特許第6835263号(P6835263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6835263
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】エレベーターシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/16 20060101AFI20210215BHJP
   B66B 1/18 20060101ALI20210215BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   B66B1/16 L
   B66B1/16 F
   B66B1/18 L
   B66B1/18 F
   B66B3/00 M
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-566706(P2019-566706)
(86)(22)【出願日】2019年7月23日
(86)【国際出願番号】JP2019028868
【審査請求日】2019年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】大森 陽太
(72)【発明者】
【氏名】村上 博行
(72)【発明者】
【氏名】宮野 一輝
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 智史
(72)【発明者】
【氏名】中谷 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】上西 一輝
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−062163(JP,A)
【文献】 特開2011−236020(JP,A)
【文献】 特開2014−240313(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第107215730(CN,A)
【文献】 特開2011−051715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00−1/52
B66B 3/00−3/02
B66B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの乗場に設けられたカメラと、
前記乗場に停止する第1かごを制御する第1制御装置と、
前記乗場に停止する第2かごを制御する第2制御装置と、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて、発熱している第1利用者が前記乗場にいることを検出する第1検出手段と、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて、前記第1利用者以外の第2利用者が前記乗場にいることを検出する第2検出手段と、
前記乗場からの呼びが登録されると、隔離条件が成立するか否かを判定する判定手段と、
前記隔離条件が成立することを前記判定手段が判定すると、前記第1利用者を運ぶための第1運転指令を前記第1制御装置に対して出力し、前記第2利用者を運ぶための第2運転指令を前記第2制御装置に対して出力する運転指令手段と、
を備え、
前記隔離条件は、前記第1利用者が前記乗場にいることを前記第1検出手段が検出し且つ前記第2利用者が前記乗場にいることを前記第2検出手段が検出すると成立するエレベーターシステム。
【請求項2】
前記乗場に設けられた報知器と、
前記隔離条件が成立することを前記判定手段が判定すると、前記第1利用者が前記第1かごに乗るための案内を前記報知器から報知させる報知制御手段と、
を更に備えた請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項3】
前記第1制御装置は、前記運転指令手段から前記第1運転指令が入力されると、前記乗場から目的階への直行運転を行う請求項1又は請求項2に記載のエレベーターシステム。
【請求項4】
前記第1制御装置は、前記直行運転において前記目的階でドアを開閉した後、前記第1かご内を除菌するための除菌動作を行う請求項3に記載のエレベーターシステム。
【請求項5】
エレベーターの乗場に設けられたカメラと、
前記乗場に停止するかごと、
前記乗場に設けられた報知器と、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて、発熱している第1利用者が前記乗場にいることを検出する第1検出手段と、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて、前記第1利用者以外の第2利用者が前記乗場にいることを検出する第2検出手段と、
前記乗場からの呼びが登録されると、隔離条件が成立するか否かを判定する判定手段と、
前記隔離条件が成立することを前記判定手段が判定すると、前記かごで前記第1利用者を運ぶための第1運転と前記かごで前記第2利用者を運ぶための第2運転とを行う運転制御手段と、
前記隔離条件が成立することを前記判定手段が判定すると、前記第1運転が行われている時に前記第1利用者が前記かごに乗るための案内を、前記報知器から報知させる報知制御手段と、
を備え、
前記隔離条件は、前記第1利用者が前記乗場にいることを前記第1検出手段が検出し且つ前記第2利用者が前記乗場にいることを前記第2検出手段が検出すると成立するエレベーターシステム。
【請求項6】
前記運転制御手段は、前記第1運転において、前記乗場から目的階への直行運転を行う請求項5に記載のエレベーターシステム。
【請求項7】
前記運転制御手段は、前記直行運転において前記目的階でドアを開閉した後、前記かご内を除菌するための除菌動作を行う請求項6に記載のエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、エレベーターシステムが記載されている。特許文献1に記載されたシステムでは、利用者の身体障害に応じて、かごが乗場に到着する時間が調整される。また、ドアの開放時間が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開2015−224132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エレベーターは、様々な人によって利用される。例えば、インフルエンザを発症している人がエレベーターを利用することもある。かかる場合は、この利用者と一緒にかごに乗っている他の利用者にインフルエンザが感染してしまう恐れがある。特許文献1に記載されたシステムでは、このような問題を解決することはできなかった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされた。この発明の目的は、かご内でのインフルエンザ等の感染を予防することができるエレベーターシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベーターシステムは、エレベーターの乗場に設けられたカメラと、乗場に停止する第1かごを制御する第1制御装置と、乗場に停止する第2かごを制御する第2制御装置と、カメラによって撮影された画像に基づいて、発熱している第1利用者が乗場にいることを検出する第1検出手段と、カメラによって撮影された画像に基づいて、第1利用者以外の第2利用者が乗場にいることを検出する第2検出手段と、乗場からの呼びが登録されると、隔離条件が成立するか否かを判定する判定手段と、隔離条件が成立することを判定手段が判定すると、第1利用者を運ぶための第1運転指令を第1制御装置に対して出力し、第2利用者を運ぶための第2運転指令を第2制御装置に対して出力する運転指令手段と、を備える。隔離条件は、第1利用者が乗場にいることを第1検出手段が検出し且つ第2利用者が乗場にいることを第2検出手段が検出すると成立する。
【0007】
この発明に係るエレベーターシステムは、エレベーターの乗場に設けられたカメラと、乗場に停止するかごと、乗場に設けられた報知器と、カメラによって撮影された画像に基づいて、発熱している第1利用者が乗場にいることを検出する第1検出手段と、カメラによって撮影された画像に基づいて、第1利用者以外の第2利用者が乗場にいることを検出する第2検出手段と、乗場からの呼びが登録されると、隔離条件が成立するか否かを判定する判定手段と、隔離条件が成立することを判定手段が判定すると、かごで第1利用者を運ぶための第1運転とかごで第2利用者を運ぶための第2運転とを行う運転制御手段と、隔離条件が成立することを判定手段が判定すると、第1運転が行われている時に第1利用者がかごに乗るための案内を、報知器から報知させる報知制御手段と、を備える。隔離条件は、第1利用者が乗場にいることを第1検出手段が検出し且つ第2利用者が乗場にいることを第2検出手段が検出すると成立する。

【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、かご内でのインフルエンザ等の感染を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1におけるエレベーターシステムの例を示す図である。
図2】かごが停止するエレベーターの乗場の例を示す図である。
図3】監視装置の動作例を示すフローチャートである。
図4】群管理装置の動作例を示すフローチャートである。
図5】第1運転指令を受けた制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態1におけるエレベーターシステムの他の例を示す図である。
図7】制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図8】監視装置のハードウェア資源の例を示す図である。
図9】監視装置のハードウェア資源の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照し、本発明を説明する。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるエレベーターシステム1の例を示す図である。エレベーターシステム1は、監視装置2、及び群管理装置3を備える。
【0012】
群管理装置3は、複数のエレベーター装置4を一群として管理する。本実施の形態では、最も簡単な例として、エレベーターシステム1が2台のエレベーター装置4を備える例を示す。例えば、群管理装置3は、図1に示すようにA号機とB号機とを管理する。A号機とB号機とは、同じ建物に備えられる。群管理装置3は、3台以上のエレベーター装置4を管理しても良い。
【0013】
各エレベーター装置4は、かご5、駆動装置6、及び制御装置7を備える。かご5は、昇降路を上下に移動する。駆動装置6は、かご5を駆動する。制御装置7は、駆動装置6を制御する。即ち、かご5の移動は、制御装置7によって制御される。また、制御装置7は、かご5に備えられた機器を制御する。
【0014】
例えば、かご5に、ドア8、モータ9、送風機10、及び除菌装置11が備えられる。ドア8は、モータ9によって駆動される。送風機10は、かご5内に空気を取り込むための気流を発生させる。除菌装置11は、かご5内を除菌するための装置である。例えば、除菌装置11が動作すると、除菌のための薬剤がかご5内に放出される。モータ9、送風機10、及び除菌装置11は、制御装置7によって制御される。
【0015】
以下の説明では、エレベーター装置4に備えられた要素を号機別に区別する必要がある場合に、各要素を表す符号にA或いはBを付す。例えば、A号機には、かご5A、駆動装置6A、及び制御装置7Aが備えられる。B号機には、かご5B、駆動装置6B、及び制御装置7Bが備えられる。
【0016】
図2は、かご5が停止するエレベーターの乗場12の例を示す図である。本実施の形態に示す例では、かご5A及びかご5Bの双方が乗場12に停止する。例えば、図2に示す乗場12は、建物の1階の乗場である。乗場12に、カメラ13、操作盤14、及び報知器15が設けられる。
【0017】
カメラ13は、例えばサーモグラフィカメラである。カメラ13によって撮影された画像には、温度情報が含まれる。カメラ13によって撮影された画像の情報は、監視装置2に入力される。例えば、カメラ13は、かご5が停止する全ての階の乗場に設けられる。カメラ13は、かご5が停止する一部の階の乗場に設けられても良い。
【0018】
操作盤14は、利用者が呼びの登録要求を入力するための装置である。例えば、操作盤14は、上ボタン及び下ボタンを備える。上ボタン或いは下ボタンが押されると、操作盤14から呼びの登録要求が出力される。操作盤14からの登録要求は、群管理装置3に入力される。操作盤14は、かご5が停止する全ての階の乗場に設けられる。
【0019】
報知器15は、乗場12にいる利用者に情報を提供するための装置である。例えば、報知器15は、表示器である。報知器15は、スピーカでも良い。表示器及びスピーカの双方が報知器15として乗場12に設けられても良い。例えば、報知器15は、かご5が停止する全ての階の乗場に設けられる。報知器15は、かご5が停止する一部の階の乗場に設けられても良い。
【0020】
監視装置2は、画像解析部20、検出部21、検出部22、及び信号出力部23を備える。監視装置2は、外部と通信する機能を備えても良い。例えば、監視装置2は、特定のネットワークを介して外部の監視センターと通信する。群管理装置3は、呼び登録部30、判定部31、運転指令部32、及び報知制御部33を備える。以下に、図3から図5も参照し、エレベーターシステム1が有する機能について詳しく説明する。
【0021】
図3は、監視装置2の動作例を示すフローチャートである。上述したように、カメラ13によって撮影された画像の情報は、監視装置2に入力される。カメラ13によって撮影された画像は、画像解析部20によって解析される(S101)。画像解析部20が画像を解析する方法は、後述する検出部21による検出及び検出部22による検出が可能であれば、如何なる方法でも構わない。
【0022】
検出部21は、発熱している利用者が乗場12にいるか否かを判定する(S102)。一例として、体温が37.5度以上ある利用者が、発熱している利用者と特定される。以下においては、発熱している利用者のことを「第1利用者」とも表記する。検出部21は、カメラ13によって撮影された画像に基づいて、乗場12に第1利用者がいることを検出する。
【0023】
検出部22は、第1利用者以外の利用者が乗場12にいるか否かを判定する(S103)。以下においては、発熱している利用者以外の利用者のことを「第2利用者」とも表記する。検出部22は、カメラ13によって撮影された画像に基づいて、乗場12に第2利用者がいることを検出する。
【0024】
信号出力部23は、検出部21の検出結果と検出部22の検出結果とに応じて、乗場12の利用者状況を示す信号を群管理装置3に出力する。例えば、信号出力部23は、S103でYesと判定されると、群管理装置3に対して第1信号を出力する(S104)。即ち、信号出力部23は、第1利用者が乗場12にいることを検出部21が検出し且つ第2利用者が乗場12にいることを検出部22が検出すると、第1信号を出力する。
【0025】
信号出力部23は、S103でNoと判定されると、群管理装置3に対して第2信号を出力する(S105)。即ち、信号出力部23は、第1利用者が乗場12にいることを検出部21が検出し且つ第2利用者が乗場12にいることを検出部22が検出しなければ、第2信号を出力する。
【0026】
信号出力部23は、S102でNoと判定されると、群管理装置3に対して信号を出力しない。即ち、信号出力部23は、第1利用者が乗場12にいることを検出部21が検出しなければ、群管理装置3に対して信号を出力しない。
【0027】
図4は、群管理装置3の動作例を示すフローチャートである。群管理装置3では、操作盤14から登録要求が入力されると、呼び登録部30が乗場呼びを登録する(S201)。判定部31は、乗場12からの呼びが登録されると、乗場12に関して隔離条件が成立するか否かを判定する。隔離条件は、発熱している利用者を他の利用者から隔離するために予め設定された条件である。例えば、隔離条件は、第1利用者が乗場12にいることを検出部21が検出し且つ第2利用者が乗場12にいることを検出部22が検出すると成立する。
【0028】
例えば、判定部31は、S201で乗場12からの呼びが登録されると、監視装置2から第1信号を受信しているか否かを判定する(S202)。監視装置2から第1信号を受信していれば、判定部31は、隔離条件が成立したことを判定する。
【0029】
運転指令部32は、隔離条件が成立することを判定部31が判定すると、第1利用者を目的階に運ぶための第1運転指令を制御装置7Aに対して出力する。運転指令部32は、隔離条件が成立することを判定部31が判定すると、第2利用者を目的階に運ぶための第2運転指令を制御装置7Bに対して出力する(S203)。運転指令部32は、A号機の運転状況及びB号機の運転状況に応じて、第1運転指令を制御装置7Bに対して出力しても良い。かかる場合、運転指令部32は、制御装置7Aに対して第2運転指令を出力する。
【0030】
また、隔離条件が成立することを判定部31が判定すると、報知制御部33は、第1利用者がかご5Aに乗るための案内を報知器15から報知させる(S204)。これにより、例えば「発熱している方を検知しました。発熱している方はA号機をご利用ください。」といったメッセージが、乗場12に設けられた表示器に表示される。なお、運転指令部32が制御装置7Bに対して第1運転指令を出力した場合、報知制御部33は、第1利用者がかご5Bに乗るための案内を報知器15から報知させる。
【0031】
判定部31は、S202でNoと判定すると、監視装置2から第2信号を受信しているか否かを判定する(S205)。監視装置2から第2信号を受信していれば、運転指令部32は、第1利用者を目的階に運ぶための第1運転指令を制御装置7A或いは制御装置7Bに対して出力する(S206)。S206では、運転指令部32は、A号機の運転状況及びB号機の運転状況に応じて、第1運転指令の出力先を決定する。
【0032】
一方、S205で判定部31がNoと判定すると、運転指令部32は、第2利用者を目的階に運ぶための第2運転指令を制御装置7A或いは制御装置7Bに対して出力する(S207)。S207では、運転指令部32は、A号機の運転状況及びB号機の運転状況に応じて、第2運転指令の出力先を決定する。
【0033】
図5は、第1運転指令を受けた制御装置7の動作例を示すフローチャートである。以下においては、制御装置7Aが群管理装置3から第1運転指令を受けた例について説明する。
【0034】
制御装置7Aは、群管理装置3から第1運転指令を受信すると、無人のかご5Aを乗車階、即ち乗場12に停止させる(S301)。制御装置7Aは、かご5Aが乗場12に停止すると、ドア8Aを開閉させる(S302)。これにより、S204の報知を聞いた第1利用者はかご5Aに乗り、かご5A内で目的階を入力する。
【0035】
制御装置7Aは、目的階が入力されると、乗車階から目的階への直行運転を行う(S303)。即ち、制御装置7Aは、かご5Aが目的階に到着するまで、かご5Aを他の乗場呼びに応答させない。制御装置7Aは、かご5Aを目的階に停止させると(S304)、ドア8Aを開閉させる(S305)。これにより、第1利用者はかご5Aから降りる。
【0036】
制御装置7Aは、目的階でドア8Aを閉じると、かご5A内を除菌するための除菌動作を行う(S306)。例えば、制御装置7Aは、S306において送風機10を動作させることにより、かご5A内の空気を入れ替える。他の例として、制御装置7Aは、S306において除菌装置11を動作させる。制御装置7Aは、除菌動作が終了すると、かご5Aを新規に登録された呼びに応答させる。
【0037】
一方、群管理装置3から第2運転指令を受けた制御装置7Bでは、登録された呼びにかご5Bを順次応答させる通常の運転が行われる。乗場12にいる第2利用者は、かご5Bに乗って目的階に移動する。
【0038】
本実施の形態に示す例では、乗場12からの呼びが登録された際に隔離条件が成立すると、第1利用者用にかご5Aが乗場12に停止し、第2利用者用にかご5Bが乗場12に停止する。第1利用者と第2利用者とは、同じかご5に乗って目的階に移動する必要がない。したがって、本実施の形態に示すエレベーターシステム1であれば、かご5内でのインフルエンザ等の感染を予防することができる。本実施の形態に示すエレベーターシステム1は、例えば、病院等への適用が好適である。
【0039】
監視装置2が有する機能の一部は、群管理装置3に備えられても良い。群管理装置3が有する機能の一部は、監視装置2に備えられても良い。また、乗場12に他の装置を設け、この装置に、監視装置2が有する機能の一部或いは群管理装置3が有する機能の一部を備えても良い。
【0040】
本実施の形態では、エレベーターシステム1が複数のエレベーター装置4を備える例について説明した。これは一例である。以下に、エレベーターシステム1が1台のエレベーター装置4を備える例について説明する。
【0041】
図6は、実施の形態1におけるエレベーターシステム1の他の例を示す図である。図6に示す例では、エレベーターシステム1は、監視装置2を備える。また、かご5が停止する乗場12に、カメラ13、操作盤14、及び報知器15が設けられる。カメラ13によって撮影された画像の情報は、監視装置2に入力される。監視装置2では、図3示す動作と同様の動作が行われる。例えば、信号出力部23は、S104及びS105において、乗場12の利用者状況を示す信号を制御装置7に出力する。
【0042】
図6に示す例では、図1に示す例において群管理装置3が有していた機能の一部が制御装置7に備えられる。操作盤14からの登録要求は、制御装置7に入力される。制御装置7は、呼び登録部30、判定部31、運転制御部34、及び報知制御部33を備える。
【0043】
図7は、制御装置7の動作例を示すフローチャートである。図7のS401及びS402に示す処理は、図4のS201及びS202に示す処理と同様である。制御装置7では、操作盤14から登録要求が入力されると、呼び登録部30が乗場呼びを登録する(S401)。判定部31は、乗場12からの呼びが登録されると、乗場12に関して隔離条件が成立するか否かを判定する。上述したように、隔離条件は、第1利用者が乗場12にいることを検出部21が検出し且つ第2利用者が乗場12にいることを検出部22が検出すると成立する。
【0044】
例えば、判定部31は、S401で乗場12からの呼びが登録されると、監視装置2から第1信号を受信しているか否かを判定する(S402)。監視装置2から第1信号を受信していれば、判定部31は、隔離条件が成立したことを判定する。
【0045】
運転制御部34は、隔離条件が成立することを判定部31が判定すると、第1利用者を目的階に運ぶための第1運転と第2利用者を目的階に運ぶための第2運転とを順次行う(S403)。運転制御部34は、第1運転の後に第2運転を行っても良いし、第2運転の後に第1運転を行っても良い。例えば、運転制御部34は、S402でYesと判定された際の運転状況に応じて、第1運転を先に行うか第2運転を先に行うかを決定する。
【0046】
また、隔離条件が成立することを判定部31が判定すると、報知制御部33は、第1運転が行われている時に第1利用者がかご5に乗るための案内を、報知器15から報知させる(S404)。これにより、例えば「発熱している方を検知しました。発熱している方を優先して目的階に案内します。他の方は、ご乗車をお待ちください。」といったメッセージが、乗場12に設けられた表示器に表示される。
【0047】
判定部31は、S402でNoと判定すると、監視装置2から第2信号を受信しているか否かを判定する(S405)。監視装置2から第2信号を受信していれば、運転制御部34は、第1利用者を目的階に運ぶための第1運転を行う(S406)。一方、S405で判定部31がNoと判定すると、運転制御部34は、第2利用者を目的階に運ぶための第2運転を行う(S407)。
【0048】
第1運転では、制御装置7は、図5に示す例と同様の動作を行う。例えば、運転制御部34は、第1運転において乗車階から目的階への直行運転を行う。運転制御部34は、上記直行運転において目的階でドア8を開閉した後、かご5内を除菌するための除菌動作を行う。
【0049】
本実施の形態において、符号20〜23は、監視装置2が有する機能を示す。図8は、監視装置2のハードウェア資源の例を示す図である。監視装置2は、ハードウェア資源として、例えばプロセッサ41とメモリ42とを含む処理回路40を備える。メモリ42は、例えば半導体メモリである。メモリ42は、半導体メモリでなくても良い。監視装置2は、メモリ42に記憶されたプログラムをプロセッサ41によって実行することにより、符号20〜23に示す各部の機能を実現する。
【0050】
図9は、監視装置2のハードウェア資源の他の例を示す図である。図9に示す例では、監視装置2は、例えばプロセッサ41、メモリ42、及び専用ハードウェア43を含む処理回路40を備える。図9は、監視装置2が有する機能の一部を専用ハードウェア43によって実現する例を示す。監視装置2が有する機能の全部を専用ハードウェア43によって実現しても良い。専用ハードウェア43として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらの組み合わせを採用できる。
【0051】
同様に、図1に示す例において、符号30〜33は、群管理装置3が有する機能を示す。群管理装置3のハードウェア資源の例は、図8に示す例と同様である。例えば、群管理装置3は、ハードウェア資源として、プロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。群管理装置3は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、符号30〜33に示す各部の機能を実現する。群管理装置3のハードウェア資源の例は、図9に示す例と同様であっても良い。かかる場合、群管理装置3は、例えばプロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備える。即ち、群管理装置3が有する機能の一部を専用ハードウェアによって実現しても良い。また、監視装置2が有する機能の全部を専用ハードウェアによって実現しても良い。
【0052】
図6に示す例において、符号30、31、33、及び34は、制御装置7が有する機能を示す。制御装置7のハードウェア資源の例は、図8に示す例と同様である。例えば、制御装置7は、ハードウェア資源として、プロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。制御装置7は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、符号30、31、33、及び34に示す各部の機能を実現する。制御装置7のハードウェア資源の例は、図9に示す例と同様であっても良い。かかる場合、制御装置7は、例えばプロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備える。即ち、制御装置7が有する機能の一部を専用ハードウェアによって実現しても良い。また、制御装置7が有する機能の全部を専用ハードウェアによって実現しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
この発明は、例えば、乗場にカメラが設けられたエレベーターシステムに適用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 エレベーターシステム、 2 監視装置、 3 群管理装置、 4 エレベーター装置、 5 かご、 6 駆動装置、 7 制御装置、 8 ドア、 9 モータ、 10 送風機、 11 除菌装置、 12 乗場、 13 カメラ、 14 操作盤、 15 報知器、 20 画像解析部、 21 検出部、 22 検出部、 23 信号出力部、 30 呼び登録部、 31 判定部、 32 運転指令部、 33 報知制御部、 34 運転制御部、 40 処理回路、 41 プロセッサ、 42 メモリ、 43 専用ハードウェア
【要約】
エレベーターシステム(1)は、カメラ(13)、制御装置(7A)、制御装置(7B)、検出部(21)、検出部(22)、判定部(31)、及び運転指令部(32)を備える。運転指令部(32)は、隔離条件が成立することを判定部(31)が判定すると、第1運転指令を制御装置(7A)に対して出力し、第2運転指令を制御装置(7B)に対して出力する。隔離条件は、発熱している第1利用者が乗場にいることを検出部(21)が検出し且つ第1利用者以外の第2利用者が乗場にいることを検出部(22)が検出すると成立する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9