(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ダミーゲート金属層は、前記外周領域に配置された外側ダミーゲート金属層と、前記活性部の上方に配置され前記外側ダミーゲート金属層と接続される内側ダミーゲート金属層とを有し、
前記半導体装置は、前記活性部において前記半導体基板の上方に設けられ、一端が前記内側ダミーゲート金属層に接続され、他端が前記内側ダミーゲート金属層または前記外側ダミーゲート金属層に接続された、半導体材料を含むダミーゲートランナーを更に備え、
前記内側電極は、
前記半導体基板の上面視において前記内側ダミーゲート金属層および前記ダミーゲートランナーを境界として分離して配置された第1領域および第2領域と、
前記ダミーゲートランナーの上方において、前記第1領域および前記第2領域を接続する接続領域と
を有する請求項1または2に記載の半導体装置。
前記外周領域を前記温度センス配線の前記長手部分および前記長手部分の延長線で2分割した2つの分割領域のうち、同一の分割領域に前記ゲートパッドおよび全ての前記電圧供給パッドが配置されている
請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記ゲート金属層の一部が、前記温度センス配線の長手方向と垂直な方向において前記温度センス配線と前記エミッタ電極との間に配置され、且つ、前記温度センス配線に沿って設けられる、請求項11に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
本明細書においては、半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は重力方向、または、半導体装置の実装時における基板等への取り付け方向に限定されない。
【0019】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。本明細書では、半導体基板の上面と平行な面をXY面とし、半導体基板の深さ方向をZ軸とする。
【0020】
各実施例においては、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした例を示しているが、第1導電型をP型、第2導電型をN型としてもよい。この場合、各実施例における基板、層、領域等の導電型は、それぞれ逆の極性となる。
【0021】
図1aは、本実施形態に係る半導体装置100の上面の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70およびダイオード部80を備える半導体チップである。トランジスタ部70は、IGBT等のトランジスタを含む。ダイオード部80は、FWD(Free Wheel Diode)等のダイオードを含む。
【0022】
半導体装置100は、半導体基板10の上面と下面との間に電流が流れる縦型デバイスである。一例として、トランジスタ部70およびダイオード部80の構造は、
図1eにおいて説明する。
【0023】
図1aに示すように半導体基板10には、活性部60が設けられる。活性部60は、半導体装置100をオン状態に制御した場合に半導体基板10の上面と下面との間で主電流が流れる領域である。つまり、半導体基板10の上面から下面、または下面から上面に、半導体基板10の内部を深さ方向に電流が流れる領域である。本明細書では、トランジスタ部70およびダイオード部80をそれぞれ素子部または素子領域と称する。素子部が設けられた領域を活性部60としてよい。なお、半導体基板10の上面視において2つの素子部に挟まれた領域も活性部60とする。
図1aの例では、素子部に挟まれてダミーゲート金属層51が設けられている領域も活性部60に含めている。活性部60は、半導体基板10の上面視においてエミッタ電極が設けられた領域、および、エミッタ電極に挟まれた領域とすることもできる。
図1aの例では、トランジスタ部70およびダイオード部80の上方にエミッタ電極が設けられる。
【0024】
半導体基板10の上面視において、活性部60と半導体基板10の外周端62との間の領域を外周領域61とする。外周領域61は、半導体基板10の上面視において活性部60を囲んで設けられる。外周領域61には、半導体装置100と外部の装置とをワイヤ等で接続するための1つ以上の金属のパッドが配置されてよい。半導体装置100は、活性部60を囲んでエッジ終端構造部を外周領域61に有してよい。エッジ終端構造部は、半導体基板10の上面側の電界集中を緩和する。エッジ終端構造部は、例えばガードリング、フィールドプレート、リサーフおよびこれらを組み合わせた構造を有する。
【0025】
活性部60には、トランジスタ部70およびダイオード部80が複数設けられてよい。それぞれのダイオード部80には、半導体基板の下面にN+カソード領域82が設けられている。カソード領域82は、
図1aの点線の枠で示されるように、外周領域61と接しない範囲に設けられてよい。本例のカソード領域82は、後述するゲート金属層50およびダミーゲート金属層51と接しない範囲に設けられている。トランジスタ部70およびダイオード部80は、Y軸方向に交互に設けられてよい。本明細書では、トランジスタ部70およびダイオード部80が交互に配列される方向を配列方向(Y軸方向)と称する。活性部60のY軸方向における両端には、トランジスタ部70が設けられてよい。トランジスタ部70およびダイオード部80は、それぞれX軸方向に複数設けられてよい。
図1aの例では、複数のトランジスタ部70がX軸方向に沿って並んでおり、複数のダイオード部80がX軸方向に沿って並んでいる。他の例では、ダイオード部80は、X軸方向において、トランジスタ部70と重なる位置に設けられてよい。
図1aは、トランジスタ部70がY軸方向7つ、X軸方向に3つ設けられ、ダイオード部80がY軸方向に6つ、X軸方向に3つ設けられる一例を示している。
【0026】
本例の活性部60には分割部46が設けられている。分割部46は、半導体基板10の上面視で、活性部60を分割する領域である。本例の分割部46は、X軸方向において活性部60を複数の領域に分割する。分割部46は、半導体基板10の上面視でエミッタ電極を分割してもよい。分割部46は、X軸方向において幅を有する領域であってよい。本例では、分割部46にはダミーゲート金属層51およびゲートランナー53が設けられている。
【0027】
分割部46により分割された活性部60のそれぞれの領域には、トランジスタ部70およびダイオード部80がY軸方向に複数設けられてよい。
図1aに示す例においては、分割部46はX軸方向において異なる位置に2か所設けられる。この場合、分割部46は活性部60をX軸方向において3分割する。
【0028】
ゲート金属層50は、半導体基板10の上面視で、活性部60を囲うように設けられてよい。ゲート金属層50は、活性部60の外に設けられるゲートパッド55と電気的に接続される。ゲート金属層50は、半導体基板10の外周端62に沿って形成されてよい。ゲートパッド55は、ゲート金属層50と、活性部60との間に配置されてよい。
【0029】
ゲート金属層50はアルミニウムまたはアルミニウム‐シリコン合金で形成されてよい。ゲート金属層50は、トランジスタ部70に電気的に接続され、トランジスタ部70にゲート電圧を供給する。
【0030】
ゲートランナー53は、ゲート金属層50と電気的に接続され、活性部60の上方まで延伸する。ゲートランナー53は、ゲート金属層50と、トランジスタ部70のゲートトレンチ部40(
図1e参照)のトレンチ内に設けられたポリシリコン等の導電部とを電気的に接続する。
【0031】
ゲートランナー53は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ゲートランナー53の抵抗率は、ゲート金属層50の抵抗率よりも高い。ゲート金属層50をアルミニウムで、ゲートランナー53をポリシリコンで、それぞれ形成した場合、ゲートランナー53の抵抗率は、ゲート金属層50の抵抗率よりも2桁高い。
【0032】
温度センス部90は、活性部60の上方に設けられる。温度センス部90は、半導体基板10の上面視で、活性部60の中央に設けられてよい。温度センス部90は、活性部60の温度を検知する。温度センス部90は、単結晶または多結晶のシリコンで形成されるpn型温度センスダイオードであってよい。
【0033】
温度センス配線92は、半導体基板10の上面視で、活性部60の上方に設けられる。温度センス配線92は、温度センス部90と接続される。温度センス配線92は、温度センス部90から外周領域61まで、予め定められた方向に延伸して設けられる。温度センス配線92は、外周領域61に設けられた温度測定用パッド94と接続される。温度センス配線92は、pn型温度センスダイオードのp型層に電気的に接続するアノード電極の配線89と、n型層に電気的に接続するカソード電極の配線91とを含んでよい。
図1a等の各図においては温度センス配線92を長方形の実線で表しているが、温度センス配線92は、
図1aにおいて点線で示される配線89、配線91のように配置されてよい。配線89および配線91は、温度センス配線92の具体的な引き回しの一例である。
【0034】
温度センス配線92は、予め定められた長手方向(本例ではX軸方向)に長手部分93を有する。温度センス配線92の長手方向とは、温度センス部90から外周領域61に向かう方向に設けられた1つ以上の直線部分のうち、最も長い直線部分が延伸する方向である。直線部分とは、半導体基板10の上面と平行な面において、直線状に形成された部分を指す。
図1aにおいては、温度センス配線92の長手部分93を示しており他の部分を省略している。長手部分93は、温度センス配線92のうち、温度センス部90から伸びる直線部分であってもよい。温度センス配線92の長手部分93は、活性部60のY軸方向中心に設けられてよい。
【0035】
温度測定用パッド94は、温度測定用カソードパッド94−1および温度測定用アノードパッド94−2を含む。温度測定用カソードパッド94−1から流れる電流は、温度センス配線92を流れ、温度センス部90に流れる。温度センス部90は、温度検知結果に基づく電流を出力し、当該電流が温度センス配線92を流れ、温度測定用アノードパッド94−2に入力される。検知部96は、温度センス部90の予備として設けられる。本例の検知部96は、外周領域61に設けられている。検知部96は、ポリシリコン等で形成されたpn接合型のダイオードであってよい。
【0036】
本例のゲート金属層50は、半導体基板10のY軸方向における両端に配置され、X軸方向に延伸する部分を有する。本例のゲートランナー53は、活性部60の上方を横断して、X軸方向に延伸する2本のゲート金属層50を接続する。ゲートランナー53は、分割部46に配置されてよい。また、ゲートランナー53は、外周領域61において、ゲートパッド55等の各パッドと、活性部60との間にも、設けられてよい。ゲートランナー53は、Y軸方向等においてゲート金属層50に挟まれた領域に配置されてよい。当該領域には、エミッタ電極、ダミーゲート金属層51または温度センス配線92等が設けられており、ゲート金属層50を設けることができない場合がある。ゲートランナー53は、エミッタ電極、ダミーゲート金属層51または温度センス配線92が設けられた領域において、これらの層の上方または下方に配置されてよい。ただし、ゲートランナー53とこれらの層との間には絶縁層が設けられている。ゲートランナー53は、エミッタ電極、ダミーゲート金属層51または温度センス配線92が設けられた領域の両側に配置された2つのゲート金属層50を接続するように配置されてよい。外周領域61に設けられたゲートランナー53は、半導体基板10の上面視で温度センス配線92と交差してよい。当該ゲートランナー53は、温度センス配線92の下方をY軸方向に通過して設けられている。当該ゲートランナー53の両端は、ゲート金属層50に接続されている。
【0037】
ダミーゲート金属層51は、半導体基板10の上面視で、ゲート金属層50の内側に、活性部60を囲うように設けられてよい。ダミーゲート金属層51は、分割部46にも設けられてよい。ダミーゲート金属層51は、半導体基板10の上面視においてゲート金属層50よりも内側に配置される内側電極の一例である。
【0038】
半導体装置100は、半導体基板10の上面において、内側電極と電気的に接続された1つ以上の電圧供給パッド56を備える。電圧供給パッド56は、外周領域61に設けられる。電圧供給パッド56は、半導体基板10の上面に設けられた金属により、内側電極と接続されてよい。本例において、電圧供給パッド56は、ダミーゲートパッド56−1を含む。ダミーゲートパッド56−1は、ダミーゲート金属層51と電気的に接続される。ダミーゲートパッド56−1は、ダミーゲート金属層51と接していてよい。
【0039】
ダミーゲート金属層51はアルミニウムまたはアルミニウム‐シリコン合金で形成されてよい。ダミーゲート金属層51は、ダイオード部80に電気的に接続され、ダイオード部80のダミートレンチ部30の導電部にダミーゲート電圧を供給する。ダミーゲート金属層51は、トランジスタ部70のダミートレンチ部30にもダミーゲート電圧を供給してよい。ダミートレンチ部30の導電部にダミーゲート電圧を印加することで、絶縁膜42の絶縁性を試験するスクリーニング試験を行うことができる。
【0040】
ダミーゲートランナー54は、ダミーゲート金属層51同士を接続する。ダミーゲートランナー54は、例えば不純物が添加されたポリシリコン等の導電材料で形成される。ダミーゲートランナー54は、半導体基板10の上面視で、X軸方向において、活性部60の外であってゲートパッド55と活性部60との間に設けられてよい。ダミーゲートランナー54は、Y軸方向等においてダミーゲート金属層51に挟まれた領域に配置されてよい。当該領域には、エミッタ電極、ゲート金属層50または温度センス配線92等の層が設けられており、ダミーゲート金属層51を設けることができない場合がある。ダミーゲートランナー54は、エミッタ電極、ゲート金属層50または温度センス配線92が設けられた領域において、これらの層の上方または下方に配置されてよい。ただし、ダミーゲートランナー54とこれらの層との間には絶縁層が設けられている。ダミーゲートランナー54は、エミッタ電極、ゲート金属層50または温度センス配線92が設けられた領域の両側に配置された2つのダミーゲート金属層51を接続するように配置されてよい。
【0041】
電流センス部59は、ゲートパッド55に流れる電流を検知する。電流センスパッド58は、電流センス部59に流れる電流を測定するためのパッドである。
【0042】
本例において、電圧供給パッド56は、ケルビンパッド56−2をさらに含む。
ケルビンパッド56−2は、半導体基板10の上面視で、活性部60の上方に設けられるエミッタ電極と接続される。
【0043】
図1bは、ゲートパッド55の配置を説明する図である。
図1bにおいては、ゲート金属層50およびダミーゲート金属層51のハッチングを省略している。また
図1bにおいては、検知部96を省略している。本例のゲートパッド55は、半導体基板10の上面において外周領域61に配置される。ゲートパッド55は、X軸方向において、ゲート金属層50と活性部60との間に設けられてよい。
【0044】
ゲートパッド55は、温度センス配線92の長手部分93を、温度センス配線92の長手方向(本例においてはX軸方向)に半導体基板10の外周端62まで延伸した延伸領域64以外の領域に配置される。延伸領域64の長手方向と垂直な短手方向(本例ではY軸方向)の幅は、長手部分93のY軸方向の幅と等しい。ゲートパッド55は、延伸領域64と部分的にも重ならない。
【0045】
温度センス配線92の延伸領域64とゲートパッド55との距離L1は、エミッタ電極とゲート金属層50の離間距離L2(
図1bにおいては活性部60とゲート金属層50の離間距離L2)以上であってよい。距離L1および距離L2は、ともに延伸領域64の短手方向(本例ではY軸方向)の距離であってよい。距離L1は、温度センス配線92の短手方向の幅L3以上であってよい。距離L1は、後述する長さWh'以下であってよい。
【0046】
ダミーゲートパッド56−1は、温度センス配線92の長手方向を基準に、ゲートパッド55と反対側に設けられてよい。つまり、温度センス配線92の長手部分93およびその延長線で外周領域61を2分割した2つの分割領域(第1分割領域66、第2分割領域68)とした場合に、ダミーゲートパッド56−1とゲートパッド55とは異なる分割領域に設けられてよい。2つの分割領域の境界線は、温度センス配線92の長手部分93の幅方向(本例ではY軸方向)の中心を通り、且つ、温度センス配線92の長手方向(本例ではX軸方向)と平行な線である。ただし、後述するように全ての電圧供給パッド56とゲートパッド55とを同一の分割領域に配置してもよい。
【0047】
ゲートパッド55および電圧供給パッド56は、半導体基板10の上面視における4辺のうち、いずれか一つの辺における外周領域61に配置されてよい。ゲートパッド55および温度測定用パッド94は、半導体基板10の上面視における4辺のうち、いずれか一つの辺における外周領域61に配置されてよい。温度測定用パッド94は、ゲートパッド55とは異なる分割領域(本例では第1分割領域66)に設けられてよい。
【0048】
図1cは、半導体基板10の上面における各部材の幅等を説明する図である。幅W1は、半導体装置100を構成するチップのY軸方向の幅である。幅W2は、半導体装置100を構成するチップのX軸方向の幅である。幅W1と幅W2は等しくてよい。幅W1および幅W2は、一例として15mmである。
【0049】
幅WIは、トランジスタ部70のY軸方向の幅である。幅WFは、ダイオード部80のY軸方向の幅である。幅Whは、トランジスタ部70およびダイオード部80のX軸方向の幅である。幅WIは、幅WFの2倍以上5倍以下であってよい。幅Whは、幅WIの1.5倍以上3倍以下であってよい。幅WIは、一例として1500μmである。幅WFは、一例として500μmである。幅Whは、一例として3100μmである。
【0050】
ゲート金属層50は、半導体基板10の端辺に沿ってX軸方向に延伸する部分50−aと、部分50−aからY軸方向に突出する部分50−bとを有する。部分50−aは、Y軸方向における幅が一定とする。部分50−bは、活性部60とケルビンパッド56−2に挟まれて配置されたゲートランナー53−aが接続する領域である。部分50−bは外周領域61に配置されている。幅Waは、部分50−bのY軸方向における幅である。つまり幅Waは、ゲートランナー53−aが接続する部分のゲート金属層50のY軸方向の幅のうち、部分50−aの一定幅を除外した幅である。
【0051】
ゲート金属層50は、部分50−aからY軸方向に突出する部分50−cを有する。部分50−cは、いずれかのパッドとY軸方向において隣り合って配置されている。つまり部分50−cは、部分50−aから、いずれかのパッド(本例ではダミーゲートパッド56−1)に向かってY軸方向に突出した領域である。部分50−cは外周領域61に配置されている。部分50−cは、部分50−bとX軸方向においてつながっていてよい。幅Wbは、部分50−cの配列方向の幅である。つまり幅Wbは、いずれかのパッドとY軸方向において隣り合って配置されたゲート金属層50のY軸方向の幅のうち、部分50−aの一定幅を除外した幅である。
【0052】
ゲート金属層50は、活性部60とゲートパッド55との間の外周領域61に配置された部分50−dを有する。部分50−dはゲートパッド55に接続している。また、部分50−dは、ゲート金属層50の他の部分とは離れて設けられている。本例の部分50−dは、
ゲートランナー53−aにより、部分50−bと接続されている。幅Wcは、ゲート金属層50の部分50−cと、部分50−dとのY軸方向における距離である。
【0053】
幅Wdは、ゲート金属層50の部分50−bと、部分50−dとのY軸方向における距離である。本例においては、
幅Wd<
幅Wcである。つまり、ゲート金属層50の部分50−bは、部分50−cと比べて、部分50−d側に突出している。
【0054】
本例の半導体装置100においては、幅Waは、幅Wbの1.2倍以上1.5倍以下であってよい。また、幅Wdは、幅Waの1.5倍以上2.5倍以下であってよい。また、幅Wcは、幅Wbの2.5倍以上3.5倍以下であってよい。本例においては、幅Wb<幅Wdである。
【0055】
本例の半導体装置100においては、幅Waは、一例として2410μmである。また、幅Wbは、一例として1770μmである。また、幅Wcは、一例として5130μmである。幅Wdは、一例として4490μmである。
【0056】
本例の半導体装置100は、ゲートパッド55が
図1bに示した延伸領域64とは異なる位置に配置される。このため、ゲートパッド55と活性部60との間に、ゲートランナー53よりも抵抗の低いゲート金属層50を配置することができる。このため、トランジスタ部70に供給されるゲート電圧をより均一化できる。このため、トランジスタ部70のターンオフ耐量低下を防ぐことができる。
【0057】
図1dは、
図1aにおいて、エミッタ電極52を付加して示す図である。
図1dでは、エミッタ電極52が形成される領域を太線で囲っている。
図1dでは、
図1aに示したゲートランナー53の一部を省略して示している。本例において、活性部60は、分割部46により複数の領域に分割される。本例の活性部60は、第1領域60−1、第2領域60−2および第3領域60−3を有する。本例の第1領域60−1は、X軸方向においてゲートパッド55から最も離れた領域であり、第3領域60−3は、X軸方向においてゲートパッド55に最も近い領域であり、第2領域60−2は、第1領域60−1および第2領域60−2の間に配置された領域である。
【0058】
エミッタ電極52は、分割部46により複数の領域に分割される。エミッタ電極52のそれぞれの領域は、エミッタ電極52の上方に形成されためっき層またはワイヤ等により、互いに接続されてよい。本例のエミッタ電極52は、第1領域52−1、第2領域52−2、および、第3領域52−3を有する。第1領域52−1は、活性部60の第1領域60−1の上方に配置されており、第2領域52−2は、活性部60の第2領域60−2の上方に配置されており、第3領域52−3は、活性部60の第3領域60−3の上方に配置されている。
図1dに示すように、活性部60の各領域においてエミッタ電極52は、トランジスタ部70およびダイオード部80の上方に設けられる。
【0059】
活性部60の第2領域60−2は、温度センス部90および温度センス配線92を備える。温度センス部90および温度センス配線92は、第2領域60−2のY軸方向の中央に配置されていてよい。エミッタ電極52の第2領域52−2は、上面視において温度センス部90および温度センス配線92と離れて配置されている。エミッタ電極52の第2領域52−2は、温度センス部90および温度センス配線92の外周に沿って配置されてよい。第2領域52−2と、温度センス部90および温度センス配線92との間には、層間絶縁膜38が設けられてよい。
【0060】
エミッタ電極52の第3領域52−3は、活性部60の外に設けられるケルビンパッド56−2と電気的に接続される。本例の第3領域52−3は、ケルビンパッド56−2まで延伸する部分を有している。ケルビンパッド56−2は、電圧供給パッド56の一例である。活性部60の第3領域60−3は、温度センス配線92によりY軸方向に分断されている。エミッタ電極52の第3領域52−3も、温度センス配線92によって分離されてよい。エミッタ電極52の第3領域52−3は、温度センス部90および温度センス配線92と離れて配置されている。同様に、ゲート金属層50およびダミーゲート金属層51のいずれかが、温度センス部90および温度センス配線92により分断されている場合、ゲート金属層50およびダミーゲート金属層51は、温度センス部90および温度センス配線92とは離れて配置されている。
【0061】
図1eは、トランジスタ部70およびダイオード部80の構造の一例を示す上面図である。
図1eは、分割部46の近傍におけるトランジスタ部70およびダイオード部80を示している。一例として
図1eは、
図1dの領域Mに対応する。
【0062】
なお半導体基板10の下面と接する領域には、N+型のカソード領域82が選択的に形成されている。カソード領域82が形成されていない下面側の領域は、P+型のコレクタ領域22(例えば
図4e参照)が設けられている。半導体基板10の下面において、コレクタ領域22に囲まれるカソード領域82が複数配置されてよい。トランジスタ部70は、活性部60において半導体基板10の上面に対して垂直にコレクタ領域22を投影した領域であって、エミッタ領域12、コンタクト領域15およびトレンチ部を含む所定の単位構成が規則的に配置された領域であってよい。
【0063】
また、ダイオード部80は、活性部60において半導体基板10の上面に対して垂直にカソード領域82を投影した領域であってよい。
図1eにおいては、カソード領域82が設けられる範囲を一点鎖線により示している。カソード領域82は、コンタクトホール49の分割部46側(−X軸方向)端部よりも内側(+X軸方向)に位置してよい。
【0064】
トランジスタ部70およびダイオード部80の各々は、メサ部81と複数のトレンチ部とを備えてよい。メサ部81は、隣り合う2つのトレンチ部の間に設けられる半導体基板10の一部の領域である。メサ部81は、トレンチ部の底面よりも半導体基板10の上面に近い領域に位置する半導体基板10の一部である。なお、本明細書においては、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30をまとめてトレンチ部と称する場合がある。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、
図5dに示すトレンチ型のゲートランナー53と同様に、トレンチの内壁に形成された酸化膜等の絶縁膜42と、トレンチ内部において絶縁膜に覆われたポリシリコン等の導電部44を有する。
【0065】
本例のトランジスタ部70は、ゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30とを有する。トランジスタ部70のゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、X軸方向に延伸し、かつ、Y軸方向において交互に設けられてよい。
【0066】
本例のダイオード部80は、ゲートトレンチ部40を有さず、ダミートレンチ部30を有する。ダイオード部80のダミートレンチ部30も、X軸方向に延伸し、かつ、Y軸方向において複数設けられてよい。それぞれのトレンチ部は、分割部46に達していてよく、達していなくともよい。
図1eに示すトレンチ部は、分割部46に達していない。それぞれのトレンチ部は、
図4cに示すダミートレンチ部30のように、端部がU字形状であってもよい。
【0067】
ダミートレンチ部30の導電部44は、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホール31によりエミッタ電極と電気的に接続する。ゲートトレンチ部40の導電部44は、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホール76(例えば
図5b参照)により、ゲートランナー53またはゲート金属層50と電気的に接続する。
【0068】
半導体基板10は、トランジスタ部70において、N+型のエミッタ領域12、P+型のコンタクト領域15、P−型のベース領域14およびP+型のウェル領域11を有してよい。エミッタ領域12、コンタクト領域15、ベース領域14およびウェル領域11は、半導体基板10の上面からそれぞれ所定深さまで設けられてよい。トランジスタ部70のメサ部81において、エミッタ領域12およびコンタクト領域15は、X軸方向において交互に設けられてよい。ただし、トランジスタ部70のY軸方向の端部に位置するメサ部81においては、エミッタ領域12が設けられなくてよい。
【0069】
本例において、NまたはPは、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、NまたはPに記載した+または−について、+はそれが記載されていないものよりもキャリア濃度が高く、−はそれが記載されていないものよりもキャリア濃度が低いことを意味する。
【0070】
トランジスタ部70のメサ部81において、ベース領域14は、エミッタ領域12およびコンタクト領域15の下方に設けられてよい。また、ベース領域14は、上面視において、X軸方向に交互に設けられたエミッタ領域12およびコンタクト領域15対して、X軸方向の両端部にも設けられてよい。これに対して、トランジスタ部70とダイオード部80との境界に位置するメサ部81においては、ベース領域14は、コンタクト領域15の下方に設けられている。当該ベース領域14は、上面視において、コンタクト領域15のX軸方向の両端部にも設けられてよい。なお、ウェル領域11は、X軸方向において隣り合う2つのトランジスタ部70等の素子領域の間に設けられてよい。
【0071】
エミッタ電極は、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホール49を介して、エミッタ領域12およびコンタクト領域15と電気的に接続してよい。また、エミッタ電極は、コンタクトホール49を介して、トランジスタ部70とダイオード部80との境界に位置するメサ部81のコンタクト領域15と電気的に接続してよい。
【0072】
半導体基板10は、ダイオード部80において、コンタクト領域15、ベース領域14およびウェル領域11を有してよい。コンタクト領域15、ベース領域14およびウェル領域11は、半導体基板10の上面から、半導体基板10の内部まで設けられてよい。ダイオード部80のメサ部81において、ベース領域14およびコンタクト領域15は、X軸方向において交互に設けられてよい。
【0073】
ダイオード部80のメサ部81において、コンタクト領域15は、ベース領域14の上面に形成されたコンタクトホール49のX軸方向の両端のみに形成されてよい。あるいは、コンタクト領域15は、ベース領域14とX軸方向において交互に設けられてもよい。ベース領域14は、コンタクト領域15の下方にも設けられてよい。また、X軸方向に交互に設けられたベース領域14およびコンタクト領域15において、X軸方向の両端部にはベース領域14が配置されてよい。ウェル領域11は、X軸方向において隣り合う2つのダイオード部80の間に設けられてよい。エミッタ電極は、コンタクトホール49を介して、ベース領域14およびコンタクト領域15と電気的に接続してよい。
【0074】
上述したようにトランジスタ部70は、半導体基板10の下面にP型のコレクタ領域22(例えば
図4e参照)が設けられており、且つ、半導体基板10の上面にN型のエミッタ領域12等が規則的に設けられた領域である。コレクタ領域22は、半導体基板10の下面に形成されたコレクタ電極24(例えば
図4e参照)と接続され、エミッタ領域12は、半導体基板10の上面に形成されたエミッタ電極52(例えば
図4c参照)と接続されている。エミッタ電極は、半導体基板10の上面視においてゲート金属層50よりも内側に配置される内側電極の一例である。
【0075】
それぞれのトランジスタ部70は、半導体基板10の下面側から順番に、P型のコレクタ領域22、N−型のドリフト領域18(例えば
図4e参照)、P−型のベース領域14(例えば
図4e参照)が設けられてよい。ベース領域14の上面側には、N+型のエミッタ領域12およびP+型のコンタクト領域15(例えば
図4c参照)がそれぞれ選択的に設けられてよい。コンタクト領域15はエミッタ電極と接続されている。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面からベース領域14を貫通してドリフト領域18まで設けられている。エミッタ領域12は、ゲートトレンチ部40と接して配置される。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面において予め定められた延伸方向に延伸する直線部分を有してよい。一例として延伸方向は
図1eに示すX軸方向であるが、Y軸方向のように他の方向であってもよい。
【0076】
上述したようにダイオード部80は、半導体基板10の下面にN+型のカソード領域82が設けられており、且つ、半導体基板10の上面にP型の領域が全面または規則的に設けられた領域である。カソード領域82は、コレクタ電極24に接続されている。ダイオード部80には、ダミートレンチ部30が規則的に設けられていてよい。それぞれのダイオード部80は、半導体基板10の下面側から順番に、N+型のカソード領域82、N型のドリフト領域18、P型のアノード領域(ベース領域14)が設けられてよい。ベース領域14の上面側には、P+型のコンタクト領域15が選択的に設けられてもよい。
【0077】
図2は、比較例の半導体装置150を示す図である。比較例の半導体装置150は、ゲートパッド55が、温度センス配線92の延伸方向の延長領域上に配置される。このため、ゲートパッド55のX軸方向正側に、ゲートランナー53よりも抵抗の低いゲート金属層50を配置することができない。ゲートパッド55と活性部60との間には、ゲート金属層50よりも抵抗率の高いゲートランナー53が設けられるので、当該ゲートランナー53に接続されるトランジスタ部70に供給されるゲート電圧が低下する場合がある。
【0078】
図3は、本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70およびダイオード部80の長辺をY軸方向に設けた一例である。
図1aに示す半導体装置100と比較して、トランジスタ部70およびダイオード部80の向きが90度異なる。すなわち、温度センス配線92の延伸方向(X軸方向)と、トランジスタ部70およびダイオード部80の配列方向(X軸方向)が平行である。
【0079】
温度センス部90は、Y軸方向にトランジスタ部70と並んで設けられてよい。温度センス配線92の延伸方向に垂直な方向(本例ではY軸方向)において、温度センス部90または温度センス配線92と、ダミーゲート金属層51またはゲート金属層50との間には、トランジスタ部70のみまたはダイオード部80のみが配置されてよい。トランジスタ部70は、活性部60の面積の過半を占めるので、活性部60の温度は、ダイオード部80の近傍よりもトランジスタ部70の近傍の温度に、より依存する。このため、本例の半導体装置100は、
活性部60の温度を、より正確に測定することができる。
【0080】
トランジスタ部70およびダイオード部80のY軸方向の幅Wh'は、
図1aに示す半導体装置100におけるトランジスタ部70およびダイオード部80のX軸方向の幅Whと異なっていてよい。トランジスタ部70のX軸方向の幅WI'は、
図1aに示す半導体装置100におけるトランジスタ部70のY軸方向の幅WIと異なっていてよい。ダイオード部80のX軸方向の幅WF'は、
図1aに示す半導体装置100におけるダイオード部のY軸方向の幅WFと異なっていてよい。
【0081】
本例のゲート金属層50は、外周領域61に設けられた外側ゲート金属層50−1と、活性部60の上方に設けられた内側ゲート金属層50−2とを有する。外側ゲート金属層50−1は、上面視において活性部60を囲んでいる。内側ゲート金属層50−2は、外側ゲート金属層50−1と接続されている。本例の内側ゲート金属層50−2は、半導体基板のY軸方向の中央で活性部60を分割するように設けられている。また内側ゲート金属層50−2は、上面視で温度センス配線92を挟むように設けられてよい。例えば、X軸方向において温度センス配線92とは逆側の
外側ゲート金属層50−1から、温度センス配線92に向かって、1本の内側ゲート金属層50−2が設けられてよい。内側ゲート金属層50―2は、温度センス配線92(または温度センス部90)の先端の近傍までX軸方向に延伸している。内側ゲート金属層50−2は、温度センス配線92(または温度センス部90)の先端の近傍で2本に分岐して、2本の内側ゲート金属層50−2が、Y軸方向において温度センス配線92を挟むように配置されている。この場合、内側ゲート金属層50−2は分割部46として機能する。なお、ダミーゲート金属層51は、内側ゲート金属層50−2により分断されていてよい。分断されたダミーゲート金属層51を接続するダミーゲートランナー54が、内側ゲート金属層50−2と重なって設けられてよい。
【0082】
ゲートトレンチ部およびダミートレンチ部は、X軸方向に配列されてもよい。この場合、トレンチ部はY軸方向に延伸する。一方、ゲートトレンチ部およびダミートレンチ部はY軸方向に配列されてもよい。この場合、トレンチ部はX軸方向に延伸する。本例では、トレンチ部はY軸方向に延伸する。
【0083】
本例では、半導体装置の中央部のゲート金属層50の延伸方向(X軸方向)と、温度センス配線92の延伸方向(X軸方向)と、トランジスタ部70およびダイオード部80の配列方向(X軸方向)が平行である。
【0084】
図4aは、本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、ダミーゲートパッド56−1およびケルビンパッド56−2が、温度センス配線92およびその延長線を基準に、ゲートパッド55と同じ側に設けられる点で、
図1aに示す半導体装置100と異なる。つまり、本例の半導体装置100においては、全ての電圧供給パッド56が、ゲートパッド55と同一の分割領域(第2分割領域68)に設けられている。
【0085】
本例の半導体装置100においては、幅Waは、幅Wbの1.1倍以上1.5倍以下であってよい。また、幅Wdは、幅Waの0.5倍以上1.0倍以下であってよい。また、幅Wcは、幅Wbの0.8倍以上1.2倍以下であってよい。本例においては、幅Wb>幅Wdである。即ち、温度センス配線92の下方に交差してY軸方向に設けられるゲートランナー53のY軸方向の長さが、
図1aに示す半導体装置100よりも小さい。
【0086】
本例の半導体装置100においては、幅Waは、一例として4040μmである。また、幅Wbは、一例として3400μmである。また、幅Wcは、一例として3500μmである。幅Wdは、一例として2860μmである。
【0087】
本例の半導体装置100は、ゲートパッド55が温度センス配線92の延伸方向から外れた位置に配置される。また、本例の半導体装置100は、ダミーゲートパッド56−1およびケルビンパッド56−2が、温度センス配線92およびその延長線を基準に、ゲートパッド55と同じ側に設けられる。このため、温度センス配線92の下方に交差してY軸方向に設けられるゲートランナー53のY軸方向の長さを、
図1aに示す半導体装置100よりも小さくすることができる。
【0088】
本例の半導体装置100は、ゲート金属層50よりも抵抗が高いゲートランナー53の長さを、
図1aに示す例よりも小さくすることができるので、
図1aに示す半導体装置100よりも、トランジスタ部70に供給されるゲート電圧を均一にすることができる。このため、トランジスタ部70の耐量低下を防ぐことができる。
【0089】
また、本例の半導体装置100においては、分割部46に設けられるダミーゲート金属層51に、エミッタ電極52の複数の領域(52−1、52−2、52−3、
図1d参照)を接続するための第1空隙17が設けられる点においても、
図1aから
図1eに示した半導体装置100と異なる。他の例では、パッドの配置は
図1aから
図1eと同一であり、第1空隙17が設けられる点で
図1aから
図1eに示した半導体装置100と異なっていてもよい。
【0090】
本例では、ダミーゲート金属層51のうち、外周領域61に配置された部分を外側ダミーゲート金属層51−1とし、活性部60の上方に配置された部分を内側ダミーゲート金属層51−2とする。外側ダミーゲート金属層51−1は、ダミーゲートパッド56−1に接続される。内側ダミーゲート金属層51−2は、外側ダミーゲート金属層51−1とダミートレンチ部30の導電部44とを接続する。
【0091】
内側ダミーゲート金属層51−2には、上述した第1空隙17が設けられる。第1空隙17には、ダミーゲートランナー54が設けられている。ダミーゲートランナー54の両端は、それぞれ内側ダミーゲート金属層51−2に接続される。ダミーゲートランナー54の一端は、外側ダミーゲート金属層51−1に接続されてもよい。
【0092】
図4bは、
図4aにおいて、エミッタ電極52を付加して示す図である。
図4bでは、
図4aにおいてエミッタ電極52が形成される領域を太線で囲っている。理解を容易にするため、
図4aにおけるゲートランナー53およびダミーゲートランナー54を省略して示している。エミッタ電極52は、分割された複数の領域を接続する接続領域52−4を有する。接続領域52−4は、
図4aに示した第1空隙17に設けられている。
【0093】
図4cは、
図4bにおける領域Aの拡大図である。
図4cは、半導体基板10の上面視図である。
図4cにおいて、エミッタ電極52および内側ダミーゲート金属層51−2の外形を太い破線により示す。なお、半導体基板10の上方には、層間絶縁膜が設けられているが、
図4cにおいては省略している。例えば内側ダミーゲート金属層51−2およびエミッタ電極52と半導体基板10の上面との間には層間絶縁膜が設けられているが
図4cでは省略している。また、ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54と、半導体基板10との間に設けられる層間絶縁膜、ならびに、ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54と、エミッタ電極52および内側ダミーゲート金属層51−2との間に設けられる層間絶縁膜も、
図4cでは省略している。
【0094】
上述したように内側ダミーゲート金属層51−2は、Y軸方向に延伸して設けられる。内側ダミーゲート金属層51−2は第1空隙17を有する。第1空隙17を挟む2つの内側ダミーゲート金属層51−2は、ポリシリコン等の導電材料で形成されたダミーゲートランナー54により電気的に接続されている。内側ダミーゲート金属層51−2とダミーゲートランナー54とは、層間絶縁膜に形成されたコンタクトホール74により電気的に接続されている。ダミーゲートランナー54は、一つの第1空隙17に対して複数本並列に設けられてよい。
【0095】
エミッタ電極52は、内側ダミーゲート金属層51−2およびダミーゲートランナー54を境界として複数の領域に分割されている。
図4cの例では、第1領域52−1および第2領域52−2を示している。エミッタ電極52は、ダミーゲートランナー54の上方をX軸方向に横切り、第1領域52−1および第2領域52−2を接続する接続領域52−4を有する。第1領域52−1、第2領域52−2および接続領域52−4は、同一の材料で一体に形成されてよい。
【0096】
ダミーゲートランナー54は、半導体基板10の内部に形成されたトレンチ型のランナーであってよい。この場合ダミーゲートランナー54は、ゲートトレンチ部40と同様に、トレンチの内壁に形成された絶縁膜42と、絶縁膜42に覆われた導電部44とを有してよい。
図4cは、ダミーゲートランナー54がトレンチ型ランナーの場合である。なお、他の例では、ダミーゲートランナー54は、半導体基板10と、内側ダミーゲート金属層51−2および接続領域52−4との間に層間絶縁膜を介して設けられた、ポリシリコン等の配線であってよい。
【0097】
このような構造により、エミッタ電極52の各領域を金属の接続領域52−4で接続できる。このため、エミッタ電極52における電位を均一にし、また、各領域間の熱伝導性を向上できる。また、エミッタ電極52の接続領域52−4と、ダミーゲートランナー54とをブリッジ状に交差させることで、接続領域52−4により分離された内側ダミーゲート金属層51−2を電気的に接続できる。
【0098】
また、ゲートランナー53も、ダミーゲートランナー54と同様に、第1空隙17において接続領域52−4とブリッジ状に交差する。ゲートランナー53は、ダミーゲートランナー54と同一の高さ位置(Z軸方向の位置)に形成されてよい。これにより、エミッタ電極52の各領域を接続領域52−4で接続しつつ、ゲートランナー53もY軸方向に延伸させることができる。ゲートランナー53は、半導体基板10の内部に形成されたトレンチ型のランナーであってよい。
図4cは、ゲートランナー53がトレンチ型ランナーの場合である。
【0099】
本例において、トランジスタ部70とダイオード部80との境界は、直線形状のゲートトレンチ部40にY軸方向に隣り合うU字形状のダミートレンチ部30である。また、内側ダミーゲート金属層51−2を挟んでX軸方向に対向する2つのダイオード部80については、それぞれU字形状のダミートレンチ部30のX軸方向の端部までを、便宜的にダイオード部80といってよい。なお、
図4cにおいて一方の端部がU字形状のダミートレンチ部30は、逆側の端部もU字形状であってよい。つまりダミートレンチ部30は、X軸方向における両端がU字の長円形状を有してよい。
【0100】
本例のトランジスタ部70は、ゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30とを有する。トランジスタ部70のゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、X軸方向に延伸し、かつ、Y軸方向において交互に設けられてよい。トランジスタ部70におけるゲートトレンチ部40は、X軸方向において対向する一のトランジスタ部70から他のトランジスタ部70まで延伸してよい。ダミートレンチ部30は、ウェル領域11の内部で直線状に終端してよい。トランジスタ部70におけるゲートトレンチ部40は、内側ダミーゲート金属層51−2の下方において内側ダミーゲート金属層51−2をX軸方向に横切ってよい。
【0101】
なお、ダイオード部80のダミートレンチ部30は、X軸方向に対向する2つのダイオード部80の間の少なくとも一部の領域には設けられなくてよい。つまり、X軸方向に対向する2つのダイオード部80の間において、ダミートレンチ部30は分離していてよい。ただし、それぞれのダミートレンチ部30のX軸方向の先端は、内側ダミーゲート金属層51−2の下方まで延伸している。それぞれのダミートレンチ部30の導電部44は、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホール72を介して内側ダミーゲート金属層51−2と電気的に接続される。
【0102】
本例において、ダイオード部80のダミートレンチ部30は、X軸方向の各端部においてU字形状を成す。U字形状は、X軸方向に平行な2つの長手部とY軸方向に平行な1つの短手部とにより構成されてよい。内側ダミーゲート金属層51−2に対してX軸の正方向側に位置するダイオード部80のダミートレンチ部30の端部は順方向のU字形状を構成してよく、内側ダミーゲート金属層51−2よりもX軸の負方向に位置するダイオード部80のダミートレンチ部30の端部は逆方向のU字形状を構成してよい。ダイオード部80のダミートレンチ部30は、順方向のU字形状と逆方向のU字形状との長手部を各々接合した形状を有してよい。
【0103】
ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の各々は、半導体基板10内に設けられてよい。ゲートトレンチ部40の導電部44は、Y軸方向に沿ったトレンチ型のゲートランナー53と直交することにより、電気的に接続されてよい。本例のゲートランナー53は、内側ダミーゲート金属層51−2の下方において、内側ダミーゲート金属層51−2に沿って設けられている。上述したようにゲートランナー53は、エミッタ電極52の接続領域52−4の下方をY軸方向に横切っている。ゲートランナー53のX軸方向における幅は、内側ダミーゲート金属層51−2のX軸方向における幅よりも小さくてよい。
【0104】
ダミートレンチ部30の導電部44は、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホール31によりエミッタ電極52と電気的に接続してよい。なお
図4cの例においては、ダイオード部80のダミートレンチ部30が、コンタクトホール72を介して内側ダミーゲート金属層51−2に接続されているが、他の例では、トランジスタ部70のダミートレンチ部30も、コンタクトホール72を介して内側ダミーゲート金属層51−2に接続されてよい。内側ダミーゲート金属層51−2は、ウェル領域11の上方に設けられてよい。
【0105】
トレンチ部の形状以外のトランジスタ部70およびダイオード部80の構造は、
図1cに示したトランジスタ部70およびダイオード部80と同様である。Y軸方向における接続領域52−4の幅は、Y軸方向における1つのダイオード部80の幅よりも小さくてよい。接続領域52−4の幅は、ダイオード部80の幅の3/4以下であってよく、1/2以下であってもよい。例えば、ダイオード部80の幅は200μmであり、接続領域52−4の幅は80μmである。このように、接続領域52−4の幅をダイオード部80の幅よりも小さくすることにより、その分だけ、内側ダミーゲート金属層51−2のY軸方向の長さを長くすることができる。これに応じて、ダミーゲートランナー54のコンタクトホール74間の距離を短くできる。このため、コンタクトホール74間のダミーゲートランナー54における抵抗値を低減できる。
【0106】
図4dは、第1空隙17の近傍を更に拡大した図である。
図4dにおいては、エミッタ電極52の接続領域52−4をX軸方向に横切る断面をa−a'断面とする。また、ダミーゲートランナー54をY軸方向に横切る断面をb−b'断面とする。
【0107】
図4eは、
図4dにおけるa−a'断面の一例を示す図である。本例において、ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54はトレンチ型のランナーである。ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54のそれぞれは、半導体基板10の上面21から半導体基板10の内部まで形成されたトレンチと、トレンチ内壁に形成された絶縁膜42と、絶縁膜42に覆われた導電部44とを有する。ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54のそれぞれは、全体がウェル領域11の内部に形成されている。
【0108】
ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54のそれぞれは、Y軸方向に延伸して設けられている。半導体基板10の上面21には層間絶縁膜38が設けられ、層間絶縁膜38の上を、接続領域52−4がX軸方向に延伸している。
【0109】
このような構成によって、ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54と、エミッタ電極52の接続領域52−4とをブリッジ状に交差させることができる。また、ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54をトレンチ型のランナーにすることで、半導体基板10の上面21の上側の構造をより平坦にできる。
【0110】
半導体基板10は、シリコン基板であってよく、炭化シリコン基板であってよく、窒化ガリウム等の窒化物半導体基板等であってもよい。本例の半導体基板10はシリコン基板である。
【0111】
層間絶縁膜38の上方には、X軸方向正側にエミッタ電極52の第1領域52−1が、X軸方向負側にエミッタ電極52の第2領域52−2が、それぞれ設けられる。第1領域52−1および第2領域52−2に挟まれる領域には、接続領域52−4が設けられる。
【0112】
本例の半導体装置100は、ダイオード部80において、上面21にベース領域14が設けられる。ベース領域14は、一例としてP−型である。X軸方向正側および負側のダイオード部80に挟まれる領域においては、上面21にベース領域14よりも深く形成されたウェル領域11が設けられる。ウェル領域11は、一例としてP+型である。
【0113】
本例の半導体装置100は、下面23にコレクタ領域22が設けられる。コレクタ領域22は、一例としてP+型である。コレクタ領域22は、X軸方向においてウェル領域11の幅よりも長く設けられてよい。コレクタ領域22は、ダイオード部80までオーバーラップしてよい。
【0114】
ベース領域14およびウェル領域11の下方には、ドリフト領域18が設けられる。ドリフト領域18は、一例としてN−型である。ドリフト領域18の下方には、バッファ領域20が設けられる。バッファ領域20は、一例としてN+型である。また、下面23にはコレクタ電極24が設けられる。
【0115】
本例の半導体装置100は、第1空隙17に、エミッタ電極52−1およびエミッタ電極52−2を接続する接続領域52−4が設けられる。また、第1空隙17に、エミッタ電極52−2およびエミッタ電極52−3を接続する接続領域52−4が設けられる。このため、
図1aに示す半導体装置100よりも、エミッタ電位を均一にすることができる。
【0116】
図4fは、
図4dにおけるb−b'断面の一例を示す図である。ダミーゲートランナー54は、半導体基板10の内部に設けられたトレンチ型のランナーである。ダミーゲートランナー54とエミッタ電極52の接続領域52−4との間には、層間絶縁膜38が形成される。
【0117】
ダミーゲートランナー54は、Y軸方向において第1空隙17の両側に配置された2つの内側ダミーゲート金属層51−2と、コンタクトホール74を介して電気的に接続される。また、ダミーゲートランナー54は接続領域52−4の下方をY軸方向に横切っており、接続領域52−4はダミーゲートランナー54の上方をX軸方向に横切っている。このような構造により、内側ダミーゲート金属層51−2の電気的な接続を確保しつつ、エミッタ電極52の2つの領域を金属で接続できる。
【0118】
図5aは、本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、温度センス配線92に沿って設けられたゲート金属層97を有する点で、
図4aに示す半導体装置100と異なる。ゲート金属層97は、ゲート金属層50と同一の材料で一体に形成されてよい。また、本例のゲート金属層50は、外側ゲート金属層50−1および内側ゲート金属層50−2を有する。
【0119】
外側ゲート金属層50−1は、ゲート金属層50のうち、外周領域61に配置された部分である。外側ゲート金属層50−1は、半導体基板10の上面視において活性部60を囲んで設けられてよい。内側ゲート金属層50−2は、活性部60の上方に配置される。外側ゲート金属層50−1は、ゲートパッド55に接続される。内側ゲート金属層50−2は、外側ゲート金属層50−1とゲートトレンチ部40の導電部44とを接続する。本例の内側ゲート金属層50−2は、Y軸方向に延伸して設けられている。本例の内側ゲート金属層50−2は、X軸方向に延伸する外側ダミーゲート金属層51−1をX軸方向に分断している。また、内側ゲート金属層50−2は、内側ダミーゲート金属層51−2をX軸方向に分断している。つまり、内側ゲート金属層50−2は、2本の内側ダミーゲート金属層51−2にX軸方向に挟まれている。
【0120】
内側ゲート金属層50−2には、第2空隙19が設けられる。つまり内側ゲート金属層50−2は、第2空隙19において分離している。第2空隙19は、第1空隙17とX軸方向において対向する位置に設けられる。つまり第2空隙19は、第1空隙17とY軸方向において略同じ位置に配置されてよい。第2空隙19には、ゲートランナー53が設けられている。ゲートランナー53は、ダミーゲートランナー54と隣り合って、Y軸方向において略同じ位置に配置されてよい。
【0121】
ゲートランナー53の両端は、それぞれ内側ゲート金属層50−2に接続される。ゲートランナー53の一端は、外側ゲート金属層50−1に接続されてもよい。
【0122】
第1空隙17および第2空隙19には、エミッタ電極52の各領域を接続する接続領域52−4が設けられる。第1空隙17および第2空隙19において、エミッタ電極52の接続領域52−4と、ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54とがブリッジ状に交差することで、内側ゲート金属層50−1の電気的な接続と、内側ダミーゲート金属層51−1の電気的な接続とを確保しつつ、エミッタ電極52の各領域を金属の接続領域52−4で接続できる。
【0123】
なお、半導体基板10の上面視で温度センス配線92と交差するゲートランナー53およびダミーゲートランナー54は、温度センス配線92の下方をY軸方向に貫き、連続して設けられている。
【0124】
温度センス配線92に沿って設けられるゲート金属層97は、温度センス配線92のY軸方向正側および負側、並びにX軸方向正側を囲うように設けられてよい。ゲート金属層97は、温度センス配線92の長手方向と略平行な方向に延伸し、半導体基板10の上面視で活性部60の外側から内側にY軸方向に延伸する内側ゲート金属層50−2と接続されてよい。
【0125】
ゲート金属層97と温度センス配線92との間には、半導体基板10の上面視で、他の金属電極が設けられていない。ただし、ゲート金属層97と温度センス配線92とは分離して設けられている。温度センス配線92をY軸方向で挟む2本のゲート金属層97は、温度センス配線92の長手方向に略平行に延伸してよい。温度センス配線92(または温度センス部90)のX軸方向の先端において、2本のゲート金属層97が互いに接続されている。ゲート金属層97の当該接続部分は、温度センス配線92の長手方向に略直交する方向に延伸してよい。ゲート金属層97の当該接続部分は、2本の内側ダミーゲート金属層51−2に挟まれた内側ゲート金属層50−2に接続されていてよい。
【0126】
本例の半導体装置100は、ゲートランナー53よりも抵抗の低い内側ゲート金属層50−2が活性部60の上方まで設けられ、且つ、ゲート金属層97が温度センス配線92に沿って設けられるので、
図4aに示す半導体装置100と比較して、トランジスタ部70に供給されるゲート電圧を均一にすることができる。このため、トランジスタ部70の耐量低下を防ぐことができる。
【0127】
本例の半導体装置100においては、幅Waは、幅Wbの1.5倍以上2.5倍以下であってよい。また、幅Wdは、幅Waの0.01倍以上0.1倍以下であってよい。また、幅Wcは、幅Wbの0.8倍以上1.2倍以下であってよい。本例においては、幅Wb>幅Wdである。即ち、温度センス配線92の下方に交差してY軸方向に設けられるゲートランナー53のY軸方向の長さが、
図1aに示す半導体装置100よりも小さい。本例におけるWb/Wd比は、
図4aに示す半導体装置100のWb/Wd比よりも、さらに大きい。
【0128】
本例の半導体装置100においては、幅Waは、一例として6650μmである。また、幅Wbは、一例として3400μmである。また、幅Wcは、一例として3500μmである。幅Wdは、一例として250μmである。
【0129】
本例の半導体装置100は、ゲートパッド55が延伸領域64とは異なる位置に配置され、且つダミーゲートパッド56−1およびケルビンパッド56−2が、ゲートパッド55と同一の分割領域(本例では第2分割領域68)に設けられる。このため、温度センス配線92の下方に交差してY軸方向に設けられるゲートランナー53のY軸方向の長さを、
図1aに示す半導体装置100よりも小さくすることができる。
【0130】
本例の半導体装置100は、ゲート金属層50よりも抵抗が高いゲートランナー53の長さを、
図1aに示す例よりも小さくすることができる。つまり、ゲートパッド55が設けられていない第1分割領域66において、活性部60と温度測定用パッド94との間に設けられるゲート金属層50−3を、Y軸方向に
温度センス配線92の近傍まで延伸させることができる。このため、温度測定用パッド94と対向するトランジスタ部70のゲートトレンチ部40に、金属のゲート金属層50−3を介してゲート電圧を印加できる。従って、
図1aに示す半導体装置100よりも、トランジスタ部70に供給されるゲート電圧を均一にすることができる。このため、トランジスタ部70の耐量低下を防ぐことができる。
【0131】
図5bは、第1空隙17および第2空隙19の近傍における半導体基板10の上面を示す図である。本例のトランジスタ部70およびダイオード部80の構造は、
図4cに示した例と同様である。
【0132】
図5bにおいて、エミッタ電極52、内側ゲート金属層50−2および内側ダミーゲート金属層51−2の外形を太い破線により示す。なお、半導体基板10の上方には、層間絶縁膜が設けられているが、
図5bにおいては省略している。例えば内側ゲート金属層50−2、内側ダミーゲート金属層51−2およびエミッタ電極52と半導体基板10の上面との間には層間絶縁膜が設けられているが
図5bでは省略している。また、ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54と、半導体基板10との間に設けられる層間絶縁膜、ならびに、ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54と、エミッタ電極52、内側ゲート金属層50−2および内側ダミーゲート金属層51−2との間に設けられる層間絶縁膜も、
図5bでは省略している。
【0133】
上述したように、内側ゲート金属層50−2は、Y軸方向に延伸して設けられる。内側ゲート金属層50−2は、トランジスタ部70のゲートトレンチ部40と、コンタクトホール76を介して電気的に接続されてよい。内側ゲート金属層50−2は第2空隙19を有する。第2空隙19を挟む2つの内側ゲート金属層50−2は、ポリシリコン等の導電材料で形成されたゲートランナー53により電気的に接続されている。内側ゲート金属層50−2とゲートランナー53とは、層間絶縁膜に形成されたコンタクトホール74により電気的に接続されている。
【0134】
本例のエミッタ電極52は、内側ゲート金属層50−2およびゲートランナー53を境界として複数の領域に分離されている。
図5bの例では、第1領域52−1および第2領域52−2を示している。エミッタ電極52は、ゲートランナー53の上方をX軸方向に横切り、第1領域52−1および第2領域52−2を接続する接続領域52−4を有する。第1領域52−1、第2領域52−2および接続領域52−4は、同一の材料で一体に形成されている。
【0135】
なお、ゲートランナー53は、半導体基板10と、内側ゲート金属層50−2および接続領域52−4との間に層間絶縁膜を介して設けられた、ポリシリコン等の配線であってよい。他の例では、ゲートランナー53は、半導体基板10の内部に形成されたトレンチ型のランナーであってよい。
【0136】
本例では、内側ゲート金属層50−2をX軸方向において挟んで、内側ダミーゲート金属層51−2が設けられている。また、ゲートランナー53をX軸方向において挟んで、ダミーゲートランナー54が設けられている。それぞれの内側ダミーゲート金属層51−2およびダミーゲートランナー54の構造は、
図4cに示した例と同様である。
【0137】
このような構造により、エミッタ電極52の各領域を金属の接続領域52−4で接続できる。このため、エミッタ電極52における電位を均一にし、また、各領域間の熱伝導性を向上できる。また、エミッタ電極52の接続領域52−4と、ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54とをブリッジ状に交差させることで、接続領域52−4により分離された内側ゲート金属層50−2を電気的に接続でき、また、接続領域52−4により分離された内側ダミーゲート金属層51−2を電気的に接続できる。
【0138】
図5cは、第1空隙17および第2空隙19の近傍を更に拡大した図である。
図5cにおいては、エミッタ電極52の接続領域52−4をX軸方向に横切る断面をc−c'断面とする。また、ダミーゲートランナー54をY軸方向に横切る断面をd−d'断面とする。
【0139】
図5dは、
図5cにおけるc−c'断面を示す図である。本例において、ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54はトレンチ型のランナーである。ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54のそれぞれは、半導体基板10の上面21から半導体基板10の内部まで形成されたトレンチと、トレンチ内壁に形成された絶縁膜42と、絶縁膜42に覆われた導電部44とを有する。ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54のそれぞれは、全体がウェル領域11の内部に形成されている。
【0140】
ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54のそれぞれは、Y軸方向に延伸して設けられている。半導体基板10の上面21には層間絶縁膜38が設けられ、層間絶縁膜38の上を、接続領域52−4がX軸方向に延伸している。
【0141】
このような構成によって、ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54と、エミッタ電極52の接続領域52−4とをブリッジ状に交差させることができる。また、ゲートランナー53およびダミーゲートランナー54をトレンチ型のランナーにすることで、半導体基板10の上面21の上側の構造をより平坦にできる。
【0142】
図5eは、
図5cにおけるd−d'断面を示す図である。上述したように、ダミーゲートランナー54は、半導体基板10の内部に設けられたトレンチ型のランナーである。ダミーゲートランナー54は、Y軸方向において第1空隙17の両側に配置された2つの内側ダミーゲート金属層51−2と、コンタクトホール74を介して電気的に接続される。また、ダミーゲートランナー54は接続領域52−4の下方をY軸方向に横切っており、接続領域52−4はダミーゲートランナー54の上方をX軸方向に横切っている。このような構造により、内側ダミーゲート金属層51−2の電気的な接続を確保しつつ、エミッタ電極52の2つの領域を金属で接続できる。
【0143】
図6は、本実施形態に係る半導体装置100の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70およびダイオード部80の長辺をY軸方向に設けた一例である。
図5aに示す半導体装置100と比較して、トランジスタ部70およびダイオード部80の向きが90度異なる。
【0144】
温度センス配線92に沿って設けられるゲート金属層97は、温度センス配線92を囲うように設けられてよい。温度センス配線92をY軸方向において挟む2本のゲート金属層97は、温度センス配線92の延伸方向と略平行な方向に延伸する。ゲート金属層97は、内側ゲート金属層50−2により、半導体基板10の上面視でY軸方向に延伸する2本の外側ゲート金属層50−1のうち、温度センス配線92とは逆側に配置された外側ゲート金属層50−1と電気的に接続されてよい。
【0145】
温度センス部90は、Y軸方向にトランジスタ部70と並んで設けられてよい。つまり、温度センス部90は、半導体基板10の上面視において、Y軸方向に並んだ2つのトランジスタ部70に挟まれている。トランジスタ部70は、活性部60の面積の過半を占めるので、活性部60の温度は、ダイオード部80の近傍よりもトランジスタ部70の近傍の温度に、より依存する。このため、本例の半導体装置100は、
活性部60の温度を、より正確に測定することができる。
【0146】
図7aは、本実施形態に係る半導体装置200の上面の一例を示す図である。半導体装置200は、温度センス配線92の構造が、半導体装置100と異なる。本例の温度センス配線92は、温度センス配線92−1および温度センス配線92−2を有する。温度センス配線92−1は、温度センス部90に接続されて活性部60内を配列方向(Y軸方向)に延伸して設けられる。温度センス配線92−2は、X軸方向に延伸して設けられ、温度センス配線92−1の端部と、温度測定用パッド94とを接続する。温度センス配線92−1は、温度センス部90から外周領域61に向かう方向に設けられた長手部分93(
図1a参照)に対応する。温度センス配線92−2は、外周領域61に設けられる。温度測定用パッド94は、複数のパッドのうちY軸方向において最も端に設けられたパッドであってよい。
【0147】
温度センス配線92−1と素子領域(トランジスタ部70およびダイオード部80)の間には、ダミーゲート金属層98が設けられてよい。本例では、2本のダミーゲート金属層98が、温度センス配線92−1をX軸方向に挟むように設けられている。2本のダミーゲート金属層98は、温度センス配線92−1に沿ってY軸方向に延伸して設けられている。2本のダミーゲート金属層98は、温度センス配線92−1のY軸方向の先端の近傍において、互いに接続されている。ダミーゲート金属層98は、Y軸方向に延伸するダミーゲート金属層99と接続されてよい。ダミーゲート金属層98は、分割部46において、温度センス配線92−1を囲うように設けられてよい。ダミーゲート金属層99は、X軸方向において隣り合う素子領域の間に設けられている。
【0148】
ダミーゲート金属層99は、ダミーゲート金属層98とダミーゲート金属層51とを接続する。ダミーゲート金属層51は、X軸方向に延伸して設けられている。ダミーゲート金属層51は、ゲート金属層50と活性部60との間に設けられ、ダミーゲートパッド56−1に接続されている。ダミーゲート金属層98およびダミーゲート金属層99は、ダミーゲート金属層51と同一材料で一体に形成されてよい。
【0149】
ダミーゲート金属層98と素子領域の間には、ゲート金属層97が設けられてよい。本例では、2本のゲート金属層97が、2本のダミーゲート金属層98および温度センス配線92−1をX軸方向において挟むように設けられている。2本のゲート金属層97のうち、温度センス配線92−2とは逆側に配置されたゲート金属層97−1は、活性部60をY軸方向に横切って設けられてよい。温度センス配線92−2と同じ側に配置されたゲート金属層97−2は、温度センス配線92−2に沿ってX軸方向に延伸する部分を有してよい。ゲート金属層97−2は更に、活性部60と、各パッドとの間をY軸方向に延伸する部分を有してよい。ゲート金属層97−2は、これらの部分を介してゲートパッド55に接続されてよい。また、ゲート金属層97−2は、ダミーゲート金属層99に沿って配置されてよい。本例のダミーゲート金属層99は、ゲート金属層97−1およびゲート金属層97−2にX軸方向において挟まれている。
【0150】
本例の半導体装置200は、活性部60にトランジスタ部70およびダイオード部80が複数設けられてよい。
図7aは、温度センス部90等の分割部46で分割される活性部60のうち、ゲートパッド55とは逆側の活性部60において、トランジスタ部70がY軸方向7つ、ダイオード部80がY軸方向に6つ設けられる一例を示している。また、ゲートパッド55と同じ側の活性部60において、トランジスタ部70がY軸方向6つ、ダイオード部80がY軸方向に5つ設けられる一例を示している。なお、分割部46に対してゲートパッド55と同じ側の活性部60におけるトランジスタ部70のうち、ダミーゲート金属層51に最も近いトランジスタ部70の幅は、ダミーゲート金属層51の存在により、他のトランジスタ部70の幅WIよりも小さく設けられる。
【0151】
温度センス部90は、活性部60の上方に設けられる。温度センス部90の上面視における長辺は、トランジスタ部70およびダイオード部80の配列方向(本例においてはY軸方向)と平行に設けられてよい。温度センス部90は、活性部60の温度を検知する。温度センス部90は、シリコンで形成される温度センスダイオードであってよい。
【0152】
ゲート金属層50は、半導体基板10の上面視で、トランジスタ部70およびダイオード部80を囲うように設けられてよい。ゲート金属層50は、外周領域61に設けられるゲートパッド55と電気的に接続される。ゲートパッド55は、半導体基板10の上面視で、X軸方向において、Y軸方向に延伸する2本のゲート金属層50の間に設けられてよい。
【0153】
ゲート金属層50はアルミニウムまたはアルミニウム‐シリコン合金で形成されてよい。ゲート金属層50は、トランジスタ部70に電気的に接続され、トランジスタ部70にゲート電圧を供給する。
【0154】
ダミーゲート金属層51は、半導体基板10の上面視で、ゲート金属層50の内側に設けられてよい。ダミーゲート金属層51は、活性部60の上方において、Y軸方向に延伸する温度センス配線92およびゲート金属層50を囲うように設けられてよい。ダミーゲート金属層51は、活性部60の外に設けられるダミーゲートパッド56−1と電気的に接続される。
【0155】
ダミーゲート金属層51は、ダイオード部80に電気的に接続され、ダイオード部80にダミーゲート電圧を供給する。ダミーゲート金属層51はアルミニウムまたはアルミニウム‐シリコン合金で形成されてよい。
【0156】
本例の半導体装置200は、温度センス配線92−2および温度測定用パッド94が活性部60の外側且つY軸方向の端部に配置されている。また、ゲート金属層97−2およびダミーゲート金属層98が温度センス配線92に沿って設けられる。このため、温度センス配線92−2をまたぐゲートランナー53およびダミーゲートランナー54を設けなくてよい。このため、
図1aに示す半導体装置100よりも、トランジスタ部70に供給されるゲート電圧を均一にすることができる。このためトランジスタ部70の耐量低下を防ぐことができる。
【0157】
図7bは、
図7aにおいて、エミッタ電極52を付加して示す図である。
図7bにおいて、エミッタ電極52が形成される領域を太線で囲っている。本例において、エミッタ電極52は、分割部46により分割される。
【0158】
エミッタ電極52は、
図7bに示すように、トランジスタ部70およびダイオード部80の上方に設けられる。エミッタ電極52の第1領域52−1は、X軸方向正側のトランジスタ部70およびダイオード部80の上方に設けられる。エミッタ電極52の第2領域52−2は、X軸方向負側のトランジスタ部70およびダイオード部80の上方に設けられる。エミッタ電極52は、活性部60の外に設けられるケルビンパッド56−2と電気的に接続される。なお、本例においても、エミッタ電極52は、第1領域52−1および第2領域52−2を接続する接続領域52−4を有してよい。この場合、例えばダミーゲート金属層99と、ダミーゲート金属層99に対してX軸方向に隣り合って配置されたゲート金属層97が空隙を有してよい。
【0159】
図8aは、本実施形態に係る半導体装置200の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置200は、温度センス配線92−1と素子領域の間には、ゲート金属層97が設けられ、ゲート金属層97と素子領域の間には、ダミーゲート金属層98が設けられる点で、
図7aに示す半導体装置200と異なる。
【0160】
本例において温度センス部90、温度センス配線92および温度測定用パッド94の配置は、
図7aに示した例と同一である。本例では、温度センス配線92を囲んでゲート金属層97が配置されている。また、温度センス配線92と、ゲート金属層97とをX軸方向において挟むように、2本のダミーゲート金属層98が配置されている。2本のダミーゲート金属層98は、温度センス配線92の先端近傍においてダミーゲート金属層99に接続されている。ゲート金属層50は、ダミーゲート金属層99に沿ってY軸方向に延伸する内側ゲート金属層50−2を有してよい。本例においても、トランジスタ部70に供給されるゲート電圧を均一にすることができる。このためトランジスタ部70の耐量低下を防ぐことができる。
【0161】
図8bは、
図8aにおいて、エミッタ電極52を付加して示す図である。
図8bにおいて、エミッタ電極52が形成される領域を太線で囲っている。本例において、エミッタ電極52は、分割部46により分割される。
【0162】
エミッタ電極52は、
図8bに示すように、トランジスタ部70およびダイオード部80の上方に設けられる。エミッタ電極52の第1領域52−1は、X軸方向正側のトランジスタ部70およびダイオード部80の上方に設けられる。エミッタ電極52の第2領域52−2は、X軸方向負側のトランジスタ部70およびダイオード部80の上方に設けられる。エミッタ電極52は、活性部60の外に設けられるケルビンパッド56−2と電気的に接続される。なお、本例においても、エミッタ電極52は、第1領域52−1および第2領域52−2を接続する接続領域52−4を有してよい。この場合、例えばダミーゲート金属層99と、ダミーゲート金属層99に対してX軸方向に隣り合って配置された内側ゲート金属層50−2が空隙を有してよい。
【0163】
図9は、本実施形態に係る半導体装置200の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置200は、
図8aに示す半導体装置200において、ダミーゲート金属層51およびダミーゲートパッド56−1を有さない点で、
図8aに示す半導体装置200と異なる。本例のゲート金属層97は、内側ゲート金属層50−2に接続されている。本例の内側ゲート金属層50−2は、2つの素子領域(トランジスタ部70またはダイオード部80)に挟まれて設けられている。内側ゲート金属層50−2は、温度センス部90とX軸方向における位置が同一であってよい。
【0164】
本例の半導体装置200は、ダミーゲート金属層51を有さないので、ゲート金属層50を、
図8aに示す半導体装置200よりも広い面積にわたり設けることができる。このため、
図8aに示す半導体装置200よりも、トランジスタ部70に供給されるゲート電圧を均一にすることができる。このためトランジスタ部70の耐量低下を防ぐことができる。なお、本例の半導体装置200は、
図8bに示す半導体装置200と同様に、エミッタ電極52は、分割部46により分割されて設けられる。
【0165】
また、本例の半導体装置200は、ダミーゲート金属層51を有さないので、トランジスタ部70およびダイオード部80の面積を、
図8aに示す半導体装置200よりも広くすることができる。
【0166】
図10は、半導体装置200の他の構成例を示す上面図である。本例の半導体装置200においては、検知部96が、温度センス部90として機能する。本例の半導体装置200は、活性部60内の温度センス部90および温度センス配線92を有さない。検知部96は外周領域61において、ゲートパッド55と、温度測定用パッド94との間に設けられている。検知部96と温度測定用パッド94は、導電性の配線により、温度測定用パッド94に電気的に接続している。検知部96と温度測定用パッド94を接続する導電性の配線(不図示)は、ポリシリコンであってよい。検知部96は、温度検知結果に基づく電流を出力する。出力された電流は導電性の配線を流れ、温度測定用アノードパッド94−2に達する。
【0167】
本例のゲート金属層50は、活性部60と、温度測定用パッド94および
検知部96との間を通り、Y軸方向にゲートパッド55まで延伸する外側ゲート金属層50−2を有する。このため、温度センス配線をまたぐゲートランナー53を設けなくともよい。このため、トランジスタ部70に供給されるゲート電圧を均一化して、トランジスタ部70の耐量低下を防ぐことができる。
【0168】
本例の外側ダミーゲート金属層51−1は、ダミーゲートパッド56−1からX軸方向に延伸する。また、外側ダミーゲート金属層51−1のX軸方向の先端には、Y軸方向に延伸する内側ダミーゲート金属層51−2が接続されている。本例の半導体装置200は、Y軸方向に延伸する2本の内側ゲート金属層50−2を有する。2本の内側ゲート金属層50−2は、内側ダミーゲート金属層51−2を挟むように配置されている。内側ダミーゲート金属層51−2を基準として、外側ダミーゲート金属層51−1とは逆側に配置された内側ゲート金属層50−2は、活性部60の全体をY軸方向に横切って設けられている。外側ダミーゲート金属層51−1と同じ側に配置された内側ゲート金属層50−2は、Y軸方向において外側ダミーゲート金属層51−1とは逆側の外側ゲート金属層50−1から、外側ダミーゲート金属層51−1と最も近いトランジスタ部70と対向する位置まで設けられている。ただし、当該内側ゲート金属層50−2は、外側ダミーゲート金属層51−1とは接していない。
【0169】
図11は、半導体装置200の他の構成例を示す上面図である。本例の半導体装置200は、
図8aに示した半導体装置200に対して、ダミーゲート金属層99−2を更に備える。他の構造は、
図8aに示した半導体装置200と同一である。
【0170】
本例では、ダミーゲート金属層99−1およびダミーゲート金属層99−2は、内側ゲート金属層50−2をX軸方向に挟んで配置されている。ダミーゲート金属層99−2は、ダミーゲート金属層98から、外側ゲート金属層50−1に最も近いトランジスタ部70と対向する位置まで、Y軸方向に延伸して設けられている。ただし、ダミーゲート金属層99−2は、外側ゲート金属層50−1とは接していない。本例によれば、ダミーゲート金属層を、各トランジスタ部70と容易に接続できる。
【0171】
図12は、半導体装置200の他の構成例を示す上面図である。本例の半導体装置200は、
図10に示した半導体装置200の構成に対して、内側ゲート金属層50−2と、内側ダミーゲート金属層51−2の構造が相違する。他の構造は、
図10に示した半導体装置200と同一である。
【0172】
本例の半導体装置200は、Y軸方向に延伸する2本の内側ダミーゲート金属層51−2を有する。それぞれの内側ダミーゲート金属層51−2は、Y軸方向において、活性部60の一方の端に配置されたトランジスタ部70と対向する位置から、他方の端に配置されたトランジスタ部70と対向する位置まで延伸している。なお、2本の内側ダミーゲート金属層51−2のうち、外側ダミーゲート金属層51−1に近い内側ダミーゲート金属層51−2は、外側ダミーゲート金属層51−1に接続されている。また、2本の内側ダミーゲート金属層51−2は、X軸方向に延伸する内側ダミーゲート金属層51−3により互いに接続されている。内側ダミーゲート金属層51−3は、Y軸方向において、活性部60の中央に配置されてよい。
【0173】
内側ゲート金属層50−2は、2本の内側ダミーゲート金属層51−2に挟まれて配置されている。内側ゲート金属層50−2は、活性部60をY軸方向に横断して設けられる。ただし内側ゲート金属層50−2は、内側ダミーゲート金属層51−3により分断されている。つまり、内側ゲート金属層50−2は、外側ゲート金属層50−1から、内側ダミーゲート金属層51−3の近傍まで延伸している。
【0174】
図13は、半導体装置200の他の構成例を示す上面図である。本例の半導体装置200は、
図10に示した半導体装置200の構成に対して、内側ゲート金属層50−2の構造が相違する。また、本例の半導体装置200は、ダミーゲートパッド56−1と、ダミーゲート金属層とを備えない。他の構造は、
図10に示した半導体装置200と同一である。本例の内側ゲート金属層50−2は、活性部60をY軸方向に横断する。内側ゲート金属層50−2は、X軸方向において活性部60の中央に配置されてよい。
【0175】
図14は、外側ゲート金属層50−1と、内側ゲート金属層50−2の交差部分の拡大図である。本例においては、ゲートランナー53が、外側ゲート金属層50−1および内側ゲート金属層50−2と重なって配置されている。本例のゲートランナー53は、ゲート金属層50と、半導体基板10との間に配置されたポリシリコン等の配線である。本例のゲートランナー53は、ゲート金属層50に沿って配置されている。つまりゲート金属層50がT字のように分岐している場合、ゲートランナー53も同様に分岐して設けられる。本例のゲートランナー53は、上面視において、ゲート金属層50よりもトランジスタ部70側に拡がって設けられる。ゲートランナー53は、トランジスタ部70のゲートトレンチ部40と接続される。
【0176】
ゲートランナー53とゲート金属層50とは、層間絶縁膜等により絶縁されている。層間絶縁膜には、コンタクトホール75およびコンタクトホール77が設けられている。コンタクトホール75およびコンタクトホール77には、ゲート金属層50と同一の導電材料が充填されてよく、タングステン等の異なる導電材料が充填されてもよい。コンタクトホール75は、ゲートランナー53と外側ゲート金属層50−1とを接続する。コンタクトホール77は、ゲートランナー53と内側ゲート金属層50−2とを接続する。コンタクトホール75およびコンタクトホール77は、それぞれ複数本が平行に設けられてよい。
【0177】
コンタクトホール75およびコンタクトホール77は、ゲート金属層50に沿って設けられる。ただし、ゲート金属層50が分岐する箇所において、コンタクトホール75とコンタクトホール77は接続していない。つまり、コンタクトホール75とコンタクトホール77との間には、間隙79が設けられている。間隙79には、層間絶縁膜等が配置されている。
【0178】
図15は、
図14におけるe−e'断面の一例を示す図である。e−e'断面は、コンタクトホール75を含むYZ面である。
図15には、コンタクトホール77を当該断面に投影した位置を点線で示している。
【0179】
上述したように、ゲート金属層50と、ゲートランナー53の間には層間絶縁膜38が設けられている。層間絶縁膜38に設けたコンタクトホール75およびコンタクトホール77により、ゲート金属層50と、ゲートランナー53が接続される。また、半導体基板10とゲートランナー53との間には、酸化膜等の絶縁膜37が設けられている。
【0180】
本例のコンタクトホール75は、X軸方向に長手を有する。半導体基板10の上面21と平行な面において、長手方向と垂直な方向(本例ではY軸方向)におけるコンタクトホール75の幅をW1とする。幅W1は、半導体基板10の上面21と接する位置におけるコンタクトホール75の幅を用いてよい。また、コンタクトホール75とコンタクトホール77との最短距離を幅W2とする。幅W2は、半導体基板10の上面21と接する位置における、コンタクトホール75の端部と、コンタクトホール77の端部とのY軸方向における距離を用いてよい。
【0181】
幅W2は、幅W1より大きくてよい。マスクによりレジストをパターニングするときに、アライメントのずれなどで、コンタクトホール75とコンタクトホール77が接続する場合がある。コンタクトホールが接続すると、コンタクトホールの幅が広がる。その結果ゲート金属層50が埋まらずゲートランナー53との間に空隙が生じ、ゲート金属層50がゲートランナー53に接触しなくなることがある。幅W2を幅W1より大きくすることで、ゲート金属層50とゲートランナー53との間の空隙の発生を抑え、良好な電気的接続を確保できる。
【0182】
コンタクトホール75に面する側のコンタクトホール77の端部は、上面視で、長手方向に沿ったゲート金属層50−1の内部に位置してよい。間隙79の下部に位置するゲートランナー53は、ゲート金属層50−1とは局所的に離れている。ゲートランナー53はゲート金属層よりも抵抗が高いため、ゲートの電位が変化すると、間隙79の下部に位置するゲートランナー53には微小な電位差が生じることがある。間隙79の下部における微小な電位差は、間隙79を挟んで互いに離れている任意の2か所のゲートトレンチ部40における、
それぞれの導電部44へのゲート信号の伝達時間に、ずれをもたらす。その結果、ターンオフが完了していない部分に電流が集中して、ターンオフ破壊がおきる場合がある。間隙79に相当する幅W2を不要に大きくさせないことで、間隙79の下部で生じる電位差を十分小さくすることができ、ターンオフ破壊を抑えることができる。
【0183】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0184】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。