【実施例】
【0009】
以下に、
図1から
図9を用いて本実施例のプリンタについて説明する。
本実施例の画像形成装置としてのプリンタ1は、2次転写方式によってカラー画像を印刷する電子写真方式のプリンタであって、
図1、
図2に示す構成を備えている。
【0010】
プリンタ1は、印刷用の媒体としてのロール紙2を収容する媒体供給ユニット3と、ロール紙2の搬送方向の下流側に配置された印刷ユニット4で構成され、媒体供給ユニット3から供給されたロール紙2に印刷ユニット4によってカラー画像等を印刷する。
媒体供給ユニット3には、印刷ユニット4の反対側の側部に媒体供給ユニット3のフレーム3aに回転可能に支持されたロール紙2が装着され、ロール紙2の搬送路5の搬送方向に沿って、供給ローラ6、搬送ローラ7等を有する給紙搬送部8が配置されている。
【0011】
また、ロール紙2と供給ローラ6との間には、ロール紙2の巻き癖であるカールを矯正するためのガイドローラ9が配置される。
【0012】
印刷ユニット4には、上部に複数の現像ユニット11を有する画像形成部12が配置され、画像形成部12の下方に、搬送路5の搬送方向に沿って、複数の搬送ローラ7を有する媒体搬送部13、転写部14、定着部15、排出ローラ16が配置され、画像形成部12と搬送路5との間には、中間転写体としての転写ベルト18が掛渡されている。
画像形成部12は、現像剤としての設定色のトナーが充填された複数の現像ユニット11を有しており、各現像ユニット11で形成された、現像剤像としてのトナー像を転写ベルト18の外表面上に1次転写する。
【0013】
転写ベルト18は、画像形成部12で表面上に1次転写されたトナー像を転写部14へ搬送する。
転写部14は、搬送路5上のロール紙2および転写ベルト18を挟んで、2次転写ローラ14aと、バックアップローラ14bとを対向配置して構成され、転写部14に印可された電圧によって、転写ベルト18により搬送されたトナー像をロール紙2上に2次転写する。
【0014】
熱源としての定着部15は、排出ローラ16と共に一つのケース19内に収容され、転写部14でロール紙2に転写されたトナー像を、ヒートローラ15aと、これを押圧する定着ローラ15bとで加圧、溶融してロール紙2に定着させる。
排出ローラ16は、搬送路5の最下流部に配置され、印刷済みのロール紙2を印刷ユニット4の外部に排出する。
【0015】
本実施例の印刷ユニット4の筐体4aの、一つの側板である正面板の定着部15側には、
図2に示すように、筐体4aの内部と外部を通気する通気口である、複数の小穴で形成された吸気口21が設けられている。
このように本実施例では、媒体供給ユニット3から搬送されるロール紙2の搬送方向に沿った一方の側板を、プリンタ1の正面板としている。これは、操作表示部24(後述)を筐体4aの媒体供給ユニット3側の側板に設けると、操作表示部24の操作性が損なわれるからである。
【0016】
吸気口21と、定着部15を収容したケース19との間には、
図3に示すように、筐体4aの内部に外気を吸入するための吸気ファン21aが設けられている。
また、筐体4aの裏板には、吸気口21と同様に形成された、筐体4aの内部と外部を通気する通気口である排気口22が設けられ、排気口22とケース19との間には、筐体4a内の空気を外部に排出するための排気ファン22aが設けられている。
【0017】
更に、筐体4aの正面板の吸気口21の上方には、
図2に示すように、操作表示部24が設けられ、その操作表示部24は、操作パネル25と、そこに設けられたLCD等の表示画面25a等を備えており、表示画面25aに各種の入力画面、プリンタ1の利用者に対する各種の情報等を表示すると共に、表示画面25aに設けられたタッチパネル等の入力手段により利用者による入力や選択入力を受付ける。
【0018】
この操作表示部24の操作パネル25は、裏面側に設けた支持部26によって筐体4aの正面板に取付けられる(
図3参照)。
本実施例の支持部26は、
図4に示すように、支持枠27の内部の上下方向に沿って3枚の隔壁28が設けられ、この隔壁28は、支持部26の強度を補強すると共に支持枠27内に第1の隔室29a、第2の隔室29b、第3の隔室29c、第4の隔室29dからなる4つの隔室29を形成する。
【0019】
第1の隔室29aは、吸気口21を構成する複数の小穴の外接形状(外縁形状21bという。
図9に示す2点鎖線参照)の直上から外れた外側の位置に配置され、その下部には、温度センサ収納室としての分離枠31が設けられている。
この分離枠31は、操作パネル25の裏面と、筐体4aの正面板に対向する裏板と、支持枠27の一方の側面と、その側面に対向する側板と、支持枠27の底板に対向する上板とで形成された箱状部材であって、その裏板には、印刷ユニット4の周囲の外気温度(周囲温度という。)を検出するための、サーミスタ等からなる温度センサ32が取付けられる。
【0020】
このように、本実施例の温度センサ32は、筐体4aの正面板から離間した分離枠31の裏板に取付けられているので、熱せられた正面板に温度センサ32が直接接することによる熱影響によって温度の検出誤差が生ずることを防止することができる。
また、分離枠31内の支持枠27の側板および底板には、温度センサ32を外気に触れ易くするための開口部である複数のスリット33が設けられる。
【0021】
このスリット33により、分離枠31の内部が外気と連通し、温度センサ32の近傍に外気が導かれる。
【0022】
第2の隔室29bは、2枚の隔壁28と支持枠27の裏板および操作パネル25の裏面で仕切られた筒状のダクトであって、吸気口21の外縁形状21bの側縁部の直上に第1の隔室29aに並設されて配置にされており、その支持枠27の底板には、複数のスリットからなる、下部流路口としての下部流入口35aが形成され、天板には複数のスリットからなる、上部流路口としての上部流出口35bが形成されている。
【0023】
また、第2の隔室29bの支持枠27の裏板と筐体4aの正面板には、印刷ユニット4の筐体4aの内部と第2の隔室29b内とを連通する連通穴36が設けられ、この連通穴36には、操作表示部24と制御部41との間の通信に用いる図示しないケーブルが挿通される。
【0024】
図5において、プリンタ1の制御部41は、印刷ユニット4に設けられ、通信部42によってパーソナルコンピュータ等の上位装置43と接続しており、上位装置43から受信した印刷データを基に、プリンタ1内の各部を制御して、印刷処理等を実行する機能を有している。
【0025】
本実施例の制御部41には、搬送制御部45、画像形成制御部46、転写制御部47、定着制御部48、操作表示制御部49、温度検出制御部51、冷却制御部52等の複数の機能手段が形成されている。
また、媒体供給ユニット3には、給紙搬送部8によるロール紙2の搬送を制御する給紙制御部55が設けられ、この給紙制御部55と、制御部41の搬送制御部45との間は通信可能に接続されている。
【0026】
搬送制御部45は、媒体搬送部13によるロール紙2の搬送や、画像形成部12によるトナー像の現像タイミング、転写ベルト18によるトナー像の搬送、転写ベルト18上のトナー像をロール紙2に転写する転写タイミング、定着部15による定着タイミング、排出ローラ16による排出タイミング等を制御する機能を有している。
【0027】
画像形成制御部46は、上位装置43から通信部42を介して受信した印刷データを現像ユニット11別に振分けて現像データを生成する機能を有している。
転写制御部47は、転写部14に印可する転写電圧を制御する機能を有している。
定着制御部48は、定着部15のヒートローラ15aの温度を制御して、定着部15の定着動作を制御する機能を有している。
【0028】
操作表示制御部49は、制御部41から送出された表示データを表示画面25aに表示して利用者に報知する機能、利用者による選択入力等を入力手段により受付ける機能等を有している。
温度検出制御部51は、温度センサ32により検出された印刷ユニット4の周囲温度を温度データに変換して制御部41へ送出する機能を有している。
【0029】
この周囲温度の温度データは、各制御部が印刷動作を行うときに用いるパラメータの設定値(例えば、画像形成制御部46による各現像ユニット11への印可電圧、転写制御部47による転写電圧の設定値、定着制御部48による定着温度の設定値)の設定のために用いられる。
冷却制御部52は、吸気ファン21aおよび/もしくは排気ファン22aを起動または停止して、印刷ユニット4内の温度を制御する機能を有している。
【0030】
以下に、
図6にSで示すステップに従って、本実施例のプリンタ1による印刷処理の処理動作について説明する。
【0031】
S1:利用者が、プリンタ1へ電源を投入すると、プリンタ1にインストールされているプログラムが自動的に起動される。
プログラムが起動すると、制御部41は、通信部42によって上位装置43から送信される印刷データの受信待ち状態で待機し、印刷データを受信したときにステップS2へ移行する。印刷データを受信しない場合は前記の待機を継続する。
【0032】
S2:印刷データを受信した制御部41は、温度検出制御部51が、温度センサ32により検出した印刷ユニット4の周囲温度の温度データを取得する。
【0033】
S3:印刷ユニット4の周囲温度の温度データを取得した制御部41は、転写電圧や各現像ユニット11への印可電圧、定着温度等の印刷動作時に用いる各パラメータを設定してステップS4へ移行する。
【0034】
S4:印刷動作時の各パラメータを設定した制御部41は、印刷動作を開始する。
印刷動作を開始した制御部41は、まず、定着制御部48により、ステップS3で設定した定着温度を基に、定着部15のウォームアップを行い、ウォームアップが終了したときにステップS5へ移行する。
【0035】
S5:定着部15のウォームアップを終えた制御部41は、冷却制御部52により、吸気ファン21aおよび排気ファン22aを駆動して冷却動作を開始する。
このような冷却動作を行うのは、定着部15のウォームアップや定着動作時に、ヒートローラ15aを加熱するため、印刷ユニット4内の空気の過度な温度上昇を防止するためである。
【0036】
S6:冷却動作を開始した制御部41は、印刷動作の終了を待って待機し、印刷動作が終了したときにステップS7へ移行する。印刷動作が終了していない場合は前記の待機を継続する。
【0037】
このときの印刷動作は、以下のように行われる。
【0038】
すなわち、制御部41は、画像形成制御部46に上位装置43から受信した印刷データを送出すると共に、搬送制御部45にロール紙2の搬送開始指令を送出する。
【0039】
印刷データを受取った画像形成制御部46は、受取った印刷データを画像形成部12の現像ユニット11別に振分けて現像データを生成し、各現像ユニット11に、ステップS3で設定した印可電圧を印可して各設定色のトナー像を形成し、形成したトナー像を転写ベルト18に一次転写する。
また、搬送開始指令を受取った搬送制御部45は、給紙制御部55へ繰出指示を送出すると共に媒体搬送部13の各搬送ローラ7の駆動を開始する。
【0040】
繰出指示を受取った給紙制御部55は、給紙搬送部8の供給ローラ6、搬送ローラ7等を駆動してロール紙2の搬送を開始する。
搬送制御部45は、給紙搬送部8により繰出されたロール紙2を媒体搬送部13により転写部14の方向へ搬送する。
【0041】
そして、制御部41は、搬送制御部45から、転写ベルト18に転写したトナー像が転写部14に到達する転写タイミングを受取ったときに、転写制御部47によって転写部14に、ステップS3で設定した転写電圧を印可し、転写ベルト18上のトナー像をロール紙2上に2次転写する。
【0042】
ロール紙2へのトナー像の転写を終えた制御部41は、搬送制御部45によって、ロール紙2上のトナー像を定着部15へ搬送し、定着制御部48によってロール紙2にトナー像を定着させ、印刷済みのロール紙2を排出ローラ16により印刷ユニット4の外部へ排出する。
【0043】
このようにして、本実施例のプリンタ1による印刷動作が行われる。
【0044】
S7:印刷動作を終えた制御部41は、吸気ファン21aおよび排気ファン22aの駆動を停止して冷却動作停止させる。
そして、制御部41は、今回の印刷処理を終了させ、ステップS1へ戻って上位装置43からの印刷データの受信待ち状態で待機する。
【0045】
上記した冷却動作中における印刷ユニット4の周囲の空気の流れは、
図7に示すように、外気が、吸気ファン21aにより吸気口21から筐体4a内に吸入され、印刷動作により熱せられた各部を冷却した後に、熱せられた空気(熱気という。)は、排気ファン22aにより排気口22から筐体4aの外部へ排出される。
【0046】
また、筐体4a内の各部で熱せられた熱気の一部は、
図7に示したように、筐体4aの正面板の内面に沿って上昇し、連通穴36から筒状の第2の隔室29bの内部に流入する。
【0047】
第2の隔室29b内に流入した熱気は、外気より温度が高く、外気より密度が低いため、浮力により上昇する。この熱気の浮力による上昇によって第2の隔室29b内に、空気流路としての上昇気流が発生し、熱気が上部流出口35bから外部に流出すると共に、新たな外気が下部流入口35aから流入する(以下、この現象を煙突効果という。)。
【0048】
一方、隔壁28を介して第2の隔室29bに並設された第1の隔室29aの下部に設けられた分離枠31の内部は、筐体4a内で発生した熱気が流入することはなく、常に、印刷ユニット4の周囲の外気で満たされているので、温度センサ32は正確な周囲温度を検出することができる。
【0049】
上記した冷却動作停止時における印刷ユニット4の周囲の空気の流れは、熱せられた定着部15等の余熱があるので、
図8に示すように、筐体4a内の熱気が上昇し、その一部は吸気口21、排気口22から筐体4aの外部に漏れ出してくる。
【0050】
吸気口21から漏れ出した熱気は、
図9に示すように、支持部26の支持枠27の底板に衝突し、底板に沿って左右方向に転向させられ、左側、つまり温度センサ32の反対側に転向させられた熱気は、支持枠27の底板の左端を通過した後に側板に沿って上昇していく。
一方、右側、つまり温度センサ32の方向に転向させられた熱気は、第2の隔室29bの底板に設けられた下部流入口35aから第2の隔室29b内に流入し、第2の隔室29b内を上昇して上部流出口35bから外部に流出する。
【0051】
このとき、第2の隔室29b内には、冷却動作を伴う印刷動作中に、連通穴36から流入した熱気による煙突効果によって上昇気流が発生しているので、下部流入口35aを通過しようとする漏れ出した熱気は、外気と共に下部流入口35aから第2の隔室29b内に流入するため、温度センサ32が配置されている第1の隔室29a側に回り込むことが防止される。
【0052】
これにより、冷却動作の停止時であっても、第1の隔室29a内の分離枠31内に熱気が流れ込むことはなく、正確な周囲温度を検出し続けることが可能になる。
【0053】
以上説明したように、本実施例では、印刷ユニット4の筐体4aの正面板の吸気口21の直上に、下部流入口35a、上部流出口35bを設けた筒状の第2の隔室29bを設け、第2の隔室29bに並設された第1の隔室29aを吸気口21の外側に配置し、その第1の隔室29aの下部に、内部に温度センサ32を設けた分離枠31を配置したので、吸気ファン21aおよび排気ファン22aを駆動した冷却動作中は、外気が筐体4a内に吸入される方向に流れるため、外気で満たされた分離枠31内の温度センサ32で、印刷ユニット4の周囲温度を正確に検出することができる。
【0054】
また、吸気ファン21aおよび排気ファン22aを停止した冷却動作の停止時に、筐体4a内の熱気が吸気口21から漏れ出したとしても、第2の隔室29aに設けた通気孔36から印刷動作中に流入した熱気による煙突効果により第2の隔室29b内には既に上昇気流が発生しているため、吸気口21から漏れ出した熱気は、下部流入口35aから第2の隔室29b内に外気と共に流入し、第2の隔室29bの外側に配置された分離枠31内の温度センサ32の近傍に熱気が回り込むことが防止され、印刷ユニット4の周囲温度を正確に検出することができる。
【0055】
これにより、本実施例の温度センサ32は、プリンタ1の動作状況に関わらず、安定して印刷ユニット4の周囲温度を検出することができ、プリンタ1の印刷品質を向上させることができる。
また、本実施例では、操作表示部24の操作パネル25の裏側の支持部26内に第1の隔室29aと、筒状の第2の隔室29bとを隣接させて配置し、その第1の隔室29a内の分離枠31内に温度センサ32を配置したので、プリンタ1の小型化を図ることができると共に、プリンタ1の外観の簡素化を図ることができる。
【0056】
なお、上記実施例においては、第1の隔室29a内に温度センサ32を設ける場合を例に説明したが、湿度センサを設ける場合に本発明を適用すれば、吸気口21から漏れ出す熱気による熱影響を防止して正確な湿度を検出することができる。温度センサおよび湿度センサを同時に設ける場合も同様である。
【0057】
また、上記実施例においては、吸気口21は筐体4aの正面板に設けるとして説明したが、吸気口21を設ける側板は正面板に限らず、筐体4aの4つの側板のいずれであってもよい。
【0058】
更に、上記実施例においては、操作表示部24の支持部26の支持枠27に裏板を設けるとして説明したが、支持枠27の裏板を省略して、支持部26を直接、正面板に取付けるようにしてもよい。このようにすれば、プリンタ1の製造コストの削減を図ることができる。
【0059】
更に、上記実施例においては、画像形成装置は、2次転写方式による電子写真方式のプリンタであるとして説明したが、画像形成装置は前記に限らず、直接転写方式のプリンタであってもよく、どのような印刷方式のプリンタであってもよい。要は、装置の周囲温度や周囲湿度を基に、印刷処理に用いる各パラメータ等を設定するプリンタに本発明を適用すれば、上記と同様の効果を得ることができる。