(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、売れ行きの予測は過去の実績を元にしたものであるため、過去の実績とは異なる突発的なイベントが生じた場合には、適切な温度の商品を適切な量だけ用意できないという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上述した課題を解決する、制御装置、制御方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、制御装置は、携帯端末の位置情報データに基づき、将来の所定時間後の売れ行き予想情報を生成する売れ行き予想部と、前記売れ行き予想情報に基づき、前記売れ行き予想情報に基づく商品の数に応じた当該商品が適温となる前記将来の所定時間後の商品格納庫の温度制御に関する指示を行う温度制御指示部と、前記商品格納庫の温度制御に関する指示に基づき、前記商品格納庫の温度制御を行う商品格納庫温度管理部とを備え、前記商品格納庫は、複数の商品収納室を備え、前記複数の商品収納室の各々は、商品が移動可能に連結され、前記温度制御指示部は、前記売れ行き予想情報に基づき、当該売れ行き予想情報に基づく前記商品の数が確保できる数を収容する商品収納室を前記複数の
商品収納室から特定し、当該商品収納室に対する前記温度制御に関する指示を、前記商品格納庫温度管理部に提供し、前記商品格納庫温度管理部は、前記商品収納室の1つまたは複数に対する前記温度制御に関する指示に基づき、前記複数の商品収納室の前記温度制御を行う、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、自動販売装置の制御方法は、携帯端末の位置情報データに基づき、将来の所定時間後の売れ行き予想情報を生成するステップと、前記売れ行き予想情報に基づき、前記売れ行き予想情報に基づく商品の数に応じた当該商品が適温となる前記将来の所定時間後の前記自動販売装置内の商品格納庫の温度制御に関する指示を生成するステップと、前記商品格納庫の温度制御に関する指示に基づき、前記商品格納庫の温度制御を行うステップとを含み、前記商品格納庫は、複数の商品収納室を備え、前記複数の商品収納室の各々は、商品が移動可能に連結され、前記温度制御に関する指示を生成するステップにおいて、前記売れ行き予想情報に基づき、当該売れ行き予想情報に基づく前記商品の数が確保できる数を収容する商品収納室を前記複数の
商品収納室から特定し、当該商品収納室に対する前記温度制御に関する指示を生成し、前記商品格納庫の前記温度制御を行うステップにおいて、前記商品収納室の1つまたは複数に対する前記温度制御に関する指示に基づき、前記複数の商品収納室の前記温度制御を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、コンピュータを、携帯端末の位置情報データに基づき、将来の所定時間後の売れ行き予想情報を生成する手段と、前記売れ行き予想情報に基づき、前記売れ行き予想情報に基づく商品の数に応じた当該商品が適温となる前記将来の所定時間後の複数の商品収納室を備えた当該複数の商品収納室の各々が商品を移動可能に連結された商品格納庫の温度制御に関する指示を生成する手段と、前記商品格納庫の温度制御に関する指示に基づき、前記商品格納庫の温度制御を行う手段と、として機能させ、前記温度制御に関する指示を生成する手段において、前記売れ行き予想情報に基づき、当該売れ行き予想情報に基づく前記商品の数が確保できる数を収容する商品収納室を前記複数の
商品収納室から特定し、当該商品収納室に対する前記温度制御に関する指示を生成し、前記商品格納庫の前記温度制御を行う手段において、前記商品収納室の1つまたは複数に対する前記温度制御に関する指示に基づき、前記複数の商品収納室の前記温度制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の各態様によれば、予想が困難な突発的な需要に対して対応することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る自動販売装置システム1について、
図1〜
図3を参照しながら説明する。
【0013】
(自動販売装置システムの全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る自動販売装置システム1の全体構成を示す図である。
第1の実施形態に係る自動販売装置システム1は、自動販売装置10と、携帯端末位置情報管理サーバ20とを備える。
【0014】
携帯端末位置情報管理サーバ20は、直接的または間接的に携帯端末の位置情報データを収集し、収集した携帯端末の位置情報データを自己の記録部に保持しているサーバであってよい。ここでいう携帯端末とは、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、およびIC(Integrated Circuit)タグ等であってよく、個人が携帯でき、任意の方法により端末の位置情報を特定できる任意の装置であってよい。例えば、スマートフォンであれば、GPS(Global Positioning System)や無線LAN(Local Area Network)測位等の方法により、位置情報データを生成可能である。現代においては、一人一台以上の携帯端末を所有しており、携帯端末の位置情報はおおむね人々の位置情報を表しているといえる。また、ICタグであれば所定の場所に設置された機器により検出されることで、ICタグの位置情報が生成され得る。
【0015】
自動販売装置10は、商品格納庫100および制御部200を備える。また、自動販売装置10は、これらに加えて、例えば商品取出口500等の、一般的な自動販売機が備える構成を備えてよい。
【0016】
商品格納庫100は、商品を格納するための空間を有し、当該空間および空間内の商品の温度を制御する機能を備える。商品格納庫100は、自動販売装置10に複数設けられてよい。各商品格納庫100は商品の投入口と搬出口を少なくとも有し、投入された商品は商品格納庫内で適切な温度となるように保管され、顧客の購買に応じて商品が搬出口から搬出される。商品格納庫100の搬出口は商品取出口500に通じていてよく、搬出された商品は、顧客が取り出し可能なように商品取出口500に移動する。各商品格納庫100は、例えばお茶の商品格納庫、ジュースの商品格納庫、およびコーヒーの商品格納庫等のように特定の商品を格納する使用態様が想定され得る。また商品格納庫に格納される商品は、飲料商品に限られず温度管理な必要な商品であれば任意の商品であってよい。
【0017】
制御部200は、中央制御部210および商品格納庫温度管理部220を備える。中央制御部210は、携帯端末位置情報管理サーバ20から取得した携帯端末の位置情報データに基づき商品の売れ行きを予想するとともに、予想される売れ行きに応じて、各商品格納庫の温度制御に関する指示を行う。
図2は、第1の実施形態に係る中央制御部210の機能構成を示す図である。中央制御部210は、位置情報取得部211、売れ行き予想部212、および温度制御指示部213を備える。
【0018】
位置情報取得部211は、携帯端末位置情報管理サーバ20から、有線または無線による通信を介して、携帯端末の位置情報を取得する。従って、自動販売装置10の中央制御部210は、ネットワーク経由で携帯端末位置情報管理サーバ20にアクセス可能である。
【0019】
売れ行き予想部212は、位置情報取得部211を介して取得した携帯端末の位置情報データに基づき、自動販売装置10における今後の商品の売れ行きを予測し、売れ行き予想情報を生成する。例えば、売れ行き予想部212は、自動販売装置10から所定の距離内にある携帯端末の位置情報データに基づき、当該位置情報データの時間ごとの変化を見ることにより、人々の集中場所に関する予想を行うことができる。これにより自動販売装置10における商品の売れ行きを予想することができる。
【0020】
また、温度制御指示部213は、売れ行き予想情報に基づき、各商品格納庫の温度制御に関する指示を生成する。温度制御指示部213は、各商品格納庫の温度制御に関する指示を商品格納庫温度管理部220に提供することで、商品格納庫温度管理部220を指示する。
【0021】
本実施形態では、中央制御部210が自動販売装置内に備えられるが、他の実施形態においては、例えば、中央制御部210のうちの位置情報取得部211および売れ行き予想部212が、外部サーバ等において実装されてもよい。この場合、自動販売装置10の中央制御部210は、当該外部サーバから売れ行き予想情報を取得し、当該情報に基づいて商品格納庫温度管理部220に対して、各商品格納庫の温度制御に関する指示を出すことができる。
【0022】
商品格納庫温度管理部220は、中央制御部210から取得した各商品格納庫の温度制御に関する指示に基づき、商品格納庫100の各々を独立して温度制御し得る。例えば、ある時刻にある規模の量の人が付近において集中し、売れ行きが増加することが予測される場合、当該予測を反映する売れ行き予想情報に基づき、温度制御指示部213は、特定の商品格納庫の温度をその時刻までに適温にしておくように、商品格納庫温度管理部220に指示することが可能である。複数の商品格納庫に同じ商品が入っている場合では、売れると見込まれる量に対応する最小限の数の商品格納庫を適温に維持し、その他の商品格納庫は常温に近い温度にすることで消費電力を最適化することが可能となる。また、商品格納庫の搬出口付近に存在する商品を最適な温度に維持するような構成を採用している場合には、売れ行き情報に基づいて、通常よりも高温または低温に設定温度を変更して、適温となる商品の量を調節することが可能であり、これによって消費電力の最適化を図ることができる。
【0023】
(制御部200の処理フロー)
図3は、第1の実施形態に係る制御部200の処理フローを示す図である。
なお、
図3に示される処理フローは、自動販売装置10の起動時から定常的または定期的に繰り返し実行されてよい。
【0024】
ステップS101にて、中央制御部210の位置情報取得部211は、携帯端末位置情報管理サーバ20から、携帯端末の位置情報を取得する。位置情報は、以下でより詳細に説明するように、携帯電話の位置を示す情報であってもよいし、または携帯電話の位置の変位情報であってもよい。より具体的な例を示すと、中央制御部210の位置情報取得部211は、ネットワーク経由で携帯端末位置情報管理サーバ20にアクセスし、例えば自動販売装置10の周辺半径10km以内に存在する携帯端末の位置情報データを取得する。これにより、自動販売装置10の周辺に存在する人々のおおよその動向を把握することができる。
【0025】
ステップS102にて、中央制御部210の売れ行き予想部212は、位置情報取得部211を介して取得した携帯端末の位置情報データに基づき、自動販売装置10における今後の商品の売れ行きを予測し、売れ行き予想情報を生成する。売れ行き予想情報は、特定の商品の将来の需要が反映される情報であってよく、具体的に商品の識別情報、時刻または時間帯、および商品数が関連付けられた情報であってよい。例えば売れ行き予想情報は、特定の商品が特定の時間帯に売れると予想される数を示してもよいし、または、特定の商品を特定の時刻までに適温で用意すべき数を示してもよい。
【0026】
発明のより明確な理解のため、具体的な例を挙げて、携帯端末の位置情報データに基づきどのように売れ行き予想を行うかを説明する。例として、都市部から離れた郊外に位置するスタジアム、ライブ会場、競馬場などの周辺に自動販売機が位置する場合を考える。これらのような場所では、普段は人通りがまばらなことも多く、自動販売機の売り上げもあまりない。従い、通常時は適温に設定されている商品の個数は少なめで良いと考えられる。しかしながら、これらのような場所で競技大会やライブ、競馬などのイベントが開催される場合は、非常に多くの人々が一斉に一つの場所に集まることになる。特に真夏の猛暑日ともなれば、人々は手近の自動販売機で冷たい飲料を次々と購入するため、これらのような場所の周辺に位置する自動販売機の売れ行きも急激に増加することが予想される。そのような場合に適温の商品の数が少なすぎると、適温の商品はすぐに売り切れてしまい、その後商品を購入した客はあまり冷えていない常温の飲み物を購入せざるを得ず、適切な顧客サービスを提供することができない。しかしながら、イベントが開催されるからといって、大量の商品をイベントの何時間も前から適温に冷却しておくと、今度は大量の商品を長時間適温の状態に維持しておくための膨大な電力が必要となってしまう。すなわち理想的には、イベントの開催に合わせて、最も商品が売れそうな時間帯に合わせて適温の商品が適切な個数だけ用意されていることが望ましい。
【0027】
ところで、一般的に郊外で何らかのイベントが開催される場合は、おおむねその数時間前より大勢の人々が電車などの交通機関を利用してイベント会場に移動する。例えば、携帯端末の位置情報データの時間ごとの変化を見ることにより、イベントに参加する人々が、どの程度の人数であって、どの時間帯にイベント会場周辺に集まってくるかをある程度予測できる。例えば、イベント会場の最寄り駅が路線A上に存在するB駅である場合、路線A上の携帯端末の位置情報の時間的変化を観察すると、概ねあと何分後に大勢の人々がB駅に到着するかが予測できる。従って、この例において売れ行き予想部212は、携帯端末の位置情報データに基づき、例えば「あと1時間後にB駅周辺に500人程度の人々が集まってくる」場合の売れ行き数を予測する。売れ行き予想部212は、集まってくる人数および予想される集合場所に基づき、用意すべき商品の数を決定してもよい。また例えば、関連する駅の改札により検出されたICタグの数から通常の人数よりも多くの人が自動販売装置周辺に集まるとの予想も可能であり、これにより売れ行き数の増加を予想できる。このようにして、売れ行き予想部212は、将来のある時間に用意すべき商品の数を示す売れ行き予想情報を生成してもよい。
【0028】
なお売れ行き予想情報に含まれる売れ行き数の算出は、具体例としては、取得した携帯端末の位置情報のうち、自装置の位置情報を基準として所定の距離に含まれる携帯の増加率や、近隣の所定の駅を通過した携帯端末の増加率を、所定の売れ行き数予測式に入力して算出してもよい。また予測した商品の売れ行き数と現在の気温を適温算出式に入力し、その適温予測式により、将来の所定時間後の温度と現在の商品の温度との差に基づく温度制御を行うようにしてもよい。売れ行き予測式は過去の情報に基づいて機械学習を用いて算出された近隣の携帯端末の増加率を入力として売れ行き数を出力とするモデルを用いた予測式であってもよい。また適温予測式は過去の気温と近隣の携帯端末の増加率の情報などに基づいて機械学習を用いて算出された、携帯端末の増加率や現在の気温を入力として商品の適温を出力とするモデルを用いた予測式であってもよい。
【0029】
ステップS103にて、中央制御部210の温度制御指示部213は、売れ行き予想情報に基づき、各商品格納庫の温度制御に関する指示を生成し、商品格納庫温度管理部220に提供する。温度制御に関する指示の情報は、売れ行き予想情報が示す売れ行き数に基づいて温度制御対象と決定した1つまたは複数の商品格納庫の数や識別子、設定温度、加熱または冷却の強度、温度制御のタイミングなどの温度制御情報を含むものであって良い。また、温度制御のタイミング情報は、加熱または冷却の開始時刻等を含んでよい。例えば、売れ行き予想情報が「今から1時間後に40個の適温の商品Aを用意する必要がある」と示すことを考える。例えば現在の格納庫で保管する適温の商品Aが40個を下回り、他の格納庫で商品Aを常温で格納している場合では、当該商品を適温に冷却するのに20分を所要するのであれば、温度制御指示部213は、商品格納庫温度管理部220に対して、40分後から商品Aを格納する所定の格納庫の冷却を開始するように命令することができる。現在適温の商品Aと当該所定の格納庫内の商品Aが40個以上であるようにすれば、需要に見合う適切な量の商品を適温で用意できる。
【0030】
また温度制御指示部213は、上記例示に限定されず、実施形態に応じて、将来のある時間に適温で用意すべき商品の数を準備可能なように、商品格納庫温度管理部220に温度制御に関する指示を行ってよい。例えば、商品格納庫の下部に行くにつれて商品が適温となるような構成を採用する場合、温度制御に関する指示は、加熱または冷却の強度であってよい。
【0031】
ステップS104にて、商品格納庫温度管理部220は、中央制御部210から取得した各商品格納庫の温度制御に関する指示に基づき、商品格納庫100の各々について温度制御を行う。
【0032】
以上のように、中央制御部210は、携帯端末位置情報管理サーバ20より取得した自動販売装置周辺の携帯端末の位置情報データに基づき、今後の商品の売れ行きを予測し、その予測結果を元に、商品格納庫温度管理部220に対して、例えば「今から40分後に、全ての商品収納室の冷却を開始せよ」などの指示を出すことができる。当該指示に基づき、商品格納庫温度管理部220は、特定の時刻に特定の商品を特定の数だけ適温で用意するように、商品格納庫100を制御する。
【0033】
また、携帯端末位置情報管理サーバ20が、携帯端末の位置のみでなく、携帯を所有するユーザに関する情報、例えば、性別、年齢、職業、およびユーザの嗜好を提供する場合では、売れ行き予想部212は、携帯端末の位置情報に加えて、これらの情報に基づき、特定の商品の売れ行き情報を生成することも可能である。
【0034】
(作用・効果)
第1の実施形態に係る自動販売装置10は、上記の通り、自動販売装置周辺の携帯端末の位置情報データを用いることで、需要に合わせた量だけ、タイミングよく適温の商品を用意することが可能であり、これによって、商品を適温の状態に維持しておくための消費電力も必要最小限に抑えることができる。また、自動販売装置10は、自動販売装置周辺の携帯端末の位置情報データを売れ行きの予想に用いるため、携帯端末に対応するユーザごとの行動特性が反映され、販売実績では予想できないような突発的な需要に対しても対応することが可能である。例えば、ドラマの撮影に使用された無人駅に人が殺到する状況や、マラソン大会やトライアスロン大会のコース上で給水地点間に存在する自動販売装置でランナーが飲料を購入する状況に対しても、適温かつ省電力な商品提供が可能である。
【0035】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態に係る自動販売装置について、
図4および5を参照しながら説明する。
【0036】
第2の実施形態に係る自動販売装置30は、第1の実施形態と比較して、商品格納庫300が複数個の商品収納室を備える点で少なくとも相違する。以下の説明では、本願実施形態において第1の実施形態と同様の構成を採用できる場合は、その詳細な説明を省略するが、第2の実施形態において第1の実施形態の全てまたは一部の構成を組み合わせ可能であることに留意されたい。
【0037】
図4は、第2の実施形態に係る自動販売装置30の全体構成を示す図である。
第2の実施形態に係る自動販売装置30は、商品格納庫300、および制御部400を備える。また、第1の実施形態と同様に、商品格納庫300は複数備えられてよく、また自動販売装置30は、例えば商品取出口500等の、自動販売機が一般に備える構成を備えてよい。
【0038】
商品格納庫300は、複数個の商品収納室を備えてよい。商品格納庫の各々は、商品を格納する空間を有するとともに、当該空間および空間内の商品の温度を独立して制御可能なように動作し得る。従って、各商品収納室はそれぞれ独立に設定された設定温度で商品を収納することが可能である。説明のために、本説明では、ある商品格納庫300が9個の商品収納室を備えることとする。一方でこれは単なる例示であって商品格納庫300は、任意の数の商品格納庫を備えてよい。商品収納室は上段から順に商品収納室301、商品収納室302、・・・と配置されており、最下段に商品収納室309が配置されている。本例示では、説明のために商品格納庫が上下に配置される構成を用いるが、他の実施形態においては、収納室の空間的な配置は上下に限定されず任意の空間的配置であってよい。
【0039】
例えば、客が自動販売装置で商品を1個購入した場合、最下段の商品収納室309から商品取出口500に1個の商品が搬出される。客は商品取出口500から購入した商品を取り出す。その結果、商品収納室309に収納されている商品の数が1個減少する。これにより商品収納室309の上段に配置されている商品収納室308から商品収納室309に商品が1個移動し、さらに商品収納室308の上段に配置されている商品収納室307から商品収納室308に商品が1個移動し、という具合に、上段側の商品収納室から下段側の商品収納室側に向かって順次商品が移動する。この動作により、商品格納庫300内に商品の在庫がある限り、常に最下段の商品収納室309に商品が収納されることになり、客は商品を購入することができる。なお、商品の具体的な移動方法については、当該例示に限られず、実施態様に合わせて適宜設計変更されてよい。
【0040】
制御部400は、中央制御部410および商品格納庫温度管理部420を備える。中央制御部410は、商品格納庫温度管理部420に対して、商品格納庫の温度制御に関する指示を行う。より詳細には、中央制御部410は、位置情報取得部411、売れ行き予想部412、および温度制御指示部413を備える。
【0041】
位置情報取得部411および売れ行き予想部412は、第1の実施形態の位置情報取得部211および売れ行き予想部212と同じ機能を有してよく、その詳細な説明は省略する。
【0042】
温度制御指示部413は、売れ行き予想情報に基づき、商品格納庫300内の商品収納室の各々に対する温度制御に関する指示を、商品格納庫温度管理部420に提供する。
【0043】
商品格納庫温度管理部420は、中央制御部410から取得した各商品収納室についての温度制御に関する指示に基づき、商品収納室の各々について、全てを独立に、または一部を独立に温度制御を行う。
【0044】
(制御部400の処理フロー)
図5は、第2の実施形態に係る制御部400の処理フローを示す図である。
なお、
図5に示される処理フローは、自動販売装置30の起動時から定常的または定期的に繰り返し実行されてよい。
【0045】
ステップS201にて、中央制御部410の位置情報取得部411は、携帯端末位置情報管理サーバ20から、携帯端末の位置情報を取得する。また、ステップS202にて、中央制御部410の売れ行き予想部412は、位置情報取得部411を介して取得した携帯端末の位置情報データに基づき、自動販売装置30における今後の商品の売れ行きを予測し、売れ行き予想情報(売れ行き数、適温などの情報)を生成する。ステップS201およびステップS202は、いずれもステップS101およびステップS102と同じであってよい。
【0046】
ステップS203にて、温度制御指示部413は、売れ行き予想情報に基づき、商品収納室の各々に対する温度制御に関する指示を生成するとともに、商品格納庫温度管理部420に提供する。温度制御に関する指示の情報は売れ行き予想情報が示す売れ行き数に基づいて温度制御対象と決定した1つまたは複数の商品収納室の数や識別子、設定温度、加熱または冷却の強度、温度制御のタイミングなどの温度制御情報を含むものであって良い。この時、温度制御指示部413は、売れ行き予想情報が示す売れ行き数と、商品収納室に含まれる商品の数との比較に基づいて、売れ行き予想情報が示す売れ行き数が確保できる温度制御対象とする商品収納室の数を算出すればよい。また第1の実施形態で説明したように、売れ行き予想情報は、例えば、「時刻Tに商品AをN個だけ用意する必要がある」ことを示す情報を含んでよい。
【0047】
ステップS204にて、商品格納庫温度管理部420は、中央制御部410から取得した各商品収納室についての温度制御に関する指示に基づき、商品収納室の各々について温度制御を行う。例えば既定の温度設定が商品収納室301から商品収納室306までは常温(例えば、20℃)であり、商品収納室307から商品収納室309までの設定温度が適温(例えば、10℃)であるとする。商品Aが冷たいお茶であることを考えると、夏場は売れ行きが良いと予想されるため、通常よりも多い個数の適温のお茶を用意する。従って、例えば商品収納室304から商品収納室309までの設定温度を適温にし、適温で収納されている商品の数を増やしておく。この場合、例えば商品格納庫温度管理部420は常温設定になっている商品収納室304から商品収納室306に対して「設定温度を適温(10℃)に変更せよ」という指示を出す。また、逆に冬場は冷たい飲料があまり売れないと予想されるため、商品収納室309のみを適温とし、他の商品収納室は常温としておくことで、適温の商品の数を減らしてよい。この場合、例えば商品格納庫温度管理部420は適温設定になっている商品収納室307および商品収納室308に対して「設定温度を常温(20℃)に変更せよ」という指示を出す。
【0048】
(作用・効果)
第2の実施形態に係る自動販売装置30では、上記のように、商品が移動可能に連結された商品収納室1つまたは複数を売れ行き予想情報に基づいて個別に温度制御することができる。これにより、温度管理が必要な最小限の商品量のみを適温とすることが可能となり、商品を適温の状態に維持しておくための消費電力をより抑えることができる。
【0049】
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る発明として、第1または第2の実施形態における自動販売装置を互いにネットワーク接続することにより、自動販売装置の近隣の自動販売装置の売れ行きの状況データを互いに得ることも可能である。このような構成を採用することで、自動販売装置周辺の携帯端末の位置情報に加えて、さらに近隣の自動販売装置の販売状況も加味した上で、冷却または加熱する個数を制御することもできる。
【0050】
例えば、ある自動販売装置Aに人々が殺到し商品が売り切れとなった場合、人々は当該自動販売装置Aの近隣に位置する別の自動販売装置Bを探して商品を購入しようとすることが予測できる。このような場合、自動販売装置Aの売れ行きが急激に増加していることが判明した時点で、自動販売装置Bは適温の商品を増加させるように商品収納室の温度設定を変更することができる。
【0051】
<第4の実施形態>
図6は、本発明の一実施形態による制御装置600の最小構成を示す図である。
本実施形態による制御装置は少なくとも売れ行き予想部212、温度制御指示部213、商品格納庫温度管理部220の構成を備えればよい。
売れ行き予想部212は、携帯端末の位置情報データに基づき、売れ行き予想情報を生成する。
温度制御指示部213は、売れ行き予想情報に基づき、商品格納庫の温度制御に関する指示を商品格納庫温度管理部に提供する。
商品格納庫温度管理部220は、前記商品格納庫の温度制御に関する指示に基づき、前記商品格納庫の温度制御を行う。
【0052】
<制御装置のハードウェア構成>
図7は、本発明の一実施形態に係る制御装置700のハードウェア構成図である。
当該制御装置700は、例えば制御部200もしくは400または制御装置600に対応してよい。この図が示すように制御装置700はCPU(Central Processing Unit)701、ROM(Read Only Memory)702、RAM(Random Access Memory)703、データベース704、通信モジュール705、ディスプレイ706等の各ハードウェアを備えたコンピュータであってよい。また、制御装置700に実装される制御部200または400の中央制御部および商品格納庫温度管理部は、別のハードウェア構成として実装されてもよいし、1つのハードウェア構成として実装されてもよい。
【0053】
上述の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した商品格納庫の温度の制御方法の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムを1つまたは複数のコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0054】
上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0055】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。