部36Ab
1が支持部24A
1のセパレータ付き正極11をスリット55A
1を介して積層部51
1へ押し出す。押出部36Ab
2が支持部24A
5のセパレータ付き正極11をスリット55A
2を介して積層部51
2へ押し出す。押出制御部113は、押出部36Ab
1,36Ab
2によるセパレータ付き正極11の押出を終えた後、押出部36Ab
1,36Ab
2を元の位置に復帰させる。
【0049】
次に、コントローラ110は、支持部24A,24Bを移動させることなく、押出ユニット27A,27B及び積層ユニット22を一段上に移動させる第1の移動動作を実行する。ここでは、押出制御部113は、押出部36Ab
1が支持部24A
2に対応する位置へ配置され、押出部36Ab
2が支持部24A
6に対応する位置へ配置されるように、押出ユニット27を移動させる。これにより、押出ユニット27A,27Bは、支持部24A
1及び五段目の支持部24A
5に支持されたセパレータ付き正極11を送出した後、二段目の支持部24A
2及び六段目の支持部24A
6からセパレータ付き正極11を送出可能な位置へ移動することで、当該位置に配置される。また、積層制御部112は、スリット55A
1が支持部24A
2に対応する位置へ配置され、スリット55A
2が支持部24A
6に対応する位置へ配置されるように、積層ユニット22を移動させる。これにより、積層ユニット22は、一段目の支持部24A
1及び五段目の支持部24A
5に支持されたセパレータ付き正極11を受け取った後、二段目の支持部24A
2及び六段目の支持部24A
6からセパレータ付き正極11を受け取り可能な位置へ移動する。その後、押出制御部113は、m個の電極11,9を押出部34Ab,36Ab,34Bb,36Bbで押し出す押出動作を実行する。ここでは、押出部36Ab
1が支持部24A
2のセパレータ付き正極11をスリット55A
1を介して積層部51
1へ押し出す。押出部36Ab
2が支持部24A
6のセパレータ付き正極11をスリット55A
2を介して積層部51
2へ押し出す。
【0050】
コントローラ110は、このような第1の移動動作及び(二回目以降の)押出動作を(n−1)回実行する。これにより、支持部24A
3,24A
7のセパレータ付き正極11が積層部51
1,51
2へ押し出され、支持部24A
4,24A
8のセパレータ付き正極11が積層部51
1,51
2へ押し出される(
図9に示す状態)。(n−1)回目の押出動作(
図6及び
図9に示す押出動作)が完了すると、積層ユニット22と対向する全ての支持部24A,24Bの電極11,9の送出が完了する。すなわち、(n×m)段分(ここでは20段分)の支持部24A,24Bの電極11,9の送出が完了する。なお、位置決めユニット29Aは、一回目の押出動作を行う直前で、一度位置決めを行う。以降は支持部24Aが停止したままなので、セパレータ付き正極11に位置ずれが生じにくくなる。よって、位置決めユニット29Aは、後述の第2の移動動作が行われるまで、位置決めを行わなくともよい。
【0051】
その後、搬送制御部111は、循環部材23A,23Bを支持部24A,24Bの(m×n)段分、循環方向へ移動させる第2の移動動作を実行する。また、積層制御部112及び押出制御部113は、積層ユニット22及び押出ユニット27A,27Bを(n−1)段分、下に移動させる。これによって、
図6に示す状態に復帰し、積層ユニット22と対向する支持部24A,24Bの全てに電極11,9が支持された状態となる。具体的には、
図10に示すように、押出部36Ab
1及び積層ユニット22のスリット55A
1は、前回の動作において支持部24A
1が配置されていた場所に配置され、押出部36Ab
2及び積層ユニット22のスリット55A
2は、前回の動作において支持部24A
5が配置されていた場所に配置される。また、支持部24A
1よりも20段分、上流側に配置されている支持部24A
21が、前回の動作において支持部24A
1が配置されていた場所に配置される。これにより、積層ユニット22のスリット55A
1に対向する位置に、支持部24A
21が配置される。同様に、支持部24A
22〜24A
28が、前回の動作において支持部24A
2〜24A
8が配置されていた場所に配置される。その後、押出ユニット27A,27B、積層ユニット22、正極搬送ユニット20A及び負極搬送ユニット20Bは、同趣旨の動作を繰り返す。なお、積層部51は、新たな電極11,9が追加される度に、これらの電極11,9の厚み分だけ下方へ僅かに移動する。また、正極搬送ユニット20Aの押出ユニット27Aと、負極搬送ユニット20Bの押出ユニット27Bとは、同時に電極11,9の送出を行ったが、タイミングをずらしてもよい。
【0052】
次に、本実施形態に係る電極積層装置100の作用・効果について説明する。
【0053】
この電極積層装置100において、支持部24A,24Bに対して順次供給される電極11,9は、それぞれ異なる積層部51に送出されて積層される。このように、順次供給される電極11,9の数よりも多くの電極11,9を送出して積層することにより、電極11,9を積層部51に送出する際の送出速度を、供給用コンベア21A,21Bによる電極11,9の搬送速度(供給速度)よりも遅くすることができる。これにより、電極11,9が積層されるペースの低下を防ぎつつ、追加の装置を設けなくとも、電極11,9の積層時における電極11,9の位置ずれを抑制できる。ここで、押出ユニット27A,27Bは、複数段当たりの支持部24A,24Bに対して一つの間隔で電極11,9を送出する。このように、押出ユニット27A,27Bは、複数の支持部24A,24Bに対して、複数段飛ばしで電極11,9を送出することができる。これにより、支持部24A,24Bのピッチを小さくして、支持部24A,24Bが電極11,9を受け取る間隔を短くできる一方、積層部51側では、送出される電極11,9間に十分なスペースを確保した状態で、各電極11,9を精度良く積層部51へ送出することができる。これにより、積層精度を確保しつつ、更に積層速度を速くすることができる。また、また、押出ユニット27A,27Bは、一の段の支持部24A,24Bに支持された電極11,9を送出した後、他の段の支持部24A,24Bから電極11,9を送出可能な位置に配置される。従って、支持部24A,24Bが移動することに伴う電極11,9の位置ずれを抑制することができる。以上により、電極積層装置100によれば、装置の大型化を抑えながら、積層速度の高速化を達成できる。
【0054】
また、積層ユニット22は、一の段の支持部24A,24Bに支持された電極11,9を受け取った後、他の段の支持部24A,24Bから電極11,9を受け取り可能な位置へ移動する。これにより、積層ユニット22は、電極11,9が送出される支持部24A,24Bに対応する位置で電極11,9を受け取ることができる。
【0055】
電極積層装置100は、押出ユニット27A,27BがX軸方向へ電極11,9を送出する前に、Y軸方向へ、支持部24A,24Bで支持された状態の電極11,9の位置決めを行う位置決めユニット29A,29Bを更に備えてよい。この場合、位置決めユニット29A,29Bが、複数段にわたる支持部の電極11,9の位置決めを行う事も可能となる。ここで、一の段の支持部24A,24Bから電極11,9が送出されると、積層ユニット22が移動する。すなわち、支持部24A,24Bは移動しなくてよいため、位置決めユニット29A,29Bが一度、電極11,9の位置決めを行えば、電極11,9が支持部24A,24Bの移動によりずれることを抑制できる。
【0056】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上記実施形態又は上記変形例に限定されない。
【0057】
例えば、上記実施形態では、積層部51の上方に仕切り板が設けられ、電極11,9が同時に投入されていた。これに代えて、
図11に示すように、仕切り板を省略して、左右から交互に電極11,9を積層部51に対して交互に投入してよい。なお、この変形例では、積層ユニット22の移動回数を減らすことも出来る。例えば、
図13に記載するように、スリット55A,55Bの上下幅が支持部の2段分の広さに設定されている場合、押出ユニット27A,27Bが片側2回の押出しを行った後に、積層ユニット22を上昇させてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、他の支持部から電極を受け取るとき、積層ユニットは下から上に向かって順次移動していた。これに代えて、積層ユニットは上から下に移動してもよい。例えば、
図8に示す例では、積層部51
1は、まず支持部24A
4のセパレータ付き正極11を受け取り、次に一段下がって支持部24A
3のセパレータ付き正極11を受け取る。積層ユニット22は、支持部24A
1のセパレータ付き正極11を受け取るまで当該動作を繰り返す。
【0059】
また、積層ユニットは、積層部に積層された電極11,9を保持する保持機構を備えてよい。この場合、積層ユニットが移動する際に、既に積層された電極11,9の位置がずれることを抑制できる。具体的には、
図12に示すような積層ユニットを採用してもよい。
図12に示す積層ユニット122は、電極11,9を保持する保持機構155を備えている。保持機構155は、上下方向に延びる基体部153に取り付けられた積層部151及びチャック部152と、積層部151をチャック部152に対して相対的に上下動させる駆動部154と、を備える。
【0060】
また、上記実施形態では、押出ユニットも積層ユニットと共に上下動していた。すなわち、上記実施形態では、押出ユニットは、一の段の支持部に支持された対象物を送出した後、他の段の支持部から対象物を送出可能な位置に移動することによって、当該位置に配置されていた。これに代えて、複数の押出ユニットを設けておき、押出のタイミングでは対応する押出ユニットが電極11,9の押出を行ってよい。すなわち、送出部が複数の押出ユニットによって構成されてよい。これにより、送出部は、一の段の支持部に支持された対象物を対応する押出ユニットで送出した後、他の段の支持部から対象物を送出可能な位置に予め他の押出ユニットを設けておくことで、当該位置に送出が配置された状態としてよい。例えば、
図8に示す例では、支持部24A
1,24A
5のセパレータ付き正極11を押し出す押出ユニットに加え、支持部24A
2,24A
6のセパレータ付き正極11を押し出す押出ユニット、支持部24A
3,24A
7のセパレータ付き正極11を押し出す押出ユニット、及び支持部24A
4,24A
8のセパレータ付き正極11を押し出す押出ユニットが設けられてよい。あるいは、一つの支持部に対して独立して駆動可能な一つの押出部を設けてもよい。この場合、押出対象となる支持部に対応する押出部のみが、押出動作を行う。
【0061】
上述の実施形態では、第1の移動動作において、支持部24A,24Bは停止していた。これに代えて、押出ユニット27A,27Bが一の段の支持部24A,24Bに支持された電極11,9を送出した後、他の段の支持部24A,24Bは、積層ユニット22へ電極11,9を送出可能な位置へ移動してよい。これにより、支持部24A,24Bと積層ユニット22とが共に移動することで、積層ユニット22は、セパレータ付き正極11が送出される支持部24A,24Bに対応する位置でセパレータ付き正極11を受け取ることができる。
【0062】
例えば、積層ユニット22が上方に移動し、それに対し、隣接する他の段の支持部24A,24Bは下方に移動し、積層ユニット22の壁部52A,52Bのスリット55A,55Bと、隣接する他の段の支持部24A,24Bと、が互いに近付くように移動する。より具体的には、コントローラ110は、支持部24A,24Bを1/2段分下に移動させ、押出ユニット27A,27B及び積層ユニット22を1/2段上に移動させる第1の移動動作を実行してよい。これにより、支持部24A,24Bと積層ユニット22とが共に移動することで、積層ユニット22は、電極11,9が送出される支持部24A,24Bに対応する位置で電極11,9を受け取ることができる。
【0063】
このような変形例に係る第1の移動動作について、
図14を参照して説明する。なお、
図14は、移動態様の理解を容易にするために、他の図に比して構成をデフォルメして示している。
図14(a)は、押出ユニット27Aが支持部24A
1から積層ユニット22へセパレータ付き正極11を送出する直前の状態を示している。当該状態では、支持部24A
1、押出部36Ab
1、及びスリット55A
1は、互いの基準位置が一致するように配置される。このときの支持部24A
1、押出部36Ab
1、及びスリット55A
1の基準位置は、基準線SL1で示される。また、支持部24A
2の基準位置は、基準線SL2で示される。基準線SL1と基準線SL2との間の寸法は、複数の支持部24Aの一ピッチ分の寸法である「P1」となる。
【0064】
押出ユニット27Aが支持部24A
1から積層ユニット22へセパレータ付き正極11を送出した後、コントローラ110は、支持部24A、押出ユニット27A及び積層ユニット22を移動させる。移動後の状態を
図14(b)に示す。当該状態では、支持部24A
2、押出部36Ab
1、及びスリット55A
1は、互いの基準位置が一致するように配置される。このときの支持部24A
2、押出部36Ab
1、及びスリット55A
1の基準位置は、基準線SL3で示される。基準線SL3は、基準線SL1と基準線SL2の高さ方向における中央位置に配置されている。従って、基準線SL1と基準線SL3との間の寸法及び基準線SL2と基準線SL3との間の寸法は、二分の一ピッチ分の寸法である「(1/2)・P1」となる。コントローラ110は、支持部24A
2を基準線SL2の位置から二分の一ピッチ分だけ下方へ移動させ、支持部24A
2を基準線SL3の位置に配置する。コントローラ110は、押出部36Ab
1を基準線SL1の位置から二分の一ピッチ分だけ上方へ移動させ、押出部36Ab
1を基準線SL3の位置に配置する。コントローラ110は、積層ユニット22を二分の一ピッチ分だけ上方へ移動させることで、スリット55A
1を基準線SL1から移動させて基準線SL3の位置に配置する。コントローラ110は、積層ユニット22に必要な枚数の電極11,9が積層されるまで、同趣旨の第1の移動動作を複数回繰り返す。
【0065】
また、上記実施形態では、シート状のワークの具体例として電極(負極9又はセパレータ付き正極11)について説明したが、電極以外の物品が対象物とされてもよい。例えば、カードなどを対象物として採用してもよい。
【0066】
また、
図3〜
図7に示す電極積層装置の構成は一例に過ぎず、各構成要素の構成はこれらに限定されるものではない。従って、各構成要素の構成を適宜変更してもよく、一部の構成要素を省略してもよい。