【実施例1】
【0029】
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態の一例を示す非常用防災品備蓄庫1を室内2に設置した斜視図である。
図2は、本例の同形態の正面、平面、側面を表わす説明図、
図3は、同形態の開閉部材6bを外した状態の筐体6の正面図である。
図4は、同形態の非常用トイレとして使用する際の使用状態に移行するもので、非常用トイレアセンブリー14を展開した状態の斜視図である。
図5は、同形態の非常用トイレアセンブリ14ーを展開した際の模式図(
図5(a))と収納した際の模式図(
図5(b))である。
(設置例)
図1は、出入口が前後の2カ所にある両開きのエレベータの乗車室内2に本例の非常用防災品備蓄庫1を、側壁の壁面2aに設置したものを示している。この壁面2aには、手すり2bが設けられている。通常、エレベータの手すりは高さ700mmほどのところに設けられることが多く、本例の手すり2bも同様である。この手すり2bと干渉しないように、本例の備蓄庫1の筐体6の高さは、後述のように、これ以下とされている。
【0030】
(全体構成)
図2は、本例の非常用防災品備蓄庫1の正面図を紙面中央に示し、その紙面上方に平面図、その紙面左方に側面図を表わしている。
図2に示すように、本例の非常用防災品備蓄庫1は、横幅W、高さH、奥行(厚さ)Dを有する筐体6と、この筐体6の内部に連結されて収納される非常用トイレアセンブリー14を備えている。この筐体6は、乗車室内2の壁面2aに沿って設置される場合に好適なように、横幅Wと高さHに比べ奥行(厚さ)Dが薄い構成となっている。
本例の備蓄庫1は、開閉部材6bが脱着できる。開閉部材6bが外されている時は、筐体6から非常用防災品12の取り出し及び取り込みができる。加えて、筐体6から非常用トイレアセンブリー14を展開することができ、非常用トイレ14(
図6参照)として使用できる。
また、筐体6に非常用防災品12を収納するとともに非常用トイレアセンブリー14を収納して設置されている場合(以下、この明細書では「常時」という。)は、開閉部材6bは装着された状態である。
以下、本例の非常用防災品備蓄庫1を詳細に説明する。
【0031】
(設置場所)
本例の非常用防災品備蓄庫1の設置場所は、特に限定がないが、地震や事故などにより人が閉じ込められやすいエレベーター、ロープウエイ、ケーブルカーなどの乗車室内であり、特に、このような室内の壁面に沿って設置する場合が有用であり、中でも、利便性、スペースの制約などの観点から増加しつつある両開きのエレベーターがその代表例である。したがって、以下、このようなエレベーター乗車室内2を例として説明する。
【0032】
(筐体)
図2に示すように、筐体6は、開口部6a(第3図)を閉鎖するための扉(開閉部材)6bを有する。この開閉部材6bは、筐体6に留め具等により脱着可能に留められている。開閉部材6bは脱着に限らず、単に開閉できるものであってもよい。
備蓄するために非常用防災品12の出し入れを行う際は、この筐体6の開口部6aを通して行うことができる。また、使用時には、この開口部6aを通して内蔵している非常用トイレアセンブリー14を展開することができる。
開閉部材6bは、その上部にハンドル(把手)6cが設けられている。ハンドル6cは、開閉部材6bの脱着の際に、脱着が簡単にできるように手にかけて引くことができる。
【0033】
(開けた状態)
図3に、開閉部材6bを外した状態の筐体6の正面の概略図を示す。
図3に示すように、開閉部材6bを外すと、筐体6の正面側に開口部6aが生じる。この開口部6aは、非常用防災用品12をその内部に収納しやすくするとともに収納されている非常用トイレアセンブリー14を展開しやすくするため、筐体6の高さ方向最上部からほぼ最下部までと幅方向は左右の対応する一部を除いて開口するように形成されている。
非常用トイレアセンブリー14は、開口部6aのほぼ中央に折り畳んだ状態で基台14aを介して筐体6に連結されている。
また、制御ユニット22がこの筐体6内部の中央の上部に設けられている。そのほかの筐体6の内部空間は、非常用防災品12の備蓄スペースとなる。本例では、非常用飲料水の缶(350ml)が非常用トイレアセンブリー14の左右に10本ずつ入れることができ、後述のようにその他の非常用防災品12をさらに収納することができる。
【0034】
(非常用トイレアセンブリー)
本例の非常用トイレアセンブリー14は、折り畳み式のフレーム構造としているため、これを収納する筐体6を薄型とすることができ常時に壁面からの突出を少なくするとともに、筐体6内の非常用防災品12を収納するスペースを広く確保できる。このため、非常用トイレ機能を果たすことができる非常用防災品備蓄庫として壁際に設置をした場合でも、乗車室内2の乗員スペースを広く取ることができる。特に、
図1に示すように、手すり2bの下などに設置すると、乗員スペースにほとんど影響がでない。
【0035】
(フレーム構造)
図4に、非常用トイレアセンブリー14の展開時の斜視図を示す。
非常用トイレアセンブリー14は、基台14aとこれに回転可能に結合した着座部14bと、この着座部14bに回転可能に結合した脚部14cを有する。このような折り畳み及び展開するフレーム構造を有するために、本例の非常用防災品備蓄庫1は、非常用防災品12の収納スペースを筐体6の内部に確保しつつコンパクトにすることができる。
【0036】
(基台)
第3図及び第4図に示すように、基台14aは、筐体6内の中央部に、門型に設けられている。すなわち、筐体6の内部の底部に2つの柱部材14a1、14a1とその柱部材の間にかけ渡された横板14a2からなる門型に設けられ、この基台14aの門型の内部および基台14aの左右の空間は、非常用防災品12が備蓄される空間として使用できる。
第4図に示すように、この横板14a2の上面に、第1のヒンジ14d1、14d1を介して着座部のチャンネル14b1、14b1が第1のヒンジ軸を支点として回転可能に連結されている。
非常用トイレアセンブリー14は、その収納時には、筐体6の内部に折り畳まれて収納され、使用時には、後述の脚部14cとともに着座した使用者の荷重を受ける。
【0037】
(着座部)
着座部14bは、1組のチャンネル(溝型部材)14b1、14b1をその溝側が下側(着座面Sの反対側)になるように、基台14aに連結している。このため、展開し着座する場合に、溝と反対側の平面を有する箇所(着座面S)に着座できる。また、収納時には両チャンネル14b1、14b1が基台14aに対して上側に回転し、後述の脚部14cとともに着座部14bが筐体6内に収納されて扉2cを装着できるように折りたたむことができ、使用時には収納時と逆方向の下側に回転し、着座部14bを筐体6の正面の水平方向に展開できる。
このようにチャンネル14b1を用いて展開した場合にチャンネル間にオープンスペースである空間14fを形成することができる。このため、
図6などに示すように、この空間14fを利用して非常用トイレ用品12aを着座部14bに装着して非常用トイレとして使用ができる。なお、チャンネル部材を用いなくても、着座でき開口が形成できれば、他の部材を用いることもできる。
【0038】
(脚部)
脚部14cは、着座部14bと同様に、1組のチャンネル(溝型部材)14c1、14c1をその溝側が着座部14bの溝側と向かい合うように、第2のヒンジ14d2、14d2を介して着座部14bに第2のヒンジ軸を支点として回転可能に連結している。
図5に示すように、このヒンジ14d2により収納時には両チャンネル14c1、14c1が着座部14bに対して回転し、着座部14bのチャンネル14b1、14b1にそれぞれ入れ子になって折り畳むことができ(
図5(a))、使用時には逆側に回転して室内のフロア面に当接して着座部14bを支持できるよう、たとえば着座部14bと脚部14cの角度を90°にして、脚部が垂直方向になるように筐体6の正面に展開できる(
図5(b))。
このように、使用時は、脚部14cのチャンネル14c1は、フロア面に当接し、前述の基台14aとともに着座部14bに受ける荷重を支える。
【0039】
このようにして、使用時に着座部14bと脚部14cを展開すると、非常用トイレアセンブリー14は筐体6の開口部6aから筐体6の外側に展開することができ、着座部14bに使用者が着座することが可能になり、その着座部14bの下側にトイレ用具12aをセットして、非常用トイレ14として使用が可能になる。
また、この際に、使用者は、チャンネル14b1,14b1の溝と反対側の平面を有する箇所Sの上に着座できるため、簡易な構成ながら、使用者の体重を分散でき、非常用トイレとしてより快適に使用できる。
加えて、非常用トイレアセンブリー14の着座部14bと脚部14cは、溝型部材を採用しているので、展開時に使用者が着座するために十分な強度を持たせ、安全性を確保するだけではなく、収納時に収納効率を確保して、収納された非常用トイレアセンブリー14のすき間の空間に、非常用防災品12や制御ユニット22を収納することができる。
【0040】
(補強板)
脚部14cのチャンネル14c1、14c1間には、補強材として、第1の補強板14e1と第2の補強板14e2が差し渡されている。
第1の補強板14e1は、第4図に示すように、両チャンネル14c1、14c1の中間部に差し渡されている。また、第2の補強板14e2は、両チャンネル14c1、14c1の先端部に差し渡されている。
中間部に差し渡された第1の補強板14e1は、強度を考えるとチャンネル14c1の上部、すなわち着座部14bのチャンネル14b1に近いところが好ましい。しかし、中間部に差し渡すことにより、そうでない場合と比べて非常用防災品12や制御ユニット22のスペースを確保することができる。また、先述の空間14fを広くとることができる。
各補強板14e1、14e2は、リブを備えている。この場合、省スペースの観点から、チャンネルの厚さを越えないことが望ましい。このような補強板を加えると、荷重に対し、強度が向上し、たわみや変形がしづらくなる。
【0041】
(着座部の高さ)
図5(a)(b)に示すように、着座部14bの着座面Sの高さhsは、ほぼ脚部14cのチャンネル14c1の長さと考えることができ、着座面の奥行dsは、ほぼ着座部のチャンネル14b1の長さlsと考えることができる。
そうすると、着座部14bの着座面Sの高さhsは、筐体6の高さHの制約が前提となり、基台14aの高さhbと脚部14cの長さ(チャンネル14c1の長さ)で決定される。これらの部材が高さHの筐体に収納されるためには、次の(式1)〜(式3)の関係を満足する必要がある。
H>hb+ds (式1)
ds>hs (式2)
hs=hb+ts (式3)
したがって、
hs<H−(ds−ts)(式4)
を満足するように、H、ds、tsを決めればよい。
使用者が着座するのにhs300mm×ds300mm以上という条件とすると、
基台14aの高さhbを270mm、部材の厚さtsを32mm、着座部14cのチャンネル14c1の長さdsを350mmの場合は、(式3)より、基台の高さhsは、332mmとすればよく、着座面の高さは、(式2)より、これより小さい300mmとすればよい。このとき、(式4)より、H>618mmとなるので、筐体の高さHが640mmあれば、収納することができる。したがって、筐体高さが700mmに抑えられている場所であっても、設置可能である。
【0042】
(開閉部材)
開閉部材である扉6bは、非常用防災品12を本例の備蓄庫1内に収納する際に、筐体6から外されて、その開口部6aからその防災品12を収納するものであり、さらに、収納された非常用防災品12が紛失したり盗難されたり、また、いたずらなどをされないように開口部6aを閉鎖して防護するものである。このため、着脱自在としつつ簡単には取り外せないように、開閉部材6bは、筐体6の正面の開口部6aに嵌合するように取り付けられる。
一方、地震などにより、エレベーター2内に閉じ込めが発生した際は、筐体6から開閉部材6bを容易に取り外せ、中の非常用防災品12を取り出して、さらに非常用トイレアセンブリー14を展開できる必要がある。このため、
図2に示すように、ハンドル17が開閉部材6bの着脱を容易にするために設けられている。
【0043】
(非常用防災品)
非常用防災品12は、地震などにより、エレベーター乗車室2内に人が長時間閉じ込められたような時に必要となる物資をいう。たとえば、飲料水、乾パン缶詰などの非常食に加え、不透明のビニール袋などのトイレ用の収納袋、トイレ用凝固剤、トイレ使用時の目隠し用のエマージェンシーブランケット、このブランケットを室内に吊るためのの吊り用具、消臭スプレーなどの非常用トイレ用具12a、ティッシュペーパー、発電機付ラジオ/ライト、マスクなどである。
【0044】
(警報装置)
本例の備蓄庫1は、前記筐体6に揺れ感知センサ20と防犯ブザー21とこれらを制御する制御装置22を内蔵した制御ユニット22が設けられている。これらは
図7に示すように、互いに電気的に接続されている。
また、本例の備蓄庫1は、筐体6の開閉部材6bが「開」状態である場合を検知するセンサ23が設けられ、その信号が制御ユニット22に電気的に接続され、さらに、後述する非常灯25及び音声案内装置26も制御ユニット22に電気的に接続され、制御の対象となっている。
制御ユニット22は、蓄電池で作動させることができる。加えて、太陽光電池などの自己発電を可能にさせてもよい。
【0045】
非常用防災品備蓄庫1における筐体6の開閉部材6bは、使用時の状況を考慮し、開閉が自由にできるので、開閉部材6bを開けて筐体6から非常用防災品12を誰でも取り出すことが可能である。
しかし、揺れ感知センサ20が所定の揺れより大きい揺れを検知しない状態で、筐体6の開閉部材6bを開けると、開閉部材6bの「開」状態を検知する開閉部材センサ23が、「開」信号を制御ユニット22に送り、制御ユニット22は、「開」信号のみであると判断すると、作動指令を出して防犯ブザー21を鳴動させる。
このため、開閉部材6bが、不正に開けられた事実が明確になり、非常用防災品12に対するいたずらや盗難を防止できる。
【0046】
一方、揺れ感知センサ20が所定の揺れより大きい揺れを検知した場合は、制御ユニット22に「揺れ」信号を送るので、筐体6の開閉部材6bを開けて、開閉部材6bの「開」状態を検知して「開」信号を制御ユニット22に送る場合であっても、制御ユニット22は「揺れ」信号と「開」信号と両方の信号を受けるので、適正な使用であると判断して作動指令を出さず防犯ブザー21が鳴動することはない。したがって、非常用防災品備蓄庫1の筐体6の開閉部材6bを適正に開けることができ、非常用防災品12を使用できる。
【0047】
(蓄光材)
本例の非常用防災品備蓄庫1は、筐体6の外面に蓄光材を用いて、文字や図などの情報により、その使用方法及びその位置を明示している。したがって、地震などにより、人がエレベーター2内に閉じ込められ停電になっても、本例の非常用防災品備蓄庫1が設置してあれば、使用したい被災者は蓄光材を頼りに本例の備蓄庫1の使用方法及び位置を認知でき、非常用防災品備蓄庫1を確実に使用できる。なお、蓄光材による非常用防災品備蓄庫1の使用方法及びその位置の明示は、磁石や吸盤付のシートにして、そのシートをエレベーター2の側壁2aや非常用防災品備蓄庫1の外面に取り付けることもできる。
【0048】
(非常灯)
また、非常用防災品備蓄庫1は非常灯25を備えており、この非常灯25は、揺れ感知センサ20が所定の揺れより大きい揺れを検知すると、点灯するようになっている。したがって、地震などによりエレベーター2内に閉じ込められ停電になっても、本例の非常用防災品備蓄庫1を設置してあれば、非常灯25が点灯するので非常用防災品備蓄庫1を有効且つ容易に使用できる。
【0049】
(音声ガイド)
また、本例の備蓄庫1は、筐体6の外面に点字を用いてその使用方法及びその位置を明示するととも備蓄庫1内にその使用方法及びその位置を説明する音声案内装置26を設け、使用したい被災者が開閉部材6bを開けると音声案内が始まるようになっている。したがって、地震などによりエレベーター2内に視覚障害者だけが閉じ込められた場合であっても、点字を辿れば容易に非常用防災品備蓄庫1を使用でき、さらに、音声案内により視覚障害者のみならず健常者も含めて、だれでも極めて容易に非常用防災品備蓄庫1を使用できる。
【0050】
(外部とのやりとり)
また、本例の非常用防災品備蓄庫1は、筐体6の外面に液晶モニター(不図示)を取り付け、この液晶モニターに各種情報を表示できるようにしてもよい。液晶モニターに表示される各種情報のうち広告を表示するようにすれば、対価として広告料を取得できる可能性が出て来る。もし、広告料を取得できれば、本例の非常用防災品備蓄庫1の設置コスト及びその維持コストの低減に資することができ、より一層の普及が可能となって、災害が生じた場合でもより多くの人の安心と安全に貢献することができる。
【0051】
(使用方法について)
次に、本例の非常用防災品備蓄庫1の使用方法を説明する。
まず、筐体6内に、エレベーター2内などに人が長時間閉じ込められたような時に必要となる非常用防災品12を収納し、筐体6の扉6bを閉じる。この状態の非常用防災品備蓄庫1をエレベーター乗車室内2などの壁面2aに沿って設置する。
【0052】
(盗難防止機能)
次に、エレベーター乗車室内2の壁面2aに設置された非常用防災品備蓄庫1がいたずらや盗難にあう場合は、地震による揺れが無いために揺れ感知センサ20が所定の揺れより大きい揺れを検知することがないので、筐体6の開閉部材6bを開けると、扉センサ23が「開」信号を制御ユニット22に送り、制御ユニット22は「開」信号のみを受信するので、不正な場合であることを判断し、作動指令を出して防犯ブザー21を鳴動し、いたずらや盗難を防止する。
【0053】
これに対して、地震などによりエレベーター2が各階の途中に停止して人が閉じ込められ、しかもその救出に長時間かかるような閉じ込めが発生した場合は、正当な使用であり、防犯ブザー21は鳴動することなく、非常用防災品備蓄庫1を使用することができる。
【0054】
(非常灯点灯機能)
このような閉じ込められた状況下では、同時に停電になることが多いが、揺れ感知センサ20は所定の揺れより大きい揺れを検知した場合、非常灯25が点灯する。このため、停電になっても非常用防災品備蓄庫1を使用できる。さらに、何らかの事情で非常灯25が点灯しなくても、筐体6の外面に蓄光材を用いて表示された情報を頼りに、本例の備蓄庫1の使用方法及び位置を認知でき、非常用防災品備蓄庫1を確実に使用できる。加えて、揺れ感知センサ20が所定の揺れより大きい揺れを検知しているので、音声案内装置26は音声案内を開始し、閉じ込められた被災者は非常用防災品備蓄庫1の使用方法及び位置を認知でき、非常用防災品備蓄庫1を使用できる。
【0055】
(障害補助機能)
また、エレベーター2内に閉じ込められた被災者が、視覚に障害がある場合、非常灯25を点灯しても、その効果が薄い場合もある。そこで、非常用防災品備蓄庫1の外面に点字による表示を備えているので、点字を辿れば、触覚により容易に非常用防災品備蓄庫1を使用できる。また、点字を辿らなくても、上述の通り、揺れ感知センサ20が所定の揺れより大きい揺れを検知しているから、音声案内装置26による音声案内が開始するため、視覚障害者であっても、非常用防災品備蓄庫1を容易に使用できる。音声案内が健常者を含めた広い範囲の被災者に使用できることは上述のとおりである。
【0056】
(非常用トイレの使用方法)
このように、災害に遭遇した場合、筐体6の開閉部材6bを開き、必要とする非常用防災品12を取り出せば、非常用防災品備蓄庫1を実際に使用することができる。そして、復旧に時間がかかり、エレベーター2内に閉じ込められた状態が長時間になる場合は、閉じ込められた被災者はトイレを使用したくなる場合があるが、その際の使用の手順は以下の通りである。
【0057】
まず、非常用防災品備蓄庫1内から全ての非常用防災品12を取り出し、非常用トイレアセンブリー14を開口部6aから展開する。具体的には、第1ヒンジ14d1及び第2ヒンジ14d2を中心軸(支軸)として回転させ、着座部14b及び脚部14cを着座可能になるように展開する。
次に、非常用トイレアセンブリー14の着座部14bに、その上部から非常用防災品12のトイレ用の収納袋(トイレ用具)12aをセットをすれば、非常用トイレ14として使用できる。このときに、非常用防災品12のエマージェンシーブランケットをエレベーター2内に吊り用具を用いて吊れば、目隠しとすることができる。この非常用トイレ14の使用の際は、トイレ用凝固剤、消臭スプレー、ティッシュペーパーなども使用することができる。
【0058】
このようにして、エレベーター2内に閉じ込められた被災者は、非常用トイレ14及び他の非常用防災品12を使用しながら、より快適な状態で外部からの救出を待つことができる。
【0059】
以上、本発明の実施例1を説明したが、具体的な構成はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更・追加、各請求項における他の組み合わせにかかるものも、適宜可能であることが理解されるべきである。