(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
横方向と、該横方向よりも長さの長い縦方向と、厚み方向とを有する長尺状基体部、及び該長尺状基体部の表面に固定された吸水性ポリマーの粒子を備えた吸収性ユニットを複数本具備し、各該吸収性ユニットを、その縦方向が少なくとも一方向を向くように配列させてなる吸収体を備え、
前記長尺状基体部の幅が0.6mm以上10mm以下であり、
前記長尺状基体部における肌対向面及び非肌対向面の双方の表面に、平均粒径が20μm以上500μm以下である前記吸水性ポリマーの粒子が固定されており、
前記吸水性ポリマーの粒子が液を吸収する前においては、該吸水性ポリマーの粒子が、前記長尺状基体部の前記縦方向に沿う側縁部を越えて横方向にはみ出しておらず、且つ該吸水性ポリマーの粒子が25℃の生理食塩水を60分間吸収した後においても、該吸水性ポリマーの粒子が、該長尺状基体部の該縦方向に沿う側縁部を越えて膨潤しないようになされており、
前記吸収体の横方向において隣り合う前記吸収性ユニット間では、介在物が非存在状態となっている吸収性物品。
前記吸収体のうち、前記吸収性ユニットが形成されている部位において、該吸収性ユニットが、該吸収性ユニットと肌対向面側において隣接する他の部材又は非肌対向面側において隣接する他の部材と非接合状態になっている請求項1に記載の吸収性物品。
前記吸収体は、その縦方向の端部域が、該吸収体と肌対向面側において隣接する他の部材又は非肌対向面側において隣接する他の部材と接合状態になっている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
前記長尺状基体部に固定されている前記吸水性ポリマーのうち、該長尺状基体部における肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーの坪量よりも、該長尺状基体部における非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーの坪量の方が高くなっている請求項1ないし6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記長尺状基体部における肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーの粒子と、該長尺状基体部における非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーの粒子とが異種のものである請求項1ないし7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の吸収性物品は一般に、尿や経血等の排泄体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン及び失禁パッド等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含するものである。
【0013】
吸収性物品は、典型的には、液保持性の吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配された表面シートと、該吸収体の非肌対向面側に配された裏面シートとを有している。表面シート及び裏面シートとしては、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シートとしては、親水化処理が施された各種不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。また、裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよい。また吸収性物品は、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を更に具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の防漏カフを配置することができる。なお、吸収性物品には、吸収体の肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に所謂サブレイヤーシートが配されていてもよい。サブレイヤーシートとは、吸収体と表面シートとの間、又は吸収体と裏面シートとの間に配される液透過性のシートのことである。
【0014】
図1には、本発明の吸収性物品の一実施形態を示す横方向に沿う断面が模式的に示されている。なお、以下の説明は、特に断らない限り、吸収性物品が液を吸収する前の状態に基づくものである。同図に示す吸収性物品10は吸収体1を備えている。吸収体1の肌対向面側には表面シート11が配置されている。一方、吸収体1の非肌対向面側には裏面シート12が配置されている。
図2は、
図1に示す吸収性物品10における吸収体1の斜視図である。
【0015】
吸収体1は、横方向と、該横方向よりも長さの長い縦方向と、厚み方向とを有する長尺状基体部2、及び長尺状基体部2の表面に固定された吸水性ポリマーの粒子3(以下、単に「吸水性ポリマー3」ともいう。)を備えた吸収性ユニット4を複数本具備し、各吸収性ユニット4を、その縦方向が少なくとも一方向を向くように配列させて形成されている。以下の説明においては、横方向をXで表し、縦方向をYで表し、厚み方向をZで表す。横方向Xと、縦方向Yと、厚み方向Zとは互いに直交している。長尺状基体部2の横方向X、縦方向Y及び厚み方向Zは、吸収性ユニット4の横方向X、縦方向Y及び、厚み方向Zと一致しており、本実施形態では
図2に示すとおり、吸収体1の横方向X、縦方向Y及び、厚み方向Zとも一致している。なお、吸収体1の縦方向Yは、吸収性物品10を着用したときの着用者の前後方向とも一致している。
【0016】
図2に示すとおり、吸収体1は、吸収性ユニット4の縦方向Yが吸収体1の縦方向Yを向くように、該吸収性ユニット4を複数配列させて形成されている。吸収体1の横方向Xにおいて隣り合う吸収性ユニット4,4間では、吸収性ユニット4の移動のしやすさの観点から、介在物が非存在状態となっている。例えば、各吸収性ユニット4は介在物で包まれていない状態となっている。
【0017】
吸収体1の吸収性ユニット4は、縦方向Yに長い矩形状に形成されている。吸収性ユニット4は、横方向Xの長さLxが、好ましくは0.3mm以上10mm以下、より好ましくは0.6mm以上2.0mm以下、更に好ましくは0.6mm以上1.8mm以下のものである。吸収性ユニット4の縦方向Yの長さLyは、横方向Xの長さLxに対して好ましくは2倍以上3500倍以下、更に好ましくは100倍以上700倍以下になっている。この倍率を満たすことを条件として、吸収性ユニット4の縦方向Yの長さLyは、好ましくは20mm以上1000mm以下、更に好ましくは200mm以上400mm以下になっている。このように吸収性ユニット4は、細長い形状をしている。
本実施形態では長尺状基体部の側縁部に吸水性ポリマーの粒子3が固定されているので、長尺状基体部幅W2に対しての吸収性ユニット4の横方向Xの長さLxの大小関係は、好ましくは0μm<(Lx−W2)<1400μmであり、更に好ましくは200μm<(Lx−W2)<1000μmである。
吸収体1は、本実施形態においては、使用前の状態において、縦方向Yに長い矩形状に形成されている。吸収体1は、縦方向Yの長さが100mm以上1000mm以下程度のものであり、横方向Xの長さが50mm以上300mm以下程度のものである。
【0018】
図示していないが、吸収体1はコアラップシートを備えていてもよい。コアラップシートは、少なくとも一方向に向けて配列された吸収性ユニット4の少なくとも一部を被覆するように配置されることが好ましい。コアラップシートとしては、液透過性を有するシートが用いられる。そのようなシートとしては、例えば紙や親水性の不織布などが挙げられる。
【0019】
吸収体1は、少なくとも一方向を向くように吸収性ユニット4を複数本配列した吸収領域ATを有している。吸収領域ATを含む吸収体1は、吸収性物品10において、少なくとも着用者の排泄部に対応する部位に配置されている。吸水性ポリマーの粒子3が固定された領域で液を吸収しやすくする観点から、吸収体1の平面視において、該吸収体1の全体の面積に対する吸収領域ATの面積の割合は、20%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましく、そして、100%以下であることが好ましく、90%以下であることが更に好ましい。具体的には、20%以上100%以下であることが好ましく、50%以上90%以下であることが更に好ましい。吸収領域ATの割合が100%であるとは、例えば、吸収性ユニット4の縦方向Yが吸収体1の縦方向Yを向くように、複数の吸収性ユニット4を吸収体1の横方向Xに並置させる場合には、吸収体1の縦方向Yの両端部間にわたる全域に吸収性ユニット4が配されている形態を意味する。この場合には、吸収性ユニット4はその縦方向Yが、吸収性物品10の縦方向Yを向くように、吸収領域ATの縦方向Yの全域にわたって配列されている状態となる。あるいは、後述する
図7に示すとおり、吸収性ユニット4の縦方向Yが吸収体1の横方向Xを向くように、複数の吸収性ユニット4を吸収体1の縦方向Yに並置させる場合には、吸収体1の縦方向Yに沿う両側部間にわたる全域に吸収性ユニット4が配されている形態を意味する。なお、吸収体1を平面視したとき、吸収領域AT以外の領域が、後述する非スリット領域NTとなる。
【0020】
吸収性ユニット4の縦方向Yを、吸収体1の縦方向Yを向くように配する場合、吸収性ユニット4は、1枚の吸収体当たり、3本以上配されていることが好ましく、50本以上配されていることが更に好ましく、そして、1000本以下配されていることが好ましく、500本以下配されていることが更に好ましい。具体的には、3本以上1000本以下配されていることが好ましく、50本以上500本以下配されていることが更に好ましい。また、吸収性ユニット4の縦方向Yを、吸収体1の横方向Xを向くように配する場合、吸収性ユニット4は、1枚の吸収体当たり、3本以上配されていることが好ましく、50本以上配されていることが更に好ましく、そして、3500本以下配されていることが好ましく、2000本以下配されていることが更に好ましい。具体的には、3本以上3500本以下配されていることが好ましく、50本以上2000本以下配されていることが更に好ましい。吸収性ユニット4の数え方は、横方向Xにある直線をひいたとき、その直線と交差する吸収性ユニットの数が最大となるときの本数と定義する。
【0021】
吸収体1は、製造時の搬送のしやすさの観点から、吸収性ユニット4の縦方向Yが、吸収体1の縦方向Yに向くように複数配している形態であることが好ましい。特に、複数の吸収性ユニット4が互いに交差しないように配されていることが好ましい。
図1に示す吸収体1は、均一な幅の長尺状基体部2を有する吸収性ユニット4を複数用い、吸収性ユニット4の縦方向Yが吸収体1の縦方向Yに向くように、該吸収性ユニット4を配して形成されている。
【0022】
吸収体1は、縦方向Yの両端部、又は縦方向Yに沿う両側部に、複数の長尺状基体部2が横方向Xに繋がった非スリット領域NTを備えていることが好ましい。例えば吸収体1は、
図2に示すとおり、縦方向Yの両端部に、横方向Xに沿って延びる非スリット領域NTを備えている。すなわち、本実施形態の吸収体1においては、1枚の基材シート20を具備しており、該基材シート20の縦方向Yの両端部に非スリット領域NTが設けられ、該非スリット領域NTの間に後述するカット工程によって形成された複数の長尺状基体部2が設けられている。このような非スリット領域NTを設けると、使用前の状態において、吸収体1のシート形状が維持されやすく、構造が乱れ難くなるとともに、製造時に搬送しやすいという有利な効果が奏される。非スリット領域NTには、吸水性ポリマーの粒子3が配されていないことが好ましい。つまり吸収体は、その縦方向Yの端部域において吸水性ポリマーの粒子3が配されていないことが好ましい。非スリット領域NTに吸水性ポリマーの粒子3を配していなければ、吸収体1が液を吸収したとしても、非スリット領域NTは吸水性ポリマーの粒子3の膨潤に起因する変形の影響を受けないので、膨潤後の状態においても、吸収体1のシート形状が維持されやすく、構造が乱れ難くなる。これとともに、吸水性ポリマーの粒子3が配された領域では液が吸収されやすい。これらの結果、吸収体1の全体で吸液性とシート形状の維持とのバランスを取りやすいという利点が生じる。特に、長尺状基体部2における縦方向Yの両端部域において吸水性ポリマーの粒子3が配されていないと、上述した有利な各効果が一層顕著なものとなるので好ましい。ここで、膨潤後の状態とは、25℃に調温した生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)中に60分間吸収体1を浸漬した後の吸水性ポリマーの粒子の状態を意味する。
【0023】
図2に示す吸収体1のように、縦方向Yの端部域に、横方向Xに沿って延びる非スリット領域NTを備えている場合、吸収体1における縦方向Yの端部域、特に両端部域が吸収性物品10を構成するいずれかの部材に固定されていることが好ましい。この理由は、吸収体1のシート形状が維持されやすく、構造が乱れ難くなるとともに、吸収領域ATの柔らかさが向上し着用者へ違和感を与え難くなるからである。前記の部材は、吸収体1と肌対向面側において隣接する部材であるか、又は非肌対向面側において隣接する部材であり、好ましくは吸収体1と肌対向面側において隣接する部材及び非肌対向面側において隣接する部材の双方である。そのような部材としては、例えば肌対向面側では表面シート11若しくはサブレイヤーシート又はその双方が挙げられ、非肌対向面側では裏面シート12若しくはサブレイヤーシート又はその双方が挙げられる。なお、吸収体1がコアラップシートを備えている場合、該吸収体1が他の部材に固定されているとは、吸収性ユニット4がコアラップシートに固定されているとともに、コアラップシートが他の部材に固定されていることを意味する。この場合、吸収性ユニット4とコアラップシートとの固定位置F1と、コアラップシートと他の部材との固定位置F2とは、同位置であってもよく、あるいは異なる位置であってもよい。
【0024】
吸収体1は、これを構成する吸収性ユニット4が形成されている部位において、該吸収性ユニット4が、吸収性ユニット4と肌対向面側において隣接する他の部材又は非肌対向面側において隣接する他の部材と非接合状態になっていることが好ましい。例えば吸収性ユニット4が、非肌対向面側において隣接する他の部材と非接合状態になっていると、後述する間隙Sを通じて透過してきた液が、吸収性ユニット4の非肌対向面側で拡散しやすくなる。その結果、吸収性ユニット4の非肌対向面側に位置する吸水性ポリマーの粒子3の利用率が向上する。また、吸収性ユニット4が、肌対向面側において隣接する他の部材と非接合状態になっているとともに、非肌対向面側において隣接する他の部材と非接合状態になっていると、吸水性ポリマーの粒子3が液を吸収して膨潤した後に、吸収性ユニット4が厚み方向Zに沿って移動しやすくなる。このことは、吸収体1における液の拡散性の向上の点や、吸収体1の柔軟性の向上の点で有利である。
【0025】
図1に示すとおり、吸収体1においては、長尺状基体部2における肌対向面及び非肌対向面の双方に吸水性ポリマーの粒子3が固定されている。すなわち長尺状基体部2における表面シート11との対向面、及び裏面シート12との対向面の双方に吸水性ポリマーの粒子3が固定されている。長尺状基体部2の側面では、吸水性ポリマーの粒子3が非存在状態又は吸水性ポリマーの粒子3が固定されていない状態になっていることが好ましい。また、液を吸収する前の状態の吸収体1においては、同図に示すとおり、隣り合う吸収性ユニット4を構成する長尺状基体部2どうしの位置が、厚み方向Zにおいて概ね一致している。すなわち、各長尺状基体部2は、概ね同一平面上に位置している。
【0026】
吸収体1においては、これを縦方向Yに沿って見たときに、縦方向Yのいずれの部位においても吸水性ポリマーの粒子3が概ね均一に存在している。同様に、吸収体1を横方向Xに沿って見たときに、横方向Xのいずれの部位においても吸水性ポリマーの粒子3が概ね均一に存在している。このように、吸収体1においては縦方向Y及び横方向Xを含むX−Y平面内において、吸水性ポリマーの粒子3が概ね均一に存在している。このような吸水性ポリマーの粒子3の存在態様に代えて、吸収体1を横方向Xに沿って見たときに、中央域と側部域とで吸水性ポリマー3の坪量に差を設けることができる。例えば中央域の吸水性ポリマー3の坪量を、側部域の吸水性ポリマー3の坪量よりも高くすることができる。逆に、中央域の吸水性ポリマー3の坪量を、側部域の吸水性ポリマー3の坪量よりも低くすることもできる。この場合、中央域と側部域とでの吸水性ポリマー3の坪量の差は、ステップ状に変化してもよく、あるいは連続的に変化(漸減又は漸増)してもよい。
縦方向Yに関しても同様であり、中央域と端部域とで吸水性ポリマー3の坪量に差を設けることができる。例えば吸収体1を縦方向Yに沿って見たときに、中央域の吸水性ポリマー3の坪量を、端部域の吸水性ポリマー3の坪量よりも高くすることができる。逆に、中央域の吸水性ポリマー3の坪量を、端部域の吸水性ポリマー3の坪量よりも低くすることができる。この場合、中央域と端部域とでの吸水性ポリマー3の坪量の差は、ステップ状に変化してもよく、あるいは連続的に変化(漸減又は漸増)してもよい。
【0027】
更に吸収体1においては、
図1に示すとおり、吸水性ポリマーの粒子3が液を吸収する前の状態で、吸水性ポリマーの粒子3が、長尺状基体部2の縦方向Yに沿う側縁部2s,2sを越えて横方向Xにはみ出していない。これに加えて、吸水性ポリマーの粒子3が液を吸収する前の状態で、横方向Xに沿って隣り合う吸収性ユニット4どうしの間に間隙Sが生じている。この間隙Sの程度は、0.1mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることが更に好ましい。また、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることが更に好ましい。例えば間隙Sの程度は、0.1mm以上5mm以下であることが好ましく、0.5mm以上3mm以下であることが更に好ましい。
【0028】
一方、吸収体1においては、
図3に示すとおり、吸水性ポリマーの粒子3が液を吸収した後においても、該吸水性ポリマーの粒子3が、長尺状基体部2の縦方向Yに沿う側縁部2s,2sを越えて膨潤しないようになされている。この目的のために、本実施形態では、吸収体1の吸収性ユニット4において、長尺状基体部2と吸水性ポリマーの粒子3とを、接着剤5を介して固定している。
【0029】
吸収体1において、吸収体1の幅W1に対する長尺状基体部2の幅W2の割合(W2/W1)は、吸水性ポリマーの粒子3の長尺状基体部2への担持量、膨潤阻害、柔軟性、通気性、吸収体1のシート形状の維持等の観点から、0.001以上であることが好ましく、0.002以上であることが更に好ましく、そして、0.200以下であることが好ましく、0.040以下であることが更に好ましい。具体的には、0.001以上0.200以下であることが好ましく、0.002以上0.040以下であることが更に好ましい。
同様の観点から、長尺状基体部2の幅W2は、0.3mm以上であることが好ましく、0.6mm以上であることが更に好ましく、そして、10mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましく、1.8mm以下であることが更に好ましい。具体的には、長尺状基体部2の幅W2は、0.3mm以上10mm以下であることが好ましく、0.6mm以上2.0mm以下であることがより好ましく、0.6mm以上1.8mm以下であることが更に好ましい。長尺状基体部2の幅W2とは、縦方向Yに沿う長尺状基体部2の両側縁部間の距離のことである。吸収体1の幅W1とは、縦方向Yに沿う吸収体1の両側縁部間の距離のことである。
【0030】
吸収性ユニット4を構成する長尺状基体部2(基材シート)は、親水性のものであるか、又は疎水性のものである。親水性のシートとは、構成繊維1本の接触角が90°未満、又は繊維材料でないシートの場合は、その表面の接触角が90°未満のものと定義される。なお、測定方法は下記方法に則る。親水性シートとしては、例えば親水性材料を含んで構成されるシート状物を用いることができる。その例としては、親水性繊維を含んで構成される繊維シートである紙、不織布、織布、編み物地などが挙げられる。また、親水性樹脂を含んで構成される発泡体などが挙げられる。これらの親水性シートは単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。一方、疎水性のシートとは、構成繊維1本の接触角が90°以上、又は繊維材料でないシートの場合は、その表面の接触角が90°以上のものと定義される。なお、測定方法は下記方法に則る。疎水性シートとしては、例えば疎水性材料を含んで構成されるシート状物を用いることができる。その例としては、疎水性繊維を含んで構成される繊維シートである不織布などが挙げられる。また、疎水性樹脂を含んで構成される発泡体などが挙げられる。これらの疎水性シートは単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。長尺状基体部2が親水性であるか、それとも疎水性であるかを問わず、該長尺状基体部2としては、薄くても引っ張り強度が比較的高く、また薄くて柔軟性が高い観点から、不織布が好ましく用いられる。不織布の坪量は、5g/m
2以上100g/m
2以下であることが好ましく、10g/m
2以上40g/m
2以下であることが更に好ましい。親水性不織布としては、例えばスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、エアスルー不織布など、当該技術分野において公知のものを特に制限なく用いることができる。また、疎水性不織布としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を構成繊維とするスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、エアスルー不織布など、当該技術分野において公知のものを特に制限なく用いることができる。
【0031】
特に、長尺状基体部2が疎水性シートである場合には、吸収体1における液の拡散性が一層向上し、吸収体1の全域に液が行きわたるようになるので、吸収体1に固定されている吸水性ポリマーの粒子3のすべてを有効に活用できるようになる。また、長尺状基体部2が疎水性であると、隣り合う吸収性ユニット4,4間に生じる間隙Sを通じて透過してきた液が、着用者の体圧によって逆戻りすることを効果的に防止できるという利点もある。
【0032】
<長尺状基体部の親水度の測定方法>
長尺状基体部を形成するシートの構成繊維に対する水の接触角、又は長尺状基体部の表面に対する水の接触角は次の方法で測定される。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角測定には蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、構成繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析や画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に、画像が録画される。録画された映像において、不織布の肌対向面或いは非肌対向面を形成する構成繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトウエアFAMAS(ソフトウエアのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と構成繊維のなす角を算出し、接触角とする。
なお、長尺状基体部が不織布である場合、測定用サンプル(不織布から取り出して得られる構成繊維)は、不織布の構成繊維を最表層から繊維長1mmで裁断し、該構成繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持し、該構成繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。前述の各部位において、N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を各々の接触角と定義する。
【0033】
長尺状基体部2の表面に固定される吸水性ポリマー3としては、吸収性物品の技術分野において従来用いられている各種のものを用いることができる。例えば、ポリアクリル酸ソーダ、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、(デンプン−アクリル酸)グラフト重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。吸水性ポリマーの粒子3としては、その形状の違いから、不定形タイプ、塊状タイプ、俵状タイプ、球粒凝集タイプ、球状タイプ等があるが、いずれのタイプも用いることができる。
【0034】
長尺状基体部2における肌対向面側の表面に固定されている吸水性ポリマー3と、長尺状基体部2における非肌対向面側の表面に固定されている吸水性ポリマー3とは同種であってもよく、あるいは異種であってもよい。吸収体1に種々の付加的な性能を付与する観点からは、長尺状基体部2における肌対向面側の表面に固定されている吸水性ポリマー3と、長尺状基体部2における非肌対向面側の表面に固定されている吸水性ポリマー3とが異種のものであることが好ましい。ここで吸水性ポリマーが異種であるとは、加圧下通液速度又は遠心保持量が異なることを意味する。例えば、非肌対向面で液を大量に保持させるとともに、肌対向面上に液を残さずに肌触りを向上させる観点からは、長尺状基体部2における肌対向面側の表面に固定されている吸水性ポリマー3は、長尺状基体部における非肌対向面側の表面に固定されている吸水性ポリマー3に比べて、加圧下通液性能が高く、且つ遠心保持量が低いことが好ましい。
【0035】
前記の観点から、長尺状基体部2における肌対向面側の表面に固定されている吸水性ポリマー3に関し、2.0kPaでの加圧下通液速度は、20ml/min以上であることが好ましく、40ml/min以上であることが更に好ましく、そして、1000ml/min以下であることが好ましく、800ml/min以下であることが更に好ましく、具体的には、加圧下通液速度は20ml/min以上1000ml/min以下であることが好ましく、40ml/min以上800ml/min以下であることが更に好ましい。一方、長尺状基体部2における非肌対向面側の表面に固定されている吸水性ポリマー3に関し、2.0kPaでの加圧下通液速度は、0ml/min以上であることが好ましく、10ml/min以上であることが更に好ましく、そして、400ml/min以下であることが好ましく、200ml/min以下であることが更に好ましく、具体的には、加圧下通液速度は0ml/min以上400ml/min以下であることが好ましく、10ml/min以上200ml/min以下であることが更に好ましい。加圧下通液速度は、後述する測定方法により求められる。
【0036】
上述した加圧下通液速度との観点から、長尺状基体部2における肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3に関し、遠心保持量は、20g/g以上であることが好ましく、25g/g以上であることが更に好ましく、そして、50g/g以下であることが好ましく、45g/g以下であることが更に好ましく、具体的には、遠心保持量は20g/g以上50g/g以下であることが好ましく、25g/g以上45g/g以下であることが更に好ましい。一方、長尺状基体部2における非肌対向面側の表面に固定されている吸水性ポリマー3に関し、遠心保持量は、25g/g以上であることが好ましく、30g/g以上であることが更に好ましく、そして、65g/g以下であることが好ましく、55g/g以下であることが更に好ましく、具体的には、遠心保持量は25g/g以上65g/g以下であることが好ましく、30g/g以上55g/g以下であることが更に好ましい。遠心保持量は、後述する測定方法により求められる。
ここで、遠心保持量が異なるとは、下記の測定方法で測定した遠心保持量が3g/g以上異なる場合を指す。長尺状基体部2における肌対向面側の表面に固定されている吸水性ポリマー3は、長尺状基体部における非肌対向面側の表面に固定されている吸水性ポリマー3に比べて、遠心保持量が5g/g以上低く、更に好ましくは7g/g以上低いことが好ましい。
【0037】
<加圧下通液速度の測定方法>
加圧下通液速度は、特開2003−235889号公報に記載されている測定方法及び測定装置を利用して測定される。すなわち、100mLのガラスビーカーに、測定試料である吸水性ポリマーを0.32±0.005gを入れ、更にこの量の吸水性ポリマー3を膨潤するに十分な量の生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)、例えば吸水性ポリマーの飽和吸収量の5倍以上の生理食塩水を入れて30分間放置する。別途、垂直に立てた円筒(内径25.4mm)の開口部の下端に、金網(目開き150μm、株式会社三商販売のバイオカラム焼結ステンレスフィルター30SUS)と、コック(内径2mm)付き細管(内径4mm、長さ8cm)とが備えられた濾過円筒管を用意し、コックを閉鎖した状態で該円筒管内に、膨潤した測定試料を含む前記ビーカーの内容物すべてを投入する。次いで、目開きが150μmで直径が25mmである金網を先端に備えた直径2mmの円柱棒を濾過円筒管内に挿入して、該金網と測定試料とが接するようにし、更に測定試料に2.0kPaの荷重が加わるようにおもりを載せる。この状態で1分間放置した後、コックを開いて液を流し、濾過円筒管内の液面が60mLの目盛り線から40mLの目盛り線に達する(つまり20mLの液が通過する)までの時間(T1)(秒)を計測する。計測された時間T1(秒)を用い、次式から2.0kPaでの加圧下通液速度を算出する。式中、T0(秒)は、濾過円筒管内に測定試料を入れないで、生理食塩水20mlが金網を通過するのに要する時間を計測した値である。
加圧下通液速度(ml/min)=20×60/(T1−T0)
測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とする。また、測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。加圧下通液速度の更に詳細な測定方法は、特開2003−235889号公報の段落〔0008〕及び段落〔0009〕に記載されており、また測定装置は、同公報の
図1及び
図2に記載されている。
【0038】
<遠心保持量の測定方法>
遠心保持量(吸水量)の測定は、JIS K 7223(1996)に準拠して行う。ナイロン製の織布(三力製作所販売、品名:ナイロン網、規格:250メッシュ)を幅10cm、長さ40cmの長方形に切断して長手方向中央で二つ折りにし、両端をヒートシールして幅10cm(内寸9cm)、長さ20cmのナイロン袋を作製する。次いで、測定試料である吸水性ポリマー1.00gを精秤し、作製したナイロン袋の底部に均一になるように入れる。次いで、試料の入ったナイロン袋を、25℃に調温した生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)に浸漬させる。そして浸漬開始から1時間後にナイロン袋を生理食塩水から取り出し、1時間垂直状態に吊るして水切りした後、遠心脱水器(コクサン(株)製、型式H−130C特型)を用いて脱水する。脱水条件は、143G(800rpm)で10分間とする。脱水後、試料の質量を測定し、次式に従って目的とする遠心保持量(吸水量)を算出する。
遠心保持量(g/g)=(a'−b−c)/c
式中、a'は遠心脱水後の試料及びナイロン袋の総質量(g)、bはナイロン袋の吸水前(乾燥時)の質量(g)、cは試料の吸水前(乾燥時)の質量(g)を表す。
測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とする。また、測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。
【0039】
長尺状基体部2の表面に固定される吸水性ポリマー3は、その坪量が、20g/m
2以上であることが好ましく、50g/m
2以上であることが更に好ましい。また、400g/m
2以下であることが好ましく、300g/m
2以下であることが更に好ましい。例えば吸水性ポリマー3の坪量は、20g/m
2以上400g/m
2以下であることが好ましく、50g/m
2以上300g/m
2以下であることが更に好ましい。この範囲の坪量で吸水性ポリマーの粒子3を固定させることで、十分な吸水性能が得られる。
【0040】
長尺状基体部2における肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量と、長尺状基体部2における非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量とは同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。両者が異なる場合、長尺状基体部2に固定されている吸水性ポリマー3のうち、該長尺状基体部2における肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量よりも、該長尺状基体部2における非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量の方が高くなっていることが好ましい。こうすることで、非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーの粒子3を有効利用することができるので、肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3を減量して、吸収体1の全体としての吸水性ポリマー3の使用量を低減できる。また、長尺状基体部2の非肌対向面側に液貯蔵層が形成されやすくなるので、肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーの粒子3を減量することができ、それによって液戻り量を更に低減できる。肌対向面側よりも、非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量が高い場合、肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量B1に対する、非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量B2の比であるB2/B1の値は、1.05以上であることが好ましく、1.7以上であることが更に好ましい。また、40以下であることが好ましく、10以下であることが更に好ましい。例えばB2/B1の値は、1.05以上40以下であることが好ましく、1.7以上10以下であることが更に好ましい。
長尺状基体部2における肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量及び長尺状基体部2における非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量は以下の方法によって測定する。
<長尺状基体部2における肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量及び長尺状基体部2における非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量の測定方法>
長尺状基体部2における非肌対向面側の吸水性ポリマーが脱落しないように吸水性ポリマーの上面から再度接着剤等で固定しておき、肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーを、溶剤等を用いて長尺状基体部2から剥離させ、吸水性ポリマーに付着している接着剤を洗浄する。吸水性ポリマーを乾燥させたのち、肌対向面側に固定されていた吸水性ポリマーの重量を測定し、吸水性ポリマーが固定されていた部分の長尺状基体部2の面積と剥離した吸水性ポリマーの重量から、単位面積当たりに固定されていた吸水性ポリマーの重量を算出し、肌対向面側の吸水性ポリマーの坪量とする。測定は5枚行い平均値を算出する。
非肌対向面側の吸水性ポリマー坪量については、同様に肌対向面側の吸水性ポリマーを固定した上で、非肌対向面側の吸水性ポリマーを剥離、洗浄し、算出する。
【0041】
吸水性ポリマーの粒子3を長尺状基体部2の表面に固定させる方法としては、例えば接着剤を用いる方法や、水素結合等を利用して化学的に固定させる方法がある。また、長尺状基体部2が不織布、織布又は編み物地などの繊維シートである場合には、その構成繊維を起毛させ、起毛した構成繊維の間で吸水性ポリマーの粒子3を固定させる方法を採用することもできる。
図1に示す吸収体1においては、接着剤5が用いられている。すなわち、吸収体1の吸水性ポリマーの粒子3は、接着剤5を介して長尺状基体部2の表面に固定されている。このように接着剤5を介して吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の表面に固定されていると、吸収体1の使用前の状態又は膨潤後の状態において、吸水性ポリマーの粒子3が脱落し難くなるので、接着剤5が好ましく用いられる。
【0042】
接着剤5としては、例えば、ホットメルト型接着剤が好ましく用いられる。ホットメルト型接着剤としては、スチレン系やオレフィン系のホットメルト型接着剤が挙げられる。スチレン系ホットメルト接着剤としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、SBSの水素添加物であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、及びこれらの2種以上をブレンドしたブレンド系ホットメルト型接着剤を使用することができる。これらの中でも、タック力と凝集力のバランスが取りやすい観点から、特にSISとSBSとのブレンド系ホットメルト型接着剤、又はSISとSEBSのブレンド系ホットメルト型接着剤が好ましく用いられる。ホットメルト型接着剤の塗布量は、0.5g/m
2以上100g/m
2以下であることが好ましく、5g/m
2以上50g/m
2以下であることが更に好ましい。
【0043】
以上の構成を有する本実施形態の吸収性物品10では、吸水性ポリマーの粒子が液を吸収する前後のいずれの状態においても、吸水性ポリマーの粒子3が、長尺状基体部2の縦方向Yに沿う側縁部2s,2sを越えて横方向Xにはみ出していないので、吸水性ポリマーの粒子3のゲルブロッキングが起こりにくく、吸収体1内での液の拡散性及び透過性が低下しづらいという有利な効果が奏される。特に、吸水性ポリマーの粒子3が液を吸収した後に、該吸水性ポリマーの粒子3が、長尺状基体部2の側縁部2s,2sを越えて膨潤した場合にはゲルブロッキングが起こりやすいところ、本実施形態の吸収性物品10では、そのようなゲルブロッキングの発生が効果的に抑制される。それによって、長尺状基体部2を挟んで肌当接面側(肌対向面側)及び非肌当接面側(非肌対向面側)それぞれに固定されている吸水性ポリマー3の粒子の双方を有効活用することができ、吸収体1の吸水性能を向上させることができる。また長尺状基体部2における非肌当接面側に液が貯留されやすくなり、そのことによって液の逆戻りが効果的防止される。
また、長尺状基体部の上下面に吸水性ポリマーの粒子3を固定させることで、尿などの低粘度で且つ高速に排泄される液に対して、吸収体が該液を一時的にストックできる。それによって、液漏れが起こりにくくなる。
更に、本実施形態の吸収性物品10では、吸水性ポリマー3の粒子が液を吸収した後であっても、隣り合う吸収性ユニット4間に間隙Sが維持されているので、吸収体1は、液を吸収した後であっても、あたかも1枚のシートのような柔軟性を呈する。
【0044】
吸水性ポリマーの粒子3が液を吸収した後においては、
図3に示すとおり、隣り合う吸収性ユニット4を構成する長尺状基体部2,2どうしの位置が、厚み方向Zにおいて異なるように吸収性ユニット4が移動しやすい。ここで、「厚み方向Zにおいて異なる」とは、例えば上下にずれる場合や斜めにずれる場合、あるいはその両方が起こる場合等がある。この移動は、吸水性ポリマーの粒子3の膨潤による体積増加に起因している。この移動には、厚み方向Zに沿う長尺状基体部2の平行移動、及び厚み方向Zに対しての長尺状基体部2の傾斜の双方が含まれる。この移動に起因して、吸水性ポリマーの粒子3が液を吸収した後においても、隣り合う吸収性ユニット4間に間隙Sが維持されやすい。このことによってもゲルブロッキングの発生が効果的に抑制され、また厚み方向Zに沿う液の透過が妨げられにくくなる。
【0045】
液の吸収によって、吸収性ユニット4,4を厚み方向Zに沿って自由に動かしやすくし、吸水性ポリマーの粒子3の膨潤阻害を一層起こし難くする観点から、液を吸収する前の状態の吸水性ポリマーの粒子3の平均粒子径d1は、20μm以上であることが好ましく、200μm以上であることが更に好ましく、そして、700μm以下であることが好ましく、500μm以下であることが更に好ましい。具体的には、20μm以上700μm以下であることが好ましく、200μm以上500μm以下であることが更に好ましい。一方、液を吸収した膨潤した状態の吸水性ポリマーの粒子3の平均粒子径d2は、200μm以上であることが好ましく、800μm以上であることが更に好ましく、そして、3000μm以下であることが好ましく、2000μm以下であることが更に好ましい。具体的には、200μm以上3000μm以下であることが好ましく、800μm以上2000μm以下であることが更に好ましい。吸水性ポリマーの粒子3の平均粒子径は、以下の測定方法により求められる。
【0046】
<液を吸収する前の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径d1の測定方法>
使用前の状態における平均粒子径d1は、使用前の吸水性ポリマーの粒子を用い、吸水性ポリマーの粒子の直径もしくは長軸を光学顕微鏡観察で測定した。ここで言う直径とは、吸水性ポリマーの粒子が球状の場合の直径を指す。また、長軸とは、吸水性ポリマーの粒子がひし形、長方形、房状、フットボール型などの異型状の場合の最も長い軸を指す。計50個の吸水性ポリマーの粒子の直径又は長軸を測定し、その数平均粒子径を使用前の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径とする。
【0047】
<液を吸収した後の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径d2の測定方法>
膨潤後の状態における平均粒子径d2は、吸水性ポリマーの粒子が固定された長尺状基体部2を25℃に調温した生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)中に浸漬させ、浸漬開始から1時間後に長尺状基体部2を生理食塩水から取り出し、30分間垂直状態に吊るして水切りした後、長尺状基体部2の表面の吸水性ポリマーの粒子の直径もしくは長軸を光学顕微鏡観察で測定した。ここで言う直径とは、吸水性ポリマーの粒子が球状の場合の直径を指す。また、長軸とは、吸水性ポリマーの粒子がひし形、長方形、房状、フットボール型などの異型状の場合の最も長い軸を指す。計50個の吸水性ポリマーの粒子の直径もしくは長軸を測定し、その数平均粒子径を膨潤後の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径とする。
【0048】
また、液の吸収によって吸収性ユニット4,4を厚み方向Zに沿って自由に動かしやすくする観点から、長尺状基体部2の幅W2と、液を吸収する前の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径d1との関係は、d1/W2の値が0.002以上であることが好ましく、0.100以上であることが更に好ましい。また0.900以下であることが好ましく、0.800以下であることが更に好ましい。例えばd1/W2の値は、0.002以上0.900以下であることが好ましく、0.100以上0.800以下であることが更に好ましい。一方、長尺状基体部2の幅W2と、液を吸収した後の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径d2との関係は、d2/W2の値が0.02以上であることが好ましく、0.45以上であることが更に好ましい。また0.90以下であることが好ましく、0.80以下であることが更に好ましい。例えばd2/W2の値は、0.02以上0.90以下であることが好ましく、0.45以上0.80以下であることが更に好ましい。
【0049】
次に、本実施形態の吸収性物品10の製造方法の好ましい一実施形態を、
図4を参照して説明する。
図4には、本実施形態の吸収性物品10の製造方法に好ましく用いられる製造装置100が示されている。本実施形態の製造装置100は、製造工程の上流側から下流側に向けて、第1接着剤塗布部120、第1吸水性ポリマー散布部130、第2接着剤塗布部140、第2吸水性ポリマー散布部150及び基材シートカット部110を、この順で備えている。なお、
図4に示す製造装置100においては、第1接着剤塗布部120及び第1吸水性ポリマー散布部130が一体化した装置、並びに第2接着剤塗布部140及び第2吸水性ポリマー散布部150が一体化した装置をそれぞれ用いているが、これらは一体化していなくてもよい。前記一体化した装置は、該装置における上流側に接着剤塗布部120,140が配され、該一体化した装置における下流側に吸水性ポリマー散布部130,150が配された構成となっている。
【0050】
第1接着剤塗布部120は、複数の長尺状基体部2を、搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部2における一方の面の表面の横方向Xに距離を隔てた複数箇所に接着剤を塗布する部分である。本実施形態の製造装置100においては、
図4に示すとおり、塗布ヘッド121が備えられている。塗布ヘッド121としては、一方向に搬送される基材シート20の一方の面の表面に、横方向Xに距離を隔てた複数箇所から接着剤5を塗布することが可能な構造を有する塗布ヘッド121を用いることができる。塗布ヘッド121は、X1方向においては、吸収体1の吸収領域ATの幅、すなわち横方向Xの長さに対応する長さを有するように形成されている。このように構成された塗布ヘッド121が、長尺状基体部2の一方の面上に配置されている。
【0051】
第2接着剤塗布部140は、第1吸水性ポリマー散布部130の下流側に位置している。第2接着剤塗布部140は、第1接着剤塗工部120と同様の構造を有しており、一方向に搬送される基材シート20の他方の面の表面に、横方向Xに距離を隔てた複数箇所から接着剤5を塗布することが可能な構造を有する塗布ヘッド141を用いることができる。なお
図4中、第2接着剤塗布部140における符号141で示す部材は、第1接着剤塗布部120に備えられた塗布ヘッド121と同様の構造を有する塗布ヘッドである。
【0052】
第1接着剤塗布部120の下流側に位置する第1吸水性ポリマー散布部130は、第1接着剤塗布部120により接着剤が塗布された長尺状基体部2を、搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部2における該接着剤が塗布された一方の面の表面の横方向Xの全域にわたり吸水性ポリマーの粒子3を散布する部分である。本実施形態の製造装置100においては、
図4に示すとおり、吸水性ポリマー導入部131が備えられている。吸水性ポリマー導入部131には、各種公知の導入装置を特に制限なく用いることができる。吸水性ポリマー導入部131は、X1方向においては、吸収体1の吸収領域ATの幅、すなわち横方向Xの長さに対応する長さを有するように形成されている。吸水性ポリマー吸水性ポリマーこのように構成された吸水性ポリマー導入部131が、長尺状基体部2の一方の面上に配置されている。
【0053】
第2吸水性ポリマー散布部150は、第2接着剤塗布部140の下流側に位置している。第2吸水性ポリマー散布部150は、第1吸水性ポリマー散布部130と同様の構造を有しており、第2接着剤塗布部140により接着剤が塗布された長尺状基体部2を、搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部2における該接着剤が塗布された他方の面の表面の横方向Xの全域にわたり吸水性ポリマーの粒子3を散布する部分である。なお
図4中、第2吸水性ポリマー散布部150における符号151で示す部材は、第1吸水性ポリマー散布部130に備えられた吸水性ポリマー導入部131と同様の構造を有する吸水性ポリマー導入部である。
【0054】
第2吸水性ポリマー散布部150の下流側に位置する基材シートカット部110は、長尺状基体部2の原料である、親水性を有する帯状の基材シート20に、その搬送方向に沿う複数条の切り込みを入れて、細幅の複数条の長尺状基体部2を得る部分である。基材シート20に複数条の切り込みを入れるためには、各種公知のカット装置を特に制限なく用いることができる。本実施形態の製造装置100においては、
図5に示すように、周面に複数のカッター刃111a,111a,111a・・・が配されたロータリーダイ111bと、ロータリーダイ111bに対向配置された、周面が平坦な受けロール112とを備えたカット装置113を用いている。カット装置113の各カッター刃111aは、ロータリーダイ111bの回転方向に沿って配されており、複数のカッター刃111a,111a,111a・・・は、それぞれ、帯状の基材シート20の搬送方向Y1に直交する方向X1に並んで配置されている。直交する方向X1に隣り合うカッター刃111a,111aどうしの間隔は、形成される各長尺状基体部2の幅(横方向(X方向)の長さ)に対応している。ここで、基材シート20の搬送方向Y1は、製造される吸収体1の縦方向(Y方向)に対応しており、直交する方向X1は、製造される吸収体1の横方向(X方向)に対応している。尚、基材シート20のカットには、上刃と下刃の側面を擦り合わせて切断するシェアカット方式のカット装置を用いてもよく、複数のスコアカットナイフを直交する方向X1に並置した装置でもよく、レーザー光を照射して溶断するレーザー装置を用いてもよい。
【0055】
図2に示す吸収体1のように、吸収体1が、縦方向Yの両端部に非スリット領域NTを備えている場合には、例えば
図5に示すように、各カッター刃111aの周面に、凹部114を形成するようにすればよい。回転するカッター刃111aの外周における凹部114部分の円弧の長さは、
図2に示す吸収体1の両端部に配置される非スリット領域NTの縦方向(Y方向)の長さの合計と等しい長さに対応するようにする。このような凹部114を備える複数のカッター刃111a,111a,111a・・・を用意し、方向X1に隣り合うカッター刃111aの凹部114,114どうしの位置を合わせて配置したロータリーダイ111bを用いればよい。尚、回転するカッター刃111aの外周における凹部114を除く部分の円弧の長さが、
図2に示す吸収体1の有する長尺状基体部2の縦方向Yの長さに対応している。また、吸収体1が、縦方向Yに沿う両側部に非スリット領域NTを備えている場合には、該非スリット領域NTに対応する位置にカッター刃111aを配しないようにすればよい。
【0056】
図4に示す製造装置100においては、第1接着剤塗布部120及び第1吸水性ポリマー散布部130が一体化した装置に対向する位置であって、搬送される複数本の長尺状基体部2の下面側(他方の面側)に、バキュームコンベア141が配されている。バキュームコンベア141は、駆動ロール142及び複数の従動ロール143に架け渡された無端状の通気性ベルト144と、通気性ベルト144を挟んで前記一体化した装置に対向する位置に配されたバキュームボックス145とを備えている。バキュームコンベア141上には、複数条の長尺状基体部2が導入されるようになっている。なお図示していないが、第2接着剤塗布部140及び第2吸水性ポリマー散布部150が一体化した装置に対向する位置にも、バキュームコンベア141と同様の構造を有するバキュームコンベアが配置されている。
【0057】
図4に示す製造装置100においては、帯状の基材シート20の原反ロールから基材シート20を繰り出す駆動ロール151と、最も下流側に、製造された吸収体1の前駆体1bを搬送する駆動ロール152とを備えている。
【0058】
前述した製造装置100を用いて、吸収体1を含む吸収性物品を製造する方法について以下に説明する。この製造方法は、以下の工程を含むものである。
(イ)一方向に搬送される基材シートの一方の面の表面に、その横方向に距離を隔てた複数箇所に接着剤を塗布する工程。
(ロ)前記接着剤が塗布された基材シートを、搬送方向に沿って搬送させた状態下、該基材シートにおける該接着剤が塗布された前記一方の面の表面に、その横方向の全域にわたり吸水性ポリマーの粒子を散布する工程。
(ハ)前記一方の面の表面に吸水性ポリマーの粒子が散布された前記基材シートを、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、基材シートにおける他方の面の表面に、その横方向に距離を隔てた複数箇所に接着剤を塗布する工程。
(ニ)前記接着剤が塗布された前記基材シートを、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、基材シートにおける該接着剤が塗布された前記他方の面の表面に、その横方向の全域にわたり吸水性ポリマーの粒子を散布する工程。
(ホ)各面に前記吸水性ポリマーの粒子が散布された前記基材シートに、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、該接着剤が塗布された箇所間の非塗布箇所において、該搬送方向に沿って切り込みを入れて、細幅の複数条の長尺状基体部を得て、吸収体を製造する工程。
以下、それぞれの工程について説明する。
【0059】
先ず、(イ)の工程の実施に先立ち、バキュームボックス145内を、それに接続された排気装置を作動させて負圧にする。これは、第2接着剤塗布部140及び第2吸水性ポリマー散布部150が一体化した装置に対向する位置に配置されたバキュームコンベアのバキュームボックスも同様である。次いで、駆動ロール151及び駆動ロール152を駆動させ、カット装置113及び通気性ベルト144を回転させ、バキュームコンベア141を作動させる。そして、駆動ロール151により帯状の基材シート20の原反ロールから基材シート20を繰り出す。
(イ)の工程においては、原反ロールから繰り出された基材シート20一方の面の表面に、第1接着剤塗布部120により横方向に距離を隔てた複数箇所に接着剤5を塗布する。基材シート20は、バキュームコンベア141で搬送されながら、バキュームボックス145上に位置する間に、第1接着剤塗布部120の塗布ヘッド121によって、該基材シート20の一方の面の表面に、非カット部NTbを除いて、搬送方向Y1に沿って間欠的に接着剤5が塗布される。
このとき、横方向Xに距離を隔てた複数箇所に接着剤5を塗布することが重要である。このような塗布形態を採用することで、吸収体1は、液を吸収する前後のいずれの状態においても、吸水性ポリマーの粒子3が、長尺状基体部2の側縁部2sを越えて横方向Xにはみ出さないようになる。散布された吸水性ポリマーの粒子3は、長尺状基体部2の一方の面の表面に塗布された接着剤5を介して長尺状基体部2に確実に固定される。
(イ)の工程を行うには、一方向に搬送される基材シート20の一方の面の表面に、横方向Xに距離を隔てた複数箇所から接着剤5を塗布することが可能な構造を有する塗布ヘッド121を用いればよい。
【0060】
(イ)の工程に引き続く(ロ)の工程においては、基材シート20の面のうち、第1接着剤塗布部120によって接着剤5が塗布された一方の面の表面に、第1吸水性ポリマー散布部130により横方向Xの全域にわたり吸水性ポリマーの粒子3が散布される。基材シート20は、バキュームコンベア141で搬送され、バキュームボックス145上に位置する間に、一方の面の表面に第1吸水性ポリマー散布部130によって搬送方向Y1に沿って吸水性ポリマーの粒子3が散布される。ただし、非カット部NTbには吸水性ポリマーの粒子3は散布されない。
このように吸水性ポリマーの粒子3を散布することにより、接着剤5を介して吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の一方の面(上面)の表面に固定された吸収性ユニット4を複数本形成する。このように形成された複数本の吸収性ユニット4は、それぞれの縦方向Yが、搬送方向(Y1方向)を向くように配列しており、吸収体1の前駆体1bを形成するようになる。
【0061】
次に、反転ロール148によって長尺状基体部2を表裏反転させた後、該長尺状基体部2における他方の面の表面に、上述した(イ)及び(ロ)の工程とそれぞれ同様の工程である(ハ)及び(ニ)の工程を行う。このとき、(ハ)の工程においては、長尺状基体部2を挟んで、(イ)の工程において接着剤5を散布した箇所に対応する箇所に接着剤5を散布する。
【0062】
次いで、(ホ)の工程において、各面に吸水性ポリマーの粒子3が散布された基材シート20を、基材シートカット部110のカット装置113におけるロータリーダイ111bの複数のカッター刃111aと受けロール112との間に供給し、搬送方向Y1に沿って切り込みを入れて、細幅の複数の長尺状基体部2及び該長尺状基体部2の表面に固定された吸水性ポリマーの粒子3を有する複数の吸収性ユニット4を得る。切り込みを入れる箇所は、基材シート20を搬送方向Y1に沿って搬送させた状態下、接着剤5が塗布された箇所間の非塗布箇所とする。これによって得られた各吸収性ユニット4においては、その横方向Xの中心域の位置に、縦方向Yに沿って吸水性ポリマーの粒子3が固定された状態となっている。このようにして、吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の一方の面の表面にのみ固定された吸収性ユニット4が複数形成される。このようにして形成された複数の吸収性ユニット4は、それぞれの縦方向Yが、搬送方向Y1を向くように配列しており、吸収体1の前駆体1bを形成する。
【0063】
本実施態様においては、
図5に示すように、ロータリーダイ111bの回転方向に配された複数のカッター刃111aが、それぞれ、帯状の基材シート20の搬送方向(Y1方向)に直交する方向X1に並んで配置されているので、帯状の基材シート20を、基材シート20の搬送方向Y1に沿ってカットし、且つ直交する方向X1に複数箇所カットして複数の吸収性ユニット4を形成する。また、カッター刃111aでカットされた部分が吸収性ユニット4の側縁部2sとなる。
【0064】
また、本実施態様においては、複数のカッター刃111aが、それぞれ、凹部114を有しているので、搬送される帯状の基材シート20に、吸収性ユニット4の縦方向Yの長さ分を空けて、間欠的に、非スリット領域NTの縦方向Yの長さの2倍の長さ分に対応する非カット部NTbが形成される。カット工程にて形成された複数の吸収性ユニット4は、搬送方向Y1に平行に形成されており、直交する方向X1に並置して配されている。
【0065】
次いで、吸収体1の前駆体1bを駆動ロール152によって下流側に搬送し、公知の切断装置(図示せず)を用いて、該前駆体1bを、非カット部NTbの搬送方向Y1の長さの二等分の位置毎に切断する。これによって、縦方向Yの両端部に、横方向Xに沿って延びる非スリット領域NTを有する吸収体1が連続して製造される。このように、本製造装置100及びそれを用いた本製造方法によれば、吸収体1を安定的に効率良く製造することができる。その後は、公知の工程に従い、吸収体1の一方の面側に表面シートを配置するとともに、他方の面側に裏面シートを配置し、更に必要に応じその他の部材を配置することで、目的とする吸収性物品が得られる。
【0066】
前記の(イ)ないし(ホ)の工程を備えた製造方法の変形例として、以下の(イ’)ないし(ホ’)の工程を有する方法を採用することもできる。
(イ’)一方向に搬送される親水性の基材シートの一方の面の表面に、その横方向の全域にわたり接着剤を塗布する工程。
(ロ’)前記接着剤が塗布された前記基材シートを、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、該基材シートにおける該接着剤が塗布された前記一方の面の表面に、その横方向に距離を隔てた複数箇所に吸水性ポリマーの粒子を散布する工程。
(ハ’)前記一方の面の表面に吸水性ポリマーの粒子が散布された前記基材シートを、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、基材シートにおける他方の面の表面に、その横方向の全域にわたり接着剤を塗布する工程。
(ニ’)前記接着剤が塗布された前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、基材シートにおける該接着剤が塗布された前記他方の面の表面に、その横方向に距離を隔てた複数箇所に吸水性ポリマーの粒子を散布する工程
(ホ’)各面に前記吸水性ポリマーの粒子が散布された前記基材シートに、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、該吸水性ポリマーの粒子が散布された箇所間の非散布箇所において、該搬送方向に沿って切り込みを入れて、細幅の複数条の長尺状基体部を得て、吸収体を製造する工程。
【0067】
(イ’)の工程においては、基材シート20の一方の面の表面に、第1接着剤塗布部120により接着剤5を基材シート20における横方向Xの全域にわたって塗布する。基材シート20は、バキュームコンベア141で搬送されながら、バキュームボックス145上に位置する間に、第1接着剤塗布部120の塗布ヘッド121によって、該基材シート20の一方の面の表面に、非カット部NTbを除いて、搬送方向Y1に沿って間欠的に接着剤5が塗布される。
【0068】
(イ’)の工程に引き続く(ロ’)の工程においては、基材シート20の面のうち、第1接着剤塗布部120によって接着剤5が塗布された一方の面の表面に、第1吸水性ポリマー散布部130により、横方向に距離を隔てた複数箇所に吸水性ポリマーの粒子3を散布する。基材シート20はバキュームコンベア141で搬送され、バキュームボックス145上に位置する間に、一方の面の表面に、第1吸水性ポリマー散布部130によって搬送方向Y1に沿って吸水性ポリマーの粒子3が散布される。ただし、非カット部NTbには吸水性ポリマーの粒子3は散布されない。
このとき、基材シート20における接着剤5が塗布された面の表面に、横方向Xに距離を隔てた複数箇所に吸水性ポリマーの粒子3を散布することが重要である。このような散布形態を採用することで、吸収体1は、液を吸収する前後のいずれの状態においても、吸水性ポリマーの粒子3が、長尺状基体部2の側縁部2sを越えて横方向Xにはみ出さないようになる。散布された吸水性ポリマーの粒子3は、長尺状基体部2の一方の面の表面に塗布された接着剤5を介して長尺状基体部2の一方の面の表面に確実に固定される。
この(ロ’)の工程を行うには、一方向に搬送される基材シート20の一方の面に、横方向Xに距離を隔てた複数箇所から吸水性ポリマーの粒子3を塗布することが可能な構造を有する吸水性ポリマー散布部130を用いればよい。
【0069】
次に、反転ロール148によって長尺状基体部2を表裏反転させた後、該長尺状基体部2における他方の面の表面に、上述した(イ’)及び(ロ’)の工程とそれぞれ同様の工程である(ハ’)及び(ニ’)の工程を行う。(ニ’)の工程においては、長尺状基体部2を挟んで、(ロ’)の工程において吸水性ポリマーの粒子3を散布した箇所に対応する箇所に吸水性ポリマー3を散布する。
【0070】
次いで、(ホ’)の工程において、吸水性ポリマーの粒子3が散布された基材シート20に、搬送方向Y1に沿って切り込みを入れて、細幅の複数の長尺状基体部2及び該長尺状基体部2に固定された吸水性ポリマーの粒子3を有する複数の吸収性ユニット4を得る。切り込みを入れる箇所は、基材シート20を搬送方向Y1に沿って搬送させた状態下、吸水性ポリマーの粒子3が散布された箇所間の非散布箇所とする。これによって得られた各吸収性ユニット4においては、その横方向Xの中心域の位置に、縦方向Yに沿って吸水性ポリマーの粒子3が固定された状態となっている。このようにして、吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の各面に固定された吸収性ユニット4が複数形成される。このようにして形成された複数の吸収性ユニット4は、それぞれの縦方向Yが、搬送方向Y1を向くように配列しており、吸収体1の前駆体1bを形成する。その後は
図4に示す製造装置を用いた方法と同様の手順が行われ、吸収体1及び吸収性物品10が得られる。
【0071】
図6には、別の製造装置100を用いた製造方法が示されている。これまで説明してきた製造方法においては、先ず基材シート20の各面の表面に接着剤5の塗布及び吸水性ポリマーの粒子3の散布を行った後に、基材シート20に、搬送方向Y1に沿う複数条の切り込みを入れたが、本実施形態の製造方法では、先ず基材シート20に、搬送方向Y1に沿う複数条の切り込みを入れて、細幅の複数の長尺状基体部2を得た後、該長尺状基体部2の各面の表面に接着剤5の塗布及び吸水性ポリマーの粒子3の散布を行う。この製造方法について以下に詳述する。なお、
図6に示す製造装置100及びそれを用いた製造方法に関し、特に説明しない点については、
図4に示す製造装置100及びそれを用いた製造方法に関して上述した説明が適宜適用される。
【0072】
図6に示す製造装置100は、製造工程の上流側から下流側に向けて、基材シートカット部110、第1接着剤塗布部120及び第1吸水性ポリマー散布部130、第2接着剤塗布部140及び第2吸水性ポリマー散布部150を、この順で備えている。各部110,120,130,140,150の構造は、
図4に示す製造装置と同様である。この製造装置100を用いて、吸収体1を含む吸収性物品を製造する方法について以下に説明する。この製造方法は、以下の工程を含むものである。
(へ)一方向に搬送される基材シートに、その搬送方向に沿う複数条の切り込みを入れて、細幅の複数条の長尺状基体部を得る工程。
(ト)複数条の前記長尺状基体部を、搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における一方の面の表面の横方向の中央域にのみ接着剤を塗布する工程。
(チ)前記一方の面の表面に前記接着剤が塗布された前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における該接着剤が塗布された前記一方の面の表面の横方向の全域にわたり吸水性ポリマーの粒子を散布する工程。
(リ)複数条の前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における他方の面の表面の横方向の中央域にのみ接着剤を塗布する工程。
(ヌ)前記他方の面の表面に前記接着剤が塗布された前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における該接着剤が塗布された前記他方の面の表面の横方向の全域にわたり吸水性ポリマーの粒子を散布して、吸収体を製造する工程。
以下、それぞれの工程について説明する。
【0073】
(ヘ)の工程においては、駆動ロール151により帯状の基材シート20の原反ロールから繰り出された基材シート20を、基材シートカット部110のカット装置113における複数のカッター刃111aと受けロール112との間に供給し、帯状の基材シート20をカットして複数本の長尺状基体部2を形成する。本実施態様においては、
図5に示すように、ロータリーダイ111bの回転方向に配された複数のカッター刃111aが、それぞれ、帯状の基材シート20の搬送方向(Y1方向)に直交する方向(X1方向)に並んで配置されているので、帯状の基材シート20を、基材シート20の搬送方向(Y1方向)に沿ってカットし、且つ直交する方向(X1方向)に複数箇所カットして複数本の長尺状基体部2を形成する。また、カッター刃111aでカットされた部分が長尺状基体部2の側縁部2sとなる。
【0074】
本製造方法においては、ロータリーダイ111bが凹部114を有しているので、搬送される帯状の基材シート20に、長尺状基体部2の縦方向Yの長さ分を空けて、間欠的に、非スリット領域NTの縦方向Yの長さの2倍の長さ分に対応する非カット部NTbが形成される。(ヘ)の工程において形成された複数の長尺状基体部2は、搬送方向Y1に平行に形成されており、直交する方向X1に並置して配されている。
【0075】
次いで(ト)の工程において、第1接着剤塗布部120により複数の長尺状基体部2の一方の面の表面の横方向の中央域にのみに接着剤5を塗布する。複数の長尺状基体部2は、バキュームコンベア141で搬送されながら、バキュームボックス145上に位置する間に、第1接着剤塗布部120の塗布ヘッド121によって、直交する方向X1に並置された複数の長尺状基体部2の一方の面の表面の中央域のみに、非カット部NTbを除いて、搬送方向Y1に沿って間欠的に接着剤5が塗布される。(ト)の工程を行うには、一方向に搬送される基材シート20の一方の面の表面に、横方向Xに距離を隔てた複数箇所から接着剤5を塗布することが可能な構造を有する塗布ヘッド121を用いればよい。
【0076】
(ト)の工程に引き続く(チ)の工程においては、複数の長尺状基体部2の面のうち、第1接着剤塗布部120によって接着剤5が塗布された一方の面の表面の横方向の全域にわたり、第1吸水性ポリマー散布部130によって吸水性ポリマー3が散布される。長尺状基体部2は、バキュームコンベア141で搬送され、バキュームボックス145上に位置する間に、一方の面の表面に、搬送方向Y1に沿って、横方向Xの全域にわたり第1吸水性ポリマー散布部130により吸水性ポリマーの粒子3が散布される。ただし、非カット部NTbには吸水性ポリマーの粒子3は散布されない。散布された吸水性ポリマーの粒子3は、複数の長尺状基体部2の一方の面の表面の中央域のみに塗布された接着剤5を介して長尺状基体部2に確実に固定される。
【0077】
次に、反転ロール148によって長尺状基体部2を表裏反転させた後、該長尺状基体部2における他方の面の表面に、上述した(ト)及び(チ)の工程とそれぞれ同様の工程である(リ)及び(ヌ)の工程を行う。このようにして、長尺状基体部2の各面の表面に吸水性ポリマーの粒子3が固定されてなる吸収性ユニット4が複数形成される。このようにして形成された複数の吸収性ユニット4は、それぞれの縦方向Yが、搬送方向Y1を向くように配列しており、吸収体1の前駆体1bを形成する。
【0078】
次いで、吸収体1の前駆体1bを駆動ロール152によって下流側に搬送し、公知の切断装置(図示せず)を用いて、該前駆体1bを、非カット部NTbの搬送方向Y1の長さの二等分の位置毎に切断する。これによって、縦方向Yの両端部に、横方向Xに沿って延びる非スリット領域NTを有する吸収体1が連続して製造される。このように、本製造装置100及びそれを用いた本製造方法によれば、吸収体1を安定的に効率良く製造することができる。その後は、公知の工程に従い、吸収体1における吸水性ポリマーの粒子3が固定された一方の面側に表面シートを配置するとともに、吸水性ポリマーの粒子3が固定されていない他方の面側に裏面シートを配置し、更に必要に応じその他の部材を配置することで、目的とする吸収性物品が得られる。
【0079】
前記の(へ)ないし(ヌ)の工程を備えた製造方法の変形例として、(ト)ないし(ヌ)の工程を、以下の(ト’)ないし(ヌ’)の工程で置き換えた方法を採用することもできる。
(ト’)複数条の前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における一方の面の表面の横方向の全域にわたり接着剤を塗布する工程。
(チ’)前記一方の面の表面に前記接着剤が塗布された前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における該接着剤が塗布された面のうち、横方向の中央域にのみ吸水性ポリマーの粒子を散布する工程。
(リ’)複数条の前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における他方の面の表面の横方向の全域にわたり接着剤を塗布する工程。
(ヌ’)前記他方の面に前記接着剤が塗布された前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における該接着剤が塗布された他方の面の表面のうち、横方向の中央域にのみ吸水性ポリマーの粒子を散布して、吸収体を製造する工程。
【0080】
この(ヘ)、(ト’)、(チ’)、(リ’)及び(ヌ’)の工程を備えた製造方法において、(チ’)の工程を行うには、一方向に搬送される基材シート20の一方の面の表面に、横方向Xに距離を隔てた複数箇所から吸水性ポリマーの粒子3を塗布することが可能な構造を有する吸水性ポリマー散布部130を用いればよい。同様に、(ヌ’)の工程を行うには、一方向に搬送される基材シート20の他方の面の表面に、横方向Xに距離を隔てた複数箇所から吸水性ポリマーの粒子3を塗布することが可能な構造を有する吸水性ポリマー散布部130を用いればよい。
【0081】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の範囲は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態の吸収性物品10における吸収体1は、均一な幅の長尺状基体部2を有する吸収性ユニット4を複数用いて形成されているが、これに代えて、長尺状基体部2の幅を不均一としてもよい。
【0082】
また、上述した
図2に示す吸収体1は、複数の吸収性ユニット4それぞれの縦方向Yが吸収体1の縦方向Yを向くように配列して形成されているが、これに代えて、例えば
図7に示すように、複数の吸収性ユニット4それぞれの縦方向Yが吸収体1の横方向Xを向くように配列させてもよい。
図7に示す吸収体1は、縦方向Yに沿う両側部に非スリット領域NTを備えている。
図7に示す吸収体1は、基材ロールの軸方向に平行に配されたカットナイフを、周方向に間欠的に配したカットロールと、受けロールとを用い、該カットロールと該受けロールとの間に基材シート20を供給することにより製造できる。
【0083】
また吸収体1は、吸収性ユニット4の縦方向Yが複数方向を向くように、該吸収性ユニット4を配列させたものであってもよい。複数方向を向くように吸収性ユニット4を配列させた吸収体1としては、例えば、複数の吸収性ユニット4それぞれの縦方向Yが吸収体1の縦方向Yを向くように配列して形成された領域を、該吸収体1の縦方向Yに沿う両側部に有し、且つ複数の吸収性ユニット4それぞれの縦方向Yが吸収体1の横方向Xを向くように配列して形成された領域を、前記両側部で挟まれた中央部に有する形態等が挙げられる。このような複数方向を向くように吸収性ユニット4を配列させた吸収体1は、例えば、
図5に示すスコアカットナイフ111と受けロール112とを用いて、搬送される基材シート20の搬送方向Y1に沿う両側部に、該搬送方向Y1に沿う複数条の切り込みを入れ、その後、周方向に間欠的に配したカットロールと受けロールとを用いて、搬送される基材シート20の該搬送方向と直交する方向X1の中央部に、該方向X1に沿う複数条の切り込みを入れることにより形成できる。
【0084】
また、上述した実施形態の吸収性物品10における吸収体1は、各吸収性ユニット4及び各長尺状基体部2が縦方向Y方向に略平行に直線状に延びているが、これに代えて吸収性ユニット4及び長尺状基体部2は、縦方向Yに沿って波形の曲線を描くように延びていてもよく、あるいは縦方向Yに沿って山形のジグザグ状に延びていてもよい。
【0085】
更に、上述した吸収性物品10の製造方法において、吸水性ポリマーの粒子3を接着剤5で固定することに代えて、長尺状基体部2の一方の面の表面に起毛加工を施し、起毛した繊維間に吸水性ポリマーの粒子3を固定させる場合には、上述した接着剤塗布工程に代えて、起毛加工工程を行えばよい。起毛加工を施す方法としては、例えば特開2012−092476号公報や特開2013−028891号公報に記載の方法等が挙げられる。
【0086】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の吸収性物品を開示する。
<1>
横方向と、該横方向よりも長さの長い縦方向と、厚み方向とを有する長尺状基体部、及び該長尺状基体部の表面に固定された吸水性ポリマーの粒子を備えた吸収性ユニットを複数本具備し、各該吸収性ユニットを、その縦方向が少なくとも一方向を向くように配列させてなる吸収体を備え、
前記長尺状基体部における肌対向面及び非肌対向面の双方の表面に前記吸水性ポリマーの粒子が固定されており、
前記吸水性ポリマーの粒子が液を吸収する前においては、該吸水性ポリマーの粒子が、前記長尺状基体部の前記縦方向に沿う側縁部を越えて横方向にはみ出しておらず、且つ該吸水性ポリマーの粒子が液を吸収した後においても、該吸水性ポリマーの粒子が、該長尺状基体部の該縦方向に沿う側縁部を越えて膨潤しないようになされている吸収性物品。
【0087】
<2>
前記吸収体のうち、前記吸収性ユニットが形成されている部位において、該吸収性ユニットが、該吸収性ユニットと肌対向面側において隣接する他の部材又は非肌対向面側において隣接する他の部材と非接合状態になっている前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記吸収体は、その縦方向の端部域が、該吸収体と肌対向面側において隣接する他の部材又は非肌対向面側において隣接する他の部材と接合状態になっている前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記吸収体は、その縦方向の端部域に、前記長尺状基体部が配されていない非スリット領域を備えている前記<1>ないし<3>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<5>
前記吸収体は、その縦方向の端部域において前記吸水性ポリマーの粒子が配されていない前記<1>ないし<4>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<6>
前記長尺状基体部が疎水性のシートからなる前記<1>ないし<5>のいずれか一に記載の吸収性物品。
【0088】
<7>
前記長尺状基体部に固定されている前記吸水性ポリマーのうち、該長尺状基体部における肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーの坪量よりも、該長尺状基体部における非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーの坪量の方が高くなっている前記<1>ないし<6>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<8>
前記長尺状基体部における肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーと、該長尺状基体部における非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーとが異種のものである、前記<1>ないし<7>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<9>
吸収性ユニットは、横方向Xの長さLxが、好ましくは0.3mm以上10mm以下程度、より好ましくは0.6mm以上2.0mm以下程度、更に好ましくは0.6mm以上1.8mm以下程度のものである前記<1>ないし<8>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<10>
吸収性ユニットの縦方向Yの長さLyは、横方向Xの長さLxに対して好ましくは2倍以上3500倍以下、更に好ましくは100倍以上700倍以下になっている前記<1>ないし<9>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<11>
吸収性ユニットの縦方向Yの長さLyは、好ましくは20mm以上1000mm以下、更に好ましくは200mm以上400mm以下になっている前記<1>ないし<10>のいずれか一に記載の吸収性物品。
【0089】
<12>
吸収体の平面視において、該吸収体の全体の面積に対する吸収領域ATの面積の割合は、20%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましく、そして、100%以下であることが好ましく、90%以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<11>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<13>
吸収体の縦方向Yの両端部間にわたる全域に吸収性ユニットが配されている前記<1>ないし<12>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<14>
吸収性ユニットの縦方向Yを、吸収体の縦方向Yを向くように配する場合、吸収性ユニットは、1枚の吸収体当たり、3本以上配されていることが好ましく、50本以上配されていることが更に好ましく、そして、1000本以下配されていることが好ましく、500本以下配されていることが更に好ましい前記<1>ないし<13>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<15>
長尺状基体部の側面では、吸水性ポリマーの粒子が非存在状態又は吸水性ポリマーの粒子3が固定されていない状態になっている前記<1>ないし<14>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<16>
吸水性ポリマーの粒子が液を吸収する前の状態で、横方向Xに沿って隣り合う吸収性ユニットどうしの間に間隙Sが生じている前記<1>ないし<15>のいずれか一に記載の吸収性物品。
【0090】
<17>
間隙Sの程度は、0.1mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることが更に好ましく、また、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることが更に好ましい前記<16>に記載の吸収性物品。
<18>
吸収体において、吸収体の幅W1に対する長尺状基体部の幅W2の割合は、0.001以上であることが好ましく、0.002以上であることが更に好ましく、そして、0.200以下であることが好ましく、0.040以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<17>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<19>
長尺状基体部の幅W2は、0.3mm以上であることが好ましく、0.6mm以上であることが更に好ましく、そして、10mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましく、1.8mm以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<18>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<20>
長尺状基体部における肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーに関し、2.0kPaでの加圧下通液速度は、20ml/min以上であることが好ましく、40ml/min以上であることが更に好ましく、そして、1000ml/min以下であることが好ましく、800ml/min以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<19>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<21>
長尺状基体部における非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーに関し、2.0kPaでの加圧下通液速度は、0ml/min以上であることが好ましく、10ml/min以上であることが更に好ましく、そして、400ml/min以下であることが好ましく、200ml/min以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<20>のいずれか一に記載の吸収性物品。
【0091】
<22>
長尺状基体部における肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーに関し、遠心保持量は、20g/g以上であることが好ましく、25g/g以上であることが更に好ましく、そして、50g/g以下であることが好ましく、45g/g以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<21>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<23>
長尺状基体部における非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーに関し、遠心保持量は、25g/g以上であることが好ましく、30g/g以上であることが更に好ましく、そして、65g/g以下であることが好ましく、55g/g以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<22>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<24>
肌対向面側よりも、非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーの坪量が高い場合、肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーの坪量B1に対する、非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーの坪量B2の比であるB2/B1の値は、1.05以上であることが好ましく、1.7以上であることが更に好ましく、また、40以下であることが好ましく、10以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<23>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<25>
液を吸収する前の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径d1は、20μm以上であることが好ましく、200μm以上であることが更に好ましく、そして、3000μm以下であることが好ましく、2000μm以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<24>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<26>
液を吸収した膨潤した状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径d2は、200μm以上であることが好ましく、800μm以上であることが更に好ましく、そして、3000μm以下であることが好ましく、2000μm以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<25>のいずれか一に記載の吸収性物品。
【0092】
<27>
長尺状基体部の幅W2と、液を吸収する前の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径d1との関係は、d1/W2の値が0.002以上であることが好ましく、0.100以上であることが更に好ましく、また0.900以下であることが好ましく、0.800以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<27>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<28>
長尺状基体部の幅W2と、液を吸収した後の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径d2との関係は、d2/W2の値が0.02以上であることが好ましく、0.45以上であることが更に好ましく、また0.90以下であることが好ましく、0.80以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<28>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<29>
一方向に搬送される長尺状基体部の基材シートの一方の面の表面に、その横方向に距離を隔てた複数箇所に接着剤を塗布し、
前記一方の面の表面に前記接着剤が塗布された前記長尺状基体部の基材シートを、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、該長尺状基体部の基材シートにおける該接着剤が塗布された前記一方の面の表面に、その横方向の全域にわたり吸水性ポリマーの粒子を散布し、
前記長尺状基体部の基材シートを、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、前記長尺状基体部の基材シートの他方の面の表面に、その横方向に距離を隔てた複数箇所に接着剤を塗布し、
前記他方の面の表面に前記接着剤が塗布された前記長尺状基体部の基材シートを、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、該長尺状基体部の基材シートにおける該接着剤が塗布された前記他方の面の表面に、その横方向の全域にわたり吸水性ポリマーの粒子を散布し、
各面に前記吸水性ポリマーの粒子が散布された前記長尺状基体部の基材シートに、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、該接着剤が塗布された箇所間の非塗布箇所において、該搬送方向に沿って切り込みを入れて、細幅の複数条の長尺状基体部を得て、吸収体を製造する工程を含む、吸収性物品の製造方法。
<30>
一方向に搬送される親水性の長尺状基体部の基材シートの一方の面の表面に、その横方向の全域にわたり接着剤を塗布し、
前記一方の面の表面に前記接着剤が塗布された前記長尺状基体部の基材シートを、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、該長尺状基体部の基材シートにおける該接着剤が塗布された前記一方の面の表面の横方向に距離を隔てた複数箇所に吸水性ポリマーの粒子を散布し、
前記長尺状基体部の基材シートを、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、前記長尺状基体部の基材シートの他方の面の表面に、その横方向の全域にわたり接着剤を塗布し、
前記他方の面の表面に前記接着剤が塗布された前記長尺状基体部の基材シートを、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、該長尺状基体部の基材シートにおける該接着剤が塗布された前記他方の面の表面の横方向に距離を隔てた複数箇所に吸水性ポリマーの粒子を散布し、
各面に前記吸水性ポリマーの粒子が散布された前記長尺状基体部の基材シートに、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、該吸水性ポリマーの粒子が散布された箇所間の非散布箇所において、該搬送方向に沿って切り込みを入れて、細幅の複数条の長尺状基体部を得て、吸収体を製造する工程を含む、吸収性物品の製造方法。
<31>
一方向に搬送される長尺状基体部の基材シートに、その搬送方向に沿う複数条の切り込みを入れて、細幅の複数条の長尺状基体部を得、
複数条の前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における一方の面の表面の横方向の中央域にのみ接着剤を塗布し、
前記一方の面の表面に前記接着剤が塗布された前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における該接着剤が塗布された前記一方の面の表面の横方向の全域にわたり吸水性ポリマーの粒子を散布し、
複数条の前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における他方の面の表面の横方向の中央域にのみ接着剤を塗布し、
前記他方の面の表面に前記接着剤が塗布された前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における該接着剤が塗布された前記他方の面の表面の横方向の全域にわたり吸水性ポリマーの粒子を散布して、吸収体を製造する工程を含む、吸収性物品の製造方法。
<32>
一方向に搬送される長尺状基体部の基材シートに、その搬送方向に沿う複数条の切り込みを入れて、細幅の複数条の長尺状基体部を得、
複数条の前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における一方の面の表面の横方向の全域にわたり接着剤を塗布し、
前記一方の面の表面に前記接着剤が塗布された前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における該接着剤が塗布された前記一方の面の表面の横方向の中央域にのみ吸水性ポリマーの粒子を散布し、
複数条の前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における他方の面の表面の横方向の全域にわたり接着剤を塗布し、
前記他方の面の表面に前記接着剤が塗布された前記長尺状基体部を、前記搬送方向に沿って搬送させた状態下、各長尺状基体部における該接着剤が塗布された前記他方の面の表面の横方向の中央域にのみ吸水性ポリマーの粒子を散布して、吸収体を製造する工程を含む、吸収性物品の製造方法。