特許第6835255号(P6835255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6835255
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】直流電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20210215BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   H02M3/28 H
   H02M7/12 Z
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-557083(P2019-557083)
(86)(22)【出願日】2018年10月31日
(86)【国際出願番号】JP2018040519
(87)【国際公開番号】WO2019107052
(87)【国際公開日】20190606
【審査請求日】2020年2月25日
(31)【優先権主張番号】特願2017-231269(P2017-231269)
(32)【優先日】2017年11月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-231268(P2017-231268)
(32)【優先日】2017年11月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-231270(P2017-231270)
(32)【優先日】2017年11月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】吉成 拓家
(72)【発明者】
【氏名】喜嶋 裕司
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−262172(JP,A)
【文献】 特開2013−46481(JP,A)
【文献】 特開平11−101836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の交流電源及び電動工具に接続されて、前記交流電源から供給される交流電流を直流電流に変換して前記電動工具に供給する直流電源装置であって、
電動工具に接続される接続部と、
前記接続部に接続した電動工具の情報を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に応じて、前記電動工具に供給する直流電流の電圧値を切り替える切替回路と、を備え、
前記接続部は、第1定格電圧の電動工具と、前記第1定格電圧よりも低い第2定格電圧の電動工具とに択一的に接続可能であり、
前記切替回路は、前記検出手段の検出結果が前記第1定格電圧のときには前記電圧値を第1電圧に設定し、前記検出手段の検出結果が前記第2定格電圧のときには前記電動工具に直流電圧を供給しない、直流電源装置。
【請求項2】
前記情報は、接続した電動工具の定格電圧の情報を含む、請求項1に記載の直流電源装置。
【請求項3】
外部の交流電源に接続されるコネクタ部と、
一端に前記コネクタ部を有するケーブル部と、
前記ケーブル部の他端に設けられ、前記検出手段と、前記接続部と、前記切替回路と、前記交流電源から供給される交流電流を直流電流に変換する変換手段と、を有するアダプタ部と、を備え、
前記変換手段は、整流回路と、変圧回路と、を含み、
前記アダプタ部は、前記接続部に設けられ前記電動工具に直流電流を出力する出力端子を有する、請求項2に記載の直流電源装置。
【請求項4】
前記アダプタ部は、
吸気口及び排気口を有し、前記検出手段、前記整流回路、及び前記変圧回路を収容するハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、前記吸気口から前記排気口への空気流を発生するファンと、を有する、請求項3に記載の直流電源装置。
【請求項5】
前記アダプタ部は、前記ハウジング内において第1方向に延びる第1基板を有し、
前記出力端子は、前記第1基板の第1面の側に設けられ、
前記整流回路及び前記変圧回路は、前記第1基板の第2面の側に設けられ、
前記第1基板は、前記第1方向において、前記吸気口と前記排気口との間に位置する、請求項4に記載の直流電源装置。
【請求項6】
前記接続部は、第1定格電圧の電動工具と、前記第1定格電圧よりも低い第2定格電圧の電動工具とに択一的に接続可能であり、
前記切替回路は、前記検出手段の検出結果が前記第1定格電圧のときには前記変圧回路の二次側の両端の電圧を前記出力端子側に出力し、前記検出手段の検出結果が前記第2定格電圧のときには前記変圧回路の二次側の一端と中間タップとの間の電圧を前記出力端子側に出力する、請求項3から5のいずれか一項に記載の直流電源装置。
【請求項7】
前記情報は、電動工具の状態に関する情報を含み、
前記切替回路は、前記検出手段による検出結果に応じて、前記接続部への直流電圧の出力を停止する停止手段である、請求項1に記載の直流電源装置。
【請求項8】
外部の交流電源からの交流電圧が入力される入力部と、
前記入力部と前記接続部との間に設けられた変圧回路と、を備え、
前記停止手段は、前記変圧回路への入力電流を遮断することで、前記接続部への直流電圧の出力を停止する、請求項7に記載の直流電源装置。
【請求項9】
前記検出手段は、電動工具の接続を示す信号を受信する接続状態検出端子を有し、
前記停止手段は、前記検出手段が電動工具の接続を示す信号を受信しない場合に、前記接続部への直流電圧の出力を停止する、請求項7または8に記載の直流電源装置。
【請求項10】
前記停止手段が前記接続部への直流電圧の出力を停止するか否かを切り替える制御部と、
前記制御部の動作電圧を生成する制御系電源部と、
前記停止手段が前記接続部への直流電圧の出力を停止するとき、前記制御系電源部から前記制御部への動作電圧の供給を遮断する遮断手段と、を備える、請求項7から9のいずれか一項に記載の直流電源装置。
【請求項11】
外部の交流電源及び電動工具に接続されて、前記交流電源から供給される交流電流を直流電流に変換して前記電動工具に供給する直流電源装置であって、
異常検出手段と、
電動工具の状態を検出する状態検出手段と、
電動工具に直流電流を供給する出力部と、
前記異常検出手段により異常が検出された場合に前記出力部への直流電流の出力を遮断する遮断手段と、を備え、
前記遮断手段は、前記異常により出力を遮断した場合に、前記状態検出手段により所定の状態が検出されることを、出力の遮断解除に必要な条件とする、直流電源装置。
【請求項12】
前記遮断手段は、前記異常が解消した場合、かつ前記状態検出手段により前記所定の状態が検出された場合に出力の遮断を解除する、請求項11に記載の直流電源装置。
【請求項13】
前記所定の状態は、電動工具の駆動、停止を指示する操作部が停止操作された状態である、請求項11又は12に記載の直流電源装置。
【請求項14】
外部の交流電源に接続されるコネクタ部と、
一端に前記コネクタ部を有するケーブル部と、
前記ケーブル部の他端に設けられ、電動工具に接続される接続部を有するアダプタ部と、
前記異常検出手段により異常が検出された場合に点灯する第1発光部と、
本直流電源装置に電動工具が接続されると点灯する第2発光部と、を備え、
前記第1及び第2発光部は、前記アダプタ部のハウジングの、前記ケーブル部の延出元側に設けられる、請求項11から13のいずれか一項に記載の直流電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の交流電源から供給される交流電流を直流電流に変換して電動工具に供給する直流電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コードレス式の電動工具のバッテリ着脱部に接続されて、外部の交流電源を直流電源に変換して前記電動工具へ駆動電源として供給する直流電源装置が従来から知られている。このような直流電源装置は、一般に、外部の交流電源に接続された時点で内部回路が駆動し、電動工具に接続されていない状態でも、直流電源を出力可能な状態(プラス側の出力端子とマイナス側の出力端子との間に直流電圧がかけられた状態)となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−278375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
直流電源装置を互いに定格電圧の異なる様々な電動工具に接続するために、従来は、コンバータとアダプタを別体とし、電動工具の定格電圧ごとに異なるアダプタを用いていたため、部品共通化の妨げとなっていた。また、直流電源装置は、トランス等の内部回路を有し、プラス側の出力端子とマイナス側の出力端子との間に直流電圧がかけられた状態では、電動工具に接続されていなくても内部回路の動作により電力を消費し、消費電力低減の観点で改善の余地があった。また、直流電源装置が異常により電動工具への出力を停止した場合において、電動工具のトリガがオン状態のまま前記異常が解消した場合に、直流電源装置から電動工具への出力が自動的に再開されると、使用者にとって電動工具の不意の再起動となることがあり、使用感の点で改善の余地があった。
【0005】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その第1の目的は、互いに定格電圧の異なる複数の電動工具に共通に接続したり、消費電力を低減したりするのに好適な直流電源装置を提供することにある。
【0006】
本発明の第2の目的は、接続した電動工具の不意の起動を抑制することの可能な直流電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、直流電源装置である。この直流電源装置は、
外部の交流電源及び電動工具に接続されて、前記交流電源から供給される交流電流を直流電流に変換して前記電動工具に供給する直流電源装置であって、
電動工具に接続される接続部と、
前記接続部に接続した電動工具の情報を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に応じて、前記電動工具に供給する直流電流の電圧値を切り替える切替回路と、を備え
前記接続部は、第1定格電圧の電動工具と、前記第1定格電圧よりも低い第2定格電圧の電動工具とに択一的に接続可能であり、
前記切替回路は、前記検出手段の検出結果が前記第1定格電圧のときには前記電圧値を第1電圧に設定し、前記検出手段の検出結果が前記第2定格電圧のときには前記電動工具に直流電圧を供給しない
【0008】
前記情報は、接続した電動工具の定格電圧の情報を含んでもよい。
【0009】
外部の交流電源に接続されるコネクタ部と、一端に前記コネクタ部を有するケーブル部と、前記ケーブル部の他端に設けられ、前記検出手段と、前記接続部と、前記切替回路と、前記交流電源から供給される交流電流を直流電流に変換する変換手段と、を有するアダプタ部と、を備え、前記変換手段は、整流回路と、変圧回路と、を含み、前記アダプタ部は、前記接続部に設けられ前記電動工具に直流電流を出力する出力端子を有してもよい。
【0010】
前記アダプタ部は、吸気口及び排気口を有し、前記検出手段、前記整流回路、及び前記変圧回路を収容するハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、前記吸気口から前記排気口への空気流を発生するファンと、を有してもよい。
【0011】
前記アダプタ部は、前記ハウジング内において第1方向に延びる第1基板を有し、前記出力端子は、前記第1基板の第1面の側に設けられ、前記整流回路及び前記変圧回路は、前記第1基板の第2面の側に設けられ、前記第1基板は、前記第1方向において、前記吸気口と前記排気口との間に位置してもよい。
【0012】
前記接続部は、第1定格電圧の電動工具と、前記第1定格電圧よりも低い第2定格電圧の電動工具とに択一的に接続可能であり、前記切替回路は、前記検出手段の検出結果が前記第1定格電圧のときには前記変圧回路の二次側の両端の電圧を前記出力端子側に出力し、前記検出手段の検出結果が前記第2定格電圧のときには前記変圧回路の二次側の一端と中間タップとの間の電圧を前記出力端子側に出力してもよい。
【0014】
前記情報は、電動工具の状態に関する情報を含み、
前記切替回路は、前記検出手段による検出結果に応じて、前記接続部への直流電圧の出力を停止する停止手段であってもよい。
【0015】
外部の交流電源からの交流電圧が入力される入力部と、
前記入力部と前記接続部との間に設けられた変圧回路と、を備え、
前記停止手段は、前記変圧回路への入力電流を遮断することで、前記接続部への直流電圧の出力を停止してもよい。
【0016】
前記検出手段は、電動工具の接続を示す信号を受信する接続状態検出端子を有し、
前記停止手段は、前記検出手段が電動工具の接続を示す信号を受信しない場合に、前記接続部への直流電圧の出力を停止してもよい。
【0017】
前記停止手段が前記接続部への直流電圧の出力を停止するか否かを切り替える制御部と、
前記制御部の動作電圧を生成する制御系電源部と、
前記停止手段が前記接続部への直流電圧の出力を停止するとき、前記制御系電源部から前記制御部への動作電圧の供給を遮断する遮断手段と、を備えてもよい。
【0018】
本発明の第2の態様は、直流電源装置である。この直流電源装置は、外部の交流電源及び電動工具に接続されて、前記交流電源から供給される交流電流を直流電流に変換して前記電動工具に供給する直流電源装置であって、異常検出手段と、電動工具の状態を検出する状態検出手段と、電動工具に直流電流を供給する出力部と、前記異常検出手段により異常が検出された場合に前記出力部への直流電流の出力を遮断する遮断手段と、を備え、前記遮断手段は、前記異常により出力を遮断した場合に、前記状態検出手段により所定の状態が検出されることを、出力の遮断解除に必要な条件とする。
【0019】
前記遮断手段は、前記異常が解消した場合、かつ前記状態検出手段により前記所定の状態が検出された場合に出力の遮断を解除してもよい。
【0020】
前記所定の状態は、電動工具の駆動、停止を指示する操作部が停止操作された状態であってもよい。
【0021】
外部の交流電源に接続されるコネクタ部と、一端に前記コネクタ部を有するケーブル部と、前記ケーブル部の他端に設けられ、電動工具に接続される接続部を有するアダプタ部と、前記異常検出手段により異常が検出された場合に点灯する第1発光部と、本直流電源装置に電動工具が接続されると点灯する第2発光部と、を備え、前記第1及び第2発光部は、前記アダプタ部のハウジングの、前記ケーブル部の延出元側に設けられてもよい。
【0022】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の第1の態様によれば、互いに定格電圧の異なる複数の電動工具に共通に接続したり、消費電力を低減したりするのに好適な直流電源装置を提供することができる。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、接続した電動工具の不意の起動を抑制することの可能な直流電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態1に係る直流電源装置1の斜視図。
図2】同正面図。
図3】同右側面図。
図4】同平面図。
図5】同左側面図。
図6】同左側断面図。
図7】同平断面図。
図8】直流電源装置1のアダプタ部10をインパクトドライバ80Aに接続した状態の側面図。
図9】アダプタ部10を携帯用丸鋸80Bに接続した状態の側面図。
図10】直流電源装置1を外部の交流電源50及び電動工具81に接続した状態の回路図。
図11】本発明の実施の形態2に係る直流電源装置2を外部の交流電源50及び電動工具81に接続した状態の回路図。
図12】本発明の実施の形態3に係る直流電源装置3を外部の交流電源50及び電動工具81aに接続した状態の回路図。
図13】本発明の実施の形態4に係る直流電源装置4を外部の交流電源50及び電動工具81bに接続した状態の回路図。
図14】本発明の実施の形態5に係る直流電源装置3Aを外部の交流電源50及び電動工具81cに接続した状態の回路図。
図15】直流電源装置3Aの制御フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0027】
(実施の形態1) 図1図7を参照し、本発明の実施の形態1に係る直流電源装置1の機械的構成を説明する。図1により、直流電源装置1における互いに直交する前後、上下、左右の各方向を定義する。直流電源装置1は、外部の交流電源に接続されるコネクタ部としてのプラグ部7(図5)と、一端にプラグ部7を有するケーブル部5と、ケーブル部5の他端に設けられたアダプタ部10と、を備える。図1に示すように、ケーブル部5はアダプタ部10の前方下部から延出し、アダプタ部10からのケーブル部5の延出方向は、前方から下方まで可変となっている。
【0028】
アダプタ部10は、コードレスタイプの電動工具の電源として用いられるバッテリパック(以下、単に「バッテリパック」とも表記)のハウジングと略同形状のハウジング11を有し、またバッテリパックと同じ端子構造を有し、バッテリパックに替えて電動工具のバッテリ着脱部に着脱可能に接続(装着)される。また、アダプタ部10は、互いに定格電圧の異なる複数の電動工具に共通に接続可能である。例えば、図8に示すように、アダプタ部10は、定格電圧が18V(第2定格電圧の例示)のコードレスタイプの電動工具であるインパクトドライバ80Aのハンドル部82の下端部のバッテリ着脱部82aに着脱可能に接続される。あるいは、図9に示すように、アダプタ部10は、定格電圧が36V(第1定格電圧の例示)のコードレスタイプの電動工具である携帯用丸鋸80Bのハンドル部84の後端下部のバッテリ着脱部84aに着脱可能に接続される。図8に示すインパクトドライバ80Aのハンドル部82の上端部には、トリガ(操作部)82bが設けられる。図9に示す携帯用丸鋸80Bのハンドル部84の前端部には、トリガ(操作部)84が設けられる。
【0029】
アダプタ部10のハウジング11は、左右両側面にそれぞれ吸気口12を有し、前面上部に排気口13を有する。また、ハウジング11は、バッテリパックと同様に、電動工具へのスライド接続時のガイドとなるレール部16を左右にそれぞれ有する。ハウジング11には、バッテリパックと同様に、左右一対のラッチ操作部17と、ラッチ操作部17によってレール部16への突出、非突出が切り替えられるラッチ凸部19(図3及び図5)と、を含むラッチ機構が、電動工具への係止用に設けられる。ハウジング11の上面には、端子接続用の複数のスリット穴18が設けられる。図6に示す端子35が、スリット穴18から外部に臨む。ハウジング11の前側(ケーブル部5の延出元側)の上面には、第1及び第2発光部としての第1LED14及び第2LED15が設けられる。第1LED14は、異常検出時に点灯する例えば赤色LEDである。第2LED15は、アダプタ部10が電動工具に接続されると点灯する例えば緑色LEDである。
【0030】
図6に示すように、ハウジング11の内部空間の上部には、電動工具との接続用の各端子35(図10に示すプラス端子、マイナス端子、及びその他の端子)を搭載した第1基板20が設けられる(例えばネジ止め固定される)。第1基板20は、上下方向と略垂直であり、第1方向としての前後方向に延びる。各々の端子35は、第1基板20の第1面としての上面に搭載される(上面の側に設けられる)。第1基板20は、前後方向において、吸気口12と排気口13との間に位置する。ハウジング11内の前上部には、吸気口12から排気口13への空気流(冷却風)を発生する冷却ファン33が設けられる。冷却ファン33の発生する空気流の流れを、図6において破線の矢印で示す。
【0031】
ハウジング11の内部空間の下部には、第2基板40が設けられる。第2基板40には、トランス22等の回路部品(図10に示す直流電源装置1を構成する各回路部品)が搭載される。第2基板40上のトランス22等の回路部品は、第1基板20の第2面としての下面の側に設けられ、前後方向において吸気口12と排気口13との間に位置する。冷却ファン33の発生する空気流は、吸気口12からハウジング11内に取り込まれ、トランス22等の回路部品や第1基板20上の各端子35、第1LED14及び第2LED15を冷却し、排気口13からハウジング11外に排気される。第1基板20は、冷却ファン33の発生する空気流に対する整流板(導風板)としても機能する。
【0032】
図10は、直流電源装置1を外部の交流電源50及び電動工具81に接続した状態の回路図である。電動工具81の構成は特に限定されないが、図10の例では、電動工具81は、ブラシレスモータ85及びそれを駆動するインバータ回路83を備える。また、電動工具81の上プラス端子と上マイナス端子との間にはコンデンサC2が設けられ、下プラス端子と下マイナス端子との間にはショートバー89が設けられる。ショートバー89は、下プラス端子と下マイナス端子との間を短絡する部材であり、例えば、電動工具81が定格電圧36Vの場合に存在し、電動工具81が定格電圧18Vの場合には存在しない(下プラス端子と下マイナス端子との間は短絡されない)。図示は省略したが、電動工具81は、インバータ回路83の駆動を制御するマイコン等の制御部を備える。インバータ回路83への入力電流の経路に設けられたスイッチSW1は、使用者によるトリガ(操作部)の操作によりオンオフされる。
【0033】
直流電源装置1において、整流回路としてのダイオードブリッジ21は、交流電源50の出力端子間に設けられる。ダイオードブリッジ21の出力端子間には、平滑用のコンデンサC1、トランス22の一次巻線、及び制御系電源部としての補助電源28が並列に設けられる。ダイオードブリッジ21からトランス22の一次巻線に供給される電流の経路には、FETやIGBT等のスイッチング素子23が設けられる。トランス22は絶縁トランスであり、また補助電源28も絶縁トランスを含むため、直流電源装置1の、交流電源との接続端子(入力部)と、電動工具との接続端子とは、互いに絶縁される。
【0034】
トランス22の二次巻線の両端は、電動工具81に直流電圧を出力する出力部(上プラス端子と上マイナス端子)にそれぞれ接続される。トランス22の二次巻線の一端と上プラス端子との間には、FETやIGBT等のスイッチング素子Q1が設けられる。トランス22の二次巻線の中間タップは、FETやIGBT等のスイッチング素子Q2を介して上プラス端子に接続される。中間タップは、二次巻線の巻線を所定の分割比(例えば1対1)で分割する位置に設けられる。スイッチング素子Q1、Q2は、電動工具81に供給する直流電流の電圧値を切り替える切替回路を構成する。トランス22の二次巻線の両端間、及び中間タップと他端との間には、電圧検出回路26が設けられる。トランス22の二次巻線の他端と上マイナス端子との間には、電流検出用の抵抗R1が設けられる。抵抗R1の両端の電圧は、マイコン30に送信される(配線の図示省略)。上マイナス端子と下マイナス端子は、互いに接続される。補助電源28の出力端子は、レギュレータ29を介して制御部としてのマイコン30の電源入力端子に接続される。
【0035】
交流電源50から供給される交流電圧(交流電流)は、ダイオードブリッジ21及びコンデンサC1によって整流、平滑され、トランス22の一次巻線及び補助電源28に入力される。スイッチング素子23がスイッチング制御回路24の制御によりスイッチング(オンオフ)制御されることで、トランス22の二次巻線の両端及び中間タップには、一次巻線との巻線比に応じた電圧が誘起される。定電圧制御回路25は、電圧検出回路26の検出結果を受け、マイコン30の制御により、スイッチング制御回路24の動作を制御する。これにより、トランス22の二次巻線の両端に現れる電圧が36Vで一定となるように、あるいは中間タップの電圧が18Vで一定となるように、スイッチング素子23がスイッチング制御される。
【0036】
マイコン30は、下プラス端子の電圧により、電動工具81の定格電圧を検出(例えば36Vか18Vかを検出)する。下プラス端子と下マイナス端子との間を短絡するショートバー89は、電動工具81が定格電圧36Vの場合に存在し、電動工具81が定格電圧18Vの場合には存在しないため、直流電源装置1に定格電圧36Vの電動工具81が接続された状態では、ショートバー89により下プラス端子の電圧は、電源電圧である5Vを抵抗R2とR1で分圧した電圧(グランド電位である0Vに近い値)となる。一方、直流電源装置1に定格電圧18Vの電動工具81が接続された状態では、ショートバー89が無いため、下プラス端子の電圧値は、抵抗R2によってプルアップされて5Vとなる。したがって、マイコン30は、下プラス端子の電圧により、直流電源装置1に接続された電動工具81の定格電圧を検出できる。
【0037】
マイコン30は、直流電源装置1に定格電圧36Vの電動工具81が接続されている場合(下プラス端子の電圧がショートバーの存在を示す場合)は、スイッチング素子Q1をオンする一方でスイッチング素子Q2をオフし、上プラス端子と上マイナス端子との間に36Vの直流電圧(直流電流)を出力するように制御する。一方、マイコン30は、直流電源装置1に定格電圧18Vの電動工具81が接続されている場合(下プラス端子の電圧がショートバーの不存在を示す場合)は、スイッチング素子Q2をオンする一方でスイッチング素子Q1をオフし、上プラス端子と上マイナス端子との間に18Vの直流電圧(直流電流)を出力するように制御する。
【0038】
ファンモータ駆動回路31は、マイコン30の制御により動作し、ファンモータ32を駆動する。ファンモータ32は、図6に示す冷却ファン33を駆動するモータである。マイコン30は、第1LED14及び第2LED15の点灯、消灯を制御する。
【0039】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0040】
(1) 交流電圧(交流電流)を直流電圧(直流電流)に変換する変換手段(ダイオードブリッジ21やトランス22)をアダプタ部10に設け、アダプタ部10は定格電圧が36Vの電動工具にも定格電圧が18Vの電動工具にも接続可能なため、電動工具の定格電圧ごとに異なる形状のアダプタ10を作る必要がなく、部品共通化の点で有利である。
【0041】
(2) 例えば定格電圧18Vの電動工具に36Vの直流電圧を供給すると電動工具の素子が過電圧により誤動作したり破損したりする可能性があるが、直流電源装置1では接続した電動工具の定格電圧に合わせた直流電圧を供給するため、そのような可能性を低減することができる。
【0042】
(3) 36Vの直流電圧を出力する場合はトランス22の二次巻線の両端の電圧を利用し、18Vの直流電圧を出力する場合は二次巻線の中間タップの電圧を利用するため、スイッチング素子23の制御のみにより出力電圧を切り替える場合と比較して効率が良い。
【0043】
(4) 直流電源装置1は、バッテリパックと異なり容量切れが無く長時間使用可能なため、電動工具と接続される端子35はバッテリパックの端子と比較して高温になることがあるが、冷却ファン33の発生する空気流により端子35を冷却するため、端子35の過熱を好適に抑制できる。
【0044】
(実施の形態2) 図11は、本発明の実施の形態2に係る直流電源装置2を外部の交流電源50及び電動工具81に接続した状態の回路図である。直流電源装置2は、図10に示す直流電源装置1と異なり、トランス22の二次巻線には中間タップが設けられず、スイッチング素子Q1、Q2も存在しない。マイコン30は、直流電源装置2に定格電圧36Vの電動工具81が接続されている場合は、定電圧制御回路25をアクティブとして、スイッチング制御回路24によるスイッチング素子23のスイッチング制御を有効とし、上プラス端子と上マイナス端子との間に36Vの直流電圧(直流電流)を出力するように制御する。一方、マイコン30は、直流電源装置2に定格電圧18Vの電動工具81が接続されている場合は、定電圧制御回路25を非アクティブとして(停止して)、スイッチング制御回路24によるスイッチング素子23のスイッチング制御を無効とし(すなわち停止手段としてのスイッチング素子23をオフとしてトランス22への入力電流を遮断して)、上プラス端子と上マイナス端子との間への直流電圧(直流電流)の出力を停止する。本実施の形態のその他の点は、実施の形態1と同様である。本実施の形態によれば、定格電圧18Vの電動工具には直流電圧を供給しないことで、電動工具の素子が過電圧により誤動作したり破損したりする可能性を低減できる。
【0045】
(実施の形態3) 図12は、本発明の実施の形態3に係る直流電源装置3を外部の交流電源50及び電動工具81aに接続した状態の回路図である。以下、図11に示す実施の形態2との相違点を中心に説明する。電動工具81aは、図11の電動工具81の下プラス端子と下マイナス端子を有さない。電動工具81aのプラス端子とマイナス端子が、図11の電動工具81の上プラス端子と上マイナス端子に対応する。電動工具81aは、T端子を有する。T端子とマイナス端子との間に抵抗R3が設けられる。
【0046】
直流電源装置3は、図11の直流電源装置2の下プラス端子と下マイナス端子を有さない。直流電源装置3のプラス端子とマイナス端子が、図11の直流電源装置2の上プラス端子と上マイナス端子に対応する。直流電源装置3は、接続状態検出端子としてのT端子を有する。マイコン30は、T端子の電圧により、電動工具81aの接続の有無を検出する。電動工具81aのT端子とマイナス端子との間に抵抗R3が設けられるため、直流電源装置3に電動工具81aが接続された状態では、T端子の電圧は、電源電圧である5Vを抵抗R2とR3で分圧した電圧となる。一方、直流電源装置3に電動工具81aが接続されていない状態では、T端子の電圧は5Vとなる。したがって、マイコン30は、T端子の電圧(T端子から受信する電動工具81aからの信号)により、直流電源装置3に電動工具81aが接続されているか否かを検出できる。
【0047】
マイコン30は、直流電源装置3に電動工具81aが接続されている場合(T端子の電圧が電動工具81aの接続を示す場合)は、定電圧制御回路25をアクティブとして、スイッチング制御回路24によるスイッチング素子23のスイッチング制御を有効とし、プラス端子とマイナス端子との間に直流電圧(直流電流)を出力する(電動工具81aに直流電源を供給する)ように制御する。一方、マイコン30は、直流電源装置3に電動工具81aが接続されていない場合(T端子の電圧が5Vであって開放すなわち電動工具81aの非接続を示す場合)は、定電圧制御回路25を非アクティブとして(停止して)、スイッチング制御回路24によるスイッチング素子23のスイッチング制御を無効とし(すなわち停止手段としてのスイッチング素子23をオフとしてトランス22への入力電流を遮断して)、プラス端子とマイナス端子との間への直流電圧(直流電流)の出力を停止する。
【0048】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0049】
(1) マイコン30は、直流電源装置3に電動工具が接続されていない状態ではスイッチング素子23をオフにしてトランス22への入力電流を遮断する制御を行うため、直流電源装置3に電動工具が接続されていない状態でもスイッチング素子23のスイッチング制御を行う場合と比較して、トランス22や電圧検出回路26による消費電力を低減でき、直流電源装置3全体としての消費電力を低減できる。
【0050】
(2) 直流電源装置3に電動工具が接続されていない状態では、直流電源装置3のプラス端子とマイナス端子との間に直流電圧(直流電流)が出力されないため、設計上好ましい。
【0051】
(実施の形態4) 図13は、本発明の実施の形態4に係る直流電源装置4を外部の交流電源50及び電動工具81bに接続した状態の回路図である。以下、図12との相違点を中心に説明する。電動工具81bは、自身の有するマイコン87に接続されるスイッチSW2を有する。スイッチSW2は、一端がマイコン87に接続され、他端がV端子に接続される。スイッチSW2は、使用者によるトリガの操作により、スイッチSW1と共にオンオフされる。スイッチSW2がオンになると、マイコン87及びV端子にグランドレベルの信号が出力される。
【0052】
直流電源装置4は、電動工具81bにおいてスイッチSW2がオンのときは補助電源28からマイコン30への動作電圧の供給を遮断しない一方で、電動工具81bにおいてスイッチSW2がオフのときに補助電源28からマイコン30への動作電圧の供給を遮断する遮断手段(遮断回路)を有する。この遮断手段は、スイッチング素子としてのトランジスタQ3〜Q5と、抵抗R5〜R7と、ツェナーダイオードZDと、を含む。トランジスタQ3、Q5はPNPトランジスタであり、トランジスタQ4はNPNトランジスタである。電動工具81bにおいてスイッチSW2がオンになると、駆動状態検出端子としてのV端子の電位(トランジスタQ3のベース電位)がグランド電位となり、抵抗R5、ツェナーダイオードZD、抵抗R6、V端子、グランドという経路で電流が流れ、抵抗R6による電圧降下によりトランジスタQ3のベース、エミッタ間の電圧がマイナスとなり、トランジスタQ3がターンオンする。トランジスタQ3がオンになると、抵抗R5、ツェナーダイオードZD、トランジスタQ3、抵抗R7という経路で電流が流れ、抵抗R7による電圧降下によりトランジスタQ4のベース、エミッタ間の電圧がプラスとなり、トランジスタQ4がターンオンする。トランジスタQ4がオンになると、抵抗R5、ツェナーダイオードZD、抵抗R6、トランジスタQ4という経路で電流が流れる。抵抗R5による電圧降下により、トランジスタQ5のベース、エミッタ間の電圧がマイナスとなり、トランジスタQ5がターンオンする。これにより、トランジスタQ5のコレクタからマイコン30に、一定の動作電圧(例えば5V)が供給される。
【0053】
電動工具81bにおいてスイッチSW2がオフになると、トランジスタQ3のベース電位が不定となり、抵抗R6に電流が流れなくなり、トランジスタQ3のベース、エミッタ間電圧がゼロとなり、トランジスタQ3がターンオフする。これにより、抵抗R7に電流が流れなくなり、トランジスタQ4のベース、エミッタ間電圧がゼロとなり、トランジスタQ4がターンオフする。また、抵抗R5に電流が流れなくなり、トランジスタQ5のベース、エミッタ間の電圧がゼロとなり、トランジスタQ5がターンオフする。これにより、補助電源28からマイコン30への動作電圧の供給が遮断される。直流電源装置4のその他の点は、直流電源装置3と同様である。
【0054】
本実施の形態も、実施の形態3と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態によれば、電動工具81bのトリガオフ時(スイッチSW1、SW2のオフ時で、ブラシレスモータ85の非駆動時)にはマイコン30への動作電圧の供給が遮断されてマイコン30が停止するため、電動工具81bの接続時における消費電力も低減することができる。
【0055】
(実施の形態5) 図14は、本発明の実施の形態5に係る直流電源装置3Aを外部の交流電源50及び電動工具81cに接続した状態の回路図である。電動工具81cは、図12の電動工具81aと比較して、電子スイッチSW3を備える点で相違し、その他の点で一致する。電子スイッチSW3は、使用者によるトリガ(操作部)の操作によりスイッチSW1と共にオンオフされる。直流電源装置3Aは、図12の直流電源装置3と比較して、V端子を介してマイコン30が電動工具81cの電子スイッチSW3と接続されている点で相違し、その他の点で一致する。
【0056】
マイコン30は、状態検出手段を構成する駆動状態検出端子としてのV端子の電圧により、電動工具81cの状態としての、トリガのオンオフを検出する。電動工具81cにおいて前記トリガがオン操作されると、電子スイッチSW3がオンとなり、電子スイッチSW3からの信号(トリガの駆動操作を示す信号)がV端子を介してマイコン30に送信され、マイコン30は電動工具81cのトリガが駆動操作されたことを検出できる。電動工具81cにおいて前記トリガがオフ操作されると、電子スイッチSW3がオフとなり、電子スイッチSW3からの信号が途切れ、マイコン30は電動工具81cのトリガが停止操作されたことを検出できる。
【0057】
図15は、直流電源装置3Aの制御フローチャートである。マイコン30は、直流電源装置3Aに電動工具が接続されたことを検出すると(S1のYES)、緑色LED(第2LED15の一例)を点灯し(S2)、FET(スイッチング素子23の一例)のスイッチング制御を行う(S3)。これにより、プラス端子とマイナス端子との間への直流電圧(直流電流)の出力が開始される。マイコン30は、異常を検出すると(S4のYES)、赤色LED(第1LED14の一例)を点灯し(S5)、FETをオフする(S6)。これにより、プラス端子とマイナス端子との間への直流電圧(直流電流)の出力が停止される。異常は、各部(トランス22やスイッチング素子23等)の温度異常、入力電圧異常、及び過電流異常の少なくともいずれかを含む。図示しないサーミスタ等の温度センサや、図示しない入力電圧検出手段、電流検出用の抵抗R1が、異常検出手段として機能する。
【0058】
マイコン30は、異常検出(S4のYES)の後、トリガがオフ操作(停止操作)されていない場合(S7のNO)、異常状態が解消したか否かに関わらず、赤色LEDの点灯(S5)とFETのオフ(S6)を継続する。マイコン30は、トリガがオフ操作されている状態において(S7のYES)、異常状態が解消している場合(S8のNO)に、赤色LEDを消灯し(S9)、ステップS1に戻る。
【0059】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0060】
(1) マイコン30は、異常によりプラス端子とマイナス端子との間への直流電圧(直流電流)の出力を停止(遮断)した場合に、電動工具でのトリガのオフ操作を検出するまでは出力の停止を継続するため、トリガがオン状態のまま前記異常が解消しても直流電源装置3Aから電動工具への直流電圧(直流電流)の出力は再開されないため、使用者にとって電動工具の不意の再起動が発生することを抑制でき、使用感を向上できる。
【0061】
(2) マイコン30は、異常検出時に第1LED14を点灯して使用者に報知するので、使用者は直流電源装置3Aにおける異常発生を迅速に知ることができて便利である。
【0062】
(3) マイコン30は、直流電源装置3Aに電動工具が正しく(電力供給可能に)接続されると第2LED15を点灯して使用者に報知するので、使用者は接続の成功を迅速に知ることができて便利である。
【0063】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0064】
実施の形態1、2では、ショートバー89の有無により電動工具81の定格電圧を検出する例を説明したが、電動工具に設けた識別抵抗により定格電圧を検出してもよい。実施の形態1の直流電源装置1では、電動工具に出力可能な直流電圧を2段階(36Vと18V)としたが、3段階以上の直流電圧を出力可能としてもよい。
【0065】
実施の形態3、4では、直流電源装置に電動工具が接続されたか否かをT端子の電圧により判別したが、電動工具が接続されると押されるボタン等のスイッチを直流電源装置の端子近傍に設け、当該スイッチがオフの場合(ボタンであれば押されていない場合)に直流電圧(直流電流)の出力を停止する構成としてもよい。
【0066】
実施の形態5では、電動工具のトリガがオフ操作されていることを、直流電源装置における異常解消時の出力遮断解除の条件としたが、使用者が操作可能な出力遮断解除用のボタン等のスイッチを電動工具あるいは直流電源装置に別途設け、当該スイッチがオンになった場合(ボタンであれば押された場合)に、出力遮断解除を可能にしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1,2…直流電源装置、5…ケーブル部、7…プラグ部(コネクタ部)、10…アダプタ部、11…ハウジング、12…吸気口、13…排気口、14…第1LED(第1発光部)、15…第2LED(第2発光部)、16…レール部、17…ラッチ操作部、18…スリット穴、19…ラッチ凸部、20…第1基板、21…ダイオードブリッジ(整流回路)、22…トランス、23…スイッチング素子、24…スイッチング制御回路、25…定電圧制御回路、26…電圧検出回路、28…補助電源(制御系電源部)、29…レギュレータ、30…マイコン(制御部)、31…ファンモータ駆動回路、32…ファンモータ、33…冷却ファン、35…端子、40…第2基板、50…交流電源、80A,80B,81,81a,81b,81c…電動工具、82…ハンドル部、82a…バッテリ着脱部、82b…トリガ(操作部)、83…インバータ回路、84…ハンドル部、84a…バッテリ着脱部、84b…トリガ(操作部)、85…ブラシレスモータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15