(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の判定の結果及び前記第2の判定の結果が、自機が前記第2の無線端末装置の全てと無線通信接続をすることができ、かつ、前記相手方の無線通信装置が前記第1の無線端末装置の全てと無線通信接続をすることができる旨を示す場合において、
前記省電力状態移行判定部は、
自機の充電状態を示す情報を含む第1の電池情報と、前記相手方の無線通信装置の充電状態を示す情報を含む第2の電池情報とを用いて、自機が充電しておらず、かつ、前記相手方の無線通信装置が充電していると判断したとき、自機を省電力状態に移行させると判断する、請求項1に記載の無線通信装置。
前記第1の判定では、自機が前記第2の無線端末装置の全てと無線通信を確立したことがある場合に、自機が前記第2の無線端末装置と無線通信接続をすることができると判定され、
前記第2の判定では、前記相手方の無線通信装置が前記第1の無線端末装置の全てと無線通信を確立したことがある場合に、前記相手方の無線通信装置が前記第1の無線端末装置と無線通信接続をすることができると判定される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の通信システム100の一実施形態を示す概略図である。通信システム100は、無線端末装置10a〜10cと、無線通信装置20a,20bとを含む。なお、
図1には、説明の便宜上、3つの無線端末装置10a〜10cのみが示されているが、通信システム100は、任意の数の無線端末装置を含むことができる。
【0011】
無線端末装置10a〜10cは、無線通信装置20a,20bとの間で無線LAN(Local Area Network)を介したデータ通信が可能な装置である。無線端末装置10a〜10cの具体例としては、無線通信機能を有するスマートフォンやPC、タブレット型端末、家電、センサ等の種々の装置が挙げられる。
【0012】
無線通信装置20a,20bは、アクセスポイントとして機能する装置である。無線通信装置20a,20bの具体例として、モバイルルータやスマートフォン等が挙げられる。無線通信装置20a,20bは、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によって互いにデータ通信を行うことができると共に、無線端末装置10a〜10cと無線LANを介してデータ通信を行うことができる。
【0013】
図1に示す実施形態では、無線通信装置20aは、無線端末装置10a,10cとの間で無線通信を確立したことがあるものとし、無線通信装置20bは、無線端末装置10a〜10cとの間で無線通信を確立したことがあるものとする。また、
図1(A)では、無線通信装置20aが無線端末装置10aとの間で無線通信を確立しており、無線通信装置20bが、無線端末装置10b,10cとの間で無線通信を確立しているものとする。
【0014】
図1に示すように、無線通信装置20a,20bが、互いに近距離無線通信が可能な電波圏内に入ると、無線通信装置20a,20bは、
図7に示すような無線端末リストと、自機の現在の電池情報を送受信する。無線端末リストには、無線通信装置20a,20bが無線通信を確立したことのある無線端末装置の識別情報(MACアドレス等)が登録される。
図7に示す無線端末リスト70a,70bは、それぞれ無線通信装置20a,20bの無線端末リストの一例である。無線端末リスト70aには、無線端末装置10a,10c,10dの識別情報が登録されている。無線端末リスト70bには、無線端末装置10a〜10dの識別情報が登録されている。電池情報は、無線通信装置20a,20bが備えるバッテリ(図示せず)に関する情報であり、自機のバッテリの充電状態を示す情報と、自機のバッテリに蓄えられている電力の残量(以下、「電池残量」とする。)を示す情報が含まれる。
【0015】
無線通信装置20a,20bは、自機が有する無線端末リスト及び電池情報と、相手方の無線通信装置が提供した無線端末リスト及び電池情報を用いて、自機が省電力状態に移行するか否か判断し、省電力状態に移行すると判断した場合に、省電力状態に移行する。一方、相手方の無線通信装置が省電力状態に移行した場合、無線通信装置20a,20bは、相手方の無線通信装置と無線通信を行っていた無線端末装置との間で無線通信を確立し、アクセスポイントとして動作する。
図1に示す例では、
図1(B)に示すように、無線通信装置20aが省電力状態に移行し、無線通信装置20bが、無線通信装置20aと無線通信を行っていた無線端末装置10aとの間で無線通信を確立し、アクセスポイントとして動作する。なお、無線通信装置20a,20bが実行する処理の詳細には、
図4〜
図6を参照して後述する。
【0016】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信装置20aの詳細な構成を示すブロック図である。以下、無線通信装置20aの構成について説明する。なお、無線通信装置20bも無線通信装置20aと同様の構成を有する。
【0017】
無線通信装置20aは、無線インタフェース201と、接続監視部202と、送信部203と、受信部204と、接続可否判定部205と、省電力状態移行判定部206と、動作状態変更部207と、設定情報取得部208と、バッテリ監視部209と、記憶装置210を備える。
【0018】
無線インタフェース201は、自機と他の無線通信装置及び無線端末装置との間の無線通信を制御する電子回路である。無線インタフェース201は、他の無線通信装置が、近距離無線通信が可能な電波圏内に入ると、当該他の無線通信装置との間で無線通信を確立する。一方、自機と無線通信を確立した他の無線通信装置(以下、「相手方の無線通信装置」とする。)が、近距離無線通信が可能な電波圏内から外れると、当該相手方の無線通信装置との無線通信接続を切断する。また、無線インタフェース201は、無線LANを介して、無線端末装置と無線通信を確立すると、当該無線端末装置の識別情報を記憶装置210の無線端末リストに登録する。
【0019】
接続監視部202は、無線インタフェース201が他の無線通信装置との間で無線通信を確立したか否か判断する電子回路である。無線インタフェース201が他の無線通信装置との間で無線通信を確立すると、接続監視部202は、記憶装置210から自機の無線端末リスト及び電池情報を取得し、送信部203を介して、当該無線端末リスト及び電池情報を相手方の無線通信装置に送信する。
【0020】
送信部203は、他の電子回路の指示により、無線インタフェース201を介して種々のデータを他の装置に送信する電子回路である。
【0021】
受信部204は、他の装置から無線インタフェース201を介して種々のデータを受信する電子回路である。受信部204は、他の装置から種々のデータを受信すると、当該データを処理すべき他の電子回路に提供する。
【0022】
接続可否判定部205は、自機が無線通信
を確立したことのある無線端末装置
の識別情報を含む無線端末リスト(以下、「第1の無線端末リスト」とする。)と、相手方の無線通信装置が無線通信
を確立したことのある無線端末装置
の識別情報を含む無線端末リスト(「第2の無線端末リスト」とする。)を用いて、相手方の無線通信装置が無線通信
を確立したことのある全ての無線端末装置(以下、「第2の無線端末装置」とする。)と自機との無線通信接続の可否についての第1の判定を行う電子回路である。第1の判定では、自機が第2の無線端末装置の全てと無線通信を確立したことがある場合に、自機が第2の無線端末装置と無線通信接続をすることができると判定される。
【0023】
同様に、相手方の無線通信装置の接続可否判定部205は、
無線通信装置20aが無線通信
を確立したことのある全ての無線端末装置(以下、「第1の無線端末装置」とする。)と相手方の無線通信装置との無線通信接続の可否についての第2の判定を行う。第2の判定では、相手方の無線通信装置が第1の無線端末装置の全てと無線通信を確立したことがある場合に、相手方の無線通信装置が第1の無線端末装置と無線通信接続をすることができると判定される
。
【0024】
省電力状態移行判定部206は、接続可否判定部205が行った第1の判定の結果と、相手方の無線通信装置が行った第2の判定の結果に基づき、自機を省電力状態に移行させるか否か判断する電子回路である。
【0025】
動作状態変更部207は、無線通信装置20aの動作状態を変更する電子回路である。動作状態変更部207は、省電力状態移行判定部206が自機を省電力状態に移行させると判断した場合、自機を通常の動作状態から省電力状態に移行させる。省電力状態では、無線通信装置20aのバッテリからの電力供給が制限される。また、動作状態変更部207は、省電力状態に移行した状態で相手方の無線通信装置との無線通信が切断されると、自機を省電力状態から通常の動作状態に復帰させる。
【0026】
設定情報取得部208は、無線端末装置が無線通信装置20aと無線通信を確立する際に必要となる設定情報を入力可能なGUI(Graphical User Interface)を提供し、当該GUIを介して入力された設定情報を取得する電子回路である。設定情報取得部208は、無線通信装置20aと無線通信接続がされている無線端末装置にGUIを提供することができる。無線通信装置20aが表示装置を備えている場合、設定情報取得部208は、当該表示装置にGUIを表示させることができる。設定情報取得部208は、GUIを介して入力された設定情報(SSIDやパスワード等)を記憶装置210に保存する。
【0027】
バッテリ監視部209は、無線通信装置20aが備えるバッテリの状態を監視する電子回路である。具体的には、バッテリ監視部209は定期的に、バッテリの充電状態及び電池残量を監視し、これらを示す電池情報を生成して記憶装置210に保存する。
【0028】
記憶装置210は、種々のデータが保存される記憶装置であり、ROMやRAMによって構成することができる。記憶装置210には、第1の無線端末リスト、第2の無線端末リスト及び電池情報の他、自機が無線端末装置と無線通信を確立する際にユーザが入力した設定情報、及びGUIを構成する情報等が保存される。
【0029】
図3は、第1の実施形態に係る無線通信装置が有する主要なプログラムモジュールを示すブロック図である。無線通信装置20aは、主要なプログラムモジュールとして、無線インタフェース201と、省電力状態移行判定部206と、動作状態変更部207と、無線端末リストとを備える。
【0030】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信装置が実行する処理を示すフローチャートである。
図4に示す実施形態では、無線通信装置として、モバイルルータ(図では「MR」とする。)を採用する。
図4に示す処理は、モバイルルータ20aの電源投入等の任意のタイミングで開始される。ステップS101では、モバイルルータ20aの接続監視部202が、無線インタフェース201によって他のモバイルルータと無線通信接続がされたか否か判断する。他のモバイルルータと無線通信接続がされていない場合(NO)、ステップS101の処理が再び実行される。一方、他のモバイルルータと無線通信接続がされている場合(YES)、ステップS102に処理が分岐する。以下、モバイルルータ20aがモバイルルータ20bと無線通信を確立したものとして説明する。
【0031】
ステップS102では、接続監視部202は、送信部203を介して、モバイルルータ20aの無線端末リスト(第1の無線端末リスト)及び現在の電池情報をモバイルルータ20bに送信する。ステップS103では、受信部204が、モバイルルータ20bからモバイルルータ20bの無線端末リスト(第2の無線端末リスト)及び電池情報を受信したか否か判断する。第2の無線端末リスト及び電池情報を受信していない場合(NO)、ステップS103の処理が再び実行される。一方、第2の無線端末リスト及び電池情報を受信した場合(YES)、ステップS104に処理が分岐する。
【0032】
ステップS104では、接続可否判定部205が、第1の無線端末リスト及び第2の無線端末リストを用いて、モバイルルータ20aと第2の無線端末装置との無線通信接続の可否について第1の判定を行う。具体的には、接続可否判定部205は、第2の無線端末リストに含まれる全ての無線端末装置の識別情報が、第1の無線端末リストに含まれるか否か、または、第1の無線端末リストに含まれる無線端末装置の識別情報と、第2の無線端末リストに含まれる無線端末装置の識別情報とが完全に同一であるか否か判断する。第2の無線端末リストに含まれる全ての第2の無線端末装置の識別情報が、第1の無線端末リストに含まれる場合、または、第1の無線端末リストに含まれる無線端末装置の識別情報と、第2の無線端末リストに含まれる無線端末装置の識別情報とが完全に同一である場合、接続可否判定部205は、モバイルルータ20aが第2の無線端末装置の全てと無線通信接続をすることができると判断する。一方、第2の無線端末リストに含まれる第2の無線端末装置の識別情報の少なくとも1つが、第1の無線端末リストに含まれない場合、または、第1の無線端末リストに含まれる無線端末装置の識別情報と、第2の無線端末リストに含まれる無線端末装置の識別情報とが完全に同一でない場合、接続可否判定部205は、モバイルルータ20aが第2の無線端末装置のうちの少なくとも1つと無線通信接続をすることができないと判断する。
【0033】
ステップS105では、送信部203が、ステップS104で行われた第1の判定の結果を送信する。具体的には、接続可否判定部205が、モバイルルータ20aが第2の無線端末装置の全てと無線通信接続をすることができると判断した場合、送信部203は、その旨を示す判定結果(OK)を送信する。一方、接続可否判定部205が、モバイルルータ20aが第2の無線端末装置のうちの少なくとも1つと無線通信接続をすることができないと判断した場合、送信部203は、その旨を示す判定結果(NG)を送信する。
【0034】
ステップS106では、受信部204が、モバイルルータ20bから第2の判定の結果を受信したか否か判断する。第2の判定の結果を受信していない場合(NO)、ステップS106の処理が再び実行される。一方、第2の判定の結果を受信した場合(YES)、
図5に示すステップS107に処理が分岐する。
【0035】
ステップS107では、省電力状態移行判定部206が、第1の判定の結果及び第2の判定の結果に応じて、処理を分岐させる。具体的には、第1の判定の結果及び第2の判定の結果の双方が「NG」の場合、すなわち、モバイルルータ20aが、第2の無線端末装置のうちの少なくとも1つと無線通信接続をすることができず、かつ、モバイルルータ20bが、第1の無線端末装置のうちの少なくとも1つと無線通信接続をすることができない場合、ステップS101に処理が戻る。
【0036】
第1の判定の結果が「OK」であり、第2の判定の結果が「NG」の場合、すなわち、モバイルルータ20aが、第2の無線端末装置の全てと無線通信接続をすることができ、かつ、モバイルルータ20bが、第1の無線端末装置のうちの少なくとも1つと無線通信接続ができない場合、ステップS108に処理が分岐する。ステップS108では、無線インタフェース201が、モバイルルータ20bと無線通信接続がされていた無線端末装置と無線通信を確立する。ここで、モバイルルータ20bと無線通信接続がされていた無線端末装置を特定する情報は、モバイルルータ20bの無線端末リストと共に受信することができ、無線インタフェース201は、この情報を用いて、モバイルルータ20bと無線通信接続がされていた無線端末装置を特定して無線通信を確立する。この場合、モバイルルータ20aが、これらの無線端末装置のアクセスポイントとして動作し、モバイルルータ20bは省電力状態に移行する。
【0037】
第1の判定の結果が「NG」であり、第2の判定の結果が「OK」の場合、すなわち、モバイルルータ20aが、第2の無線端末装置のうち少なくとも1つと無線通信接続ができず、かつ、モバイルルータ20bが、第1の無線端末装置の全てと無線通信接続ができる場合、ステップS111に処理が分岐する。
【0038】
第1の判定の結果が「OK」であり、第2の判定の結果が「OK」の場合、すなわち、モバイルルータ20aが、第2の無線端末装置の全てと無線通信接続をすることができ、かつ、モバイルルータ20bが、第1の無線端末装置の全てと無線通信接続をすることができる場合、ステップS109に処理が分岐する。
【0039】
ステップS109では、省電力状態移行判定部206は、モバイルルータ20a及びモバイルルータ20bの電池情報を用いて、モバイルルータ20a及びモバイルルータ20bの充電状態を判定する。具体的には、モバイルルータ20aが充電しており、かつ、モバイルルータ20bが充電していない場合(充電&非充電)、ステップS108に処理が分岐する。この場合、モバイルルータ20aがアクセスポイントとして動作し、モバイルルータ20bは省電力状態に移行する。モバイルルータ20aが充電しておらず、かつ、モバイルルータ20bが充電している場合(非充電&充電)、ステップS111に処理が分岐する。
【0040】
モバイルルータ20a及びモバイルルータ20bの双方が充電している場合(充電&充電)、またはモバイルルータ20a及びモバイルルータ20bの双方が充電していない場合(非充電&非充電)、ステップS110に処理が分岐する。ステップS110では、省電力状態移行判定部206は、モバイルルータ20a及びモバイルルータ20bの電池情報を用いて、モバイルルータ20aの電池残量がモバイルルータ20bの電池残量よりも少ないか否か判断する。モバイルルータ20aの電池残量がモバイルルータ20bの電池残量以上である場合(NO)、ステップS101に処理が戻る。この場合、モバイルルータ20bは省電力状態に移行する。一方、モバイルルータ20aの電池残量がモバイルルータ20bの電池残量よりも少ない場合(YES)、ステップS111に処理が分岐する。
【0041】
ステップS111では、動作状態変更部207が、モバイルルータ20aを省電力状態に移行させる。省電力状態への移行処理では、無線インタフェース201が、自機と無線通信接続がされていた無線端末装置との通信を切断する。この場合、モバイルルータ20bが、これらの無線端末装置のアクセスポイントとして動作する。
【0042】
図6に示すステップS112では、接続監視部202が、自機とモバイルルータ20bとの無線通信が切断されたか否か判断する。モバイルルータ20bとの無線通信が切断されていない場合(NO)、ステップS112の処理が再び実行される。一方、モバイルルータ20bとの無線通信が切断された場合(YES)、ステップS113に処理が分岐する。ステップS113では、動作状態変更部207は、省電力状態を解除して、モバイルルータ20aを通常の動作状態に移行させる。ステップS114では、無線インタフェース201が、自機が省電力状態に移行する直前に無線通信接続がされていた無線端末装置との無線通信を再び確立し、ステップS101に処理が戻る。
【0043】
第1の実施形態では、以下の効果を奏する。すなわち、本発明の無線通信装置は、相手方の無線通信装置との間で無線端末リスト及び電池情報を交換し、これらの情報を用いて、自機が省電力状態に移行するか否か判断する。そして、所定の場合に(ステップS107の「NG&OK」、ステップS109の「非充電&充電」、ステップS110の「YES」)、無線通信装置20aが省電力状態に移行する。これにより、アクセスポイントとして機能する2つの無線端末装置の一方を省電力状態に移行させることができ、無線通信装置の電力消費を抑制することができる。
【0044】
また、本発明では、2つの無線通信装置の間で上述した処理が実行され、上記所定の場合に、一方の無線通信装置が省電力状態に移行し、他方の無線通信装置がアクセスポイントとして機能する。当該他方の無線通信装置は、さらに別の無線通信装置の間で上述した処理を実行することができる。このため、無線通信装置が3台以上存在する場合にも、本発明を適用することができ、これらの無線通信装置の電力消費を抑制することができる。
【0045】
さらに、本発明の無線通信装置は、相手方の無線通信装置が自機の無線端末装置と接続できる場合(
図5に示す「NG&OK」または「OK&OK」)、すなわち、相手方の無線通信装置が自機の無線端末装置のアクセスポイントとして機能する場合にのみ、省電力状態に移行する。このため、無線通信装置20aをアクセスポイントとして利用していた無線端末装置が、相手方の無線通信装置をアクセスポイントとして利用することができ、アクセスポイントを介したデータ通信を継続して行うことができる。
【0046】
さらに、本発明の無線通信装置自体が、上述した第1の判定及び第2の判定を行い、その結果に応じて省電力状態に移行する。すなわち、ユーザ自身が、各無線通信装置が接続可能な無線端末装置を選択して省電力状態に移行させる必要がないため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0047】
さらに、本発明の無線通信装置は、自機及び相手方の無線通信装置の電池情報を用いて、自機及び相手方の無線通信装置の充電状態を判定する。そして、自機が充電しておらず、かつ、相手方の無線通信装置が充電している場合(非充電&充電)、自機が省電力状態に移行すると共に、相手方の無線通信装置がアクセスポイントとして動作する。これにより、ユーザ自身が、アクセスポイントとなり得る各無線通信装置の充電状態を確認して選択することなく、充電中の無線通信装置がアクセスポイントとして機能する。このため、ユーザの利便性を向上させることができると共に、アクセスポイントとして機能している無線通信装置の電力消失によって、当該無線通信装置を利用する無線端末装置の無線通信が切断されるのを防止することができる。
【0048】
さらに、本発明の無線通信装置は、自機及び相手方の無線通信装置の電池情報を用いて、自機の電池残量が相手方の無線通信装置の電池残量よりも少ないか判断する。そして、自機の電池残量が相手方の無線通信装置の電池残量よりも少ない場合、自機が省電力状態に移行すると共に、相手方の無線通信装置がアクセスポイントとして機能する。これにより、ユーザ自身が、アクセスポイントとなり得る各無線通信装置の電池残量を確認して選択することなく、電池残量の多い無線通信装置がアクセスポイントとして機能する。このため、ユーザの利便性を向上させることができると共に、アクセスポイントとして機能している無線通信装置の電力消失によって、当該無線通信装置を利用する無線端末装置の無線通信が切断されるのを抑制することができる。
【0049】
さらに、モバイルルータを無線通信装置として利用する場合、モバイルルータの可搬性により、特定の場所に依存することなく、例えば、外出先においても上述した効果を奏することができる。
【0050】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、無線通信装置20a,20bが、
図6に示す処理の代わりに、
図8に示す処理を実行する。その他の処理については、第1の実施形態と同じである。以下、
図8を参照して、第2の実施形態に係る無線通信装置として、モバイルルータ20aが実行する処理について説明する。ステップS210では、無線インタフェース201が、モバイルルータ20aが省電力状態に移行してから一定時間(任意の時間)が経過したか否か判断する。モバイルルータ20aが省電力状態に移行してから一定時間が経過した場合(YES)、ステップS211に処理が分岐する。ステップS211では、無線インタフェース201は、自機とモバイルルータ20bとの無線通信を切断し、ステップS213に処理が進む。
【0051】
ステップS210においてモバイルルータ20aが省電力状態に移行してから一定時間が経過していないと判断した場合(NO)、ステップS212に処理が分岐する。ステップS212では、接続監視部202が、自機とモバイルルータ20bとの無線通信が切断されたか否か判断する。モバイルルータ20bとの無線通信が切断されていない場合(NO)、ステップS210に処理が戻る。一方、モバイルルータ20bとの無線通信が切断された場合(YES)、ステップS213に処理が分岐する。ステップS213では、動作状態変更部207は、省電力状態を解除して、モバイルルータ20aを通常の動作状態に移行させる。ステップS214では、無線インタフェース201が、省電力状態に移行する直前に自機と無線通信接続がされていた無線端末装置との無線通信を確立し、
図4に示すステップS101に処理が戻る。
【0052】
第2の実施形態では、第1の実施形態が奏する効果に加え、以下の効果を奏する。第2の実施形態に係る無線通信装置は、自機が省電力状態に移行してから一定時間が経過した場合、省電力状態を解除すると共に、相手方の無線通信装置との無線通信を切断して、当該相手方の無線通信装置を含む他の無線通信装置との無線通信の確立を可能な状態にする。このため、自機が省電力状態に移行してから一定時間が経過した後、再び、2つの無線通信装置の間で、最新の電池情報が交換され、これらの無線通信装置の充電状態及び電池残量について判定される。
【0053】
これにより、初めに省電力状態に移行した無線通信装置と、省電力状態に移行しなかった無線通信装置との電池残量が逆転していた場合、すなわち、省電力状態に移行しなかった無線通信装置の電池残量が、省電力状態に移行した無線通信装置の電池残量よりも少なくなっている場合、省電力状態に移行しなかった無線通信装置が、省電力状態に移行する。このため、双方の無線通信装置の電力を有効に活用でき、アクセスポイントとして機能している無線通信装置の電力消失によって、当該無線通信装置を利用する無線端末装置の無線通信が切断されるのを抑制することができる。
【0054】
また、自機が省電力状態に移行してから一定時間が経過する間に、これらの無線通信装置の充電状態が変更された場合、例えば、初めに充電されていなかった無線通信装置が充電され、初めに充電されていた無線通信装置が充電されなくなった場合、充電されるようになった無線通信装置が省電力状態を解除してアクセスポイントとして機能する。一方、充電されなくなった無線通信装置が省電力状態に移行する。これにより、アクセスポイントとして機能している無線通信装置の電力消失によって、当該無線通信装置を利用する無線端末装置の無線通信が切断されるのを抑制することができる。
【0055】
<その他の実施形態>
上述した実施形態では、自機が第1の判定を行い、相手方の無線通信装置が第2の判定を行い、自機が、相手方の無線通信装置から第2の判定の結果を受信し、これらの判定の結果に基づいて省電力状態に移行するか否か判断する。他の実施形態では、自機が、自機の有する第1の無線端末リストと、相手方の無線通信装置から受信した第2の無線端末リストとを用いて、第1の判定及び第2の判定の双方を行い、これらの判定の結果に基づいて省電力状態に移行するか否か判断してもよい。
【0056】
また、他の実施形態では、相手方の無線通信装置が、当該相手方の無線通信装置の有する第2の無線端末リストと、自機が相手方の無線通信装置に送信した第1の無線端末リストとを用いて、第1の判定及び第2の判定の双方を行って、これらの判定の結果を自機に送信し、自機が、これらの判定の結果に基づいて省電力状態に移行するか否か判断してもよい。
【0057】
さらに、上述した実施形態では、電子回路である接続監視部202、送信部203、受信部204、接続可否判定部205、省電力状態移行判定部206、動作状態変更部207、設定情報取得部208及びバッテリ監視部209が、本発明の電力消費抑制方法を実行するが、他の実施形態では、無線通信装置20a,20bが備えるCPU(Central Processing Unit)が、これらの電子回路に実装される本発明の電力消費抑制プログラムをRAMに展開して、上述した本発明の電力消費抑制方法を実行してもよい。
【0058】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに提供することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに提供されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0059】
本発明は、上述した実施形態に限られたものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。